この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

29 / 96
ギリギリ一日遅れましたが厄落としを兼ねて投稿します。福は内じゃなくても良いから早く決めないと…
実はかなり余裕が無くて小説が少し無茶苦茶かもしれないです。少しずつ読みやすさを改善出来ていると良いのですが、肝心の中身があまりスカスカになってしまっていると思います。

・どうでもいい小話
私が小説を読み始めたきっかけなのですが、中学生の頃に教室にあった本を見て小説面白ってなり今に至ります。ただ内容は覚えているのにタイトル名が全く思い出せなくてまた読みたいのに読めないという…


見る者と知る者

「…やっぱり駄目だったかあ」

 

 

流石に無理か…まぁそう仕向けるような事をしたのは俺なんだが、とはいえ料理をあそこまで否定されるとちょっと傷つくな。料理に罪は無いのに

 

 

???「あの、すいません。貴方は提督でいらっしゃいますか?」

 

「そうだが…」

 

???「陽炎型2番艦、不知火です。少し聞きたいことがありまして」ケイレイ

 

 

…分っかりやすい位に警戒してるな。例えるならメタ〇ギアでいう所のDANGERレベルか。ちなみにプレイしたことはないです

 

 

「何だ?」

 

不知火「先程執務室で司令にご飯を届けてましたよね?その時の話し声が聞こえてたのですが…」

 

「…それで?」

 

 

少し強めに声を出して言葉を吐き出すが、反応に変化はない。寧ろ警戒を強めてしまったようで拳を握る手が少し震えているように見えた

 

 

不知火「…あまり司令の事をいじめないであげてください。お願いします」

 

「…ふむ」

 

不知火「司令があのような性格になってしまったのは艦娘である私達の責任なんです。どうか司令を責めるのではなく、ここにいる艦娘達を代表し私が全て受けます。だから…「もう良い」」

 

「そこまで言うならお前に罰を受けてもらう。アイツ女提督には何もしないと約束してやろう」

 

不知火「ほ、ホントですか?」

 

「ただし今回だけだ。上の者がああなったのは例え部下艦娘が原因だったとしてもそれで許されて良いわけではない。部下の不敬で一々ああなっているのでは上に立つ者として失格だ。俺が今回の件を見逃す理由は、部下にここまで庇われてる奴に説教なんかしてもどうせ同じ事の繰り返しを行うだけだから部下であるお前に対して罰を受けてもらうんだ。罰を受ける身として何故尻拭いを行わせたのか。その意味をしっかりと考えろ」

 

不知火「…分かりました」

 

 

不知火に尻拭いを行わせる理由としては、アイツ女提督では気が弱すぎる為、意見されただけで自身の判断に迷ってしまう。不知火にはそうならないようアイツの支えになってもらい、間違い責任放棄を行わせないようにするのが目的だ。最悪の展開としては、不知火がとんでも勘違いを起こして共依存のような関係になってしまうことだが、不知火なら大丈夫だろう。真面目な性格だしおかしなことにはならない筈だ

 

 

「一度確認しておいてやる。先程言った言葉に嘘はないな?」

 

不知火「ありません」

 

「良し、ならば実践してもらおうか。早速一つ思いついたのでな」

 

不知火「…分かりました。例えどのような事でもしっかりと償わせて頂きます」

 

「良い子だ。ついてこい」

 

不知火「はい」

 

???「…」ギリッ

 

 

 

・・・提督の部屋・・・

 

 

 

「では不知火、早速命令だ」

 

不知火「…はい」

 

「君にこれを渡す。これを工廠にいる妖精に渡してくるんだ」っ金平糖

 

不知火「……え?」

 

「いいか?こいつは大切な物だ。決して途中で食べたり落としたりしちゃ駄目だからな」

 

不知火「え…あの…」

 

「反論は聞かん。今すぐ行って渡してこい。ついでに伝言として『約束の物だ。お前達も協力しろ』と伝えてきてくれ」

 

不知火「わ、分かりました…」

 

「では行ってこい!決して欲望に負けては駄目だぞ!」

 

不知火「し、失礼します…」バタン

 

不知火「…???」ジィーッ

 

 

…戸惑ってるぬいぬいは可愛い。尻拭いをするはずがただ届け物をしてほしいと頼んだだけだし、そりゃあんな反応にもなるわな。本来の目的はさっきの注意で済んだし少しの雑務で十分だろう

 

 

「…良し。次の罰でも」

???「ちょっと!いるんでしょ!出てきなさい!」ドンドン

 

 

あぁ!ドアが!〇ムと〇ェリーみたいに滅茶苦茶に曲がっては直ってを繰り返してる!すぐに開けるからそんなに叩かないで!あのアニメだと素直に開けなかったらドア壊れるんだから!

 

 

「…何だ?」ガチャ

 

???「ヒッ…!」

 

「ドンドンドンドン叩きやがって…何の用だ」

 

???「こ、このクズ!不知火に何させたのよ!?事と次第によってはただじゃおかないんだからね!」

 

「早々に上官をクズ呼ばわりか…肝が据わっているな」

 

 

おぉ…霞だ!クズクズ言うが実際はかなりの世話焼きで、その気遣いの良さから数多くの提督にママと呼ばれる数少ない艦娘の霞ママじゃないか!

ちょっとビクビクしながら強気の姿勢を崩さないのは可愛いんだが、もう少し涙目なのが個人的に……と、いかんいかん。可哀想な霞はイラストで十分。イラストだからこそあの良さがあるのであって、唐突に”閲覧禁止”とか、深海棲艦に囚われて仲間に保護されて帰ってきた霞が”閲覧禁止”とか、”可哀想な霞は可愛い興奮する”はヤバい問題になりかねないからな…

 

 

霞「い、今はそんなことどうでもいいでしょ!?早くあの子を解放しなさいよ!」

 

「…ふっ、なるほどな」

 

霞「な、何よ!?何がそんなにおかしいの!?」

 

「お前、不知火が心配か?」

 

霞「当たり前じゃない!いつも疲労で大変なのに顔色一つ変えずに任務に向かっていくし、その目が気に入らないからって当てつけで重巡に暴力を受けてるのに、私達に心配かけさせたくないからってひた隠しにするし、他の人の任務を勝手に押し付けられてるのに何も反論せずに、ただ分かりましたとしか言わないのよ!?同じ仲間として心配しない訳ないでしょ!」

