この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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小説の意識しているポイントその2

必ず描写には段階を踏んで行う事を意識しています

例えば『敵との戦闘中に味方が攻撃を受ける描写』を作る時ですが、敵の反応、或いはその様子を見る誰かの心理描写、全体の様子。私はこの三つを入れる事にしています。この描写が無いと突拍子もなく味方がダメージを受けてしまい、そこに至るまでの過程が不明になるのを防ぐためです

例えるならノーモーションで亜空間タックルをしてくる魚だと思ってください。判定でさえ疑惑なのに、そこに前振り無しに攻撃をしてくる敵なんか理不尽だと思いませんか?つまりはそれくらい過程と言うのは重要な事だと思っています

…まぁ、作者も忘れる事があるのであまり偉そうなことは言えませんが。何でしたらこのポイントも作者自身が考えてる事ですし、軽い参考程度にしてください

 
・微塵も本編には関係ないけど未来には関わる裏話

最近スマホのエラー404(分かる人は分かる)のイベントがニヨニヨしちゃう内容で微妙に現在制作中の小説が偏りそうになってます。というかなってます
イベントが終われば内容の偏りは消えるでしょうが、とりあえず皆一緒に遊んでニヨニヨしようぜ! ※サ終しました。近い将来VRかPCでRe:がタイトルの先頭について復活するのを祈ってます


作戦始動。想定の作戦と裏切りの策略

龍田「救助艦隊、出撃準備完了しました」ビシッ

 

女提督「全員傾聴!」

 

全員 ザッ

 

女提督「1000、これより鳳翔撃滅及び捕縛作戦を実行する!」

 

女提督「本作戦の目的は鳳翔以外にも行方不明となった提督の捜索も兼ねています!調査した結果では彼が深海棲艦に連れ去られた可能性が非常に高く、彼が作戦内容を流出した可能性もあるわ。各隊は常に想定外の可能性を視野に入れながら任務を遂行すること!」

 

全員「はっ!」ビシッ

 

女提督「主力艦隊である加賀を旗艦としたメンバーは南西諸島海域にある沖ノ島海域に向かってもらいます。そこにいるであろう鳳翔を捕縛して帰ってきなさい」

 

女提督「防衛艦隊は鎮守府より少し離れた所で警備してもらいます。あくまで私達が出向く時はそちらにサポートへ向かう時か連絡を取り合う程度だと思いなさい。それぞれの担当場所はこちらで指示した場所を担当してもらいます。何かあればすぐに迎える準備をしておきなさい」

 

女提督「最後に救出艦隊、貴方達は隠密部隊として向かってもらいます。提督の行方は主力艦隊と同じく沖ノ島海域にある何処かの島だと推測しています。敵との戦闘は避けつつ、秘密裏に救出してきなさい。どちらかといえば遠征の様な形ね」

 

夕立「持ち帰るのは当然提督さんっぽい!」

 

女提督「えぇ。彼を連れて帰れば大成功と言っていいわ。だから頑張って来なさいね」

 

夕立「はい!」ビシッ

 

女提督「各隊出撃!生きて勝利を持ち帰りなさい!轟沈は許さないわよ!」

 

 

 

主力艦隊

 

 

出撃してからどれ程経っただろうか。代り映えのしない景色と海面から跳ね返る光と熱が体を焼き、大量の汗が体を滴り落ちていく。陸では蒸し暑さが、海の上では直接的な直射日光による暑さが襲い掛かり、どちらも暑さが変わらないのは少し残念だった

 

 

金剛「…しかし、私達って鳳翔を捕縛という名の囮として使われてますよね?」

 

加賀「ですが鳳翔さんが提督を確保しているという可能性もあります。場合によっては私達が提督を救出することになるんでしょうね」

 

川内「それは無いんじゃないかなぁ」

 

霧島「どうしてですか?」

 

川内「だって電ちゃんが救助にいるもん」

 

全員「あー…」

 

愛宕「磁石みたいにずっと一緒だものね。ちょっと羨ましいわ」

 

比叡「…ただ、今回ばかりは提督の方から逃げ出しそうですけどね」

 

愛宕「…目に光が無いって言うか、あまりにデフォルトな表情と言うか…ね」

 

金剛「…一つ聞きたいんですけど、電ってどれくらい強いのデスカ?」

 

愛宕「うーん、正直分からないのよねぇ…あまりに私達と差がある気がして、底が見えないって言うか…」

 

霧島「とりあえず電ちゃんが一番強いというのは分かりました。それでも金剛お姉さまには負けるのでは?」

 

金剛「あんまり期待しないで欲しいネー…何というか、電とは練度では埋められない差の様なモノを感じるので…」

 

川内「…電ちゃんは簡単に沈まないよ。そうなったら提督の方から貴方の事を本気で潰しにかかるかもね」

 

金剛「分かってマース。今更そんなことに興味無いデス」

 

 

呟くように出した言葉に疑いの目を持ちながらこちらを見てくる数名の艦娘。しかしこちらを向いていない者達からも何故というオーラが背中から漂っているように見えた

 

まぁ仕方の無い事なのかもしれない。というかそうなって当然だ。今までの自身の行動を振り返れば急に改心しだした奴に見えているのだろう。全く、これは本心からの言葉だというのに

 

 

川内「…どういう心境の変化?」

 

金剛「…ただの贖罪ですヨ。これが作戦の成功に繋がるだけですから」

 

川内「……今日ばかりは貴方が何を考えてるか分からないよ」

 

金剛「すぐに分かりまーす。加賀、二時の方向に艦載機を飛ばしてクダサーイ」

 

加賀「私が旗艦なのだけれど…」パシュン

 

加賀「…リ級二体、チ級一体、イ級三体編成。距離およそ10000」

 

