この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
やること多すぎてこっちにまで気を回せないし、かといってこっちに集中すると仕事出来ないしで大変ですが、一応話は貯めながら作れてるので、おそらく失踪することはまだないです
ちなみに数年放置して初めてイベントをしましたが、平均レベル28くらいでも最低難易度なら姫を混乱までに持っていけるのに驚きでした。ついでに初めて入渠で4桁近い資材を消費しました。泣きそう
次の日の朝、私は深海棲艦達に見送られながら、元師の部下である艦娘と憲兵隊と共に大本営に向かっていた
初めて私の姿をみた憲兵は困惑していたが、手錠をつけて逃げないように拘束しろ。自身の務めを果たせ。と言うとすぐさまその通りにしてくれた。ちなみに全員女性だったのだが、全員美人で正直かなりこう…ドキドキした。体が縮んでるのもあって、目の保養にはなった。これならしばらくの営倉も乗り切れると思う
元師「提督、お前に一週間の営倉行きを命じる!何か申し開きがあれば聞くが?」
「いえ、ございません」
元師「…分かった」
「…元師。こんな私が聞くのも何ですが、彼女たちは…皆はどうなってますか?」
元師「現在大淀が運営している。貴様が戻ったとしてもアイツ頼みになるのは否めん。その為営倉にいる間は執務の勉強でもしておけ。大淀以外も元気…とまではいかない雰囲気だが、怪我は完治している。夕立もつい昨日少し明るくなったように見受けるが…ま、私の知った事ではないな」
「それだけ知れれば十分です。ありがとうございます」
元師「…ついでだ。お前には一日に一度面会を設けている。相手は誰かは分からんが様々な人間が来るだろう。艦娘も来れるから暇つぶしや現状の報告とかをしてもらえ」
「…そこまで私に肩入れしてもらって良いのでしょうか?」
元師「私は子供を無意味に傷つける趣味はない。何故姿が変わったかは妖精から聞いたが、見た目は子供なんだ。そんな奴を厳しく罰したら海軍のイメージダウンに繋がってしまうからな。ただそれだけの理由だ」
「…そうですか。随分変な事気にするんですね」
元師「貴様が私の立場じゃないからそんなことが言えるんだ。上に立つというのは色々大変なんだぞ?」
「…お疲れ様です」
憲兵隊「元師、そろそろ…」
元師「すまん、待たせたな。連れていけ!」
憲兵「提督殿、一つ聞きたいのですが良いでしょうか?」
「今の私は営倉にぶち込まれる愚かな提督です。かしこまらなくていいですよ」
憲兵「…貴方はあの鎮守府の提督だと聞きました。営倉行きとなった艦娘達に恨みなどはないのですか?」
「無いですね」
憲兵「それはまたどうして?」
「ただ私の提督としての能力が、提督としての責任がなかったことから起こった不祥事です。しかも責任を負うべき提督が行方不明になりました。これでは私は前の提督と同じです。負うべき責任を放棄し、何もかもを捨てて逃げるソイツと同じになるのが耐えられない…ただそれだけの理由ですよ」
憲兵「…変わってますね、貴方は。まだ幼い子供なのに」
「こう見えて19です。しかも提督という立場についてる私ですから、決して見た目で判断しないでいただきたい。罰の方も同じく営倉行きとなった者たちと同じ罰をお願いします」
憲兵「…分かりました。ではそのように」
「ありがとうございます」
憲兵「僭越ながら提督殿に一つ助言をさせていただきます。何も責任の取り方は提示された罰を受けるだけではないのです。どうかそのことを覚えておいてください」
「…忠告感謝します」
憲兵「ははは、律儀な人ですね。と、ここです」
そういうと憲兵に連れられ営倉に入ることになった。コンクリートの部屋に小さな窓。しきりに囲まれたトイレに床に敷かれたカーペット。おそらくこれが寝床なのだろう
幸いにも綺麗に掃除されているので埃が一つもないのが救いだろう
憲兵「では、私はこれで。巡回で警備の者が回ってきますが、何かあればその者に声を掛けてください」
「色々とありがとうございます」
憲兵「…提督殿。どうか心が折れないよう頑張ってください。これは私の本心からの心配と応援です」
そういうと憲兵は立ち去って行った。かなり不安はあるが、正直さっきの一言でちょっとビビってるのは内緒だ
一日目
憲兵が気を聞かせてくれて手帳を持ってきてくれた。何でも提督としての勉強を一切してない僕に使わせるようにとの元師の指示らしい。しかし一部は好きなようにしてよいらしいので、日記にでも使ってみようと思う
ちなみに営倉での刑期は一週間らしく、それまでに執務が出来る程度には勉強させられるらしい。しかし戦術に関することは教えてもらえられず、曰く艦娘に任せておけばよいとの事らしい。なんでも艦娘達は元軍艦なので、ある程度の戦術は記憶しているとのことなので、新米提督はすぐには覚える必要はないのだという。しかし覚えなくてもよいというわけではないので、いずれ覚えることになるとのことだ
さて肝心の営倉での生活だが、基本的には一日の半分が勉強、その合間に休憩や食事の時間といった予定だ
流石に着任してすぐに営倉行きになったのでこのような処置らしい。そして一日中、見張りとして人がやってくるようだ。正直提督の勉強なんて一つもしたことないから助かったとは言えないので日記だけに書いておこう
勉強だけだと退屈だとの元師の意向により、暇つぶしの道具がいくつか入った段ボールが送られてきたのだが…
中身
・酒
・どんぐり
・トランプ
・ジェンガ
・折り紙セット(数枚使用済み)
・こ○亀全巻セット
ナニコレ?色々言いたい事あるんだけどまず初めに何これ?なんで酒が入ってるの?僕飲めないよ?見た目的にも、年齢的にも
そしてどんぐりって何!?ちょっと大きめのゆきかぜって名前が書かれたのがあるんだけど?これ何?建造せずにただただ資材が消えていった俺への当てつけか?
それにトランプにジェンガって…まともなのこれしかないだろ。一人で遊べる玩具の代名詞だからありがたいけどさ
折り紙もいくつか使われてるのか中身ちょっと少ないし…ピンクとか殆どないじゃん。これ絶対どこかの艦娘が遊んでたの持ってきただけでしょ。その子もその子でなんであげちゃったのさ
最後に関してはありがたいけど重いわ!暇つぶしの道具には一番向いてるよ?なんならこれ見てるだけで一週間余裕で消えるわ。でも、だからといって営倉行きになった人間に渡すものではないだろうに…持ってこられた以上読むけどさ
結局物の整理などをしてたら食事の時間になった。食事を持ってきた憲兵…ではなく艦娘が海軍の人間とは思えない服(へそ出しバニー服)を着ていた。普通はこんな姿を見ることは出来ないので聞いてみたが、それに対して質問すると返ってきた答えが
艦娘「これは罰なのよ。男性は私達のようなスタイルでこの格好を見ると不快感や酷い嫌悪感を与える為と聞いたからね。どう気分の程は?」
「最高です。特にへそ出しが良い」
艦娘「は、はぁ!?あ、貴方本気!?普段の恰好でも見た目で婚活に失敗したりするのに貴方頭大丈夫!?」
…多分見た目もあるんだろうけど、ちょっとグイグイ来るアラサー臭がする人は、多分地雷だとでも思われてるんじゃないでしょうか?なんて言おうものなら粉々にされそうなので黙っておく
「まぁ…その、なんだ。時代が悪かった。それだけです」
艦娘「…私ってそんなに酷い?」
「いえ、むしろ美人ですしスタイル良いですから見た目はいいですよ。見た目は」
艦娘「じゃあ何で婚活に失敗しまくるのよぉ…私達艦娘だって結婚して幸せになりたいのよ~!」
「ま、まぁまぁ、艦娘の将来を考えるのも私達提督の役目ですから。艦娘の皆さんは今を解決する事だけを考えてください。その後の事は私達の仕事です」
艦娘「ぐすっ…それって貴方が貰ってくれるって事?」
「ノーコメントで」
艦娘「う、うぅ~!やっぱり私なんて…私なんてぇ…」
めんどくさい…この人ホントは酒飲んでんじゃないのか?クソだるいんだけど
「まぁまぁ、これでも飲んでください。少しだけなら誰にもバレませんって」っ酒
艦娘「これウォッカじゃない!こんなに強いの飲めって言うの!?こんなの飲んだらバレるわよ!」※ウォッカは一番高いので96度、低いので37度程あります
あれウォッカかよ!どうりで蓋してても匂うはずだわ!
