この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
三日後
電「いきなり三日も飛んだのです」
大淀「何故急にそんなことを…」
妖精 スッ
電「あ、妖精さん」
大淀「これは…電報ですね」
電「司令官さんからなのです」バサバサッ
電報『このペースでいくと伏線回収が最終巻のト◯コみたいになるから時間が少し飛ぶよ』司令官より
電「…計画性の無い事ですね」
大淀「個人的には空の上にある野菜の園が好きでしたね」ポテトが特に美味しそうで…
電「電はフェスティバルの所が好きでした」培った技術を発揮していくのは目を見張る所がありました
女提督「…ここに漫画なんて置いてたかしら?」
大淀「私達の提督の私物からいくつか読ませて頂いたんです」
女提督「…部下の教育とか大丈夫なのかしら?」ボソッ
電「あっ、まだ続きがあるのです」バサッ
女提督「何?誰か異動でもしてくるの?」
電「…はい。ホントにそうみたいです」
女提督「えっ?」
電報『白露型の八番艦”山風”を我が艦隊に迎え入れる事となる。どうか仲良くしてやってほしい』
女提督「山風って…建造で出ない娘じゃない。よくそんな娘が異動になったわね」
大淀「えっ?建造で出ない艦娘もいるんですか?」
電「はい。建造も万能ではありません。ドロップする艦娘の方がかなりレアだと言われており、その性能も折り紙付きなのです」
女提督「それに建造では海外艦も出る事だってあるけど、ドロップでは更に多い海外艦がいるのよ。まぁ、かなりの苦労が伴うのだけどね」
電「元師もIowaさんが出ないとかなり嘆いていたのです」その時の資材集めは本当に大変でした…
大淀「なるほど…」メモメモ
ドア『お客やで』コンコン
電「噂をすればってやつなのです」
女提督「誰?」
???「白露型八番艦の山風です。トラック泊地の提督にご挨拶に伺いました」
女提督「どうぞ。入りなさい」
山風「失礼します」ガチャ
ノックされた扉が開く。そこにいたのは私が知る駆逐艦の山風ではあったのだが、彼女の腕の中に抱えられた”何か”が一緒にいた
それはまるで少し大きめの人形のサイズをしており、水色と白のストライプ柄の服を着た赤ん坊が山風の腕に抱えられていた
大淀「…えっと、山風さん?」
山風「あ、えっと…はい。何でしょうか?」
大淀「いえ、その…ここに赤ん坊を連れてこられては困ると言いますか、何故赤ん坊を抱えているのか聞きたいのですが…」
山風「あ、それは…」
山風「私がこの子の…マ、ママだから、です」
三人「「「へっ!?」」」
赤ん坊「ダウッ!?」
大淀「…この子も驚いているようですが」
山風「ち、違うの…!この子は私の子なの…!」
赤ん坊「あ、アウアウッ!」ブンブンッ
あ、すっごい勢いで手を振ってるの可愛い…じゃなくてっ!!
女提督「その子凄い拒絶してるわよ?どう考えても貴方の子だとは思えないのだけど?」
山風「…違うの?」ウルッ
赤ん坊「…ダー」フルフル
電「…司令官さんはどちらですか?」
山風「え?提督ならここにいるよ?」キョトン
電「は?」
山風「ね?提督?」
赤ん坊「アウー」フリフリ
三人 カァー、カァー
電「…大淀さん」
大淀「…何かしら?」
電「一発強力なのをお願い出来ますでしょうか?」
女提督「電、これは現実よ」ギューッ
電「ウソだっ!!!」ダァンッ!
山風「い、電…大丈夫?」
電「子供になったり赤ん坊になったり何なんですか!?コ〇ンでもそんなに変わりませんし、ル〇ン三世だって赤ん坊に変装はしないのです!!」
大淀「い、電ちゃん。ちょっと落ち着いて…」
電「落ち着いてられるかぁ!!!」
完全にキャラを忘れて暴走状態に入ってしまった電。そんな彼女を見かねてか、山風の腕の中にいる
電「っ…!元はと言えば司令官さんがっ…!」バッ
電「…」
赤ん坊とは思えない申し訳なさそうな顔をしながら電の頭を撫でる赤ん坊の姿があった。その様子を見て色々吹っ切れたのか、電は赤ん坊にギュッと抱き着き、その頭を優しく撫でる赤ん坊という、普通なら見る事のないはずの光景が生まれていた
電「…ホントに、司令官さんなんですね」ナデナデ
山風「…ほら、早くママの元に戻っておいで」バッ
電「…待ってください」ガシッ
電「この人は私達の司令官さんです。貴方の子供ではありませんし、司令官さんだと分かった以上はこちらで保護させて頂きます」
山風「ムッ…それは違う。私はこの子のママだもんっ…!」ガシッ
電「…その手を離すのです」グググッ…
山風「それはこっちのセリフ…!」グググッ…
大淀「ちょっ…!提督が千切れちゃいますよっ!?」
女提督「ふっ、二人共!早く放しなさい!」
電「聞いたのです?サッサとその手を離しなさいっ…!」グググッ…
山風「そっちが離せばこっちも離すよっ…!」グググッ…
???「そこまでよっ!」バァンッ!