愛宕「…どうやって分かったの?」

 

金剛「愛宕や時雨と同じやり方デスヨ?どうやら私の方が一歩上手みたいだけどネー」

 

愛宕「…納得いかないわ」

 

加賀「総員戦闘準備!敵はまだこちらに気付いて無いからイ級以外を狙って!私はイ級を一掃します!」

 

川内「撃ち漏らしがあれば私と愛宕が後から追撃する!戦艦の皆は頼んだよ!」

 

比叡「任せてください!」

 

霧島「総員、良く狙って!撃て!」ドォン

 

 

リ級A「ガッ!?」 轟沈

 

リ級B「!?」 轟沈

 

チ級「ギィィィッツ!!」  轟沈

 

イ級A「グガッ!?」 轟沈

 

イ級B「オ!?」 轟沈

 

イ級C「ゴガアァァ!?」 轟沈

 

 

完全勝利!S

 

 

 

金剛「ま、こんなとこデスカネー」

 

愛宕「…凄い」

 

金剛「伊達に鎮守府でトップ張ってませんからね~。これくらいは当然ですヨ」

 

加賀「…何かあったの?」

 

金剛「ホワイ?」

 

加賀「どう考えてもさっきの発見は貴方じゃ不可能だったはずよ。どうして位置が分かったの?」

 

金剛「ノンノン、正確には方向が分かる程度デース。こればっかりは私の経験則から分かったに過ぎませんヨ」

 

加賀「…本気で言ってるの?」

 

 

加賀が疑いの目で金剛を見るが、肝心の本人はおちゃらけた様子で流そうとする。戦艦と正規空母では索敵能力が段違いなのだから加賀の疑いは正しいのだが、実際に当ててしまったのだから問い合わせた本人はどこか罰が悪そうな顔をしている

 

 

金剛「そんなに信頼ないのですカー?ちょっと悲しいデース…」シクシク

 

愛宕「…あんまり無理しちゃ駄目よ」

 

金剛「…はぁ。気が狂うネー」ハァ…

 

 

咄嗟に出てしまった不安と心配。今の彼女が出来ている事がどれだけ危険な事なのか、恐らくそれが分かるのは私と時雨くらいだろう。アレはもはや兵装を利用した索敵ではなく、生物の持つ性能のみを活かした技の様なモノ。それが人ではない力なのを理解しているのだろうか

 

 

比叡「お姉様、聞きたい事があるんですけど良いですか?」

 

金剛「何でしょう?」

 

比叡「…あ、やっぱり無しでお願いします」

 

金剛「えぇ…」

 

比叡「あ、でもやっぱり…えー、いやー、でもなぁ…」ウーン

 

金剛「もう、早く言ってクダサーイ。そこまで引っ張られたら気になって戦闘に集中出来まセン」

 

比叡「じゃあズバリ聞いちゃうんですけど、あの提督さんの何処が良かったんですか?」

 

金剛「…どういう事デスカ?」

 

 

比叡が問いかけたのは疑問。鎮守府の過去を知っている私からすれば何故このタイミングで聞くんだと言いたくなる程の疑問。それは周りも同じで驚き一色だった。さながら遠足で好きな人の話を明かすような恋バナに花を咲かす人達の様な雰囲気で、今が作戦遂行中だと言うのを忘れてしまいそうだった

 

 

比叡「だって、いつもの金剛お姉さまならあんな反発的な人だったらすぐさま潰しに掛かっていたじゃないですか。それこそどんな手段も厭わずに徹底的に追い詰めてたりしてたのに、何故そこまでしなかったんですか?」

 

霧島「比叡お姉さま!?」

 

川内「あ、それ私も気になってた。結構優しかったよね?やけに回りくどい事してたみたいだし、なんでだろってずっと疑問だったんだ。初めてを取られたって言われても、ここに来てすぐって訳じゃないんでしょ?」

 

 

ここで川内から追撃が入る。確かにそこに関しては是非とも聞いてみたい所ではあるが、それよりも優先度として疑問の方が勝ってしまった

 

 

愛宕「…貴方、今までどんなことやってきたのよ」

 

金剛「別に?ただ海域まで連れ出して囮に使ったり、遠征でミスした奴がいれば適当に監禁してた位デース。自分で何とか出来るチャンスを与えたり、完全に殺してないだけ優しいと思いますが?」

 

愛宕「…貴方の提督にも同じ事をしてたの?」

 

金剛「まさか!流石にそこまで酷い事はしていませんヨー!ただホンのちょっとお話をしただけデース」

 

加賀「精神的に追い詰めておいて何を今更…」

 

愛宕「じゃあ貴方達の姉妹が提督に色仕掛け仕掛けてきたのは?」

 

金剛「…あれをやらせる位なら私がやってやりますよ。完全にシスター達の独断デース」

 

霧島「…」

 

比叡「…」

 

愛宕「そこなのよねぇ。何で姉妹は被害にあわせないのに他の娘達は犠牲にさせるの?どうしてもそこだけが解せないのよ」

 

金剛「姉妹を守りたいって思うのはおかしいのですか?」

 

愛宕「貴方の場合はね、といっても貴方と似た娘が過去に私の鎮守府にいたから当時の経験談でしかないけど」

 

金剛「…ちなみにその娘はどんな事をしてたんですかネ?参考までに教えて欲しいんですが?」

 

愛宕「んー、といっても自分が被害に合わない様に姉妹を盾にしてたり、ミスを他の誰かに押し付けたりって所かしらね。結局その子もやってきたことが全部提督にバレてまともな最期は迎えなかったけど」

 

 

