この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
ぶっちゃけ頭のネジが何本か外れてる状態で書き上げていたので、どこかしらおかしい部分があると思われます。
そんな私の小説ですがこういうものなのだと諦めて見て頂きたいです。そんな適当な所も許していただけると作者としては非常に有難いです
愛宕の夜
私は自身の痛みと戦う日々だった…怪我をしている部分がいつもひりつき、痛みで悶える日々だった。そんな日がしばらく続くと、いつの間にかひりつく感覚さえ無くなっていき、最終的には動かせなくなる…私はそんな日々にうんざりしていた
おかげでまともに体を動かせないし、声を出そうにもどうしても声が出せなかった…
だけど…今日、あの男の人がこの鎮守府にやってきた
とても不思議な人だった…男性なのに私達艦娘を嫌ったりしない。例え何かをされてもすぐさま罰を与えたりするのではなく、むしろ受け入れてくれていた…そして安心させてくれるような声で話してくれる…本当に不思議な人だった
彼が初めて執務室に訪れた時、かなりの惨状にびっくりしていた。その反応を見て驚いてしまった
私達艦娘は兵器である。建造すれば私達はいくらでも作り出せるし、入渠すれば傷なんてたちまち塞がってしまう。そんな私達を見て提督は『やはり兵器か…』と言葉を漏らすだけだった
…おそらく人と違う私達を見てそう漏らしたのだろう。そのせいで私達艦娘はまるで消耗品のように使われた。戦場へ向かい、戦果を上げれば何もされなかったが、上げることが出来なければ叩く、蹴るといった暴力行為が行われていた。一部の艦娘は慰めものにされていて、その時に心が壊れてしまった子や、男性を毛嫌いする子に提督という人を信じられなくなった子…様々な子達がいた
私もその中の一人で提督のお気に入りだったようだった。私達の顔は受け入れがたかったようだが、体は彼のタイプだったようで、私は常に慰めものとして使われていた
私も一人の女性だ。例え姿が醜くても無理矢理されるのは本当に苦痛で、そのたびに吐きそうになっていた。もし私が人質として確保されていなければこんなことをすることはなかっただろう…
そして私は艦隊の旗艦でもあったので、基本的に皆の戦意を上げるために明るく振舞っていた。それが逆に皆の気持ちを裏切ることになっていたとは知らなかったけどね…
ある日、私がいつも通り明るくふるまっていると、一人の艦娘が尋ねてきた
艦娘『なんで愛宕さんは、そんなに明るく振舞えるんだい?一番泣きたいのは愛宕さんじゃないの?』
愛宕『だって過去の事を考えても仕方ないじゃない。昔のことは全部忘れて今を楽しんで生きていかないと辛い事しかないでしょ?』
そういうとその艦娘は酷くさげすむような目でこちらを見ていた
艦娘『そうか…君には失望したよ。愛宕』
…なんで?なんでそんなことを言うの?私、何か間違えたことを言った?