「ちょっとだけなら大丈夫ですって。今日一日は僕の相手するんですから。どうせ僕しか分からないですし大丈夫ですよ」
嘘です。都合よく処理できる都合のいい艦娘が来たからという理由ではありません!決して!面白そうだとか、懐柔しておけば便利になりそうだとは微塵も思っていません!
艦娘「…それもそうね。なら折角だしお酌してくれない?コップはここにあるから」
「はい。喜んで」
艦娘「意外ね。そんなに素直にしてくれるなんて」
「嫌がるとでも思いました?」
艦娘「ええ、でも貴方はそんな素振りを見せないじゃない。はっきりいって変わってるわ」
「ただ酒を飲むのに嫌がるも何もないでしょう。それにこういうのしたこと無かったので、ちょっとドキドキします」
艦娘「ふ~ん…あ、もういいわよ」
そういうと、コップを上に掲げて一気に飲み干してしまった。度数を見ても45はあるのだが…
艦娘「おぉ…やっぱり強いわね…ホラ、アンタも飲みなさいよ」
「未成年なんで無理です」
艦娘「連れないわねぇ…あ、そういえばご飯持って来たんだった。今食べる?」
「食べます」
艦娘「は~い、持ってくるからちょっと待っててね」
そうして艦娘の持ってきた食事はカレーの上に山盛りのカツがドンと乗っていた。アニメや漫画では似たようなのは見たことあるが、カツの山盛りは見たことないぞ…
「あの…ところでこのカツの山は一体何なのでしょう?」
艦娘「あぁ、貴方新米提督らしいじゃない?一日の半分が勉強漬けだと聞いてね。そんなのに負けないようにカツで力を出してもらおうと思ってね?揚げ物は嫌いだった?」
「いえ、そうではないのですが…こんなに豪勢な食事を頂いて良いのでしょうか?」
艦娘「良いんじゃない?私がこれを作った時に何にも言われなかったしね。姉妹たちには止められたけど」
「な、なるほど…」
艦娘「さ、そんなことはいいわ。私に感謝しながら食べなさいよ?私は貴方を応援してるんだからね!」
「…ありがとうございます。いただきます」
その時食べたカツはとても美味しくて、とても重かった
二日目
今日は僕の鎮守府にいる艦娘達が面会に来てくれた。代表として龍田と夕立と島風が来てくれたようだ。出会って開口一番に夕立から謝罪された。慰めようとしたが龍田に首を振られたので素直に受け入れておけという意味だと思い、素直に謝罪を受け取った
島風から今までどうしてたかを聞かれたので、今までの経緯を説明しようと思ったが、流石に深海棲艦達の事を伝えると皆が戦闘しづらくなると思い、見知らぬ場所でしばらく気絶しており気づいたらここにいた。ということにしておいた。龍田は納得できない顔をしていたが、こちらの事情を察してくれたのか特になにも言わなくなった
体の事も聞かれたが、そこは僕も分からないので素直に知らないとだけ伝えておいた。しかしこの体になってわかることだが、身長が夕立や島風よりやや小さいレベルなので目のやり場に困ったのは言うまでもなかった
その後時間になったので面会は終了したが、その時の島風の顔が泣きそうな顔をしていたので、つい声を出しそうになったが、これも龍田が察してくれたのか島風を慰めてくれた。正直何と声を掛ければいいのか分からなかったので正直助かった
ちなみに龍田たちからは鎮守府の現状を聞いたのだが、現在は大淀が運営をしており、出撃は行わず、遠征で資材を貯めているらしい。その他にも生活を潤わせるのが目的として動いているらしく、すくなくとも前いた所よりかは綺麗になっているようだった。妖精達もしっかりと働いてくれているようで、どうやら離れただけじゃ妖精は動けなくなるという仮説は消えたわけだ
しかしどうにも動いてほしい方向に動いている気がするが、多分元師訪問の前日に書いた準備が上手くいっていると考えていいだろう。さながらドミノ倒しのようだが、何らかの横やりが入らない限り大丈夫
その日の食事はまた別の艦娘だったが、今度はちゃんとした制服でその服装から妙高型だというのが分かった。おそらく前来た彼女も同じ妙高型だろうと推測するので聞いてみることにした
「すまない、聞きたいことがあるんだ「貴様と話すことはない」…そうですか」
フラれたか…まぁ当然と言えば当然なのだけど、やっぱりショックだな…
艦娘「…おい、貴様。服はどうした」
「あ、これ?流石に暑かったから脱いだんだけどダメだった?」※8月初旬 室内温度34度
艦娘「と、当然だ。服装の乱れは心の乱れ、しっかりとしないならば反省意志がないと上に報告させてもらうが?」
「勘弁してください。すぐに着るんでそれだけは…」
艦娘「わ、分かればいい…とりあえず飯だ。それを食べたら私が直々に教えるから早く食べてしまえ」
「え?今回は違う勉強ですか?」
艦娘「あぁ、今回は戦術について教えるようにと元師直々の指示だ。厳しくいくから弱音は吐くなよ!」
「…頑張ります」
艦娘「声が小さい!そんなので提督が務まると思うのか!?」
「す、すいません!」
すぐさま謝ったがその時の顔が妙に赤くなっていたのを僕は見逃さなかった。ちょっとあれな人なのかも知れないが気のせいだということにしておいた
結論から言うとかなりヤバい。色々な意味でとにかくやばい。彼女が元々真面目なのもあってかなりの戦術を教え込もうとしたのだが、その中でもほとんどを覚える事が出来ず、呆れられるほど物覚えが悪い奴だと言われてしまった。なので指向を変えて体を動かすことになった。正直なぜこんなことをするのか疑問だったので聞いてみたが…結論から言えば脳筋の発想だった
「教官。質問なのですが、何故私は技をかけられているのでしょう?」
艦娘「貴様は少し前まで一般人だと聞いた。ならば体術なども全くといって良いだろうからな、いざというとき動けないようでは軍人としては失格だ。なので貴様の体に教え込んでおけば、頭で考えるよりも先に体を動かすことが出来る、これはあくまで貴様自身の身を守れるようにではなく、守るべき者たちを守るための授業だと思え」
「それは分かりましたが…」
艦娘「む、どうした?」
「投げ飛ばしたり叩き伏せたりされるので周りに軽く煙が舞ってるのですが…大丈夫なのでしょうか?あと頭からちょっと血が垂れ流しになっているのですがどうしましょう?」
