ボクはもう一度剣士になる   作:抹茶アイス

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無限の無がいるのならば
絶対無敵の剣がいてもおかしくない。





プロローグ

 

 

 あの日、ボクは多くの大切な友達に看取られて15年の人生に幕を閉じた。

 他の人から見たら辛くて悲しくて、苦しい15年間だと言われることもあったけれど、ボクにとっては頑張って生きた大切な15年間。

 

 余命宣告を受けてからの数ヶ月は、沢山の友達も出来て、思い出も出来て、何より大切な人まで出来たし、見たかった景色も沢山見られた。

 だからボクは十分幸せだ、もう何も思い残すことは無い。

 

 そう思って、ボクは最後に目を瞑ったはずだったのだけれど、気付いたらボクはALOで最後に皆に看取られた時の装備のまま、全く知らない森の中にいた。

 

 

「…えっとー、ここは天国とかいう所なのかな?ボクの予想ではもう少し明るくて、ポカポカしてるんじゃないかと思ってたんだけど……」

 

 

 ポカポカどころか寒くて、今にも凍え死にそうな冬景色だし明るいどころか何なら真っ暗な夜の時間帯だ。

 確かにボクが死んだと思われる時間帯も夜だけれど、だからと言ってこんな場所は知らないし、まさかALOのバグだろうか?

 

 一度、手を振ってウィンドウを出そうと思うけれど出てこない。

 しかも少し身体を動かせば、VRMMO内では感じるはずのない腰に吊るしてる剣の重みを感じ、ボクは右頬を掴んで引っ張ってみる。

 

 

「痛い!…え?何で?」

 

 

 ALOの中ならば、ペインアブソーバーと呼ばれる痛覚遮断システムが機能されているはずなのに、頬を引っ張ったら痛みを感じた。

 何がどうなっているんだろう、ここはVRMMOの中じゃないのだろうか。

 ボク自身の置かれてる状況が分からなくて戸惑っていると、突然大きな音がして何かと思えば、少し離れた方から爆発が起きたのか雪が舞い上がっている。

 

 

「…何だかよく分かんないけど、気になるよね」

 

 

 念の為に愛剣である黒曜石の剣を抜き、爆発が起きた方へ走っていく。

 本当のボクの身体であれば、こんな風に走ることなんて困難なはずなのにALOのアバターのままの身体だからか、走る事は何の問題もないけれど走れば走るほどに身体は熱くなってくるからゲームの中だとは思えない。

 

 ひたすら走り続け、息がどんどん白くなって行くと、急に飛んできた殺気を感じてボクは驚きつつも、すぐに意識を切り替えて更に加速する。

 走っていけば、どうやら人型モンスターなのか恐らく武器と思われる鉄扇を両手に持ち、頭から血をかぶったような人と、ボロボロで血だらけなとても綺麗な黒髪をもったお姉さんの姿。

 

 そのお姉さんは今にも死んじゃいそうで、その鉄扇でお姉さんにダメージを与えようとしているのが見え、ボクは一気に加速して慣れた動きでソードスキルを発動させるために予備動作を発動すれば紫色に光るボクの愛剣。

 

 

「お姉さんから離れろー!!」

 

「へ?」

 

 

 ── ヴァーパル・ストライク

 

 

 お姉さんに斬りかかろうとした腕を狙ってソードスキルを発動すれば、その腕を斬ることが出来て、本来のボクでは無理だけれどALOのアバターのままならと思い、お姉さんを横抱きすれば簡単に運ぶことが出来てモンスターから距離をとる。

 

 

「お姉さん大丈夫!?」

 

「あなた…は……っ」

 

「ごめんね、ボクは魔法スペル全然覚えてないから回復してあげられないんだけど……」

 

「わぁ、速いね!でもだめだよ〜、ちゃんと頸を狙わないと」

 

「え、何で!?ボク斬ったはずなのに、てかモンスターが喋った!?」

 

「君よく分かんないけど、その格好はなんだい?寒くないのかい?」

 

