この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
最近小説書く暇がないので今回だけ投稿を早くしました。しばらくはやることが山積みどころか、ここでミスったら人生詰むので次の投稿がかなり遅れます。ここさえ乗り切れば後は軽い気持ちで出来るので、どうかしばらくの間お待ちください
職場の皆が仲の良いアットホームな職場です
???「ねぇ、起きて」
「んぁ?」
???「着いたわよ!ほら、起きて!」
「へ…?」
足柄「おはよう。お寝坊さん?曙ちゃんの鎮守府に着いたわよ」
「あ、足柄さん?というか、なんで僕は車に?」
確か病室で寝てたら皆がやってきて、龍田にビンタされた後に響に布団剥がされて…そっから先の記憶が無いな。正直こういうのに慣れてきた自分が嫌だ
足柄「もう、まだ寝ぼけてるの?皆を乗せて曙ちゃんの鎮守府に来たんじゃない。といってもお寝坊さんは貴方だけじゃないみたいだけどね」チラッ
「え?」チラッ
電 スヤスヤ
夕立 スヤスヤ
曙 スヤスヤ
「…」パシャ
三人が肩を寄せ合って寝てる姿……写真に撮らずしてどうするよ?出来れば三人のぷにぷにほっぺの間に指を突っ込みたいです
足柄「早くおこしちゃいましょ。ちょっともったいないけどね」
「皆、鎮守府に着いたよ」ユサユサ
電「ふぇ…?」
夕立「んー…」
曙「へ…あれ?何で車に?」
足柄「皆もう先についてると思うわよ。貴方達も早く入りなさい」
「はい。ここまで送っていただいてありがとうございます」
足柄「良いのよ。それが私の仕事だしね」
足柄「それじゃ皆、また鎮守府で会いましょ」プップー
電「司令官さん、私達って病室にいたはずじゃ……」
「……僕も足柄さんの車に乗った記憶が無い」
電「……深く考えるのはやめておくのです」
「だな…」
夕立「提督さん、誰かいるみたいだよ?」
女提督「遠方からご苦労様です!私、この鎮守府の提督をしている女提督と申します!」ケイレイ
「出迎えありがとうございます。これからしばらくの間、よろしくお願いいたします」ケイレイ
曙「あの、提督……」
女提督「……そう」
「お話したいことはたくさんあるでしょうが、今はここを案内していただけませんか?少しでも早くここの実態を調査しておきたいので」
女提督「……失礼しました。こちらです」
曙「…」
「ふぅ…何とか終わったな」
時刻は23:00。初日なので明日から頑張ってもらおうということで荷物の整理を終え、今は用意された部屋で布団に潜り込んでいる。ちなみに質感は座布団レベル。つまり固い
ブラック鎮守府だと聞いていたので簡易的な評価をつけていたが、第一印象は良。部屋に案内されるまでにすれ違った艦娘の反応は良。先に着いた艦娘達から聞いたここの印象は可。先に来た艦娘達の評価が無ければ叩いても埃が出ないレベルで良い印象しか抱かなかっただろう。部屋が埃臭い事と布団が固いのを除けばだ
結論、超怪しい
曙という前例がいる以上、ここの艦娘は怪我している者で溢れていると思っていたが、実際は何の傷も無い艦娘達が大勢いた。十中八九ここの艦娘、あるいは提督が入渠などをして傷を癒すように指示を出したのかも知れないが、そんなことをしても怪しさが増すだけだと分からなかったのだろうか?
次に部屋だ。床や壁はしっかりと綺麗なのだが、窓際や部屋のスイッチの上に僅かながらの埃があった。これは日頃から掃除をしていない証拠であり、そこから推測するに提督が来ると知った艦娘達が急遽ここを掃除したが、日頃からそんなことしていないので埃が腐ってしまいこのような臭いを放っているんだろう。おかげで数時間前から換気をずっとしている状態だ
そして怪しいと思った一番の理由は先にここに来た艦娘達の話だ
艦娘達の話を聞くと入渠待ちの艦娘がいたようで、腕や足に暴行の跡があり、愛宕の姿を見た途端に恐怖している様子を感じたのだが、それは見た目によるものではなく身を守るように防御の姿勢を取ったことから暴行されると思い、咄嗟に身を守ったのではないか?とのことだった
逆に駆逐艦や軽巡達は愛宕から何か暴行されたりしていないのか?といったことをひっきりなしに聞かれたらしい。どうやら想像以上に愛宕の肩身が狭くなりそうな環境なようだ
”ここでは何も起こっていない平和な鎮守府”だと印象付ける為に用意された部屋、傷一つない艦娘達が逆にここを怪しくしてる。ここが艦娘によって支配されているというのも間違いじゃないだろうな
扉『お客やで』コンコン
「はい」
???『大淀です。提督、今大丈夫でしょうか?』
「大淀か。良いぞ」
大淀「失礼しま…ゴホッ、ゴホッ!」
「すまんな。結構放置されてたみたいで埃の臭いがまだ取れてないんだ」
大淀「て、提督は…よ、良く平気ですね?私達の部屋はもっと綺麗なのに…」
「まぁそんな事はどうでもいい。それよりどうしたんだ?」
大淀「あ、すいません…実は曙ちゃんが川内さんと行動を共にしたいと仰ってまして。一応提督に伺いにきたのですが…」
…二人はここの鎮守府にいた艦娘だ。何も知らない僕らが傍にいるよりも、ここに所属してた二人なら立ち回りも間違えないだろうし任せてみるのもありか