その後その子は沈んでしまった…何とかその子の姉妹艦をかばうことは出来たのだけれど、それでもあの時言われたあの言葉がずっと心に突き刺さっており、今もよく考える
しかしこれだけは心に決めたことがある。過去のあの子が私に何を伝えたかったのはまだ分からない。だけどあの提督のような悪い人間から皆を守って、皆には楽しく生きていてほしい…そう決意した時でもあった
なので私は新しく来た彼を観察していた。理由としてはいくつかあるが、彼がどういった人間か見極める必要があった。もしあの優しさが嘘ならば私が皆を守らなければならないと思った。例え彼を殺すことになってでも…
初めて彼が中に入った時、手にいくつかの布を持っていた。話を聞くと高速修復剤を染み込ませた布のようで、それを動ける艦娘たちに配り皆を応急処置をしていった。だが彼は潮ちゃんに触れた途端、潮ちゃんが彼を拒絶したようでやめてしまった
…仕方ないといえば仕方ないのかも知れない。彼女は提督のお気に入りの一人だった
提督が慰めに使おうと潮ちゃんを呼んだのだが、彼女はこれを拒否した。これに憤慨した提督が彼女の体に向かって殴り、蹴りを入れられ悶える潮ちゃんを見てイライラを解消していたようだった
結局私と同じで無理矢理慰めものにされてしまっていて、その時の顔は忘れられない…結果として彼女は男性不信になってしまい、男性に対して信用が出来なくなってしまっているんだと思う
彼は気を使って外にでてくれたが、正直観察が出来なくなるので困ってしまった…
なので私は代わりに彼が連れてきたもう一人の子…電を観察することにした
あの子は同じ艦娘だけど…彼が連れてきた艦娘だ。同じ艦娘とはいえ警戒しておくに越したことはないけど結局杞憂だった
あの子は懸命に私達を治療してくれた。雷ちゃんの世話をするときにとても悲しそうな顔をしていたのを覚えている。おそらく以前ここにいた電ちゃんの事を知ってしまったのだろうが、それを知ってあんな顔が出来るのだからきっといい子なのだろうということはすぐに分かった
…彼についてきたあの子があんな顔をするんだもの。少しは期待してもいいのかしら?
ただ潮ちゃんが心配だった…何かやらかすんじゃないかとドキドキしてたわ…
そう思っていると島風ちゃんと潮ちゃんが提督の事で喧嘩をしだしたわ。しかもどんどん喧嘩が酷くなってきてて、龍田さんと天龍さんが止めてるけど中々収まらず…
そうすると最悪なタイミングで彼が帰ってきてしまった…彼の危険を感じた電ちゃんが咄嗟に止めるけど、間に合わずに入ってきてしまった
潮ちゃんの殺意むき出しの声が響き、砲弾が発射される…が幸いにも彼を素通りし、後ろの壁に激突したようだったが後ろの壁から飛び散る破片が彼を襲った。幸い彼がドアの前に立っていたおかげで私達には被害がなかったけど、彼は背中を怪我したようだった
普通の人なら殺されそうになった恐怖心で動けないはずなのにむしろ彼は笑っていた。…心なしか楽しそうな顔をして…
その後、彼は潮を捕まえたかと思いきや急にお尻を叩き始めた。その時の彼は愉悦の極みとでもいえそうな顔をして叩いていた…その姿に少しドキドキしながら見ていたけど…何を考えてるんだと自分に言い聞かせ、正気に戻った
潮ちゃんへの罰が終わると彼は私達の包帯を変えるように言ってきた。てっきり私達を治療するために彼もするのかと思ったらしなかったので驚いた。話の流れ的に彼もやると思っていたのに…
龍田さんが話を聞くと私達が女性で彼が男性だからだそうだ
確かに私達艦娘は醜いのでそんな私達の姿を見るのは精神的にきついのだろうと納得していた。しかし彼はそうじゃなかったらしく、むしろ私達が魅力的だから無理だと言ってきた
…訳が分からない。私達を見ても気持ち悪がらないどころか魅力的?こんな傷ついたボロボロの体なのに?こんなに醜いのに?