自身の経験談は今の彼女とほぼ一致した記憶だ。私も一度盾にされた記憶があり、その時の戦闘で大破してしまってからの夜は最悪だった。金剛の場合は戦艦なのでどちらかと言えば的にさせる方だと思ったが、どちらにせよ碌な事をしてはいないだろう

 

 

金剛「…何処が似てるんですか?クズだって点以外は全く似てないと思うんですけど?」

 

愛宕「人が変わったのよ。提督の慢心で姉妹が沈んだせいでね」

 

金剛「…!どこまで知ってるんですか!?」

 

愛宕「あら、当たりなのね」

 

金剛「…アァ?」

 

愛宕「言ったでしょ。貴方と似た娘が過去にいたって。まさか本当だとは思わなかったけど」

 

比叡「えぇ…まさかの当てずっぽうですか」

 

川内「…知らなかった」

 

加賀「私もです。てっきり元からそんな性格だったのかと」

 

金剛「好き放題言ってくれますネー。敵艦隊とまみえる前に貴方達とお話する必要がありそうデス」

 

愛宕「とすると貴方って建造されたては提督の事が好きだったりしたの?」

 

 

好きだったと問いかけが出来たのは、元師の鎮守府で金剛に迫られている元師の姿を見たからだ。大人の余裕で受け止める元師と、少し不満げだが幸せそうな顔をした金剛がいた

 

だからこその疑問、その答えが如何なるモノなのか、複雑な顔をした彼女と彼女の姉妹達の反応を見ればある程度の予想は付いてしまったが、それでも聞かずにはいられなかった

 

 

金剛「…ま、そうでしたよ。今となっては遠い思い出みたいに思えますけどね」

 

愛宕「…同情はしないわよ?」

 

金剛「ハッ。そもそもお断りデース…と、そろそろお喋りしてる暇は無さそうデスネ」

 

 

金剛の話が区切ると、ハンドジェスチャーで敵が来ているであろう方向を指さす。そこに加賀が艦載機を飛ばしていたが、少し罰が悪そうな顔をしている

 

 

加賀「…11時の方向に敵艦隊発見、艦載機を落とされたから明確な敵の数は分からないけど、こちらに気付いているのか艦載機が飛んできてるわ。多分空母二隻程ね」

 

金剛「フーム、まだまだボスまでの道のりは遠そうデスネ…」

 

比叡「総員、迎撃態勢!三式弾を装填次第発射して!」

 

加賀「…私が旗艦なのだけど」ボソッ

 

 

 

防衛艦隊

 

 

天龍「お前等!常に気合を入れろとは言わねえが、あまり無理しすぎんなよ!死んだら元も子も無いからな!」

 

荒潮「天龍さん、まだ作戦は始まったばかりなんだからそんな勢いだと途中で力尽きちゃうわ」

 

天龍「お、おう。すまないな」

 

響『こちら響、天龍さん、聞こえるかい?』

 

天龍「どうした!?深海棲艦でも見つけたか!?」

 

響『魚がこっちに向かって何匹か跳ねてきたから確保して調理中だよ。ついでにサビキ釣りしてたらタチウオが釣れたよ。他にもアジが何匹か釣れたんだけどいるかい?』

 

天龍「…何やってんだよ」

 

響『天龍さんがテンション高くて危なっかしいから和ませてあげてほしいと龍田さんに頼まれたんだ。今丁度アジの開きが出来たよ』

 

天龍「色々言いたいがちょっと待て。お前今どこいんだ」

 

響『ちゃんと海上だよ。燃料を利用して料理してるから汚染問題にはならない筈さ』

 

天龍「勿体無い事すんな!用がないなら切るぞ!」ブチッ

 

荒潮「…今って作戦中よね?」

 

天龍「アイツ等今が作戦中って分かってんだろうなぁ…?もうちょっと真面目にやってほしいんだが…」

 

島風「おーい、天龍さーん」フリフリ

 

天龍「どうした!?緊急事態か!?」

 

島風「はい、アジの開き。響ちゃんに届けてほしいって頼まれたから来ただけだよ」

 

天龍「…ありがとな」ナデナデ

 

島風「えっへへー。それじゃあまた来るねー!」バイバイ

 

荒潮「…ホントに渡しに来ただけなのね」モグモグ

 

天龍「あぁもう…なんか馬鹿らしくなってきた」モグモグ

 

瑞鶴『天龍さん、少し報告したいことがあるんだけど』

 

天龍「なんだ?魚なら結構だぞ」ゴックン

 

瑞鶴『あら、それじゃあ鈴谷が既に連絡してたのね』

 

天龍「あ?鈴谷が何か見つけたのか?」

 

瑞鶴『聞いてないの?』

 

天龍「すまん、別件と勘違いした。それで?」

 

瑞鶴『近くで鯨を見つけたんですって。それも鎮守府から20kmも無い場所でよ』

 

天龍「…それがどうしたんだ?」

 

瑞鶴『おかしいのよ。本来この近くに鯨なんて出るはずないんだけど見たんですって。一応何かの前触れかもしれないし報告しようと思ってね』

 

天龍「なんだって?」

 

荒潮「…鈴谷さん、聞こえる?」

 

鈴谷『はいはい、どうしたの?』

 

荒潮「さっき瑞鶴さんからの報告で鯨を見たって言ってたわよね?それ、どっちの方向か分かる?」

 

鈴谷「え?えーっとね…鎮守府を北とするなら、南東の14kmくらい?」

 

荒潮「…不味いわね」

 

鈴谷「へ?なん『鈴谷さん!!』うわっ!?何!?」

 

曙『緊急連絡!深海棲艦がこっちに向かってきてる!編成はル級エリート3体!軽巡ホ級エリート1体!駆逐ロ級が2体よ!ロ級は後期型かも!』

 

