クレヨンしんちゃん りゅうおうのおしごと! 名探偵コナン のんのん日和 嵐を呼ぶ死神のだらぶち日和   作:SOD

2 / 2
嵐を呼ぶえすけーぷ日和

 

 自己紹介を始めて三十分が経過した。

 

 「ふわあああああ〜〜。暇だゾー」

 

 しんのすけが大あくびをして床に寝そべる。

 特に何が起きる事もなく、モニターに映るこどおじの部屋は依然として食いかけのカップ麺の容器、飲みかけのコーラのペットポトル。部屋のあちらこちらに散乱しているティッシュ。そして壁一面を埋める物量のティッシュBOXの映像から変化しない。

 

 「まったく、勝手に連れてきておいてお茶の一つも出さないなんて教育がなっていませんなあ」

 

 「バーロー。オレたちは誘拐されたんだよ。お茶なんて出るわけねえだろ」

 

 「なんと! オラまた誘拐されたのか〜。マンネリ過ぎてそろそろ飽きたゾ」

 

 「誘拐がマンネリになるってどんな状況だよ。そもそもお前、5歳なんじゃねえのかよ」

 

 「そうそう。幼気な5歳児だって言うのに、気軽に誘拐しないで欲しいゾ。参っちゃうよねー」

 

 「あーはいはい……」

 

 コナンはしんのすけの言葉を5歳時の戯言としてスルーすることにした。当然と言えば当然である。

 しかし、そうなると結局誰もなにもやることが無い。暇を持て余すだけ。

 

 (どうすっかなぁこの状況。スマホは圏外で警察に連絡も出来ねえし窓も何もねえ。

 何か情報が欲しい……何か無いのか?)

 

 

 「アクション仮面やってないかな〜? れんちょん、れんちょん。ちょっとチャンネル変えるの手伝って〜」

 

 「アクション仮面ってなんなのん? ウチ、気になるんな!」

 

 しんのすけはモニターが地上波放送を受信していないかを試すべく、れんちょんを肩車してテレビを操作させる。

 

 「どう〜? チャンネル変わりそう〜?」

 

 「う〜ん……ボタンが無いのん。

 もしかしたら、上の方にあるのかも知れないのんな」

 

 「そっか〜それじゃあ届かないゾ……」

 

 5歳児と小1の身長では出来ることなど殆どなく、諦めるしかない。

 

 「どっかにリモコン落ちてないかな〜? 床に秘密の穴が開いてるとか〜」

 

 (そんなものが空いてても、こっち側から開けられねえようになってるだろうな……。

 

 ……まてよ、穴…………モニター…………そうか!)

 

 「モニターが有線なら、その先にコンセントプラグがある。無線なら中継器か、或いはすぐ近くにあの部屋があるはずじゃねえか!」

 

 コナンは腰に巻いているどこでもボール射出ベルトからサッカーボールを作り出し、愛用するキック力増強シューズを出力する。

 

 「うえっ!? こ、コナン君そのサッカーボールどこから出したの?」

 

 唐突に現れたサッカーボールに、それまで大人しくしていたあいが声を上げた。

 だがコナンはそれに答えることなく、サッカーボールをモニターに蹴り込んだ!

 

 「いっけえー!」

 

 ボンーー!!

 

 ボールはモニターに直撃し、蛍光灯が割れたような音と共に粉砕した。

 

 「おーコナン君……テレビを壊しちゃうなんて、過激だゾ」

 

 「もったいないんな。物は大切にするのん」

 

 「さあ、どうだ!?」

 

 プシューと音を立ててサッカーボールが萎むと共に、モニターが崩れ落ちて窪みの中が確認出来るようになった。

 そこにあったものは……。

 

 

 「何だこれ? 紙…………いや、詰将棋か?」

 

 「ーー!」

 

 19という数字と共に書かれた、将棋の盤面と持ち駒。どう見ても詰将棋だ。

 

 「これを解けば何か分かるってことなのか? おそらくは19手詰めってことだよな……」

 

 コナンが紙を見ながら頭を回転し始める。

 

 「コナン君、わたしにも見せて!」

 

 「え? ああ、はい」

 

