この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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小説の意識しているポイントその3

R系を意識して学ぶ

 
勿論、中身の事じゃありません。書き方の方を意識してほしいのです

R-18/G系の小説って何が起きてるか分かりやすいんです。アクションの一つ一つに意識してみてみると、状況の解説やどうなっているのかを説明する文が多くあるんですよね。主も勉強としていくつか見るんですが、マジで分かりやすい

特にR系って内容が激しくなりやすいので、セリフ一つ取っても何かしら強調されてる事が多々あります。だから分かりやすい。より鮮明に状況が脳内でイメージ出来る

ジャンルにもよりますが、必ず何処かしらはハッキリとイメージしやすい部分がある筈です。そこの前後の文をよく読みながら自身の学びの糧へとしてみてはどうでしょうか?

 
…まぁ、新たな世界への扉を開くこともありますがね。マジで世界って広い


作戦と人情で痛み分けの終結を

龍田 小破

電  小破未満

夕立 大破

雷  大破

時雨 中破

 

ヲ級(フラグシップ) 無傷

 

 

ヲ級(フラグシップ)「うふふ、やっぱり貴方達に期待して良かったですね」

 

電「…どうしてこちらに?そっちには金剛さん達が向かった筈ですが」

 

ヲ級(フラグシップ)「ちょっと提督さんに協力して頂いたんですよ。交渉させて頂いて良かったです」

 

電「…司令官さんは?」

 

ヲ級(フラグシップ)「あ、そうですね。イ級さん、お願いします」

 

イ級B「グエッ」ゲロッ

 

 

イ級の口から吐き出されたのは透明なカバーの様なモノに身を纏った提督が出てきた。その顔はまるで眠っているようであり、同時に生気を感じさせないものとなっていた

 

 

時雨・夕立「…」

 

雷「…なるほど。あの時に私達に友好的だったのって、攻撃を受ける訳にはいかなかったからね?」

 

イ級A「はい。万が一攻撃されてしまっては人質である彼の価値が無くなってしまう所でしたので」

 

龍田「…ねぇ」

 

 

その声は怒りと少しの焦燥と悲しみ、そしてそれらを覆いつくす程の恨みを乗せた声が発せられた。声の主の姿は恨みを体現した様な雰囲気で、走馬灯の様に過去の光景記憶を一瞬だけ見た気がした

 

 

龍田「捌かれるか焼かれるか、どっちが良いかしらぁ?」

 

電「龍田さん、司令官さんは生きてますよ」

 

龍田「…どうしてそう言えるの?」

 

電「先程彼らは人質としての価値が無くなってしまうと言っていました。人質とはあくまでその人が無事であるからこそ交渉に使える材料ということで人質と呼ぶのです」

 

龍田「つまり…」

 

電「司令官さんはご無事だという事です。でなければ人質なんて言葉を使う意味が無いと思います」

 

ヲ級(フラグシップ)「はい。その人は無事ですよ。所謂仮死状態というやつです」

 

イ級A「私達はこの人を島へ運んでおきます」

 

夕立「ま、待って!」

 

イ級A「…なんでしょう?」

 

夕立「これ以上酷い事しないよね?提督さんを殺したりしないよね?」

 

イ級A「それはお約束しますよ。絶対に今言ったことは行いません」

 

夕立「…ありがとう」

 

ヲ級(フラグシップ)「さて、お話はもういいかしら?」

 

時雨「…本音を言うと色々言いたい事はあるさ。でも聞く必要が無いと思ってね」

 

 

時雨の言葉を皮切りに次々と砲門を目の前の敵へと向ける艦娘達。その眼光は決して生への執着ではなく、かといって勝利を渇望するような目でもない。目の前で瀕死の提督を見て心から湧いて出た怒り。仲間たちがやられた時と同じ怒りだった

 

 

ヲ級(フラグシップ)「それはどうして?良かったら教えてくれないかしら?」

 

時雨「それ以上にやるべきことがあるからさ。理由なんてそれで十分だよ」ガチャ

 

ヲ級(フラグシップ)「ふふっ。それはこちらとしても助かりますね。やりがいがありそうです」

 

時雨「そっちこそ良いのかい?貴方一人で?」

 

ヲ級(フラグシップ)「私が先程の攻撃でどれ程の被害を与えたと思いで?それにまともに戦出来そうなのは龍田さんと電ちゃんだけですよ?」

 

電「…その油断が命取りだという事、お忘れなく」シャッ

 

 

まずは私が魚雷を装填して発射を行う。魚雷は弧を描きながら広がっていき、ヲ級に向かって飛んで行っているのにその場から動こうとせず、あと少しで着弾というところでヲ級が膝を曲げた

 

その行動に疑問を覚えながら警戒を緩めずに眺めていると、ヲ級が飛んだ。文字通り空に向かって

 

その行動に驚愕しつつも、皆が狙いをヲ級に向かって狙いを定める。魚雷を跳躍等の飛んで回避を行うという手法を行わないのは空中だと動きの制御が出来ないからだ。自由落下で落ちてくる物体など少し動きがある的同然。常日頃から深海棲艦と向かい合う彼女達にとっては当てることなど簡単だった

 

 

龍田「落ちろッ!」ドンッ

 