瑞鶴『なんですって!?』

 

曙『現在は榛名さんが応戦中!だけどあの人じゃすぐに突破されるわ!』

 

天龍『チッ!曙は榛名を連れて鎮守府近くまで撤退しながら引っ張ってこい!』

 

曙『はぁ!?正気なの!?』

 

天龍『榛名の相手してる奴等はお前の提督がずっと挑んでる奴等だ!ここの主戦力で向かっても勝てねえ奴等をお前等だけで食い止めるのは無理だからこっちまで引き連れてこい!』

 

瑞鶴『そんなことしてアイツ等が鎮守府を攻撃したらどうするのよ!』

 

女提督『総員!天龍の指示に従って!』

 

瑞鶴『提督!?』

 

女提督『天龍の言う通りよ!貴方達じゃ敵わないから今は引きなさい!』

 

天龍「俺は榛名達の援護に行ってくる!瑞鶴は辺りを索敵して榛名達を襲ってる以外の深海棲艦がいないかを探してくれ!鈴谷は鎮守府まで戻って迎撃準備だ!」

 

荒潮「わ、私は!?」

 

天龍「鎮守府で待機している奴等に無線で出撃準備の連絡、その後俺と一緒に二人の回収に行くぞ!それでいいよな?」

 

女提督『えぇ。天龍は曙と榛名の二人と合流したらこちらが指定するポイントまで撤退して。その時の深海棲艦の対応によってまた作戦を指示するわ』

 

天龍「了解。そういう事だからお前等死ぬなよ!」

 

曙『あぁもう、分かったわよ!お願いだから早く来てね!』

 

天龍「へっ、分かってるよ。いくぞ荒潮!」

 

荒潮「もう!人使いが荒いんだから!」

 

 

 

 

曙「だぁぁぁ!クソッ!」ドンッ

 

 

届くはずの無い砲撃を行う。少しでも自分を見失う様に水柱を立てて砲撃から意識を逸らす。しかしそんな期待とは裏腹に気にもせずに突っ込んでくる深海棲艦に辟易とした

 

 

曙「チッ!」

 

榛名「曙ちゃん!」

 

 

榛名が叫び、何か危機が迫っているのかと咄嗟に砲撃から回避に意識を切り替えて回避を行おうとしたが、相手の方が一手早かったようで直撃してしまった

 

 

曙「きゃっ!?」 2/15 大破

 

榛名「…不味い」

 

曙「あぁもう!増援はまだなの!?」

 

榛名「まだ五分しか経ってません!」ドォンッ

 

曙「そうよねっ!」ドンッ

 

榛名「…このままじゃ撤退する前に沈められますね」

 

曙「なら私が「私が殿を務めます」…正気?」

 

榛名「私はまだ傷さえ受けてません。燃料だって曙ちゃん以上にあります。ならば私が残るのは当然の事です」

 

 

なるほど、確かにそうだ。ならば逃げよう…って、そこまで落ちぶれてはいない!流石にふざけないで欲しい!まだ私だって戦える!

 

…そう言えたらどれだけ良かっただろう。そんな事を言える立場でないのは分かっている。私は大破しているし、このままいても足手まといなだけだ。でも、だからといって前の様な事は起こしたくない

 

 

曙「…そういって、前の貴方も沈んだわよ」

 

榛名「私はそうなりません」

 

曙「なるわ」

 

榛名「…どうしてですか」MiSS!

 

曙「同じ目をしてたもの。あの時の榛名も」MISS!

 

榛名「…そんなに、榛名を信用出来ませんか。そんなに金剛お姉様が怖いんですか」

 

曙「…両方よ」

 

榛名「なら他に良い手があると?私が殿を務める事で少なくとも曙ちゃんは生き延びる事が出来ます」ドォンッ

 

曙「…それを聞いてますます引くわけにはいかなくなったわね」ドンッ

 

榛名「…どうしてですか?」

 

曙「榛名さんが自分の生存を考えてないからよ。じゃなきゃ少なくとも私が生き延びれるなんて言うはずないわ」

 

榛名「っ…!じゃあ何かいい方法があるとでも言うんですか!?こんな絶望的な状況をどうにか出来るとでも言うんですか!?」

 

曙「そうね。私達だけじゃどうにも出来ないわよね」

 

曙「でもね、少なくとも私達を助けようとしてくれる仲間がいるのよ。少しくらいは皆の事を信じて耐えましょうよ」

 

榛名「そうはいっても…!」

 

 

争いながら回避をしてはいたものの、唐突に嫌な予感がした。砲撃はしっかりと回避しているし、砲撃をしてくる敵を眼前に捉えているからある程度の着弾場所も予想が付く

 

しかし、砲撃をしてくる敵の場にロ級の姿は無かった

 

 

曙「…!チッ!」バッ

 

榛名「曙ちゃん!?」

 

曙「クソッがあぁぁぁ!」ガチンッ

 

 

榛名さんの視界には入らない場所から魚雷が見えた。だから咄嗟に前に立って私が先導しながら回避すれば良いと思って行動に移した。だけど思った以上に魚雷が近くに近づいてて回避が間に合わない。だから咄嗟に主砲で魚雷を撃ち抜けないかと思ったんだけど、どうやら整備不良を起こしてしまったようだ

 

もう目前まで魚雷が迫っている、ここまで来ればもう回避は間に合わない。ならばどうするべきか?答えを出すには絶好のポジションにいた

 

 

曙「…クソッ」ボンッ

 

 

夕立の様に魚雷を後ろに流す訳にはいかない。というかそこまでの技術が私には無い。ならばそんな出来ない私が少しでも勝ちの目を残すべき為にするべきこと。それが盾となって味方への被害を無くす事が必要条件だと思った