「とっても寒いよ、だから温かいところに出来ればすぐに行きたいかな」

 

「ふーん、よく分かんないけど鬼殺隊じゃないのかな?その女の子を置いていってくれるなら逃がしてあげてもいいよ」

 

「……置いていく?お姉さんを?」

 

 

 ボクは今も腕に抱えてるお姉さんをちらりと見て、血だらけであることと息がしづらいことだけは見て分かるけれど、アスナ達のように魔法スペルを覚えてないボクは治す方法がない。

 

 ボクは出来るだけ優しくお姉さんを下ろして、ボクはそのお姉さんを立って守るように剣を地面に突き刺し、いつの日かの友人である黒の剣士──キリトのように笑って言ってやる。

 

 

「あいにく、ボクはこのお姉さんを置いていくつもりはないよ。ここから先は通行止めさ、お姉さんが欲しいならボクを倒してからにしてよ」

 

「…ふーん、かっこいいね、でも鬼殺隊じゃないなら俺の頸は切れないよ」

 

「そんなこと、やってみなきゃわからないよ」

 

 

 地面に刺した剣を抜き、クルクルと回して顔横に持ってきて構えれば、服の裾を弱く引っ張られた気がして、横目で確認すればお姉さんが口を必死に動かして何かを伝えてくれる。

 

 息を、吸うな。

 なるほどね、あのモンスターはこっちの呼吸に何かしらデバフを付けてくるモンスターらしい。

 お姉さんに分かったという意味を込めて頷き、ボクはすぐに地面を蹴り飛ばして身体に馴染んだ予備動作を計算に入れ、すぐにソードスキルを発動できるように剣技を加速させる。

 

 

「君、何者なんだい!?」

 

「ボクはただの剣士だよ!」

 

「それに日輪刀じゃないよね?」

 

「よくわかんないけど違うかなっ!」

 

「俺の邪魔をするなら少し本気でやるよ〜?」

 

 

 ── 血鬼術 蓮葉氷

 

 ── バーチカル・スクエア

 

 

 氷魔法だろうか、飛んでくると分かった瞬間にボクはすぐさま予備動作に切りかえて、垂直に四連撃放つソードスキルを発動させ、剣を斬り下ろして斬り下ろし、もう一度斬り上げて斬り下ろしで全てを相手の氷魔法にぶつける。

 

 キリトが前に魔法をソードスキルで斬っていたのを見て真似をしてみたけれど、ボクにはまだぶつけるぐらいしか出来なかったが何とか氷を相殺させてダメージを抑える。

 

 背中から太陽の陽射しを感じて、目の前のモンスターが急に慌て出すからボクはすぐに踏み込んで、ボクが作ったボクと託した親友だけが使えるボクの技を発動させる。

 

 

「うっそー、斬っちゃうの?」

 

「逃がさないよ!」

 

「本当に君何者なの!?」

 

「っ、はあああああああ!」

 

 

 ── マザーズ・ロザリオ

 

 右上から左下へ5連突き、左上から右下へ5連突き、中央へ突きをし、十字架を描くボクが作ったボクと大切な友達──アスナだけが使える11連撃のオリジナル・ソードスキル。

 

 でも、全てを打ち込んで間違いなく腕や胴にダメージが入っているはずだというのに目の前のモンスターは消えなくて、よく見れば頭上にはHPバーのようなものが存在しない。

 

 

「うーん、よくわかんないけど突き技じゃ俺を殺せないよ。まあでも朝日が昇って来ちゃったし、あの子を救いたかったけど仕方ないか。今度こそ俺が救済してあげるよ、菫色の剣士さんの君のこともね!」

 

 

 何だったんだろう、あのモンスター。

 めちゃくちゃ普通に喋ってくるし、ボクがどれだけソードスキルをぶつけても全然ダメージが減っていなかった。

 このゲームの世界だと、もしかしてソードスキルは発動出来ても効果が殆どないのだろうか。

 

