仮面ライダービルド in MCU   作:遥か彼方

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「仮面ライダービルド、作る形成するって意味のビルドだ。」これ日本語ならいざ知らず英語だと意味わからな過ぎてワロタ


トランスフォームは未だ先

ニューヨークから360キロ先、ワシントンDC。そこにはS.H.I.E.L.D.の最高司令部『トリスケリオン』が存在する。そのエントランスのベンチで仮面ライダービルド、桐生戦兎は項垂れていた。

 

「なんでこんな事に…。」

 

天才物理学者の桐生戦兎は現在S.H.I.E.L.D.の研究員として働いている。2ヶ月前にたまたま道を歩いていたニック・フューリーに直接『お願い攻撃』してみたら試しにとテストをさせて貰ったのだ。それをまるまる全問正解したらコマ遣いとして就職できた。

そして2ヶ月あれこれしていたらいつの間にかそれなりの地位に登っていて、ニューヨーク支部の研究部門の責任者になってしまったのである。

それが昨晩の事、いきなりのお達しに桐生戦兎はビビり散らしながらも了承してしまったのが運の尽き。ニューヨーク支部はそれなりに大きな支部の為、本部まで挨拶に出向かなくてはならなかったのだ。

 

「最っ悪だ……責任者なんかにさせられるし、nascitaに帰れないし。」

 

そうため息と共に愚痴のように言葉が続く。だが、少ししてその愚痴を飲み込むと戦兎は立ち上がった。

 

「よし、行きたくないけど。行くしかねぇか。フューリー長官を待たせてるだろうし…。」

 

待たせとけと一瞬思ったけど戦兎はクビにされる事を恐れてエントランスの受付嬢に話しかけた。

 

「すいません。フューリー長官に呼ばれたのですが。」

 

「失礼ですが、お名前は?」

 

「セント・キリューです。」

 

「キリュー様ですね。少々お待ち下さい。」

 

そう言うと受付嬢はパソコンで連絡を入れ始めた。

因みにここまでの会話全て英語である。正直、2年前まで桐生戦兎としては一度も海外に行った事ないし外国人とも話した経験がない為少し不安だったが、自分の中の葛城巧の記憶が優秀でよかった。複数の言語を取得していたのである。そのおかげで桐生戦兎は転移者探しに幾つもの国を回る事ができたのだ。

とは言え、桐生戦兎としては葛城巧を程よくこき使ってる感じがして気分は良くない。その内、翻訳機でも作ろうかと思っている。玄さんはともかく他のライダーは全員絶対英語分かんないし…

 

「お待たせいたしました。キリュー様。あちらのエレベーターへお願いします。そこに従業員を待機させてますので、その後はその従業員にお聞きください。」

 

「あ、はい。分かりました。じゃ、ありがとうございます。」

 

受付嬢がエレベーターを指差したので少し会釈してそれに近づく。

するとエレベーターは開き中に入る。一面ガラス張りのエレベーターとは少し怖いななんて思いながらも受付嬢に言われた通りに操作盤を押した。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

『桐生戦兎。彼は信用できるのかね。』

 

そう立体映像通信機越しに問いかけるのはニック・フューリーにとっての上司に当たる人物である。

正直、それはフューリーにとっても思うところがあった。戸籍も出生記録も学歴も出身地も何もない。突然生えてきた天才…いや鬼才というべきか、虫ではあるまいしそうそう天才がそこらの水辺から沸いてくる訳もない。

だが、彼はとんでもない天才である。彼の頭脳は様々な用途で使える。彼は自身を物理学者だと言っているが、それ以外の功績も計り知れない。暇だから勉強したと言われてもそんな訳がないと否定したい気持ちでいっぱいだったのは此処の研究員全員だろう。

 

まだ就任2ヶ月だというにも関わらずヘリキャリアの設計に口を出し、S.H.I.E.L.D.の技術レベルを5年進めたと言われる程に様変わりさせてしまった。

天才と言わず何というのだろうか。

 

「信用できます。」

 

フューリーはその天才を程良く気に入っていた。

以前、彼にどうしてS.H.I.E.L.D.に入りたかったのかと聞いた事がある。その時、彼は「探している人がいる」と言った。だが、それなら研究部門でなくて良かった筈だ。私は疑問に思いそう聞いてみた。現に彼は未だその探している人の情報を掴んでいない。

だが、彼は笑ったのだ。

 

『俺の父は科学者でした。家にもろくに帰らず、仕事熱心な人でした。

……でも、俺はそんな父を尊敬してました。父に昔聞いた事あるんです。なんで科学者になったのって。

父さんは言ってました。『愛と平和』の為だって。そのために科学者になったんだって。だから、俺も『愛と平和』の為に抗おうと思ったんです。』

 

私は彼には戸籍も偽造した履歴も何もかも与えた。

彼がS.H.I.E.L.D.に留まってくれるために何でも与えた。

 

無論、先ほどお偉いさんに渡した資料も全て偽造済み。

 

フューリーにとって先程のお偉いさんとのやりとりは一蹴してしまう程にどうしようもない行為だったのだ。

 

『まぁ、良い。精々足を掬われぬ様にな。フューリー。』

 

「……それでは失礼します。」

 

