この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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ちょっと自分のズレを直すべく、ハーメルンで自分の黒歴史と言える東方の二次創作を作っています。そちらはこちらと違い完全不定期投稿の予定なのですが、自分が一番物語を楽しんで考えていた時代の話です。もしかしたら今の艦これで悩んでいる課題の解決になるかと思い、その練習も兼ねて製作しています

艦これは引き続き最低三週間後に投稿。ハーメルンで製作している東方projectの二次創作は不定期投稿という事で進めていきます。艦これはいつもみたくランダムに早い段階で出すという事は難しいと思いますが、どうか楽しみにしていてください


24/11/26 訂正箇所あり。修正済


演習開始 VS大将

本のページをパラパラとめくり、欲しい情報を求めて流し読みのペースで見ていると、大淀が不安そうな顔をしてこちらを見ていた

 

 

「どうした?」

 

大淀「いえ、その…本当に大丈夫なんですか?」

 

「安心しろ。土台は既に組んでやったんだ。ならばそれがどこまで通用するかを見る必要があるだろ?」

 

大淀「おっしゃっている意味は分かるのですが…それでも向こうは大将ですよ?流石に私達と比べてあちらの艦娘は練度が高いでしょうし、提督としての経験も桁違いだと思います」

 

 

まさにその通りだ。艦娘同士の練度も20以上違うし、向こうは根っからの軍人で、こっちはただの元一般人。しかもちょいちょいとしかしてこなかった提督でしかない

 

だからこそ面白い。完膚なきまでに叩きのめされるのならそれはそれで良い。実際にそれが現実のものとなるのは確実と言って良い程の力の差がそこにある

 

だけどもし、万が一にでもコイツに勝つことが出来るなら?その時にどれ程の快感が得られるのだろうか?どれ程相手を見下してざまぁと煽ることが出来るのだろうか?

 

そう考えたらもう止まらなかった。どれ程相手の尊厳を無茶苦茶に出来るのかと考えただけで、ワクワクや高揚感がとめどなく溢れだしていった

 

 

「不安は分かるけどさ、大淀はワクワクしないのか?」

 

大淀「わ、ワクワク?」

 

「さっきまで俺が教えた事全部。今回の演習で試すことが出来るんだぞ?学んだことが早速出来る瞬間程楽しいものはないだろ?」

 

大淀「…黙秘します」

 

「ひひっ。ま、楽しみにしとけ。絶対にお前等のやる事は無駄にならないし、そうさせないつもりだ」

 

電「それで、どのような編成で行くのですか?」

 

 

少し不満げな表情をしながら先程のやり取りを眺めていた電が近づいて来た。どうにも構ってほしそうだったので手を握りながら他にもいる皆に向けて発表する

 

 

「ん。それに関してなんだが、天龍、時雨、島風、愛宕、曙、山風とする。旗艦は天龍とした」

 

天龍「お、俺か!?」

 

「お前は視野が広いからな。眼帯をしてるとは思えん程に出来てるからそれを考慮しての事だ」

 

島風「質問!なんで電ちゃんがいないの?」

 

 

手をバッと上げて質問を投げかけてくる島風。だが悲しきかな。それに対する返答は決まっている

 

 

「電が入ったら余裕で勝てるからな。理由としてはそれがある」

 

島風「…勝てるのなら良いんじゃないの?」

 

「電は一人しかいないんだぞ?いざという時にお前等は電頼りで戦闘をするのか?」

 

島風「う…」

 

「他に質問は?」

 

龍田「私が入っていないのはどうして?」

 

「だって…お前一番下手だったじゃん」

 

龍田「うっ…」

 

 

あの時の運動で以外にも龍田は体の動かし方が下手だった事が発覚した。持ち前の運動神経は良かったものの、昔いた少し上手だった奴レベルだった

 

龍田には今後の課題として器械運動全般のトレーニングを課してみるか。もう少し体の扱いを上手くならないと今後の活躍は厳しいだろう

 

 

「他は?」

 

時雨「あ、じゃあ最後に僕から質問良いかな?」

 

「おっ、なんだ?」

 

時雨「提督は勝てると思ってるの?」

 

「当然」

 

 

