この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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様々な事に対して余裕が無いこの頃、割と忙しいというのが本音であり、小説のネタも若干思いつかなくなってきている問題が発生中。早くネタとモチベを回復しなければ…

最近はゲームをする暇があんまりないというのが現状です。それくらい忙しいので小説をある程度作りだめする方式に変更しました。今はストックが4本程あるのですが、もしこれが一斉に投稿されるときがあれば割とヤバい状況だと思っててください。具体的には今後投稿されないと思うレベルで


詭弁と慢心、そして清算

「……」カリカリ

 

電「…あ、ここ間違えてるのです」

 

「あっ、すまん」

 

電「…今日はもう遅いですもんね」チラッ

 

時計『23:58』

 

「ごめんな。こんな時間まで付き合わせて」

 

電「これくらいなら大丈夫なのです。あまり気にしないでください」

 

「そういう訳にはいかない。あんまり甘やかしてくれるな」

 

電「…司令官さんは少し自分に厳しすぎると思います」

 

「気のせいだろ」

 

電「いいえ。その証拠にずっと固いのです」

 

「固い?」

 

電「いつもみたいに余裕がある感じがしないのです。疲れた時に疲れたとも言わず、ずっと司令官であろうとしてる気がするのです」

 

「あー、少し提督として成長したって事だろ。いい加減お前達を指揮する立場ってのが理解して来たって事だ」

 

電「それは本心なのです?」

 

「そうだが?」

 

電「…どうも嘘っぽいのです」

 

「えぇ…ならどうしろと言うんだよ…」

 

電「もう少し肩の力を抜いてはどうでしょう?電の立場から言わせていただくなら、もう少しお体を大事にしてほしいのです。いざという時に倒れてしまっては皆心配しますし士気も下がってしまうのです。現に何度かありましたしね」

 

「うっ…痛い所を付いてくるな」

 

電「なんでしたらその書類は明日の朝にでも回しますか?朝一でやってしまえば問題はないですし、残りの書類もあと少しなのですから」

 

「いや、流石に終わらすよ。あと少しを後回しにして結局出来なかったのは昔から良くあったからな」

 

「…それが原因の一端とは言え、俺は駄目になったからな」

 

電「…?」

 

「…さて、あと少しだし頑張るか」グッグッ

 

電「…このペースなら0030までには終わりそうなのです」

 

「電のチェックが必要そうな書類はあるか?」

 

電「んー…いえ、大丈夫そうなのです」

 

「そっか。なら電は先に休んどけ」

 

電「いえ、ここまで来たら最後までお供するのです」

 

「アホか。無駄な労力を割く必要はないから先に休んどけ。気持ちだけ受け取っておくから」

 

電「……」ジッ

 

「…はぁ。誰に似たんだか」

 

電「きっと司令官さんに似たのですよ。そうに違いないのです」

 

「やめとけ。碌な大人にならんぞ」

 

電「そんな筈ありません。司令官さんとのお時間は楽しいですから」

 

「…チッ」

 

電「ふふっ」クスッ

 

夕立「提督さん」ガチャ

 

「どうした?後ノックくらいしなさい」

 

夕立「あっ、ご、ごめんなさい…」

 

「…で、どうした?」

 

夕立「あ、えっと、これを渡しに来たっぽい」スッ

 

電「…おにぎり?」

 

夕立「う、うん。提督さんが夜遅くまで頑張ってるって曙ちゃんから聞いたから、少しでもお手伝い出来るかと思って」

 

「…そうか。ただ夜更かしとは感心しないな」

 

夕立「う…ご、ごめんなさい…」

 

「罰としてお茶を淹れてくれ。コップはそことお茶はそこの冷蔵庫の中にあるから」

 

夕立「!わ、分かったっぽい!」

 

電「…お優しいのです」

 

「優しさを無下には出来ないからな」

 

電「そういった所が電は好きなのですよ」

 

「ふっ、褒めても茶菓子くらいしか出んぞ」

 

電「それはまた次の機会にお願いするのです」

 

「あぁ。分かったよ」バサッ

 

夕立「提督さん、お待た…って、何で書類持ってるの?」

 

川内「提督!」バンッ

 

夕立「わ、わっ!?」ガチャン

 

「大丈夫か?」トントン

 

夕立「うぅ…」ビチャビチャ

 

川内「あっ!ご、ごめん!」

 

夕立「だ、大丈夫っぽい。気にしてないから…」

 

電「夕立ちゃん、タオルなのです」スッ

 

夕立「あ、ありがとう…」フキフキ

 

「んで、どうした?なんか用事か?」

 

川内「ちょっと昼の続きを聞きたいんだけど、今良い?」

 

「ここで話してくれ」

 

川内「…良いの?」

 

「…昼ってなんか話したっけ?」

 

川内「とぼけないでよ。鳳翔さんが裏切った理由を知ってるんでしょ?」

 

夕立「えっ?」

 

「あー、そのことか」

 

川内「で、どうなの?」

 

「知ってるっちゃ知ってるんだが…えー…」

 