突如として声と共に開け放たれたドア。そこにいたのは遠征帰りであろう雷と、後ろからかなり急いで追いかけたのであろう様子の天龍がそこにいた
天龍「す、すまん…急に雷が駆けだしたかと思えばここまで走ってきて…!?」
雷「二人共!その子の腕が取れちゃったらどうするの!?」
雷「ふふっ。もう大丈夫だからね」ナデナデ
山風・電「雷「ちゃん」!その子をこっちに渡してっ!」
雷「…へぇ?さっきまでこの子の腕を引っ張りあっていた人達に?」ゴゴゴゴッ
山風・電「「ひっ…」」ビクッ
…子を守る親は強い。それは自然界では当然の事だと言われているが、どうやらそれは
雷「二人共、そこに正座なさい」スッ
山風・電「「で、でもっ!それはコイツ『山風ちゃん』が!」」
雷「あ゛?」ビシッ
天龍「…こえぇ」ビクビク
愛宕「…なるほどね。何と言うか、その場に居合わせなくて良かったと思うわ」
大淀「見た事ありませんでしたよ。あんな怖い雷ちゃん…」
天龍「ま、今の本人はそんな気概を片鱗さえ見せねーけどな」チラッ
雷「んー…これくらいで良いのかしら?」ピトッ
暁「一滴だけ出して舐めてみて。それで熱く無かったら飲んでも大丈夫だから」
響「スゴイね。そこまで知ってるんだ」
暁「少し調べたらこれくらいは分かるわよ。ま、こんなことが無ければ調べる事も無かったと思うけど」
雷「こらっ!危ないから司令官はやらなくていいの!」バシッ
響「司令官、その手に持ってる哺乳瓶を渡すんだ。私達が飲ませてあげるから」
暁「もう、そんなんじゃダメよ」
暁「今の司令官は赤ちゃんなのよ?赤ちゃんなら赤ちゃんらしく大人しくしていなさい」
雷「ほら、これを咥えて一杯飲んでね」スッ
天龍「…可哀想に」
愛宕「でも、雷ちゃんは前より活発になったと思うわ。こうなったら提督にはしばらく赤ちゃんとして過ごしてもらいましょ」
天龍「アイツのメンタルボロボロだろ…俺がアイツなら拗ねてるよ」
愛宕「そういえばあの二人は?」
大淀「あの二人でしたら確か…反省の意味を込めて、遠征を休みなしで5周してもらってます」
愛宕「あ、あら…」
天龍「…ちょっと厳しすぎるんじゃねえの?」
大淀「一応提督を怪我させてしまう所でしたから…出撃とかではないだけマシだと思います」
天龍「…今頃あの二人の溝は深まってんだろうなぁ」
妖精『一方その頃…』
電「だーかーらー!司令官さんのお世話をするのは電の役目なのです!」ブンブンッ
山風「違う…!提督のお世話をするのは私の役目なの!そう決まったんだから!」プンプン
電「…ん?決まった?」
山風「そ、そうだよっ!提督がそう決めたんだから…!」
電「待ってください。今貴方が言った提督と言うのは私達の司令官さんですか?」
山風「ち、違うけど…それを決めたのは私のいた鎮守府の提督だよ」
電「…ならばもう一つ質問があるのですが、貴方は一体何でウチにやってきたのです?」
山風「なんでって…それは貴方の提督に連れられてだけど?」
電「…なるほど」
山風「?」
電「ったく。ということは赤ん坊になったのも
山風「と、兎に角!提督のお世話をするのは私だから!」
電「そこは譲れないのです。こうなったら徹底的にお世話してやるのですから」
山風「駄目ー!!」
暁「あらやだ、風邪?」
雷「うーん、お風呂に入れた方が良いのかしら?」トントン
響「私達と一緒に入るという事になるのかい?それはちょっと危ないんじゃないかな?」
暁「うーん、赤ちゃんって大きめの桶に入れて洗ったりするみたいだけど…」
雷「あ、げっぷが出た見たい」
響「…にしても雷は詳しいね。赤ん坊がげっぷが必要だなんて知らなかったよ」
雷「赤ん坊の内はまだまだ成長出来ていない部分がたくさんあるからね。食後のげっぷだってさせなかったら胃が空気で膨れちゃって吐き戻したりすることがあるのよ」
雷「ふふっ。褒めてくれてるのね」ナデナデ
暁「…こうしてみるとホントにママみたいね」
雷「ま、ママ!?」
響「ふむ…そうなると父親は司令官となるのかな?」
雷「えっ、えっ!?」
響「…あ。でもよく考えたら司令官は赤ん坊になってるから、これって所謂近親相『ゴスッ』おおぉおぉぉ…」プルプル