ヲ級(フラグシップ)「航空部隊、発艦」ガパッ

 

 

龍田を筆頭に皆が落下位置を予測した場所に砲撃したが、ヲ級の頭にある艤装から艦載機が出たことによって結果は予想だにしないものとなった

 

 

雷「…嘘でしょ」

 

夕立「空を…飛んでる…?」

 

 

魚雷は当然鳳翔に当たる事がなく、そのまま遥か彼方へと消えていった。砲撃もタイミングがずれてしまい、当たることなく終わってしまう

 

ヲ級が宙に浮いた理由はその背中にいる艦載機が鳳翔を支えていたからだ。とても艦載機とは思えない球状の形と生物を連想させる様な口と目が異形な形で形成されており、それがヲ級を口で加えながら空中での自由移動を可能にしていた

 

 

ヲ級(フラグシップ)「うふふ、結構良い景色ですね。これなら遠くで戦闘している皆さんも見えそうです」

 

龍田「流石に宙に浮いた敵を撃ったことは無いわよ!」ドンッ

 

電「電も初めてです。本来は艦載機にあそこまでの力はありません。仮にあったとしても空中であそこまで自由に動ける訳ないのです」ドンッ

 

時雨「…なんとなくだけど、アレ、ヤバいよ。アレで攻撃されたら不味いと思う」ドンッ

 

雷「そんなに危ない代物なら何でアレで攻撃しないのかしら?」ドンッ

 

時雨「多分、操るのが難しいんじゃないかな?」

 

雷「そう言える根拠は?」

 

時雨「アレ一つしか出ていないからだよ。アレ自体の能力が高すぎてヲ級じゃ操れないレベルの代物だから。或いは秘密兵器だからアレしかない。多分こういった理由だと思う。じゃなかったらさっきの攻撃で飛んでくるはずだしね」

 

ヲ級(フラグシップ)「その通りです。良く気づきましたね」

 

 

そう言いながら自分達の頭上をブンブンと飛び回るヲ級がいる。さながら蚊を連想させそうな程の素早い動きで砲撃を楽々と躱し、当たると確信を持てそうな砲撃でも体を捻って避けられてしまう。その事に苛立ちを覚えていた

 

 

ヲ級(フラグシップ)「時雨ちゃんの言う通り、私はこれを操るのにかなり苦労しています。もしこれを攻撃に回してしまえば私は無防備な姿を晒してしまうんですよ」

 

電「…それと他の艦載機を出す事は出来ない。という事ですね」

 

ヲ級(フラグシップ)「あら、そこまで分かったんですね」

 

電「さっきから空中で回避だけをしてるのが良い証拠なのです。そんなことをする暇があったら艦載機を出すなりすればいいはずです」

 

ヲ級(フラグシップ)「はい。良く出来ました。電ちゃんには花丸をあげましょうね」

 

電「…チッ」

 

 

思わず出てしまった舌打ち。その行動に皆がギョッとする。味方は過去を思い出し、敵は彼女を知っている故に驚いた

 

 

電「…もういいです。流石に司令官さんの事で気が立っていたとはいえ、これ以上コケにされてイラつかない訳ないのです」

 

電「早くそこから降りてきてください」ドンッ

 

 

一瞬の動揺。その機を見逃さずに行った砲撃はヲ級の体に直撃した。相手は空母なので直撃しても中破どころか小破にも届きはしなかったが、それでも小破一歩手前まで追い詰める事が出来たのは明らかだった

 

 

ヲ級(フラグシップ)「あら、マズイですね」バチャッ!

 

電「続けるのです?せめて仲間くらいは呼んでみたらいいのです」

 

ヲ級(フラグシップ)「いえ、そんな勿体ない事はしませんよ。せっかくの戦闘なんですもの。せめて楽しみは独り占めしたいです」

 

電「…軽口を叩けなくなるのもあと少しなのです。サッサとかかってきてください」

 

ヲ級(フラグシップ)「…では、遠慮なく」

 

 

そうヲ級が声を出すと、先程見た光景と同じ量の艦載機が出る…と、思っていた。この時の電とヲ級は

 

 

時雨「隙ありっと」ドンッ

 

ヲ級(フラグシップ)「キャッ!?」 小破

 

龍田「ウフフ、戦いってやっぱり数よね~」ドンッ

 

ヲ級(フラグシップ)「ち、ちょっと!良いところなんですから邪魔しないで貰えますか!?」

 

夕立「お断りっぽい」

 

ヲ級(フラグシップ)「…しょうがないですね。多少被害は負いますが無視して艦載機を「だからさせないって」」ドンッ

 

 

夕立が艦載機に指示を出そうとする瞬間を狙って砲撃を行う。例え大破していようと砲撃は出来るので、妨害をするには十分だった

 

 

ヲ級(フラグシップ)「ッ…艦載機を展開させないつもりですね?」

 

龍田「そういうこと。提督からアドバイスがここで役立つとは思わなかったわ」

 

ヲ級(フラグシップ)「…アドバイス?」

 

龍田「相手を本気にさせるな。攻撃をそもそも起こさせるな…ってね」

 

雷「無茶苦茶な指示だとは思ったけどね…こうも人数差があればいとも簡単に出来るみたいで驚いたわ」

 