艦娘「別に煙位問題ない!しかし怪我してたならさっさと言え!」
「いや、いきなり投げ飛ばした挙句、コンクリに頭をヒットさせたのに気絶しないだけ褒めてくれただけでそこら辺の心配してくれなかったじゃないですか」
艦娘「し、仕方ないだろう!普段は艦娘にやるのだが皆怪我などしなかったのだからな」
「そりゃ普通の部屋ならある程度衝撃を吸収してくれる所なら大丈夫でしょうけど…ここ営倉。私人間。OK?」
艦娘「ぐぅ…す、すまない…」
そういうと教官…もとい、教えてくれた艦娘はすごく落ち込んだ声で謝罪してくれた。どうやら本人はこういったことになるとあまり周りの状況を考えずに暴走してしまうらしい
艦娘「いやしかし、あれだな!中々根性もあるし教官としても楽しめそうだ!」
「人をぶん投げておいて良く言うよ…どんな精神してるんだか」
艦娘「あぁもう!悪かったな!それよりどうだ!少しは身についただろう!?」
「ただ投げられてただけで分かるわけないだろうが!」
艦娘「む…?おかしいな…私ならそれで覚えたんだが…」
あ~駄目だこの人、自分の経験に物を言わせて教えるタイプだ
「…とりあえず包帯か何か貰えませんか?目に血が入ってきて見えずらいんです。あと出来たら扇風機とかください。そろそろ暑さで意識が朦朧として来てるんで」
艦娘「あ、あぁ。分かった!治療は得意だから任せろ!あとそういうことは早く言え!手遅れになったらどうする!」
…絶対怪我させたりしたほうが多いんだろうな
ちなみにちゃんと治療は受けさせてもらえたが、正直本来の営倉の使い方とは何か違うとこの時ばかりは思った
あとさっきの言い方と彼女の性格からして、艦娘でもちゃんと熱中症になったりするんだね。海上での戦闘や遠征での配慮も必要になってくるからこういうのは知れてラッキーだな
艦娘「おい、持って来たぞ。あと扇風機だ。コンセントがないから手動で回すのになるが…」
「ありがてぇ…ホントに暑さには参ってたんだ」
艦娘「貴様は人間なのだからしっかりとしておけ。流石にこんな所で死人が出ても困る」
「あぁ、悪かったよ。死なないようには気を付ける」
艦娘「…ちょっと待ってろ」
そういうと艦娘は立ち去っていった。何やら無線でブツブツと話しているようだが…
艦娘「おい、これ使え。あとこれも飲んでおけよ」っ体温計+ポ○リ
「…え?何で?」
艦娘「お前の顔が真っ赤だからだ。水分を取ってないせいか汗も出てないようだし、少しおかしいと思ってな」
「心配性だなぁ…確かに頭痛は酷いが別に気にすることでもないだろうに」
艦娘「アホか貴様は。体調管理も出来ない人間が軍人として、そもそも大人として務まると思うのか?」
「貴様は営倉に入れられるようなやつだが、話を聞けば部下の暴走で入っただけではないか。貴様自身の艦娘を指揮する立場としての自覚が足りなかっただけだろう。もしはっきりと自覚しておけば、このようなことにもならなかったかも知れないのに」
「ぐぅの音も出ねぇ…」
艦娘「ま、まぁ何だ。お前はしばらくここにいるわけだから、私が帰るまでの間みっちりと「遠慮しときます」なんでだ!?」
「だって…貴方に教えられても正直学べるかどうかと言われれば…う~ん」
艦娘「ぐ…!し、しかしだな!お前が選べる立場ではないのだぞ!?」
「…それを言われちゃ返す言葉ないですけどぉ、それを出すのはずるいですよ」ピピピピッ
艦娘「う、うるさい。とりあえず体温計が鳴ったみたいだから取るぞ」
そういうと、僕の腋から無理矢理体温計を取っていった。ちょっと汗が染みついてるから気にしてほしいんだが…
艦娘「…38.4度!?お前大丈夫なのか!?」
「あ~、微熱ですね「なわけあるか!」これなら飯食べて勉強して寝ておけば治りますよ」
艦娘「バカか?いや、熱のせいでバカになっていると考えるべきか?」
「まぁまぁ、それに丁度いいじゃないですか。営倉行きになったのにちょっと優遇されすぎてると思ってた所ですし、しばらくは体調悪いままで頑張りますよ」
艦娘「…はぁ、もう貴様の好きにしろ。変わりに私も好きにさせてもらう」スクッ
「どうするんですか?」
艦娘「お前は何を言っても自分の都合のいいように解釈しそうだからな。だったら適当に横やりを入れてやろうと思ってな」
「…教官には勝てそうにないんで任せます」
艦娘「あぁ、そうさせてもらう」
そういうと教官は外に出て行ってしまった。しかし、体調が悪くなっているのは自覚出来る。その証拠に変な意地みたいなの張っていたしな
結局、その日は治療に専念することになってしまった。しばらくして教官も戻ってきたけど、お粥を持って現れた。食べさせてやろうかと聞かれたが、流石に恥ずかしいので遠慮しておいた。この時に意地を張らないでおけば火傷することはなかったのだろうが、恥ずかしいのよりかはマシなので我慢して食べる事にした。ちなみに梅干しと塩のお粥だったけど、しょっぱすぎてある意味拷問だった
しかし風呂の時にバスタオル一枚の教官はやばかった。僕の情緒がやばかったのもあるが、鼻血を出しながらボタボタと風呂に入る教官は恐怖以外の何物でもなかった
三日目
今日の朝起きると、頭がやけにスッキリした感覚だった。どうやら昨日の熱が引いたみたいで安心した…が、いくらなんでも回復が早すぎる。原因は分からないが、まぁいいか。考えるのもめんどくさいし
そんなことを考えてると艦娘がやってきた。昨日の教官と同じ服装だったが、このペースで行けば四日目も姉妹艦が来るのかな?
艦娘「妙高型一番艦、妙高です。本日は営倉行きとなった提督の様子を見てこいと言われてきたのですが…僕?何か知らない?」
提督です。開口一番にホントにこう言われました。現在私は明朝にやってきた艦娘に子供扱いされ、しかも鉄格子の外から頭を撫でられています。この時点で僕が提督だと気づかないものかね?
「えーっと…僕がその提督です」
妙高「き、君が!?こんな小さい子供が営倉行きって大本営は何考えてるの!?」
「こう見えても提督です。子供扱いはやめていただきたい」
そうやって怒るところが子供みたいなんですよね~みたいな目をやめてほしい。自分でも思い直してみればそうにしか聞こえないけどさ!