混乱しているとそのうち自分の話題になった
彼は私の姿を見てとても悲しそうな声を出していた。何故そのような声を出すのか理解が出来なかった…私達は兵器なのに何故そこまで悲しそうな声をするのか。この時点で私が彼に対して疑問に思う事自体が無駄な気がしてきたので、考えるのは諦めることにした
しばらくすると彼がご飯を持ってきた
知識では知っていたけど、実物を見たのは初めてだった。その匂いにつられてしまいつい声を出してしまった
愛宕『あ、貴女が…提督ね?』
そんな声をかけた私に向かってくるとかなり驚いた表情をしていた。しかしすぐさまはっとしたような表情をし、飯は食えるか?と聞いてきた
手が震えていたので駄目そうだと伝えると、彼が食べさせてくれることになった。しかし彼の分が見当たらなかったので、聞いてみると後で食べる、だそうだ
前提督は私達の前で食事をとるような人だったのに彼はそれをしない。むしろ分け与えてくれる…彼は前提督とは違うというのがはっきりと分かった瞬間だった
食べる時も常に私を気遣ってくれてとても嬉しかった…だけどここまで来ると、彼がどこまで許されるのかが気になってしまった
そこで私は飲み物を要求する振りをして、いつか同じ目にあった時用に仕込んでいたナイフを彼の首元に当てた。その時の彼の顔に怯えの表情はなかった…けど、彼が私を支える手が震えており、震える原因を作った私が思うのもあれだがとても可愛らしかったのを覚えている
そこでいくつかの質問をしたが、彼は真面目な声で答えてくれた
…内容はちょっとふざけてたけどね
最後の質問では私の…いえ、ここにいる艦娘達の希望ともなる事を聞いてみた
愛宕『…あなたは、私達を助けてくれますか?』
『当たり前だ』
そうしたら彼は考える素振りを見せることなく即答して見せた
とても強い目で私はその目を見て安心を覚えた。この人なら大丈夫だと。絶対に約束を違えることはないと思えた
この目を見たときからだろうか。少し彼に頼りたくなってしまった。今まで辛かった分甘えてみたいと思ってしまった。なので少し甘えながら食事を食べさせてもらったが、めんどくさがることなくやってくれた彼は”いい人”なのだろう
食べ終わった後も私達の健康を気にしてくれているのか、すぐに横にならないようにと言われた。理由としては『太るから』だそうだ
世間の男の人って太ってる女性がいいんじゃないのか?と疑問に思っていたので聞いてみた
すると偏見が酷いな。と言われてしまった。確かに決めつけはしましたけど…
そんな返答を聞いた電が女性なら誰でもいいのかと聞いていた。それを聞いて呆けたような声を出す彼。噂をしだす艦娘達…少し泣きそうな顔が可愛かったので今度はこちらが甘やかしてみようと思ったら拒否された。それを聞いた艦娘達がざわざわしたが、すぐさま誤解だと言った。話を聞くと私のスタイルが完璧だかららしいが、彼の最後にボソッと言ったのが本音だと私は思う
私は今までの彼の行動を振り返りどんな人物なのか推察するが、何ひとつ分からなかった
真面目な大人かと思えば、急に子供のように幼くなったりする…距離を詰めてきたかと思ったら急につき離す…もしかしたら彼の事は考えるだけ無駄なのかもしれない
だけど、彼が最後に起こした行動…あの抱っこだけは納得いかない…
急に持ち上げてきたと思ったら真面目な顔をして今後の動きについて説明しだしたのだ。しかも何かあった時用の通信機まで私を抱き上げているにも関わらず無駄のない動きで渡していくのを見て、なんだか腹が立ってきていた。彼が先ほど言ってた私のスタイルが完璧だとか言ってる言葉も今では嘘なのではと疑ってしまっている。ここまでドキドキさせておいてあれはずるいと思う。もし今度同じ目にあいそうになったら絶対に仕返ししてやるわ
でも…今日は無理そうだし寝てしまおう…いつか絶対に彼を恥ずかしめてやると心に決めながら…
龍田の夜
今日はホントに色々あった日だった…
一人の提督が視察に来た。彼がここに来たいきさつとしては、昨日執務室にあるモニターにとある二人が映った。それが今日ここに来た提督と艦娘だった