ヲ級(フラグシップ)「クッ…そんなもの、通じない相手がいるって事を教えてあげます」

 

雷「その心意気は買うけど、それより前を見なくて大丈夫なの?今日は魚雷との衝突注意報が出てるわよ」

 

電「…」ガラッ

 

 

そう雷ちゃんが声を掛けると、ヲ級がこちらを振り向こうと顔を動かすが、完全にこちらを振り向く瞬間に魚雷を抜いてヲ級の顔にめがけてフルスイングする。魚雷は爆発せずに中折れしてしまったが、それでも爆発させるよりかはいい効果を生み出せたようだ

 

 

ヲ級(フラグシップ)「ガッ!?」フラッ

 

電「艦娘や深海棲艦の弱点、それは体が頑丈すぎる事によって首が素直に折れず、脳へのダメージが直接叩き込まれるという点。頭に直接魚雷を食らったのですから、おそらく視界はグニャグニャのはずです」

 

電「それにより本来は脳で指示を行って一定の動作を行う事で艦載機を呼び出していたのが出来なくなってしまった。ケリを付けたいなら油断せずにそのまま全滅させれば良かったのです」

 

龍田「そしてこれを貴方に当てる事で…いよいよ勝利って所ね」シャッ

 

 

そう言いながら龍田は魚雷を放つ。近くに私がいるが、ヲ級が逃げないように中折れした魚雷で首絞めを行う。そんな私を心配そうに見つめる雷がいるが、考えてる通りにはならないと証明する様にギリギリを見つめて離脱するつもりだ

 

 

ヲ級(フラグシップ)「そ、そんなっ、もの…っ!」

 

電「おっと、逃がさないのですよ?」ギリギリ

 

ヲ級(フラグシップ)「カッ、ハッ…!」

 

 

暴れるヲ級を首絞めでじわじわと気力を奪う。龍田さんが放った魚雷に衝突するまで後僅か。脳は揺れているので艦載機に指示を出す事は不可能。それ以前に視界が歪んでいるから魚雷が飛んできている事にすら気づいていないかも知れない。仮にその場から動こうとすると、四方を囲った皆から砲弾の雨を食らうだろう

 

 

電「それじゃ、おしまいなのです」バッ

 

ヲ級(フラグシップ)「あぁぁっ!」ボォンッ 中破

 

電「キャッ!」 小破

 

龍田「電ちゃん!」

 

電「あ、あはは。少しタイミングがズレちゃったのです」

 

時雨「ヲ級は?」

 

電「中破したので攻撃は不可能です。夜戦になれば攻撃もしてくるでしょうが、今の時間から夜戦は不可能なのです」

 

ヲ級(フラグシップ)「くぅっ…」

 

電「…戦いは終わったのです」

 

ヲ級(フラグシップ)「…それを聞いて、はいそうですかって納得すると思いますか?」

 

雷「あ、貴方ねぇ…!それ以上やればホントに死んじゃうわよ!?」

 

ヲ級(フラグシップ)「それでいいじゃないですか。それが戦いってものでしょう?」

 

夕立「…ううん、それで良いわけないよ。貴方が攻撃出来ない時点でこちらが勝利したのは一目瞭然。生殺与奪の権はこちらが握ってる。生死をこちらで決められる時点で貴方に選ぶ権利は無いよ」

 

ヲ級(フラグシップ)「…私が仲間を呼ばないとでも?」

 

龍田「さっきの人達ならやめておいた方が良いわよ。多分、無駄だから」

 

ヲ級(フラグシップ)「無駄…?」

 

???『もしもし?こっちの通信聞こえてる?』

 

龍田『はい。聞こえています』

 

???『はいはーい。とりあえず一旦お疲れ。そろそろそっちと合流するからね~』

 

龍田『分かりました。お待ちしております』

 

ヲ級(フラグシップ)「…増援ね」

 

電「彼らは元師直属の部下です。私達とは練度の差も、経験も、何もかもが段違いの人達です。そんな人たちが後数分で到着します」

 

ヲ級(フラグシップ)「…はぁ。これなら慕われてない方が良かったわ」

 

電「……それってどういう『ドォンッ』キャアッ!?」 大破

 

雷「電っ!」

 

時雨「12時の方向!座標は…」

 

夕立「さっきの深海棲艦達、でしょ?」

 

 

何処か複雑そうな表情の夕立がつぶやく。その顔は今の闘いに疑問を覚えているような顔であり、皆も同じ気持ちなのか、少しまばらな表情はしつつも、疑問と言う点では一致しているようだった

 

 

イ級A『ごめんなさい。邪魔しないでって言われたけど、流石に見てられないって皆が』

 

イ級C『時雨、この通信は貴方にも聞こえてるはずよ。良かったら私達と交渉しない?』

 

時雨『…聞くよ』

 

イ級C『こちらから要求する事は二つ、一つは今コチラに向かってくる仲間を退かせる事。もう一つはヲ級さんをコチラに引き渡す事』

 

イ級C『これに応えてくれるならそちらを無事に逃がすわ。勿論、提督さんも一緒にね』

 

 

