術式『ほのぼのにゃんにゃん』で呪術の世界を生き残る   作:藍沢カナリヤ

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番外編です。ゆるーい回です。
らむだぜろ様の主人公・『常磐久遠』ちゃんとコラボしています。
その関係で今話限定で『ポケモン』が出てきます。


番外編 主人公同士のお話

ーーーーーーーー

 

 

『天元』様の元での修行中。

『結界』の中枢であることで発生する弊害、世界の歪みなんかも見てきた。今から話すのは、その一例のお話だ。

 

 

ーーーー薨星宮内・結界その1ーーーー

 

 

ーーパキパキッーー

 

「お?」

 

 

サイズを上げる訓練のために張っていた私の『結界』が、ひび割れていく。呪力の込め方を間違えたかと思ったが、どうやら違う。何者かが私の『結界』を破壊しようとしているようだった。

 

 

ーーパキパキッーー

 

「ち、ちょっと、待って!」

 

 

ーーバリィィィンッーー

 

 

私の『結界』を破壊した者。それは高専の術師でも、呪詛師でもなかった。それどころか人間ですらない。恐らく知らない人間からしたら呪霊にしか見えないその『存在』を、私は知っている。

 

 

「こ、ここ、この仔はっ!?」

 

『ぬぉ?』

 

「『ヌオー』だぁぁぁっ!!」

 

 

私は叫ぶ。その『ポケモン』の名を。

 

 

『……なにやら異物が迷い込んだようだ』

 

「あ、『天元』様!」ナデナデナデナデ

『ぬぉぉ……』

 

『君はその呪霊を知っているのかい?』

 

 

『天元』様曰く、私の膝の上で手足を投げ出し、へそ天する『ヌオー』は呪霊らしい。いやいや、こんな愛らしい呪霊がいてたまるかとは思ったが、確かによく目を凝らせば、『ヌオー』……いや、『ヌオたん』自体が呪力で造られていることが分かる……分かってしまう。

 

 

「この子、呪霊なのかぁ……」

 

『ぬぅぅぅん?』

 

 

どこを見てるのか分からない表情で首をかしげる『ヌオたん』。かわよい。しばらくボーッと『ヌオたん』を眺めてた私だったが、不意に天恵が下りた。

 

 

「!」

 

 

私の推しポケであるこの仔と、我が推し・伏黒くんを並べたら、天国なのでは!?

そうとなったら行動あるのみだ!! レッツゴー!!!

 

 

ーーパキッーー

 

「お?」

 

 

ーーパリィィンーー

 

 

再び『結界』が割れる音。それと同時に現れたのは、今度はポケモンではなく

 

 

「……連れてかれたら困ります、羽々場」

 

 

人間の女の子であった。私の名前を呼んだ、ということは私を知っているのだろうか。けれど、頭をフル回転させても一向に思い出せる気配はない。えっと……うーむ?

 

 

「さ、とう、さん?」

 

「誰ですか、それ」

 

「くっ」

 

 

最大公約数的な名字を言ってみたのだが、残念ながら違うようである。じゃあ、鈴木さんか?

 

 

「……もしかして、私のこと覚えていないんですか?」

 

「………………」

 

「羽々場?」

 

「は、はい」

 

 

観念して白状する。勿論、彼女は怪訝そうな顔をして、先輩の名前を覚えていないとは中々に図太いですねと宣う。うぅぅ、ごめんよぉごめんよぉ……て、んんん?

 

 

「先輩? 誰が?」

 

「私です。呪術高専東京校2年、常磐(ときわ)久遠(くおん)。聞き覚えあるはずですよね」

 

 

『常磐久遠』。

名前を聞いてもピンとは来ない。断言できる。彼女は原作にはいない人物だ。私の知る限り、東京校の2年生は、禪院真希・狗巻棘・パンダ・乙骨憂太の4名のはず。常磐久遠なんていう人物はいない。

 

 

「っ、『ほのぼのにゃんにゃん』っ!」

 

『にゃっ』

『にゃぁぁん』

 

「ええと? なんで?」

 

 

私はすぐに臨戦態勢に入り、術式を発動させる。

なんで、だと? そんなもの決まっている。私の前世の記憶を辿れば、原作にいないはずのキャラクターがいる理由なんて1つしかない。私の生前にも流行りだった原作改変もの。つまり、

 

 

「貴女も『転生者』でしょっ!」

ーーググッーー

 

「てんせい……? なんですか?」

 

 

しらばっくれるつもりか。でも、残念。私は推しの同人誌を描くくらいには深いヲタである。勿論、それなりに転生ものも読んでいる。転生者の最大の敵は転生者だと相場は決まっている。私は伏黒くんを救うのに集中したい。横槍を入れてくる可能性のあるラスボス候補は、今、潰すに限る!

