この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
提督「……」カリカリ
大淀「提督。失礼します」ガチャッ
提督「ん。大淀か。どうした?」
大淀「夕立ちゃんと島風ちゃんからの連絡です。『帰るの遅くなりそうだけど鎮守府公開祭には間に合わせるから!』とのことです」
提督「わざわざ声真似せんでも…まぁいいや。報告ありがとうな」
大淀「あ、それと夕立ちゃんが練度55になったらしいです」
提督「………え?」
大淀「先ほど通信が入りまして。帰ってきたら絶対に改二になるって息巻いてましたよ」
提督「アイツ確か52だったんだが…マジで言ってんの?どんだけ過酷なバイトしてんだ」
大淀「まぁ夕立ちゃんを行かせて一週間も経ってますし、流石に連戦に続く連戦で死線を何度も乗り越えたんでしょう」
提督「軽く言うな~お前。どうすんだよ。帰ってきたらター〇ネーターのシュ〇ル〇ェネッガーみたいに筋肉モリモリマッチョマンの変態みたいになって帰ってきたら」俺筋肉フェチじゃねぇよ。好きだけど
大淀「それを言うなら島風ちゃんも練度54になったと報告がありました。いよいよ電ちゃんの練度が抜かされそうですね」
提督「だってよ。電」チラッ
電「司令官さんは手を動かしてください」カリカリ
提督「…ウイッス」
大淀「ま、まぁ。練度が重要かって言われたら」
電「重要なのです。艦娘にとって練度は司令官さんとの信頼の高さを表す数値のようなもの。それで負けるわけにはいかないのです」LV57
大淀「…愛されてますね」
提督「ぶっちゃけ1週間で練度を53から57まで上げられるのは凄い通り越してもはや怖いわ。一体どんな訓練したらそこまで上がるんだよ」個人の訓練内容は一々把握してないぞ
電「ちょっと深海棲艦さん達にお手合わせ願っただけなのです」司令官さんがそれを出来たら尊敬しますよ
提督「……うわぁ。あとで菓子折り持ってくか」泣いていい?
大淀「……どおりでここ最近、ウチに来た深海棲艦がビクビクしてたわけですね」
提督「公開祭に向けての情報交換のためとはいえ、律儀に良く来るよなぁ」
電「ちゃんと修復材と資材を渡して回復はさせてるのですよ?ただ連続で行うだけで」
提督「それがこえぇんだよ。お前いっつも訓練から帰ってきたら汗をかいてても傷は一つもねえだろ。攻撃が当たらない相手から傷を癒してもう一回やれって言われるって、恐怖を超えて絶望だわ」
電「誉めても何も出ないのです」
提督「褒めとらんわ…何かあってからじゃ遅いんだぞ」
大淀「はいはい。お喋りはそれくらいにして仕事の続きしますよ。あと響ちゃんの事、そろそろ慰めてあげてくださいね」
提督「あー、うん。考えとくよ」
電・大淀「「……はぁ」」
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司令官から言われた言葉が頭から離れず、既に一週間が経った
司令官『なぁ。俺ってさ、そんなに出来る人間に思える?』
響『……えっ。怒ってないの?』
司令官『何が?』
響『いや、その、何もなかったら良いんだ。うん』
司令官『そうか。でさ、どう思う?』
響『うーん…まぁ、出来るかって言われると…うん。仕事遅いし、覚え悪いし、勉強が出来ないし、不器用。後はシンプルに頭が悪い』
司令官『お、おう…』
響『前から思ってたんだけど、司令官はよく自分の事を聞いて評価を確認してるのはなんでなの?』
司令官『そりゃ決まってるだろ。評価悪かったら俺だけじゃなくてお前等にも影響出るんだから』
響『でもそれは建前だよね?本音は?』
司令官『ぐ…ホント嫌な所で鋭いなお前。伊達に俺の情報抜いてないって事か』
響『えっ』
司令官『で、その疑問だけどな。単純な話、自己分析の為だよ』
響『自己分析…』
司令官『他人から見た自分。自分の知ってる自分。これは結構似てるようで似てないからな』
司令官『他人の話を聞いてて良く思うのがさ、頭の中で組み立てて自分が話してる内容と、それを聞いた相手が受け取る内容が違うってのが分かったんだ』
