この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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やることは山ほどあるのに小説を書く(現実逃避)のがやめられない…ということで続きです

ちょっと仕事が忙しい時期に入ってきてるので、しばらくはそっちに専念すると思います。次回の小説はちょっと時間を守れる気がしませんが、何とか仕上げておきたいところです

次回のは内容も少しスカスカになるかも知れない…


異常な事態と以上の理由で問題解決に向かいます

衣笠(ネ級)「提督ー?ちょっと今良い?」ガチャ

 

 

そう言いながら僕の手を引いて執務室に入る衣笠。手で無理矢理引っ張られるような形で執務室に自分も入ると真正面には女提督の顔が見えた。その顔はノック位しなさいと言いたげな顔だったが、どこか諦めたような顔をしてこちらを向く

 

 

女提督「どうしたの?」

 

衣笠(ネ級)「提督さんを見つけたよ。そこの浜辺で散歩してたから連れてきたんだけど…」

 

女提督「…?何言ってるの?」

 

衣笠(ネ級)「へ?」

 

女提督「提督さんならそこにいるじゃない」ユビサシ

 

 

女提督が指を指したのは私ではなく、僕のデスクで書類仕事をしている金剛の姿が目に映った。本人はかなりイライラしており、何かをブツブツ呟きながら仕事をしているが、こちらを振り向いたと思えば呆れたような顔をして話しかけてきた

 

 

金剛「衣笠、提督に何か一言言ってあげてくれませんか?私は提督さんじゃないって何度も言ってるのに、何でか提督さんと間違えてるんデース」

 

「…どういうことだ?」

 

衣笠(ネ級)「…装置の不調かも。だけど変ね」

 

「というと?」

 

衣笠(ネ級)「あの装置って鎮守府全体に作用する装置なの。だから女提督が金剛さんを提督さんだと間違えているなら、金剛さんも提督だと自覚しなきゃおかしいのよ」

 

「単純に金剛が誰かにおかしいと教えてもらっただけなんじゃないのか?」

 

衣笠(ネ級)「だったら間違えてると自覚するような事は言わないと思うわ。単純に金剛さんだけが装置に干渉されていないだけかも知れないけど、誰か一人だけに作用しないのは絶対変よ」

 

「…金剛。提督がおかしくなったのはいつからだ?」

 

金剛「…?衣笠、何か言ったネー?」

 

衣笠(ネ級)「…へ?」

「は?」

 

金剛「衣笠の隣辺りから男性のような声が聞こえたような…腹話術でも使ってるのデスカー?」

 

衣笠(ネ級)「えっ、あっ、いや「シッ」」

 

 

ヌ級の口を防ぎ、金剛の言葉から疑問に感じた事の確信を得るために金剛の耳の近くで思いっきり両手で自身の掌を叩く。当然大きい音がなるわけだが、すぐそばで聞こえている金剛にはとても大きな音だっただろう。驚いた拍子に金剛は椅子から転げ落ちそうになり、女提督は何事かと机の陰に隠れていた

 

 

金剛「うわっ!?」

 

女提督「なっ、何事!?」

 

衣笠(ネ級)「だ、大丈夫!?」

 

金剛「…今の、衣笠がやったわけじゃないですよね?」

 

衣笠(ネ級)「い、いやいや!あり得ないから!というか目の前で私が何をしてたか見てたよね!?」

 

金剛「…失礼。おかしな事を言いました」

 

「…すり替わってる?」

 

衣笠(ネ級)「へ?」

 

「いや。ちょっと考えてみたんだが、俺の存在が金剛にすり替わったんじゃないかと思ってな」

 

衣笠(ネ級)「…でも、それだと何で提督さんの姿が見えない事になってるの?」

 

「いや、おそらく見えないんじゃない。認識出来ないんだ」

 

衣笠(ネ級)「認識出来ない?」

 

「脳って言うのは実に不思議でな。脳は異常を起こすと見えているのに見ている物の存在を認識出来なかったり、認識はしているはずなのに見当違いな物を認識していたりと、とんでもなくデリケートで複雑なんだ」

 

「昔、何かのテレビ番組やゲームでしか見たことないが、脳の一部が機能しなくなったりすると五感のどれかが異常を起こして認識出来なくなるというのを聞いた事がある。手を叩いた音には反応していた所を考えると、もしかしたら金剛はそうなっているのかもしれない。そこにいる女提督も反応を見る限り、おそらく同じだろう」

 

衣笠(ネ級)「それじゃ何?金剛さん達は提督さんの事を認識出来なくて、金剛さんが提督さんにすり替わってるんだけどその自覚が無し。それに合わせるように周りが金剛さんの事を提督さんだと認識しているって事?」

 

「言葉で表すとするならそうなるな。大分ややこしいし、金剛達以外の皆がどう見えているかは分からないけど」

 

衣笠(ネ級)「…そんなことをして誰が得するの?」

 

「俺もこんなことして得をするのは金剛だけだと思ってたが…肝心の本人がこれだ。自分を提督だと誤認させ、俺の艦娘達を根こそぎ奪うだけならまだ分かる。だけどこんな状態じゃそんな計画も意味をなさないだろうからな…」

 

衣笠(ネ級)「結局分からないって事ね」

 

「そうなるな。とりあえず胸でも「提督さん?そういうことしたら助けてあげませんよ?」冗談です」

 

衣笠(ネ級)「提督さんの場合、冗談に聞こえないからなぁ…」

 

 

まぁ九割本気だったと言うのは言わずもがな。残りの一割はホントにどうしようか考えてるんだぞ?まぁ元に戻らなくってもこの鎮守府の七不思議として生きていくだけだけど

 

 

衣笠(ネ級)「とりあえずしばらくは一緒に行動した方が良さそうね。提督さん一人だと絶対変な事しそうだし」

 

「信頼ないなぁ…そんな変な事しようとしたっけ?」

 

衣笠(ネ級)「見えないのを良い事に胸を触ろうとした人に言われたくないわ」ジトッ

 

