この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
…酷い場所だ。艦娘達がまるで実験動物の様に首に番号が書かれた札が括られているし、中には意識さえ怪しい者だっている。まるで麻薬を摂取した人のようだ
しかし自分にはここにいる全ての艦娘を助ける事は出来ない。ならばせめて、これから実験に使われようとしている艦娘を助けてみよう。もしかしたら引き抜きが出来るかも知れないし、それで面白くなるなら万々歳だ
…良し。あの子に決めた
日増しに体の脱力感が強くなっていくのだが、何故か力自体は強くなっていく。一度スチール缶に入ったコーヒーを飲んで握ってみたらあっさりとグシャグシャになってしまった。特にトレーニングらしい事はしていないハズなのに、一体自分の身に何が起こっているのだろうか?
まぁ良い。とりあえずは実験の結果を書いていこう。前回から殆ど時間はたっていないが、どうしてもこれだけはメモをしておきたい。
【自身の特殊能力?】
/*第一の能力*/
これを能力と言って良いのか分からないが、前々から疑問に思っていた事と、明らかに行動原理としておかしい箇所が艦娘達に見られた。初めの詳細に関しては最後辺りで記述する
まずこれを能力だと考えた第一の理由としては、
例えば部屋の中に一匹の蚊がいたとしよう。ソイツがプーンと音を立てながら耳元で何度も飛び回り、いつの間にか腕に吸い付いて血を吸っている。こんな蚊に対して起こす行動と言えば、百人中九十九人位が叩き潰したりするという行動を起こす
このような行動を起こす理由は一種の拒否反応から起きたものだ。今回私がした事といえばこれでいう所の血を吸ったという部分に当たる
だから必然的に次に起こる行動は何らかの攻撃。そう思って少し身構えていた。例え公衆の面前で提督からビンタされたとしてもだ。少なくとも自分達も同じような事をされるかも知れないと考えない程、彼女達も馬鹿じゃない。だから例え、私が如何なる罰を受ける事になっても誰も助けに来ないと思っていた
だがあの時、島風が真っ先に私の身を案じて部屋にやってきた。まるで私が危険な状態だと分かっていたかのように。まるで予測していたかの様なタイミングで、バッチリと
それにあの応急修理要員だ。あれに関しては用意した記憶なんか無い。リボルバーも弾詰まりが起きる事は
不知火と陽炎に拉致られた時も、丁寧に口に手を当てるだけで声が周りに聞こえない様にされただけだった。運ぶ時に抵抗が無いよう、首を絞めたりして気絶させてから運ばれると思ったがそういう事も無く、ただ艦娘達の前に引っ張り出されただけだった
リンチにあうと思って少し震えていたのに、結局は尋問と遺書を渡すだけで終わってしまった
…助かった。助かってしまった。あんな選択をした私が、助かってしまった
似たような、いや、前任の提督と同じことをしたハズなのに、皆はただこちらを向いて何もしなかった。何もされなかった。トラウマを掘り返された様な反応さえなく、私の身勝手な行動に怒って殴り殺されるとも考えていたのに…何もなかった
霧島に初めて撃ったあの悪夢を見る拳銃…実際に三発程自身に向かって撃ってみたが、多少キツイ夢をみるだけでそこまででは無かった。これがあまりにきつかったら霧島を起こすつもりだったが、そうではなかったのでそのままにしておいた。元師から直接手渡された拳銃なので、おそらく効力は本物だと考えるとそういった能力が邪魔をしている他考えられない
……以上の結果があった事を考えると、私には”死ぬ事が出来ない”という特殊な能力があると考える。正確に言うと、例えどのような状況であっても私が死ぬのは不可能に近いという方が正しいだろう
初めて鎮守府に訪れた時も確実に死ねる展開が何度もあった。だがその度に何かのイベントの様なモノが発生し、私は生き延びてきた
多少の変化はあるが、結果生き延びる。まるで何かを成すまで死ぬのは許さないという何かの意志の様なモノを感じる
私のパソコンに文字が現れたあの時から、私の運命は何かの意志によって左右されているのではないのだろうか?今作っているこの調査書でさえ決められたモノではないのか?本当に私は私の意志で動いて…
……いや、例えそうであろうと、私が考えて決めた意志だけは私の物だ。あくまで結果はその時の行動の結果に過ぎない。そうだろう?
