術式『ほのぼのにゃんにゃん』で呪術の世界を生き残る 作:藍沢カナリヤ
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「伏黒っ!?」
「なっ!?」
「………………ッ」
視界がぼやける。耳鳴りもしてきた。頭がぐらぐらする。あり得ない、あってはならない彼のその姿を見てしまったことで、私の脳が理解するのを拒んでいるのだ。立っていることすら……。
「ぐ……っ」
『アハァァ! これだ、これだよ! 俺こそが『呪い』だッッ!!!』
ーーブンッーー
「っ、ねこッ!」
「羽々場ッ!」
ーーーーーバヂバヂバヂバヂィィッーーーー
『『黒閃』!!』
ーープツンッーー
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「羽々場?」
「え、あっ……伏黒くん」
ねずみの耳を着けた伏黒くんがこちらへ顔を向けた。虎杖くんと野薔薇ちゃんの悪ふざけにも関わらず、ちゃーんと付き合って耳を着けてくれる彼も律儀な人である。その2人は既にどこかへ行ってしまったけど。
「どうした、上の空だったようだけど」
「え、えっと……」
「……今日はお前と虎杖の高専復帰祝いだ。無理してるなら」
「ううんっ、楽しい、楽しいよ!」
そう言う伏黒くんだって、交流戦での傷は完全に癒えた訳じゃないはず。それでも私のことを気遣ってくれるなんて……しゅき♡
「って、そうだ! 虎杖くんと野薔薇ちゃんは?」
「フリーパスだからってはしゃいで先に行った。虎杖も無傷じゃないだろうに……あいつの体力はどっから来てるんだ」
「ふふっ」
呆れたようにため息を吐く伏黒くん、そう言いつつも彼はどこか楽しそうで。だから、私もついそれがうつって、笑う。
「あっ、そうだ、伏黒きゅぅぅぅん」
「ん? なんだ?」
「あのさぁ……? 私の復帰祝いだって言うならさぁ……?」
「?」
徐に私は右手を彼に差し出した。
「手を繋いでくれてもいいんだよぉぉ♡♡」
「…………はぁ」
呆れの対象が今度は私に変わる。なんで俺の同級生には録な奴がいないんだと1人ごちる伏黒くん。うーん、可哀想にねぇ、大変だねぇ。
「お前がその筆頭だ」
「ハハハ、ナンノコトヤラ」
「……お前なぁ」
私の求愛と彼の拒否。この2年間続けてきたやり取り。
もちろん、彼には私へのそういう感情はないことは分かってる。脈はない。そもそも『そういう人』を作るつもりはないんだろう。今はきっと津美紀さんにかかった『呪い』を解くことが彼にとっての最優先で。
うん、私もこの気持ちをすぐに受け入れてもらえないのは承知の上だ。それでもいつか彼が振り返ってくれたらいいな……なんて。
「……悪いな、いくら言われても俺はそういうつもりはない」
「うん。ふふっ、それをちゃーんと言ってくれるんだから、伏黒くんは優しいね」
「…………うるさい」
「あーんっ、もうっ♡ 伏黒きゅんはかわいいなぁぁ♡」
「言って損した」
「ふふふっ、ははっ」
彼の不器用な、それでも誠意をもって私に接してくれてるのが伝わって、嬉しくなる。嬉しくなって思わず笑みが零れーー
「はは、は……っ」
「羽々場……?」
「あ、れっ……おかしいなぁ……?」
嬉しい。嬉しいはずなのに……。
「うっ……うぅぅ……」
「お、おい。なんで泣いてるんだよ」
「ごめんっ、ごめんね……っ」
涙が溢れて止まらない。泣いてる私を心配してくれる伏黒きゅんなんていうチョーレアな姿を見れるというのに、なぜか私は彼のことを見ることができなかった。見たら、もっと泣いてしまう気がして。
…………あぁ、分かってるよ。これは回想の皮を被った空想だ。
『もし伏黒きゅんが生きていたら』……そんな空想だ。だって、私は至近距離で見て感じ取ってしまったから。彼の『死』を。
だから、私の涙は止まらない。
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「…………はっ!?」
急激に意識が覚醒し、飛び起きた。痛みはない。やられたのはあの肉体だけ、なんだろう。
「っ、羽々場! 起きましたか。気分はどうですか?」
「…………」
私に声をかけたのは、来栖華その人だった。気分、気分……ね。
「最悪だよ。彼が……伏黒くんが死んだ」
「!? 趣味の悪い冗談はっ」
「そんな冗談を言うように見える……?」
「っ」
こと伏黒くんに関して、私が性質の悪い冗談を言わないことを彼女は分かっている。なにより今の私はきっと酷い表情をしている。その表情で、来栖も察したんだろうな。
「羽々場、案内してください。彼の元へ」
下唇から血が出ている。そんな風にして必死に泣くのを耐え、来栖はそう言った。彼女の気持ちは痛いほど分かる。だから、
「……ダメだ」
私はそう答えた。
「っ、なにを言ってるんですっ。早く彼の元へ向かわなくちゃッ!」
「来栖が使えるのは『術式を消滅させる術式』。『反転術式』じゃない。そもそも『反転術式』を使えたとしても、もう彼はーー」
「ーーごちゃごちゃうるさいッ!!!」
私の胸倉を掴み、来栖は吠える。目は血走り、暗にこれ以上言うなら殺してやると、そう告げていた。
「早く恵のところに連れていけッ! 羽々場ねこッ!!」
「…………ダメだ」
「ッ」
ギリッと歯を食い縛る来栖。そして、
ーーバギィィッーー
ぶん殴られた。
「もう知りません。自分で勝手に探します、『天使』!」
『呪力が濃いところに向かう。そこに恐らくーー』
ーーぞわっーー
「『!?」』
渋谷駅の地下五階で突如として解放されたその邪悪な呪力で、恐らく来栖も『天使』も気づいてしまっただろう。
『この呪力はっ、『堕天』ッ!?』
「『天使』、今は……!」
『いや、微弱だが、彼の呪力もそこから感じる。伏黒恵の近くに『堕天』がいるはずだ。どちらにせよ、すぐにそこに向かわなくては!』
「う、うんっ」
「術式解放『いえねこ』」
私は今にも飛び立とうとする来栖に向けて、『いえねこ』を解き放った。彼女の視界に入る『いえねこ』。
「なっ!? 羽々場、なにをっ!?」
『いえねこ』の術式効果は彼女に伝えてある。味方としての情報共有のつもりだったんだけど、まさか術式の開示として使うことになるとは思わなかった。
「ごめん、来栖」
「ねこです羽々場。ねこはいますよろしくふざけないでしますねこです」
よかった。『邪去侮の梯子』を使われる前に『いえねこ』が侵食できた。
「大丈夫、危害を加えるつもりはないから。ただ、少しの間眠ってて……『宿儺』が伏黒くんの中に入るまで」
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『『契闊』』
『覚えているか? 面白いものが見れると……言ったろう、小僧』
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2018年10月31日、23時25分。
渋谷駅地下5階にて、『両面宿儺』が伏黒恵に受肉した。その後、伏黒恵はその場から逃走。現在もその行方は分かっていない。
特級呪霊『真人』は、その場にいた虎杖悠仁、釘崎野薔薇、東堂葵、羽々場ねこにより祓除寸前まで追い込んだが、特級呪詛師『夏油傑』の『呪霊操術』により取り込まれ、その逃走を許した。
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『渋谷事変』閉門。
殺伐としてきてるので、1年生それぞれとの日常パート入れていいですか?
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見たい
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本編を進めてくれ