「くくっ、確かにそうだ」

 

衣笠(ネ級)「…楽しんでるでしょ」

 

「当然。こんな面白い事を楽しまない方が馬鹿だって」

 

衣笠(ネ級)「…はぁ。仕方ない人ね」

 

「とりあえず他の艦娘達も見ておこう。金剛だけで全てを判断するには早計すぎるからな」

 

衣笠(ネ級)「じゃあまずは誰の様子を見に行く?」

 

「とりあえず俺の艦娘達の様子だな。特に天龍は放置しとくとヤバい」

 

衣笠(ネ級)「?それってどういうこと?」

 

「会ったら分かる。頼むから金剛に切りかかるなんてことをしてくれなければいいがな」

 

衣笠(ネ級)「???」

 

 

 

天龍型の部屋

 

 

天龍「…チッ。入渠はまだかよ」大破

 

龍田「仕方ないわよ。提督の判断で入渠するように言われたんでしょ?きっと提督の事だからあと少しで入れてくれるわよ」

 

天龍「だからって一日も放置するか?そのせいで駆逐艦の奴等が高速修復剤をガメてこようとまでしてきたんだぞ?」

 

龍田「…確かにね。ちょっとあの人にしては変な気がするけど」

 

天龍「はぁ…まさかこんな形で仕返しされるとは思ってもいなかったぜ」

 

龍田「流石にそこまで性格は悪く無いと…言えないわね」

 

天龍「アイツ性格悪い時はとことん悪いからな。電なんかがいい例だ」

 

龍田「流石に電ちゃんがあの晩にポコポコしてたのは可愛くて笑っちゃったけどね。ほっぺがお餅みたいにぷくーっとしてたし」

 

天龍「出撃が無いだけまだマシだが、流石にこの状態で出撃しろって言われたらキレるぞ」

 

龍田「流石にそうなったら私も止めるわよぉ?遠征と言えども止めるからね」

 

天龍「ははっ、ありがとよ。姉想いの妹を持って俺は幸せだ」

 

龍田「…当然じゃない。大切なお姉ちゃんなんだから」ギュッ

 

天龍「…ホント、俺は幸せ者だな」ナデナデ

 

 

衣笠(ネ級)「…提督さん、すごく入りずらいんだけど」ピトッ

 

「同感。だけど頼む。今ここで俺がドアをノックしたりしたら完全なポルターガイストとして間違われるかもしれん」

 

衣笠(ネ級)「はぁ…やだなぁ…」コンコン

 

龍田『誰?』

 

衣笠(ネ級)「重巡洋艦ネ…衣笠です。提督さんの命令で天龍さんの様子を見に来るように言われました」

 

天龍『…入ってくれ』

 

衣笠(ネ級)「失礼します」ガチャ

 

「天龍、大丈夫か?」

 

天龍「…?衣笠さん。今のアンタの声か?」

 

龍田「何言ってるの。天龍ちゃん」

 

龍田「衣笠さんがさっき挨拶してたでしょ?あんな声を出す衣笠さんが男性みたいな声を出せる訳ないじゃない」

 

「…」

 

衣笠(ネ級)「あっ、あはは。ちょっとお二人を元気づけようとして腹話術みたいなものです」

 

 

そんな言い訳染みた嘘が信じられるわけ「おぉ。すげぇな」通じたー!?

 

 

衣笠(ネ級)「…嫌ですね。冗談ですよ」ハハッ

 

天龍「なんだ…せっかくすげえって誉めたのに褒め損じゃねえかよ」

 

龍田「…心配だから来たんですか?」

 

衣笠(ネ級)「えぇ。いけなかったですか?」

 

龍田「…いえ。心配してくださりありがとうございます。ですが、お帰りください」

 

天龍「お、おい、龍田?」

 

衣笠(ネ級)「…どうして?」

 

龍田「…」

 

衣笠(ネ級)「…分かった。また様子を見に来るからね」

 

天龍「あっ、ちょっ…!ま、また来てください!」

 

衣笠(ネ級)「えぇ。ありがとう。それじゃあね」バタン

 

 

天龍「どうしたんだよ龍田?急に追い出したりなんかして」

 

龍田「…天龍ちゃん、そこの机、見た?」

 

天龍「机?机がどうしたんだよ?」

 

龍田「…さっき、衣笠さんが来てしばらくしてからあそこの鉛筆が紙に向かって動き出したの」

 

天龍「…龍田。お前疲れてんだよ」

 

龍田「うっ、嘘じゃないわ!本当に動いてたの!」

 

天龍「…はぁ。そんなわけないだろ?どうせお前の見間違いだって」ガタッ

 

紙『ていとくにきをつけろ』

 

天龍「…龍田?タチの悪い冗談はやめろよ」

 

龍田「冗談じゃないんだってばぁっ!」

 

天龍「…ふふっ、怖い」ウルッ

 

 

衣笠(ネ級)「天龍さん達もダメだったね」

 

「…あぁ」

 

衣笠(ネ級)「もう、そんな顔してちゃ駄目だよ?ちゃんと笑顔でいないと!」

 

「…天龍、下着付けてなかった」

 

衣笠(ネ級)「そっち!?」

 

「クッソ…マジであの乳でノーブラは卑怯だろ。おかげで紙に書いてる時も集中出来なかったぞ」

 

衣笠(ネ級)「…変態」

 

「俺だって男だ。比較的気にしない様にはしていても、あんなダイレクトに目に入ってきたら嫌でも意識する」

 

衣笠(ネ級)「まぁ…それはそうね…」

 

「次だ。次は時雨達に会ってみないと」

 

衣笠(ネ級)「時雨達ってことは時雨以外にも誰か会いたい人がいるの?」

 

「あぁ。愛宕にも会う予定だ」

 

衣笠(ネ級)「ちなみにその理由は?」

 

「…俺の予想が正しければ多分、今頃髪が剥げているはずなんだ」

 