「…分かった。二人ならこの鎮守府にも詳しいはずだし了承しよう」
大淀「分かりました。そのように伝えておきます」
「他に要件はあるか?」
大淀「…すいません。一つ提督に質問したいことがあるのですが」
「なんだ?」
大淀「愛宕さんと時雨ちゃんの事です。何故あの二人をここに連れてきたのか疑問に思いまして」
大淀「提督ならあの二人を元師の鎮守府に置いておくことも可能な筈です。あの二人は深海棲艦に近い見た目をしており、それが原因でここの艦娘からいじめなどを受けるかも知れないんですよ?特に時雨ちゃんなんか駆逐艦ですから鬱憤の溜まった艦娘達にいじめにあってもおかしくないと思うのですが…」
「アイツ等が選んだことだ。ここが危険な場所だと俺は忠告したし、来なくても良い道を提示した。あれでも不満があるなら俺に対して直談判でもしてくりゃいい」
「その上でアイツ等がここに来ると決めたんだ。だったら俺はそれを尊重するし、もし助けを求めてきた時は俺は全力で助けるつもりだ」
ま、助けるっていってもメンタルケアくらいだろうし、正直そこまで深入りしてまで関わるのはめんどくさい。いじめ問題に関しては他人がホイホイ関わって解決するもんでもないしな。ソースは俺
大淀「…分かりました」
「もう大丈夫か?」
大淀「はい。ありがとうございます」
「じゃあ明日に備えて休んでおけ。大淀はここの提督の補佐としての仕事だから頑張るんだぞ」
大淀「分かりました。失礼します」バタン
「…さて、掃除もあと少しだし頑張るか」
・・・清掃中・・・
「妖精さん手伝ってくれてありがとうな。これはお礼だ」っチョコ
妖精「いえ、気にしないでほしいのです」キラキラ
「そうは言うが、目は正直だな」
妖精「う、でも…」
「俺が良いって言ってるんだ。文句言う奴がいたらチクってくれりゃあこっちも対処すっからさ」
妖精「…ありがとうございます。おやすみなさい」
「あぁ、お休み」
「…さて、そろそろ寝るか」
ドア『』コンコン
「…誰だ?」
まさかここの艦娘か?ドアのノック音がした場所がドアノブより少し上あたりなのを考えると駆逐艦か軽巡だが……駄目だ。候補が多すぎて絞り切る事が…
島風「駆逐艦島風です。提督、入ってもいい?」
…考えすぎか。よくよく考えれば戦艦達に主導権握られて酷い目にあってるのにそんなことする気力はないよな
「あぁ。いいぞ」
島風「失礼します」
「どうした?何かあったのか?」
島風「一人でベットに入って寝るのは寂しいから…提督と一緒に寝ようと思ってきたの」
「部屋に川内達がいるだろ。皆と一緒に寝たら良いじゃないか」
島風「時雨から聞いたんだよ。提督と昨日一緒に寝たって」
「……それで?」
島風「時雨だけズルい!私とも一緒に寝ようよ!」
「えぇ…」
島風「ほら、早く早く!」ズルズル
「あぁもう…分かったから引っ張らないでくれ」
「ほら、電気消すから先に布団に行ってなさい」
島風「はーい♪」
「…俺も甘いなぁ」
島風「提督!どっちが先に寝るか勝負ね!」
「分かったよ。明日から頑張らなきゃいけないんだから早く寝なさい」トントン
島風「…不思議。胸をトントンされてるだけなのに落ち着くね」
「良く寝れるおまじないみたいなものだよ。早く寝なさい」
島風「…うん。おやすみなさい」
「…あぁ。お休み」
島風「……」スー
「……懐かしいな」
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部屋割(艦娘)
愛宕グループ
・愛宕※
・島風※
・時雨
・川内
龍田グループ
・龍田
・暁
・響
・雷
・電※
天龍グループ
・天龍
・大淀
・夕立※
・潮
※提督の部屋に入ってきた者
・愛宕
目的:提督と今後の話+猥談
・島風
目的:添い寝
備考:誓って下心は無い
・電
目的:提督と今後の話
・夕立
目的:ナデナデ
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次の日
食堂
「いただきます」
朝日が差し込む食堂で朝食を取る。その姿を艦娘達が物珍しそうに、物悲しそうな顔をこちらに向けるので、それを気にしないように手に持ったゼリー飲料を食べる。正直周りの視線は嫌というほど感じるわけで、何故か可哀想な物を見る目だったのがどうしても疑問だ
「…飯の匂いが染みついてないな。テーブルも少し綺麗すぎる」
曙「て、提督殿」
「曙か。どうした?」
曙「私達の提督がお呼びです。食事が済み次第、執務室に来てほしいと」
「分かった。すぐに向かう」
曙「…ところで提督殿、少し質問があるのですが」
「ん?」
曙「あ、いや、その…何故ゼリーを食事にしているのかと疑問に思いまして。朝食なら鳳翔さんが作ってくれていますが」
「…朝が苦手なんだ。固形物を食べると高確率で腹を下すんでな」
曙「な、なるほど…」
曙との話が終わる直前とほぼ同時に食堂のドアが勢いよく開く。そこには神社の巫女を連想させるような四人の姿が見えた。ちなみに四人に共有して言える事は胸がデカいということである。デカい巨乳ということである!