 

 

「らぁぁっ!!」

ーーブンッーー

 

 

ーーカァァァァンッーー

 

「ッ、硬ぁぁッ!?」

 

 

私の拳は弾かれる。打ち込んだ拳がビリビリと痺れていて、まるで鋼鉄を殴ったような……。素手で攻撃を仕掛けた私を見ながら、首を傾げる少女。

 

 

「鉈を使ってないですし、しかも、私の呪力性質も知らない……これは一体どういうーー」

 

「フンッ」

ーーグンッーー

 

ーースカッーー

 

 

渾身の蹴り、今度は空振りだった。幽霊じゃあるまいし、物理攻撃が無効だとでも言うのか距離を取り、再び構える。攻撃が弾かれ、空振る。なんだろうか、人間を相手している気がしない。

……未完成だけど、仕方がない。ここは『天元』様の『結界』の内。ヤバくなりそうだったら、きっと『天元』様が『結界』ごと解体してくれる。だから、行くよ。

 

 

「術式解放『いえねーー」

 

 

『ストップだ』

 

 

そこで今まで私と彼女の攻防を黙って見ていた『天元』様にストップをかけられてしまう。

 

 

「……『天元』様、退いてください」

 

『大丈夫だ、羽々場ねこ。解析はもう済んだよ』

 

「解析?」

 

『あぁ。ここは私の『結界』内だからね。君が戦っている間に、そこの彼女『常磐久遠』については解析が終わったんだ。結論から言えば、彼女は無害だよ』

 

「ん、ん? いや、今、呪力も使っていたじゃないですか!」

 

「いや、それは羽々場が攻撃してきたからです」

 

「あん?」

 

 

と口を挟んできた少女。たしか名前は『常磐久遠』とかいったっけ?

 

 

「…………証拠は?」

 

「証拠と言われても困ります……」

 

「じゃあ、信じられないね。転生者ってのは須く同じ転生者を殺したがるも、の……お?」

 

 

 

啖呵を切る私の目に飛び込んできたもの。それは、

 

 

『ぬぉぉ』

「ん、大丈夫。もう終わりましたよ」

 

「!!!」

 

 

常磐久遠にすり寄る『ヌオたん』の姿であった。

 

 

「えぇと、それで羽々場、証拠ですけどーー」

 

「信じるさ」

 

「え?」

 

「フッ、『ポケモン』が懐く人間に悪い奴はいないって、ばっちゃんが言ってたんだ」

 

「………………そ、そうですか」

 

 

そんな経緯を経て、彼女・久遠先輩を信じることにした私は、小一時間『ヌオたん』や他の色んな『ポケモン』を出してもらい、遊んだのだった。

 

 

ーーーーーーーー

 

 

「それで、久遠先輩はなんでここに?」

 

 

『ヌオたん』と一通り遊んだ私は、今さらながらそれを訊ねた。

久遠先輩曰く、とある呪霊と戦っている時に、なぜか発生した『結界』に誤って入ってしまったという。上も下も分からない空間で、ふと聞こえた覚えのある声に反応してこちらへ向かってきたら、ここにいたという。

 

 

「『天元』様、心当たりあります?」

 

『ない訳ではないよ。彼女から聞く限り、彼女はこことは違う世界から来たということだろう』

 

 

なるほど。転生ってよりは並行世界の住人ということか。『常磐久遠』という呪術師が存在する世界。そんなところだろう。

 

 

「しかし、世界を超える、ねぇ」

 

『時空間の歪みを造り出す呪霊も中にはいる。その類いだろうね』

 

「なるほど」

 

 

しかし、その話が本当だとしたら困ったことになる。時空間を操る呪霊など早々いないだろうし、いたとしても少なく見積もっても一級クラスだろう。そんなのに見つけようとしても中々に見つけられるものではない。

 

 

「うーん、そしたら久遠先輩、こっちの世界で暮らします?」

 

「……それはないですね。向こうの世界でやることがありますから」

 

「うーむ?」

 

 

そうは言ってもそう簡単に世界を渡る方法なんて……ん?

 

 

「「…………あ」」

 

 

同時にあることに気づいたようで、私と久遠先輩は声をあげた。

いる。いるじゃん! 時間と空間を支配する存在が。

 

 

「……出せるんです?」

 

「まぁ、一応」

 

『?』

 

「そうなんすか……すげぇ」

 

 

その後、私はピンときていない『天元』様に、巨大な『ポケモン』が出ても壊れない『結界』の部屋を作ってもらい、久遠先輩は帰っていったのだった。

 

 

「ほへぇ、不思議な体験をしたもんだなぁ」

 

『では、訓練を再開しようか』

 

「はーい……って、なんか臭くないですか、ここ」

 

『?』

 

 

『ベトォォ?』

 

 

ーーーーーーーー

 

 

ここで一句。

『先輩の 残る香りは ベトベトン』

 

 

「皆も『ポケモン』ゲットじゃーーくっさぁ……おえっ」

 

 

ーーーーーーーー




コラボありがとうございました!
次回から本編に戻る予定です。
新章!!

追記
作者の推しポケはヌオーではありません。
サンダースです。昔からの相棒ポケです。
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