衣笠(ネ級)「はっ!禿げる!?」

 

「ちげぇ!剥げるだよ!色が剥げるって漢字の!」

 

衣笠(ネ級)「あ、あぁっ!なるほど!」

 

「ったく…とりあえず急がないとな。流石にこんな短期に何度も剥げてるんだから異常事態だと気づいてると思うが」

 

衣笠(ネ級)「ところで提督さん。なんで時雨達の髪色が剥げてるの?」

 

「あー…んー…まぁ、彼女達も深海棲艦になろうとしてるんだよ。それのせいで髪色が剥げてきているんだ」

 

衣笠(ネ級)「…へぇ?」

 

「あ、頼むからスカウトとか止めてくれよ。今彼女達にいなくなられたら困るからな」

 

衣笠(ネ級)「具体的には?」

 

「他の艦娘達との関係が深くてな。急に二人がいなくなったりしたら皆悲しむだろ」

 

衣笠(ネ級)「私は困らないよ?」

 

「分かって言ってるだろ。それ」

 

衣笠(ネ級)「…もう。何でそこまで分かっちゃってるのかな~?」

 

「良い奴だからな。お前の今までの言動や行動を見てれば分かる」

 

衣笠(ネ級)「…女タラシ」

 

「なんで!?」

 

衣笠(ネ級)「とりあえずいこっか。早くしないと他の艦娘達も感づいちゃうかも知れないんでしょ?」

 

「えっ、ちょっ、ちょっとま

 

 

 

愛宕達の部屋

 

 

愛宕「…ふぅ」

 

時雨「提督の事?」

 

愛宕「…えぇ。ちょっとね」

 

時雨「どちらかといえば前任に近い感じがするよね。今の提督って」

 

愛宕「…何か知ってるの?」

 

時雨「何も知らないよ。でも、なんかいやだ」

 

愛宕「そう…」

 

時雨「…疲れてるのかい?」

 

愛宕「…そうかもね」

 

時雨「提督が構ってくれないから?」

 

愛宕「…ううん」

 

時雨「…仲間を杜撰に扱ったから?」

 

愛宕「…」

 

時雨「天龍を見捨てて、島風達を適当にあしらってた事がそんなに気になるかい?」

 

愛宕「…っ」

 

時雨「あんな人じゃない。もっと私達の提督は優しい筈だ。もっと自分たちの事を良くしてくれる筈だ」

 

時雨「なんで、どうして、そこまでして私だけを特別扱い「時雨ッ!」」

 

愛宕「…やめて。お願いだから…それ以上言わないで」

 

時雨「…君は少し思い上がりすぎだよ」

 

時雨「提督がいよいよ本性を現した…ただそれだけの事じゃないか」

 

愛宕「…期待通りじゃなかった。だから裏切られたと思ってるの?」

 

時雨「裏切ったんじゃないよ。端から助ける気なんてなかった。ただそれだけだよ」

 

愛宕「…じゃあその顔をやめなさい。嫌うならもっと堂々と嫌いだって言ったらいいじゃない。貴方の言ってることは本当に本心なの?」

 

時雨「…」ギュッ

 

愛宕「貴方も私と同じよ。ただ提督が不機嫌だっただけかもしれない。たまたま提督の調子が悪かったからあんな態度を取った…なんていう期待があるんでしょ?」

 

愛宕「彼は人間よ。間違う事だって当然あるし、調子の悪い日だって当然ある。彼の全てを決めるには早すぎると思わない?」

 

時雨「…説教なんてやめておくれよ。そういうのは嫌いだ」

 

愛宕「あの人が聞いたらどんな顔するかしらね?」ニコッ

 

時雨「…はぁ。久々に愛宕の事を嫌いになりそうだよ」

 

 

衣笠(ネ級)「相当慕われてるみたいね」

 

「みたいだな」

 

衣笠(ネ級)「…何だか嬉しくなさそうだけど?」

 

「俺はただアイツらの現状が悪かった所に付け込んだ人間だ。そんな人間を慕ってほしくはない」

 

衣笠(ネ級)「…」

 

「さて、そろそろ行くぞ。これで彼女達の髪を梳いてやってくれ」っ櫛

 

衣笠(ネ級)「これは?」

 

「アイツ等の毛染め装置。話の内容的にアイツ等も同じだろうから衣笠が頼むわ」

 

衣笠(ネ級)「…こういうのって男性にされるから良いと思うんだけど?」

 

「ポルターガイストにされるのと目に見える人物から髪を梳かれるの、どっちがいい?」

 

衣笠(ネ級)「はぁ…分かったわよ」コンコン

 

愛宕『誰かしら?』

 

時雨『…』

 

愛宕『大丈夫よ。敵意は感じないわ』

 

衣笠(ネ級)『重巡洋艦の衣笠です。提督さんから髪を梳いてくれって言われたの。そっちの事情は知ってるから』

 

時雨『…何でもやるね。あの提督は』

 

愛宕『分かったわ。入って良いわよ』

 

衣笠(ネ級)「失礼するわね」ガチャ

 

愛宕「…あら?深海棲艦じゃない?」

 

時雨「…あれ、ホントだ」

 

衣笠(ネ級)「え?」

 

時雨「ご、ごめんなさい。ホントに衣笠さんだとは思わなかったんだ」

 

愛宕「…でも変ね。衣笠さんの近くにもう一人いない?」

 

「…」

 

衣笠(ネ級)「…気のせいじゃないかしら?ココには私一人しかいないわよ?」

 

時雨「…そこ?」ブンッ

 

「!?」サッ

 

時雨「…手ごたえが無い」

 

愛宕「んー。でも、何だかもう一人いる気がしてならないのよねぇ…」

 

「…衣笠、俺は部屋を出るから後は頼んだぞ」ボソッ

 

 

衣笠(ネ級) サムズアップ

 

ドア カチャ

 

 

愛宕「あら?ドアが勝手に…」

 

時雨「隙間風…かな?」

 