金剛「Hey!皆さん!おはようございま~す!」
艦娘達「金剛さん!おはようございます!」ガタガタ
金剛「oh!皆、今日も元気いっぱいで嬉しいネー!」
何処がだよ、全員震えまくってんじゃねーか。しかも一部の艦娘に至っては顔色が悪いというより恐怖そのものな顔してるけど?
霧島「お姉さま。あそこに見知らぬ人が…」
金剛「あれ?ここに一般の人は入れた記憶はないのですが?」
「私はここで提督の仕事を学ぶ為にやってきた者だ。今日の朝礼で詳しく発表するつもりだったんだ」
金剛「なるほどネ~!そういう事なら歓迎しまーす!」
「ははっ、ありがとう。ところで後ろにいるのは比叡、霧島、榛名かな?短い間になるだろうがよろしく」
比叡「比叡です!よろしくお願いいたします!」
霧島「…元気そうな提督ですね。これからよろしくお願いいたします」
榛名「…榛名です。よろしくお願いします」
金剛「マイシスター達?何だか元気がないですね~?」
榛名「あ、えっと…それは…」
「きっとビックリしているんだろう。普通の人達と違って何の変化もなく接しているんだからな」
金剛「あれ?確かに提督さんは何も対応変えないですネ?普通、私達を見たら気持ち悪がったりする人がいるのに…」
「君らは美人だからな。別に気持ち悪がる必要もないだろう」
艦娘達 ピクッ
「…またこのパターンか」
金剛「…おぅ!やっぱり提督さんはいい人ネ!そんな人は大好きヨ!」
「ありがとう、お世辞でも嬉しいよ。良かったら私の艦娘達と一緒に食事でもして親睦を深めておいてくれ」
金剛「それはいい考えデース!曙も一緒に食べますよね?お話したい事もありますし!」
曙「あ、えっと…私は…」
いけませんいけません。腹黒女金剛がツンデレ曙を威圧しています。正直これはこれで大好きなんですが、場所が場所なのと、学園モノの悪役令嬢とかではないのが残念です
「…もしかして何か任務があるのか?」
曙「そ、そうなの!ちょっとこれから哨戒任務が…」
金剛「それなら代わりに榛名が行ってくれまーす!そうですよね?榛名?」
榛名「あ、は、はい!榛名、曙ちゃんの代わりに行ってきます!」タッタッタ…
曙「あ…」
金剛「これで大丈夫ですネ!忙しい曙の為に今から紅茶を入れてくるからちょっと待っててくださーい!」
「…」チラッ
曙『ブルブル』
「……」
金剛「お待たせデース!曙の為に作った特別な紅茶、遠慮なくグイッとお飲みくだサーイ!」
そういって金剛が持ってきた紅茶だが、かすかに牛乳の匂いがする…が、普通の牛乳にしては匂いが強い…というより腐った匂いがした。さらに湯気が遠目から見ても分かるほどに明らかだった。おそらくグツグツに熱いのだろう
曙「あ、ありがとう、ございます…金剛さん。い、いただきます…」ブルブル
震える手でカップに向かって手を伸ばす。その顔は恐怖や後悔といった様々な感情を織り交ぜた顔をしており、嗚咽のような声が聞こえる。人の不幸を見て楽しむ人間だけど、こういうのを見過ごす程腐ってないよ?
「あーすまん曙。喉が渇いたからその紅茶貰うぞ」バッ
曙「え?」
金剛「!それを飲んじゃダメデース!」
「ん?確かに曙から奪ったのは悪かったが…すぐに持ってきた辺り手早く作れるのだろう?だったら別にこの紅茶の一杯位、貰っても問題ないだろう。それに金剛が作った紅茶だ。イギリスからの帰国子女が作った紅茶…非常に興味があってな。そう考えると飲まずにはいられなくてな」
曙「あ、アンタ…」
金剛「あ、あの…そ、そうデース!それは曙の為を思って作ったから提督のお口には合わないヨー?だから曙に返したほうが良いと思うな~?」
「ふむ…それもそうか。すまなかったな曙。どうしても飲みたくなってしまって…」
曙「…い、いいえ。そういうことなら仕方ないわ。その紅茶そのまま渡してくれないかしら?」
「あぁ…」ツルッ
曙の綺麗な手に渡そうとカップを伸ばす…が、力を抜くタイミングが早すぎたせいで指にカップが引っ掛かり、中身を自分の膝にこぼしてしまう
曙「あ!」
「アッ…ッツイ…!」
金剛「た、大変ネ!すぐに拭くもの持ってきマース!」ダッ
曙「あ、あぁ…」
「っ…曙、怪我はないか?」
比叡「…君、もしかして」
霧島「…わざと落としましたね?」
「はぁ?何でわざわざこぼさなきゃいけないんだ?それにこれは曙から奪ってしまった俺への罰だろう。その結果がこれだったというわけだ」
霧島「…チッ」
比叡「…」
金剛「布巾貰ってきました!提督さん!これで早く拭いて!」
「あぁ、ありがとう」
金剛「…せっかくのズボンが台無しネー。どうしましょうか?このおとしまえ…」
曙「あ…う…」
「金剛、彼女を責めるな。事の発端は僕だ。彼女は何も悪くない」
金剛「…チッ」ボソッ
おいおい、大胆だね。ここまで露骨にされると困るんだが…ま、聞かなかったことにしよう。多少の不信感も持ってくれただろうし、ちょうどいい引き際か
「幸いコーヒーじゃなくて良かったよ。あれだと染みついたら中々取れないからね」
金剛「は?」
…え、まさか地雷踏んだ?でもどのタイミングで?