 

「お、おう。お前の気持ちは良く分かった」

 

霞「早くあの子を解放しなさい!これ以上不知火に無理をさせる訳にはいかないの!それが出来ないんなら「ならお前が代わりにやれ」…え?」

 

「お前のアイツを心配する気持ちはよーく分かった。俺も鬼じゃない。お前が代わりにアイツの身代わりとなるなら考えてやろう」

 

霞「…その言葉に嘘はないわよね?」

 

「安心しろ、俺は約束を守る男だ。お前はただこちらの条件を飲んでくれたらいい」

 

霞「…分かったわよ。それで、何をしたらいいの?」

 

「ふ、ふふっ、話の分かる奴は嫌いじゃないぞ?」

 

霞「お世辞は良いわ。早く言いなさいよ」

 

「何、簡単な事だ。お前には誰にも見られずにこの写真を何枚も現像してほしい」っ二枚の写真

 

霞「…!これって…!」

 

「これはチャンスだぞ?あのクズみたいな提督と空母瑞鶴を地獄に落とすチャンスのな」

 

霞「…」

 

「仕返し、したいだろ?」

 

霞「……悪魔みたいな奴ね」

 

「聞くまでは無いと思うが一応最終確認だ。やるか?」

 

霞「…分かったわ。これでホントにあの子を解放してくれるのよね?」

 

「言っただろう。嘘はつかないと…ただし、もし失敗でもしたらその時には今よりもっと酷い事をするかもなぁ…?」

 

霞「…!」キッ

 

「おぉ、怖い怖い。目だけで殺されてしまいそうだ。ま、ここで俺を殺したらお前は上官殺しの汚名を被って解体だろうがな…そうなれば誰がアイツを守るのかなぁ?」

 

霞「この、ゲスが…」

 

「なんとでも言え。ほら、早く行ったらどうだ?今不知火に会うのは不味いだろう?」

 

霞「…失礼しました!」バンッ

 

「…行ったか」

 

妖精「…提督さん、ホントにいいの?」

 

 

妖精さんが悲しそうな目と声でこちらに訴えかけてくる。なぜこんな事をするのかという疑問と困惑といった表情が見て取れた。おそらく妖精さんは俺がわざと霞に嫌われていると思っているのだろうが、ただ本音は可哀想な可愛い霞を見たいからです。他意はありません

 

 

「あぁ、少しでも良くするためだ。これくらいはやらないとな」

 

妖精「で、でも…」

 

「…大丈夫だよ。ありがとうな」

 

妖精「…うん」

 

「さ、仕事の時間だ。君もそろそろ瑞鶴と一緒に行ってくれ」

 

妖精「……はい。分かりました」

 

「頼んだぞ。瑞鶴の命は君が握っているということを忘れるな」

 

 

 

15:00

 

金剛「皆、準備はいいですかー?」

 

霧島「行きましょう。お姉さま」

 

瑞鶴「じゃあ行ってくるわ」

 

女提督「き、気を付けて行ってきてね。皆」

 

艦娘達「…」

 

金剛「皆さん、ボーっとしないで行きますよ?遅れたら置いていきますからネー?」

 

艦娘達「…はい」

 

金剛「では提督!行ってきマース!」

 

女提督「い、いってらっしゃい…」

 

 

 

・・・海上・・・

 

 

 

金剛「…はぁ、つまんないネー」

 

霧島「お姉さま、帰ったら何しますか?」

 

金剛「んーそうネー。とりあえずあの提督と一緒に来ていた艦娘達を引き込めないか試してみましょうか。あの子たちの話を聞くとブラック鎮守府にいたみたいですし、あの提督も私達の玩具に出来るかも知れませんからネ~」

 

霧島「…それは、あまりいい考えだとは思えません」

 

金剛「…どうしてですか?」

 

霧島「彼女達に一度接触を図りましたが、あいつ等は提督の事を慕っているようでした。なので提督の方をどうにかしてみない事には…」

 

金剛「彼女達が提督を慕っている限り、こちらに引き込むのは難しいと?」

 

霧島「はい。なので…「問題ありませーん」」

 

金剛「提督…というかあの人間は見たところ普通の人間でーす。しかも提督としては新米も良いところ…その気になればこちらの力を思う存分振るって分からせてあげればいいデース。あの提督・・・・みたいに私達艦娘に怯え切った提督を見れば彼女達からの評価はガタ落ち…そこを狙ってスカウトしませんか?」

 

霧島「でも、あの子がそんなに簡単に落ちるでしょうか…」

 

金剛「ンもう、霧島は心配性ネ~。仮に失敗したその時は重巡の奴に任せておけば良いでしょう。アイツらに体を使わせればどうせ落ちマース」

 

霧島「…成功、するでしょうか?」

 

金剛「…霧島は何がそんなに不安なんですか?」

 

霧島「あの子が食堂で言っていた艦娘達は綺麗だと言っていましたが、あれ自体が嘘の可能性もあります。というか嘘としか思えませんし、もし重巡が失敗したら不信感をむしろ買うだけかと…」

 

金剛「ふむ…確かに一理ありますネー」

 

瑞鶴「……」

 

金剛「あ、いい考えが浮かんだネー!」

 

霧島「ホントですか?」

 

金剛「イエース。霧島、貴方があの子に接近してみてくださーい」

 

霧島「わ、私がですか!?」

 

金剛「私達艦娘は世間のモデルと違って正反対のプロポーションをしているのが大勢いますよね?だけどアイツは私達艦娘が綺麗だと言っていました。だったら例え嘘でもその嘘を守ろうと接近を許すはず…それを利用して接近しちゃえばいいんです。もし好印象なら体を使って落とせば良いですし、逆に悪印象ならば力で言うことを聞かせればいいんデスヨ。霧島ならパワーもありますし、何かあっても大丈夫でしょ?」

 

霧島「あ、えっと……私よりも重巡の方で良いのがいると思うんですけど…」

 

金剛「霧島?お姉ちゃんの言うことに逆らうのデスカー?」

 

霧島「…い、いいえ」

 

金剛「ウンウン。分かればいいデース!そうと決まれば早いとこ出撃終わらせて帰るネー!」

 

瑞鶴『…私もあれと同類なのよね』ボソッ

 

