仮面ライダービルド in MCU 作:遥か彼方
「Strategic Homeland Intervention, Enforcement and Logistics Division(戦略国土調停補強配備局)」略称、S.H.I.E.L.D.とは
第二次世界大戦時にドイツを中心として暗躍していた秘密組織"ヒドラ"を殲滅した『戦略科学予備軍SSR』を発展した形で設立した国際平和維持組織である。Wikipedia参照。
アベンジャーズ計画。
世界各地に存在する様々な超人を団結させ、外宇宙に存在する脅威に立ち向かい地球の平和を守るチームを編成させる。それは言葉で言うだけなら簡単で単純な計画であった。
S.H.I.E.L.D.長官であるニック・フューリーにとってその計画は自分の命よりも重要であると判断した。
端末と睨めっこする時間が日に日に長くなっている気がする。メンバー選定はニック・フューリーの独断で決まる。世界を救う救世主を選ぶのだ、そこらのびっくり人間等に務まる筈もない。
「長官。」
ふと、端末から目線を外しこの部屋の入り口を覗き見る。胸にS.H.I.E.L.D.のロゴを拵えている女性が1人立っていた。
「ヒル。例の物は?」
そう問いかければ、女性はフューリーに小さく光ったUSB端子を見せつけた。
フューリーはそれを認めるとUSB端子を受け取り、端末に差し込む。
その一連の流れをマリアとフューリーはここ数日様々な方法で何十回と繰り返してきた。ある時は出勤時の車の後部座席に貼り付けられていたり、ある時は捕まえたひったくりから奪った鞄の中に入っていたり、一番驚いたのは指名手配の腹の中から便と共に出てきた時だろうか。それにはニック・フューリーも軽く引いていた。
USBを開くといくつかに分かれたファイルがフューリーを出迎えるがその殆どが酷く現実味が無く滑稽なものである。それもその筈、その大半が虚偽であり、マリアが適当にでっち上げた嘘だ。
情報の扱いは常に慎重で無くてはならない。ニック・フューリーにとってとうにS.H.I.E.L.D.は信じられる仲間たちが集う場所では無くなっていた。何処で誰がその情報を抜き取っているかわからない、故にマリア・ヒルはニック・フューリーに提出する情報を49のUSBに分けて少しずつ提出していた。
「………正体は?」
「分かっていません。彼はとても用心深い様です。いくら追っても逃げられてしまいます。」
「アレを使ってもか?」
「ええ、不可能でした。」
否定の言葉が飛んでくると軽くフューリーは肩を落とした。
町中の定点カメラに時折、小さな歪みが発生する。S.H.I.E.L.D.の科学技術と頭脳がなければ見つからなかったであろうその小さな歪みは奇跡的にとある1人の頭脳によって解明された。その小さな歪みを段々と修正していくと赤と青のツートンカラーの鎧に包まれた謎の存在が映し出される。
都市伝説として語り継がれていたその存在をS.H.I.E.L.D.が何十億とかけてやっと姿だけ顕に出来た。
「彼は何者なのでしょうか。」
マリア・ヒルはフューリーが流し見ていたその映像を注視しながら問いかけた。その鎧を着た何者かは何か銃の様な物を取り出すと煙を吐いて消えていく。その後にはどのカメラにもそのツートンカラーの鎧が映る事はない。
「分からない。だが目的はわかっている。」
そう言うとフューリーは画面をスライドした。
映るは何処ぞの路地裏だろうか、そこで赤と青のツートンカラーの鎧武者は化け物と戦っていた。戦いが激化していく中、ふとよろいむしゃは敵とは反対方向に走り出して画面から消えた。そうして化け物だけが画面に残るが、少しして化け物も走り始めて画面から消える。
画面が移り変わる。映るは鎧武者が子供を抱いて化け物から逃げていた。見ると子供の近くに瓦礫が落ちている。きっと子供が押し潰されそうになっていたのを助けたのだろう。だが、背後を取られてピンチと言った所だろうか。