衣笠(ネ級)「とりあえず髪を梳いちゃうわね。ちょっと勿体ない気もするけど」

 

時雨「勿体ない?」

 

衣笠(ネ級)「だって、せっかく綺麗な白い髪なのに、元に戻しちゃうのは勿体ないと思ってね」

 

愛宕「…ねぇ、それって他の髪色に変える事も出来るの?」

 

衣笠(ネ級)「えっ、まぁ、出来ると思うけど…」

 

時雨「愛宕、皆を混乱させるような事をしちゃ駄目だよ。興味があるのは分かるけどさ、提督には好まれないんじゃないかい?」

 

愛宕「い、言ってみただけよ…」

 

時雨(その割には目が本気だったなぁ…)

 

衣笠(ネ級)「え、えっと、じゃあ梳くわね?」

 

愛宕「えぇ。お願いするわ」

 

衣笠(ネ級)「じゃあリラックスして。出来ればあまり頭を動かさないでね」

 

愛宕(…衣笠さん、髪を梳くのかなり上手ね。提督さんとは違ってスムーズで素早い…何度もやっていないとここまで上手くは出来ないと思うけど、誰かの髪を良く触っていたのかしら?)

 

時雨「…それ、一回で結構な範囲を塗れるんだね」

 

衣笠(ネ級)「後で私も使ってみようかしら?一度イメチェンってやつをやってみたかったのよね」

 

愛宕「あら、見せたい人でもいるの?」

 

衣笠(ネ級)「ふふっ、一人ね♪」

 

時雨「…それってここの提督かい?」

 

衣笠(ネ級)「ううん、どちらかっていうと貴方達の提督にね。アピールしちゃ不味かったかしら?」

 

時雨「アピールって…本気かい?」

 

衣笠(ネ級)「半分くらいはね。結構優しそうな人だし、弄って怒る程の人には思えないからね~」

 

愛宕「…肝が据わってるわね」

 

時雨「ホントに…ちょっと尊敬するよ」

 

衣笠(ネ級)「これくらいは肝が据わってないと戦場で生き残るのは難しいわよ?攻撃するチャンスだって攻撃の合間にしかないんだから、こういった事をして少しずつ成長しておかないと」グイッ

 

愛宕「あ、痛っ…」プツッ

 

衣笠(ネ級)「あっ!ご、ごめんなさい!大丈夫?」

 

愛宕「あ、いや、私こそごめんなさいね。大袈裟に反応しちゃって…」

 

時雨「ふふっ、あまり無茶するのも考え物だね」

 

衣笠(ネ級)「うぅ~、時雨…少し性格悪いわよ?」

 

時雨「あはは、ごめんね」

 

愛宕「…また、彼に髪を梳いてもらえるかしら?」

 

時雨「…」

 

衣笠(ネ級)「…はい、終わり。次は時雨ね」

 

時雨「…ねぇ、ずっと疑問だったんだけどさ、衣笠さんは私達の現状を聞いて驚かなかったの?」

 

衣笠(ネ級)「あぁ。貴方達の状態?」

 

時雨「うん。正直信じられない話だと思うんだけど、どうして提督さんに協力しようとする気になったんだい?」

 

衣笠(ネ級)「私は何人もそうなった艦娘達を見てきたからね~。だから慣れてるっていうか…」

 

愛宕・時雨「「え?」」

衣笠(ネ級)「あっ」

 

時雨「今の『あっ』って何だい?」

 

愛宕「詳しく聞きたいわね~?」チョキ

 

衣笠(ネ級)「あっ、あはは…。え、えっと…それは…」

 

愛宕・時雨「「それは?」」チョキ

 

衣笠(ネ級)「え、えー…!?」チラッ

 

時雨「どうしたんだい?そんなに固まって?何か言いづらい事でもあるのかい?」

 

衣笠(ネ級)「…愛宕さん、足下見て」

 

愛宕「ちょっと?話を逸らさないで貰える?」

 

衣笠(ネ級)「いや、あの…下を見てもらえれば分かるっていうか…」

 

愛宕「もう。下に何があるって…!?」

 

時雨「…?どうしたんだい?下に何か『ガシッ』ち、ちょっと!?」メカクシ

 

衣笠(ネ級)「時雨ちゃんは下を見ちゃ駄目だからね?今の時雨ちゃんには刺激が強すぎるから」

 

愛宕「…嘘。紐が切れてる」

 

時雨「ちょっと!?ホントにどうしたのさ!?」

 

衣笠(ネ級)「…とりあえず、早く新しいのを履いた方が良いわ」

 

愛宕「…えぇ。そうするわね」

 

時雨「えぇ…ホントに何があったの?」

 

 

・・・間・・・

 

 

衣笠(ネ級)「…はい。時雨ちゃんも終わり」

 

愛宕「ありがとうございました」

 

衣笠(ネ級)「気にしないで。これも提督さんに頼まれた事だから」

 

時雨「…ねぇ、提督に何かあったのかい?」

 

衣笠(ネ級)「え?」

 

時雨「どう考えてもおかしいんだよ。僕達の事を衣笠さんに教えたって言うのが、どうも引っ掛かるんだ」

 

時雨「ここの艦娘である衣笠さんを頼らなければならない状態なのか、それとも何かを隠してるんじゃないかと思ったんだけど…」

 

愛宕「考えすぎじゃないかしら?いつもより機嫌は悪いみたいだけど、執務室でちゃんとお仕事してたじゃない」

 

衣笠(ネ級)「…そればっかりは提督さんに聞いてみないと分からないけど、きっとそれだけの理由があるんじゃない?」

 

時雨「…もしかして、提督が衣笠さんの弱みを握ってるから良いように利用されてるとかかい?」

 

衣笠(ネ級)「あっ、えっ、えっと…」

 

時雨「…提督に砲撃しても良いかな?」

 

愛宕「駄目よ。せめて海の上を散歩させるくらいに留めておきましょ?」

 