暁「全く…油断してるとすぐこれだわ」
雷「こーら。そうやって苦しんでる人を笑わないの」ペチッ
文月「ねぇねぇ、交代の時間だよー!」
雷「あら、もうそんな時間なのね」
如月「ふふっ。司令官、今晩はよろしくお願いしますね♪」
暁「司令官の事、お願いね」
皐月「まっかせてよ!」ドンッ
如月「そ。皆と話し合ってね、朝、昼、晩に分けて司令官をお世話しようって話になったの」
如月「ありません♪」
響「それじゃあ私達は今晩の哨戒に行ってくるよ。司令官のお世話頑張ってね」ガチャ
文月「うん!いってらっしゃーい!」
文月「それじゃあ一緒にお風呂行こうね~♪」
如月「あら、嫌がっても私達から逃げられると思わないでね?」ギュッ
皐月「大丈夫!ちゃんと準備はするから!」
如月「それじゃ、早速行きましょうか」
文月「じゃあ私は準備してからお風呂場行くね!」
皐月「あ、僕も手伝うよ」
文月「ありがとう!助かるよ~!」
如月「ふふっ。それじゃ二人共、またお風呂場でね」
皐月・文月「「うん!」」
…今、自分は更衣室に来ている。私がこんな場所にいるのも、全ては変化したこの体によるものだ。この変化は思った以上の変化を自分にもたらした
まずは周りの態度。かなり厳しい仕打ちを受けると思って帰って来たのだが、寧ろ赤ん坊と化した事で彼女達の何かを目覚めさせてしまったようだ。雷に関してはかなり元気が出たようなので良かったと思えたのだが、他の者達もこうでは正直複雑だ
次に筋肉の変化だ。腕の筋肉は元の姿だった頃と変わっていない様なのだが、見た目が赤ん坊な為にちょっとした怪力赤ちゃんとなっている。世の中には杵を持つ子だっているとは聞くが、まさか自分がそうなるとは思わないだろう
しかし喉の筋肉は衰えているせいで発音が見た目相応になってるし、歯は生えていないのでしばらくの飯は粉ミルクとなりそうだ。この調子だと舌さえ幼児レベルになってるだろうし、しばらくの間は朝の缶コーヒーはお預けだろう
さて、話を戻そう。現在私の精神年齢は元のまま。見た目は赤ん坊というどこぞの名探偵よりも幼くなってしまっている
あの名探偵も体験したことだが、
如月「司令官、服は脱げる?」ヌギヌギ
如月「ふふっ。偉いのね」
皐月「おーい。持ってきたよ~」ガラッ
如月「ありがとう。助かるわ」
文月「だけど、ちょっと保護者がやってきちゃって…」
如月「保護者?」
山風「あ、いた!」
電「…司令官さん。そういう趣味がおありなのです?」ジトッ
電「…まぁ、これに関しては不可抗力の様なモノですもんね」
文月「心配しなくても大丈夫だよ~。ちゃんと体から離れない様に命綱も用意したんだよ?」
電「それ以前に赤ちゃんは長時間の湿度が高い場所は辛いのです。司令官さんを見てください」ビシッ
文月「…平気そうだよ?」
電「…」キュッ
電「いや…謝らなくて良いですから…」
山風「ホラ、こっちにおいで。早く一緒に入ろう?」ガシッ
如月「あ、ちょっと待って!」
山風「…何?」
如月「私達と一緒にしましょ?その方が互いに助けられると思うの」
山風「……」
山風「う…分かったよ…」
皐月「良し!それじゃあ早速行こうか!」スッポンポン
如月「ち、ちょっと皐月ちゃん!ちゃんとタオルで隠して!こんな見た目だけど司令官だって一人の男性なのよ!?」
皐月「ご、ごめんっ!」バッ
文月「ふふっ。目を手で覆ってるの可愛いかも」
電「頭を洗うのは電がしますね。流石に危ないので」
皐月「え?普通にシャワーでやったらいいんじゃないの?」
電「普通にやると耳や鼻に入る可能性があります。それに赤ちゃんは皮膚だって弱いので、シャンプーも少し気を付けないといけないのですよ」
山風「…分かった」
電「あ、でも赤ちゃん用のシャンプーが無いのです」
赤ん坊提督「ダウッ」ズイッ
電「…これは?」
電「…こんなものまで作れるのです?」
文月「妖精さんが最近便利な道具屋さんみたいな感じになってる気がするの」
皐月「…僕も何か作ってもらおうかなぁ」
如月「悪用は駄目よ?」