妙高「んん、僕?大人をからかっちゃ駄目よ?ホントの事を言ってくれない?」
「はぁ…しょうがないな…」
妙高「?」
「…妙高型一番艦妙高、姉妹艦は上から那智、足柄、羽黒の計四人。特徴として妙高は中破する時のポーズが独特で酒の席になると姉妹、特に那智に酒のネタにされる「何で知ってるの!?」」
「那智は真面目だが周りを見るのが苦手。しかしMVPを取ると酒をよく飲むので姉妹に良く迷惑をかけている。たまに空母の隼鷹と飲んだりするが、酒の席の喧嘩で収まらず、元師から一か月の飲酒を禁止されたんだよな。尚可愛いものが好き」
「足柄は良く婚活をするが、見た目と性格からよく失敗して愚痴をこぼすのが多い。しかも怒り方がアラサーっぽいので【あの人ホントは30越えてるんじゃない?】と青葉新聞で噂されている」
「羽黒は「分かった!貴方が提督なのは良く分かったから!お願いだからこれ以上身内の恥ずかしい所を暴露するのは止めて!」」
成程、反応を見るに今まで来た艦娘達の姉妹艦らしいな。しかも所属は元師だろう。あの人でなければここまで僕の知っている艦娘に近いはずがない。まぁ、他所の艦娘がどうかは知らないけどな
妙高「はぁ~…そこまで私達の身内ネタを知ってるってことはホントに提督なのね…しかも私達がどこに所属しているか知ってたみたいね?」
「いや、そりゃ分かるだろう」
妙高「どうしてかしら?」
「元師ほど艦娘を大事にする人間はいない。その証拠に昨日と一昨日来た二人も性格が僕の知ってる二人そのままだったからな。やさぐれたりもせずに彼女達らしい生き方をしていたようだし、そこから考えれば辿り着くのは簡単だ」
妙高「…貴方、提督に着任してから数日しか経ってないって聞いたけどやけに私達の事詳しいのね?」
「…頑張ったんだよ。提督である以上君らの事は知っておくべきだと思ってね」
妙高「その割には私達の艦だった頃は知らないみたいだけど?」
「なりたてだからな。まだそこまで知らないんだ。いずれ知らなければならなくなると思うがな」
妙高「…おかしな子ね」
「で、今日は何をするんだ?一昨日は勉強、昨日は体術だったが…」
妙高「それなんだけどね…今日一日はお休みよ」
「それまたどうして?」
妙高「あのね…私達も君みたいに怪我した子を無理矢理働かせるほど鬼じゃないわよ?聞けば君は昨日、那智にボロボロになるまで体術の相手になってたんでしょ?しかも熱まで出してたようね?流石にそんな子を無理させる訳にはいかないわ」
「しかし私は提督だ。しかも新米で何も勉強もしてない一般人だったのに今頑張らなくてどうするんだ」
妙高「バカね。子供がそこまで考える必要はないのよ。本来君みたいな子は外で遊んでおかなきゃいけないのよ?そういうことは大人になって考えればいいのよ」ナデナデ
「…一応こう見えても19なんだが、ここに来る前に私の事は教えてもらわなかったのか?」
妙高「えーっと、足柄からは頑張り屋な人間と聞いてて、那智からは見た目より少し年をとった子供みたいな人間だと聞いてるけど?」
…せめてもう少しちゃんとした情報を握ってくれ。あまりにふわっとしすぎだろうに…
「とりあえず頭を撫でるのは止めてくれないか。さっきからずっと撫でてるだろう」
妙高「ご、ごめんなさい…つい…」
「まぁ嫌じゃないからかまわないが…だからといって私からさせようとするな」
妙高「え?」両手開き
おっかしいなぁ…僕の知ってる妙高とだいぶ違う気がするが…何か裏があると考えるか…?だけど…
チラッ
妙高 甘やかしたい 撫でたい 愛でたい 抱きしめたいオーラ全開
こんなバカみたいな事してる妙高がホントに僕の知ってる妙高なのか…?正直怪しさしかないんだが…
「ちなみに妙高、一応聞いておくが何故そんな事をする?」
妙高「え、私がしたいからですけど…何か問題でもありましたか?」
「お、おう…問題はないから気にしないでいい」
えぇ…ホントに何考えてるんだコイツは…もうコイツ妙高じゃねぇよ。ただの怪しさと胡散臭さを何倍にも増したただの美人だよ。僕の知ってる妙高と言えば家庭的で面倒見がよくて料理の腕前が良い意味でヤバいはずなんだけど?
「…」
妙高「あ、あの…提督?どうかなさいましたか?」
目の動きは焦りを感じてるようには見えない。腕もこっちに伸ばしてて、足の組み方は正座で絶妙に中が見えない程鍛えられた足をしている。何かをさせたいのが目に見えているので、正直怪しさしかない
あと何か…何かがあるはずだ。妙高にこんなことをさせている元凶がどこかにあるはずなんだ…
「…妙高、少し目を閉じてくれないか」
妙高「え、目…ですか?」
「あぁ、脱走とかはしないから安心してほしい」
妙高「…信じますからね」
…ここまでしても妙高に変化のようなものは見られない。強いて言うならば少し顔が赤くなっている程度だが別に気にする程じゃない。とすると後考えられる可能性は…
「…許せとは言わん。だがあらかじめ謝っておく。すまない」
妙高「え?それってどういう…」
妙高が言い切る前に、目の前の二つの山を触る。決して握らないように軽く押すくらいの勢いで触る。感触は少し固かったが、マシュマロのような手触りだった。くっそ柔らかい
妙高「え、え!?」
???「うぇ!?」
「そこか!」
声が聞こえた方向に、今日勉強の時に使う予定だった消しゴムを投げる。すると何もない空中で弾かれたが、聞いた事のある声が同時に聞こえた
???「いった~い!何するの!?」
「それはこっちのセリフだ!何してるんだ妖精!」
妖精「し、しまった!ここは撤退です~!」
「待てこら!」
妙高「あ、あのあのあの…提督?さっきのは一体…」
…おそらく妙高はグルか?さっきまでの謎の行動と言い、何かをさせようとしていた所を見るとあの妖精がいたのを知っていたからだろう。目的は不明だが何かの当て馬にでも使われたか?
「妙高、正直に答えろ。お前知っていたな?」
妙高「…」
「沈黙は肯定とみなすぞ。何故こんなことをしたんだ?」
妙高「そ、それは…」
「それは?」
妙高「じ、実は皆と賭けをしてて…」
「ほぉ?」
賭けか…内容は気になるが相手も気になるな…
「それで賭けの内容は?」
妙高「え、えっと…君が私の反応にどういった行動を起こすかっていう…」
「参加者は?」
妙高「い、言わなきゃ駄目…?」
「言わなければその脂肪の塊を力の限りでもぐ」
妙高「げ、元師と大淀さんと姉妹艦の皆です!それ以外はいません!」
首筋に手を当てると、血液の流れる音が聞こえる。一瞬妙高の顔が赤くなるが無視。そこまで気にすることなのか?
「…嘘はついてないみたいだな」
妙高「流石にこれ以上嘘はつけませんから…」
「じゃあ賭けは誰が勝ったの?」
妙高「げ、元師です!」
「…はぁ~、あの人どこまで見通し良いんだよ」
さっきやったのはセクハラだったが、まさか元師が当ててくるとはな…あの人ホントに何者だよ?
