この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
ストックを貯めていく方針で進めていますが、これが五個以上溜まったら投稿していこうと思います。理由としては小説の続きを書くときに選ぶのがめんどくさい。折角出来たのだからサッサと投稿して続きの話を考えるモチベがほしい。等と言った理由があります。三週間に一本は最低限の投稿ペースだと思ってご覧ください
言った事は守れ?ルール追加するくらい許して。マジで投稿する時に間違えそうになるの
「…なぁ電」カリカリ
電「どうしました?」バサッ
「大淀はどこだ?」
電「大淀さんなら女提督さんの所で書類のお手伝いをしているのです」
「龍田と天龍達は?」
電「龍田さんは遠征に。天龍さんは私達の鎮守府で哨戒しているのです」
「…愛宕と時雨は?」
電「お二人は演習しているのです」
「他の駆逐艦達は?」
電「夕立ちゃん、潮ちゃん、島風ちゃん達は天龍さんと一緒に哨戒へ、雷ちゃん、暁ちゃん、響ちゃんは龍田さんと一緒に遠征してるのです」
「…電はずっと俺に付き添ってるな」
電「司令官さんの秘書官なのですから当然なのです」
「…そうか」
電「それがどうかしたのです?」
「いやな…俺の傍から電がいない生活の記憶が無くてな」
電「そうですか?ご飯の時とかバラバラですし、数日前までは書類を届けるくらいしか記憶にないのです」
「…それもそうか」
電「そんなことより司令官さん。あと少しで書類も終わるのですから、それが終わったら女提督さんから届けられた課題のお時間なのですよ!」
「電先生、ちょっとスケジュール厳しくないですか?というかここ最近、仕事して飯食べて寝るっていうループしかしてない気がするんですけど」
電「あれ?提督君はこんな事も出来ないのですか?そんな日常になってるのは仕事が遅い提督君のせいなのです」クイッ
「やってやるよチクショー!」
電「その意気なのです♪」
「…でもさ、正直飽きてきた」
電「地味な作業の繰り返しがよりよい物を生み出す。全てにおいての基礎なのです」
「そうは言うけどなぁ…たまに解き方が分からんくなるのはどうしたら良いんだい?」
電「覚えるしかないのです。メモ等せずに覚えられるようになるのが一番なのですが…司令官さんの場合は無理そうなのです」
「言っておくが俺の物覚えの悪さは人類の最底辺レベルだ。酷い時には聞いてる傍から話が記憶出来ないなんてこともザラにあるぞ」
電「自慢げに言う事じゃないと思うのです…」
「割とマジな話、ホントに酷い時はさっき言った通りだからな。頭のネジがぶっ飛んだような事をしてても自覚してない時があるらしいし」
電「例えばどんなのですか?」
「何でも自分で頭を殴ったり指を噛んだりしてるんだと。自分ではそんな事してる記憶なんか一切ないのに気づいたら頭痛が止まらなくなったりしてるし、手を見たらいつの間にか歯型がついてる時もあった」
電「…ホントに大丈夫なのです?」
「知らね。自覚があるとは思うんだが、その時の状況を思い出そうとしても全く思い出せないんだ。綺麗に何もかもな」
電「そうなった時は止めてあげるのです」
「助かる」
電「あ、そこ間違えてるのです」
「え?どこ?」
電「ほら、こことここを合わせると計算が合わないのです」
「…ん?どこだ?」
電「ここなのですよ。指で指してるここの数とこっちの数なのです」
「えーっと、ここの計算方法って…あれ?」
電「…どうやら今日は調子の悪い日みたいなのです」
「…駄目だ。全く分からん」
電「休憩してみます?」
「いや、後30分やって解けなかったら考える」
電「時間かけすぎです」
「そうなのか?」
電「当たり前なのです…」
「そうかぁ…じゃあ5分程度で出来なかったらまた考える」
電「…はぁ」
ドア『Knock、Knock』コンコン
「入れ」
霧島「失礼します」
「霧島か、なんか用か?」
霧島「金剛お姉さまの事で相談に来ました。ですが…今は駄目そうですね」
「いや、相談には乗ってやる。だが手伝ってくれ」
霧島「具体的には何を?」
「考え方を教えてくれ。この課題のな」
霧島「えーっと…って、これはただの算数じゃないですか」
「算数…?」
霧島「…本気で言ってます?」
「あ、いや、大丈夫だ。今はっきり思い出した」カリカリ
霧島「…電ちゃんも苦労してるわね」
電「これからもっと苦労すると思うのです」
霧島「…提督、ふざけているようでしたらやめますからね」
「いつだって大真面目だ。ただポンコツというか虫レベルの思考しか出来なくなってるだけだ」
霧島「…必要なのは勉強じゃなくて病院が必要みたいですね」
「こればっかりは俺の脳のバグみたいなもんだから無理だぞ。病院でも治らんし、治療法も自分がアホだと認識するしかない」
電「あ、だから自己評価が低いのですね」
「それだけじゃないけどな。自分を駄目だと示す要因が俺には多すぎる」