川内「何?そんなに言い辛い事なの?」

 

「ちょっと待ってな。今言い訳考えてるから」スッ

 

川内「言い訳!?」

 

「いやー、確かにそれっぽい訳は直接本人から聞いたというか、教えて貰ったんだがどうも信じられなくってなぁ…正直どう話したもんかと考えてる」モグモグ

 

川内「それでも良いから話して!」

 

「分かったよ。夕立、塩と砂糖間違えてるぞ」

 

夕立「えっ、あっ、ごっ、ごめんなさい…っぽい」

 

電「…早く話してください」

 

「まぁ待てよ。慌てたら聞きたい事も聞けないぞ?」ゴクゴク

 

電「……」

 

「…ふぅ。さて、俺が何で知ってるかって話だったな」ピラッ

 

夕立「…夕立達に渡したメモ?」

 

「そ。反省室にいた時にこれが届いてな。丁度鳳翔がいなくなったその日に」

 

 

メモ『五日後に本気でやりあいましょう』

 

 

「情熱的なラブレターだろ?」

 

電「実際に戦うのは私達なのですけどね」

 

「それを言うな。提督に相談しなかった理由としては…ま、分かるだろ?」

 

川内「悪戯として取られるかも知れないって事ね…」

 

「……」

 

夕立「…鳳翔さんは、これを望んでるの?」

 

「そうだろうな」

 

夕立「…提督さん。聞きたくはないんだけどホントに鳳翔さんがこれを書いたの?」

 

電「…筆跡が違うのです。司令官さんの執務を近くで見てましたから間違いないのです」

 

夕立「…そっか」

 

川内「…報告しないの?」

 

「してどうなる?」

 

「本気でやりあおうって書いてあるだろ?もう既に戦う準備をしていってるのに、今更これを見せてもやる事は変わらん。どちらかと言えばお前等に見せた方が効果はあると思うが」

 

川内「…全力でぶつかれって?」

 

「それ以外に何かあるか?」

 

川内「でも…」

 

「はぁ…いい加減に逃げんのはやめろ」

 

川内「……」

 

夕立「…川内さん、やっぱり怖い?」

 

川内「…うん」

 

夕立「どうして怖いの?」

 

川内「だって…いつもみたいに敵を撃つんじゃないんだよ?」

 

川内「今回は仲間。それも私達の先輩で、ここを出る時に手助けしてくれた人を…どうして敵に回して怖くないって言えるの?どうして夕立ちゃんは嫌だって言わないの?」

 

夕立「それがお願いなんだもん」

 

川内「…」

 

夕立「私達と本気でぶつかりたい。後の事を考えず、ただそれだけに力を注いでいる人のお願いに答えてあげたいと思わない?それともそのお願いを跳ね除けて無理矢理にでも自分の我儘を押し通したい?」

 

夕立「言っとくけど無理矢理跳ね除けるのは相当の力が無いと無理だよ?生半可な力じゃその人のお願いを無視して自分の我儘を押し通す事なんて出来ない。それは川内が一番知ってるでしょ?」

 

川内「…ズルいなぁ」

 

夕立「ごめんね。でも、こう言えば断れないって教えてくれたから」

 

川内「…分かったよ。鳳翔さんのお願いを聞くことが、夕立のお願いに答えてあげる事になるんだよね?」

 

夕立「うん。そういうこと」

 

「話はまとまったか?」

 

川内「…まだ納得は出来てないけどね」

 

「それで良い。俺としてはいきなり割り切るほうが怖いしな」

 

電「…だけど、何故五日後なのでしょう?」

 

「単純に準備期間じゃないのか?」

 

電「それもあるんでしょうけど…もっと疑問なのが一点あるのです」

 

「何故ここの提督にこれが届いていないのか?だな」

 

電「司令官さんに渡すのはどう考えてもお門違いなのです」

 

夕立「提督さん、お門違いって?」

 

「見当外れの間違いって意味だ。間違いも間違い。大間違いってな」

 

川内「…提督は知ってたんじゃないのかな。こうなるんだって」

 

電「それは何故…」

 

川内「だってさ、いくらなんでも行動が早すぎると思わない?鳳翔さんが消えたら普通は私達みたいに動揺したりするはずだけど、それが一切ないと言って良い程の手際の良さで鳳翔さんの穴埋めを行ったでしょ?どう考えても異常と言えるスピードだよ」

 

「あの人もあの人で色々考えてたんだろ。鳳翔が裏切ってた事も事前に知ってたりしてな」

 

電「…そうなってくると今回の裏切りも少し考えなければなりませんね」

 

川内「…それってどういう事?」

 

電「女提督さんと鳳翔さんは通じ合っている可能性です。女提督さんがそもそも深海棲艦に裏切っていて、その橋渡しとして鳳翔さんを利用している…とかですね」

 

夕立「流石に無理があるっぽい」

 

電「まあ、そもそも裏切っているなら私達がここに来た時点で捕まえて深海棲艦に引き渡すといった事も出来たはずなのですからね」

 