妙高「あ、あの…こんな時に言うのも何だけど、ご飯食べる?」
「…いただきます」
その後は普段より軽く勉強の復習を済ましたりで一日が過ぎていった
ちなみに何故あんな賭けをするかに至ったかの経緯を聞くと、何でも昨日、賭けをした皆と飲んでたらしく、逆セクハラをしようと話になったらしい。その話に至った詳しい経緯が聞きたい所だが拒否された。ちなみにあの妖精は不正防止らしかった。どれだけその賭けに勝ちたかったんだと疑問符が浮かびっぱなしだ
妙高がセクハラの相手になった理由は、じゃんけんに負けたらしい。何とも不運であるが、その時の話をしている妙高の目がどうもキラキラ…というよりかはギラギラしていたのがどうにも怖かった
四日目 深夜
何故気づかなかった。ここは大本営にある営倉ではなく、鎮守府にある営倉であると。しかも元師が運営する鎮守府だそうだ。何故これを知ったのかは深夜に遡る
???『お…ホン…人が…たね…よく眠っ…』
時刻はおそらく深夜の一時を回っていたと思う。聞きなれない声に人の気配を感じたので無理矢理目を覚ました
「…ん?だれかいるのか…?」
???「あら?起こしちゃいました?」
「…君は?」
???「どもども、青葉です!一言お願いします!」
「…今何時だと思ってるんだ。本来この時間は就寝時間のはずだろ?」
青葉「ご心配なく!今出撃から帰ってきたばかりですのでこれから寝ます!でもその前に…営倉に入れられた提督さんに取材したいと思いまして!」
「…お前、怒らせたいのか?何がしたいんだ」
青葉「だからぁ~取材ですよ!取材!深夜に起こしたのは謝りますがちょ~っと興味深い話を聞いたので取材をと思いまして!」
「話?なんの?」
青葉「え~っと、昨日の朝に妙高さんにセクハラをしたと聞きまして!一体なぜそのような事をしたのか聞いてみたくって!」
あ~、あれか。にしても話の広がりが早いな。多分、あの妖精の映像を見た誰かが話してた所を、青葉が聞いたってとこだろうが
「…断る。それを話したところでメリットがない。聞きたいなら何か提示してくれないと」
青葉「うわ、子供の癖に生意気ですね…」
「やっぱり取材はなし「あー!分かった!分かりましたよ!」」
青葉「では…そうですね…青葉の体を好きに「帰れ」何でですかぁ!?」
「キモイ、痴女、〇○〇、○○○○」
青葉「そこまで言います!?というかセクハラしたくならないんですかぁ!?」
「…成程。そこまで分かっているのか」
青葉「へ?何がですか?」
「お前、元師の差し金か。じゃなきゃここまで細かに俺のタイプを知っているはずがない」
青葉「へへへへぇあ!?な、なんなな、何のことですか!?」
「落ち着け。いくらなんでも動揺しすぎだろ」
青葉「く、くぅ~…まさかこんな子供に見破られるなんて…」
「にしても何で青葉が元師の差し金だと分かったんですか?」
「簡単だ。俺のタイプは普通の人間の真逆だ。そんな人間に体を差し出すということは、少なくともソイツが何に魅力を感じるかを知っている人間でなければあり得ない。俺は自分のタイプを外部の人間に明かしたことは殆どないし、艦娘を動かせる立場の人間だとしたら元師くらいしか思いつかなかったからな」
青葉「…参ったなぁ。うまく取り入れれたと思ったのに…」
「とりあえずお前は取材半分、元師から何故あんなことをしたかを聞きに来たんだろう?」
青葉「その通りです。もうバレちゃってるので単刀直入に聞きますが何故あんなことを?」
「妙高の様子がおかしかったからだな。本来妙高は、家庭的で面倒見がよく、料理の腕前が天才的だったと記憶している。なのにあの時の妙高はやけに面倒見が良い、というよりかは面倒を見たいって感じだったからな。何らかの裏があると予想したんだ。なので誰かが見ていると判断しあのような行動をしたまでだ。下心も多少はあったが、あれくらいは想定されていただろうしな。遠慮なくやらせてもらった」
青葉「成程…通りで元師殿の機嫌が良かったんですね…」
「僕としては元師の考えてる通りに動かされてるようで、あまり気分は良くないけどな」
青葉「ははは…あの人はホントに凄い人ですからね」
「さて、取材には答えたんだ。せっかくだし何か教えてくれ」
青葉「…そうですね。流石に取材に答えてくれたのに何もしないのも可哀想です。私で答えられる範囲でいいなら答えますよ?」
「じゃあここはどこだ?営倉なのは間違いないだろうが、大本営にある営倉じゃないよな?」
そう。確かに僕は初日にここに来たとき大本営だと思ったんだ。だけどそれだと疑問点が出る。何故艦娘達しかやってこないのか?
営倉という場所な以上、憲兵達等の治安を維持する者がやってくるはず。そういう意味では艦娘も当てはまるのだが、小窓から時折聞こえる訓練の音や遊んでる声までもするが、それは大本営だとあり得ない。何故なら他の提督もいるはずだからだ。そんなところで艦娘を遊ばせてると、提督共がボソボソと陰口を叩いて、あのような楽しそうな声など出るはずがないからだ。結果ここは大本営ではないとの結論に至った
青葉「え、えぇ~それを教えなきゃ駄目ですか?」
「駄目ならそこの小窓から青葉に襲われると叫んで、誰が来たかでどんな所かを考えるだけだ」
青葉「わ、分かりました!言います!言いますからやめてください!」
「よし、話せ」
青葉「ここは元師が運営する鎮守府です。なので他の提督はいませんし、憲兵も元師が信頼する者しかいないのです」
「なるほどな…なら納得だ」
青葉「あのぅ…もういいですか?そろそろ戻らないと皆が心配しますし…」
「あぁ、もういいぞ。長く引き留めてすまなかったな」
青葉「いえいえ、取材のご協力ありがとうございます!」
そういうとそそくさと青葉は出て行ったが…水色と白の縞々だったな。営倉とはいえ、月明りは照らされているから少し見えるんだよな…
「…妖精さん。今いるか?」
???「…何でいるって分かったのです?」バサッ
「適当に言っただけだよ。ホントにいるとは思わなかった」
妖精「…くぅ、まんまとのせられたのです」
「とりあえず聞きたいんだけど、ムービーとか撮ってたか?」
妖精「えぇ、撮ってはいましたけど…それが?」
「アイツの下着見えたムービーはあるか?」
妖精「え、えぇ…流石に無いですよ…」
「チッ、それじゃあばらまくこと出来ないじゃないか…」
妖精「…もしかして怒ってます?」
「当たり前だ。こんな深夜に起こされた挙句、元師の考えてる通りに動いてるんだぞ?腹立たない訳ないだろう」
妖精「…器が小っちゃいのです」
「ほっとけ。これから僕は寝るけど、頼むから録音とか止めてくれよ。寝言聞かれたくないしな」
妖精「そこらへんは大丈夫なのです。プライバシーは守るのです」
「なら安心だ。元師によろしく言っといてくれ」
妖精「はいなのです~」
「あ、そうだ。ちょっと聞きたいことがあるんだが…」
四日目 朝
艦娘「お、起きてください!この変態!」
「…いきなりなんだ。それにもう起きてるよ」
艦娘「姉さんにセクハラした人に畏まる必要はないでしょう!」
そういう彼女は妙高型の四番艦の羽黒だった。確か彼女は控えめな性格だったと記憶しているんだけど…見るからに怒ってるな。まぁ話の内容からして原因作ったの僕だからなんも言えんが
「…で?そんなセクハラした奴に罵声浴びせるだけに来たのか?」
羽黒「そんなわけないじゃないですか!ご飯の時間だから持って来ただけです!」
「そうか。とりあえずそこに置いといてくれ。そしたら食べるから」
羽黒「だ、駄目です!」
「えぇ…何でさ」
羽黒「わ、私が食べさせます!」
「…は?」
羽黒「だって男性の方は私達艦娘の容姿が堪らなく気持ち悪いのですよね?でしたら丁度いい罰になると言われたんです!」
「…ちなみに誰に言われた?」
羽黒「元師です!」
あのアホかぁ!絶対分かって入れ知恵しやがったな!?