そう。何も問題は無い。私は自分の意志で考え、自分の意志で行動し、その結果が何かの意志によって左右されているだけ。結果という未知を体験したいのだから、例えその結果がコントロールされた物であったとしても、私にとっては未知なのだから問題は無い。問題は無いんだが…
幸せな結果となるのは自分以外の者だけで良い。元よりそんなものは求めていない。どうか私の行動の結果だけは変えないでくれ。仕組まれた結果ほどつまらないものは無いのだから
/*第二の能力*/
…感傷に浸ってしまった。一応この気持ちもメモしておく方が良いだろう
続きを書こう。先程話した死なないという能力、それ以外に第二の能力として”無条件に人から好かれる”という能力があると思われる
この人というのは人間だけでなく、艦娘、妖精、深海棲艦までもが含まれるものと推測する
どうやらこの能力は自分から友好的に接しようとする者達にのみ作用すると思われる。理由としては私が初めて会議に参加した時、この能力が三名の提督には効かなかった様に思える(一人は初め友好的だった様に見えたので、整合性は取れていない)
しかしこれは厄介な能力だ。もし自分自身を騙しながらこの能力を使えば、誰もが自分と親しい感情を持ち、それを好きに利用出来るのだ。正直こんな能力は要らない。捨てる事は出来ないのだろうか?
おそらくこれが理由で彼女達は初めて出会った時に急な心境の変化があったのだろう。No2に書いた報告書に記載したあの異常、おそらくはこれが原因だ
この能力と相反する何か…それを上手く利用できれば、彼女の本音が見えるのではなかろうか?もしそうならば喜んでそれを使い、今度こそ本当の彼女達を見てやる
だがそれよりも先に考える事が、いつこの能力が発現したのか?というタイミングだ
まるでラノベだ。異世界に転生して神様に能力なのか、それとも隠された能力なのか…どちらにせよあまりそういったラノベは好みじゃないんだがな…個人的にはこ〇すばくらいの世界観が好きなんだ
まぁ以前いたあの世界ではこんな能力無かったし、おそらくここに来てからだろう。昔何かの漫画で見た等価交換の原理の様に、私がここに来たのと同時に何らの取引が行われ、結果自分にこの能力が身に付いたと考えるべきか。細かい事を考えると多分頭が爆発するのでこれ以上は考えない事とする
しかしどうしたものだろうか?好きの反対は無関心と聞くが、無関心となってしまっては観察が難しくなる。関心がないだけだから仕事に関する影響はないだろうが、それだと私の仕事が滞りそうな気がする。まだ仕事に慣れている訳ではないのだから
…いや、そういえば嫌われというジャンルが昔あったな。あれはたしか薬だったり、そもそも嫌われていたのがきっかけで人々から嫌われていくも、極一部の人達からは理解され、最終的には大団円となるんだったか
大団円はどうでも良いが、これなら今度こそ彼女達の本音を見る事が出来るはずだ。しかし肝心なのはどうやって嫌われるかだ。そもそも嫌われようと頑張っても、自身の能力?で好かれるせいで上手くいかないのは考えつく
そうなってくると頼りになるのは妖精さんが作り出す道具に期待するしかないんだが、妖精さんを騙すような真似をして何かをしてもらう訳にはいかないしなぁ…それ以前に妖精さんだって生きているんだ。流石に非人道的とも言えてしまう事をするのは難しい筈…
…駄目だ。今の所解決方法が何も思いつかない。変わり者の妖精さんでもいれば話は変わるんだが、そうそう都合よく合う事なんて出来ないだろう
とりあえずこの能力に関しては保留として、悪用は出来るだけしないようにしなければ。必要ならば使いたいのだが、オンオフくらい切り替えられないのだろうか?もうちょっと優しい設計にしてほしい
/*第三の能力*/※重要
こちらが大本命の能力だ。これに関しては気のせいじゃないし、ましてや夢でもない。現実である
信じがたい事だが自分の目の前に艦これのホーム画面のウィンドウが映った。出撃もしていない執務室の景色が背景に写るあの画面が目前に映ったのだ
編成、出撃、補給、改装、入渠、工廠、全てがあった。アイテム屋や図鑑だってあったし、秘書官の姿だって映っていた。資材の溜まり具合だって見えた
やはりここはゲームの世界のようだ。今日確信を持って言える。本当に、この事実を確認するまでが長かった
だが…これを利用するのは辞めておこうと思う。当然、こんな能力があるだなんて知られたら今以上に面倒な事になるのは明らかだ。というか今以上に問題を抱えたくない