霧島「いくら駄目な所があっても、その分良いところだってありますよ」
「よしてくれ。そんな風におだてられる程偉くないぞ」
電「…」
霧島「…」
「…あ、偉いんだったわ」←提督(Lv7)
電「…電は時々この人が不安になるのです」
霧島「貴方も大変ね…」
「…とかなんとか言ってるうちに出来たぁ!」
霧島「んー、特にこれと言って間違いはなさそうですね」
「まぁ資材の管理方法だけだったしな。これが陣形の問題や装備関連の問題なら解けなかったと思う」
電「…潜水艦に有効な装備は?」バサッ
「爆雷」
電「んー、どの爆雷装備でも良いので正式名称はご存知なのです?」
「えーっと…九十五式爆雷?」
電「惜しいのです。正解は九五式爆雷なのです」トントン
霧島「ふむ…完全に知らないというわけではないのですね」
「俺が知ってるのは重巡や戦艦では潜水艦を攻撃出来ないってのを知ってる位だな」
電「航空巡洋艦や航空戦艦といった方達も装備によっては攻撃出来るのです」
「あー、確か艦爆とかいう装備だっけか」
電「ふむふむ…では女提督さんに装備関連の課題を出しておくように進言しておくのです」
「おいおい、資材の計算も出来てないのに大丈夫なのか?」
電「司令官さんお一人でするなら止めてましたけど、電達が秘書官として司令官さんをお手伝いするのです。多少の間違いはお互いにカバーしあえば良いのですよ」
「…それもそうだな」
電「だからって頼りすぎないで下さいね?」
「分かってるよ。いつも助けられてるから頼りすぎな気がするが」
電「では電はこれを届けてくるのです。もうすぐ皆さんが帰投する時間だと思うので、良ければ顔を出してあげてください」
「…見えてないのに意味ある?」
電「大丈夫なのです。出迎えてくれる人がいるだけで電達は安心できるのですから」
「分かったよ。ったく、人をその気にさせるのが上手いな」ガタッ
電「ふふっ、それではお先に失礼するのです。ちゃんと顔を出してくださいね」ガチャ
霧島「…貴方達、ホントに司令と秘書官って立場なの?」
「そうだが?」
霧島「…自覚が無いのを考えると電ちゃんが楽しんでるのね」
「???」
女提督「大淀、これお願い」バサッ
大淀「はい、分かりました」
女提督「ごめんね。貴方はここの所属じゃないのに」
大淀「いえ。気になさらないでください」
女提督「…ねぇ、貴方さえ良かったらウチに来ない?」
大淀「私がですか?」
女提督「えぇ。貴方は司令官以上の能力を持ってると思ってるわ。書類の捌くスピード、戦術の内容も私と並ぶ程の能力がある。そんな人をスカウトしたいと思うのはおかしいかしら?」
大淀「うーん、やめときます」
女提督「どうして?」
大淀「見てられないお人がいるので」
女提督「チェッ、彼も運が良いわね」
大淀「どうでしょう?ホントに運が良いのは私達の方かも知れませんよ?」
女提督「ま、貴方達からしたら彼は救世主ものね」
大淀「…いえ、それだけじゃないですよ」
女提督「あら、意外ね。てっきり盲目的に彼について言ってるんだと思ってたわ」
大淀「確かに彼には感謝しています。ですがそこまでです」
大淀「私達はただ普通に戻っただけ。普通の鎮守府として活動していき、それはこれからも続いていくでしょう。そこに着任したのが私達の提督であるというだけです。もし私が女提督さんの鎮守府に異動する事があるとすれば、提督から異動を言い渡された時くらいですよ」
女提督「…彼が前任の様な事をするとは考えないの?」
大淀「…おそらくするかも知れません。無意識に行う時もあれば、悪意を持って行う事があるかも知れません」
大淀「でもそんなことをするには理由がある。提督の場合はそう考えてしまうんです」
女提督「…信頼してるのね」
大淀「えぇ。私達の提督ですから」
女提督「はぁ…どうやら私の運が無かっただけみたいね」
ドア コンコン
女提督「入りなさい」
電「失礼します」
女提督「書類を書ける程度には回復したの?」
電「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ございません」ペコッ
女提督「どうせ彼がセクハラでもしたんでしょ。貴方達が悪い訳じゃないわ」バサッ
電「あ、あはは…」
大淀「電ちゃん、良かったらお昼一緒に食べない?色々聞きたい事もあるし」
電「良いですよ。司令官さんのお仕事も一区切りしましたからね」
女提督「あ、悪いんだけど二人共ちょっと待ってくれない?これから作戦の最終確認しておきたいから」
大淀「分かりました」
電「では、司令官さんにもお声がけを…」
『聞いてるぞ』
電「えっ!?」
『無線だ。このままでも聞くことは出来るから召集してくれ』
女提督「分かったわ」カチッ
放送『現在作業している皆も手を置いて聞きなさい。軽巡以上の艦娘は執務室に集合。練度が15以上の駆逐艦も集合して。ここに来た提督の艦娘達も来て頂戴。この放送を聞いていない人がいたら教えてあげて』ピンポンパンポン