「…羽黒?君は騙されてるぞ?」
羽黒「なんで元師が私を騙すんですか!むしろ貴方が私を騙そうとしてるんじゃないですか!?」
「いやいや、その証拠に僕は世間一般の男性と違って、そういうことが完全に逆転してるんだよ」
羽黒「そんな分かりやすい嘘に騙されると思わないでください!」
「嘘ではないんだけどなぁ…」
…しょうがない。折角彼女が仲間の為に頑張ってる?んだ。ならそれに少しは答えてやるのが道理か
「ア、アー、嫌ダナー。艦娘ニ食ベサセテモラウトカ最悪スギルー」
羽黒「ふ、ふふん。正体を現しましたね!?さぁ、大人しく食べさせられなさい!」
…すごい棒読みだったな。そしてそれに引っ掛かる羽黒…君はそれでいいのか?せめてもう少し人を疑うことをしてくれないかな。どうにも不安で仕方ないぞ
「分かったから、そんなにグイグイ来ないでくれ」
羽黒「…なんだかあまり嫌そうじゃないみたいですね」
「何言ってるんだ、嫌に決まってるだろう。しかし腹が空いたんだし背に腹は代えられないだろうが」早口
羽黒「…はぁ、やりがいないなぁ」
「…まだ?待ってるんだけど?」
羽黒「そんなに言われなくても食べさせてあげますよ!」ズンッ
「ぐぶぉ!?」
羽黒「あ、た、大変!スプーンを入れすぎちゃった!」
「ごほっごほっ!こ、殺す気かお前は!?」
羽黒「ご、ごめんなさい!」
「…やっぱり自分で食べるからそこ置いといてくれないか」
羽黒「い、嫌です!もう一度チャンスをください!今度はちゃんとしますから!」
「…分かったよ。ただ今度はしないでくれよ」
羽黒「は、はい!頑張ります!」
はぁ…これでようやく食べられ「じゃあ、入れますね?」パクッ
「…」
羽黒「ど、どうですか…?」
「…えぼぁ!?」
な、なんだこれ!?辛い!果てしなく辛い!テレビで見た激辛料理みたいな味がする!触感はうどんみたいだが噛むたびに爆弾が爆発するような辛さが襲ってくる!
羽黒「え、えぇぇぇ!?」
「う、うぐ、え、お、おぉぉぁぁぁ!?」
羽黒「た、大変!これ!早く飲んで!」
すかさず水を奪うように取り、一気に飲み干す
「ぐ、は、はぁ~…助かった…」
羽黒「あ、あの…」
「…羽黒さん?一つ聞きたいんだけどこれ誰が作ったの?」
羽黒「え、えっと…皆のアドバイスを受けながら私が作りました」
「…そうか」
とすると羽黒だけを怒る訳にはいかないな…多分悪乗りした姉妹が適当に吹き込んだんだろうが食べ物で遊ぶなよ…
「妙高が作った料理はあるか?」
羽黒「そ、それならそこにあります」
羽黒が指さしたのは綺麗な野菜の山盛りだった。ドレッシングが綺麗にかかっており、さながらホテルの料理を連想させるものだった
「では先程羽黒が食べさせてくれたのは…その…赤黒いうどん?でいいのか?」
羽黒「は、はい…」
「分かった。羽黒、すまないが少し多めの水を用意してもらえないだろうか?」
羽黒「え、もしかして食べるつもりですか!?」
「当たり前だ。せっかく羽黒が作ってくれたんだ、無駄には出来ない」
羽黒「変態さん…」
「分かりました。すぐ持ってきます」タタタッ
羽黒の手前ああいったが、ホントに食えるのか?あの激辛モンスターが…あと変態ではないのでその呼び方はやめていただきたい
とりあえず、食べ物で遊ばないように注意してもらうか…あの呑兵衛共なら鳳翔が良いだろう
耳を澄ませて窓の外の音を探ると朝練の声が聞こえる。おそらく艦娘達だろう。であれば丁度いい。紙飛行機を作って、その中に食べ物で遊ぶな。という趣旨を書いておけば伝わるだろう。一応鳳翔あてに届かせるように名前を書いて…完成と
羽黒「あの…お水持ってきました」
「ありがとう」
羽黒「い、いえ…」
「…いただきます」
考えるな。ただ一口食べたあとは流れに身を任せて食べてしまえば問題ない。これさえ食い終われば後は大丈夫なはずなんだ
「うぼあ!?」
羽黒「だ、大丈夫!?」
辛いというよりかは痛い!さっきは急いで水を飲んだから大丈夫だったが、水飲まないとこんなに痛いのか!?しかし、食べて水を飲むを繰り返してたら全部食べ切れない…だとすれば、今のうちに詰め込むだけ詰め込んで後で水で一気飲みでもするか?
羽黒「あ、の…そんなに無理なら食べなくても…」
「ふぁ、ふぁいひょうふふぁ。ふぁふぁふぇはひひょう、ふぃっふぁりふぁべる」(だ、大丈夫だ。残さないようしっかり食べる)
羽黒もあの怒り方はほとんど怒った事がないんだろうな。これ食べ始めてから急に素に戻ってるし、あまり怒らない性格なんだろうな
そんなことを考えながら食事する手を止めることなく、時に痛みに意識が奪われそうにながらも、妙高の料理で意識を保ちながら食べ続けた
・・・数分後・・・
「ご、ご馳走さまでした…」
羽黒「お、お疲れ様でした…」
「…で、僕の事はもう怒ってないって事でいいのかな?」
羽黒「え?…あ!そ、そんなわけないじゃないですか!私はまだ貴方を許してませんからね!」
「…そうですか。で、次は何するの?」
羽黒「勉強です!出来なければ罰を与えますからね!」
「…お手柔らかにお願いします。どうか命までは取らないでください」
羽黒「い、いや!命までは取りませんから!」
というわけで勉強になったのだが…小学校の問題ばかりだった
何故なのか聞いてみると、小学生なのだから小学校の問題をするのは当たり前じゃないですか。と言われた。すかさず小学生が提督になれるわけないだろう。と反論するとハッとしたような表情をし、普段やっている勉強に戻された。その時にすかさず謝られたが、正直嫌な気分ではないので別に気にしてないと言うと今度は変な目を向けられた。何故だ
ちなみにその日の夕方にどこからか謝罪のような叫び声が聞こえたが、おそらく空耳だろう。しかし今度はどんな紙飛行機を飛ばすか考えるだけでワクワクするな
五日目
元師「どうだ?調子は?」
「ここが営倉か分かりませんよ。家に住んでた以上に居心地がいい」
元師「そうかそうか。ならずっといてもらってもいいのだぞ?」
「遠慮します。皆が待ってると思うんで」
元帥「それを聞いて安心したよ。ところで君にお客さんだ」
「客?誰ですか?」
元師「私の娘だよ。君に託した子だ。これだけ言えば伝わるかな?」
「それは…是非とも会いたいですね」
元師「ついでに一時的に君をここから出す。数時間だけだが、一緒に歩いてこい」
「…感謝します」
元師「言っておくが、娘に手を出すなよ?」
「子供に手を出すわけないでしょう。僕を何だと思ってるんですか」
元師「大人ぶりたい子供だな。お前は自分の体がどうなってるか分からないのか?」
「…そうでしたね」
元師「とりあえず行くぞ。あ、ちなみにお前の体が子供になったのは伝えてないからな。以前面会に来た艦娘にも、お前の体が縮んだことは内緒にするようにと伝えておいたから多分知らないぞ」
「は、ちょ、えぇ!?」
元師「ホラ行くぞ」俵担ぎ
・・・移動中・・・
電「あ、げん…し?」
元師「久しぶり…という程でもないか。ホラ、提督を連れてきたぞ」
「や、やぁ。電」
電「…元師。電の司令官はこの子ではないのですが…もっと背が高い人なのです」
元師「まぁまぁ、この子は正真正銘君たちの提督だよ。じゃ、後は任せたよ。あ、出歩いても良いところはこの鎮守府内にしてくれよ?外に出られると流石に行方が分からないからな。それじゃあな!」バタン
「ち、ちょっと元師!?」
電「行ってしまわれたのです…」
「…とりあえず歩きながら説明するよ。いや、その前に僕が提督だと証明した方が良いかな?」
電「…いえ、証明する方法ならあります」
「お、どんな「えい」」
…は、え?抱きつかれてる?電に?あ、ちょっとデカい…じゃない!何してんのこの子!?証明するってなんでこんなことしてるの!?あ、いい匂いする…じゃなくて!