金剛「瑞鶴、何か言いましたか?」

 

瑞鶴「い、いいえ!何も言ってないです!」

 

金剛「ふーん…ところで、まだ敵艦隊は見つかりませんか?」

 

瑞鶴「それが、何も引っ掛からないんです。普段ならそろそろ見つかると思うんですが、妖精から何の連絡もなくって…」

 

金剛「それはおかしな話ネー。いったい何が『ドーン!』あぁあっ!」小破

 

瑞鶴「え!?何!?」

 

霧島「7時の方向から攻撃です!距離は約300M!敵は重巡二隻、駆逐二隻です!」

 

金剛「shⅰt!あんな雑魚にやられるなんて…!」

 

瑞鶴「う、嘘!?何でこんなに近くに!?」

 

霧島「戸惑ってる暇はありません!総員戦闘態勢!」

 

如月「ひっ…」

 

皐月「ど、どうしよう…」

 

文月「こ、怖いよぉ~…」

 

金剛「…貴方達、前に出てアイツらに攻撃しなさい」

 

皐月「え、えぇ!?それをしたら僕達が的になっちゃうよ!」

 

金剛「大丈夫デース。後方から私達も攻撃しマース!だから安心して前に出てくださーい!」

 

皐月「う、わ、分かったよ…」

 

如月「さ、皐月ちゃん!」

 

文月「ちょっと待って!私達も一緒に行くから!」

 

皐月「え、え?どうしたの?」

 

如月「良いから!貴方はまだ建造されたてで、実戦も初めて何だから少し後ろで見てて!」

 

皐月「う、うん…」

 

瑞鶴「…妖精さん。さっきは駄目だったけど攻撃は出来るわよね?これが出来なかったらどうなるか分かるでしょ?」

 

妖精 コクコク

 

瑞鶴「…頼んだわよ」バシュン

 

金剛「私達も続きますよ!」ドォン!

 

霧島「砲雷撃戦、開始!」ドォン!

 

リ級1 轟沈

 

リ級2 大破

 

イ級  轟沈

 

イ級 轟沈

 

瑞鶴「クソッ!一機漏らした!」

 

リ級2『ニィ…』ドン

 

皐月「痛い!つぅ……なんだよ~、見るなって!」大破

 

如月「皐月ちゃん!」

 

文月「よくも皐月ちゃんを…!許さないよぉ~!」ドン

 

リ級2 轟沈

 

霧島「…戦闘終了ですね。瑞鶴、辺りの状況は?」

 

瑞鶴「…大丈夫よ。深海棲艦はいないわ」

 

皐月「い、いたた…まいったな、こんなところで大破だなんて…」

 

文月「皐月ちゃん!大丈夫!?」

 

如月「こ、金剛さん。ここは一旦提督さんの指示を仰がない?少なくともこの海域は解放済みだし、こうやって深海棲艦と戦闘しているのも海の治安維持の為だから、少なくとも無理してここで進む必要はないと思うの」

 

金剛「ふむ…確かに如月の言う通りですね。ここは一回提督の指示を聞きましょうか」

 

如月「…!わ、分かったわ!すぐに繋ぐわね!」

 

金剛「…さて、如月達が通信してる間にもう一つの問題も片づけましょうか」

 

瑞鶴「…」

 

金剛「心当たりはありますよね?瑞鶴さん?」

 

瑞鶴「…索敵に、敵が引っ掛からなかったです…」

 

金剛「イエース。そして?」

 

瑞鶴「そ、そして…し、小破と大破という結果で勝利しました」

 

金剛「だけど実際は近くに深海棲艦がいて先制攻撃を喰らってしまいマシタ。もし貴方がしっかりと索敵をしていれば私が小破したのも防げたかも知れまセーン」

 

瑞鶴「…」

 

金剛「結果として私は入渠せざるを得ません。勿論、大破している皐月もです」

 

瑞鶴「な、何が言いたいんですか?」

 

金剛「簡単な事デース。貴方と皐月、二人でこの海域を攻略しなさい。その間に私達は鎮守府に帰らせてもらいます」

 

瑞鶴「ま、待ってください!何でそうなるんですか!?」

 

金剛「足手まといはあの鎮守府にいらないからですヨ。なので、挽回のチャンスだと思ってくださいね?」

 

瑞鶴「チ、チャンス?」

 

金剛「イエース。もし貴方達二人だけでこの海域を攻略出来たら足手まといなんかじゃありません。むしろたった二人で海域を攻略した大手柄です。この意味が分かりますよね?」

 

瑞鶴「…!」

 

金剛「さぁ、どうしますか?」

 

如月「ち、ちょっと待ってよ!」

 

文月「そ、そうだよ!」

 

金剛「おや、お二人ともどうしました?もしかして、何か反論ですか?」

 

如月「そ、その…!提督から全員撤退だと指示を受けました!なのでここは指示通りに撤退を…!」

 

文月「そ、そうですよぉ~!司令官の命令はちゃんと聞いておかないと!」

 

金剛「…霧島、通信の内容は?」

 

霧島「あ、えっと…」チラッ

 

文月・如月 ブルブル

 

霧島「…い、いいえ。そのような指示は飛んできていません。全て旗艦である金剛の指示を受けるようにと言われました」

 

金剛「…とのことですが、どうして嘘をついたのですか?」

 

文月「あ、えと…その…」

 

如月「…それは」

 

瑞鶴「もういいでしょう!?私だけ置いて皆で帰れば良いじゃない!皐月は駆逐艦なんだから入渠すればすぐに治るわ!それに私の対処さえ早ければ皐月だって大破することは無かったはずよ!だから…!」

 

金剛「もういいデース。これ以上ここで言い争っても時間の無駄でしかありません。提督からの指令を虚偽した文月、如月も加わって四人で海域を攻略しなさい」

 

如月「そ、そんな…」

 

文月「う、嘘だよね?金剛さん…」

 

皐月「…」

 

瑞鶴「ち、ちょっと!待ちなさいよ!」

 

金剛「霧島、帰りますよ」

 

霧島「は、はい…」

 

金剛「あ、そうそう。もし私達に内緒で撤退するのならば…分かってますね?」

 

瑞鶴「く…!」

 

金剛「それじゃあ、貴方達の活躍楽しみにしてマース」

 