川内「…提督」

 

「ん?」

 

川内「なんでそんなに落ち着いてるの?」

 

「そりゃ向こうが俺をお望みだからな。もう心構えぐらいは済ました」

 

川内「…その理由は?」

 

「これが俺の手元に届いた。しかも明確に俺の位置を辿ってな。そして紙の内容も合わせて考えればそれが何よりの証拠だろ?」

 

電「…あっ!?」

 

夕立「え?何でそれが提督さんを望んでるって事になるっぽい?」

 

電「司令官さんは二日後に元の姿に戻りますよね?そしてこの手紙には鳳翔さんが指定した日の一日後が指定されているのです。これって偶然なのでしょうか?」

 

夕立「…確かに。提督さんが戻ると分かっていないとここまでギリギリに合わせる事なんて出来ないよね」

 

川内「でもさ、なんでわざわざ提督が元に戻る日に合わせたんだろう?いや、そもそも五日後ってのもホントに偶然なのかな?」

 

「偶然じゃないぞ。現に鈴谷が上手い事扱われたしな」

 

電「へ?」

 

「今日の鈴谷、ちょっとおかしいと思わなかったか?」

 

夕立「…そういえば、やけにソワソワしてたっぽい」

 

川内「…鈴谷さんも裏切ってたって事?」

 

電「それなら鈴谷さんも鳳翔さんについていくと思うのです」

 

夕立「もーっ!提督さんも何か知ってるならはっきりと教えてほしいっぽい!」

 

「ダメダメ。それじゃつまらないだろ?」

 

川内「よーし、そういえば女提督から新しく貰った装備の試し撃ちしたかったんだよね~」

 

「教えるんで勘弁してください。死んでしまいます」

 

川内「じゃあ吐いて。知ってる事、考えてる事、全部ね」

 

「チェッ、遊び心の無い奴だな」

 

電「…」ガシャン

 

 

あ、これは死ぬ。そう直観させる黒で埋まった瞳、キラーンとSEが鳴りそうな光った目をした電が魚雷を手に持ちこちらを見下ろして…いや、見下している

 

今の電は電であって電ではない。おいたをする数多の提督を屠り、それが例えどれだけドSの提督でも容赦なく攻撃をし、逆に聖人であろうと容赦せず深海の闇に引きずり込む…性格が普段のはわわ系のドジっ子電が、今は冷酷無比で一寸先は闇しか見せない”プラズマ”と化している。ここから先はふざけたら死ぬ。下手したら男として死ぬかも知れないと考えた時、私が取った行動は早かった

 

 

「皆さんが各々日常を送っている裏で私も動いていたんです!そしたら鈴谷は鳳翔にそそのかされてこうなった原因を使い、私はこうなったという情報を掴んだんです!だから私はこの状況になった対処として皆さんにメモを渡したり、色々な場所に忍び込んだりして情報を集めてたんですよ!」

 

 

キャラなど忘れた。威厳など捨てた。あるのはただ無事に生還するという生への強い意志。ほんのわずかな刺激を与えたら爆発するニトログリセリンを慎重に取り扱うような心構えで、例えどんな詭弁を立てようと全てを正論で返してくる人を相手取る気持ちで話す。決して怒らせないように文字通り命を燃やして

 

 

「鈴谷がソワソワしてたのは提督にその事実を伝えるか悩んでたから!金剛の姿が私に見間違える症状もおそらく把握していると思われます!」

 

電「その証拠は?」

 

「一度でも鈴谷は金剛に対して私だと認識して話していましたか!?それが何よりの証拠!更に鈴谷はこの事態を異常と察したのか提督として見られている金剛に何もしなかったではありませんか!」

 

夕立「そういえば、金剛さんを提督だと見間違えているのは皆共通のはずだけど、鈴谷さんは寧ろ普通に接していたような…」

 

川内「にわかには信じがたいけどホントっぽいよね…意外と裏で動いてくれてたんだ」

 

電「なるほどなるほど…」

 

「わ、分かっていただけましたか?」

 

電「えぇ。つまり電達のやっていた行動はホントは必要なかったのではないのかと思ったのです」

 

「そのようなことがあろうはずがございません。私より自由に動ける皆さんが動いてくださったからこそ出来た事。あまりそのような事を考えないでくだしゃい…」

 

電「ふむふむ、つまり電達は良い餌だったと。司令官さんが情報収集として様々な事を収集出来る様に寄せ餌だった訳なのですね」

 

「い、いやいや!それは勘違い!大きな勘違いですって!」

 

電「大丈夫なのです。電達は司令官さんがそんなことを考えていないって知っているのですよ」

 

「ほ、ほん「ですが」」

 

電「意識せずとも相手を不快にさせるお人には相応の罰が必要だと思うのです。そう思いますよね?ドアの向こうにいる皆さん?」

 

夕立・川内「「えっ?」」

 

島風「…何時から分かってたの?」ガチャ

 