金剛「提督君…君は紅茶よりコーヒーが好きなのですか?」
「あ、あぁ。朝と作業途中に飲むコーヒーが好きでね」
金剛「ふーん…」
あかん。目が笑ってない、というよりかは光がない。こんな地雷の踏み方するとか誰が想像するよ……
霧島「…馬鹿ね」ボソッ
比叡「やっちゃった…」
放送『ビー!ビー!』
放送『緊急放送!鎮守府近海に深海棲艦を発見!出撃出来る艦娘はすぐに出撃準備をしてください!』
その放送が流れた瞬間、どよめきが起こる。一部はさめざめとした表情で話す者、また一部はどこか安堵したような、期待したような表情をしている者がいた
「僕は執務室に行って提督に詳細を聞いてくる。君らは出撃準備をするように」
艦娘達「わ、分かりました!」
「金剛達は皆が出撃出来るようにまとめあげてくれ。一応練度が高い者達を集めておいてほしい」
金剛「…分かりました」
曙「わ、私はどうしたらいい?」
「曙はこの鎮守府で待機、ここにいる艦娘達もいつでも出撃出来る準備をしておくんだ。空母の艦娘は偵察機を飛ばして辺りの状況を全艦娘に共有。敵を発見次第座標を報告して攻撃しろ」
空母達「えぇ~…」「私がやらなくても五航戦の子で十分よ」「…チッ」
…空母も力を持ってるって話だったがこれは嬉しい誤算だな。これは利用出来るかもしれない
「各自行動に移せ!奴らは待ってはくれないぞ!」
そう告げ早歩きで食堂を出る。背後から聞こえる艦娘達の騒動が気になるが、今はとりあえずこちらに集中しなくては
執務室
「提督、状況はどうなってますか?」
女提督「あ、え、ええっと…哨戒任務中の不知火が発見したんだけど…その…」
「そんなにヤバい相手なのですか?」
女提督「あの…その…」
「どうしたんですか?まさかそんなに手強い相手なんですか?」
女提督「…う、うぅ」
なんなんだコイツは…こんな事態が初めてだとでも言うのか?元師から優秀と聞いていたからこういう事態になっても問題なく対処出来ると思っていたが見込み違いだったか?
「上に立つ者がそんなのでどうするんですか!情報をはっきり伝えてくれないと伝達ミスで大変な事になるかも知れないんですよ!?貴方は提督として、大勢の命を握る立場の人間としてやる気があるのですか!?」
女提督「ふ、うぅ…その…ね、深海棲艦だと思っていたのは、た、ただのゴミの漂流物だったの…黒かったから深海棲艦と間違えたんだって…」
「…はぁ~」
コイツは駄目だ。能力の有無をあれだけで見分けるのは正直難しいが、確かに性格に難ありだ。これじゃあ今回みたいに危機に直面した時にオロオロするだけで何も動けなさそうなのを見ると、ちょっとやり方を荒っぽくするしかないじゃないか……
「元師め…これが分かってたな?」
女提督「あ、あの…」
「何ですか?」
女提督「皆、もう海に出ちゃったかな?早く呼び戻さないと行けないよね…?」
「…分かってるんだったらサッサと行動しろ!」
女提督「ご、ごめんなさい!」
放送『す、すいません!先程の放送ですが、深海棲艦と思われたものは漂流物でした!各自、警戒態勢を解いてください!』
あぁ~、マジで胃が痛い…普通こういうのって逆だと思うんだがなぁ。多分コイツの性格を見て艦娘達が情調しだして今の状況まで落ちてきた。艦娘による統率が行われ、上提督が機能しなくなったせいで今では虐げられる艦娘まで出てきたんだろうと推測するが……曙の件もあるし突っ込んでみるか
「…ねぇ、女提督さん。少し聞きたいんだけど」
女提督「な、なんでしょう?」
「貴方はこの鎮守府の現状を理解しておられますか?」
女提督「…はい。理解しています」
「では何故何も変えようとしないのですか?貴方は提督であり、この鎮守府の最高権力者でしょう?」
女提督「だ、だって…私が彼女達に指示するよりも、彼女達が率先して動いた方が良い結果になるのは目に見えてるし…」
「…ん?俺の耳がおかしかったのかな?彼女達が率先して動いた方が良い結果になるって?」
「お前さぁ…頭腐ってんの?」
女提督「く、腐ってなんか…「じゃあさっきの発言は何なんだよ」」
「ねぇねぇ、頭イかれちゃってるの?何処をどう見たら良い結果になってるの?新米の僕には何処がどう良くなってるのかわっかんないからさぁ、良ければそこんトコロ教えてほしいなー?」
女提督「あ、うぅ…」
ドア『』コンコン
???「航空母艦、加賀です。提督に少しお話があるのですが」
女提督「ど、どうぞ」
加賀「失礼します」ガチャ
お、加賀か。ここに来た目的は文句だと思うが、はてさてそれをどう切り出すかな?