如月「そ、そんな…」

 

文月「ま、待ってぇ…待ってよ。金剛さん…」

 

皐月「……皆ごめん。僕が大破したせいで…」

 

如月「皐月ちゃんは悪くないわ…謝る必要なんてないのよ」

 

瑞鶴「…皆、進撃するわよ」

 

文月「ほ、ホントに行くんですかぁ!?」

 

瑞鶴「えぇ。もし戻ることになったら私達はきっと命令違反で解体されると思うわ」

 

皐月「…そんな」

 

瑞鶴「確実に死ぬ解体と分かってる道と、もしかしたら生き残って帰れる道があると考えたらどっちを取るか…分かるよね?」

 

如月「…進むしかないのね」

 

瑞鶴「皆、皐月にを中心に輪陣形で動くわよ」

 

文月「…その前にちょっと待って」

 

瑞鶴「何?」

 

文月「…先に謝るのが先なんじゃないですか?」

 

瑞鶴「…」

 

如月「ち、ちょっと文月!今そんな事言ってる場合!?」

 

皐月「そ、そうだよ。何もこんな時に言うことじゃないって…」

 

文月「でも!この人がちゃんと索敵が出来ていればこんなことにはならなかったんだよ!?皐月ちゃんだって大破することも無かったし、金剛さん達と離れ離れになることもなかったんだよ!?」

 

瑞鶴「…っ!」

 

皐月「そ、それは…」

 

如月「…」

 

文月「そのことに対しての謝罪がないと、私は瑞鶴さんの事信じられないよ!」

 

瑞鶴「…ごめんなさい」

 

三人「!」

 

瑞鶴「…本当にごめんなさい。索敵出来なかったのも全部は私が招いた事よ。謝っても謝りきれることじゃないわ」

 

瑞鶴「でもお願い。今この時だけでもいい。今だけでもいいから私についてきてほしいの」

 

瑞鶴「私の命にかけても貴方達は絶対に鎮守府に返すって約束するわ。貴方達が沈まないように私が全部の深海棲艦を引き受けても良い。だから…」

 

文月「……もう良いです、謝罪は受け取りました。私は許します」

 

如月「そんなに責めないで。反省してるんでしょう?だったら私は許すわ」

 

皐月「僕も許すよ。だからそんなに重く考えないでさ、皆で一緒に帰ろうよ!ね?」

 

瑞鶴「……ありがとう」

 

如月「それじゃあ瑞鶴さんを旗艦として動きましょう。誰か異論はある?」

 

皐月「僕は無いよ」

 

文月「私も」

 

瑞鶴「…行くわよ。皆」

 

 

 

ボスマス

 

瑞鶴「皆、索敵に反応があったわ!戦艦一隻、軽巡一隻、駆逐三隻!如月と文月が前へ!皐月は後方で私の援護を!」

 

如月「了解!」

 

皐月「わ、分かった!」

 

文月「頑張るよぉ~!」

 

瑞鶴「お願い!戦艦を集中的に狙って!」バシュン

 

 

ル級 中破

 

ヘ級 大破

 

イ級1 Miss!

 

イ級2 Miss!

 

イ級3 轟沈

 

 

皐月「や、やった!大打撃だよ!」

 

如月「でも…流石に戦艦を落とせなかったのは辛いわね…」

 

瑞鶴「戦艦は任せて!貴方達は他の相手を!」

 

三人「了解!」

 

如月「お願い…当たって!」ドン

 

 

イ級2『グォッ!?』中破

 

ル級『…』ドン

 

 

文月「か、回避!」Miss!

 

如月「戦艦もそうだけど、敵の攻撃どれをとっても危険よ!一撃でも貰えばそのまま狙われちゃうから気を付けて!」

 

瑞鶴「クッ…ソ!」バシュン

 

 

ル級『!』Miss!

 

 

瑞鶴「う、嘘!?」

 

皐月「瑞鶴さん!危ない!」

 

 

へ級『…』ドン

 

 

瑞鶴「きゃあ!っ…かすり傷なんだから!」小破

 

如月「瑞鶴さん!大丈夫!?」

 

瑞鶴「大丈夫!まだ艦載機は飛ばせるわ!」

 

皐月「く…!このぉ!」ドン

 

 

へ級 轟沈

 

 

皐月「や、やった!」

 

文月「皐月ちゃん!逃げて!」

 

皐月「え?」

 

 

イ級1『…』ドン

 

 

皐月「しまっ『ボン!』」Miss!

 

瑞鶴「だ、大丈夫?」

 

皐月「ず、瑞鶴さん!」

 

文月「よ、良くも皐月ちゃんを狙ったなぁ!許さないよー!」ドン

 

 

イ級1『…』小破

 

イ級2『ガァァッ!!!』ドン

 

 

文月「くぅ!」小破

 

瑞鶴「チッ!これで終わり…よ!」

 

 

ル級 大破

 

 

瑞鶴「し、しまった!」

 

 

ル級『…』ドン

 

 

瑞鶴「きゃあああ!?」大破

 

文月「ず、瑞鶴さん!」

 

瑞鶴「こっちは良い!戦艦はもうギリギリのはずだからそっちを狙って!」

 

如月「わ、分かったわ!」ドン

 

 

ル級『…』Miss!

 

 

如月「そ、そんな!」

 

 

イ級1『…』ドン

 

 

文月「い、痛い!」大破

 

皐月「く…クッソォ!早く!早く負けてよ!僕達に勝たせてよ!」ドン

 

 

ル級 轟沈

 

 

皐月「よ、良し!」

 

 

イ級2『クォオオ!』ドン

 

 

如月「ひっ…!」Miss!