雷が望遠鏡で深海棲艦達の方を見ていると提督の姿が見えたと報告してきた。今もその生気を感じない顔をしており、イ級の背中に乗せられているそうだ。そんな提督に向けて砲塔を向けるホ級が二体いるらしく、報告する声からは怒りと焦りが伝わってくる

 

 

時雨『…断った場合は?』

 

イ級C『こちらも被害を顧みずに敵討ちをさせてもらうわ。それはそちらも望んでないでしょ?』

 

リ級『それと提督の命。こちらが握っているというのを忘れんでほしいのう』

 

時雨『…仲間と相談させてほしい』

 

リ級『うむ、許可しよう。ただし三分じゃ。それ以上は待たん』

 

時雨『…分かった』

 

時雨「皆、向こうから通信が来た」

 

雷「…なんで時雨だけに?」

 

時雨「その説明は後。今は話を聞いて欲しい」

 

時雨「向こうがヲ級を渡さないと提督の命は無いと脅してきた。それとこちらに向かってきている仲間をこちらに向かわせない事。これに応じるなら提督をこちらに渡すのと無事に帰投出来ると言うのを約束してくれた」

 

時雨「ここで取り逃せば脅威になるのは間違いない。しかし僕達の提督をみすみす見殺しにすることも…」

 

龍田「…なら渡しましょ。それが一番の解決方法だもの」

 

電「…いえ、司令官さんにはもう少し向こうにいて貰います」

 

雷「はっ?」

 

夕立「えっ!?」

 

時雨「ち、ちょっと!何を考えてるの!?」

 

電「時雨ちゃん、少し私に交渉させてくれませんか?」

 

時雨「えっ?」

 

電「大丈夫です。悪い結果にはさせるつもりはありませんから」

 

時雨『…ごめん、少し話が拗れてね。そちらと交渉したいと話を受けた』

 

リ級『なんじゃと?』

 

時雨『交渉はこの通信を開いたまま僕を通じて話をさせる。だから『ふざけておるのか?』』

 

リ級『こちらは提督を人質に取っておる。さらにそちらは満身創痍じゃ。何故こちらがお主らの要望に応えなくてはならん?現状立場としてはこっちが上なのじゃぞ?』

 

時雨『分かってる。だがこちらもヲ級という人質がいる。更に言うなら仲間もこちらに向かってきている。条件としてはほぼ同じだと思うけど?』

 

リ級『…分かっておらんな。その仲間達はお主らを守りながら戦えると?そんなもん、儂らからすればいい的じゃ。上手くいけばワシらだけで強力な敵を排除可能な可能性もある。これだけでどちらが有利か分かったろう?』

 

時雨『…では何故、ヲ級一人にそこまでこだわるんだい?』

 

リ級『……』

 

時雨『ヲ級なんてそっちには何人もいる。フラグシップというのも何人もそっち側にいるらしいじゃないか。同じ存在が何人もいるのに、どうしてこのヲ級にこだわるんだい?』

 

リ級『っ!お主はヲ級という個体が全てとでも言うのか!?ヲ級を一人の人間として見るのではなく、ヲ級という個体でしか見とらんのか!?』

 

時雨『悪いけどそれはこっちにも同じ事が言える。提督という人種でしか僕らの提督を見ていないのかい?僕達にとっての提督はその人しかいないんだよ』

 

リ級『…チッ!』

 

ホ級A『…分かった。その話受けるよ』

 

リ級『なっ、貴様正気か!?』

 

ホ級B『いいえ、非情になり切れない時点でこちらの負けです。その証拠に一瞬とはいえ感情が表に出ましたよね?それでこちらがどれ程ヲ級さんに価値があるかを悟られてしまいました』

 

リ級『う…』

 

時雨『…受けてくれる。って事で良いんだね?』

 

ホ級B『はい。話は私が聞きます』

 

時雨「…受けてくれるってさ」

 

電「では、今から私が言うことをそのまま伝えてください」

 

時雨「…ホントに大丈夫なんだよね?」

 

電「はい。電を信じてください」

 

時雨「…分かった。通信を開始するよ」

 

 

 

時雨『今から僕を通じて仲間の意志を伝えるよ。そっちも聞く準備は良い?』

 

ホ級B『はい。いつでもどうぞ』

 

時雨『…うぇっ?』

 

ホ級B『どうかなさったんですか?』

 

時雨『あ、えっとね?司令官を海水に付けて死んでいないかを確認したいって』

 

ホ級B『え、えぇ…?それくらいなら別に構いませんが、良いんですか?』

 

イ級B『…鬼だ』

 

ホ級A『え、えっと…目を覚ますだけで良いよね?』

 

時雨『う、うん。あ、いや、出来たら十秒ほど水に漬けてほしいって…』

 

リ級『…あ奴らには人の心とか無いのか?』

 

イ級A『どれだけ恨まれてるんですか…』

 

ホ級A『せめてビンタくらいで勘弁してあげない?流石に殺しちゃう可能性があるのはこっちとしても…』

 

時雨『わ、分かった。ちょっと待ってね』

 

 

そうして少しの間向こうの声が聞こえなくなる。しばらくして時雨が帰ってきたのだが、まるで死にかけの動物を見て悲しそうな声を出す少女の様だった

 

 

時雨『そ、それで妥協するって…』

 