提督であるソイツは艦娘の駆逐艦と一緒にお風呂に入るような人間で、急に怒鳴りつけるような人間…それを見ただけで前提督がいたことを思い出していた。それは天龍ちゃんも同じようで見ててとても怒っていたのを記憶している
すぐに天龍ちゃんが大淀に指示して大本営に連絡を入れた。しばらく天龍ちゃんが話してたが、返ってきた連絡がここに着任する。ということだった
いとも簡単に映像のアイツがここの提督になってしまった。正直かなり怪しかったが、あの艦娘を救出するチャンスだ思った。今まで助けられなかった艦娘達の贖罪になると思って…
…前提督は最低な人間だった。彼の行動を見て私達は人間という種族を嫌っていったのだと思う
前提督が行った非道な出来事の数々…建造されてからたった数日で嫌という程分かってしまった
まず彼は無能だった。常に秘書官の大淀を傍に置き自分の手足のように使っていた。大淀はというと鎖をつけられており、まともに睡眠もとれていないのか目にクマをずっと作っていた
基本的に作戦も大淀から教えられるものばかりで、彼は何一つ作戦らしい作戦も立てず、ただ『出撃してこい』としか言わなかった。この時にあまりのいい加減さに切れてしまい、文句を言いに行こうと直談判しに行った時随伴艦の人に止められた
艦娘『やめてください…お願いします…姉妹が…姉妹が人質に取られてるんです。もし逆らえば解体されます。貴方みたいに逆らって解体されてきた艦娘を何人も見てきました…もう嫌なんです。目の前で誰かが死ぬのを見るのは…もう…』
とても悲しい目でそう訴える彼女の声は懇願してきた。悲しみや恐怖、憎悪をも込めたような声で…
流石にそれを聞いて無作為に突っ込むほど私は馬鹿じゃない。しかし、それを聞いて気分が悪くならない程汚い艦娘でもなかった私は、ぶつける先のない怒りを深海棲艦に向けて徹底的に飛ばしていた
しかしそれでも気分は良くならない。むしろ悪化までしてくる…
そんな事を続けていたある日、艦娘が沈んだ
彼女は私に向かって懇願してきた艦娘だった。そんな彼女が沈むときに言った言葉が今も驚きで忘れられない
艦娘『あぁ…やっと解放される…』
おそらく彼女は何度もあの司令官から暴力や慰めを受けてきたのだろう。とても安心しきった顔で沈んでいっていた。その光景を見て泣いて悲しんでいる者。無の表情で見つめる者。そして…その様子を羨ましそうに見ている艦娘がいた…
私はそれを見た瞬間酷く怒りを覚えた。憎悪と言ってもいいかもしれない
しかしそんな私を見た艦娘が止めてきた。やめてくれと、私達にこれ以上迷惑をかけないでくれと言われた
詳しい話を聞くと誰かが反抗したら連帯責任でその艦隊の姉妹艦が解体されてしまうらしい。しかし、誰かが沈んだだけならそいつが悪いと判断され、その姉妹艦のみが解体されるとのことだ
ならば今ここで私達が助かる選択を取る為にどうするべきか。答えは決まっていた
すぐさま旗艦の私が全員に撤退命令を出す。しかし、だけど、といった艦娘の子達がいたが、もう沈んでほしくないと説得すると、皆泣きながら了承してくれた
そして撤退が完了したと同時に報告をした。すると提督は『そうか。ならばお前らは来い。沈んだ艦娘がどれだけ罪深いことをしたのか教えてやる』といい、私達を工廠に連れて行った
そこで私は初めて艦娘が解体されるのを見た。その時の艦娘達の声が悲痛に木霊する…そんな時解体される艦娘が一人最後の反抗ともいえる声を出していた
艦娘『許さない…あなた達を…絶対に…!』
提督『ふっ、何も出来ない艦娘がどれだけ声を荒げても無駄無駄。大人しく資材になってしまえ、それがお前ら艦娘共が出来る最後のお詫びというものだ』
…本当に救えない人間なのだと思った。ここまで反吐が出そうな程の醜いものだとは思いもしなかった
艦娘に罪はない。悪いのは全てあんなことをするアイツが悪い。どこまでいっても自分勝手な人間が…全部…!
…でも本当に?
いや、そんなことはない!全部あの人間がやってきたことが悪いの!私達は悪くない!絶対に!