 

瑞鶴「…不味い、このままじゃ」

 

文月「お願い…当たって!」ドン

 

 

イ級1 轟沈

 

 

文月「や、やったぁ!」

 

瑞鶴「全員、魚雷が来るわよ!魚雷を撃てる人は撃って!」

 

如月「これで…終わりよ!」シュッ

 

 

イ級2『ッカ、ァア……』轟沈

 

 

如月「や、やっ『ボォン!』…!」

 

文月・皐月「瑞鶴さん!」

 

瑞鶴「……ここまでね」ボンッ

 

皐月「あ、あ…」

 

瑞鶴「皆、敵はもういない?」ズブッ

 

如月「い、いないわ!もう終わったのよ!」

 

瑞鶴「…そう。良かった」ズズッ…

 

皐月「瑞鶴さん!沈んじゃダメ!」

 

瑞鶴「……じゃあね、皆。ちゃんと無事に帰るのよ?」

 

文月「…駄目!一緒に帰るの!瑞鶴さん!手を握って!」バッ

 

瑞鶴「…ごめんね」ブクン

 

 

瑞鶴 轟沈

 

 

如月「う、うぅ…」

 

皐月「ず…ずいかくさん…」

 

文月「何で、握らなかったの…!何で…!」

 

如月「…皆、帰りましょう。提督に…ほ、報告を…」

 

皐月「僕の事…守ってくれたのに…お礼も…お礼も言えてないのに…!」

 

文月「う…ひぐっ…」

 

 

 

 

 

「……ま、いい感じだったんじゃないか?妖精さんはどうだった?」E.望遠鏡

 

妖精「…まだ皆が納得しているわけじゃありません。でも、他の艦娘を命を賭けてまで守った姿を見たのです。ならばそれに答えるというのが艦娘を支える我々妖精達の務めでしょう」

 

「ふっ、なら早速サルベージといこうか。いつまでも海の中じゃ不味いだろ」

 

緊急ダメコン発動!

 

 

 

・・・鎮守府・・・

 

 

 

金剛「…瑞鶴が轟沈。如月が無傷、皐月と文月が大破…と」

 

如月「…はい。そうです」

 

金剛「分かりました。皆さん、今回の出撃お疲れ様デース。大破している文月と皐月は入渠してくだサーイ。如月は今日はもう休んで良いですから、部屋で休んでなさい」

 

皐月「っ…!それだけ!?沈んでいった瑞鶴さんに対して何にもないの!?」

 

金剛「…はぁ。何か勘違いしてませんか?」

 

皐月「か、勘違い?」

 

金剛「瑞鶴が沈んだのはそもそも索敵も碌に出来ないクズだったからデース。大方沈んだ理由も、どうせ油断してたかの話でしょう。そんな奴に掛ける言葉なんてありませーん」

 

文月「…酷い」

 

金剛「その証拠に?私は小破という怪我をしてしまいました。原因はアイツが索敵を怠ったからデース。ちゃんと出来ないから沈んでしまったんですし、こうなるのも仕方ないのかも知れないネー」

 

如月「…貴方って人は!どこまで瑞鶴さんを馬鹿にすれば気が済むの!」ガチャ

 

金剛「…砲を向ける。それも味方に。その意味が分かってやってるんですよね?」

 

如月「分かってるわよ!分かってなかったらこんなこと『ドォン!』がっ!」ドサッ

 

文月「き、如月ちゃん!」

 

霧島「お姉さま!大丈夫ですか!?」

 

金剛「oh!霧島、ありがとうデース!おかげで助かりました!貴方はMy Sisterの中でも最高の妹デース!」

 

霧島「あ、ありがとうございます!」

 

皐月「き、霧島!なんでこんなことするのさ!?」

 

霧島「…私は金剛姉さまに危険が及ぶと判断し撃ったまでです。他意はありません」

 

皐月「お前…!」

 

文月「如月ちゃん!如月ちゃん!返事をして!」

 

如月「う…あ…」

 

文月「…!皐月ちゃん!まだ息があるよ!」

 

皐月「よ、良かった!じゃあ早速入渠させな「駄目デース」…は?」

 

霧島「こ、金剛姉さま?」

 

金剛「如月はしばらくの間独房に入れておきマース。その間、一切の施しをしてはいけませーん」

 

文月「そ、そんな…」

 

皐月「…なんの」

 

皐月「何の権限があってそんなことをするんだ!お前は!」

 

金剛「ここでは私がルール…規律そのものデース。だから違反した場合、速やかに沈んでもらいまーす。あ、それとも解体の方が良いですカ?どっちにしろ死んじゃうのには変わりありませんけどね」

 

皐月「…!おま「駄目!やめて!」…文月」

 

文月「お願い…お願いだから皐月…こらえて。お願いだから我慢して…!もう、もう目の前で姉妹が怪我をするのは見たくないの!」

 

皐月「…ごめん」

 

金剛「正しい判断デース。霧島、如月を営倉へ放り込んでおきなサーイ」

 

霧島「わ、分かりました!」

 

皐月「…!」ギリッ

 

金剛「二人も早いとこ入渠してきてくださーい。高速修復剤は勿体ないので使わないようにネ?では、グッバーイ」

 

皐月「…クソッ!」

 

文月「…皐月、入渠に行こう?」

 

皐月「…」コクッ

 

 

 

夕立「…酷い」

 

加賀「うっ…」

 

電「か、加賀さん。大丈夫ですか?」

 

加賀「…えぇ。悪いけど、部屋に戻るわ」

 

電「肩を貸すのです」

 

加賀「…ごめんなさい」

 

夕立「…っぽい?」

 

電「夕立ちゃん。どうしたのです?」

 

夕立「その…何か聞こえないっぽい?」

 

加賀「え?」

 

『……ブォォォ』

 

夕立「…モーターの音?」

 

電「工廠の外から聞こえるのです」

 

夕立「誰かこの鎮守府にやってきたのかな?」

 

加賀「ありえないわ。いくらこの辺りが安全に近いとはいえ、まだ海は深海棲艦が徘徊してるのよ?」

 

夕立「行ってみるっぽい!」ダッダッダ

電「ゆ、夕立ちゃん!」

 

加賀「…私達も行きましょう。万が一深海棲艦なら大変だわ」

 

電「わ、分かったのです!」

 

 

 

「よいしょっと。艤装のせいで重いけど運べない程じゃないな…一部プニプニしてるのが気持ち悪いけど」

 

妖精達「…」

 

???「て……さ…!」

 

「ん?この声は…」

 

夕立「提督さん!何でここに!?それにその人って…!」

 

「やっぱり夕立か。すまんが代わりに運んでくれないか?まだ大破したままでこのままじゃ目のやり場に困るんだ」

 

夕立「う、うん!」

 

電「し、司令官さん!今までどこにいたんですか!?それに夕立ちゃんが背負ってる人って…」

 

加賀「ずい…かく…?」

 

瑞鶴「…」大破

 