「い、電?何してるの?」
電「…やっぱり司令官さんなのですね」
「いや、確かにそうなんだけど…何してるの?」
電「司令官さんじゃなかったら、私に抱き着かれた瞬間、突き飛ばして逃げると思うのですが、司令官さんは私達艦娘のような女性がタイプなのですよね?すぐさま逃げずに匂いまで嗅いだりするなんて司令官以外考えられないんです」
「そ、それはごめん。でも、だからってそこまでする?確証もない相手に」
電「う~ん、確かに確証はなかったですけど司令官さんですし、まぁそういうこともあるのかなと思いました」
えぇ…僕の認識どうなってるの…?
「お、おう…そうか」
電「取りあえず歩きませんか?ここは電もいたので案内できると思うのです!」
「う、うん。お願いしようかな」
電「はい!エスコートは任せてほしいのです!」
普通そういうのは逆なんじゃ…あ、いや。忘れかけてたけどここ男女が逆転してるんだった。ならこれが正しいのか
電「司令官さん、行きますよ!」
「分かった分かった。今行くよ」
・・・間宮・・・
電「ここが間宮なのです!ここで皆がおやつを食べたりする甘味処となっているのです!」
「おぉ…!ここが間宮か!噂には聞いてたけど凄いな!」
電「あれ?知ってたのです?」
「営倉って窓の外は皆の運動場みたいな所の近くにあってね。そこにいると色々な話が聞こえるんだが、そこで聞いたんだよ」
電「なるほど…どおりで」
「しかし、今は艦娘がいないね。留守なのかな?」
電「おそらく、演習だったり出撃だったりするんじゃないでしょうか?休みの人もいるのでしょうが、この暑さですし皆部屋で休んでると思うのです」
「…なるほど。せっかくだ。電は間宮券って言うの持ってるか?」
電「はい!元師に頂いたのがいくつかあります!」
「じゃあせっかく来たんだ。食べてきていいぞ」
電「え?司令官さんは食べないのです?」
「流石にね。一応営倉に入れられてる身だし食べる訳にはいかないよ」
電「でしたら電も食べないのです」
「え?何で?」
電「だって…」
そういうと電は黙ってしまった。もしかして一人で食べるのは気が引けるとかか?でも流石に今の立場でなぁ…
???「でしたらサービスしますよ」
電「あ、間宮さん!」
電が声を上げ、僕も声のした方を向く。すると割烹着に赤いリボンをした人が現れた。おそらく彼女がこの店の店長のような人なのだろう
間宮「電ちゃん、久しぶりね。元気だった?」
電「はい!間宮さんもお元気そうでなによりです!」
間宮「良かったわ。君が電ちゃんの提督かしら?」
「はい。といっても今は営倉に入れられていますけどね」
間宮「あら、そうなの?なら営倉から出てきちゃ駄目じゃないかしら?」
「今は元師からの許しで特別に出ても良いことになってるんです。正直あそこは暑いんで助かりましたけどね」
間宮「なるほどねぇ…じゃあ、そんな提督君にアイス特別にプレゼントしてあげるわね」
「え?良いんですか?」
間宮「えぇ。それに電ちゃんもそれを望んでいるみたいだしね」
電「は、はいなのです!司令官さんと一緒に食べれば絶対美味しくなると思うのです!」
「そっか。でしたら間宮さん。アイスを一つお願いします」
電「あ、だったらこれを」っ間宮券
間宮「うふふ、大丈夫よ。提督君だけにサービスしちゃ悪いし、電ちゃんにもサービスしてあげるわね。久々に元気な顔も見れたし」
電「あ、ありがとうなのです!」
間宮「いえいえ。じゃあちょっと中で待っててね。すぐ準備するから」
「はい。ありがとうございます」
電「良かったですね!司令官さん!」
「うん。元師にも感謝しとかないとね」
電「はいなのです!司令官さんと一緒じゃなかったら、こうやって一緒にアイスを食べる事なんて出来なかったのです!」
う~ん、僕と考えてることは違うみたいだけど…ま、言うだけ野暮だな
間宮「お待たせしました~。バニラとチョコがあるけど、どっちにする?」
「電、好きな方を選んでいいぞ。僕はどっちも好きだからね」
電「じゃあ、バニラを貰うのです!」
間宮「はい、どうぞ。提督君も」
「ありがとう。間宮さん」
間宮「いえいえ。ではごゆっくりどうぞ」
電「じゃあ早速、いただきます!」
「いただきます」
アイスについていたスプーンで少し掬い、口に運ぶ。口に運ぶ途中でチョコの香りが鼻をくすぐる。その匂いがアイスの味を連想させる。そして口に入れた瞬間、チョコの甘さと香りが口いっぱいに広がる。一瞬で虜になるような濃厚な味だが、どこかスッキリする味であった。おそらく、その感覚を電も楽しんでいるのだろう。彼女の顔は幸せに満ち溢れており、極楽を口いっぱいに感じているようだった。心なしか普段よりキラキラしているようだった
「…凄いな。とてつもなく美味い」
電「はいなのです…美味しすぎてとろけてしまいそうなのです…」
???「お、やってるな」
間宮「提督。いらっしゃいませ」
「あ、元師」
元師「さっきぶりだな。間宮、チョコアイスを貰えるか?」
間宮「はい。少しお待ちくださいね」
元師「あぁ、楽しみにしてるよ」
電「し、司令官さん!元師にそんな口をきいては駄目なのです!」
元師「ははは、いいさ。むしろこれくらいの距離間の方が落ち着くんだ」
「元師もここのアイスを食べに?」
元師「そうだ。こんなに暑いと仕事どころではないのでな。にしても初めにここを選ぶとは…電も分かってるじゃないか」
「…元師、お気遣いありがとうございます」
元師「何のことかな?」
「間宮さんにあらかじめ話を通してくれたのですよね?出なかったら、間宮さんの反応もあり得なかったでしょう」
元師「なんだ、分かってたのか。つまらん奴だな」
「むしろ少し考えたら分かりますよ。僕の背格好はとても軍人には見えませんし、むしろこんな所に迷い込んだ一般人の子供として認識されます。だけど間宮さんは最初、僕の事を観察していたようですからね」
間宮「あら?バレちゃってたのね?はい、提督」っチョコアイス
元師「ありがとう、間宮」
間宮「いえいえ、ごゆっくりどうぞ」
元師「なるほどな。でもそれだけで私と間宮が通じてると分かったのか?」
「いえ。後は勘ですね」
元師「勘、か…」
「はい。勘です」
電「あ、あの…お二人共…少し顔が近いのではないのですか?」
元師「む、すまんすまん。妬いたか」
電「し、してませんよ!でもでも、元師ともあろうお方がそんなことをしては艦隊の指揮にかかわると思って…」
「…可愛いですね」ボソッ
元師「貴様にはやらんぞ」ボソッ
電「も、もう!せっかく電が怒ってるのに二人で内緒話は酷いのです!」
「ご、ごめんごめん。電が可愛いって話してただけだよ。そうですよね?元師?」
元師「あぁ、といってもこいつにはやらんがな」
電「は、はわ!?わ、私が可愛いのですか!?」
二人「「当たり前だ」」
電「も、もう!そんなお世辞には騙されないのです!」
(そうは言っても顔が少し赤くなってるんだよなぁ…)
元師(嬉しくなると、つい赤らめる癖は治ってないみたいだな。全く憂い奴め)
「ほら、電。僕のアイス食べてみなよ。このアイス美味しいよ」
電「ふ、ふぇ!?」
「ん?チョコは嫌いだった?」
電「い、いえ!い、いただくのです!」パクッ
「どうだ?美味しいか?」
電「お、美味しいのです…」
電(でも…味が分からないのです…なんで司令官はこういうこと平気で出来るのですか…?)