その映像を観てマリアは軽く笑顔を見せた。あまりにそのヒーローが滑稽だったからだ。
「まぁ、ラブアンドピースだろうな。」
ニック・フューリーはそう呟くとマリアは少し驚いた様に目を見開く。この仏頂面からそんなファンシーな言葉が出てくるとは思わなかったのだ。
「そういえば奴のコードネームは決まったのか?たしか、だいぶ揉めたと聞いたが…」
「はい。結局はこの映像を修復した者の一存で…『仮面ライダービルド』と名付けられました。」
「………彼は天才だが、センスがないな。」
そう言うと、フューリーは引き続きファイルを漁り始めた。マリアの荒唐無稽の嘘八百に興味が湧いた為、端から端まで開き始めるとしばらくしてマリア・ヒルはフューリーに声をかける。
「すいません。一つお伺いしたいのですが。」
「何かな?」
「何故彼がこの映像の修正に関わったのでしょう?」
「何故…とは?」
そうしてマリア・ヒルの顔が引き攣った。
「彼って物理学者じゃなかったでしたっけ?」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
40年前、日本、九郎ヶ丘遺跡にて発掘された縦横40cm程のキューブ状の物体は今までの歴史をひっくり返しかねない物体であった。
使用用途不明、あからさまに人工物だが地脈を調べればいまだ文明もままなっていない頃の存在。素材も地球上に存在しない物ばかりまさにオーパーツ。『パンドラボックス』と名付けられたソレに世界が注目し、様々な実験が取り行われた。
しかし、その間30年全く進展無し。
サンプルを取ろうにも頑丈過ぎてどんな器具を使おうと傷一つ無し、CTスキャンで内部を調べようにも何かに遮られる様にエラーを起こし、挙句の果てには研究チームの数人が謎の変死を遂げた。
もはや呪いのアイテムとしてオカルト雑誌にも載る様になった頃、事件が起こる。
発掘から30年目のある日、パンドラボックスを中心に時空が歪んだのだ。
歪みは広がり、その歪みは日本全土から次第に世界全土に移り変わった。まるで世界を作り替える様に歪みが修復された後の地球は様変わりしたのだ。
まず、街中に化け物が暴れ回る様になった。時折、ランダムに人が苦しみ出すと化け物に姿を変えて暴れ始める。それはまるで理性が無いように見える。日本政府はこの化け物を『スマッシュ』と呼称し、他国もそれに習うように化け物をスマッシュと呼び始めるようになった。
そして、世界各地に謎の物質で生成された石柱の様な物が地面から現れた。大きさは様々だが、その多くは断面が欠けたかの様に割れている。現に日本の群馬県にて出現した柱とイギリスのロンドンに出現した柱の断面を見合わせてみればぴった合うようになっている。これはきっとこの柱達がもともと一つの壁の様にそり立つ筈だったのを何らかの要因でバラバラに散ってしまったのだと思われる。国連はこの柱を『スカイピラア』と呼称した。
人類は混乱した。スカイピラアの出現により数千人が死亡。地面の隆起により、自宅に帰れなくなった者を存在する。
また、スマッシュの被害も凄まじくこの10年で2万人の被害を出してしまった。倒してもしばらくしたら復活する為、国にとっては一体出るだけで経済が崩壊しかねない。まさに金食い虫として諸外国の悩みの種となっていた。
そして、それから何の対抗策も見つからず、10年が経った。
2008年10月。
『私がアイアンマンだ。』
とあるカフェの冷蔵庫の中に地下へ続く階段がある。そこから階段降りるとベッドの隣にある備え付けのテレビからそんな音声が響いた。
それは先日から何度も何度も見飽きる程流されているニュース映像である。その為か現在ネット上ではこのシーンを切り抜きされたGIFが大量に貼り付けられていた。
「私がエボルトだ。」
誰かが階段横でそう呟いてからその言葉に思わずと言った感じに「………プッ」と吹き出した。
「アハハハハッ!最高!」
張本人、40代後半の男性がサングラスを下げながら笑い出した。