至極当たり前の事を言うかのトーンで話す。その声に皆半信半疑といった様子だった

 

 

「あ、せっかくだし課題も一つ付けよう。これをクリアした奴にはご褒美として何か要望を聞いてやるよ」

 

艦娘達「ご褒美!?」

 

「ちょちょちょ、まだ課題の内容も聞いて無いのにそこまで盛り上がるな」

 

 

ざわめく艦娘達を収めつつ、軽く咳ばらいをして発表する

 

 

「課題の内容は”MVPを取り、且つ被害無し”だ」

 

 

その言葉に驚きが伝播し、少しのざわめきが起こる

 

 

「これのミソはMVP…つまりは誰か一人しか不可能だという事。更に被害なしを視野にも入れなければならないから、重巡である愛宕が単身で突っ込んでいってもダメージを受けた時点で無しという事になる」

 

龍田「参加しない人達は?」

 

「そうだな…お前等には演習結果の予測を作ってもらう。その内容が3ミス以内に収めた奴を同様に願いを聞いてやろう」

 

龍田「…難しすぎない?」

 

「えー…我儘だなぁ…」

 

 

そう不貞腐れたかのように言うと周りの視線が理不尽な事を言うなという目になったのでそっと口を閉じることにした

 

 

「分かったよ。もし演習に参加した奴全員が被害無しだったら、全員の言う事を聞いてやる」

 

「ただし完全勝利以外は認めないぞ。相手を全員轟沈判定にまで追い込んでの勝利だ」

 

 

その言葉を聞いてそれなら…という雰囲気になった。どうやらやる気の様で安心したが、変なお願いが来ないように祈るばかりだ

 

 

電「…初めからこれが狙いですか?」ボソッ

 

「何の事やら」ケラケラ

 

 

さぁ、これで準備は整った。後はこいつらの働き次第だ

 

 

 

_____________

 

 

 

演習リスト

 

提督         大将

天龍改(33):旗艦   長門改(58):旗艦

時雨改(30)      陸奥改(51)

島風改(23)      扶桑改(48)

愛宕改(37)      山城改(47)

曙改(26)       赤城改(44)

山風改(40)      蒼龍改(51)

 

 

「うーん、これは死んだか?」

 

天龍「いやいやいやいや!あれ死ぬだろ!十中八九死ぬだろあれ!」

 

「あれあれうるさいぞ。ちなみに負けたらお前等は全員向こうに行くんだから、未来の先輩の強さを知れると思ったら良いじゃないか」

 

天龍「お前内心負けるかもとか考えてないだろうな!?若干負ける未来を想像してんじゃねぇか!」

 

「だってぇ~まさかあんなガッチガチに組んでくるとは思わんじゃん?」

 

天龍「責任取れよこのクソ提督!!!」ブンブン

 

 

いやまぁ想定していなかった訳じゃないけど、まさかあそこまで潰しに来るとは思わんじゃん?何処まで本気でぶっ潰したいのか分かりやすいけど、それでもこれは流石に想定外だって

 

 

曙「…勝算はあるの?」

 

「七割位?」

 

曙「…期待し過ぎよ」

 

「お前等だけで考えたらな。だけど今回の演習は作戦がある。それを使えば少しは勝率だって上がるさ」

 

時雨「作戦って?」

 

「名付けて、背水の陣作戦!」

 

島風「背水の陣?」

 

「簡単に言うと防御を捨てて攻勢に出るって作戦だな。ま、お前等なら余裕だろ」

 

天龍「何を根拠に言ってんだよそんな言葉!」

 

「だってお前等は一撃も喰らわん。そうだろ?」

 

天龍「…無茶苦茶を言いやがる」

 

 

流石にこの言葉には全員が同じ気持ちの様で、どうにもいい顔をされていない。まぁ戦場なんて想定外の出来事が起こるのは当然なのだから当たり前と言えば当たり前なのだが、それを良く知っている彼女達は更に憂鬱な気分な様だ

 

 

山風「…怖いよ」

 

「じゃあ諦めて普通にやるか?戦術通りに魚雷や砲撃をして相手を倒す。そうなれば必然的に負けは確実だろうな」

 