司令官『だから逐一お前等に聞いてる。お前等はどう思う?って』
響『……疑問視してる事は分かった。でも、今まで上手く言ってるじゃないか。さっき上げた私達にも影響が出るってのは鎮守府の評判なんかを考えての事だろう?』
司令官『それだ』
響『それ?』
司令官『俺はただの一言も鎮守府なんて言葉を使ってなかった。なのにも関わらず、お前は話が分かってるかのように繋げてくれる』
司令官『だから上手くいってる。コレがお前等以外の他人だった場合、途端に通じなくなる。だって何を指して話してるか分かんないんだもん』
響『……あ』
司令官『けどな。お前等は他人と話しても特に影響なく普通に話せるだろ?だからどうしてとか毎度思ってるんだが、お前等の話を聞いててもどうしてかが理解出来ん』
響『と言われても、司令官の事は良く知ってるし。今までどれだけ助けてもらえたか。それをフイにする位にどれだけ駄目だったか』
司令官『最後の一言いらんやろ…』
響『まぁ、でもさ。司令官が何を望んでるかは分からないよ。けど私達がそばにいる。それじゃ駄目なの?』
司令官『駄目だな』
響『……嘘でも良いって言ってほしかったよ』
司令官『お前らがそばにいる事と、俺の問題は全く別の話だ。お前らがこうして近くにいるのは、ここがお前らの居場所で外に帰る場所が無いだけだ。そしてそれは俺も同じこと』頭洗ってやるよ
響『……それ、他の皆には?』洗って
司令官『言ったかも知れんが忘れた。お前が気になってそうだから言っただけだ。或いはお前に言ったけど忘れたのかもな』ワシャワシャ
響『…もうちょっと右』
司令官『聞きたいこと、聞けたか』
響『…思った答えじゃなかった』
司令官『なんて答えてほしかった?』
響『……お前達がいるから問題ない。とか?』
司令官『俺がそんな事を言う人間に思えるか?』洗い流すぞー
響『いや。やっぱりないね』
司令官『分かってるじゃないか』
響『司令官が何度も一人でやろうとしてるのは見て知ってる。だからといって、さっきの答えは期待しすぎだったね』
司令官『お、おう…流石にそういわれるとちょっと俺も反省するわ…』
響『頭、次は私が洗うよ』
司令官『あぁ。そうしてくれ』
……あの時はああ言った。でも違う。そうじゃない。言いたかったことはそうじゃないんだ
響「……どうして、そんなに一人でいようとするのさ」
天井に向けて呟いた声は何も返さない。あるのは胸の中から湧いて出る、悲しさやイライラでもない言葉にするには難しいナニカ。それが今の私の心を満たしている
分からない。改めて思えば司令官はずっと一人でいる。いようとしている。それは分かっている。だけどただ一人でいるんじゃない
まるで違う場所にいるような、自分だけがそこにいないかのように、その場にいるという安心感が前より希薄になったと言えばいいのだろうか。或いは私達がそうさせてしまったのか。心当たりがありすぎてなんとも言えない
……また言葉が足りなくなっている。伝えたい言葉が何だか段々減ってきている気がする。何を言えばいいかわからずに頭の中であるせいだ
また思考が狭まっている。私の行動がまた一つと削れていく。私は一体何をしていたんだろうか
分からない。分からないんだ
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曙「……馬鹿じゃないの」
龍田「馬鹿ね」
提督「…なんで僕はツンデレと微ヤンデレに詰められてるの。しかも時間…」PM11:35
曙「心配してきてあげたんだからありがたく思いなさい」
提督「えぇ…」
龍田「でも、本当に心配してきたのよ。だから邪険にされるとお姉さん悲しいわ…」ヨヨヨ
提督「……還暦越え『何か言った?』何も!」
提督「……でもさ、心配されることないぞ。何か前もこんな事あったが、特に変わったことはない」
龍田「ウソ」
提督「…どうしてそう言えるんだよ」
龍田「提督の起床時間、以前は6時ピッタリに起きてたけど、最近は7時頃に体を起こしてる。軍服に着替えるのも以前と比べて遅くなってるし、疲労というよりは精神的な物だって、以前カウンセラーの先生に教えて貰ったわ」