元師「…お前が女たらしだということが良く分かった」
「え、急に酷い」
電「し、司令官さん!私のアイスも一口あげるのです!」
「お、ありがとう」パクッ
電「は、はわわ…」
「うん!こっちも美味しいな!流石間宮さんだ!」
電(な、なんで恥ずかしがらないのです!?電があんなに勇気を出したのに…)
元師「…提督、一つ聞きたいのだが、電の事をどう思ってる?」
「唐突ですね…でもそうだな…大切な仲間で初期艦だという所ですね。あ、後娘みたいだとも思ってます」
元師「…そうか」
元師(電…道は険しいぞ?かといって渡すつもりもないがな)
その後は食べ終わった後、辺りをぶらぶらと散策することにした。しかし元師のおまけつきだったが
その途中で大淀さんがやってきて元師を引っ張っていった。何でも執務を丸投げして来たらしい。そりゃ飛んでくるわな
青葉に写真を撮られていたが、元師は余裕の顔でポーズをとっていた。おそらくいつもの事なのだろうが、途中で大淀が激怒し元師が泣きついていたが、自業自得というやつだろう
電「それじゃあ提督さん!次はどこに行きたいのです?」
「う~ん、運動場かな?ちょっと気になることがあるんだ」
電「分かりました!ご案内するのです!」
・・・⊂二二二( ^ω^)二⊃ 移動中・・・
電「ここが運動場なのです!普段はここで訓練したり、遊んだりしてる子がいるのです!」
「やっぱり広いな~さながら学校のグラウンドだな」
???「お、提督?それに電も?こんな所で何してるの?」
電「あ、足柄さん!お久しぶりなのです!」
「いや、ちょっと電に鎮守府を案内してもらったんだ。ウチの鎮守府しか知らなかったからね。丁度いい機会だと思ってさ」
足柄「なるほど、そうだったの。電ちゃん、この子にセクハラされてない?」
電「し、司令官さんにですか!?」
足柄「ええ。この子妙高にセク「ちょ!ちょっとタンマ!」何?」
「足柄さん!お願いですから子供の前でそういう話は止めてください!変な誤解与えたらどうするんですか!」ボソッ
足柄「いいじゃない。それに誤解も何も真実じゃないの。あれのせいで私の秘蔵のお酒が飲まれちゃったもの」ボソッ
賭けってそういうこと!?いくらなんでもアホすぎるだろうが!
電「し、司令官さん、どうしたのです?」
「あ、い、いや。何でもな「この子がね~妙高にセクハラしたのよ」あ、ちょ、馬鹿!」
電「・・・へぇ」
あ、死んだわこれ。ハイライトが急に消えだした。というか足柄は気づいてないのか?
足柄「それでこの子のせいで賭けに負けちゃうしさ~、もう散々よ…」
電「…司令官さん?」
「は、はい!」
電「鎮守府に帰ったらお仕置きなのです」
「…命ばかりは助けてください」
電「楽しみにしておいてくださいね?」
足柄「…もしかして私、やっちゃった?」
「…恨むぞ、足柄」
足柄「そ、そうだわ!私することがあるんだった!すぐに戻らないと!」
「あ、お前!逃げる気か!」
足柄「じゃあね!電ちゃんもあんまりその子を怒らないであげて!私達の賭けに巻き込んだだけだから~!」ビューン!
フォローするんだったらせめてちゃんと言ってくれ!さっきから電の視線が痛いんだよ!
電「…司令官さん。そろそろ時間なので戻りましょう」
「い、イエスマム!」
その後、営倉まで無事に戻ってきた。帰る電の視線が痛かったが、甘んじて受け入れることにした…が、帰る事を考えると、怖くてその日はあまり眠ることが出来なかった
六日目
事件が起きた。しかし起きたのはここではない。僕の鎮守府での事らしかった
何でも艦娘に襲撃を受けたとのことだった。それを元師の口から聞いた時、訳が分からなかった。艦娘が襲撃?深海棲艦ではなく?
元師に頼みこみ、すぐさま鎮守府に帰れる事になった僕は、急いで準備をする羽目になった
大淀「提督さん!表に車を用意してあるのですぐに乗ってください!細かいことは乗りながら説明します!」
「分かった!それと鎮守府に通話は繋げることが出来るか!?皆の安否を確認したい!」
大淀「残念ながら今は不可能なんです」
「な、何故だ?」
大淀「…鎮守府が半壊したらしく、それのせいで艦娘が数人怪我しており、今は遠征に行っていた天龍さん、龍田さん、潮さん、雷さんの計四名と妖精達が鎮守府の復旧に当たっています。鎮守府に残っていた皆は、その時バラバラの部屋にいたらしいのですが、電と大淀が重傷、愛宕と夕立と島風が軽傷です。通信関係も先程までは動いていたのですが、今では全く繋がらないんです。おそらく、完全に壊れてしまったかと…」
「…そうか」
大淀「…提督さん」
「分かってる。だが後にしてくれ」
おそらく、今の僕の顔は怒っているのだろう。あるいは悲しんでいるのだろうか?正直それは僕にも分からない程に、感情がぐちゃぐちゃになっていたと思う
「襲撃してきた艦娘は?」
大淀「…分かりません。艦娘に襲われたと通信が来ただけでそこで通信が途切れてしまったんです」
「…」
大淀「て、提督…」
拳を力の限り握り、何も出来なかった自分のイライラを無理矢理抑える
なんで?何で襲われた?何故気づかなかった?何故すぐに連絡が来なかった?皆は無事なのか?それとも全員…いや、それはない。だけどこの伝達が誤りだったら?この事件自体が嘘の可能性は?ホントは襲われたのはここじゃなくて、別の鎮守府だったとか?
大淀「提督!」
叫び声のような、しかしはっきりとした強い声が耳元で鳴った。瞬間、頬に鋭い暑さが襲った
大淀「しっかりしてください!鎮守府のトップである貴方が取り乱してどうするんですか!」
「…ごめん」
駄目だ。何でも都合の良いことに向けて考えてしまうのは悪い癖だ。そんなことしたって何も変わらない、結果は変わらないのに…
大淀「あと15分程で着きます。提督は艦娘の皆にどう対応するかでも考えておいてください」
「…あぁ」
とりあえず皆の安全を確認するのが先だ。死者は話を聞く限り出ていない。ならば大丈夫だ。生きていればやり直せる…やり直せるんだ。そう、大丈夫だ。何も、何も問題はないんだ…