「電と加賀もいたのか。すまんが夕立を手伝ってくれ」

 

加賀「え、えぇ…!」

 

電「司令官さん!電の質問に答えてほしいのです!」

 

 

おぉ…電も成長してるな。ここまで意見してくることは無かったのに、娘の成長見てるみたいでちょっと嬉しいな

 

 

「海だ。正確には金剛と霧島が見捨てて帰ってきたあの海域にな」

 

電「あ、あの海域って!何キロあると思ってるのですか!?」

 

「さぁ?ただ妖精さんが改造してくれたこの船が無かったら帰宅は深夜か、次の日だっただろうがな」あ、執務は船でやったから終わってるぞ

 

電「そ、それだけじゃないのです!あそこには深海棲艦達がいて、見つかったらあそこで沈んでたかも知れないんですよ!?」

 

「だけどこうして帰ってきた。それに仲間もついでにな」

 

電「どうして…そんな無茶を」

 

「いやだって二人は遠征行ってたし、島風達に護衛してもらいながら行くと絶対に時間かかるだろ?だったら一人で行った方が早かったからな」

 

電「…っ!…っ!」

 

「い、電?大丈夫か?顔が真っ赤だぞ?」

 

電「この…バカぁ!」バチン!

 

「あぶし!」中破

 

電「なんで!なんでそんなに危険な事をしたんですかぁ!?」

 

「だ、だから…その理由が瑞鶴じゃないか…」プルプル

 

電「瑞鶴さんが心配だから行ってきたとでも言うんですか!?あんなことをしたのに!?」

 

「いや、むしろあれは妖精さんに頼まれ「問答無用なのです!」理不尽ッ!」大破

 

電「本当に…心配、したんですからぁ…」

 

「…」チーン

 

加賀「…電。彼、息してないわよ」

 

電「あ、あぁ!?司令官さん!司令官さん!!!」

 

加賀「……愛されすぎてるってのも問題ね」ハァ…

 

 

17:03 提督、電のビンタを受け気絶

 

 

 

・・・病室・・・

 

 

 

「…知らない天井だ」パチッ

 

電「スー…スー…」

 

「……時刻は1932…不味いな。おい、電起きろ」ユサユサ

 

電「う、う~ん…」

 

「電、起きたか?」

 

電「し、司令官さん!目を覚ましたんですね!」

 

「う、うん。とりあえずお風呂入ってきなさい。早くしないとお風呂がしまっちゃうぞ」

 

電「ご、ごめんなさい!まさか司令官さんが気絶しちゃうなんて思わなくって…その…あの…」

 

「あぁもう、そういうのいいから!早くお風呂行ってきなさい!汚い子は嫌いだぞ!」

 

電「わ、分かったのです!だから嫌いにならないでください!」

 

「分かった分かった!いいから早く行きなさいって!」

 

電「し、失礼するのです!い、いってきます!」

 

「あぁ、いってらっしゃい…」

 

 

…電の練度が上がったのか分からんが始めて喰らった時と比べて鋭さが増してたな。鞭打とか覚えたら首が一周するんじゃないかね。ぶっちゃけ死ぬかと思った

 

 

ドア『』コンコン

 

「誰だ?」

 

金剛「金剛デース。提督さん、今大丈夫ネ?」

 

「…あぁ、いいぞ」

 

金剛「失礼シマース」ガチャ

 

「それで?おおよそ検討はついてるけど何?」

 

金剛「瑞鶴の事デース。何故、あの子は沈んだはずなのにこうして生きているのですか?」

 

「…お前は」

 

金剛「?」

 

「沈んだ艦娘が助かると本当に思っているのか?」

 

金剛「…まさか」

 

「アイツはドロップだよ。三人共瑞鶴が沈んだことにショックでそのことに気づいて無いようだったけどね」

 

金剛「…では何故、あの子は大破している状態でやってきたのですか?」

 

「さぁ?僕が瑞鶴を見つけた時にはもうああだった。大方、深海棲艦の攻撃を受けてたって所じゃないのか?」

 

金剛「…嘘はついていませんよね?」

 

「逆に聞くけど、僕が嘘をつくメリットなんてある?」

 

金剛「…分かりました。信じマース」

 

「そうだ。こっちも聞きたいことがあるんだけど良いか?」

 

金剛「何でショウ?」

 

「ここに帰ってきた如月、皐月、文月についてだが、あの三人はどうしてる?」

 

金剛「あぁ、それでしたら如月は営倉へ、皐月、文月に関しては今は部屋で休んでマース」

 

「は?如月が営倉?」

 

金剛「あれ?知らなかったんですか?」

 

「あ、あぁ。少し野暮用があってね…」

 

金剛「ふーん…まぁ簡単な事です。味方に砲門を向けてきて撃とうとしたので、営倉で反省中デース」

 

「…そうか」

 

金剛「…もしかして心配ですか?」

 

「あぁ。いくら何でも仲間に砲門を向けるとは思わなくてな…何か余程の事があったのだとは思うんだが…どうにも分からなくてな」

 

金剛「ん~、別に大したことないヨ?役立たずの瑞鶴が沈んでしまったのでそれに伴った処理をしたまでですし」

 

「…」

 

金剛「て、提督さん?顔色が悪いけどホントに大丈夫ネ?」

 

「…あぁ。ただ残念だと思ってね」

 

金剛「残念?」

 

「本人がここにいたら…そう言われることも無かったのになと思ってね」

 

金剛「確かにネー。せめて資材位は残していってほしかったデース。それがアイツに出来る最後の償いだったのですが、ドロップの瑞鶴が来たんですし結果オーライネ!」

 

「…そうか」

 

金剛「あ、これから私提督とお話があるんでした!なので提督さん、これにて失礼させてもらいますね?」

 

「あぁ」

 

金剛「ゆっくり休んでネ?明日からまた大変ダヨー?」バタン

 

 

……アイツ金剛正真正銘の阿保だろ。瑞鶴なんていうレア艦をなんで沈めようなんて発想が出るんだ?勿体無いにも程があるわ。せめて近代化改修にでも使った方がよっぽどいいだろうに

 

 

妖精「司令官さん」クイクイ

 

「どうした?」

 

妖精「何で瑞鶴がドロップしたなんて嘘を?」

 

「…僕なりにチャンスを与えたんだよ」

 