衣笠(ネ級)「あ、あはは…そうしてくれると助かるかな」

 

愛宕「…何かあったらいつでも言ってね?私達は貴方の味方だから」

 

時雨「特にセクハラされそうだったら言ってね。アイツは私達でもお構いなしにしてくるから」

 

衣笠(ネ級)「えぇ。そうさせてもらうわ」

 

衣笠(ネ級)「それじゃ、私はやることがあるから帰るわね。任務とかで一緒になったらその時はよろしく!」

 

愛宕「えぇ。もちろん」フリフリ

 

時雨「またね。衣笠さん」フリフリ

 

 

 

「おい…あれだけ言うなって言ったのに…」

 

衣笠(ネ級)「いや、確かに私が悪かったけどさ!あんなことする普通!?」

 

「しょうがないだろ。あれ以上踏み込まれてたら困ってたのはお前だぞ?」

 

衣笠(ネ級)「だからってパンツの紐を切る人がいるか!」

 

「ここにいるけど」

 

衣笠(ネ級)「そうじゃなくて…!アナタに常識は無いの!?」

 

「常識はある。ただ手段をいとわないだけだ」

 

衣笠(ネ級)「…頭が痛くなってきた」

 

「それに実質透明人間みたいなものなんだし、これを利用して遊ばないとな」

 

衣笠(ネ級)「この人いよいよ隠す気なく言った!遊ぶって言葉に出してハッキリ言ったよ!」

 

「だがそろそろ本格的に動くか。そろそろ元凶を探さんと俺がキツイ」

 

衣笠(ネ級)「…提督さん、ちゃんと計画を考えて言ってる?」

 

「考えてるよ。ただ途中で面白い事があればいいくらいにな」

 

衣笠(ネ級)「…一応聞くけど何を考えてるの?」

 

「まずこの事件を起こすきっかけとなった装置の所だな。その次にこんな事態を引き起こした犯人捜し。装置に関しては最悪ぶっ壊すけど良いよな?」

 

衣笠(ネ級)「えぇ!?それは困るって!」

 

「わぁーったよ。じゃあ装置の故障は直せるのか?」

 

衣笠(ネ級)「私は専門家じゃないから無理だよ。使いたくは無いけど、一度再起動するしかないんじゃないかな」

 

「再起動しただけで直るか?」

 

衣笠(ネ級)「動かなくなったパソコンと同じよ。アプリの起動が遅くなって動かなくなった時も再起動したりして直すでしょ?それとおんなじよ」

 

「…まぁ、分かったよ。とりあえず装置を再起動すればいいんだな?」

 

衣笠(ネ級)「あ、といっても再起動までには一週間程掛かるからね」

 

「うぇ?」 

 

衣笠(ネ級)「そう説明書に書いてあるの。ちょっと待っててね」ゴソゴソ

 

 

そういうとネ級は自分の胸の谷間に手を突っ込んだかと思えばゴソゴソとしだし、ズルンと効果音がつきそうな勢いでラノベ小説はありそうな本を取り出した。取り出すときに胸が弾みをつけて揺れたのを見逃す事はしなかったが、それを見ていた衣笠からの視線が痛いのは仕方ない事だと思いたい

 

 

衣笠(ネ級)「…変態」

 

「無理を言うな…というか谷間から出すなよ。それ以前にお前の胸はどうなっているんだ」

 

衣笠(ネ級)「細かい事は気にしないの!ほら、とりあえず開いて!」

 

「…えぇと、何々?」パラッ

 

説明書『ハァイ!この説明書を読んでるって事は』パァン!

 

衣笠(ネ級)「ちょっ!何してんの!?」

 

「いや、ごめん。何か急に見たくなくなった」

 

衣笠(ネ級)「お願いだから大切に扱ってよ!?」

 

「チッ…どこにでも変人てのはいるもんだな」ピラッ

 

説明書『ハァイ!この説明書を読んでるって事は初めて読んだ人か、嫌々見直した人だよね!?そうだよ』パァン!

 

「UZEEEEEE!!!」

 

衣笠(ネ級)「気持ちは分かる!気持ちは分かるけど落ち着いて!!」

 

「何だこの説明書!!マジでこれあらかじめ書かれたもの何だよな!?」

 

衣笠(ネ級)「そ、そのはずだよ…ね?」

 

「何で曖昧なの!?」

 

衣笠(ネ級)「いやー、その、たまにページ数が増える事があるんだよね。だから私も以前見た時より増えてたからビックリしたっていうか…」

 

「…君ら戦争なんかせずに開発系したら?」

 

衣笠(ネ級)「皆がやるとは思わないけどね~。深海棲艦にも色々いるし、人間だってそれぞれやりたいことが違うでしょ?」

 

「…まぁ、そうね」パラ

 

説明書『君は無駄な事が苦手みたいだね!そういう人は人生長生き出来ないよ!人生はこの装置みたいに初期化ボタンはないんだからさ!電源ボタンはあるけどね!』

 

「…」ヒクヒク

 

衣笠(ネ級)(大丈夫かなぁ…)ドキドキ

 

説明書『さて、初期化に一週間も時間が掛かる理由だけど、それは記憶の修正を行うためだよ』

 

説明書『もし今までの出来事を急に思い出したら脳がパンクして、最悪爆発するかもしれないからね!そういう事にならないためにゆっくりじんわりと記憶を曖昧にしていって、いずれ自分達が納得出来るような形で終結していくんだ!これの影響を受けたくないんだったらアンチ装置があるからそれの着用を忘れずにね!』

 

説明書『あ!言い忘れてたけど、初期化を行ったら途中でキャンセルは出来ないよ!だって初期化をするってことはそれだけの理由があるってことだからね!途中で中断とかなくて安心した!?したした!?』パタン

 

「…うっざ」

 

衣笠(ネ級)「まぁ、うん。気持ちは分かるよ」

 

「…だが、ホントに初期化に関する事しか書かれて無かったな」

 