イ級A『…リ級さん』

 

リ級『わ、吾輩か!?』

 

イ級A『い、一応人型だし…』

 

リ級『いやいや!理由になっとらん!というか流石に男を殴るのはごめんじゃ!そこまで落ちぶれておらん!』

 

ホ級A『じ、じゃあデコピンは?一応私達って普通の人間と比べてかなり強いからデコピンだけでもかなりのダメージになるはずだよ!』

 

イ級C『罪悪感って点では確かに軽いけど…』

 

リ級『う、くうぅ…!う、恨まないでくれ!これはお主の仲間の要望なのじゃ!』グググッ

 

 

とても敵の指揮官を害そうとは思えない会話。いくら敵とはいえ彼は男性であり、流石にビンタ等をして傷ついた姿を見るというのは、同性である艦娘と攻撃するのとは心の在り方というのが大分変ってくるのを意味する

 

やがて力を貯め終わったのかプルプルと震えていた腕がピタッと止まる。相手は人間なので出来るだけ手加減し、尚且つ跡が残らない程度の強さにその指を放つが、小さくバコッという音が聞こえたのは気のせいだと思いたい

 

 

「…づぇ」ゴクッ

 

リ級『お、起きたか!?起きたのか!?』ブンブン

 

イ級A「ちょ、ちょっと!そんなにブンブンしたら死んじゃいますよ!」

 

「…あぁっ、終わったのか?」

 

リ級『よ、良かった!生きておった!』

 

「…うぇ?今どんな状況?」キョロキョロ

 

 

寝ぼけた声で答えつつもキョロキョロと周りを確認する司令官だが、ある一点を注視するとまるで時が止まったかのように体が硬直する。その顔はまるでこの次の出来事を察知したような、その未来が絶望しか待っていないのを予知したような顔だった

 

 

「…説明お願い」

 

イ級A「かくかくしかじか」

 

「まるまるうまうま…あーそういうことね。完全に理解した」

 

リ級『そ、それで?無事は確認出来たじゃろ?』

 

時雨『う、うん。こっちでも確認したよ』

 

携帯『ピリリリリリ』

 

 

聞きなれない音が私達の周りで鳴り響く。それはまるでここにいると示すかの様な音であり、絶対に聞き逃してはいけないとアピールでもするかのような、聞く人によっては非常に不快な音が鳴り響いていた

 

音の発生源は先程目を覚ました提督の白いカッターシャツの胸ポケットからだった。すぐさまその原因を取り出して薄い金属の様な板を操作したかと思えば音がスッと鳴りやんだ

 

 

「…はい、もしもし」

 

携帯『くぁwせdrftgyふじこlp!!!』

 

「……」キーン

 

ホ級A『な、何この声!?』

 

ホ級B『まさか、何か兵器を…!』

 

時雨『いや、あれは電の怒号だよ』

 

ホ級A『あんな声が!?どう考えても乙女が出しちゃいけない声を出してるよ!?』

 

時雨『うん。ウチの秘書官が提督に色々言いたい事があるみたいでかなり怒ってて…交渉の話なんだけど、その提督が握っている携帯から話してくれないかな。それなら僕を介さずとも話が出来るよ』

 

ホ級B『は、はい。分かりました』

 

「ねぇ、僕の耳もげてない?ちゃんとある?」

 

イ級B「ちゃんとあるから!その携帯?ってやつを…えっと、ホ級さんに渡して!」

 

「あっ、はい」スッ

 

ホ級B「えっと…確か提督さんはこうやって…」スッ

 

携帯『あー、あー。聞こえてるのです?』

 

ホ級B「はい。聞こえていますよ」

 

携帯『…すみませんがイ級さんに変わってもらえませんか?電では貴方達の言語が理解出来なくて』

 

ホ級B「あ、そっか。イ級ちゃん、ちょっとこれに顔近づけてくれない?」

 

イ級A「…私、怒られたりしないですよね?」

 

「あ、そのスピーカーって言うのを押してくれ。その方が声が皆に聞こえるから」

 

ホ級B「あ、分かりました」タプ

 

イ級A「あー、あー、聞こえていますか?」

 

携帯『はい。聞こえるのです。さっそく続きをしたいのですがよろしいですか?』

 

 

紆余曲折あったがようやく本題に入れる。そう思うと気が引き締まり、先程までの騒ぎも一旦心の隙間に留めておいて対応に応じる事になる。ここから先は戦争での交渉と変わらない。少しでも間違えれば一気に不利になってしまう大切な盤面なのだ

 

 

イ級A「はい。続けてください」

 

電「ではまずこちらにいるヲ級なのですが、私達の方で預かる事は出来ませんか?」

 

イ級A「…実験でもするんですか?」

 

電「いえ、私の知り合いにヲ級さんを預けます。そこに行けば不当な扱いは受けないと思います。戦争で敵として迎える事も無いでしょう」

 

イ級A「それを信じる証拠は?」

 

電「…司令官さんがそちらでお話したりしていませんか?」

 

イ級A「…あぁ。あの人達ですね」

 

ヲ級(フラグシップ)「うーん、それは困りますね。私はもう少し暴れておきたいんですが…」

 