女提督「ど、どうしたの?話って」
加賀「確か哨戒任務を行っているのは不知火でしたよね?何故彼女がミスしたのか、提督はお分かりですよね?」
女提督「……」
加賀「答えてください。提督」
女提督「…疲労が目に見えている状態で任務に向かわせました」
加賀「そうでしょうね。私も彼女を見たので分かります。問題は何故彼女を任務に向かわせたのかです。彼女以外にも疲労が取れていない艦娘にもこうやって何度か任務に向かわせていましたよね?」
加賀「なぜ未だにこんなことをしているのですか?そんな彼女達の最後がどうなったか貴方はお判りでしょう?」
女提督「…」ブルブル
加賀「…もういいです。彼女が帰ってきたらちゃんと休ませてください。失礼します」バタン
女提督「ご、ごめんなさい…」
「…アンタ、今まで何人沈めた?」
女提督「…言いたくないです」
「…仕方ない。大本営にここの提督は責任を取ることも出来ない無能で、艦隊を指揮する能力もないゴミだと報告せざるを得ませんね」
女提督「そ、それだけはやめて!それをされたら皆が解体されちゃう!」
「じゃあ言え。今まで何人アンタが沈めたのか。はっきりと認識しろ」
女提督「……名です」
「聞こえねえだろうが!もっとはっきり喋りやがれ!」バァン!
女提督「に、20名です!」
「嘘はついてないな?」プラプラ
女提督「は、はい…」
「で、何故そうなった?」
女提督「……今回みたいに疲労が溜まっていた所を無理矢理出撃させたり、哨戒任務中の衝突で沈んだり…です」
「初めて艦娘を沈めた時は?」
女提督「……」
「お前が艦娘を疲労で戦場に送り出す理由は候補が多すぎて分からん。だがお前は提督という立場の人間な以上、艦娘達を上手く運用し戦果を上げるのが必要な人間だ。しかしお前のやってる事は戦果云々の前に人間として終わってる行為だと思わんのか?」
「言え。お前は何を隠してる?」
女提督「そ、それは…『コンコン』」
???「陽炎型駆逐艦2番艦、不知火です。出撃に関する報告に来ました」
女提督「は、入って」
不知火「失礼します」ガチャ
女提督「ほ、報告に来たのよね?早速お願いしてもらえるかしら?」
不知火「はい。0500に任務開始、0732に鎮守府から5km離れた地点で深海棲艦と見間違えたゴミを報告、0750に帰投です」ジロッ
女提督「あ、ありがとう。その、今日はもう任務はないわ。だから部屋に戻ってゆっくり休んでね」
不知火「…申し訳ありません。不知火の記憶違いでなければ0900に出撃があったと思われますが」
女提督「あ、え?そんな時間に任務なんて頼んだかしら?」
不知火「はい。瑞鶴さんからそう言われましたが」
女提督「え、あ…」チラッ
「…」
女提督「あ、その、そう!不知火の代わりに別の子を出撃させることになったの!だから不知火はゆっくり休んでくれていいのよ?」
不知火「…はい、分かりました。ではまた何かあればお呼びください。失礼します」
女提督「はい。お、おつかれさま」バタン
「……命拾いしたな」
「ま、下の中か。アンタが招いた事とはいえ、正常に物事を判断できる位の頭はあるみたいだ」
女提督「…なんで」
「ん?」
女提督「なんでそんなに酷い事ばかり言うのよ!」
女提督「元師からの命令で貴方と貴方の艦娘達も受け入れたわ!少しは感謝の気持ち位見せなさいよ!お願いだからこれ以上私を責めないで!」
「甘ったれんな」
「そもそもの発端はお前だろう?お前がそうやって甘やかしてくれる相手を頼りきってるからまともに艦隊運営が出来ず、挙句の果てに全てを艦娘任せにしたお前の責任だよな?」
「今一度言ってやるよ。お前はどうしようもないクズで、自分で責任を負う事が怖いあまりに艦隊の運営を艦娘に任せたクズだとな」
女提督「…っ!勝手な事ばかり言うな!」パン!
「…言うに事欠いてそれか」
女提督「あ…」
「はぁ…もういいや。めんどくさくなってきた」パシャ
女提督「あ、あ…」
「提督殿、私はやるべきことが出来たのでこれにて失礼させていただきます。また午後からお願い致しますね」ガチャ
女提督「ま、待っ…『バタン』」
女提督「……あ、うぁ、あぁ…」
……大本営に報告されるとでも考えてるんだろうな。ま、今となってはそう考えてくれた方がいいか。後々使えそうだし
さて、そうと決まればさっさと動きますか。早くしないと艦娘が異常に気付くかも知れんし
夕立「何もなくって良かったね~」
電「なのです。また鎮守府が攻撃されなくて良かったのです」
曙「…」
電「曙ちゃん、どうしたのです?」
曙「あ、いや!なんでもないわよ!」
夕立「もしかして提督さんの事っぽい?」
曙「あ…うん…何で分かったの?」
電「何でって言うか…」
夕立「似た経験があるのを見たっていうか…」
二人「「ああいう人ですし…」」
曙「…変な人なのね」
夕立「でも、悪い人じゃないっぽい!」
電「なのです。流石に紅茶を奪っちゃうのはびっくりしたのですが…」
???「ねぇ、今いいかしら?」
曙「あ…加賀さん。おはようございます」