そう自分に言い聞かせてた。しかし、私にはどうしても解体される艦娘の言葉が頭を離れなかった…
もう二度とあんな悲劇を起こさない為にも、皆を守る為に天龍ちゃんと一緒に大淀さんが迎えに行く車にある仕掛けをした。しかし、これが絶対に成功するかと言えば確率は低いので、大淀さんを含めた作戦を伝えた
作戦としてはこうだ。まず車の助手席に画鋲を仕込む。そして痛みで飛び上がったところを頭上にある糸に頭が触れると糸が切れてナイフが飛ぶというものだった…結果だけで言うなら見事に駄目だったのだけれどね…
まぁ、この時の私はそんなことを知らない訳で…
結局見回りをしている時に謎の煙を浴びせられて、気づけば天龍ちゃんに甘えていたわ…
正直普段は強気の天龍ちゃんが私に押されてドキドキした顔になってたのは最高に可愛くってイタズラしちゃったけど…まぁ許してくれるわよね。天龍ちゃんだし
その後は島風ちゃんがいなくなって探し回ったら彼と出会ったのよね…
しかし、艦娘達に何かされる前にここで仕留めてしまおうと思ったのだけれど、あの時の煙の効果なのか体に力が全く入らなくなってしまった
力が抜けて座っていると天龍ちゃんが彼に向かって走っていったけど、天龍ちゃんは大破していて長らく放置されていたから急に体を動かすことに慣れていなかったのだと思う。ふらふらしながら彼に走っていくも、避けられて転ばされる始末…その時に天龍ちゃんの腕の中から剣がすっぽ抜けてしまい私に向かってきた
それを見たとき私は死ぬのだと理解した。いつもの調子なら槍を動かして弾くことも出来たのだろうが、ガスの影響で体に力が入らない状態だったので、そんなことは出来なかった…しかし電ちゃんが助けに来てくれて間一髪の所で助けてくれたの。あの時だけは小さい背中がとても頼もしく見えてかっこよかったわ
その後は合流した電ちゃんを何とかして彼から引き離そうと天龍ちゃんが電ちゃんを説得しようとしてたけど、私達が彼女は理不尽な目にあっている。というのは誤解なようだった
だけど天龍ちゃんがそれは認めたくなかったのかどうしても信じられなかったようだったけど、彼に諭されてしまった。私もそれを聞いて不服だったけど確かに間違ったことは言ってなかったわ…悔しいけどね…
なのでそれに乗っかる形で私も天龍ちゃんを諭す事にした。
…これは貴方の為じゃない。天龍ちゃんをあのクズみたいになってほしくないからだ。あんな自分勝手なやつなんかと…
その後は彼と一緒に執務室に向かったけど、その途中で彼に何故電を怒鳴ったのか聞いてみた。ある程度の理性を持ち合わせている彼が何故衝動的ともとれる行動をしたのか…興味が湧いたからだ
結論を言うと彼は否定しなかった。しかし反応を見るに衝動的ではあったが、なるべきしてなったわけではないのだと思う
…本当に彼が分からない。自身が望むことではないのだったら否定でもすればよいものを何故彼は言い訳をしないのか。なぜ自分に都合が悪いことを彼は受け入れてしまうのか。本当に分からない
そこで私は攻め方を変えてみることにした。私達と平気に関わる彼を見て変人だというのは理解できたが必ず目的があって関わってきているはず…それが何なのか分からないがその目的を暴ければ何かしらのボロを出すはずと考えた
しかし彼は特に理由がないと言ってきた。そこまでして隠したい目的なのだろうか?と疑問に思い更に攻めてみたが返ってきた返事が『美人だから』だというではないか
どう考えても何かを隠している…が、その後彼は世の中のモデルがブスだとか言い出した。グロいとまで言うとは思いもしなかったが…
ここまで答えてもらったはずなのにボロを一つも出さない彼を見て本心ではないのか?と思い始めたので、どんな所が美人なのか聞いてみた