イ級A「…とのことですので、私にはどうにも出来ませんね」

 

電「ふむ。でしたらそちらの情報を頂けませんか?対価として金剛さんを明け渡しましょう」

 

夕立「え!?」

 

雷「…電、何を言ってるか分かってるの?」

 

電「はい。理解した上で話してます。そもそもそちらが仕掛けてきたのはそれが目的では?」

 

イ級A「…何でそこまで?」

 

電「いくつか理由がありますが、あまりに事が綺麗に進みすぎてるというのが一つ。そして司令官さんを無事に返すという行為から別の目的…というよりかは司令官さんにいてもらっては困るという点が考えられました」

 

電「もし司令官さんがそちらにいれば金剛さんを脱走させるかも知れない。それならば帰ってもらった方が安心する。推測としてはこんなとこですかね」

 

電「おそらく鎮守府を襲撃しているのは女提督さんに対する復讐って所でしょうか?規模は流石に分かりかねますが、それでも金剛さんとイーブン程の戦力をぶつけている筈だと推測します」

 

龍田「ま、待って!もし余りある程の艦隊なら天龍ちゃん達は!」

 

電「落ち着いてください。それでも戦艦は一隻以上はいませんから皆さんで対処は可能な筈です」

 

時雨「……そう言える根拠は?」

 

電「時雨さんならお分かりのはずでは?」

 

 

重苦しそうな顔をして俯いたままの時雨と、その様子を見て察してしまった皆。今回の出撃は深海棲艦達が金剛への復讐を妨害する為の出撃なのだと理解したようだ

 

 

時雨「…なら、どうして鳳翔さんは僕みたいになってないんだい?」

 

電「電が欲しい情報というのはそれなのです。それさえ聞くことが出来ればコチラで責任持って金剛さんを明け渡しましょう」

 

イ級A「……貴方達にその気は無くても、金剛が暴れて逃げ出すのでは?」

 

電「大丈夫なのです。丁度近くに元師の部下がいますので」

 

イ級A「…いや。どうやらその必要は無いみたいですし、この話は無しにしましょう」

 

電「なっ…」

 

イ級A「たった今通信が入りました。貴方達の艦隊を壊滅させ、金剛を鹵獲したと」

 

夕立「ちょ、ちょっと待って!それじゃあ愛宕さんは…!」

 

イ級A「えぇ。轟沈しました」

 

 

あっけらかんと言われた二文字の言葉。『轟沈』という聞いた事のある言葉

 

私以外の仲間の手が震えて足に力が入らなくなり、やがて膝を曲げた。膝立ちで姿勢は止まったが、その顔は痛みによる顔ではなく嘆きや悲しみの様な顔だった

 

しかし私だけはその顔をしてはならない。例え瀕死の重傷と言えど戦場で表情を出すというのが如何に危険な行為なのか理解していたからだ。だから決して悲しむ顔を見せてはならない。味方から冷酷な奴だと言われようとも

 

 

ヲ級(フラグシップ)「…これが、戦争というものですよ」

 

時雨「……嘘だ」

 

時雨「嘘だ嘘だ嘘だ!そんなことあるはずがない!!!」

 

時雨「愛宕は僕達の中でトップの練度だったんだよ!?そんな事あるわけないよっ!!」

 

イ級A「えぇ。確かに並大抵の深海棲艦でしたら轟沈なんてありえなかったでしょう」

 

イ級A「でも、私達にも助けに来てくれた人がいたんですよ」

 

 

その言葉から推測出来る人物。しかし組立てる推測のピースはヲ級が持っていた桁違いの性能を持った艦載機。たったそれだけが推理のピースだったが、それに当てはまるであろう深海棲艦が何名か思い浮かぶ。それも最悪な深海棲艦を選んで言葉に出す

 

 

電「…空母棲姫」

 

イ級A「はい。大正解です」

 

電「…仕方ありません。では予定通りヲ級をそちらに渡します。それと交換で司令官さんを返してください」

 

イ級A「ですね。落としどころとしてはいい着眼点だと思いますよ」

 

時雨「待ってよ」ガシッ

 

 

そう言われて肩を掴んできた時雨の目は完全に死人と言っても良い程に死んでいた。司令官を彷彿とさせるような今にも死んでしまいそうな目であり、マズイと直感させるのに時間は掛からなかった

 

 

「時雨」

 

時雨「…何だい?」

 

 

そうだ。この場には司令官もいる。どうかこの場を収める方法があるという事をどうにか時雨ちゃんに伝えて欲しい。今こうするのが最善の手なのだと

 

 

「時雨以外の奴も聞け。今から話すのは命令だ。絶対に聞き逃すな」

 

「総員、ヲ級を速やかに引き渡せ。決して八つ当たりをしようとするな」

 

時雨「ふざけるなっ!!」

 

 

怒号が飛ぶ。そして周りの皆も同じ感情なのだろう。完全に蔑んだ目をしており、今にも命令を無視して本能のままに動きそうだった

 

 

時雨「僕らは提督より愛宕の方が大事なんだ!!自分の身可愛さに命乞いをしようとするな!死ぬんだったら提督で良かったのに!」

 

電「時雨、流石にそれは」

 

時雨「黙ってよ!提督に付いて回る事しか出来ない奴は!」

 

電「なっ…」

 

「安心しろ。俺が頼みたいのはそうじゃない」

 

時雨「じゃあなにさ!?提督が代わりになるとでも言うの!?」

 

「そうだ」

 

 

…今この人は何と言った?代わりになると?