 

魚雷に触れた瞬間に視界が赤で染まり、耳には轟音が鳴り響いた。後ろの景色は見えないが、おそらく守れていると思いたい。でなければ私が体を張った意味が無いというものだ

 

 

榛名「い、いやあああぁぁ!!」

 

曙「ごふっ…勝手に殺さないで貰える?まだ生きてるわよ」 1/15

 

榛名「…はっ、え?」

 

曙「ホラ、何ボーっとしてるのよ。次が来るわよ」

 

榛名「っ~!何であんな無茶をしたんですか!?」ドォンッ

 

曙「決まってるじゃない。勝ち筋を残す為よ」ドンッ

 

榛名「はぁ!?」

 

曙「貴方以外の戦艦は今いないのよ。そんな貴方がここで少しでも傷を負えば勝つのは更に難しくなる。だから庇った。それだけよ」

 

榛名「だからといってそんな事までする必要が何処にあるんですか!なんでそこまで榛名に期待するんですか!?」

 

 

…コイツは何を言ってるんだ。いや、何をそんなに怒っているんだ?

 

まるで子供が癇癪を起したかのような怒り。親に文句を言うような子供のイメージが今の榛名からは感じられる。せめてそういうのはここ(戦場)じゃない何処かにしてほしい。なので今から怒鳴りそうになるのは仕方ない事だろう

 

 

曙「貴方は期待されて仕方の無い存在なの!それだけの力が貴方にはあるんだからしょうがないでしょ!」

 

榛名「そんなこと言って!本当は過去の私の方が良かったって思ってるんじゃないんですか!?」

 

曙「はぁ!?」

 

榛名「過去の私の方が優しかった。過去の私の方が頼りになった。過去の私の方が庇ってくれた。過去の私の方が、過去の私がって…どうせそう思ってるんでしょう!?」

 

曙「なんでそんな思考になるのよ!過去の貴方は別人でしょうが!」

 

榛名「…どうせそんな言葉も私を落ち着かせるだけの言葉なんじゃないですか?」

 

曙「あぁ~、もう!!さっきからめんどくさい方向に考えないで貰える!?そんなの言い出したら貴方の考えてる言葉しか受け止めないでしょ!」

 

榛名「だって!だって!!」

 

島風「…何してるの二人共」シャッ

 

曙「し、島風!?どうしてここに!?」

 

島風「二人を助けに来たんだよ。私が一番早いからここに来たってだけ」ドンッ

 

曙「丁度良いわ!榛名さんを連れて鎮守府まで撤退して!」

 

島風「曙ちゃんは?」

 

曙「私はここで食い止めるからそのうちに「何秒?」…え?」

 

島風「そんな瀕死な状態で何秒持つの?今の曙ちゃんじゃ持って数秒程度しか足止め出来ないんじゃない?」

 

曙「ぐっ…」

 

榛名「島風ちゃん、榛名がここで食い止めますから「それはもういいよ」」

 

島風「二人共提督の命令を破る気なの?轟沈は許さないって女提督さん言ってたよね?あの戦力差を見ても勝てると思ってるなら阿保だし、自分が的になれば味方は逃せるなんて思ってるとしたら馬鹿だとしか思えないよ」ドンッ

 

曙「い、言ってくれるじゃない…!?」ワナワナ

 

島風「事実でしょ。ほら、ロ級は全員仕留めたから魚雷の心配はホ級だけだよ」

 

榛名「…えっ?」

 

曙「…嘘」

 

 

島風の淡々とした説教を受けながら敵艦隊の方向を見ると見事にロ級はいなくなっており、更に言うならホ級も小破となっていた

 

その敵艦隊の向こう側には天龍と荒潮もおり、二人が気を引いているおかげでこちらに砲門が向くことは無い。思い返してみれば途中からこちらに向かって砲撃が飛ばなくなったのは、あの二人のおかげなのかもしれない

 

 

榛名「…いつの間に」

 

島風「二人の喧嘩に私が合流して少ししたら到着してたよ。そのせいでさっきから通信がうるさいんだから早く答えてあげて」

 

曙「通信?」

 

天龍『おい!さっさと撤退しろ!こっちもそう長くはもたねえぞ!』

 

荒潮『島風ちゃん!ロ級以外はどうなってる!?』

 

島風『ホ級が小破、ル級が一人小破未満、一人は中破、一人無傷ってところだよ』

 

荒潮『…やっぱり戦艦って強いわね』

 

曙『…こちら曙、二人共ありがとう。助かったわ』

 

天龍『気にすんな。サッサと引いてアイツ等倒すぞ』

 

曙『えぇ。了解したわ』

 

榛名「…はぁ」

 

曙「何よ?」

 

榛名「何でそうやって切り替えれるかが分からないだけです」

 

曙「…そんな事出来てないわよ。じゃなかったら未だに金剛に怯えてないわ」

 

榛名「…私達、結局足の引っ張り合いをしているだけですね」

 

曙「…それはそうね」

 

島風「二人共!早く撤退するよー!」

 

榛名・曙「「…はい」」

 

 

 

救助艦隊

 

 

電 ルンルン♪

 

龍田「ねぇ、どうして電ちゃんはあんなにご機嫌なの?」ヒソヒソ

 

雷「以前提督が攫われた時に自分は参加出来なかったのを結構気にしてたのよ。司令官がいなくなっちゃったから次こそはって張り切ってるんじゃない?」ヒソヒソ

 

夕立「気分は囚われの王子様を助けに行ってるお姫様って事?」ヒソヒソ

 

時雨「言い得て妙な事言わないでよ。それじゃ僕達は一緒に向かう騎士様って事になるのかい?」ヒソヒソ

 