愛宕「だからセオリー通りに動くのではなく、相手の予想を裏切る様な事をやれと?」

 

「そういうことだな。ちなみにこれは相手の不意を突くやり方だから二度は通じないと思って挑め」

 

愛宕「…じゃあもう一度聞くけど、私達の調子を顧みた上でのその言葉なのね?」

 

「あぁ」

 

天龍「どっからくんだよそんな自信…」

 

「いやだって…全員キラキラしてるしなぁ」

 

天龍「はぁ?」

 

 

ウィンドウの画面で編成した皆の顔が写っている欄を見ると全員が戦意高揚状態となっており、疲労も怪我も一切なし。補給も万全で、まさに最高のコンディションと言えるだろう

 

 

「ま、とにかく大丈夫だよ。お前等がこれに勝てば何でも言うことを聞いてやるし…」チョイチョイ

 

艦娘達「?」

 

「実際に頑張ったお前等には特別良い事やってやるから」ボソッ

 

艦娘達「!?」ビクッ

 

「そういうことだから頑張ってくれよ?約束はしっかりと守ってやるからさ」

 

 

…戦意高揚状態ってリアルでも見れるのな。まるで後光が差してるみたいにビカーって光ってて目が痛いんだけど

 

 

山風「…頑張る」メラメラ

 

天龍「二言はねぇな?いや、無いと受け取ったぜ?」

 

時雨 ウーン

 

愛宕 ニコニコ

 

島風「私は提督を一日好きにさせてもらうからね!」

 

曙「なっ…!ズルいわよ!」

 

「別にそれでも良いぞ?」

 

島風「やったぁ!」

 

曙「っ~!このクソ提督!」

 

「えぇ…」

 

 

曙から謎の罵倒が飛んできたが、どうやら絶好調みたいで安心した

 

そうこうしていると向こうからニヤケ顔の大将がやってきた

 

 

大将「おいおい。やけに上機嫌だな?」

 

「おっと。演習前にこちらの作戦を盗み聞きとは性格が悪いですね」

 

大将「お前程度の作戦など簡単にへし折ってやる。お前が大層大事に考えていた作戦程度は力で握りつぶせるのだからな」

 

「へぇ~。それは期待してしまいますね。まさか大将が何も考えずにそこまで脳筋な事をベラベラと喋ってくれるおかげでこちらも対策が立てられそうですよ」ニヤニヤ

 

大将「ふんっ。そんな分かりやすい挑発に乗るハズが無いだろう?」

 

 

そういって踵を返していくが、どうにも余裕の様子が見て取れる。以前から思っていただが、どうにもきな臭い笑みだと思う

 

 

曙「…なんか匂うわね」

 

「あぁ。多分アイツの加齢臭だろうな」

 

曙「そういう意味じゃないわよ!」

 

「分かってるよ。まぁ気にすんな」

 

曙「気にすんなって…」

 

「そこらへんは信じてくれたら良いから。さっさと準備してこい」

 

曙「…分かったわよ」

 

 

 

アナウンス『演習開始まで、後60秒』

 

『あー、あー、聞こえてるか?』

 

天龍『聞こえてるぞ』

 

『うし。とりあえずは作戦通りにやってみな。一応実弾を使ってはいるんだから、演習中の事故として沈む事の無いようにな』

 

天龍『了解』

 

アナウンス『演習開始まで、後30秒』

 

時雨『提督、出来たら一言だけ応援してよ』

 

『応援はいつもしてるぞ?』

 

時雨『言葉にして聞きたいんだよ。ダメかな?』

 

『…俺をクソな提督だと思うならそのまま潔く負けても良い。だけど負けが嫌なら死ぬ気で勝て。アイツの部下としていたくないのなら死ぬ気で勝ちを手繰り寄せろ。今のお前等なら大丈夫だ』

 

時雨『…提督らしいや』

 

『島風、お前は基本的に特攻する事が多いと思うが、今回は存分に暴れて来い』

 

島風『了解!』

 

『愛宕と曙は自分が思う動きをしてこい。最適解と思わなくても、これで良いんだと思える動きが出来ればそれが最適解として返ってくる』

 

愛宕・曙『『了解』』

 