電「初めにやってきたのは島風ちゃん、次が龍田さんと天龍さん。愛宕さん…っと、こんな所でしょうか?」

 

龍田「…当たってる」

 

愛宕『対面するとよりはっきり分かるんだけど…今の電ちゃんから深海棲艦以上の黒い何かを感じるのって気のせい…じゃないわよね?』

 

天龍『愛宕さん、命が惜しいなら何も触れない事だ。じゃないとあそこの提督みたいになるぞ』

 

「……」ガタガタガタガタガタガタガタガタ

 

電「皆さん」

 

皆さん「はいっ!」

 

電「司令官さんは丁度お仕事が終わって凄くお疲れなのです。このまま司令官さんをお部屋にお連れしようと思うのですが、何か異論のある人はありますか?」

 

皆さん「ありませんっ!」

 

電「…だそうなので司令官さん、寝室に行くのです。電もお供させて頂きますので」

 

「電さん、私は一人で行けます。というかすぐ隣の部屋です。こんな遅い時間にわざわざお供していただかなくとも…」

 

電「え?何か言ったのです?」ギラッ

 

「何でもございません!電様が聞いた空耳かと思われます!」

 

電「…へぇ?電の言う言葉が嘘だとでも?」

 

「すいません!私の口がおかしなことを口走りました!」

 

電「その通りなのです。さっ、一緒に寝室に行きましょう?」

 

「イエッサー!」

 

電「皆さん、申し訳ないのですが電も疲れてしまったのですぐにでも眠りたいのです。なのでここのお片付けをお願いしたいのですが…」

 

皆さん「お任せください!」訳:早く連れていって

 

電「という事ですので司令官さん、電を連れて行って欲しいのです」

 

「…え?僕が運ぶの?」

 

電「何か言いまし「何でもございません」」

 

「…そういう訳だから皆、後は任せた」訳:助けてくれ

 

皆「任せて(ろ)!」訳:嫌!

 

電「司令官さん、早く行きましょう?」

 

「…はい」ダキッ

 

電「…ふふっ」ガチャ

 

 

ドア『薄情なやっちゃな』バタン

 

 

龍田「…電ちゃんには逆らわない様にしましょ」

 

皆「賛成…」ドヨーン…

 

 

 

「……ふぃ」クツクツ

 

鈴谷「うわっ!何でもう料理が!?」

 

満潮「鈴谷さん、どうしたの?」

 

皐月「あれ?もうお味噌汁が出来てる」

 

「……」

 

鈴谷「ご飯は…炊けてる。お味噌汁も丁度良いくらいに具材が入ってるし…」

 

満潮「…今日は私達が当番よね?誰が料理をここまで?」

 

皐月「あ、でもお魚はまだみたいだよ。ポテトサラダも作りかけだ」

 

鈴谷「…誰が作ったんだろう?」

 

満潮「ま、そんなのはどうでも良いわ。問題はちゃんと食べられるかよ。もし毒でも入ってたら大変だしね」

 

皐月「ど、毒!?」

 

満潮「だって疑うべきでしょ?まだ作ってる料理だって温かいのに、肝心の作った人がいないんだもの」

 

皐月「た、確かにそうだけど…」

 

鈴谷「ん~、大丈夫じゃない?」ズズッ

 

満潮「ちょっ…!?何やってるの!?」

 

鈴谷「ほら、飲んでも何ともないよ?満潮も飲んでみたら?」

 

皐月「あ、これなめこが入ってる。僕あんまり好きじゃないんだよね」ズズッ

 

満潮「…分かったわよ。もう飲まなくて良いから」

 

鈴谷「えー、せっかく美味しいのに」

 

満潮「ヌルヌルしてるの苦手なのよ!早く料理の続きを作るわよ!」

 

鈴谷・皐月「「はーい」」

 

「…満潮はヌルヌルが苦手、と」メモメモ

 

鈴谷「あっ、卵が!?」グシャッ

 

皐月「う、鱗が、きつい…!」ズリッ

 

満潮「…あれ?これで大丈夫なのかしら?」ゴオッ

 

「……」

 

 

・・・0700・・・

 

 

「いただきます」パンッ

 

電「司令官さん、朝早くからどこにいたのです?」

 

「食堂の危機を救ってきた」

 

電「?」

 

 

鈴谷「んーっ!美味しー!」

 

皐月「魚の鱗って結構取るの大変なんだねぇ…」

 

満潮「…味噌汁も飲まなきゃ駄目?」

 

鈴谷・皐月「「駄目」」

 

満潮「うぅ…」

 

貼り紙『今朝、厨房で火が天井に刺さるという事件があり、大変危険になっています。不用意に厨房に入らない様にしてください』

 

比叡「誰かフランベでもしたんでしょうか?」

 

暁「それを出来るのは比叡さんだけだと思うわ」

 

比叡「はぁ。せっかくカレーを作る練習してたのに、これじゃ出来ないな…」

 

食堂『ガタッ』

 

比叡「あれ?皆さんどうしたんでしょう?」

 

暁「…自覚が無いのは悪意あるのより酷いと思うわ」

 