電「先に頭からするのですか?」
電「分かりました。手を離さないでくださいね」ギュッ
山風「…私がママなのに」
如月「…ねぇ、どうして貴方があの子のママになってるの?」ガラッ
山風「……」
如月(…これは先が長そうね)
電「ほら、山風ちゃんもママを言うんでしたらちゃんと見ていてください」ジャー
電「一歳児は大体五分を目安にお風呂に入れてあげるのです。それ以上は長風呂となってしまい、危険なのでやらないでください」
電「シャワーもかなり弱めに後ろからかけてあげるのです。その時に目や鼻に入らないように注意してください」
文月「目に入ると痛いもんね…」
電「…司令官さん、ここからは山風ちゃんにシャンプーを任せても良いですか?」
山風「えっ?」
山風「…良いの?」
山風「…じゃあ、痛かったら言ってね」ペチッ
皐月「…良いなぁ」
文月「皐月ちゃんには私がやってあげるから、一緒に洗いっこしよ?」
皐月「…うん。ありがとう」
如月「お願いだから、私も混ぜてね?」
電「髪を洗う時は爪を立てないようにしてください。なぞる様にすれば良いのです」
山風「う、うん。頑張る…!」ユビユビ
電「ふふっ。それじゃあ最後に流すので、山風ちゃんは司令官さんの目に入らないようにしてください」
山風「わ、分かった…」ズイッ
山風「…どうしたの?もしかして目に入った?」
視界に飛び込んだのは白いタオルに実を隠している二つの山があった。流石白露型という事だけあって中々に育っており、目の前でこのタオルを剥いだらどのような反応をするか考えるだけで楽しくなってしまうが、紳士である自分はそっと目を閉じる事にした
電「クッ…」ややBよりのC
山風「?」Eと錯覚しそうな程のD
皐月「…やっぱり大きい方が良いのかなぁ」ふふっ。可愛いね!B
文月「うーん…どうなんだろうね?」世に文月があらんことを…C
如月「うふふっ」マセガキだが胸はC
山風「…はい。終わったよ」
山風「…うん」
電「それじゃあ湯船に浸かりましょうか。危ないので暴れないで下さいね?」
山風「…可愛い」
文月「あー!それは私達がやろうと思ってたのに~!」
電「…確かに。その通りなのです」
如月「一番信頼してるんだもの。頼りたくなっちゃうのは仕方ないわ」
皐月「まぁ、忘れられてたのはショックだけどね~」
山風「わ、私もやる!」
電「じゃあ電は頭を洗っておくので司令官さんの事は任せたのです」
艦娘達・
山風「提督大丈夫?熱くない?」
山風「良かったぁ…」
文月「私達、まるでお母さんになったみたい」フフッ
皐月「そうなるとお父さんって誰になるの?」
如月「それ以前に私達が結婚できるのかしら?」
如月「ふふっ。司令官が結婚してくれるの?」
如月「あら、違うのね」
皐月「司令官は電の彼氏みたいなものだもんね~」
電 ピクッ
皐月「えっ?違うの?」
如月「娘ねぇ…」
山風「…娘」フフンッ
電 イラッ
山風「じゃあ、電と私ならどっちが好き?」
山風「…そうなんだ」シュン
電「司令官さん、そろそろ出るのですよ」フッ
山風 イラッ
如月「うーん…これに関しては司令官が被害者なのかしらねぇ?」
皐月「あ、僕も出る!」
電「お三方はまだ入ってて大丈夫ですよ。しばらくの間なら電達が面倒見ておくので」
山風「うん。私が見る…!」
如月「…そういうことならお願いしようかしら?」
文月「じゃあ司令官。少しの間良い子にしててね?」
山風「…あ、体拭くのはどうしよう?」
電「え?そりゃあ司令官さんが自分で…」ハッ
電「なんでしょう?」ニコッ
山風「…」ブルッ
まるでやり返す機会を見つけた子供のような笑みを浮かべる電と、それを見て何かを察した山風の顔が少し赤らんでいた。それを見上げる自分の視線からは何とも言えない期待と不安が心に積もるのだった
電「ふふっ。それじゃあ失礼しますね?」
山風「…うわぁ//」チラッ
今日の教訓
羞恥心が限界突破すると恥ずかしさが解放感へと様変わりし、背徳感がまるでスパイスの様に高揚感を刺激していくのだと実感した。それと引き換えに何か大切なものを失ってしまったのは気のせいではないのだろう