 時間にして僅か10秒。しかしそれだけあれば記憶余裕なコナン君は、頭の中で将棋盤を用意して駒を動かし始める。

 

 だが……。

 

 (とんでもなく難解だぞコレ……どんだけ高度な詰将棋なんだよ。

 

 クソっ……マジで時間が掛かりそうだな)

 

 超高IQを誇る江戸川コナンこと、工藤新一。しかし、その頭脳を持ってしてもこの謎は総当たりで行くしかない。

 少なくとも、実際に将棋を指していてこの盤面にたどり着いたとしても、これが19詰めだと気付くことは出来ないだろうとコナンは思う。

 

 ガリガリと頭を掻きむしるコナン。その横では…………。

 

 

 「…………ん?」

 

 「こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう…………」

 

 頭の触覚をひょこひょこさせながら、文字通り目の色を変えた雛鶴あいが、詰将棋の謎を解いていた。

 

 「こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう、こう」

 

 「な、何だこの子……!? 恐ろしいほど集中してる……」

 

 「あ、あいちゃん……大丈夫……?」

 

 「取り憑かれてるみたいなんな……大丈夫なん? あいちゃん」

 

 「れんちょん、こういう時はソッとしておいた方が良いと思うゾ。

 

 鰆の上にタ・タンリ=ナンシーって、父ちゃんが言ってた」

 

 「それを言うなら、触らぬ神に祟りなしだろ……」

 

 しんのすけにツッコミつつも、なんかあいちゃんが怖いのか、コナンもちょっと離れたところで考えるのだった。

 

 「こうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこうこう」

 

 

 

 

 それから5分後。

 

 「……………………それにしても、これが解けたからって何が分かるんだろうな」

 

 半分くらい嫌になってきた所で、コナンは床に寝転がってしまった。

 

 「しんちゃ〜ん、捕まえてみるの〜ん」

 

 「アハハハ〜まてまてれんちょ〜ん」

 

 れんちょんとしんのすけは、そもそも解く気も無いらしく鬼ごっこに興じている。つかまえてごらんなさ〜い。

 

 「元気だねえ、幼稚園児と小学生は……」

 

 (それにしても、犯人は何のためにオレたちを集めたんだ? 世界の未来を憂いるとか言ってたが。

 それで小学生を誘拐する目的とは何だ?

 

 自己紹介で聞いた限りだと、オレたちに共通点はほぼ無い。

 住所ひとつ取ってもバラバラ。むしろそんなバラバラな所から攫ってきたんだから、目的の一つもない方がおかしいんだが………………)

 

 「あんなのが犯人だしなー…………」

 

 サッドマンは、今頃母ちゃんに折檻されているのだろうか。なんてことを考えていると…………。

 

 

 

 「ーーうん。解けたっ!」

 

 

 「なにっ!?」

 

 

 あいちゃんが答えを導き、集中モードを解除していた。

 

 「ホントにとけたのか!?」

 

 「うん。ちょっと時間が掛かっちゃったけどね。

 

 この詰将棋、どこかの対局の棋譜だったんだと思う。必要ない駒とかもあったから、少し時間が掛かっちゃった」

 

 「やっぱりそうなのか。

 

 なあ、詰みまでの棋譜を書いてもらえないか? もしかしたら脱出のヒントにーー!」

 

 

 

 

 「おお〜! 出口みぃーっけ!」

 「発見したのーん!」

 

 

 

 

 「「ーーえ?」」

 

 

 コナンとあいが振り返ると、床の一部が開いたのを囲ってバンザーイしているしんのすけとれんちょんが映った。

 

 

 「さてと、それじゃあ探検にに行きますか!」

 「出発なのーん!」

 

 「え? お、おいお前らちょっとまーー!!」

 

 待てと言う間もなく、床の下に中に飛び込んで行く二人。気持ちはとっくに冒険家だ。

 

 「私達も行こう、コナンくん! はぐれたら迷子になっちゃうかも!」

 

 「ああークソっ! 分かってるよ!」

 

 

 

 こうして、捕まった4人は何も面白くない部屋から脱出して、次のステージへ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。