女提督「さて、最後の準備と行きましょうか」
『ちなみに勝算は?』
女提督「二割以下ね」
『だろうな』
大淀「えっ、今聞き逃しが出来ない会話が行われた気がするんですけど?」
女提督「何か対策は思いつく?」
『もう手は打ってある』
女提督「…抜け目ないわね」
『そりゃどうも』
ドア『来たよ』コンコン
加賀「失礼します。放送にあった人達を呼んできました」
女提督「比叡、榛名、霧島、加賀、瑞鶴、鈴谷、愛宕、川内、天龍、龍田、曙、荒潮、夕立、雷、時雨、電。計16名ね」
女提督「さて、貴方達にここに来てもらった理由は分かるわね?今一度戦闘の意志を聞かせてもらうけど、どう?」
愛宕「私達は問題ないわよ。皆と話し合った結果だからこれは総意と受けてもらって構わないわ」
女提督「分かったわ。他の皆は?」
比叡「私、榛名、霧島の三人は参加可能です」
加賀「私と瑞鶴も同様よ。意志は変わらないわ」
川内「私もやるよ」
鈴谷「鈴谷は…ごめん。ちょっと無理」
女提督「…分かったわ」
曙「…私は行くわ」
鈴谷「…ホントに行くの?」
曙「ビビったってしょうがないでしょ。それともそうやって逃げ続けるの?」
鈴谷「…」
女提督「曙、煽る様な事はやめなさい。あくまで意志を聞いた理由は本当に鳳翔と向き合う覚悟があるかの確認よ。煽られて流される様な覚悟で来られては邪魔でしかないの」
曙「はっ。申し訳ございません」
荒潮「私は別に行っても良いんだけど~その前に質問は良いかしら?」
女提督「何かしら?」
荒潮「じゃあ早速なんだけど…」
荒潮「味方を攻撃するような奴がこんな作戦にいるなら私は辞退したいんだけど良いかしら?」
霧島「…」
女提督「…えぇ。構わないわ」
荒潮「良かったわぁ~。話が通じる提督で」
女提督「荒潮」
荒潮「はい?」
女提督「忘れるなとは言わないわ。貴方には恨む権利もあるし、文句を言う権利だってる。だけどそれを秘密裏に実行せず、まずは私に話しなさい。そうすればその場を作ってあげるから」
荒潮「…ふふっ。ありがとうございます」ニコッ
女提督「貴方も分かってるわね?貴方は今の今まで黙認させられてただけ。これからはそうはいかないからね」
この場の全員が黙ってそれを聞く。誰かと指定しない辺り、この場を乱さない様にする彼女の配慮が感じられる。荒潮もその意図を読んでいるのか、口を挟むような事はしなかった
女提督「それじゃ今回の作戦に参加しない者は鎮守府の防衛に努めて。実働部隊は希望者の中から選別した者にします」
女提督「勝利条件は鳳翔の撃退、或いは捕縛よ。だけど確実に深海棲艦もこれを機に攻め込んでくるはず。だから防衛組は気を抜いちゃ駄目よ。実働部隊よりかは戦闘が激しくないとは思うけど、戦闘の持続という点では一番辛いかも知れないからね」
女提督「ここに呼んでない者も鎮守府の防衛に努めてもらいます。ですが彼女達は練度が低いので本作戦に参加しない者達と防衛組が責任持って彼女達の旗艦として動くように。ここまでで何か質問は?」
荒潮「そのことなんだけど、彼の艦娘達と私達は私達で別れた方が良くないかしら?正直、上手く連携を取れる気がしないの」
女提督「…確かにそうね。分か『ちょっと待ってくれ』」
『あーあー、いきなり声が聞こえて驚いてるかも知れんがそのまま聞いてくれ』
『俺の艦娘達だが前任のせいで突貫をすることが多くてな。それをしないようにそっちの艦娘を何名か混ぜて編成したいんだが良いか?』
天龍「おいおい、随分信頼が無いんだな」
『遠征で一人敵に突っ込んでいった過去を持つ奴に言われたくない。無駄な被害を増やしやがって』
天龍「ぐっ…」
女提督「分かったわ。なら何度か演習を共にした曙と一緒で良いかしら?鎮守府に待機してる子達は文月達と組まそうと思うけど」
『それでいい。助かる』
荒潮「それで支障が出なければ良いけどね~」
『その時はその時だ。俺らが鎮守府にいるんだから任せとけ』
荒潮「…はぁ。分かったわ」
『提督、私はここで防衛する艦娘達の指揮を執りたいと思うのですがよろしいでしょうか?』
女提督「許可します。貴方達の艦娘については私に一任してもらって良いかしら?」
『お願いします。ですが捨て艦などには使わないで頂きたい』
女提督「絶対にしないわ。安心なさい」
『…分かりました。ありがとうございます』
女提督「聞いたわね?貴方達の指揮は私が執る事になりました。異論のある者は?」
その一言に声を出す者はいなかった。もしも彼女が前任と同じような人物ならば、少し優秀なだけな人物ならおそらく誰かしら反対の声を上げただろう。前任という提督に未だ不信感があるであろう彼女らが声を出さないのは、彼女の秀でた優秀さを知っているからかもしれない
女提督「…いないわね」
女提督「それじゃ今回はこれで解散。彼の艦娘達は皆ここに残って頂戴」
艦娘達「失礼します」ビシッ
