この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
提督「……」
電「……」
大淀「……」
夕立「……ねぇ。三人は何してるの?」
島風「分かんない。でも私がここに来た時からずっとあんな顔してるの」
夕立「ふーん…」
提督「……足りないな」
電「足りないのです」
大淀「足りませんね」
三人「「「人手が」」」
提督「うちにいる艦娘。そして派遣される艦娘だけじゃやってくる人間捌ききれんぞ…」
電「入場制限をかけるのはどうですか?」
提督「ダメだ。もう応募は始まってる。ここで急に制限かけますじゃこっちの権威に関わる」
大淀「来場予定者数は当初の予定より1.8倍。約二倍です。これでは鎮守府が人で埋め尽くされます」
提督「というか鎮守府に人が入りきらん。物理的に無理だ」
電「うーん…もうちょっと会場を広げますか?それなら少しは分散されるかも」
提督「人はどうするんだよ。流石に広げた分だけ人を増やさない事には…」
電「なので深海棲艦さん達にお願いするのです」
提督・大淀「「…へ?」」
夕立「電ちゃんってたまにとんでもないこと言うよね」
島風「提督に似て来たよね~」
電「そこ、うるさいのです。というか二人は何執務室にいるんですか」
夕立「んー?提督にお昼ご飯作ってほしくって」
島風「提督の作るご飯、焦げが多いし雑で丁寧さの欠片もないけど、美味しいんだもん」
提督「……褒められてるんだろうか」
大淀「提督。現実から目をそらさないでください」
提督「…はぁ。分かったよ。とりあえず二人とも。人の件はここで話してもしょうがないから飯にしよう。ただ深海棲艦の件、真面目に考えていいかも知れん」
大淀「提督!?」
提督「というより、それしかないと思っててな。ぶっちゃけ鎮守府公開祭何て言ってるが、その実態は深海棲艦のいる鎮守府の公開。深海棲艦についてもっと詳しく知ってもらおうってのが今回の目的だし」
電 フフン
夕立「ご満悦っぽい」
島風「なんかほんとに提督に似てきたね。自分が正しいって言われると気分よくしちゃうとこ」
提督「やめて。それこっちにも刺さるから。というか全力で自分にぶっ刺さってるから」
電「司令官さん。ご飯は当然電にも作ってくれますよね?」
大淀「あ、私も食べたいです」
提督「お前ら…まぁいいか。時間ないから豚肉焼いた奴で良いか?」
電「味付けは?」
提督「みりん、砂糖、しょうゆ。他の栄養素は適当にサラダでも作ってもらえ。或いは作れ」
夕立「ご飯が進むメニューっぽい」
島風「提督の雑ご飯。結構美味しいんだよ」
大淀「それには同意します」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
提督「ほら、出来たぞ」
四人「いただきます」
レ級「いただきまーす!」
提督「いっぱい食えよ。レ級も」
レ級「いいって事よ!私と提督の仲だしなー!」
電(食べさせて貰ってる人のセリフじゃないと思うのです)
提督「そうだ。レ級、ウチで近々鎮守府の公開祭するんだが、アルバイトする気はないか?」
レ級「えっ!?バイトか!?やるやる!」
提督「よーし。ただ、ちょっとレ級一人だけじゃ足りなくてな。出来たらで良いんだが、人を集めてくれないか?多ければ多いほど助かるんだが。あ、出来れば100人以上欲しい」
大淀「…提督。流石にそれは」
レ級「ん?それくらいなら全然良いぞ?」モグモグ
大淀「良いんですか…?」
レ級「ああ。なんなら500人くらい呼べるぞ。私、こう見えても顔は広いんだ」
提督「100人で十分です」
島風(鎮守府乗っ取られる…)モグモグ
夕立(100人でも多いって…)モグモグ
電「ちなみにどんな方達まで呼べるのです?」
レ級「えーっと、お前らの海域のくくりで言うとするのなら、一部例外を除いて南方海域くらいまでの奴等だな」
提督「あぁ。うん。なんとなくそんな気はしてた」