そう言ってフューリーは通信機を切る。なんだか面倒臭いなと思っていると暫くして向かいのエレベーターが開いた。

 

「やっと来たか桐生。」

 

エレベーターの先にはジト目でこちらを見てくる男。

フード付きのトレンチコートの下に灰色のTシャツを着て、下に穴開きのジーパンを履いている男。桐生戦兎が立っていた。

 

「長官。俺、部長になっちゃいました。」

 

「分かっている。研究部長にしたのは私だからな。」

 

「ふざけんな、クソ眼帯。」

 

そう悪態を吐いた桐生は真っ直ぐにフューリーの前の椅子にふんぞり返った。

 

「で、挨拶って話でしたけど、何するんですか?靴でも舐めます?」

 

「いや、すまない。挨拶って言うのは建前だ。」

 

「建前?」

 

そう聞き返されるとフューリーは一枚の手紙をテーブルに差し出した。

 

「……なんです?これ。」

 

「スタークエキスポのVIP招待状だ。刺激にはなるだろう。行ってこい。」

 

「うわぁ〜、すっごぉ〜い。楽しみだなぁ〜。

で、何が目的です?」

 

「少し君の頭脳を借りたい。これは前報酬だ。」

 

ピッと戦兎にその手紙を差し出すととしばらくして観念した様に戦兎はそれを受け取って、ため息を吐いた。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

フューリーの執務室からエレベーターに乗り込む。四方八方ガラス張りの個室。別に高所恐怖症では無いので戦兎自身は気にはしないが、ここの職員で高所恐怖症の人が居たら地獄だろうななんて嘆息しながら、胸ポケットに手を突っ込んだ。

 

「……また頼むぞ。相棒」

 

胸ポケットから赤いボトルを取り出すと数瞬、カシャカシャと振り出す。赤いボトルの名前はラビットフルボトル、ウサギのエレメントを主成分に生成された物だ。

すると、少しずつ体が軽くなる錯覚ではない何かを感じた。

 

瞬間、ガシャンッ!となってはいけない様な音が響きエレベーターが止まった。

 

「…はぁ、早すぎだろ……ったく。」

 

別に想定してない訳ではない。むしろ想定してこのエレベーターに乗り込んだ。

背中が少しむず痒くなるのを感じながら更にフルボトルを振った。

 

ガシャ……

何かを引っ掛ける音と共にエレベーターの扉が開いた。

すると、数人の黒い服の男たちが銃を突きつけながらエレベーターに足を運んで来た。

 

「やぁ、桐生…戦兎くんだね。」

 

その数人の中の1人がそう戦兎に問いかけながら銃口を見せびらかす。

 

「少し話がしたくてね。彼も君も用心深そうだし、こうやって強硬手段に出た。許してくれ。」

 

そんな風に敵意がない様に言っているが銃口を見せつけている時点で誠意無しという物である。戦兎はカシャカシャ…とフルボトルを振るのを続ける。すると奴さん銃を突きつけなが苛立った様な声を上げた。

 

「その玩具を振るのを辞めてもらおうか。真剣な話がしたい。」

 

トリガーに指をかけ始める。多分、これ以上何かやったら撃ち殺すの意なのだろう。

 

「で、なんの様だ?」

 

「話は単純だよ。忠誠を誓って貰いたい。」

 

「俺、宗教とかやってないんだけど。」

 

そう問いかければ男は水戸黄門の印籠を取り出す様に手帳を見せつけた。

 

「ヒドラか。」

 

骨の下にタコの様な足が並んでいる赤いマーク。第二次大戦時の資料で見た事があるトレードマークだった。

 

「悪いけど興味ない。俺、平和主義者だし。悪の秘密結社とか展開としてはありきたり過ぎて…」

 

「そうか腰抜けが…死ね。」

 

そう言うと男達は引き金を引いた。

乾いた音とともに幾つもの鉛の球が戦兎に集中する。

だが、次になったのは肉に弾がめり込んだ音ではなかった。

 

パリンッ!パリンッ!ガシャンッ!!

 

硝子が割れる音だけがエレベーター内を包む。男達は思わず目を見開いた。

 

「おい!奴は何処へ行った!?さっきまで目の前に居たろう!?」

 

「分かりません!!一瞬で消えました!!」

 

「隅々まで探せ!!」

 

そう叫ぶと黒服の男達はエレベーター内の天井を開いたりし始める。

しかし居ない。それもその筈、こんな狭い敷地内に隠れる場所など全くない。仕方ないと諦めてエレベーターから出ようと振り返った瞬間。

 

「ギャッ!?」

 

1人の男は吹き飛んだ。

 

「なっ!?」

 

驚愕に目を見開くが、声を出す隙間も無く

 

「ぐぶっ!?」

 

「ガッ!?」

 

次々と吹き飛ばされる。

何が起きているんだと驚愕に包まられる中、いつの間にか男は1人になっていた。

 

「な、なんなんだ。」

 

「なんなんだと言われたら答えてあげるが世の中情け…ってな。」

 

瞬間、後ろから男の…戦兎の声が響いた。

すると、またカシャカシャと玩具を振る音が響き渡り始める。

 

「仮面ライダービルド。

作る、形成するって意味のビルドだ。以後お見知り置きを。」

 

そうして男の意識は裂かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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