 まだあのモンスターが何かしてきてもおかしくない、太陽が出始めてから急に態度が変わったから太陽が弱点なのかもしれないけれど、油断は出来ないなと思い、ボクは剣を鞘にしまわずに考え込もうとした瞬間、ボクはハッと思い出した。

 

 

「不味い、お姉さん!」

 

「……っ」

 

「お姉さん大丈夫!?」

 

「……えぇ…、っ、貴方は…?」

 

「ボクは大丈夫だよ!えっと、どうしよう、ボク回復魔法使えないんだ。お姉さんの仲間は?どこにいるの?」

 

「……っ」

 

「…ごめんね、お姉さん。揺れないように気を付けるけど、少し我慢してね」

 

 

 多分、凄く重傷だということはボクにも分かるから、お姉さんをもう一度横抱きして、お姉さんの刀も片手に持ってから走り出す。

 誰でもいいからこのお姉さんを助けられそうな人を見つけるか、回復ポイントみたいなところはないだろうか。

 

 そもそも、このお姉さんはプレイヤーじゃなくてNPCだったらどうしようなんて今更思ったけど、もしNPCならボクが抱き抱えて移動することは出来ないと結論づいて走り続ければ、前の方から女の子の声が聞こえてくる。

 

 

「姉さん…!」

 

「キミ!キミのお姉さんってこのお姉さんであってる!?」

 

「っ!?貴方いったい……って、姉さん!!」

 

「ボク、回復魔法のスペル覚えてなくて使えないからお姉さんを治せないんだ!どこに連れていけばいいの!?」

 

「あ、案内します!」

 

 

 ボクの服装とかで色々言いたそうなのを全部飲み込んでくれて、とにかく走り出してくれた妹さんらしき子に着いていけば、凄く立派な御屋敷が見えてきて、その子に案内されるがままにお姉さんを運ぶ。

 

 言われた場所にゆっくりと降ろせば、妹さんが処置をしようとしてるのかテキパキ動くけれど、いざとなると手が震えているのが見える。

 

 

「妹さん、ボクを見て!」

 

「っ!」

 

「この場でお姉さんを助けられるのは妹さんだけなんだ、ボクには出来ないから。大丈夫、妹さんなら出来る。お姉さんを助けられる」

 

「…っ!ありがとうございます」

 

 

 ボクがギュッとその震える手を掴んで言えば、妹さんの動揺していた瞳から不安は消えて、真っ直ぐにボクを見つめ返してくれたからきっと大丈夫だ。

 ここにいても何も出来ないからボクは部屋を出て、廊下に座って待っていることにしてボクはこの世界のことを考える。

 

 ボクは間違いなく、あの瞬間にHIVによって死んじゃったはずなのにどうしてこの場にいて息をしているんだろう。

 ソードスキルが使えるということは、ここはゲームの世界なのだろうか。

 でも、さっきのモンスターにHPバーはどこにも見当たらなかったし、ボクは頬を引っ張ったら感じるはずのない痛覚があった。

 

 暫く考え続けたけれど、久しぶりに全身でお日様の光なんて全身で浴びてるものだから眠くなってきてしまって、いつの間にかボクは眠ってしまったようで気付けば全く知らない天井でボクは布団の上。

 

 

「……ボク、もしかして夢見てるのかな」

 

「起きましたか?」

 

「うわぁ!?」

 

「ご、ごめんなさい」

 

「う、ううん。ごめんね、ボクも人様のお家で寝ちゃって。えっと、布団ありがとう」

 

「…いえ、すみません、私も気が動転してて」

 

「ううん、大切なお姉さんが大怪我したんだから当たり前だよ、お姉さんは大丈夫?」

 

「…はい、貴方のお陰で助けられました。ありがとうございました」

 

「そんな、ボクは運んだだけだから気にしないで」

 

「それでもです、上弦の鬼に生きて帰ってこれただけで本当に……っ」

 

「…そっか、どういたしまして」

 

 