加賀「おはよう、その、ちょっと聞きたい事があるんだけど良いかしら?」
曙「はい。私で良ければ…」
電「でしたら、私達は聞かない方がいいですか?」
加賀「あ、そういえば貴方達はあの子についてきてた艦娘よね?」
電「電です。こっちは夕立ちゃんで同じ鎮守府にいたんです」
夕立「よろしくっぽい!」
加賀「…そうね。貴方達にも聞いておきたいんだけどいいかしら?」
電「…もしかして司令官の事でしょうか?」
加賀「えぇ。でも、その…あの子ってホントに提督なのかしら?」
曙「えっと、どういうことですか?」
加賀「その、私達の提督と話してるのを聞いたんだけど、どうしても同じ提督が話す事とは思えなかったから…」
夕立「ん~、提督さんは前まで一般人だったらしいから、そういうのは良く知らないと思うっぽい」
加賀「…ちょっと待って?どういうこと?」
電「司令官さんは元師が用意したテストをたまたま受けた人で、それに合格した人なのです。だから提督さんは軍学校に行っていないですし、提督に関する勉強もほとんど受けていないのです」
曙「ま、待って!提督になりたてって聞いてたけど、そういうことだったの!?」
夕立「うん、そうだよ?聞いてなかったっぽい?」
曙「初耳よ!ホントは元師の知り合いか何かでコネで入ってきた奴だったりしないわよね!?」
電「流石にそれは無いと思うのです。ただちょっとおかしいだけなのです」
加賀「…とりあえずあの子が変人だということは理解したわ。わざわざ厄介ごとに首を突っ込むぐらいのね」
電「あ、あはは…」
夕立「ところで本題は何っぽい?」
加賀「…分かってたのね」
夕立「少なくとも夕立達はここの現状を知ってここにいるっぽい。だから探り探り聞くんじゃなくて直接聞くけど何が目的で接触してきたの?」
加賀「…分かったわ。そこまで分かってるなら隠す必要もないわね」
加賀「私はあの子をここの提督にしてもらおうと思ってるの。だから「「お断りします」」」
曙「ち、ちょっと二人共!?」
加賀「…理由を聞いても良いかしら?」
電「電達にも鎮守府が…帰るべき場所があるのです。それに仲間もいます」
夕立「あの鎮守府は嫌な思い出しかないし、今は完全に使えないっぽい。それでもあの場には思い出があるっぽい。夕立達に寄り添ってくれた提督との思い出が…」
電「……だからごめんなさい。私達の提督を貴方達に渡すことはお断りなのです」
加賀「…そう」
夕立「悪いけど無理矢理着任させるって考えるのはやめといたほうがいいよ?そうなったら提督さんは絶対に拒否するだろうしね。それになにより…」艤装展開
夕立「私が許さない。あの人を奪うような真似をするのは」
加賀「…!」
夕立「だから諦めて?貴方には譲れないものがあるんだろうけどそれは私達も一緒。貴方の勝手なお願いで無茶苦茶にされるわけにはいかないの」
加賀「…じゃあ、どうすればいいのよ?」
電「…司令官さんに任せてみませんか?」
加賀「…」
電「不安なのも分かります。ですが、どうか信じてほしいのです。あの人はここを変えるためにやってきたのですから」
加賀「…本気なの?」
電「はい。電もここを良くしようと頑張りに来たのです。もしかしたら今も良くしようと活動してるかもしれないのです」
加賀「活動ね…そんなにすぐには出来ないと「か、加賀さん!すぐ来てください!」」
榛名「あの、その、あの…!」
加賀「落ち着いて、いったい何があったの?」
榛名「あ、あの、瑞鶴さんが工廠でぐるぐる巻きに吊るされて回転しっぱなしなんです!」
四人「…は?」
榛名「と、とにかく来てください!」ダッ
電「…」
夕立「…もしかして」
曙「…まさか」
加賀「…とりあえず行きましょう。どんなことになってるのか見に行かないと」
・・・工廠・・・
瑞鶴「誰かぁ…助けてぇ…うぷっ」
電「…チェーンでぐるぐる巻きにされてるのです」
夕立「クレーンに括りつけられてるけど、あのままだと落ちちゃうんじゃ…」
曙「…いえ、瑞鶴さんの下にプールがあるわ。多分あのプールに落ちるように考えられてるんじゃない?」
榛名「瑞鶴さーん!大丈夫ですかー!?」
瑞鶴「お願い…誰でもいいから助け…うぷっ」
加賀「はぁ…こんなことに艦載機を使いたくないんだけれど…」ブーン
瑞鶴「か、加賀に…助けられるなんて…」
加賀「…イラッとしました。クレーンについているあのチェーンを狙ってください」
瑞鶴「え!?ちょっと!?」
榛名「か、加賀さん!?」
加賀「うまくプールに入れると良いですね。頑張ってください」
瑞鶴「この状況でどう頑張れって言うの『バキン!』あ」
プール『0.0』バーン
電「…体からいったのです」
夕立「プールが大きくて良かったっぽい…」
曙「痛そう…」
榛名「ず、瑞鶴さん!大丈夫ですか!?」
瑞鶴「え、えぇ…ありがとう、榛名さん。一応アンタにもお礼を言ってあげるわ」
加賀「…貴方がお礼を言うなんて明日は雨でも降るのかしら?」
瑞鶴「この…!うぇっ…」
電「だ、大丈夫なのです?」
瑞鶴「ご、ごめんね…大丈夫…大丈夫よ」