提督「もう俺の起床時間が周知の事実なのは置いといてだ。それが何か問題でもあるか?」
曙「問題じゃない。大問題よ」
曙「アンタは提督なの。私達の総大将なのよ。それが調子を崩してる。しかも精神的な物だって分かったら当然心配するし、もし自殺でもされたら私達はこれからどうしたらいいか迷う羽目になる」
曙「アンタの為だけじゃない。私達全員に関わることだからこうして来てるの。そこは勘違いしないでよね」
提督「ツンデレの定番みたいな台詞を言うなぁ」
提督「…で、そこまでされて何だが、俺は別にどうこうする気はない」
曙「言うと思ったわ」
龍田「そうね。響ちゃんから聞いたとおりだわ」
提督「響?何かあったのか?」
龍田「提督は〜…うん。知っていて欲しかったわ」
曙「…クソ提督。アンタ、本気で言ってんの?」
提督「本気も何も、アイツが俺の話を聞いて悩んでるって事だろ?それくらいは知ってるが、それ以外で何かあったのかって事だ」
龍田「私たちが言ってるのはそれの事よ。提督は問題を他にあると考えすぎじゃないかしら?」
提督「いや。それで悩むってのが俺には分からん。ただ俺の考えを言っただけだぞ」
曙「それが壁作ってるみたく聴こえるのよ。今に始まった事じゃないのは分かってるけどね、いい加減にどうしてそんな事するか教えてくれて良いんじゃないの?」
提督「壁って…そんなの作ってるか?」
曙「えぇ?いや……あー、うん。分かった。そういうことね」
提督「ちょいちょい、一人で勝手に納得せんでくれ。龍田も頷いてないで」
曙「まずこれだけは言っておくわよ。クソ提督。今から聞くからしっかり答えなさい」
曙「アンタは自分の問題を他人が関わるもんじゃない。全体の問題じゃなく、自分の問題として考えてるわよね?」
提督「あ、あぁ。勿論」
曙「じゃあ聞くけど、例えば私が体調を崩して寝込んでるとするでしょ?その時、クソ提督ならどうするの?」
提督「そりゃ勿論見舞いに行くよ」
曙「そうよね。じゃあ私達が今こうやってクソ提督にわざわざ会いに来てるのは、それと同じだって言えるんじゃないの?」
提督「いや。それは違うだろ。俺のはあくまで精神的なもので、他人の介入があっても治るかは本人次第だ。仮に曙が精神的な物で倒れたとしたら、俺は自分で立ち直れる用に手伝う事しか出来ない」
龍田「提督。それが答えよ」
提督「はい?」
龍田「私達がここに来たのもそう。提督が自分で立ち直れる為の手伝いをしに来たの」
提督「…そういうことか」
曙「そうよ。だからアンタは『関係ない』……は?」
提督「俺の問題だ。お前等には関係ない」
曙「…っ!アンタねぇ!強情張るのもいい加減にしなさいよ!自分で言ってる事が矛盾してるって分かんないわけ!?」
提督「矛盾してるのはさっき話した事だけ切り取った場合だろ。そこに助けられる側の感情や心が入ってない。俺は誰かに頼って何かをするってのが大嫌いだ。だからしない。それだけだ」
龍田「…なら聞くけど、私達を戦わせるのは?深海棲艦と戦うための指揮官として、提督も前に出て戦いたいって気持ちがあるんじゃないの?」
提督「あるな。けど出来ない。それに現実的じゃない。だからそれについては我慢してる。気にしない様にしてる」
龍田「……したいのにやらないのね」
提督「やってどうなる。死体が一つ増えるだけだ。その死体は鎮守府の要となってる人間だ。それが死体になれば崩落する」
提督「やるべき事がある。それを無視してやっても良いが、無視出来ない何かがそこにある。無視をしたら無視した以上の後悔がやって来る。だからしない」
龍田「自分のやってる事、分かって言ってるのよね」
提督「分かってる。何が分かってるか聞いてみるか?」
龍田「……」
曙「…最低よ。アンタ」
提督「他人に価値を感じられないってわけじゃない。だけど他人には頼らないって、ガキの頃に決意したんだ」
曙「……決意」
龍田「…やめられないの」
提督「やめても良い。やめられるかも知れない方法なら幾つか考えてる」