もしかしたら何らかの実験動物の様にも使われるかもしれない。目を抉りだされ、他の人物でも見る事が出来るという奴が出てきてしまえば…後の事は想像に難くないだろう
一応出来る事は基本的なWeb版と変わらないようだ。戦闘が起これば画面が戦闘シーンに切り替わり、戦闘が終わればリザルト画面が表示される。演習の相手もデータは見れるがコメントは空欄だった。まぁ当然だ。自分以外にこの能力を持っている人物はいない筈だしな
だが…ここのコメント欄が記入されていた場合は俺と同郷のハズだ。つまりは俺にとってもかなり厄介な敵であり、味方でもある。そうなれば自分はどういった選択肢を取るのだろうか?今は分からないが、その時の自分に祈ってみるか
しかし演習の相手は見る事は出来るが、どうやって演習するまでにこぎつけるのだろう?そこは謎なので何処かで検証してみたいな
この能力が発揮した瞬間としては深海棲艦達に連れ去られた時だ。あの時は色々あって吐きそうになっていた時、急に目の前に現れた。まるで助けが欲しいかと問わんばかりに
実際これがあるおかげで愛宕の轟沈は偽の情報だと理解出来た。正直かなり助かっているのは間違いないが、どこまで万能なのかが分からない以上安易に頼るのはやめておこう。それにこれの使い過ぎでゲームだと錯覚してしまうのも不味いだろうな
…だが、完全に金剛はいなくなってしまったのだろう。それを思うとやはり悲しいと感じてしまうのか、少し心が震えてしまう
戦闘シーンで金剛達の姿と空母棲姫の姿を確認していたが、しばらくすると金剛が空母棲姫の方へ移動したかと思えばそのまま二人で戦闘から離脱していった。それ以降の事は不明だが、願わくば轟沈でないことを祈りたい。あんな奴でもいないと戦力が下がるし悲しいからな
【艦娘と深海棲艦の輪廻転生の推測】
艦娘と深海棲艦はもしかしたら轟沈すれば互いの種族に蘇るのではないだろうか?輪廻転生を再現したような種族だとしたら全てにおいて説明がつく
何故彼女達は子を残さないのか?答えは単純。彼女達自身が輪廻転生を行っている為だと考えられる
死亡すれば新たに生まれ変わり、前世の記憶さえ持って生まれる個体も現れる。この様な事があれば生物としての種の根絶が起こらない。だから子孫を残すという事も起こらないし、その機能さえ無いのだろう
それならば彼女達が子を成さないというのも理解出来るし、人間に生まれ変わらせるのは不可能だというのも説明がつく。何故なら彼女達は艦娘という種族であり、深海棲艦という種族でもあるのだから
種族が変わるというのはどうあっても不可能。だから彼女達は人間という種族になれないのだ。まぁよくある話だと道具を使って変化したり、成長することによって種族進化というのがあったりするラノベを見たことがあるが…そんなことホントに無いよね?
犬と人が交配すれば犬が産まれるのか?それとも人が産まれるのか?答えはNOである。人間と艦娘が交配しても生まれる事が無いのはそういうこと…あっ、いや、例外があった
猿と人間だ。猿と人間ならば子供は出来る。猿から進化したのが人間で、種族から進化したという事柄から考えればそれは可能であるのだ
もし、もしだ。艦娘と深海棲艦、この二人の種族の中で人に近い者達ならば人間との子供が出来るのでは無かろうか?あくまで推測でしかないのだが、もしかしたらあり得るかも知れない。というか艦これの結婚話やR本ではそういうの多かったから無い事は無いだろう
これに関して興味の尽きない事ばかりだが深海棲艦と艦娘の子供となると、深海棲艦が艦娘を拉致して深海忌雷が艦娘の○○に入ってそのまま○○○して○○○○○○○○○○○としていたのしか知らないんだよな
…まぁ、あれだ。流石に考える位に留めておいて、聞いたりするのは辞めておこう。種族が違い、敵対しているとはいえ、流石にそういった事を聞くのはセクハラになってしまうだろうしな。明確な意思疎通が取れる以上、そういった事は自重せねば…
だがそれを考えると人とのハーフの子供も生まれる気がする。もしくは100%人間の成長をする人間の子供が生まれるかも知れない
この世界がゲームだと分かった以上、ゲームの設定も恐らく活かされるはずだ。もしかしたら…自分の手で解体する事によって彼女達を人間に出来るのかも知れないな。他者の手にかかった場合は不明だが
…そうするといつ実験しようか?ちょっと楽しみが増えたと同時に、覚悟も決めて挑むべきだな