 

 

「イ級。ヲ級と俺の交換条件ではなく、ヲ級と壊滅状態の回復を求めたい」

 

イ級A「…お断りします。そんなことせずとも貴方は寧ろいてもらっては邪魔になるだけですので」

 

「まぁそういうなよ。皆も今ここで沈みたくないだろ?」

 

イ級A「…はっ?」

 

 

その言葉を聞いて深海棲艦達がアワアワとしだすのが肉眼でも分かるほどに驚き戸惑っていた。どうやらすぐ近くに誰かがいるようで、おそらくだが援軍がすぐそばにいるのだろう

 

 

「北上、大井。魚雷の発射準備をしてくれ。目標は俺だ」

 

北上『はいはーい』

 

大井『良い判断ね。潔くて好感が持てます』

 

「砲撃と魚雷なら圧倒的に砲撃の方が早い。だが回避の難しさで言えば魚雷の方が難しいと思わないか?」

 

イ級A「…無駄ですよ。私達にとって死ぬことは別に悲しい事でも無いですから」

 

「そうかな?金剛に対して復讐したいのは君らも同じ気持ちだろう。死んだら本当に金剛が復讐されたのか分からず、苦悶に満ちて助けを乞う顔を見れないのは嫌だろ?」

 

「死んだら何も出来ない。例えお前が死んだ後に復讐されたとしても、その場に自分がいないだけでお前は見届ける事さえ出来ず、それを知る事さえない。本当にそれでいいのか?」

 

「こんな提案を蹴るほどにお前の復讐心ってのはその程度だったのか?俺はお前等の為を思っての提案をしているし、それはこちらの利益にもなる。互いの目的を果たす事が出来る提案なんだ。こんな魅力的な提案をどうして断ろうとする?」

 

イ級B「…グギッ」

 

ホ級A「…チッ」

 

龍田「…待ってください提督。一体何の話をしてるんですか?」

 

「お前等には話せない事だ。これ以上は聞かんでくれると助かる」

 

「今の状況は互いの目的はある意味一致していてな。この機を利用する手は無いだろ?」

 

龍田「ですが聞かないと納得出来ません!その目的って何ですか!?」

 

「…龍田。そもそも俺達は何で鳳翔を捕縛しようとしているんだ?」

 

龍田「…裏切った鳳翔さんを私達の情報を渡さない為に捕縛して、少しでも敵の情報を入手するために捕縛をしようとしています」

 

「では聞くが本作戦と関係の無いヲ級を捕縛してなんになる?ヲ級の言語なんぞ理解出来んし、それならば喋れるイ級を捕縛した方がよっぽど利益じゃないか?」

 

龍田「それは…!」

 

「良いか?俺達の目的はあくまで鳳翔だ。関係の無いヲ級を欲する必要などない」

 

電「いえ、その人は鳳翔さんです」

 

「根拠は?」

 

電「私が呼びかけた時に鳳翔と呼んだのですがそれに反応してました」

 

「それだけか?」

 

電「…はい」

 

「…ふむ」

 

北上『ねぇねぇ、まだ撃っちゃ駄目?』

 

「んー、あともう少し待ってくれ」

 

大井『早くしなさい。時間は待ってくれないのよ』

 

「夕立、お前に聞きたい。お前はそこのヲ級が鳳翔だと思うか?」

 

夕立「…えっ?」

 

「どうなんだ?」

 

夕立「ち、ちょっと待って。どうして夕立に聞くの?」

 

「鳳翔と一番仲が良かったのはお前だろう。こうなった以上、互いの信頼関係から本物か推測するしかないからな。だからお前に聞いている」

 

「さぁ、どう思う?」

 

夕立「ま、待って!そんな事夕立でも分かるよ!でもだからって「夕立」」

 

 

とても優しい声で静止する名を呼ぶ声。その人物の声には優しさ以外にも切実な願いの様なモノを感じ取れる声をしていた

 

先程司令官さんが言っていた互いの信頼関係から推察するしかないとの判断。確かに言わんとする事は分かる

 

人が変わってしまう。それは比喩表現ではなく本当に起こってしまったのだ。判断材料とする見た目は役に立たない。声さえ役に立たない可能性だってある。可能な判断材料といえば雰囲気や行動くらいだろう。そういう意味では一番仲が良い夕立が選ばれるのは納得出来る

 

だが危惧べきする点はそこではなく、これは夕立の一声でこのヲ級が鳳翔かそうでないかが決まってしまう点だ。これがどれ程に軽率な行動なのかを問い詰めたい。何故そこまで判断を委ねてしまうのか。私には理解が出来ない。司令官さんがその事を分かっていない訳ないのに…

 

 

「お前のしたい様に決めなさい。俺はそれに賛同し、全力で遂行するだけだ」

 

夕立「…うん。分かった」

 

夕立「このヲ級は鳳翔さんじゃないよ。あっちの深海棲艦達もヲ級の仲間ではあるみたいだけど、有力な情報は持ってないと思う」

 