もし本心からそう思っているならそれまでだが、本心ではない場合必ずどこかに嘘をつく癖のようなものが現れるはず…
絶対に彼は嘘をついている。必ず暴いて見せると思い聞いたのだが…本心だった
それが分かった時、馬鹿らしくなってどうでも良くなってしまった
この人は裏表がない人間なのだろう。もしくはひたすらに隠すのが上手なだけなのかもしれないが、私には見抜けそうにないので諦めた
その後は寝るその時まで基本的に彼の指示に従って動くことにした。一応私達の事を思いながら動いてくれてるようだしね。ならば嘘でも受け入れようじゃないか。たとえそれが甘い罠だとしても、今まで続いた地獄と比べればただひたすらにマシだ
その後は就寝する流れになったのだが、初めて使う布団に今までの苦労が溶けていくのを感じながら私は意識を手放したのだった
天龍の夜
今日奴が来た。忌々しい提督が、俺達をこんなにした奴と同類の人間が
奴が今日来ると知ったのは昨日のことだ。といっても昨日は存在を知ったばかりですぐに来ることになるとは思いもしなかったけどな
アイツの存在を知ったのが鎮守府の執務室に風呂の映像が流れ始めたのがきっかけだ
一人は電だとすぐに分かったが、もう一人の男が分からない。しかし、艦娘である電が映っている以上ただの一般人ではないことは容易に想像がついた
大淀に大本営に連絡を入れてもらい確認すると新しい提督だと言われた
天龍『…大本営はここの現状を分かってると知っていてこの映像を流したのか?』
と聞くと何のことだ?と、とぼけられた
…確かにとぼけるにしてもこんなおかしな映像を映す分けないもんな…とすると何かの事故か?
そう思うと今この状況はチャンスだと思った。現状を変えることが出来るし、大本営の弱味を握ったとこの時は思った
電話相手『もしかしてこちらで流れている映像がそちらでも流れているのかい?』
察しがいいな。こいつは話せるかもしれない…ていうかちょっと待て!なんでそっちでこの映像が流れてるんだよ!
あまりに疑問だったので聞いてみるとなんでも観察らしい。ビデオに映る奴が提督だと決まったのは二日前の事らしく、彼が艦娘と触れ合いどのような人間なのか観察するんだと
これを聞いたときふざけるな!って声を荒げたな
天龍『この艦娘を犠牲にしてそいつの人間性を知るのか?もしもこいつが腐っているやつだとすればこの艦娘は心に酷い傷を負うんだぞ!?』
提督になりたての人間をここまで必要以上に肩入れするのかが分からなかったからだ。分かりたくもなかった
そう聞くと相手は『気に入ったから』だそうだ
…本当に大本営は阿保なのかと、怒りを通り越して呆れてしまった。電話相手の対応もあまりに馴れ馴れしいしでうざったく思えてきた
しかし驚いたのはその後だった。電話相手の奴が急におかしなことを言い始めたからだ
電話相手『ならば君の所に彼を着任させようではないか。そうすれば君らは大本営から直々に支援を得られるし、おそらくそこにいるであろう傷ついた艦娘達を治すことが出来るのではないかね?』
天龍『…俺達に前提督がいたトラウマを掘り起こさせるつもりか?』
電話相手『それは彼の行動を見てから言ってほしい。彼の行動でもし何か問題があれば君らが引導を渡してやればいいだろう?』
…面白いじゃないか。もし蒸発した提督みたいに屑なら俺らの手でつぶすことが出来るし、今後被害を受ける艦娘も少しとはいえ減らすことが出来るだろう
天龍『…その話、乗った』
電話相手『よし。では君の名前と、所属を教えてくれ』
天龍『名前は天龍、艦娘だ。所属は蒸発したトラック鎮守府の艦娘だ』