衣笠(ネ級)「まぁね。流石に今の状態に関する事はページをめくって探すしかないんじゃないかな」

 

「ふーん」パラパラ

 

衣笠(ネ級)「ちょっ、そんなに飛ばして大丈夫?」

 

「ようはあれだろ?ページが増えるって事は仕様変更が入ったって事なんだとしたら、最後のページ辺りを見れば解決すんじゃねえのか?」

 

衣笠(ネ級)「…なるほど。その発想は無かった」

 

「お、見ろ。あったぞ」

 

説明書『これを見つけるとはお目が高い!今なら何と!チョコレート30枚で続きが』パタン

 

「…これさ、妖精が絡んでるとかないよね?」

 

衣笠(ネ級)「流石に無いんじゃないかなぁ…深海棲艦としてしばらく生きてるけど、妖精さんを見たの何て昔数回あったくらいだよ」

 

「…一応いるにはいるんだな」パラッ

 

説明書『もぉ~、しょうがないなぁ~。特別大サービスしちゃうんだからね!これ以上のサービスはないよ!』

 

説明書『おほん。まず今の状態だけど、多分指定状態になっているんだと思うよ!指定状態は誰の記憶をいじるかの設定が決められるんだけど、これのデメリットとして記憶をいじられた相手、仮にAとしようか。このAには周りから認識されなくなっちゃうっていうバグがあってね。このバグのせいで認識阻害装置に早変わりだよ!』

 

説明書『これが作動している間は装置の範囲内にいる人達から全く存在が認識されなくなっちゃう!まぁ初期化したら存在が見れないのを良い事に色々してたのも全部バレるんだけどね!』

 

「…」ダラダラ

 

衣笠(ネ級)「…ご愁傷様」

 

説明書『ここで第二のバグを発動!それは認識阻害を受けたAは、別の誰かに存在が取られちゃうってこと!これで認識阻害を受けたAの存在が消えるなんていう展開は無いから安心して良いけど、存在が別の人に乗り移ったってことは、その人が例え何をしようと、それは全部認識阻害を受けた人がやったことになるからね!』

 

説明書『これの解消法としてはやっぱり初期化!初期化すればなんでも解決するよ!』

 

説明書『初期化に一週間は絶対に掛かるけど、完全に存在が認知されるのには一週間後だよ!日数が経過するごとに君の存在は明るみになっていったり、存在を取った人も少しずつ元に戻るっていう仕様じゃないからそこだけは気を付けてね!それまでに相手が何をしようとそれは全部君のせいだから絶対に気を付けるんだよ!個人的なおすすめはその人の四肢を捥いで、深海棲艦の餌に』パタン

 

「…ふぅ。なるほどな」

 

衣笠(ネ級)「どうする?初期化せずにこのままにしておく?」

 

「いや、初期化はする。もし初期化をしなかったら今の事態に気付いた金剛が俺の提督という立場を利用して好き勝手されるかもしれないからな」

 

衣笠(ネ級)「…そうだね。その方がいいよ」

 

「そういえば肝心の装置の場所ってのは分かるのか?」

 

衣笠(ネ級)「分かるわ。じゃないと私もここまで来ないからね」

 

「んじゃ、さっさと行くか。誰かに壊されてないか心配だし」

 

衣笠(ネ級)「…提督さん、それをフラグって言うんだよ」

 

「…マジ勘弁」

 

 

 

「…おい。なんだこのガバガバ装置」

 

装置『説明書完備!アンチ装備完備!付箋一杯!』

 

衣笠(ネ級)「…ははは」

 

「乾いた笑い出してんじゃねぇぞ!パスワードを付箋につけて出しっぱなしにするんじゃありません!」

 

衣笠(ネ級)「だってぇ~!パスワードが書いてあるページがランダムで入れ替わるんだもん!一々こんな説明書を探して見てられないよ!」

 

「セキュリティは大事なんだよ!そんなんだから良いように装置が利用されてんだからな!こっちはいい迷惑だよっ!」

 

衣笠(ネ級)「迷惑かける前提の装置何だからしょうがないじゃん!」

 

「こんな利用されやすいのを含むな!とりあえず付箋は全部廃棄!破らずにしっかりと燃やせ!説明書も金庫に入れるなりして盗難防止!アンチ装備は一つ頂いていくぞ!」

 

衣笠(ネ級)「えー!?めんどくさいよぉ!」

 

「めんどくさがるな!まさかパスワードも一緒とかじゃないよな!?」

 

衣笠(ネ級)「…ふっ」ニヤッ

 

「おぉ…流石にそこはしっかりしてるか」

 

衣笠(ネ級)「勿論おんなじ!めんどくさいし!」

 

「バカヤロー!」

 

衣笠(ネ級)「…さて、そろそろ再起動するけど準備は良い?」

 

「…あぁ。頼む」

 

衣笠(ネ級)「それじゃあ…ポチッとな!」ポチッ 

 

「今の子ってそのネタ分かるのかな?」

 

衣笠(ネ級)「平成の時代は映画もしてた程だし分かるんじゃないですか?」

 

「だと良いがなぁ…」

 

衣笠(ネ級)「さて、これで後は再起動を待つだけです。一応再起動中でも提督さんの姿は見えないので、変な事をしないでくださいよ?」

 

「しないよ。流石に後からバレるなんて知ったらやる気も失せるわ」

 

衣笠(ネ級)「だと良いんだけどねぇ…提督さんだしな~」

 

「…ただ、一番恐れてるのが主犯格なんだよなぁ」

 

衣笠(ネ級)「…確かにね~。誰がこんなことしたんだろうね?」

 

「ま、一つ言えるのは何も分からんって事だけだ。この装置の場所も鎮守府の地下にあるし、普通に探してちゃ見つかりそうにもないはずなんだが」

 

衣笠(ネ級)「偶然見つけたって線もあるよ。一応工廠の隅っことはいえ、近づいたら分かるようにはなってるしね」

 

「…確かに。とするとこれも縁か」

 