龍田「じゃあ…!」
提督「1つは死ぬ程の痛みを感じる。心からもうしないと言いたくなる程のキツイやつだ。一回心が折れれば決意も連鎖的に折れて消える」
龍田「っ…」
提督「もう一つは頭を潰して作り直す。決意ってのは結局ソイツの頭が作った物でもある。今日までに今まで築き上げてきた価値観、思想、経験、記憶。他にも幾つかあるが、大抵はこの四つを消せれば決意は消える可能性がある」
曙「…出来るわけないじゃない」
提督「最後に別の決意を作る。それが出来れば苦労はしない」
曙「…なんでよ」
提督「心ン中にこびり付いてる。しかも俺の心は他人と比べて接着剤で引っ付けられたみたいな心をしてる。その接着剤は決意だ。だから出来ない」
曙「……出来ない理由挙げて、やらないだけじゃないの。アンタの言ってること、全部言い訳じゃない」
提督「知ってる」
曙「だったら『もうやってる』」
提督「変わろうとした。お前らと話して、触れ合って、向き合って、喧嘩して…色々やった」
提督「だけど変わらなかった。俺の心に波風を起こすことはあっても、根底から覆るような事は決して起こらなかった」
提督「自己分析として色々紙に書いたりもした。考えない日々は今日まで1日も欠かさなかった」
提督「けど変われないんだよ。変われなかったんだよ」
曙「……」
龍田「…じゃあ、医師にはいったの?」
提督「医者?」
龍田「提督のその考え。医者に相談でもしたの?」
提督「……絶対嫌だ」
龍田「なんで?変わろうととしたのよね?じゃあ専門家にその事を話すってのはするべきじゃないの?」
提督「中学の頃に医者じゃないが、別の病院や放課後に通う施設みたいなとこに行った事もある。そこで話したりしたが、人の話を聞かない。その一言で終わった」
龍田「事実じゃないの」
提督「……聞いた上で即効忘れる。或いは話に気付かない。話した内容が分からない。それを全部説明した上でこう言われたんだ」
提督「にも関わらず帰って来た答えは話を聞かないだ。改善しようとメモ取ったり、復唱したりしたにも関わらず、次に出る言葉はさっきとは別の話。原因は他にあるっての明確だろ。そう思いたいだけの人の話を聞かない人間だってのかも知れないがな」
龍田「…言い訳じゃない」
提督「事実だな。だから反論はしない。実際そうなんだから。言い訳は出来ない」
龍田「……」
提督「この世にはな、死んだ方が良い人間がいる。どうしようもないクズ。周りに乗っかることしか出来ない奴。存在だけで価値のない無能とかな」
提督「そういう奴等は死んだ方が良いと思ってるのが個人的な意見だ。名前すら知りたくないし、いた事すら記憶に欲しくない。ゴミとして覚える事すらお断りだ。少なくとも俺は他人にそういう無駄をさせたくない」
提督「ちょっと話が逸れたが、そんな奴等を詳しく分けていくと無能の中にたまにいる奴。事実を事実として成せない人間だ」
提督「そういう奴は事実だと分かっているにも関わらず、手を伸ばしても事実には決して到達しない。出来ても遠くから事実を見て事実であるように振るう事しか出来ない」
提督「周りの事実に話を合わせることは出来る。だが他人の持つ事実とは決して合わさることはない。何故なら到達した人間としなかった人間だからだ」
提督「そして俺は事実に届かない人間だ。だから他人と距離を置く。他人に合わせることはしないし出来ない。他人と合わないんだから当然の行動だ」ストレスしか産まないからな
提督「なにかして欲しいなら言えよ。改善でも何でも、いくらでもやってやる。たとえそれが四肢を折って目を潰し、治るまで監禁治療してやるって言うのならそれすらしてやる。それで直らなければ、さっき言った俺の言葉が事実って事だ」それをされても体は治る
龍田「……一つ、聞かせて」
提督「なんだ?」
龍田「……私達を助けて、今日まで一緒の事で笑って、時には泣いて、私達の行動に怒って…それをしてくれたのは何でなの?」
提督「……そんなの、決まってるだろ」
提督と思いたくない人「そうするものだって、知ってたからだよ」
曙・龍田「……!」