曙「……瑞鶴さん、一体何があったの?」
瑞鶴「それが…」
・・・回想中・・・
「すみません、瑞鶴さんでよろしいですか?」
瑞鶴「…貴方は確か」
「研修に来た提督です。たまたま瑞鶴さんを見かけたので声を掛けさせてもらいました」
瑞鶴「ふ~ん…それで何の用?」
「私と共に工廠来ていただけませんか?ここじゃ渡せないものがありまして…」
瑞鶴「…」
「すぐに終わります!十分…いえ、五分で終わりますから!」
瑞鶴「…分かったわ。ただし時間を取った分、私の憂さ晴らしに付き合ってよね?」
「憂さ晴らし…というのは?」
瑞鶴「少し付き合ってもらうだけよ。それだけだから安心して」
「…分かりました。こちらです」
・・・工廠・・・
「こちらです」
瑞鶴「…ねぇ、一体何をくれるの?こんな隅まで来て余程の物なんでしょうね?」
「それはですね…」チラッ
瑞鶴「?後ろに何か『バチバチッ』」バタッ
「…良し」
瑞鶴「あ、アンタ…一体、なに…を…」
「…よう……さ…たの…」
・・・回想終了・・・
瑞鶴「で、気づいたらあぁなってたわけ」
電「…瑞鶴さん、憂さ晴らしって言うのは何を?」
曙「…」ブルブル
加賀「…瑞鶴、貴方まさか」
瑞鶴「曙の考えてる事で間違いないわよ。ま、結果的にああなっちゃったけど」
加賀「…!貴方ね!」
夕立「か、加賀さん!ストップ!殴っちゃ駄目っぽい!」
榛名「そ、そうですよ!落ち着いてください!」
瑞鶴「チッ…ホント、何で助けたのよ」
電「…瑞鶴さん、司令官さんはどこいったのです?」
瑞鶴「知らないわ。目を覚ました時にはもういなかったし」
電「…分からないのです」
瑞鶴「え?」
電「いつも司令官さんが行動するときは何かしらの意図があって動いていました。だけど、今回に限ってはその意図が全くといって良い程読めないのです。それに司令官さんにとって利益がないのです」
夕立「んー、でも提督さんの事だから私達には想像もつかない事してるんじゃない?」
曙「そうだと良いけど、これじゃまるで…」
加賀「…瑞鶴、聞きたいのだけれど」
瑞鶴「何でアンタの言うことを聞かなきゃいけないの?」
加賀「ふざけてる場合?このままだと貴方、艦娘として生きることが出来ないわよ」
瑞鶴「…どういうこと?」
加賀「…貴方、まだ妖精をいじめたりしてる?」
瑞鶴「…それが何よ」
加賀「はぁ…今回の一件、もしかしたら妖精さんからのお願いだったのかもね」
榛名「どういうことですか?」
加賀「この子はね、日頃から自分の妖精達をいじめてたのよ」
電「えぇ!?」
夕立「ホントなの…?」
瑞鶴「…」
加賀「私達空母はね、艦載機を飛ばして妖精達が操作をしてくれるのよ。一部そうじゃない人達もいるけど、私達は妖精の力を借りないと出来ないのよ」
曙「…知らなかった」
加賀「知らないのも無理ないわ。だって貴方達に関係するかと言えばほとんどしないもの」
瑞鶴「じ、じゃあ何よ!今回の件はアイツが妖精に頼まれたとでも言うの!?」
加賀「そうとは言わないわ。でも、ここに来たばかりで貴方の事も知ったばかりの人がここまでの行動を起こすという事は誰かに頼まれたか、前から計画してたかのどちらかぐらいしか思いつかないもの。後者に関してはほぼ有り得ないでしょうから、恐らく前者ね」
榛名「…仮に前者でもそんな簡単に頼みごとを聞くのでしょうか?」
電「う~ん…」
夕立「提督さんだったら考えられない事もないけど、でも…」
スピーカー『ピンポンパンポン♪』
スピーカー『12:00、昼食の時間です。午後から出撃のある人はお弁当を受け取りに来てください』
電「…お昼なのです」
加賀「…とりあえず食べに行きましょうか。瑞鶴も午後から出撃だったわよね」
瑞鶴「貴方に言われなくても分かってるわよ。それに鎮守府海域だしね」
夕立「気をつけてっぽい」
瑞鶴「…分かってるわよ」
榛名『あの、曙さん』ボソッ
曙『どうしたの?』ボソッ
榛名『…ここに来た提督さんは悪い人ではないのでしょうか?』ボソボソ
曙『さぁね。でも、これから見ていけばいいんじゃない?大事なのは今後の事よ』ボノボノ
榛名『…そうですよね』ボソボソ
電「二人共どうしたのですか?」
曙「何でもないわ。大丈夫よ」
榛名「はい!榛名は大丈夫です!」
食堂
鳳翔「あ、皆さんこんにちは」
電「こんにちはなのです」
夕立「こんにちはっぽい!」
鳳翔「ふふっ、元気があっていいですね。加賀さんに瑞鶴さんも仲直りしたんですね?」
瑞鶴「それはこの人が私の事を馬鹿にしてくるんですよ!?悪いのはこの人です!」
加賀「私は喧嘩しているつもりはありませんけどね。むしろ指導しているほどです」
瑞鶴「お、お前…!」
鳳翔「瑞鶴さん、怒っちゃだめですよ。加賀さんも言い方というものがあるでしょう?あんまり酷いようならお二人ともご飯は抜きですからね?」
加賀「そ、それだけは…!」
瑞鶴「ご、ごめんなさい…」
鳳翔「分かればいいんです。お作りしますから少し待っててくださいね。今日は魚定食ですよ」
夕立『…凄いっぽい』ボソッ