ドア『盗み聞きすんなよ!』バタン
女提督「…川内、曙、貴方達も退出なさい」
曙・川内「「…あ」」
女提督「…異動届作った方が良いかしら」ボソッ
曙・川内「「し、失礼します!」」バタン
女提督「さて、気を取り直して貴方達なんだけど…ちょっと提案をしたいと思ってね」
天龍「提案?」
女提督「貴方達、改造してみない?」
愛宕「改造って…」
女提督「ま、簡単に言うと今より強くなると考えてもらって構わないわ。貴方達の練度的に何人かは改造出来るしね」
電「司令官さんは電達が改造することに関してどう思います?」
『個人的にはやっておいた方が良いな。改造を何度か出来る艦娘だっているし、改造を重ねれば更に強くなる以外にも姿が変わる奴だっているらしいからな』
時雨「姿が…」
愛宕「変わる…?」
時雨(イ級エリート)『グェッ!グェッ!』
愛宕(リ級エリート)『……』
『あー、何を考えてるかは想像つくが、改造はお前等の姿を保ったまま改造される。姿が変わると言っても艦娘によっては絵のタッチが変わったり雰囲気が変わるってだけだからな。見た目が変わらない艦娘も何人かいるが』
時雨「よ、良かった…流石に深海棲艦になるのはごめんだ」
愛宕「無口キャラにならずに済むのね…」
天龍「…そっちの心配かよ」
電「例えば夕立ちゃんですが、一度の改造だと姿はそのままなのです。ですが二度目の改造で目が赤くなったりするのですが、それぐらいなのですよ」
『噂だが改造すると体のスタイルも改造されるらしいぞ?どこぞの軽空母は全くそんなこと無かったらしいが』
夕立「もしかして今より大きくなるっぽい?」
『なるんじゃないか?あくまで噂だから確証も何も無いが』
夕立「なら受けるっぽい!」
時雨「僕も受けるよ。というか受けさせてほしいな」
雷「…」ペタペタ
電「……」チラッ
天龍「…まぁ、なんだ。スタイルが変わるのには興味ねーが、強くなれるってんならやって損はなさそうだな」
龍田「そうね~。改造することで変化するのって外見と強さだけよね?」
『あぁ。後装備スロットも一つ空く。それでも最大四つまでだがな』
愛宕「装備スロット…?」
『装備出来る数だよ。何か間違えたか?』
女提督「…中々面白い呼び方するわね」
『あれ?改造したら装備出来る数が増えるんじゃないのか?』
女提督「そうね。確かに増えるんだけど、ゲームの様に例えて話すのは貴方だけじゃないかしら?」
『覚えやすくて良いと思うんだけどなぁ』
女提督「ま、改造したらこんなメリットがあるわ。それでどう?受けてみたい人はいる?」
艦娘達「受けます!」バッ
女提督「分かったわ。だけど夕立と雷は無理ね」
夕立「えー!?」
雷「いじわる…って訳じゃないのよね?」
女提督「改造するにも練度がある程度なかったら出来ないのよ。二人共練度を20以上にしないとね」
夕立「むー…」Lv18
雷「そういうことなら仕方ないわよ。次改造出来るまで頑張りましょ?」Lv16
女提督「じゃあ工廠に行って改造してらっしゃい。妖精さんに話せばやってくれるから」
愛宕「貴重な資材をありがとうございます」
女提督「別に構わないわ。彼が課題を済ませてたしね」
龍田「…?課題と資材にどういう関係が?」
電「司令官さんは課題をこなせば資材を少し融通してくれるという約束で行ってたのです。流石に無制限に資材を使う訳にはいかないので」
『一応艦娘も建造しようと思えば出来る位には貯めてあるぞ。戦艦クラスの建造を狙ってやるには5回出来る程にな』
女提督「流石に新入りだからってちょっとサービスが過ぎたわね。今度からは少し減らしておかないと」
『十分の一で丁度良いと思うぞ。流石に一つクリアで資材ALL300はバランスおかしい』
女提督「覚えておくわ」
天龍「…お前、意外と頑張ってくれてたんだな」
『ただ目の前の問題を片づけたにすぎん。あくまで資材は副産物だ。課題と仕事以外出来なかった結果とも言えるが』
龍田「提督?ホントに私達に使っていただいて良いんですか?」
『お前等に使わずしていつ使う。使わない資材なんか何の価値も無いだろ』
龍田「…ありがとうございます」
『礼を言うなら生きて帰ってこい。作戦も成功させてな』
女提督「話は終わったかしら?」
愛宕「あ、ごめんなさい」
女提督「分かったら移動して。私はやることがまだあるんだから」
艦娘達「失礼しました」バッ
『大淀、一つ聞きたいんだが良いか?』
大淀「どうしました?」
『そっちの足元にBB弾みたいなのないか?』
大淀「え?BB弾って…」キョロキョロ
女提督「…あ、これ?」スッ
『あ。それそれ』
大淀「これがどうしたんですか?」
『それカメラなんだよ。全員が入ってきた時に盗聴器からポロっと取れたみたいでな』
大淀「へー、そうなんです…」ハッ
女提督「…つまり何?それで私達のスカートを覗き見てたとでも言いたいわけ?」