電「何かお話ですか?電に内緒で?」ズイッ

 

雷「ピャッ!?」ビクッ

 

龍田「電ちゃんが提督の事が好きすぎるって事を改めて認識してたのよ」ニコッ

 

電「大切な人なんですもん。そんな人が大好きなのは仕方の無い事なのです」

 

時雨「…健気すぎて直視出来ないんだけど」

 

夕立「それは夕立も同じっぽい!電ちゃんには負けないよ!」

 

雷「…とても司令官の部屋で寝てたとは思えないわね」

 

夕立「い、雷ちゃん!?」バッ

 

電「電の方が夕立ちゃんより先に一緒に寝てるのです」ムフー

 

雷「…指摘してあげた方が良いのかしら?」

 

夕立「お願いだからやめて…」ギュッ

 

時雨「…電は提督のパソコンの中を見たことがあるかい?」

 

電「…?はい。皆さんの娯楽に使えるものが無いか一緒に探すお手伝いをした時に見ましたよ」

 

時雨「その時に変なフォルダとか無かった?」

 

電「変なフォルダ?」

 

時雨「その…作戦って書かれたフォルダだけど中身が色々な雑誌がデータとして入ってるファイルとか…」

 

電「…いやに具体的ですね。それに何かあるのです?」

 

時雨「あ、いや、えっと…ちょっと風の噂でね」

 

電「…うーん、そんな噂は知りませんが電がパソコンを使った時はそんなの無かったですよ?買いたてのパソコンみたいにデスクトップにフォルダは無かったですし」

 

夕立「ほ、ホントに?」

 

電「…そういう事ですか。駄目ですよ?いくら司令官さんの事が気になるからってプライベートにズカズカ入り込むのは」

 

龍田(…天龍ちゃんがもうやってるとは言えないわね)

 

夕立(言葉が痛い…)ズキズキ

 

雷「電だって気にならない?普段は私達に対して優しい司令官だけど、ホントの所はどうなのか?パソコンってそういった内緒にしておきたい出来事を記録しておく為の機械なんでしょ?」

 

電「うーん…雷ちゃんの知識が凄く偏ってる様な気がしますが、そんなに気にしなくても良いと思うのです。司令官さんが例え年上趣味だとしても、長身女性がタイプだとしても、龍田さんの様に胸がある人がタイプであったとしても、私達を色眼鏡で見るような人ではないと思うので」

 

雷「…誰か話したの?」ヒソヒソ

 

夕立「電ちゃんにはまだ話してないっぽい」ヒソヒソ

 

龍田「その前に気を使って電ちゃんにだけは誰も話してないと思うわ」ヒソヒソ

 

時雨「……って事はあれかい?」ヒソヒソ

 

考える四人「電は既に知っていた…?」

 

電「触れてあげないのも優しさだと思うのです」ウンウン

 

龍田「…とりあえずアレね」

 

時雨「提督への対応は普段と変わらず」

 

雷「電の対応も変えない」

 

夕立「提督さんが望むなら答えてあげるっぽい!」

 

夕立以外「「「「それは違う」」」」

 

夕立「お、おぉ…」

 

龍田「…それにしても、私みたいな胸ねぇ…?そんなファイルあったかしら?」

 

電「ちゃんとありましたよ。デスクトップじゃなかったので探す必要がありましたけど…」

 

龍田「でも、それにしては視線を感じないわよね?」

 

電「司令官さんの場合は多分手が出ると思うのです」

 

全員「あー…」

 

時雨「僕も将来的には…きっと…」

 

夕立「うーん…でも提督は夕立みたいな子供には興味無いって言ってたよ?」

 

雷「…以前お風呂に入った時は恥ずかしそうな顔をしてたし、完全に興味が無いって訳じゃないと思うわ」

 

夕立「なら、まだチャンスはあるっぽい?」

 

龍田「その前に提督が手を出すかよね?」

 

電「そうなったら多分皆さんから蜂の巣にされると考えてるのでは?司令官さんって結構臆病ですし」シャッ

 

龍田「…色々ありすぎて忘れちゃいそうになるけど、あの人って結構しっかりしてるわよね」

 

雷「サラッと電が魚雷で敵を轟沈させてるのも凄いと思うわ」

 

イ級『グワーッ!?』 轟沈

 

電「はぐれでしょうか?」

 

時雨「…どうだろうね。ここは敵陣なのにはぐれ何て普通出るかい?」

 

雷「私達の鎮守府近くにはぐれが出る時はあるけど、あれって敵陣地の海域から一番遠いからって理由よね?ここが敵陣では無いって事?」

 

龍田「…或いは、囮?」

 

時雨「…どうやら遅かったみたいだね」

 

 

時雨がそう話すと、辺りの海面が浮き上がって周りを囲う様に深海棲艦が出現した。リ級一体、ホ級が二体、イ級が三体。戦力的に見るなら少し私達より優勢と見れる艦隊だ

 

 

電「T字不利、なんてものじゃないのです」

 

夕立「絶体絶命っぽい?」

 

時雨「今回は僕が呼んだんじゃないよ」

 

龍田「分かってるから大丈夫よ」

 

 

皆が互いに励ましあうように言葉を吐き出す。顔に出てないだけで心は焦燥感で溢れており、生還どころか目の前に死が迫っている状況だ。こうなった以上、下手な動きをすればすぐさま終わると誰もが意識レベルで通じ合っていた

 

 

雷「…で?私達を囲うだけって訳じゃないんでしょ?」

 

イ級A「…」ザザッ

 

 

イ級が一隻近づいてくる。砲撃する様子も見せずにただ近づいてくる敵に見ている事しか出来ず、巨大な口を開いた瞬間に皆が一斉に身構えた

 