レ級「それとさっき一部例外って言ったけど、それが自分の親代わりの人だったり、他の棲姫達だな」
提督「親代わりいるのか…あとせいきって姫の方?」
レ級「そうそう。それであってるぞ」
提督「……前からうすうす思ってたけどさ、お前って結構大事なポジションにいるよな」
レ級「ん?そうか?」ごちそうさまでした
電「……それ言ったら司令官さんも一般人とは思えないくらいの実績残してますよ」ごちそうさまでした
提督「レ級と俺を比べるのは何か変な気もするが……まぁ、そうか」
夕立「そういえば提督。天龍さんと龍田さんから連絡だよ。今出撃中の海域なんだけど、変なんだって」
提督「……おい。ちなみにその情報いつだ」
夕立「今。執務室に通信飛ばしても繋がらなかったから最近提督と一緒にいる私に飛ばしたんだって」
大淀「私か電ちゃんに飛ばしてくれれば良かったのに…」
夕立「多分二人が忙しいイメージしかないからじゃない?提督以上に二人が仕事してるイメージしかないからとか」
提督「……俺、提督なんだよな。ここで一番偉いんだよな…?」
島風「もー。落ち込んでないでサッサと報告聞いた方が良いんじゃないの」
夕立「とりあえず報告。深海棲艦から光によるモールス信号の受信あり。内容は『我、敵意ナシ』だって」
提督「……は?ちょっと待て。今天龍達が行ってるのは北方海域だぞ?攻略海域でか?」
夕立「今はビスマルクさんと愛宕さんが相手を警戒してるけど動いている気配なし。本当に敵意がないみたい」
提督「えぇ…?」チラッ
レ級「あー。そういえばそっちの奴等に今私世話になってるんだよな。私、住まいなしの風来坊みたいな奴でさ、拠点から拠点を移動して過ごしてるんだよ」
電(それはただのホームレスでは?)
大淀(住まいがあるからホームレスではなさそうですが…)
レ級「ちょうどいいや。ちょっと通信するから待っててくれ」
夕立「了解。天龍さんに伝えるね」
大淀「……今更ですが、レ級さんの前で秘匿にしなくてよかったんですかね」
提督「隠さないってのは信頼の証みたいなもんだ。止めなかったのはそういうことだ」
大淀「…なるほど」
提督(実は忘れてたって言えない)ダラダラ
電(あの顔は忘れてたのです)ジトーッ
レ級「……うん。あぁ、そうなのか?分かった分かった。ちょっと待っててくれ」
提督「どうした?」
レ級「えーっとな、お前らが公開祭するって聞いて参加したいんだと」
提督「……大淀。俺の耳がおかしくなったのかな」
大淀「奇遇ですね。私も同じく変になったみたいです」
電「お二人とも、それじゃあ三人一緒に耳が変になったみたいじゃないですか」
島風「三人とも酷いね」
夕立「現実逃避はやめるっぽい」
レ級「まぁ、うん。ついさっきまで海域開放のために命かけて戦ってきたのに、いきなり相手からイベントに参加したいって来たんだもんな。そりゃそうなるぞ」
島風「レ級…かしこいね」シミジミ
レ級「……島風も大概酷いぞ」
夕立「…提督。天龍が提督に代わりたいんだってさ」
提督「ん。おう。分かった。執務室移動すっから少し待てって言っといてくれ」
夕立「はいはーい」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
天龍『提督!聞いてるか!?』
提督『聞いてるって。うるさいなぁ…』
天龍『聞いてるんなら真面目に聞け!』
提督『うるせぇ…』
龍田『それで、提督?ホントにどうするの?』
提督『去る者追わず。来る者拒まず。目には目を。歯には歯を』
龍田『つまり敵意なしと言ってきてるのなら何もしないって事ね』
提督『モチコース★』
天龍『……カレー食ってる宇宙人みたいなこと言うなよ』
提督『んで、そいつらと直接話したいんだが、予備の通信機あるか?』
天龍『おう。渡せばいいんだな』
提督『…もうちょっと抵抗していいんだぞ。とりあえず渡すならビス〇に渡してくれ』
ビスマルク『誰がビ〇コよ!?』
龍田『はーい。壊さないでね~?』