衣笠(ネ級)「縁?」

 

「こんな馬鹿馬鹿しい状況になってるのに主犯格から何のアクションも無く、目的に一貫性を感じない。ただ混乱を起こしてるだけなのに、解決できる手段を残したままだ。まるで誰かが成長する機会をくれたような状況を縁と言わずして何とするよ」

 

衣笠(ネ級)「変にポジティブね…主犯格がただ問題を起こす事だけが目的かも知れないでしょ?」

 

「確かにそれもあるかも知れないが、それに対するメリットを考えたらきりが無いしな。どこかで妥協点でも作っとかないと複数人が犯人だった場合は更に複雑化しそうだし」

 

衣笠(ネ級)「…待って?その言い方だとまるで犯人が複数いる前提の考え方だけど?」

 

「おっと、口は禍の元だな」

 

衣笠(ネ級)「…はぁ。気にしてた私が馬鹿みたいじゃない。そこまで思い至るならさっさと解決しなさいよ」

 

「え。やだ」

 

衣笠(ネ級)「はぁ?」

 

「言ったろ?成長するいい機会だって。これを機にウチの艦娘共には成長してもらわないとな」

 

衣笠(ネ級)「…アナタ、無茶苦茶よ。頭のネジが何本か外れてるんじゃない?」

 

「無茶苦茶をやらないと俺はここに立っていない。どんな状況も全ては糧になるもんだ」

 

衣笠(ネ級)「それで仲間が死んだとしても?」

 

「…さぁな。他人の事を考える方法で成長してきたこと無いから分からん」

 

衣笠(ネ級)「…終わってるわね」

 

「つくづくそう思う」グスッ

 

衣笠(ネ級)「分かってるならやめなさいよ。そんなのおかしいって気づいてるんでしょ?」

 

「それは俺の過去のやり方を全否定してるのと一緒だろ?流石に今までやってきたことが全部無駄でした~。なんて言われて怒らずにいる程、俺は大人じゃない」ポロポロ

 

衣笠(ネ級)「…悪かったわよ」

 

「気にするな。どうせいつかは向き合わなきゃいけない問題だ」

 

衣笠(ネ級)「泣きながらそんな事言われてもね…」

 

「他人に自分を否定されたら無意識にこうなるんだよ。悪かったな」グイッ

 

衣笠(ネ級)「…可哀想な子。そこまでして自分を騙して楽しい?」

 

「成長の為には仕方ない犠牲みたいなもんさ」

 

衣笠(ネ級)「…何でそこまでして成長にこだわるの?そんなに辛くなるほどに成長する事って大事なの?」

 

「俺にとっては大事だ。例え間違った成長でも、成長の意味を見出せば問題はない」

 

衣笠(ネ級)「間違った…ね。自覚してるの?」

 

「一般的に見たら間違ってはいるんだろうな。だから俺は間違っていると判断しているが、本当に間違った成長なのか分からないから試しているだけだ」

 

衣笠(ネ級)「…それだけ成長に固執する理由は何なの?」

 

「人間の中で一番劣っているからな。他人より劣っているのだから努力するのは当然だろ?」

 

衣笠(ネ級)「そんなに自分が駄目だから目の前の問題を解決せず、逆に利用して自身の糧にしようと?」

 

「そうなるな」

 

衣笠(ネ級)「なら一言言っておくけど貴方のそれは「問題のすり替え」…分かってるじゃない」

 

「課題と目標がぐっちゃぐちゃになって、結果的にそれが問題のすり替えとなってる。そんなのは何度も自分に言い聞かせて理解しようとした」

 

「でも、どうしようもない。そうやって問題から目を無意識に背けちまうから、俺はクズなんだ」

 

衣笠(ネ級)「直せないの?」

 

「すまんが俺自身に直す気が無い。というか分からないといった方が正しいかも知れんな。こんなにやっても結局俺は変わっていないんだから」

 

衣笠(ネ級)「…それはアナタが全部一人で解決しようとしてるからでしょ」

 

「これは俺の問題だ…って、これも問題からの回避だな。やっぱり無意識に避けちまう」ポロッ

 

衣笠(ネ級)「はぁ…アナタに必要な者が何か分かった気がするわ」

 

「他人だろ?それくらい分かってるさ」グイッ

 

衣笠(ネ級)「…大分難しい問題みたいね。そこまで分かってるのに出来ないんだもの」

 

衣笠(ネ級)「本当に手助けが欲しい状況でも言わなければそれは意味をなさないのよ。助けての一言も無しに周りが何かをやってくれると思えば大違いなんだからね」

 

「…あぁ。身に染みてるよ。それが遅すぎるって事もな」

 

衣笠(ネ級)「遅すぎる、なんてことは無いんじゃない?結局は貴方が乗り越えなきゃいけない問題でしょ?」

 

「…分かってるよ」

 

衣笠(ネ級)「…それじゃ、このネ級様が人肌脱いであげますか。試しに私とハグでもして人との距離感を「お断りする」えー!?」

 

「お前はもう少し自分の容姿を考えろ。俺にお前は綺麗すぎる」

 

衣笠(ネ級)「…貴方、私みたいなのがタイプなの?」

 

「あぁ。じゃなかったらあいつ等にあんなことしないし、お前のボディタッチからも速攻で逃げてる」

 

衣笠(ネ級)「…やだ。嘘でしょ?」

 

「残念ながら本当だ。俺に喰われないように気を付けるんだな」

 

衣笠(ネ級)「…んー、どうしようかしら」

 

「…勘弁してくれ」

 

衣笠(ネ級)「うふふっ♪やっぱり貴方って良いわね♪」

 

「はぁ…とりあえず移動するか。いい加減に油の匂いがきつくなってきた」ガチャ

 

衣笠(ネ級)「はーい♪」

 

妖精「うおっ!ハッチが急に開いた!?」

 

「ういっす。妖精さん」

 

妖精「だっ、誰なのですか!姿を見せるのです!」

 