それを側からジト目で見る視線が二つ。一つはウサギのぬいぐるみを抱いている女性。もう一つは半田ごて片手に何かを修理している男性だ。
「マスターのそれは冗談じゃすまないでしょ。」
そう半田ごての男、桐生戦兎は呟いた。
「まったく……もしかしたらまだエボルトがお父さんの中に居るかも知れないのに気楽すぎ!」
そう兎ぬいぐるみの女、石動美空はそう説教するとエボルトの男、石動惣一にぬいぐるみをぶつけて叩いた。
「いやぁ〜、すまんすまん。昨日見たMADが面白くてつい。」
そう言うと惣一は軽く謝ると戦兎の近くの椅子に座った。
「で、戦兎。どうよ?進捗は。」
「なぁ〜〜〜んも無し。折角、情報が入りやすいアメリカに移住してきたのに見つからねー。」
そう戦兎が愚痴ると納得の表情で惣一はつぶやいた。
「まぁ、そうだよな。アメリカに来てからまだ2ヶ月、見つかるはずもないか……
俺たちみたいに世界各地に散らばってる可能性もあるし。まぁイギリス旅行は楽しかったし良いんだけどな。」
「無一文で困ってた人が何を言うんだか。たまたま俺がバイクの実施実験の帰りで通りかかって無かったらどうするつもりだったんだよ。」
「いきなりエボルトォォォォォ!!って叫ばれながらバイクで追い回された時はホント、死ぬかと思ったよ。」
そうケタケタと笑う惣一にジト目を向ける戦兎。それもその筈、空からおっさんが降ってきてそれが以前地球外生命体エボルトに掌握されていた石動惣一だった驚きもする物である。
「それはごめんて。」
「まぁ、nascita二号店アメリカ支部の開店を手伝ってくれたし。別に良いけどな。」
そしてそう笑った。
ニューヨークの路地裏に面する小さなカフェ『nascita』そこのマスター石動惣一はここを2号店と言う。だが、1号店はこの世界のどこにも存在しない。過去にも未来にも…。
世界は一つではない。
仮面ライダービルド、桐生戦兎は彼の感覚で2年前地球外生命体エボルトとの対決の末勝利。自身の地球を別次元地球と融合させ全く新しいエボルトが居ない世界を作ろうとした。しかし、その際に問題が発生。偶然に偶然が重なり世界は中途半端に融合してしまった。
その所謂バグにより世界は地球誕生に巻き戻り、人類文明開花。混迷からの再生。それを何度も繰り返し、現在に至る時点で桐生戦兎は転送させられた。それが約2年前の話である。
それが発覚したのは転送されて直ぐの事、歴史が前の世界と一部変わっていたり前の世界の人間が存在していなかったりその差異が分かりやすかった。
故に桐生戦兎は考察した。これから世界に前の世界の人類が転送されて行くのだろうと。
「じゃあ、俺そろそろ行かなきゃ。夕方には帰れる程度に仕事頑張ってくるよ。」
そう言うと戦兎はスマートフォンを取り出した。
「あれ?ビルドフォンはここだぞ。」
マスターがそう言いながらビルドフォンを取り出すが当の戦兎は「チッチッチ」と指を振る。
「確かにマシンビルダーは未だ現役だ。むしろ普通のバイクより調子が良いくらいだし、スマホとしての機能も超特級規模!」
戦兎は言いながらビルドフォンに「ありがとうビルドフォン!愛してるよビルドフォン!」とビルドフォンを抱きしめた。
「だがしかし!!スマホモードがゴツ過ぎる!!手にスマホがフィットしないんだ!何度指を吊る思いをした事か!」
「まぁ。正直ゴツいとは思ってたけど…まさかそのスマホ!!」
「時代はナ・ノ・テ・クだよ。ビルドフォンmark2!またの名を『マシンビルダー改』!
マシンビルダーの2倍以上のスペックを誇る最強バイクだ!日本では全くスペックを発揮出来なかったけど、アメリカだったら多少は融通が効くだろ!!アメリカの交通法とか知らないけど!」
「おぉ、凄いな。」
「すっごいでしょ!最高でしょ!天才でしょ!!」
「おう、所でさっきアメリカの交通法知らないって言ってたけど
………免許持ってんの?」
「…………」
「没収な?」
そして戦兎は歩きで行く事になり、結果普通に遅刻した。