妖精「チャンス?」

 

「アイツは一度自分のしたことに対して後悔した。結果アイツは仲間を守って沈んで、お前らのおかげで蘇ったろ?罰としてはあれで十分だと思うし、お前等もそれに応えてくれたからな」

 

妖精「…」

 

「命かけてまで仲間を無事に帰そうとしたアイツにご褒美みたいなもんだ。色々考えたんだが、せっかくだしまたやり直す手伝いをしてやろうと思ってな」

 

妖精「だから嘘を?」

 

「あぁ。この嘘は必ず瑞鶴にも届くはずだ。それをどう解釈するのかは全て彼女次第。そこから先は僕のあずかり知らぬところだ」

 

妖精「にしては随分勝手じゃないです?」

 

「勝手だな。僕もそう思う」

 

妖精「じゃあ何でそんな無責任な事を言ったんですか?」

 

「…だって」

 

妖精「だって?」

 

「……瑞鶴を襲ったのを咎められるのが怖くて」

 

妖精「…はい?」

 

「だってだって!瑞鶴って提督に向かって爆撃してこようとするらしいじゃん!実際にされるかも知れなかったしさ!だったら明かさずに息を潜めて瑞鶴が忘れてることに期待するしか無いでしょ!?」

 

妖精「…まさか、それが理由?」

 

「当たり前でしょ!?それ以外に何か理由があると思う!?」

 

妖精「…呆れた」

 

「…それに、流石にこれ以上怪我したら電から逃げないようにチェーンでも括りつけられるかも知れないしな」

 

妖精「それはある意味愛されてるのでは?」

 

「ヤダぁ!流石にあ艦これはプレイしたくない!というかヤンデレは好きじゃないの!流石に守備範囲外なの!」

 

妖精「知らないですよ!私に言わないでください!というかあ艦これって何ですか!?」

 

ドア『お客やで』コンコン

 

夕立「提督さん?目が覚めたって聞いたんだけど、開けていいっぽい?」

 

「ゆ、夕立か!良いぞ!」

 

夕立「失礼するっぽい!」

 

「どうした?」

 

夕立「あのね、女提督さんの事なんだけど…」

 

「あの人がどうかしたのか?」

 

夕立「うーんとね、提督さんと話がしたいって言って今執務室で待ってるの」

 

「あー、了解。伝えに来てくれてありがとうな」ナデナデ

 

夕立「あ、うぅ…恥ずかしいっぽい…」

 

 

…?なんか様子が変だな。いつもだったらナデナデ待ちの犬が撫でられて嬉しいみたいな顔するのに、何でこんなに赤いんだ?

 

 

「おし、じゃあ早速行ってくるよ」

 

夕立「う、うん…」

 

「…何か言いたい事でもあるのか?」

 

夕立「その…夕立も一緒に行っていい?」

 

「お、おう。別に良いよ」

 

夕立「…!やったぁ!それじゃあ早速行こうっぽい!」ガシッ

 

「え、ちょっとまっ「早く早く~!」うわぁぁぁ……」

 

妖精「…大変ですね。あの人も」ヒョコ

 

「自分で動けるから離してくれぇ~!」

 

夕立「提督さん軽いっぽ~い!」俵担ぎ

 

艦娘達「「「…何、あれ?」」」

 

 

 

執務室

 

ドア『』コンコン

 

「提督です」

 

女提督「は、入って」

 

「失礼します。それで話とは?」

 

女提督「ふざけないで。瑞鶴の事よ。ドロップしたっていうのは本当?」

 

「えぇ。何故、嘘をつく必要が?」

 

女提督「し、正直に話して。瑞鶴は本当にドロップしたの?」

 

「……仮に僕が正直に話したとしても、貴方がそれでは信じるものも信じないでしょう」

 

女提督「わ、私の事はどうでも「はぁ?ふざけてるんですか?」」

 

「貴方は提督です。ここの最高権力者であるのです。その貴方がどうでもいいだなんて上に立つ者としてどうなんですか?」

 

女提督「そ、それは…」

 

「…艦娘に脅されたりでもしましたか?」

 

女提督「っ!」

 

「…こんなこと言いたくありませんが、やる気ありますか?いや、やる気以前にどうして提督になろうと思ったんですか?」

 

女提督「き、決まってるじゃない!海に平和を取り戻す為よ!それ以上でもそれ以下でもないわ!」

 

「へぇへぇ、ありきたりな定型文をありがとうございます」

 

女提督「あ、貴方ねぇ…!」

 

「深海棲艦という未知の敵に果敢に挑む艦娘達、当然戦場ですからいつ沈むか分からない恐怖、痛みを受ける怖さを彼女達は知っているというのに、この海を平和にしようと頑張っています。なのに貴方はただ脅されたという恐怖に立ち向かわずに、逆らうこともせず受け入れるだけなんて……僕の言いたい事、分かりますよね?」

 

女提督「…臆病者だって言いたいの?」

 

「いやいや、臆病なのはむしろ戦場では良いでしょう。臆病であるからこそ何が危険で何が安全かを見極められる能力が高いということですからね」

 

「私が言いたいのは、そんな臆病な奴でも恐怖に立ち向かうことをしないわけじゃない。ということですよ」

 

女提督「……」

 

「分かってるんでしょう?現に今回そういうことが起こってしまいましたからね。ま、貴方からしたら過去に何度も起こしたことでしょうが」

 

女提督「…うるさい」

 

「都合が悪くなったらそうやって目の前の問題を無視して自分の都合の世界に入り込むんですか?さぞかし気持ち良いでしょうね。貴方は」

 

女提督「…」ギュッ

 

「…大分話が脱線してしまいましたね。瑞鶴の事ですがドロップしたのだとは思いますよ」

 

女提督「ドロップしたと思う…?」

 

「話はここまでです。貴方がこれを聞いてどうするか…お任せしますよ?」ガチャ

 

女提督「…」

 

 

夕立「……お話はもう終わったっぽい?」

 

「あぁ。夕立はお風呂入ったのか?」

 

夕立「…入ったっぽい」

 

「…夕立?」

 

夕立「ど、どうし「僕、汚い女の子は嫌いだなぁ~」お風呂行ってくるっぽい!」

 

「…やっぱり入ってなかったか」

 

 