『お前等の汚い下着に興味はない。というかそれを付けてた理由もそんなんじゃないぞ?いざという時はそれを見て執務室の中を見れるようにしてただけだ』
女提督「…大淀」スッ
大淀「了解です」グシャッ
『あ、ちょっと!?』
女提督「ただの覗き魔じゃないの…大淀、これもお願い」コトッ
大淀「提督、こういうのはこれっきりにしてくださいね?」グッ
『え、ちょっと待って。もしかして今壊そ『グシャ』』
女提督「…汚い下着って、あんまりじゃないの」
大淀「…今度、外出許可を頂けませんか?」
女提督「…一緒に行きましょうか。言われっぱなしは悔しいものね」
電→電改
愛宕→愛宕改
天龍→天龍改
龍田→龍田改
時雨→時雨改
電「うーん、やっぱり姿は変わらないのですね」
夕立「でも強くなった感じは見ててするっぽい!」
天龍「でもよー、姿が変わるってどれくらい強くなれば変わるんだ?」
電「確か…天龍さんは84まで上げて、更にいくつかの建造材と資材が無ければ無理だったと記憶してます」
天龍「84!?」
龍田「先はまだまだ長いわね~」
電「龍田さんも天龍さんよりかは早い段階で改造出来ますけど、それでも80まで上げないと駄目なのですよ?」
龍田「あ、あら?」
時雨「…うん、どこにも違和感はないね」
愛宕「良かったぁ…姿が変わらなくって」
天龍「…なぁ、一度演習してみないか?ここの艦娘達対俺達でよ」
夕立「え?急にどうしたの?」
天龍「改造してから何でも出来そうな感じがしてな。今なら金剛達が相手でも勝てそうな気がするぜ」
電「天龍さん、それはかりそめの万能感です。何でも出来そうって感じても、流石に戦艦達とまみえたら普通に沈みますよ」
天龍「やってみないと分からないだろ?」
龍田「…そうね。元師の艦娘達相手だと惨敗したけど、ここにいる人達なら練度が同じ位だしいい勝負になりそうだわ」
電「…はぁ」
時雨「いいんじゃないかな?一度やらせてみたらどうだい?」
電「時雨ちゃんまで…」
愛宕「まぁまぁ、なら私と時雨で艦隊を組んで天龍達と勝負するのはどう?」
天龍「重巡と駆逐艦、軽巡二隻か…バランスとしては若干こっちが不利か?」
龍田「良いんじゃないかしら?ちょっと不利なくらいが面白いでしょ?」
夕立「じゃあせっかくだし皆も誘おうよ!そっちの方が今後に繋げられるんじゃない?」
雷「うーん、それより改造した人達の力を見てみない?改になったらどの程度変化するかの基準を見極めるには丁度良いと思うんだけど」
夕立「なるほど…」
妖精 クイクイ
龍田「妖精さん?どうしたの?」
妖精 スッ
龍田「…紙?」ピラッ
紙『改造が済み次第、演習場へ移動を開始。演習で互いの成長を確かめるべし。尚、参加出来るのは改造した艦のみとする』
電「これは…女提督さんの字ですね。こうなる事態でも予測してたのでしょう」
天龍「話が分かるな!早速行こうぜ!」
龍田「待って待って。そうなると電ちゃんだけ余るけどどうするの?」
電「あ、電は一人で良いのですよ」
天龍「おいおい、流石にそれは電が不利だろ」
電「大丈夫なのです。電も改になりましたし、おそらく皆さんには負けないのですから」
天龍「…へぇ?」ピキッ
雷「でも良いんじゃない?多分電がどっちかに加わったらそっちが勝つと思うし、それなら一人で参加してもらった方が良いと思うわ」
夕立「電ちゃんはそれで良いの?ホントに大丈夫?」
電「大丈夫なのです。皆さんはちょっと痛い目を見てもらった方が慢心なんか起こらないと思うので」
龍田「ふふっ。言ってくれるわね~」ゴゴゴゴッ
雷(…怖い)
夕立(電ちゃん強いなぁ…)
愛宕「それじゃどっちかが勝利したら電ちゃんと続けて連戦って感じでどう?これなら仮にどっちかが勝利しても判定はそのままだから二対一の状況でも有利になるのは難しいと思うの」
天龍「それでいいぜ。連戦も戦場じゃよくある事だしな」
龍田「…目にもの見せてあげる」
愛宕「私達も負けないからね」
時雨「はいはい二人共。バチバチしてないでさっさと行くよ」
天龍「くぅ~!早くやろうぜ!我慢出来ねえよ!」
夕立「…ボコボコにされなきゃいいけど」
雷「私は電の勝ちに今晩のおかずを賭けるわ」
夕立「電ちゃんに私も賭けるから勝負にならないよ…」
電「…お二人も一緒に演習しますか?」
雷・夕立「「遠慮します」」
・・・ポップコーンください・・・
大淀「皆さん、配置に着きましたか?」
互いに遠距離の位置に相手を見る。この距離だと時雨以外は中距離まで接近しなければ攻撃出来ず、時雨に関しては近距離まで近づかなくては砲撃が届かない。戦闘範囲外で待機している電も近距離に近づかなくてはならないが、電は互いの勝負がついた瞬間に乱入という形になるので、もしかしたら意表を突く形で攻撃が行われるかも知れない。如何に上手く立ち回るかが勝敗の分かれ目だろう
天龍『あぁ。準備いいぜ』
龍田『同じく良いわよ~』
時雨『問題ないよ』
愛宕『私も良いわ』
電『準備は出来ているのです』
