スキルクリスタルシステム   作:ぱすたご

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#3 スキルクリスタルシステム解説講座その1

あの後、茂夫はアイゼスに引き連れられて、応接室と思わしき場所に来ていた。

 

応接室によくある弾力がいい椅子に座り、話を始めた。

 

「……というわけなんだ。」

 

本刃茂夫は異世界に転移してからこれまでの経緯をアイゼスに説明した。

 

「……ふーん。つまり、茂夫は別の世界から来た人間ってことだね。」

 

特に驚く様子もなく、相槌を返すアイゼス。

 

「あぁ。で、アイゼスさん。ここはどんな世界なの?」

 

「……どんな世界か……。君の話で出てきた魔法の世界と例えるのがわかりやすいかな。でも、好き勝手に魔法を使えるわけではないよ。なんていうか、んー、説明するより、見せたほうがわかりやすいよね。よーく、見てて。……《スキルクリスタルシステム起動》」

 

その瞬間、アイゼスの手はエメラルドグリーンの光につつまれた。気が付くと一枚のエメラルドグリーンの長方形の板がアイゼスの近くの空中で顕現していた。大きさはA4サイズほどだ。

 

「ほら。どう使うか考えてみなよ。」

 

アイゼスは茂夫に顕現させたプレートを手渡した。

 

渡されたプレートには横に3つ、縦に3つの計9つの正六角形を横に引き延ばしたような窪みがある。そして、9つの窪みのうち6つは表面が平らな水晶で埋まっていた。その表面には文字が書かれていた。ただ、何がかかれているかは茂夫には理解できなかった。

 

アイゼスの方を見ると、こちらの考えている様子をニマニマとした表情でみている。

 

「で、何かわかったかい?茂夫君。」

 

「うーん。この板についている水晶を使うことで魔法が使えるってこと?」

 

「半分正解、半分不正解ってとこかな。水晶を使うのは正解。魔法を使えるようになるのは不正解かな。そもそも、スキルクリスタルは魔法とは全く別物だね。効果付きの水晶を

自分のプレートに装備するだけで誰でも好きなスキルを使えるようになるのさ。まぁ、相性もあるから人によってスキルの出力は違うけどね。」

 

スキルが込められた水晶を使うことで誰でも好きな力を使うことができる力。なるほど、だからスキルクリスタルシステムって言うのか。もしかして、湖で気絶した時にオートパイロットって聞こえたのもスキルクリスタルシステムの力なのか。装備できる水晶の数は9つ。スキルの種類にもよるけど、無限の可能性がありそうだ。

 

「で、どうやったら使えるの?」

 

「そりゃ、こうやって腕を突き出してスキルクリスタルシステム起動!って叫べば出せるよ。」

 

その場でアチョーとカンフー風のポーズを取りながら片足を上げ、右腕を突き出すアイゼス。

 

「…………は?嘘だろ……。」

毎回、戦うたびにカンフーのポーズをとることを想像して、思考が停止する。

 

「…………ぷっ、あははははっ。嘘に決まっているじゃん。」

冗談を真に受けた茂夫の様子に耐え切れず、アイゼスは笑う。

 

「嘘かよ!」

一瞬本当かと思ってしまった。いきなり、冗談を入れてくるとは

恐るべき、元魔王の娘。

 

「茂夫は素直だね。片方の腕を突き出して、コールするだけで、プレートは出てくるよ。今度は本当だからね。」

 

「…………わかったよ。」

 

椅子から立つ。

右腕を突き出し、左腕は右腕に添えて固定する。

その勢いのまま叫ぶ。

 

「……スキルクリスタルシステム…………起動!!」

 

コールした瞬間、体の中心はほのかに熱を帯びる。沸き上がった熱は中心から腕を伸ばした手へと広がる。それと同時に赤色と鋼色の小さな光の粒が無数に手から出てきて、形が構成されていく。手から出てきた光の粒はアイゼスのエメラルドグリーンの色とは違って、赤と鋼の2色だった。次第に光の粒はプレートの形を作る。その数は1枚ではなく、2枚。徐々に光の強さが弱まると2枚の板が茂夫の周りに展開されていた。

 

「わお。まさか、本当に二枚起動しちゃうなんて。偶然じゃあ、なかったのか。」

信じられないといった様子で驚くアイゼス。

 

1枚も2枚もあんまり変わんないとおもうけどなぁ。そんなにか?

 

「2枚も出てくるって珍しいことなのか?」

 

「何言っているんだ。珍しいどころか、ありえないことだよ。普通、プレートは1人につき1枚。魂のコネクションが1人につき1枠しか許容できないからなんだけど……。茂夫……もしかして、二重人格とか?」

 

「そんなわけないだろ!でも、1枚から2枚に増やそうと思ったら新しいプレートを登録すればいいんじゃないのか?簡単な話。」

 

「それは無理だね。やろうとしても何も起きないよ。」

 

「だったら、僕がやったみたいに同時にやれば……」

 

「それもできないね。プレートはこの世界で生まれた時から己が体に備わっている唯一無二のものなんだ。だから、普通は1人につき1枚なんだよ。この世界の理に縛られていない別世界の人間なら不可能な話でもないんだけど……。」

 

うむむと考え込むアイゼス。

 

 

さてと、自分のプレートでも確認してみるか。どれどれ……

 

システム―《血之女王》(クイーンズ・ハート)

 

<鮮血演舞(ブラッド・ロンド)>

<鮮血骸装(ブラッド・リボーン)>

<鮮血操作(ブラッド・コントロール)>

<鮮血槍雨(ブラッド・レイン)>

<鮮血銃弾(ブラッド・バレット)>

<吸血(ブラッド・バイト)>

 

 

システム―《王之鴉》(キングス・レイヴン)

 

<大剣-黒鴉->

<短剣-白鴉->

<穿弓-八咫烏->

<灼熱穿(アポロンインパクト)>

<自動操縦(オートパイロット)>

 

 

ぱっと見た感じだと、赤色のプレートは血に関するスキルがメインなのはわかるけど……

二つ目の鋼色のプレートのスキルは武器に関するスキルってことでいいのかな?

…………わかんないや。アイゼスさんなら何か知っているのかもしれないな。

 

「…………もそも、同時にプレートを扱うなんて、相当な処理負荷がかかる。なのに活動に支障が見られないってことは実は人間じゃないとか??いやいや、茂夫の足を切断した時に匂った血は確かに人間の物だったんだけど…………」

 

アイゼスさんの方を見ると、どこから持ってきた本とにらめっこして、ぶつぶつ独り言をつぶやいていた。

 

「あのーアイゼスさん?」

 

「うわっっ。急に耳元で囁かないでよ。」

 

驚かせないように耳元で囁いたつもりだったが逆効果だったみたいだ。

 

「わるかったよ。でさ、僕のプレートのスキルについて何か知っていることあれば教えてほしいんだけど」

 

さて、アイゼスさんに色々と教えてもらおうかな。

 

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