ビスマルク改め〇スコ『ったく。ほら、壊さないでよ?』
ル級(フラグシップ)『アー、コチラノ声ハ聞コエテイルカ』
提督『聞こえている。日本語上手いな』
ル級(フラグシップ)『レ級様ニシゴカレテナ…ソレヨリ、其方デ行ウ公開祭ダガ、私達モ行ッテ良イダロウカ?』
提督『もちろん良いぞ。…なんて、言えたら良いんだがな。立場上、そうホイホイ許していい訳じゃないんだ。理由を教えてくれないか?』
ル級(フラグシップ)『……馬鹿馬鹿シイ話ダガナ。アノ人。モトイレ級様ガ余リニ地上ノ事ヲ楽シク話スモノダカラ、ソノ…』
提督『あー。あー。聞きたくねぇ。というか勘弁してくれ。俺どうやって報告したらいいんだ。深海棲艦がこっちの世界に興味持ちました。公開祭に呼んでいいですか?ってか?アホか!!罠だろボケナスって言われて撃たれる未来しか見えんわ!?』
ル級(フラグシップ)『ダガ大真面目ダ』
提督『そう言われましても……』
ル級(フラグシップ)『……正直、羨マシイヲ通リ越シテ辛イノダ。ピアスヲ開ケテミタト言ッテ戦艦ノパワーデグイグイ見セニ来タリ、スイーツニ囲マレテ幸セソウナ顔シテ食ベテル写真ヤ、遊園地デ遊ンデル写真ヲ大量ニ見セツケラレテルンダ。シカモ極メツケハ何処ノ誰トモ知ラナイ人間ニプレゼントヲ渡シタイト頬ヲ朱ニ染メナガラ聞キニクルレ級様ガ…』
提督『あー、深海ってそういうもの無さそうだものなぁ…』
ル級(フラグシップ)『後、深海ニハ男ガイナイ。正直レ級様ガリア充シテルノニ腹ガ立ツ』
提督『オスとか居ないのか…?』
ル級(フラグシップ)『魚ナライルゾ。ダガ犬ト一緒ニ住ム人間ハイテモ、犬ト結婚ハシナイダロウ?』
提督『む…確かに…流石に自分も犬と結婚した人間ってのは聞かないな。いても極少数だろうし』
ル級(フラグシップ)『トイウワケデ、私達モ男漁リシタイ』
提督『30過ぎた婚活待ったなしのアラサーみたいなこと言うなよ…ちょっと待ってろ。今確認してみるから』
ル級(フラグシップ)『アリガトウ…!』
提督(まるで心の奥底からひねり出したみたいな声で礼を言ってくるな…)
提督「なぁ皆。婚期を過ぎたアラサーの深海棲艦が公開祭に出たいって言ってるんだけど、どう思う?」
電「却下なのです」
大淀「鎮守府という場所は婚活会場ではございません」
夕立「いいんじゃない?敵意がないみたいだし」
島風「少なくとも男漁りしてるうちは平和に過ごすと思うよ」
電「失敗した時に暴れるかもしれませんよ」
島風「その時は提督を生贄に…」
提督「おいこら」
大淀「提督は渡しません。それよりも私としてはそんな事で深海棲艦が心変わりするとは思えないのですが」
レ級「あ、それなら毎日暇さえあれば聞かせてたし、そのたびにうんざりする顔しながら聞いてくれたから、そこそこ本気だと思うぞ」
大淀「鬼ですか貴女は…」
レ級「深海棲艦だ」ニカッ
提督「…だが、正直渡りに船だ。近海だけの奴等ならちょっと数というか、深海棲艦の種類が物足りないしな。何より、無血で海域開放出来る可能性があるのなら、正直しない手はない。リスクリターンで言えば、ぶっちゃけリターンがギリギリデカい」
島風「失敗した時は?」
提督「信頼失墜。鎮守府崩壊。人類ヤバい」
夕立「リスクが大きすぎるよ…」
提督「今更何を…というか南西諸島海域についても、まだ完全に開放したってわけじゃないんだ。そこを北方海域の奴等が少しでもこっちの陣地に率いられる可能性があるのなら、正直やらない手はない。もしかしたら先輩がそういうなら…的な感じで引き込めるかも知れないぞ」
電「深海棲艦に先輩後輩概念あるんでしょうか…」
レ級「あるぞ。ちなみに南西諸島海域は下から二つ目くらいの立場にいる」
大淀「……ホントに海域通りなんですね」
天龍『おーい、まだか。あちらさん暇してきてるのか、日焼け止め塗って海に寝転んで体焼いてるんだけど』
提督『自由か?まぁいい。とりあえず通信するわ』
大淀「ちょっ、本気ですか!?」