 

イ級A「ついて来てください。貴方達の提督の場所までお送りいたします」

 

全員「…」ポカーン

 

 

彼女達の常識が顔から消え、警戒をフルにしていた先程までの姿勢はどこへやら。呆けた顔をしながら時が止まった様に硬直した彼女達を深海棲艦が心配そうに覗き込む。しかし実際に時が止まった訳ではないのでその瞬間も彼女達の頭はフル回転していた

 

今までの常識が全て吹っ飛んでいく様な未知との遭遇。知ってはいる相手なのだが、言葉を発さないであろう姿をした者(イ級)から言われたことにより彼女達の脳内は更に疑問を解決出来る答えを探すが、そんなものは脳内に無い。あるのは目の前の深海棲艦が喋るという非現実的な現実のみだ

 

 

龍田「…それなら囲ってプレッシャーをかける必要あった?」

 

イ級「あぁしなければあの時のイ級みたいに沈められていたと思います。それに私達が正面から向かっても皆さんに勝てると思いませんでしたから」

 

龍田「……」

 

イ級A「抵抗しなければ私達は何もしません。無事に貴方達を提督の元へ送り届けた後、私達の目的を達成出来れば鎮守府を襲撃している者達を退かせましょう」

 

雷「待って!?今鎮守府が襲撃されてるの!?」

 

イ級A「はい。一応戦争ですから。私達もこんな絶好のチャンスを逃す程馬鹿じゃないので」

 

電「…それじゃあ私達の司令官さんを解放するのは何故なのです?それに今の状況なら私達を沈める事だって可能な筈ですが?」

 

イ級A「申し訳ありませんがそこまで喋る必要がありますか?私と貴方は敵同士なのですよ?今こうしているのも上からの指示なだけです」

 

電「…その通りなのです」

 

イ級A「ま、私が何も聞かされていないってのもありますけどね」クルッ

 

電「…」

 

 

ふざけた様子に何処かで見た彼の姿を思い出して拳を握りしめて天に突き上げる電。その様子を見た夕立がドウドウと収めつつ、龍田を先頭に皆が付いていくことが決められた

 

決められた。というのは下手な動きをしたら即撃つと周りから感じる気迫から選択肢を奪われてしまったからだ。少なくとも危機が去ったという訳ではないというのが依然として感じられた

 

 

時雨「…脱出は?」ヒソヒソ

 

夕立「不可能っぽい」キッパリ

 

時雨「…だよね」

 

イ級A『内緒話は聞こえますよ』

 

時雨『直接脳内に!?』

 

イ級A『そりゃ出来ますよ。深海棲艦ですし』

 

時雨『…まさか考えてる事も?』

 

イ級A『あ、それは無理です。そこまで出来たら私達は諜報活動で全勝してます』

 

時雨『ふぅ…あ、そういえば周りの深海棲艦はイ級みたいに会話出来ないの?』

 

イ級A『出来ますよ?盗聴してみます?』

 

時雨『…普通に聞くんじゃなくて?』

 

イ級A『皆さんには聞こえない会話を実は聞こえてるってドキドキしませんか?』

 

時雨『…』

 

イ級A『それにこれが出来るのが時雨さんだけなんです。ハーフである貴方なら。ですけどね』

 

時雨『…提督から聞いたの?』

 

イ級A『えぇ。可能なら私達の方で保護して欲しいと』

 

時雨『はあっ!?』

 

イ級A『ま、その話は置いといて。皆さんの会話聞いてみます?』

 

時雨『…聞くよ』

 

イ級A『では、回線を繋ぎますね』

 

 

 

イ級B『ね、あれが提督の一番の電?』

 

イ級C『強いわね。それだけじゃない雰囲気もあるし…』

 

ホ級A『…ねぇ、夕立ちゃんってあんなに胸無かったっけ?それに太ももとか肉付きが良くないし…』

 

ホ級B『私達の知ってる夕立ちゃんでは無いとか?』

 

ホ級A『それなら何で夕立ちゃんに会えないの?それってちょっとおかしくない?』

 

ホ級B『…未練が無かった、とか?』

 

ホ級A『…まさか』

 

リ級『お主ら…頼むからもうちょっと真面目にコイツ等を見張っといてくれんかの…』

 

時雨(…少なくともこちらに被害を与える訳では無さそうだね。本当に提督の所へ連れて行くだけか)

 

イ級B『だって逃げる気配しないんだもん。結構利口だよね』

 

リ級『だからってのう…』

 

イ級C『…それにしても、この人達に色気がある様に見えるのって私だけ?』

 

イ級B『…えっ』

 

ホ級B『そうでしょうか?単に艦娘同士がそういう関係という事では?』

 

ホ級A『私、アイドルだから難しい事わっかんなーい!』キャハッ

 

時雨(…深海棲艦って、そういう話もするんだ)

 

イ級C『個人的には時雨の下着は結構いい趣味してると思うわ』

 

時雨「!?」バッ

 

夕立「時雨、どうしたの?」

 

時雨「ち、ちょっと海水が飛んでビックリしただけだよ」アハハ…

 

イ級C『…こっちの声が聞こえてるのかしら?』

 

イ級B『まさか!艦娘には聞こえない筈でしょ?』

 

ホ級A『うーん…艦娘もそれが出来れば打ち合わせの時とか便利だと思うんだけどね』

 

ホ級B『確かに。訓練の時も互いの励みに使えそうですね』

 

ホ級A『…ちょっとは訓練から離れない?』

 

リ級『いくら声が聞こえないとはいえ敵で猥談とは…流石に節操無さすぎじゃ。聞こえてたらどうする?』

 

イ級C『…アリね』ピキーン

 

リ級『おい』

 