比叡「へ?」

 

時雨「暁、比叡さん」

 

暁「時雨?どうしたの?」

 

時雨「夕立見なかったかい?そろそろ哨戒に行かなきゃならないのに見当たらないんだ」

 

比叡「夕立ちゃんなら確か榛名と一緒に工廠にいましたよ。連絡しておきましょうか?」

 

時雨「いや、場所が分かってるなら僕が行くよ。教えてくれてありがとうね」

 

暁「あ、ならついでに新しい装備が出来たら試し打ちの練習をしないか聞いといてくれない?これから遠征に行かなきゃいけないからお願いしちゃうことになるけど…」

 

時雨「それぐらいなら構わないよ。気にしないで」

 

暁「ありがとうね、時雨」

 

時雨「それじゃ行ってくるよ。今日も頑張ろうね」

 

比叡「はい!頑張りましょう!」

 

暁「時雨もね。無理しちゃ駄目よ」フリフリ

 

 

比叡「…暁」

 

暁「…何かしら?」

 

比叡「あの子、深海棲艦じゃないよね?」

 

暁「時雨は時雨よ。私達の仲間である事には変わりないわ」

 

比叡「…そっか」

 

 

時雨「これが終われば後は出撃の準備。出撃から帰投したらその後は…」パラパラ

 

愛宕「…時雨?」

 

時雨「愛宕?僕に何か用事かい?」パタン

 

愛宕「提督の所に行きましょ」

 

時雨「どうして?悪いけどやることがあるんだ」

 

愛宕「駄目。今行くのよ」

 

時雨「…やけに強情だね。何かあったのかい?」

 

愛宕「時雨、今日は鏡を見た?」

 

時雨「え?」

 

愛宕「ほら、これ見て」スッ

 

時雨「…あぁ」

 

 

愛宕から手渡された手鏡で自身の顔を映す。そこに映るのは当然自身の姿だと思っていたが、目の周りに黒い模様のようなものが浮かんでおり、白目の部分が何かに浸食されているかのように少し黒くなっている。これだけでも十分異質なのだが、鏡を通じて何か冷たいものを感じた。それが自身から発せられているという事は考えるまでもないだろう

 

 

愛宕「ねぇ、早く提督の所に行って何とかしてもらいましょ?」

 

時雨「…いや、提督の所にはいかない」

 

愛宕「ど、どうして!?」

 

時雨「この程度なら僕の力だけでどうにかするよ。いつまでも提督だけに頼る訳にいかないしね」

 

 

フッと力を抜き、少しだけ何も考えないようにする

 

すると途端に心の奥底から何かが這い登る感覚が襲った。それは酷く冷たい感情の様なもので、同時に酷く不安定な物だと感じる。まるで少しでも刺激を与えれば爆発しそうな、そんな不安定な物が脳に向かって浸食していくように

 

やがてそれは少しずつ頭の中に染み込んでいくかの様に入ってきて、自分を見失いそうになる程の恐怖が脳内を支配し始める。愛宕が何かを叫んでいるようで声が聞こえてくるが、脳内のナニカによってそれを声ではなく、音として認識する事しか出来なかった

 

あと少しで脳内は完全に恐怖で埋め尽くされる…が、そこまでだった。ほんの僅かな隙間を残して浸食は完全に止まり、それ以上は脳内を埋める感覚は起こらなかった

 

おそらくだが”これ”は感情という刺激が無ければ何も出来ないのだろう。自身だけでは何も出来ず、感情を自分達から引き出す為に怯えさせる様な事をしているに過ぎない。それさえ分かってしまえば対処は簡単だ。感情に波風を立たせないように落ち着いておけば良いのだから

 

しばらくそのままの状態をキープしているとやがて脳内の隙間が広がった。まるで穴の開いたボトルから水が零れていくかのように恐怖という水が脳内のボトルから消えていき、やがていつも通りの脳内として元に戻っていった

 

 

時雨「…ふぅ」

 

愛宕「し、時雨?大丈夫なの?」

 

時雨「あぁ。何も問題は無いよ。ちょっと疲れた位だね」

 

愛宕「…ちょっと目を見せて」

 

時雨「…どうだい?まぁ、何も問題はないと思うけど」

 

愛宕「…嘘。ホントに何ともないみたい」

 

時雨「もう良いかい?」

 

愛宕「え、えぇ。止めちゃってごめんなさいね」

 

時雨「…愛宕。一つ忠告しておくけど、提督に頼って何とかしてもらおうっていう考えは捨てた方が良い。もし提督がいなくなった時に同じ症状が起こったらどうしようもないからね」

 

愛宕「…分かったわ」

 

時雨「ん、なら良かったよ」

 

夕立「時雨!愛宕さん!」

 

時雨「あ、夕立。どこにいたの?」

 

夕立「助けて!」

 

時雨「へ?」

 

愛宕「時雨っ!」

 

 