 涙をポロポロ流しながら、ボクにずっと頭を下げてくるこの子を見てボクはこの世界がボクの知ってるゲームなんかじゃないのかもしれないと思えてくる。

 だって、こんなにもお姉さんの無事に安堵して泣いてるのにゲームという作られた世界だとはどうしてボクは思えない。

 

 震えて泣いてる子に何かしてあげたくて、強く握られてる手に触れてギュッと力を入れて包めば、ボクの手と自分の手に縋るように更に泣いてしまうお姉さん。

 きっと不安だったんだろう、大切な姉があんなにボロボロだったんだから。

 

 暫くその状態で過ごし、お姉さんが落ち着いた頃合いを見てボクは手を離せば、お姉さんも恥ずかしそうにだけど笑ってくれる。

 

 

「ねえ、お姉さん」

 

「は、はい」

 

「ボクの服装を見て何となく察してるかもしれないんだけど、ボクは今の時代に少し疎いんだ。今の元号って何かわかる?」

 

「大正です、最近変わったばかりなので私も慣れてないですけど」

 

「……ごめんね、ボクの聞き間違いかも。今なんて言った?」

 

「大正です」

 

「大正!?」

 

 

 ボクが生まれたのは平成。

 大正時代なんて何百年も前の時代じゃないか、そりゃお姉さん達が和装の格好をしてるわけだし、ボクの服装が現実世界でももちろん変な顔はされるけれど、お姉さんから見たら変な顔されるのも納得だ。

 

 いったいどうなってるんだろう。

 ボクは死んじゃってから、どんな原理かは分からないけど平成から大正時代に飛んでしまったって言うのだろうか。

 

 突然大きな声を出したのに黙り込んだボクにお姉さんも戸惑っていて、ボクはとりあえずお姉さん達にもう少しだけ詳しく聞く事にした。

 

 

「…ごめんね、大きな声出して」

 

「い、いえ」

 

「その、幾つか質問してもいいかな?まず、あの人型モンスターの事なんだけど」

 

「ひとがたもんすたー…?」

 

「えーっと、君のお姉さんが戦ってた相手って言うのかな?あれは人間じゃないよね…?」

 

「…あれは鬼と呼ばれるものです、元々は人で鬼舞辻無惨という鬼によって鬼にされました。太陽の光にあてる、または日輪刀と呼ばれる専用の刀で頸を斬れば死にますが、他の部位はいくら斬っても再生して死にません。鬼は夜に動き、人を食って生きる醜い生き物です」

 

「…そっか、だからボクが斬っても再生してたんだ」

 

「ここは、その鬼を殺すのが私たちの所属する鬼殺隊の治療所になっています」

 

「なるほど、そうだったんだ」

 

「…私からも質問していいですか?」

 

「うん、もちろん!」

 

「…貴方は鬼殺隊じゃないですよね?その不思議な格好と刀というか、武器を見る限り、只者じゃないとは思うんですが」

 

 

 聞かれると思っていた質問にボクはなんて答えるべきか考える。

 ボク自身もこの事態に理解出来ていない部分が多すぎて、何処からというか、そもそもどう説明したらいいのか分からなかった。

 

 どうしようかと考えていれば、外が騒がしくなってボクが外に意識を向けたのも、彼女に伝わったのか彼女も外を気にする。

 

 

「しのぶ様!!」

 

「アオイ?どうしたの」

 

「カナエ様が起きられました!」

 

「…うそ」

 

「お姉さん行こう!ボクの事は後で話すから!」

 

「は、はいっ」

 

 

 布団からガバッと立ち上がり、目の前の蝶のお姉さんの手を引っ張って立ち上がらせてから呼びに来てくれたアオイさんという子について行けば、そこには開きっぱなしの障子があって、そこに二人に続いてはいる。

 

 

「姉さん…!」

 

「…しのぶ、ごめんなさい。心配かけちゃったわね」

 

「っ、姉さん!!」

 

 