電話相手『…よし、裏が取れた。では明日そいつをお前の所に寄こす。せいぜい彼を試してみるといいさ』
天龍『…場合によっては…いいんだな?それで俺達が罰されることはないと約束出来るか?』
電話相手『あぁ、約束しよう』
天龍『後悔するなよ?』
電話相手『ふふふ、後悔するのは私ではなく問題を起こした奴だろうがな。では通信を終了する』
天龍『あぁ』ブツッ
通信を終えた時歓喜に震えたよ。ようやく人間に復讐出来るんだってな
龍田や大淀と相談し、そいつがウチに来た時どうしようかなどの相談もした
しかし、もしもそいつが善人だったらどうするか?という話になった
…確かに電話のアイツには何か問題があれば引導を渡してやれと言われた。それはつまり問題が何もない人間ならやめておけ。ということだ
なのでそいつを大淀が呼びに行くときに一つ試してみようという話になった
内容は龍田が説明してくれてた。内容も良かったしこれでいこうという話になった。もし屑じゃなければ助けてやろうと話しあったのだが、龍田がそれを許さなかった…
龍田は誰よりも多く艦娘の最後を見たりしていたから、龍田の人間に対する恨みはよくわかる…が、それをしてしまえば俺らが前提督と同じになってしまう。その為、龍田に内緒で大淀にのみ屑じゃなければの話をすることにした。
天龍『大淀、龍田には内緒にしてほしいんだけどな、もし迎えに行くやつが屑じゃなければナイフが飛ぶ瞬間に手を引いて助けてやってくれ。なんだったら座る前に止めてもいいが、そこはお前に任せる』
大淀『…天龍さんはそれでいいのですか?』
天龍『…あぁ、もし無差別に人間を攻撃しようものなら俺達はあの提督と同じになっちまう。あんな屑に成り下がるわけにはいかないからな』
大淀『…分かりました。お任せください』
天龍『あぁ、頼んだぜ。大淀』
そして大淀が迎えに行った奴だが…生きていた
少なくとも大淀から見て屑ではない。ということが証明されたわけだ
その後はアイツと対面した時に自分なりに試してみようとしたが、龍田を襲ったのがこいつだと分かり、俺はこの時ばかりは試すとか関係なしに敵だと認識した
しかし大破していたせいでまともに体を動かしたことがなかった俺は、ふらふらしてしまってアイツに転ばされたんだよな…
手から剣がすっぽ抜けて龍田に向かって飛んでいくとき、俺はやるんじゃなかったと後悔した
俺が怒りに身を任せて攻撃しようとした結果こうなってしまったんだから…あの時は電が龍田を守ってくれたことによりなんとか事なきを得たんだが、もし電が間に合わなかったらと正直ゾッとする…
結局、自分の不甲斐なさやアイツを敵と思ってたこともあってつい感情的になっちまったが反省しないとな…
ま、アイツに諭されたのは腹が立つがそれでも電をダシに使うのは許せねぇな…電に龍田を助けられたのは事実だし電も艦娘だから信用しない理由にはならないがそれを利用するのはずりいよ…
…やっぱり腹が立つ。アイツが妙にほくそえんでる気がして腹が立つ!
決めた、アイツは敵だ。だが艦娘の敵じゃない。あくまで人間の敵として見てやる
アイツを徹底的に人間の敵として見て、人間が本当に悪か見極めてやるよ。もし俺の考えが間違いならアイツ以外の人間を悪だとは見ないようにしてやる
だから…俺らの提督でいてくれよ。お前は人間の敵として見ていたいんだ。勝手に変な事をして俺の手で引導を渡すことをさせないでくれよ…
しかし飯は美味かったんだよな…シンプルなうどんだったのに妙に美味く感じたのはなんだったんだ?全員食べてたが誰も不味そうな顔してなかったし、むしろ喜んでた位だ。あの潮でさえも素直に飯を食ってたし飯の時くらいは味方として見てやるか…
…決して餌づけされたわけじゃないからな!勘違いするなよ!