愛宕の叫ぶ声が聞こえた。咄嗟に愛宕の方を向くとその視線の先は僕達ではなく、夕立が走って来た方向をずっと見据えていた。何があるんだとその方向を見ようと首を振り向こうとすると同時に、前方から走って来た夕立によって体が引っ張られた

 

次に来たのは轟音と爆風だった。着弾した場所は先ほど自分が立っていた場所で何かが爆発したような形で穴が空いている。体にはその時飛び散った破片がいくつか刺さっており、致命傷と言える程の大きな傷が出来なかったのは不幸中の幸いだろう

 

何が起こったのか理解が出来ず、状況を判断しようと辺りを警戒したが、少し遠くの廊下で砲撃してきた原因がそこで佇んでいた

 

 

夕立「金剛さん!やめて!」

 

愛宕「…あれは」

 

 

僕達の提督の姿がそこにいた。人間が持つことはあり得ない艤装を装備して。腕には力なく引っ張られている榛名の姿があり、足から出血しているのか、血の跡が道を作る様に垂れていた。本人はおそらく気絶でもしているのだろうか、微塵も動く気配がしなかった

 

 

愛宕「夕立ちゃん!何があったの!?」

 

夕立「工廠で金剛さんに襲われたの。突然どうして、なんで、って声が聞こえたと思ったら一緒にいた榛名さんを襲いだして…それからずっと追いかけられてたから、逃げながら一緒に対処出来る人達を探してたの」

 

時雨「良い判断だね。戦艦と駆逐艦一隻じゃ分が悪い」

 

愛宕「…金剛さんは逃がしてくれるかしら?」

 

時雨「その前に榛名さんを助けないと駄目だよ。それにここで逃げたら更に被害が出そうだからね」

 

愛宕「そうよね…」

 

時雨「夕立、砲撃されたのはついさっきの一発だけ?」

 

夕立「うん。それまではずっと走って追いかけてきただけっぽい」

 

愛宕「…ここが海に近くて良かったわ」

 

夕立「…何する気っぽい?」

 

時雨「夕立はそこの壁に穴を開けてくれないかい?僕が榛名さんを救出するから、愛宕は金剛さんを作った穴から外に放り出してほしい」

 

愛宕「りょうか~い♪」

 

夕立「…無茶苦茶すぎるっぽい」

 

時雨「怒られるなら一緒にね。犠牲が増えるよりマシでしょ?」

 

金剛「…」ガシャン

 

時雨「来るよ。二人共お願いね」

 

愛宕・夕立「「了解!」」

 

 

そう声を掛け、愛宕と共に金剛に向かって走り出す。金剛は二人同時に来たため一瞬の躊躇いが見えたが、愛宕の方が厄介だと思ったのか愛宕に向かって砲撃したが、愛宕は飛んでくる場所が分かっているかのように体を捻って回避をする。後方の壁で爆発が起こるが、流石にあそこから金剛を外に出すには遠すぎるので却下した

 

壁が爆発すると同時に夕立が僕達と金剛さんの間の壁に目掛けて砲撃し、ガラス片や壁の破片が飛び散りながら丁度人が一人分通りそうな穴が開く。その時に飛んだ破片がいくつか体にぶつかるが、速度を落とさずそのまま金剛さんに向かって接近する。すると破片は金剛にも飛んだようで、榛名さんを掴んでいる腕から血が出ており、握っているはずの手はもはや力なく垂れているだけだった

 

砲撃した金剛さんは次弾を即撃つという事が出来ず、しばらく構えたままのポーズで硬直していた所を奪い去る様にして榛名さんを金剛さんの傍から引き離す。すかさず愛宕が腕を掴み、以前電が元師との演習で見せた背負い投げを金剛さんに向かって行う

 

電の様に綺麗なフォームを描いて行われず、完全に力技で行っているのか荒々しい動きで金剛さんを投げ飛ばし、まだ壁に残っているガラスを巻き込みながら外に向かって金剛さんが吹っ飛んでいった

 

 

夕立「…人ってあんなに飛ぶの?いくら海が近いとはいえ10M以上は離れてると思うんだけど」

 

時雨「うん、どうやら深海棲艦に近づくとリミッターが少し外れるみたいでね」

 

愛宕「そ、その分…疲れやすいけどね…」ハァハァ

 

加賀「今の音は何!?」

 

時雨「あ、加賀さん。丁度良かった。この人の事お願いね」

 

加賀「は、榛名!?一体何があったの!?」

 

夕立「加賀さん。出来たら壁に穴を開けたのを代わりに謝っておいてほしいっぽい」

 

愛宕「二人共、早くいかないと金剛さんがまた暴れるかも知れないし早く行きましょ」

 

時雨「うん。そうだね」

 

加賀「あ、ちょ、ちょっと!?」

 

女提督「加賀!一体何があったの!?この穴とそこの榛名についての説明はしてくれるんでしょうね!?」

 

加賀「あ、わ、分かってるわ。分かってるから少し落ち着いて頂戴」アセアセ

 

女提督「落ち着いていられるもんですか!ただでさえ色々大変なのにこんなに問題ばっかり起こって…!あぁもう!」

 