 あぁ、良かった。ボクは守れたんだ。

 しのぶと呼ばれたお姉さんは泣いて、ボクが運んだお姉さんを強く抱きしめているのを見て、ボクは嬉しくてニコニコしてしまう。

 やっぱり姉妹は揃っているべきだ、ここにいるのがボクの姉ちゃんだとしても同じことを思うだろう。

 

 呼びに来てくれたアオイさんや、他にも三姉妹らしき女の子たちが泣いてる中、ボクがいる障子のすぐ側に冷や汗を沢山流してる女の子がいてボクは不思議に思い、しゃがんで彼女の目を見る。

 冷や汗を流しているけれど感情は顔に出ていない、もしかしたらこの子は心の声が小さくて出せないのかもしれない。

 

 小さな頭を優しく撫でながら、ボクはしゃがむ位置を変えて、お姉さん達が見えるようにすれば女の子はボクの目を黙って見つめる。

 

 

「君のお姉さんは無事だよ。大丈夫、大丈夫」

 

「………。」

 

「心配だったよね、お姉さんのところに行っていいんだよ?」

 

「……。」

 

 

 キュッとボクの裾を掴んだから、ボクはまだ一人で行くのは厳しいのかなと察して、しのぶさんと呼ばれていたお姉さんのもとまで連れて行ってあげようと思い、黙り込んだままの女の子に手を伸ばす。

 

 

「ボクがお姉さんのところに連れて行ってあげるね、抱っこしてもいいかな?」

 

「……。」

 

「ありがとう、じゃあ少しだけごめんね」

 

 

 本当に小さくだけど、コクっと小さく頷いてくれた彼女に笑って返し、ボクはゆっくり持ち上げてから進み、左腕で女の子を抱えながら右手を離し、しのぶさんと呼ばれたお姉さんの肩を優しく叩けば涙いっぱいの顔と目が合う。

 そんな彼女に笑って、女の子を引き渡すようにお姉さんの前に移動させる。

 

 

「この子もね、不安がってたから連れてきちゃった。お姉さん、ボクの代わりに抱っこしてくれる?」

 

「っ!えぇ、ありがとう」

 

「カナヲにも心配かけちゃったわね、姉さんはもう大丈夫よ〜」

 

 

 キュッと弱々しいけれど、それでもしっかりカナヲと呼ばれた女の子がお姉さん達の服を掴んだのを見て、ボクはまた少し離れるように障子の傍に立つ。

 暫く、ボクはこの場にいるのも申し訳なくて、どうしようかなと悩み始めた頃に声をかけられ、ボクは別のことを考えていたから変な声が出る。

 

 

「あ、あの……」

 

「ひゃい!」

 

「ごめんなさい。姉さんの命の恩人なのに、ずっと」

 

「気にしないで!家族が無事だったんだもん、ボクよりも家族を優先して欲しいな」

 

「そんなわけにはいかないわ。初めまして、私は胡蝶カナエと言います。助けてくれて本当にありがとう」

 

「私からももう一度言わせて、姉さんを助けてくれて本当にありがとう。私は胡蝶しのぶです、貴方は…?」

 

「どういたしまして、お姉さんを助けられてよかったよ!ボクは……」

 

 

 ボクがボーッとしてる間に、小さな女の子たちがいなくなったのを見る限り、恐らくアオイさんと呼ばれていた子が先導して別の部屋に行ったんだろうなと予想する。

 多分、ここから話す内容はさっき言っていた鬼殺隊というものだから幼い子達には聞かせたくない話なんだろうな。

 

 自己紹介の流れとなり、ボクは思わず本名を言うべきなのか、アバターネームを言うべきなのか迷ってしまって言葉が詰まる。

 そんなボクにキョトンっとした顔を見せるしのぶさんとカナエさんを見て、やっぱりボクはここがゲームの世界だなんて思えなくて、ボクは首を横に軽く振ってから笑った。

 

 

「── ボクは木綿季、紺野木綿季です。よろしくね、しのぶさん、カナエさん」

 

 

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