「…そっか。良く分かった」

 

雷「し、司令官。流石にそれは…」

 

「ん?何か文句があるのか?」

 

雷「う…ない、です…」

 

「って訳だ。これを聞いたうえでお前らがするべき事は分かるな?」

 

イ級A「…金剛さんへの復讐はやめませんよ。あの提督だって今から総動員すれば鹵獲くらいは出来ます」

 

「へっ。てことはまだ鎮守府を制圧されて無いんだな」

 

イ級A「…あっ!?」

 

龍田「…皆、大丈夫なの?」

 

「さぁ、最後の交渉だ」

 

「金剛はそちらで鹵獲された。流石に相手が空母棲姫という事もあって俺達にはそれを打開する手は無い。だから現状回復としてそちらの全面撤退を求める。これ以上の追撃はさせないと約束しよう」

 

「こちらから差し出す物はヲ級、俺、お前等の身の安全、金剛の計四つだ。条件としては結構破格だと思うんだが?」

 

イ級A「…貴方は要らないです」

 

「なら俺を除いた三つか。ま、それでも破格だな」

 

リ級「…ワカっだ」

 

「…てことだ。皆、ヲ級を解放してやってくれ」

 

電「…はい」

 

雷「ねぇ、司令官。ホントにこれで良かったの?ホントにそれが最善なの?」

 

「俺が考える上で最善だと考えたのがこれだ。金剛に関してだが…こればっかりは俺もどうしようもない」

 

夕立「…愛宕さん」

 

時雨「…っ」

 

龍田「…早く行って。これ以上近くにいたら貴方に向かって砲撃しちゃいそうだわ」

 

ヲ級「…はい。分かりました」

 

「それじゃあ全員撤退準備。攻撃は禁止だ。誰も攻撃するなよ」ブツッ

 

電「…ありがとうございました」

 

ヲ級「…縁があればまたやりましょう。今度は慢心せず、初めから本気でいかせてもらいます」

 

電「遠慮させてください。電は貴方と違って闘いが好きではないので」

 

ヲ級「それは残念ですね」フフッ

 

 

そういって遠ざかっていくヲ級。時雨が砲門をそちらに向けるが龍田によって抑えられる。怒りをぶつける相手を欲しているようだが、今は向ける相手を選んで欲しい。ここまで司令官さんが選んだこの状況を無駄にはしたくない

 

私達の闘いは終わったんだ

 

 

 

北上「ふんふん。そういう方法を取るんだね」

 

「まぁな。そっちから見て俺の行動はどう思う?」

 

大井「最低ね」

 

「ははっ。手厳しいな」

 

大井「言っておくけど貴方の態度だけじゃないのよ。作戦も、解決方法も、何もかもが最低。点数をあげるとしたら二点が良い所よ」

 

「んー、妥当すぎて何も言えん」

 

北上「でさー、こいつ等どうする?」

 

「解放するさ。お前等も攻撃はするなよ」

 

北上「はいはーい」

 

イ級A「…後悔しませんか?」

 

「何が?」

 

イ級A「愛宕さん達の事です。彼女達は皆…」

 

「…その通信、本当か?」

 

イ級A「…どういうことでしょう?」

 

「愛宕がホントに轟沈してたら俺に分かる様になってるんだよ。そういう道具があってな」

 

大井「え、何ですかそれ」

 

北上「…そんな便利なものがあるなら何で教えてあげないのさ」

 

「…一つ聞きたいんだが、お前等本当に計画したのか?」

 

イ級A「当然です。でなければ空母棲姫さんに協力を要請なんて出来ませんでした」

 

「……なるほどな」

 

北上「何々?なんか思いついちゃった?」

 

「…何にも分からんって事が分かったって所だ。俺の手にはまだ負えそうにない」

 

大井「まだ?」

 

イ級A「あ、あの…」

 

「ん?」

 

イ級A「こんな時に言うことではないですが…死んでしまった仲間の事、ありがとうございました」

 

「…さぁな。俺はお前等の仲間なんか知らねえよ」

 

イ級A「…はい。そうでしたね」

 

北上「お、お?裏切りか?裏切っちゃってるのか?」

 

大井「深海棲艦の前に貴方を沈めてあげた方が良さそうですね…」ガシャン

 

「ワーッ!裏切りも何もしてないからやめてくれっ!マジでお前等はシャレにならん!」

 

大井「冗談ですよ」ウフフ

 

「冗談に聞こえねぇよ…」ドキドキ

 

北上「とりあえず今回の出来事は全部元師に報告させてもらうよ。貴方達の事もね」

 

イ級A「でしたら一つ、言伝をお願い出来ますか」

 

北上「うーん、流石にそのお願いはねぇ…」

 

「良いじゃないか。言伝くらい」

 

北上「…ま、いいか。それで、内容って?」

 

イ級A「…沈んだ艦娘達の事を忘れないでください。でなければ戦争に勝つことは出来ないと。伝えてほしいのはそれだけです」

 

北上「…オッケー。任せてよ」

 

「…さて、こっからは俺の仕事だ。総員撤退準備。無事に鎮守府まで送り届けてくれよ」

 

大井・北上「「了解」」

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