大淀「ルールを再確認します。大破判定に入れば轟沈判定としその場で動きを静止してください。轟沈判定となった艦娘を利用して盾にするなどの行為を行った場合は失格判定とします。轟沈判定となっても攻撃した場合も同様です」
大淀「では…初めてください!」
その掛け声と同時に天龍と時雨が互いに接近する。愛宕は時雨のサポートが出来る様に原速のままゆっくりと接近していき、龍田は天龍の後ろを付かず離れずの距離のままをキープしている
天龍「龍田、まずは自分の力がどれ程か試してみたい。サポート頼んだぞ」
龍田「ふふっ。任せて♪」
天龍「まずは時雨を狙う。愛宕さんに気をつけろよ」
愛宕「時雨、作戦は?」
時雨「突っ込んで撃つ。それぐらいしないと砲撃が当たらないしね」
愛宕「…深追いしすぎて大破しないように気を付けてね」
時雨「分かってるさ。そろそろ天龍さん達の射程距離だからサポートお願いするよ」
天龍は時雨が射程距離に入る瞬間に砲撃を開始するが、読まれていたのか時雨にあっさりと回避されてしまう。次弾の装填に時間が掛かるので、その間近づけない様に龍田が天龍の前に出て魚雷を前方にばら撒く様に展開し、時雨の接近を許さない
愛宕「時雨!」
時雨「このまま突っ込む。愛宕、サポートをお願い」
愛宕「し、正気!?」
時雨「大丈夫だよ。今の僕ならこれくらいね」
時雨は接近する足を止めずに迫る魚雷を搔い潜り砲撃が当たる距離まで接近していく。時雨が中距離と近距離の間の距離まで移動すると後方から愛宕の砲撃音が聞こえてくる。その砲弾は弧を描くように飛びながら龍田に向かって飛んでゆくが、薙刀で薙ぎ払う様に砲弾を後ろに流した
流石にこれはその場にいる全員が驚いた様で、一瞬だけだが皆が驚き一色に染まる。しかし時雨はそのまま接近を続けるが心なしか先程の勢いがない。先程の光景が脳を離れないのだろうと、容易く察せるほどに顔に出てしまっていた
龍田「時雨ちゃんだけじゃないのよ?私だってこんな事出来るんだからね~」
龍田が余裕を見せつつも時雨の攻撃に備える。いよいよ近距離にまで時雨が距離を縮めると天龍に向かって砲門を向け、それと同時に天龍も装填が完了したので時雨に向かって走りながら砲撃を行う。わずかに天龍の方が早く撃つも、時雨も砲撃し互いに直撃した
ペイントが時雨の体を濡らし、判定は中破と惜しくも大破にいかなかった。天龍は小破未満の判定となっており、顔に少しペイントがかかっているだけだったが、時雨の顔には笑みが浮かんでいた
龍田は咄嗟に魚雷を放ち、時雨に直撃させた事で大破判定となった。残るは愛宕のみとなるが、何故時雨が笑っていたのか?その疑問を考えた瞬間、答えが衝撃となって返ってきた
天龍「うぉっ!?」ビチャッ
大淀『天龍、大破判定』
天龍「くっそ!魚雷か!」
龍田「…ちょーっとマズイわねぇ」
愛宕「…時雨、自分の力を過信しすぎた貴方の責任よ。相手と相打ちになったとしても、それは負けと同じなんだからね?」
時雨「分かってるよ。後は頼んだ」
愛宕が通信で軽く時雨に説教しつつ、龍田に向かって砲撃を行う。再度それを槍で受け流そうとしたが、すぐさまその場から回避に切り替える。回避に切り替えた理由としては魚雷が向かってきていたのが視界に捉えたからだ
龍田「そういえば重巡洋艦って魚雷も撃てるんだったわね…」
愛宕「砲撃だけじゃないのよ?忘れてもらっちゃ困るわ」
互いの声は聞こえない。しかしお互いの意志を顔に出しながら会話をしているようで、二人の顔がコロコロと変わるのは見てて少し面白いと感じてしまった
龍田は魚雷を全て射出してしまったので放つことは出来ない。対する愛宕は魚雷をまだ一度飛ばす余裕はあり、装填があと少しで終わろうとしていた
装填が完了する前に当てなければ負けると考えたのかすぐさま砲撃し、次の瞬間にはペイントが飛び散っていたが、違和感のある爆発だったと思えた
龍田「…飛び散るのが速すぎる」
ペイントは確かに爆発したが、肝心の愛宕はそこまでペイントに濡れていない。判定は小破未満であり、何故と疑問を覚えた時には砲撃音がした
龍田「しまっ…!」ビチャッ
龍田の顔にペイントが降りかかる。体にもペイントはべったりとかかっており、その場にへたり込むしかなかった。何故あの時に爆発したかの疑問を解消する為に愛宕の姿を見ると、本来腰に残っている筈の魚雷が一本だけ無くなっていた
大淀『龍田、大破判定』
龍田「…なるほど。魚雷をぶつけて誘爆させたことによって被害を少なくしたのね」
愛宕「良し!あとは電ちゃんだけ『ドンッ!』…え?」ビチャッ
勝利の喜びから戦闘に切り替える直前に愛宕の足場で爆発が起こる。あまりに突然の事だったので愛宕の顔は驚きに固まっており、それは先程まで戦闘していた龍田も同様であった
辺りを見渡すと魚雷を発射した後だと思われる電の姿がそこにあった。砲門はこちらを向けられており、魚雷を回避したとしても絶対に当たるという直感が脳裏を過った