電『母は強しなのです』ボソッ
榛名「そういえば鳳翔さん、ここに提督が来てませんか?」
鳳翔「まだ来てないわよ。多分執務室にいると思うけど…」
榛名「あ、いえ。そちらではなく、男性の提督が来てませんか?」
鳳翔「あぁ、その人なら奥で手伝いしてるわよ?」
皆「え?」
鳳翔「お手伝いする代わりにお菓子を作ってほしいって言われてね。今は料理してると思うわよ?」
瑞鶴「ほ、鳳翔さん!それホント!?脅されたとかじゃないよね!?」
鳳翔「え、えぇ?脅された?」
夕立「…少なくとも提督さんは脅して中に入ったわけじゃなさそうっぽい」
瑞鶴「どうして!?どうしてそんなことが言えるの!?」
電「もし本当に脅すんでしたら多分不意打ちとかすると思います。普通にやっては艦娘に勝てない事を知ってるはずなので」
夕立「それに、もしホントに脅されてるんだったら、鳳翔さんはもうちょっと不安を伝えようとすると思うっぽい。でも…」チラッ
鳳翔「???」
加賀「…確かになさそうね」
瑞鶴「じ、じゃあアイツが料理に何かを仕込んだりは!?」
鳳翔「瑞鶴さん!言っても良いことと悪い事がありますよ!」
「そうだぞ瑞鶴。そう簡単にイライラしてると戦場でも大変だぞ?」
電「あ、司令官さん!」
「電達も飯か。丁度飯が出来たぞ。流石に下処理に調理まですると結構大変だな。鳳翔さんもいつもお疲れ様です。おかげでここにいる皆は美味い飯にありつけてますよ」
鳳翔「ふふ、褒めるのが上手なのね」
「ホントの事ですよ。これからも美味しいご飯をお願いします」ニコッ
夕立「…えっと、提督さん。だよね?」
「うん、そうだぞ。どうかしたか?」
夕立「…いや、何でもないっぽい」
「?おかしな夕立だな」
「じゃあ鳳翔さん。これ執務室まで運んできますね」
鳳翔「はい。よろしくお願いします」
「皆も今回の飯はいつも以上に美味く作れたから楽しんで食いなよ。食事は生きる活力になるからな」スタスタ
鳳翔「落とさないように気を付けてくださいね~」
瑞鶴「…こわっ」
加賀「…同感ね」
曙「…鳳翔さん、あの子が作った料理を頂戴」
鳳翔「はい、今お出ししますね」
瑞鶴「あ、曙!?本気!?」
曙「料理に何か仕込んでると瑞鶴さんは思うんでしょ?だったら私が食べて証明してあげるわ」
電「あ、電も欲しいのです」
夕立「私も欲しいっぽい!」
鳳翔「はい、分かりました」
榛名「私も同じのをください」
瑞鶴「榛名まで!?」
榛名「食べる物に何かを入れるような人だとは思いませんでした。それに、そんなことをするのは私達だけで十分ですから」
瑞鶴「……」
加賀「…私も後で頼もうかしら」
鳳翔「皆さん、お待たせしました」
料理『アジの開き定食』カボチャ付き
曙「…これは」
電「…美味しそうなのです」
夕立「…っぽい」
榛名「…凄いですね」
瑞鶴「…」
加賀「…鳳翔さん、これは貴方が?」
鳳翔「いいえ。下処理などは手伝いましたけど調理過程は手伝ってないですよ。これはうかうかしてたら抜かされちゃいますね」
曙「…いただきます」
三人「いただきます」
瑞鶴「…」ジッ
電「…やっぱり、美味しいのです」
夕立「うん。美味しいね」
曙「…」
榛名「…びっくりです」
加賀「鳳翔さん、私にもください」
瑞鶴「…私にも」
鳳翔「はい。少々お待ちくださいね」
加賀「…彼の事、どう思うの?」
瑞鶴「……少なくとも本気で私達に危害を加えないのは分かりました」
加賀「そう…」
スピーカー『ザ、ザザッ…』
榛名「?なんでしょう?」
曙「スピーカーの故障じゃないの?」
スピーカー『あ…いら……で…』
電「…待ってください。何か聞こえませんか?」
夕立「…提督?」
スピーカー『…本当にいらないのですか?』
スピーカー『いらないわよ!何で君の持って来た得体の知れない料理なんかを食べなきゃいけないの!?』
スピーカー『…ここに置いておきますね。冷めちゃう前に食べといてください』
スピーカー『出てって!早くこの部屋から出て行って!』
スピーカー『…失礼します』
スピーカー『……はぁ。なんであんな子供を受け入れちゃったんだろう…』
スピーカー『ザ…あん…ザザッ…死ねば……に…』ブツン
電「…」ガタッ
夕立「…電ちゃん」
電「ちょっと執務室に行ってくるのです。すぐに戻ってくるのでご飯は置いといてほしいのです」
加賀「駄目よ」
電「加賀さん、どいてほしいのです」
加賀「何しに行く気?」
電「少しここの司令官さんとお話しに行くだけなのです。そこをどいてください」
加賀「悪いけど、そんなに殺気立った貴方を向かわせることは出来ないわ。今は食事にしなさい」
電「…」ポロポロ
加賀「…優しい子ね」
電「…ヒグッ、電は…電はぁ…!」
加賀「…今は食事にしましょう?これを食べずに残しちゃったら、それこそ彼が傷つくわ」
電「…」コクッ
加賀「良い子ね…」ナデナデ
夕立「…電ちゃん、午後からは私達も遠征っぽい。今は少しでも食べて遠征頑張ろう?」
電「…うん」
曙「……愛されてるのね。羨ましいわ」
瑞鶴「…」
榛名「…いいなぁ」