「ここにチョコがあるんだが「要件は何でしょう?」」

 

「ここにあるハッチの中に入ったのは誰だ?」

 

妖精「鳳翔さんと鈴谷さんです!」

 

「良し。これは追加のお礼な」っゴディバ

 

妖精「…!ありがとうなのです!謎の声さん!」

 

「気にするな。ところで金剛を見なかったか」

 

妖精「金剛さん…?いえ、見てないですね」

 

「そうか…すまん。ありがとう」

 

妖精「いえいえ!お菓子をくれる人には何でも答えてあげますから!」

 

「…ほら。これもやるよ」っスティックキャンディ

 

妖精「わーい!」

 

衣笠(ネ級)「…扱い慣れてるね」

 

「そりゃな。他人との協力が大事なのはどこでも一緒だろ?」

 

衣笠(ネ級)「えぇ。その通りね」

 

「さて、これでお前の目的は果たしたんじゃないのか?これからどうするつもりだ?」

 

衣笠(ネ級)「んー、とりあえず一度あそこの島に帰るよ。元々提督さんを送り届けるのと装置の動作確認だけのはずが、とんでもない事になっちゃったけどね」

 

「それと引き抜きな。忘れちゃ駄目だぞ」

 

衣笠(ネ級)「…どうして分かったの?」

 

「愛宕達が深海棲艦に成りかけてるって話を出した時にお前が引き抜きに反応したからな」

 

衣笠(ネ級)「そっ、それだけ?それだけで分かったの?」

 

「いや、カマかけ。あんな少ない情報でそこまで考えてる訳ないだろ」

 

衣笠(ネ級)「…はぁ、それもそうだよね。あーもう、やらかしたなぁ…」ブスッ

 

「ま、何はともあれすまんな。ここまでやってもらって」

 

衣笠(ネ級)「流されたってやつだからね。別に気にしないで良いからさ」

 

「…そうだな。少しだけ帰るのを待ってもらって良いか?ヲ級達に頼まれたものを買いに行かねえと」

 

衣笠(ネ級)「でも、ここで金剛さんが何か変な事をしないか見張ってなくて良いの?」

 

「大丈夫。今朝の様子から別にそんなすぐに気づくとは思えんし、少しくらいなら問題無いだろ。どうせ見えないんだから、いてもいなくてもあんまし変わらん気がするし」

 

衣笠(ネ級)「んー、ならさ、艦娘達にアンチ装備を渡すってことはしないの?それで協力者を増やした方が良い気もするけど」

 

「そうしたら姿が見えちゃうだろ?ついでにお前の本当の姿も見えちまうからな」

 

衣笠(ネ級)「…え?提督さんにはさっきから元の私の姿が見えてるって事?」

 

「あぁ。さっき取った時からずっとそう見えてるぞ。このアンチ装備が万能すぎて他の装置の影響も受けないんだろうな。これで解除されたらとは思ったが、廊下にいる皆の反応を見る限りそういった可能性はなさそうだが」チラッ

 

曙『ねぇ、衣笠さんはどうしちゃったのかしら?さっきから壁に向いて喋ってるんだけど?』ボソボソ

 

潮『喜怒哀楽が凄い勢いで変わってたもんね…何か辛い事でもあるのかな?』ボソボソ

 

不知火『私としてはイマジナリーフレンドと話してる様に見えるのですが…衣笠さんはそんなに親しい人達がいらっしゃらないのでしょうか?』ボソボソ

 

曙『今度一緒に間宮さんのアイスを食べられないか話してみましょ。流石に見てらんないわ』ボノボノ

 

潮『そうだね。私達が衣笠さんのお友達になれないか頑張ってみよっか』ボソボソ

 

不知火『これを機に衣笠さんにも少しは心を許せる人が出来ると良いのですがね…』ボソボソ

 

衣笠(ネ級)「…」ダバーッ

 

「おう。気持ちは分かるがその涙を止めろ。更におかしな奴だと思われるぞ」

 

衣笠(ネ級)「…これはうかつに渡せないね」

 

「それに鎮守府外に出れば装置の範囲外に出て俺の姿も周りから認識されるはずだしな。もしかしたら金剛が俺に見えているのも解除出来るかもしれん」

 

衣笠(ネ級)「あれ?でもそうなったらどうなるの?」

 

「そういう時こそ説明書だろ?どっかにのってないか?」

 

衣笠(ネ級)「あ、そっか」バサッ

 

「あ、悪いがネ級が見てくれ。俺が見たら破きそうになる。衝動的に」

 

衣笠(ネ級)「…分かったわ」パラパラ

 

衣笠(ネ級)「んー、説明を見た感じ、完全に認識が他の人に移った状態らしいから混乱は起きないんじゃないかしら?あくまで提督さんだけが認識されるはずよ」

 

「…ふむ。なるほどな」

 

衣笠(ネ級)「とりあえずどうするの?」

 

「出かけよう。ついでにいくつかの準備をしてな」

 

衣笠(ネ級)「あ、じゃあ私もついて行っていい?そっちの方が面白そうだし」

 

「ここでの仕事は大丈夫なのか?今は設定が変わってるからお前という存在が認識されてると思うが」

 

衣笠(ネ級)「あっちゃー。確かに、冷静に考えればそうだわ」

 

「ま、出撃頑張れ。あるいは遠征か演習にでも回してもらったらいいだろ」

 

衣笠(ネ級)「しょうがないか…私にもお土産宜しくね」

 

「おう。ちなみに何がいい?」

 

衣笠(ネ級)「じゃあ…服で!」

 

「…分かったよ。今までの礼も込めて良いもん買ってきてやる」

 

衣笠(ネ級)「おっ!言ってみるものだね~♪」

 

「センスは期待するなよ?頼まれた以上は良いもん買えるか探してきてやるけどな」

 

衣笠(ネ級)「別に良いよ♪こういうのは買ってもらえるのが嬉しいんだからさ」

 

「現金な奴だな…」

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