大淀『愛宕、大破判定』
愛宕「…嘘でしょ」
天龍「ち、ちょっと待ってくれよ!」
異議ありと言いたげな天龍と、同様の顔をしている三人の顔が見て取れる。あれは完全にルール違反だろうと言いたげな顔をしている四人の姿がそこにいた
女提督『電の攻撃は有効よ。ちゃんとルールも守ってたしね』
天龍「は、はぁ!?」
女提督『電が参加するタイミングは互いの勝負がついた瞬間に乱入というルールだったでしょ?二人の勝負が終わって間を作ってから戦闘開始とでも思ってたの?』
女提督『戦場はそんなに甘い場所じゃないわよ。貴方達も改造に浮かれてなかったらそんなミスしなかったでしょうけどね』
時雨「…くっ」
龍田「ま、仮に気を抜かなくてもおそらく負けてたと思うけどね~」
愛宕「…それには同意ね。魚雷も無くなっちゃってたし」
『あー、あー、聞こえてるかお前等』
時雨「聞こえてるよ。お説教かい?」
『良く分かってんな。といってもすぐ終わる』
天龍「…チッ。まぁ当然か」
『時雨、天龍、解体されるか今の考えを改めるか。好きな方を選べ』
時雨・天龍「「…え?」」
時雨「ち、ちょっと待ってよ!どうして!?」
天龍「そ、そうだ!何で俺達が解体されなきゃいけないんだよ!」
『簡単な話だ。お前等は自分の手で何かをすることしか考えてない。それが仲間達を危機に向かえる行動だからだ』
時雨「それのどこがおかしいのさ!戦闘なんて自分が戦わなきゃ生き残れないだろ!?」
『あぁ。確かに戦わなきゃ生き残れない。だからこそ生き残る為に戦う。至極当然の事だな』
『だがお前等は全て単独で戦っていた。その結果、味方が本来やる必要のないアシストまでして、余力を持ったままで電との戦闘が出来なかったな』
天龍「そ、それは今回だけだ!次こそはそんな事させねえからよ!だから『ありえないな』」
『お前は絶対に次も同じミスを繰り返す。絶対だ』
天龍「…!どうしてそこまで断言する!そこまで信頼出来ねえのかよ!?」
『出来んな』
天龍「なっ…!」
『俺は散々言ったはずだぞ。突っ込むな。突貫するな…とな。過去に俺が何度も言った言葉だ』
『例えば天龍、過去にお前は遠征中に深海棲艦を見つけた事があったな?発見もされていなかったからやり過ごせたはずなのに、わざわざ沈めて安全を確保しようと接近して攻撃をした為に交戦となった。結果的にお前は怪我を負ってしまい、被害を受ける可能性が無かったのに無駄に被害を増やした。艦隊の皆もお前を助ける為に資材を捨てて戦闘に入るしかなくなり、遠征は失敗に終わった』
『お前の突貫癖のせいで失敗に終わった遠征だ。それをあの時に改善したのなら良かったよ。だが今回の演習でもお前は一人で突貫するという癖が出た』
『お前が最後に時雨との近距離で砲撃しあった時、龍田が後ろから魚雷を放ってカバーに入ったな?あれはどうしてだと思う?』
天龍「そ、そんなの、俺を助けようとして魚雷を放ったんだろ!?それがどうしたってんだよ!?」
『そう、それだ。龍田はお前を助けようと魚雷を放ったんだ。それが今回の敗北の原因だ』
天龍「ど、どういうことだよ?」
『お前は気づいてなかったかも知れんが、あの時愛宕がお前に照準を合わせてたんだよ。といっても副砲だったけどな』
『あの時のお前は小破未満。もしあのまま副砲で撃たれていたら中破に近い小破まで追い込まれ、その混乱の最中に時雨はお前に向かって砲撃して中破まで追い込んでいただろうな。そうなれば時雨は大破判定までいかなかったかもしれない』
天龍「な、何でだよ!?中破ならまだ戦えるぜ!?」
『まだ分かっていないのか?中破になったら魚雷が使えなくなるだろう』
天龍「…あっ!?」
『時雨が突っ込んできた時にお前はこう考えたんだろう。退けば龍田に照準が向かっちまう…ってな』
『だからお前は突っ込んだ。自身を囮にする事によって、少しでも龍田が被害にあわないようにな』
『だから龍田もそれに合わせる様にフォローするしかなくなった。当然だ。自分が魚雷を放っても、天龍がまだ魚雷を二回放てたからな。天龍さえ生きていればまだ反撃は出来ると考えた…』
『しかしお前はそんな事気にしていない。ただ龍田を守るという自分勝手な考えで突貫し、龍田を負けへと引き込んだ』
『お前は反省しない馬鹿なんだよ。そんな奴が次だ?甘ったれんな』
天龍「くっ…!」
龍田「…天龍ちゃん」
天龍「…っ!すまねぇ!俺が考え無しだった!」
龍田「…次からは無茶しない事。お願いだからこれは守って。絶対に」
天龍「…あぁ。約束するよ」
『…時雨、お前はあの時に突っ込んで近距離戦に持ち込もうとしたな。その判断は良かった。だがそれだけだ』
時雨「…どうしてだい?結果的に僕は天龍さんを大破まで追いやったじゃないか。戦果で見れば駆逐艦の僕が軽巡を一人で倒したんだよ?それは褒めるべきなんじゃないかい?」
『…はぁ?相打ちで死んでいった奴がか?』