提督「まぁ、なるようになるだろ。いざとなれば元師にでも頼るさ」
大淀「……知りませんよ?」
ル級(フラグシップ)『ンン。終ワッタカ?』
提督『あぁ。とりあえず来て良いぞ。但し人は少なく。後チェックも厳しくする。申し訳ないが、それくらいは許容してくれ』
ル級(フラグシップ)『良シ…!ソノ返事ガ聞ケテ良カッタ!』
提督『……しかし気になるんだが、レ級ってどれくらいの規模で話をしてると思う?』
ル級(フラグシップ)『本人ニ聞ケバ良イジャナイカ』
提督『本人だけじゃ、周りの様子ってのは分かりづらい事もあるからな。っていうのは建前で、レ級本人が周りにどう思われてるか知りたい』
ル級(フラグシップ)『フーム…ト言ワレテモダナ。純粋ニ良イ人ダト思ウゾ。ソレハ恐ラク、オ前等人間カラシテモ良イ人ダト思ウガ。マァ、多少自分ノ好キガ暴走シガチナ人ダトハ思ウ』
提督『うーん。やっぱそうだよな』
レ級「なぁ、話はまだ続きそうか?」
提督「あ、すまんな」
提督『じゃあさっき話した通りだ。公開祭来いよ。開催の一週間前になったらこっちから声かけるから、レ級経由で合流場所、時間帯を教えてくれ。その時には人数をある程度絞ってくれてたら助かる』
ル級(フラグシップ)『任サレタ。信頼シテイルゾ』
提督『あぁ。あ、それと、公開祭に参加するのは良いんだが、もし万が一があっても、その時の状況によっては助けられないかも知れない。本当に申しわけないんだが、さすがに肩入れしすぎるとこっちもエライ目にあうんでな』
ル級(フラグシップ)『マァ、ダロウナ。仮ニ深海棲艦ガ同ジ事ヲシタ場合、人間ノ命マデ保証出来ルカト言エバ…ナ…』
提督『つうわけだ。天龍。お前等今日はもういい。しばらくはそこの海域の出撃もなしだ。鎮守府帰ってこーい』
天龍『お前さぁ…いや、まぁ、提督が決めた事だから別にいいんだけどよ…』
ビス〇『あぁ…また大淀の胃が心配になるわね』
大淀『仕事が増えました』
電『でも、こういう忙しさこそ求めてたものなのです』
天龍『…ま、否定はしねぇな。というか出来ねぇよ』
愛宕『提督~?私ちょっと、アッチの方と今度のお休みに買い物行ってきていいかしら?』
提督『仲深まるの早すぎんか。それは全然行ってきていいから、兎に角帰ってこい。報告待ってるからな』
愛宕『はいは~い。愛宕、ただいまより帰投しまーす♪』
天龍『…旗艦、俺なんだけどなぁ』
龍田『天龍ちゃ~ん。置いてっちゃうわよ~』
夕立「天龍さん、少しずつではあるけど不憫枠みたいになって来てるよね」
島風「ドラゴ〇ボールで言うところのヤ〇チャ枠みたいなね」
提督「本人聞いたら泣くからやめたれ…」
レ級「よーし。じゃあ話もまとまったみたいだし、私はそろそろ失礼するぞ」
提督「なんだ。もう帰るのか?」
レ級「あぁ。そろそろバイトの時間なんだ」
電「バイト…」
大淀「聞かなかったことにします」厄介ごとがこれ以上増えるのはゴメンです
提督「ん。何してるか知らんが気をつけてな」
レ級「おう!またな~!」ブンブン
島風「…提督。どうせ私今日暇だし、レ級のあとついて行っていい?」
夕立「あ、私も行きたい!」
提督「あー。まぁいいぞ。後で何があったか教えてくれ」
島風「はーい!行ってきまーす!」ドタドタ
夕立「レ級!ちょっと待ってー!」バタバタ
大淀「……提督。良いんですか?」
提督「良いんだよ。寧ろいい機会だ。もしレ級が参加してるバイトにアイツ等も参加出来るのなら、良い社会勉強になる」
大淀「楽観的ですね……」
電「……まぁ、あの二人は駆逐艦でも練度は既に50超え。そうそう簡単にやられる二人じゃないのです。今は報告を待ちましょう」
大淀「電ちゃんまで…」
提督「本気で止めない辺り、大淀も大丈夫だって思ってんだろ?」
大淀「……まぁ、はい。否定はしません」
提督「うし。じゃあ待つぞ。仕事の続きは……二人が帰ってきてからじゃ駄目?」
電・大淀「「駄目です」」
提督「ちぇー」