さて、一人を除いて人払いも済んだ。仮にいたとしてもこの時間は任務中の艦娘や、夕立みたいに風呂に入ってたり自由時間を過ごしている艦娘もいるだろう

 

 

「行くか。さっさと済まして風呂に入ろう」

 

???「…」チラッ

 

 

 

・・・営倉・・・

 

 

 

如月「うぅ…痛い…」

 

「おい。生きてるか」

 

如月「ヒッ…!だ、誰?」

 

「ここに提督業を学びに来た者だ。お前は如月で間違いないな?」

 

如月「は、はい…」

 

「お前に聞きたいことがある。もし嘘をついた場合は容赦はしないぞ」

 

如月「……何が目的?」

 

「それを聞くのは俺だ。後で答えてやるから今は俺の質問に答えろ」

 

如月「…分かったわ。何が聞きたいの?」

 

「何、簡単な事だ。ここの現状についてな」

 

如月「……ここは金剛さんによって運営されてる所よ。被害にあってるのは…私を見てもらった方が早いわね」

 

「ふむ、やはり最悪なんだな」

 

如月「やはり…?」

 

「さっきの質問に答える形になるが、ただの調査だよ。俺の本来の目的はここを鎮守府として運営出来るのかを調査することだからな」

 

如月「え?それってどういう……」

 

「簡単だよ。例え鎮守府内部に問題があろうとも運営が出来ているのなら問題ない。だからしっかりと海域攻略に取り組んでいて、尚且つ戦果を出せているのなら例え問題があろうと、今後に影響がなさそうであれば問題なしと僕は見る」

 

 

ちなみにこれは本当であり、本音でもある。元師からのちゃんとした命令であり、深海棲艦から国を守る防波堤としての役割をしっかりとしているなら良いと言われた。これは他のブラック鎮守府にも言える事だが、戦果が上がっているなら大本営としては問題なし。あくまで鎮守府内部の事は組織鎮守府を管理する組織大本営からしたら結果だけが判別出来る術なのだろう

 

 

如月「そ、それって…」

 

「大本営はここの存在を認知している。それと同時に艦娘の横行を容認もしている。ということだ」

 

如月「…嘘でしょ」

 

「あと…何で君にこんなこと聞かせたと思う?」

 

如月「……」

 

「ま、しばらくはそこで大人しくしてろ。そうすれば『ガチャ』」

 

如月「ふ、文月ちゃん!?」

 

???「手を挙げて。そのまま如月ちゃんのいる部屋に体を押し付けて」

 

「……」バッ

 

文月「如月ちゃん!そいつの腰に鍵がない!?それを使ってここを出ようよ!」

 

如月「え、あ…えっと…」

 

「やめておけ。ここを出た後はどうするつもりだ?」

 

文月「そ、そんなのここを出てから考えれば良いの!貴方は口出ししないで!」

 

「…仮にここを出て避難出来たとしよう。だが今後は?お前ら艦娘は食事をしていかなくても生きてはいけるが、燃料が無くなった艦娘がどうなるかは知らんのか?」

 

如月「…どうなるの?」

 

文月「如月ちゃん!コイツの言うことなんて聞いちゃ駄目!」

 

「まずは動かなくなるそうだ。ただ勘違いしないでほしいのが、死ぬわけではないということだ」

 

如月「死ぬわけじゃない…?」

 

「あぁ、だが意識はある。燃料が無いというのは、あくまで動くためのエネルギーが無いことだからな」

 

如月「…ちょっと待って。それじゃあ」

 

「君の思ってる通りだよ。意識はあるがピクリとも動くことは出来ない。しかし艦娘には解体と轟沈以外の死ぬ手段がないんだ」

 

如月「…」

 

文月「で、でたらめだよ!そんなこと!」

 

「…本当にでたらめだと思うのなら僕の腰にあるポケットの中に鍵がある。ソイツを使ってここを出ろ。お前等が出て行ったとしても、僕は誰にも言わない。約束するよ」

 

如月「…ちょっと失礼するわね」ゴソゴソ

 

「あ、おい。変な所を触らないでくれ」

 

如月「……鍵、ホントに持ってたのね」チャリ

 

「嘘をついてどうする?」

 

如月「…」

 

文月「如月ちゃん!他の誰かが来る前に早くそこを開けて逃げよう!?どうせこの人の言ってることはデタラ「やめとくわ」…え?」

 

如月「貴方、さっき言ったわよね?嘘をついてどうするって。それってさっき言った事にも含まれてるわよね?」

 

「あぁ」

 

如月「…じゃあやめておくわ。それに仮に逃げたとしても燃料を補充出来ないんじゃ意味ないものね」

 

文月「そ、それなら私が鎮守府から「文月!」」

 

「それ以上その先を言うな。それを言われるとコチラも本気で対処しなきゃならなくなる」

 

文月「あ、う…」

 

如月「…文月ちゃん。ここは一旦戻りましょう?」

 

文月「で、でも!」

 

如月「私なら大丈夫。大破はしているけど、痛いのは少しマシになってきたから」

 

文月「如月ちゃん…」

 

如月「さぁ行って。ここにいるのがバレたら文月ちゃんも酷い目にあうわ。だからお願い、今は帰って」

 

文月「…うん」スッ

 

「俺と一緒にやってきた天龍と会ってみろ。アイツは面倒見が良いし、向こう見ずだが悪い奴ではないからな」

 

文月「……」バタン

 

如月「…提督さん。この鎮守府は変わるのでしょうか?」

 

「それは僕の知った事じゃない。ここの鎮守府のやり方は言ってしまえば艦娘に指揮の大部分や資材の運営を行わせており、提督がそれの補佐、その他雑務を行っているってだけだからな。他所のやり方に口を出すことは出来ないよ」

 

如月「…そう」

 

「嫌なら助けを求めるなり逃げるなりしな。逃げ方によっては新人である俺でも助けられるし、文月みたいな事をしなければ俺はとやかく言うつもりはないよ」

 

如月「……」

 

「僕は戻る。後で電を向かわせるから応急手当でもしてもらえ。それまでは楽にしておくんだな」スクッ

 

如月「…はい」

 

 

ここから先は相手の出方次第か。そろそろ皆の様子も見とかないといけないし、やることが多すぎるんだよなぁ…

 

 

「…めんどくさ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。