加賀(三人共、あとで覚えておきなさいよ…)

 

 

 

時雨「愛宕、金剛が何でああなったか予想は付くかい?」

 

愛宕「うーん、ただ錯乱しているとしか分からないわ」

 

夕立「金剛さんは今でこそ大人しくしてるけど、前まではここで色々やってたんだよね?今になって罪悪感に包まれたとか?」

 

時雨「それはないね」

 

愛宕「同感ね」

 

夕立「…だよね」

 

時雨「二人共、そろそろ接敵するよ」

 

愛宕「制圧の方法は?」

 

夕立「金剛さんは戦艦だしある程度の攻撃なら耐えられると思うっぽい。大破まで追い込んだら羽交い絞めにでもして押さえつければ大丈夫なはず」

 

愛宕「中破にまで追い込んだら私は攻撃をやめといた方が良いかしら?」

 

時雨「だね。流石に愛宕の火力だと轟沈させそうだし」

 

夕立「二人共!前!」

 

 

夕立が叫びに反応する様に前を向くと金剛さんが砲門を展開して構えていた。距離は目測だけで7M、僕たちはまだ陸地にいる為、海上の様な回避は出来ない。後ろには皆がいる。これじゃあ回避する訳にはいかない

 

 

時雨「愛宕!」

 

愛宕「分かってる!」

 

夕立「愛宕さん!何とかこらえて!」

 

 

意図を読んだ愛宕が後ろに砲弾を通さない様にその場で静止し、僕と夕立は散開しながら金剛さんに向かって突っ込んでいく。これなら僕か夕立に狙いを定められても被害は僕達だけで済む。仮に回避をしたとしても、騒ぎのおかげで愛宕の後ろに人が集まっているから被害はそれほど酷くならないはずだ

 

…と、そこまで考えていた時に金剛さんの真横から何かが飛んでくるのが視界に入った

 

 

金剛「!?」ボンッ

 

時雨「はっ!?」

 

 

目の前で金剛さんの砲塔が何故か爆発し、爆風が金剛さんの腕を中心に巻き起こった。しかし砲撃した音も聞こえなければ、空を飛ぶ艦載機の音さえ聞こえない

 

やがて爆風が晴れていくと爆発した原因と思われる槍が金剛さんの砲塔に突き刺さっていた

 

 

夕立「あれって…」

 

天龍「おう、お前等無事か?」

 

時雨「天龍さん…ってことはあれって」

 

天龍「龍田だよ。ほら、あそこにいる」

 

 

天龍さんが指を指した先には龍田さんが海上で立っており、済ました顔をしながらゆっくりと金剛さんに近づいて行ったかと思えば、それに気づいた金剛さんがすぐさま殴りかかろうとするが軽くいなされてしまい、カウンターでボディーブローを入れられ、痛みに耐えられず気絶したようだった

 

 

夕立「…オゥッ」

 

時雨「…嘘でしょ」

 

龍田「天龍ちゃん大丈夫?皆も怪我とかしてない?」

 

天龍「俺は大丈夫だよ。にしても金剛さんをそんな運び方してやるなって」

 

 

龍田は金剛の艤装の隙間に丁寧に腕を通して抱える様に運んでおり、戦艦とは言えそれ相応に重いはずなのに顔色一つ変えずに運ぶ姿は凄いという尊敬に近い気持ちと少しの恐怖を感じた

 

 

愛宕「…とりあえず、応急処置しましょうか」

 

天龍「しっかし良く無事だったな。その傷具合から見て相当無茶したろ」

 

愛宕「えぇ、まぁ、ちょっと廊下でね」

 

時雨「二人は演習でもしてたのかい?」

 

天龍「おう。ちょっくらここのチビ達とな」

 

龍田「…あっ、愛宕さん。悪いけど金剛さんお願いね?私達は演習で置いてきちゃった皆の所に戻らなきゃいけないから」グイッ

 

天龍「え、ちょっ、龍田?」

 

龍田「ほら、天龍ちゃん。巻き込まれない内に早く行くわよ」スタスタ

 

夕立「あっ、まだお礼言えてないのに…」クルッ

 

加賀「…三人共」ゴゴゴゴッ

 

女提督「事情を説明してもらいましょうか?」ピキピキ

 

三人「…はい」

 

 

・・・それからどうしたの?・・・

 

 

女提督「…金剛の処分は追って伝えます。貴方達は状況を考えて処分無しとしますが、次は無いですよ?」

 

三人「はい…」

 

加賀「…?」

 

女提督「じゃあ姿勢を崩していいわよ。5秒以内に起き上がって退出しなければトイレ掃除ね」

 

夕立「えっ」ピリピリ

 

時雨「ふっ、くぅ…」ピリピリ

 

愛宕「き、厳し…」ピリピリ

 

女提督「…はい、5秒経過ね。じゃ今日だけで良いからトイレ掃除お願いね」

 

夕立「わ、分かりました…っぽい」ヨロヨロ

 