時雨「…だから、駆逐艦の僕が『それは分かってる』」
『あぁ。確かに凄いよ。夜戦でもないのに駆逐艦が軽巡を落としたんだ。それは褒めてやる』
『だがお前は沈んだな。生き残る為に戦っているのに、生きたいお前は無残にも死んだな』
時雨「っ…!」
『お前が沈んだ原因はたった一つだよ。それをしなかったからお前は沈んだんだ』
『お前は仲間を信頼しなかった。それが理由だよ』
時雨「ど、どうしてだい?僕は愛宕を信じてたから無茶して突っ込む事が出来たんだ。だからそれは『その考えが間違ってんだよ』」
『信頼してるから突っ込めただぁ?信頼してたら例え勝てそうにもない敵が相手でも突っ込んで良いのかよ?仲間を信頼してるからって理由でよぉ?』
時雨「そ、それは例が悪いよ!今回は天龍さんが相手で、しかも演習だったから出来た訳で…!」
『まずそこから間違ってる。お前、演習を自分勝手に動き回れる運動場だとでも勘違いしてんのか?』
『良いか?演習ってのは実戦で沈まないようにする為に仲間と協力し、戦略を立てて実戦で勝つためにするんだ。そこに仲間が沈んでも良いなんて前提でやる演習があっちゃ駄目なんだよ』
『お前、自分を艦隊の仲間として数えてないのか?いや、もしかしたら仲間を艦隊の一員だと思ってないのか?』
『何にせよ一人で全部をやろうとしたお前の責任だ。お前の暴走が無かったら愛宕も電の不意打ちに合う事は無かったかも知れんな』
時雨「くっ…!」
『それを思わせる出来事はいくつもあった。何なら勝負の最後で龍田と愛宕のタイマンにもならなかったかも知れん』
時雨「そ、それは結果論じゃないのかい?流石にそうなってくると天龍さんも撃破出来ずに魚雷で大打撃を受けてたかもしれないのに…」
『いや、恐らくだがそれはないだろう。お前は駆逐艦だから速度を活かして相手を攪乱させつつ、愛宕に攻撃してもらえれば完封だって出来たかも知れんぞ?現にお前、魚雷の中をスイスイ移動してただろ』
『お前は控えめに言って優秀だ。飛んでくる魚雷に怯えず正面切って突っ込める胆があるし、実際に考えを成してしまう実力だってある。それ故に独りよがりな戦闘になりやすい』
『だからこそお前は仲間を頼り、頼られなければならないんだ。お前がもっと活躍出来る様に。仲間が活躍出来る様に。互いに助け合い、個の力を最大限に発揮出来る様にならなければならない』
『それぞれの個の特徴を活かし、群とした時に如何に作戦を遂行出来るか?それを考えるのが俺達提督の仕事だ。だからこそお前等は個としてではなく、群をイメージした行動をとってもらわなければ困るんだ』
時雨「…ズルいよ。そうやって褒めてくるのは」
『ホントの事だ。だからこそお前には悪い点を自覚し、更に優秀になってもらわなければ困る。演習なんかじゃない。本当の危機に備えてな』
時雨「…分かったよ。期待に応えられるか分からないけど、やれるだけやってみるよ」
『あぁ、今はそれでいい。お前はまだ幼い子供みたいなものなんだから、時間をかけて大人になっていければそれでな』
時雨「…うん」
愛宕「…提督?私にも話す事とか無いんですか?」
『いや、正直判断がし辛いってのが本音だ。今回は時雨と天龍の悪い点ばっかり見てたから、お前等二人の事をあまり良く見れていなかったんだ』
愛宕「あら…」
『だがそうだな…強いて言うなら一つの戦闘に全力を出しすぎだ。そんなんじゃ敵の主力とぶつかる前に疲れてしまったり、いざという時に魚雷が放てなくなってしまうぞ。お前等は基礎体力を増やすトレーニングもしていないんだから、そこら辺のペース配分はしっかり考えろ。それが今後の課題だと思え』
愛宕「はい。分かりました」
龍田「提督~?ちょ~っとお話があるんですけど良いかしら?」
『ん?なんだ?』
龍田「天龍ちゃんを解体するだなんて…冗談ですよね?」
龍田の声から静かに怒りを感じた。叱る為とはいえ、解体という言葉を使って説教をしてほしくなかったと思える
だが今回の件はそうはいかない。例えトラウマを呼び起こす様な言葉とはいえ、甘い言葉だけで乗り切れる程に戦いは甘くない。それを自覚しているのか、叱られた二人からは怒りではなく反省の色を感じた
『すまんが今回の件は本気だった。でなければ他者を危機に晒す事だってあるかも知れんからな』
龍田「…分かりました。過ぎた意見を言ってしまい、申し訳ございません」
『構わん。だが覚えておけ。俺だって人間だ。当然間違える事もあればミスを認めなくて無理矢理意見を通そうとするときだってある。そんな時こそ今回の様にはっきりと俺に意見しろ。分かったな?』
龍田「はい。心に刻んでおきます」
『では総員戻れ!体に付いたペイントを洗い流したら今日は休むように!明日は二日後の決戦に備えて英気を養う為に休みとするが、夜更かし等をして体を壊すなよ!』
艦娘達「はっ!」
電「…最後の一文で妙に締まらないのです」
大淀「同感です」クスクス