『山風、お前は少し焦りがちな所がある。どんな時でも落ち着いて行動するのを意識しながら演習に挑め。いざとなったら逃げて落ち着く時間を作るんだ。分かったな?』

 

山風『わ、分かった』

 

『天龍、今回の演習はお前に全てかかっていると言っても過言じゃない。状況を常に判断しつつ、周りのサポートに回ってくれ。お前が攻勢に出れる瞬間が来たら直感的に分かる筈だから、その時は自分の勘を信じて行動しろ』

 

天龍『…やけに未来を見通したかのようなアドバイスだな?』

 

『そう思い込め。その思い込みが勝ちに近づける』

 

天龍『了解』

 

 

やるからには勝つ。それの強い意志と闘志を皆の声から感じ取る事が出来た

 

精神的なアベレージはおそらくこちらが上だと考えると、この勝負の肝はどこまで力を出せるか。そして如何に相手を搔き乱せるかに掛かっていると思える。上手く流れを掴み取る事さえ出来れば後はそのまま勝利出来るだろう

 

 

アナウンス『演習開始まで、後5秒』

 

『総員、戦闘態勢!』

 

アナウンス『演習開始』

 

 

 

_____________

 

 

 

長門「赤城、蒼龍、頼んだぞ」

 

赤城「はい」パシュン

 

蒼龍「…」パシュン

 

 

負けられない。その気持ちが胸から溢れだし、その想いが更に自分の覚悟を強める事となった

 

 

大将『これに負けることがあれば分かってるな?全員まともに生きられるとは思うなよ』

 

 

まずは脅しだ。これで自分達の未来を簡単に想像させ、決して負けないという気持ちを奮起させる

 

 

大将『徹底的に潰せ。反抗する気も起きなくなる位に心を折れ』

 

 

次にどうするかという目的を語ってくる。これに従わなければアイツは無茶苦茶にしてくる。文字通り、無茶苦茶にだ

 

 

大将『これがアイツ等の作戦だ。こんな大事な物を分かりやすくメモしているのを見ると、やはりアイツはただの一般人と変わらん』

 

 

そして情報戦の報告。この人間(大将)は何処からかは不明だが、こうやって出撃する海域の正確な情報や相手の演習データを事細かに入手してくる。出撃ならまだしも、演習する相手のデータを盗んでくるのはどうかと思う

 

だがそれに助けられていたのも事実だ。もし私達が負けてしまえば皆が危機に陥ってしまう。そう考えたらそれに頼らざるを得なかった

 

中身を見ると艦隊の動きが数パターンで考えられた紙が書かれており、赤い線と文字でこれが本命だと書かれた文章があった

 

内容を見ると一つに固まって敵空母から順に殲滅していくという作戦らしい。戦艦には魚雷を用いて時間を稼ぎつつ、確実に空母を削る手法が取られていた

 

本当にこれで上手くいくと思っているのだろうか?戦艦の砲撃は決して一人だけに被害を与えるわけでは無い。爆風で周りの敵を目隠ししてその隙を付いて強襲したり、自身の耐久力を利用して近接戦闘を行う事も時にはある

 

この提督はまだ戦艦の恐ろしさを知らない。そしてそんな事も知らない提督に彼女(艦娘)達を任せられる訳も無かった。彼には悪いが、現実を見てしっかりと反省してもらおう

 

 

大将『もしお前等がアイツ等を負かすことが出来たら…またチャンスをやろう』

 

 

最後に褒美。もしもこれに勝てば再びチャンスを得られる。私達戦艦や空母にとってこのチャンスは重要だった

 

戦闘に出れば他の艦娘達を庇う事が多い私達は、その度に轟沈し、チャンスによって生かされてきた

 

そうしてチャンスが無くなれば再び今回の様な舞台を用意してもらい、褒美を得てまたチャンスを頂く。これの繰り返しだった

 

だから今回もそのつもりだった。アイツ等には悪いが、今回も勝ってチャンスを頂くつもりだ

 

 

赤城「…敵艦隊発見しました」

 

蒼龍「…こっちも」

 

長門「良し。私達も続くぞ」

 

艦娘達「了解」

 

 