時雨「くっ…もう少し足を鍛えた方が良いのかな」ヨロヨロ

 

愛宕「い、いたた…」ヨロヨロ

 

加賀「あ、貴方達。壁の補修も妖精さんがやってるとはいえ、貴方達が空けたんだから手伝ってあげなさい」

 

三人「…はい。失礼します」バタン

 

加賀「…提督、少し質問があるのですが」

 

女提督「何かしら?」

 

加賀「ここに金剛はいませんが、何故金剛の処遇を?」

 

女提督「…加賀、愛宕が背負ってたのは誰か覚えてないの?」

 

加賀「確かここにやってきた提督だったと記憶していますが…それが何か?」

 

女提督「…いえ。何でもないわ。ちょっと疲れてるみたいだから、少し休ませてもらうわね」

 

加賀「分かりました。時間になったらまたお呼びします」

 

女提督「苦労を掛けるわね。加賀もしばらく待機で良いわよ」

 

加賀「はい。失礼します」ガチャ

 

女提督「…はぁ。ホントに頭痛い」

 

女提督「…貴方も一緒にコーヒーでも飲む?盗聴さん?」

 

『遠慮しておく』

 

女提督「あら、会話も出来るの?」

 

『妖精さんには頭が上がらんな』

 

女提督「で?金剛が貴方になってるのはどうしてなの?」

 

『頭がイカレたんだろ』

 

女提督「ホントに言ってるの?」

 

『ホントに言ってんだよ』

 

女提督「…じゃあ次、金剛が暴走したのは何で?」

 

『それに関してなんだが…お前は知ってるのか?』

 

女提督「一部ね。でもそれだけよ」

 

『ふむ…ならこっちも推測だけだな』

 

女提督「一部って言うのは霧島の報告で上がった事じゃないわよ?」

 

『元師から色々言われて知ってんだろ?それでも教えられたのは一部だけって意味ならこっちも推測を話すしかない』

 

女提督「あら、その言い方だと私以上に何かを知ってるみたいじゃない」

 

『付き合いで言うなら少しこっちの方が長いからな。それでも数日程だが』

 

女提督「ふ~ん…それで、推測ってのはどんなの?」

 

『簡単な話、ただ寂しかったんだろ』

 

女提督「はぁ?」

 

『愛宕達のような症状は言わば負の感情を増幅させていると考えてもらって良い。金剛もその症状の軽い方とは言え、タイミングが悪かった』

 

『一部を除いて完全に自分の存在がいないかのように扱われたらな。そりゃあイラつくわ』

 

女提督「…数日も誤解されてた弊害って訳ね。それが爆発したってことか」

 

『俺が知ってるのはそれだけだ。他に質問が無いなら切るぞ』

 

女提督「待って。ならもう一つ聞きたい事が」

 

『どうぞ?』

 

女提督「…金剛は、将来的に深海棲艦になってしまうの?」

 

『…それには答えられないな』

 

女提督「どうして?」

 

『俺もアレに関しては何も知らん。止める手立てなんかさっぱりだぞ』

 

女提督「…そう」

 

『で、どうするんだ?』

 

女提督「…金剛の事?」

 

『それ以外に何がある』

 

女提督「鳳翔の事とか色々あるじゃない」

 

『話の流れを急に変えて鳳翔の話をするほど俺は馬鹿じゃないぞ』

 

女提督「……」

 

『おい、その間は何だ』

 

女提督「何でもないわよ…で、どうしたら良いと思う?」

 

『サッサと解体するなり、雷撃処分するなりしろ。それが出来ないんなら今回の件で大いに役立ってもらうんだな』

 

女提督「…随分きつい事を言うわね」

 

『それだけの事をやらかしたろ。お前もな』

 

女提督「…何の事?」

 

『とぼけるな。ここに本来いたはずの10名の艦娘、行方不明にしたのはどこの誰だよ?しかもご丁寧にここにいた全員がいた事を覚えてないって徹底さだ』

 

女提督「…知ってたのね」

 

『お前が今回の異常事態に気付いたのも前例があったからだよな?お前は隠しているつもりかも知れんが、元師には筒抜けだと思うぞ』

 

女提督「分かってるわよ。そんなことくらい」

 

『お前が隠してる理由も今いる仲間たちに混乱を起こさない為ってのは理解している。だがいい加減にケリをつけろ。今回の件を利用してしっかりと心の靄を晴らすんだな』

 

女提督「…はぁ。せめてもう少し仕事の出来る奴から怒られたかったわ」

 

『怒るのに立場なんかないだろ』

 

女提督「分かってるわよ。貴方の場合正論だから返す言葉もないしね」

 

『そんじゃそろそろ切るぞ。書類を電に届けさせるから受け取るのを忘れないでくれ』

 

女提督「分かったわ。ついでに課題もいくつか渡しておくからね」

 

『分かった。それじゃな』ブツッ

 

女提督「…慢心のツケがここに来て払う必要になっただけ。これに逃げちゃ提督失格よね?」

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