時雨(…)ポリポリ

 

電「…すいません。敵にこんな事を聞くのもアレなのですが、提督さんが何かご迷惑を掛けていないでしょうか?」

 

イ級A「迷惑?」

 

電「あの人節操無しなので…もしかしたら皆さんの逆鱗に触れているのではと思いまして」

 

イ級A「あぁ。それなら気にしないでいいですよ。寧ろそれが幸いして助かってます」

 

電「助かってる…?」

 

イ級A「私達って訳アリの集まりでして。過去の愚痴とか聞いてもらってて大分助かってるんです」

 

電「…なるほど」

 

リ級『おい、そんなにペラペラ話して大丈夫なのか?』

 

イ級A『大丈夫ですよ。あの人の部下なんですからきっと良い人達です』

 

リ級『…お前は他人を信じすぎじゃ』

 

イ級A『人を信じてるんじゃありません。あくまで作戦を信じてるだけです』

 

イ級A『…まぁ、少しはアドバイスを貰いましたけど』

 

リ級『ハァッ!?お主!まさかベラベラと作戦内容を…!』

 

イ級A『は、話してませんって!あくまでアドバイスを頂いたのは敵の利用方法くらいで作戦自体は一言も漏らしてません!寧ろ向こうからポロポロと話してくれたんですよ!』

 

リ級『なっ…あぁ。こやつ等に同情するわ』

 

時雨(…囮にされた?いや、それならこんな回りくどい事をする必要は無いはず…だよね?)

 

電「そういえば、イ級さん以外の皆さんは喋れないのですか?」

 

イ級A「…あ、すいません。ボーっとしてしまって。何でしょうか?」

 

電「…イ級さん以外の方は喋ることは出来ないんですか?」

 

イ級A「一応可能です。ですがある程度のトレーニングをしておかないと言葉にはなりません」

 

イ級B「ゲ、ゲゴッ、ガッ、ゴキカッ」

 

龍田「…彼女はなんと?」

 

時雨「こんにちは。じゃないかな?」

 

イ級B「!」パァーッ

 

雷「良く分かるわね…」

 

時雨「シンパシーって言うのかな?何を伝えたいかが何となく分かるんだよ」

 

リ級『…どっちで話した?』

 

イ級B『言葉の方で話したけど…ホントに通じちゃったんだ』

 

リ級『人の頃と比べてお主は体の構造自体が違うんじゃ。あまり無理して言葉を話そうとするなよ』

 

時雨(…とんでもない秘密を聞いてる気がする)

 

ホ級B『吹雪ちゃんが話せるのはあれを頂いたからですよね?』

 

イ級A『はい。ただ味付けくらいは欲しかったです』

 

ホ級A『効力はどれくらい持つの?』

 

イ級A『今日一日は持つはずです。それが終わり次第お別れですね』

 

時雨(…それにしても、何か変だ)

 

リ級『それで、結局はどっちにするんじゃ?』

 

イ級A『…今は内緒です』

 

リ級『…そうかい』

 

時雨(さっきからこちらのメリットが多すぎる。情報がこちらに筒抜けだと分かってるはずなのに何でこうもペラペラと?)

 

イ級A「皆さん、そろそろ目的の島に着きますので上陸の準備をお願いします」

 

電「…艤装は展開させたままで良いのですか?」

 

イ級「あー、それでしたら展開したままで構いませんよ。多分すぐ必要になると思うので」

 

龍田「っ!総員!警戒態勢!」

 

 

龍田さんの声と同時に皆が輪形陣の形を成す。その様子を見て深海棲艦達も私達から距離を取り始めた。まるでそうなる事を予知していたかのような一糸乱れぬ動きで散開していくのを見ると、やはり仕組まれたものらしい

 

 

夕立「四時に敵艦載機!数およそ30!」

 

 

夕立の声と共に皆がそちらの方向を向くと空に黒い粒の様な物が飛んできていた。次第にソレとの距離が縮まり、やがてこちらに向きを合わせて突っ込んでくる様に見えた

 

 

龍田「総員、対空戦闘用意!撃て!」

 

 

龍田さんが装備している20.3cm連装砲が敵艦載機を落としていくが、それでも二、三隻落とすのが関の山だった。皆も必死に敵艦載機を落とそうと空に向けて砲撃するが、それでも五隻程しか落とせていない

 

急降下してくる敵の艦載機は二十隻以上降ってきており、私達の上空で飛び上がる様にして再び空へと戻っていく。無論、何もせずに空に戻るというわけではなく、爆弾がこちらに向かって降ってきたのが見えた

 

 

雷「総員回避態勢!」

 

 

何とか爆撃の隙間を見つけて必死に掻い潜って回避を行うが、流石に全てを避け切れる訳では無かった。旗艦である龍田さんは中破一歩手前の小破。時雨ちゃんは中破。夕立ちゃん、雷ちゃんは大破。私は小破に満たない被害で何とか済んだ次第である。正直言って、今の状況は絶体絶命と言うほかならない

 

 

夕立「グッ、ウゥウウッ…!」

 

龍田「…随分手荒い歓迎ね」

 

ヲ級(フラグシップ)「あら、あれで仕留める気でいたんですが…」

 

電「…っ!鳳翔さん!」

 

 

私の知っている人とは明らかに違う人の名前を叫んだ。何故なら目の前に現れたのが敵であるはずの深海棲艦ではなく、私が知っていたあの人にそっくりな雰囲気を感じたから

 

だから決して向こうから返事が返ってくるとは思っていなかった。そう思いたくなかった。何故ならそれが意味する事とはつまり…

 

 

ヲ級(フラグシップ)「はーい?」ニコッ

 

 

 

裏切りを指すからだ

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