しばらくするとやはりと言うべきか。制空権を確保したとの報告を無線で受けた

 

それをチャンスと思い、赤城と蒼龍による航空戦が見え始める距離まで全速力で移動し、射程内に敵艦隊を捉えた所で速度を落とす

 

…だが、何処か違和感を感じた

 

 

長門「このまま接近する!この長門に続け!」

 

 

しかしそんなことを考える必要も無いと判断した。何故ならば相手は戦艦どころか空母もいない艦隊で、仮に私達が砲撃を受けてもダメージにならないだろうと高を括っていたからだ

 

水上偵察機を飛ばし、自身でも敵が確認出来る所まで偵察機を飛ばした瞬間、偵察機が突如爆発と共に消えた

 

 

長門「なっ、なんだ?」

 

扶桑「これは…」

 

山城「撃墜された…?まだこちらの正確な位置も掴めていない状況でどうやって…」

 

陸奥『赤城、蒼龍、どうなってるの?』

 

赤城『そんな…嘘でしょ?』

 

長門『どうした?何か想定外な事でも『蒼龍大破。轟沈判定』…は?』

 

アナウンス『赤城、中破判定』

 

 

突如流れ出したアナウンスに聞こえたのは空母である蒼龍の轟沈判定という声。そして続けさまに赤城の中破したというアナウンスが流れる

 

 

長門『お、おい!どういう事だ!?』

 

赤城『し、島風ちゃんが魚雷を持って単騎でぶつかってきて…艦載機を全てそっちに飛ばして集中してたから回避も間に合わなかった…』

 

 

…はめられた。しかし何時から?一体どのタイミングでこちらの動きが読まれたというんだ?

 

先程まで赤城達が攻撃していた方へと振り向くと、半分程に切られたドラム缶を引っ張る天龍と、島風を除いた全員がそこにいた。天龍が引っ張っているドラム缶には島風と瓜二つの等身大人形が乗っていた

 

そして何より驚いた点としては一切の被害を確認出来なかった。空から襲撃を受けた筈の相手が全員無傷なのだ

 

 

長門「は、はぁぁぁ!?人形!?」

 

赤城『敵の島風ちゃんは魚雷しか装備していません!今そちらに向かって走り出しました!』

 

陸奥「そんな…こんな演習ってアリなの!?」

 

山城「二人共!狼狽えないで!」

 

扶桑『赤城さん!今飛んでいる艦載機からは誰が見えたの!?』

 

赤城『島風ちゃんを除く全員がいました!蒼龍も見てるので同じな筈です!』

 

長門『赤城は艦載機から島風と私達の視界に映っている艦隊の正確な座標を割り出してくれ!山城と扶桑は偵察機を飛ばして敵に攻撃!私と陸奥で向こうの敵を警戒しておく!』

 

艦娘達「了解!」

 

 

すぐさま偵察機を飛ばして敵艦隊の方向へ飛ばし、先程報告にあった島風の強襲に警戒をする

 

しかしどうにも嫌な予感が頭の中から離れない。完全に後手に回ってしまっている今の状況で、本当にこれが最善の策なのか?

 

思えばあの提督が渡してきたあの作戦資料は本当に使うつもりだったのか?もしかしたら情報戦という点で既に負けていたのでは無いのか?

 

 

陸奥「時雨が陣形から離れてこちらに向かってきた!距離は長距離よ!」

 

長門「…っ!陸奥は時雨への対処を頼む!扶桑と山城は引き続き偵察機を使って弾着観測射撃を!」

 

山城「本気なの!?」

 

長門「時雨が陣形を離れたのはおかしい!相手は確実に何かを狙っている!」

 

扶桑「待って!天龍達が速度を上げてこちらに向かってくる!時雨と天龍達の間を挟む様に島風も接近中!」

 

長門「三方向からだと!?」

 

陸奥「長門!どうするの!?」

 

長門「くっ…!時雨から撃退するぞ!扶桑と山城は時雨以外の者達が長距離射程に入ってくるまで待機!私と陸奥で時雨の相手をする!」

 

艦娘達「了解!」

 

 

大丈夫だ。まだ慌てる時間じゃない。時雨が長距離まで接近しているのならばこちらの攻撃は届く。逆に時雨は中距離まで近づかなければ魚雷だって発射しても当たらない。砲撃に関しては更に近づかなければ不可能なんだ。だからまだ大丈夫なはずなんだ…!

 

 

長門「陸奥よ、この長門に続け!てーーっ!」

 

 

陸奥と同時に時雨に向けて砲撃し、弧を描いて飛んでいく二つの砲撃はあと少しで時雨の座標に着弾する筈だった

 

しかしそこで目に映った光景は、時雨が主砲で砲撃して当たるであろう砲弾にヒットさせて弾を誘爆させ、もう片方の砲撃は瞬間的に速度を上げる事で回避されてしまった

 

 

陸奥「…長門、何かの冗談よね?」

 

長門「冗談だったらどこまで救われたか…!」

 

 

あまりに現実離れした技術で砲撃を回避し、あまつさえ一撃さえ喰らわすことが出来ないとは誰が想像しただろうか?

 

被害としてはこちらが酷い。まだ赤城の偵察が続いている筈だが、そういえば先程から無線を開いていない。そこまで考えられていない時点で大分追い詰められているというのが分かる

 

 

長門『赤城!空から見た様子はどうなってる!?』

 

赤城『それが…三方向から相手がやって来たのを見た瞬間に撃墜されてしまいました…』

 

長門『なんてことだ…』

 

扶桑「長門!天龍達が長距離に入って来たわ!島風もあと数秒で長距離に入るわよ!」

 

長門「く、クソッ!ここからどうすれば…!」

 

陸奥「長門!四人で背を向けあうように陣形を組みましょう!そうすれば互いが壁となって一つに集中出来るわ!」

 

長門「よ、良し!それで行こう!」

 

山城「正気!?相手は魚雷を持ってるのよ!?」

 

長門「ならばどうすれば良いんだ!完全に囲まれているこの状況でどうやって動けというのだ!」

 

扶桑「二人共!喧嘩している場合じゃ…!」

 

 

そういって互いに言い合っていると、視界の端に映っていた時雨がこちらに向かって前進してきた。その手には主砲の装填が完了したのか、腕を構えながら近づいてきた

 

 

陸奥「長門!時雨が接近して来たわよ!」

 

長門「っ…!私が一人で時雨の相手をする!その間天龍達の相手を頼んだ!」

 

陸奥「勝てるの!?」

 

長門「駆逐艦に負けてはビックセブンの名折れだ!ここは道連れにしてでも時雨を…!」

 

陸奥「貴方は旗艦なのよ!もし貴方が大破したら私達の負けは確定する!それなら私が行くわ!」

 

 

陸奥の言葉にハッとし、あまりに焦り過ぎていた頭の中を頬を叩いてスッキリさせ、すぐさま次の最適解を考える

 

 

長門「分かった!陸奥頼んだぞ!」

 

陸奥「任せて♪」

 

 

そういって自信満々に向かって行くが、その背中にはどうにも勝つという迫力を感じられなかった

 

しかしその不安を押し隠そうと陸奥は時雨に向かって行ったのだ。ならばそれを理解して時雨に向かわせた方がまだ良い結果を残せる筈だ

 

 

赤城『こちら赤城!今相手の背中が見えたけど、おそらく魚雷を撃ってくる!』

 

長門「不味い!散開しろ!」

 

 

その言葉と共に一斉に散開することによって飛んでくるであろう魚雷を回避しようとする。しかしその瞬間を狙ってか、砲撃音が鳴り響き、そちらへ目をやると天龍達が砲撃してきたが、まだ距離的に着弾するはずがない

 

しかし焦りが判断を誤らせたのか、山城が背後でかなり焦っている様子を感じ取り、それと連動する様に嫌な予感がした

 

 

山城「くっ…!このぉ!」ドォン!

 

扶桑「山城!アレはただの牽制よ!」

 

 

山城の放った砲撃は弧を描いて天龍達に飛んでいき、見事にヒットしたのか爆発音が鳴り響いた

 

 

山城「や、やった!」

 

赤城『違います!当たったのは天龍さんが持ってたドラム缶です!』

 

扶桑「山城っ!」

 

山城「えっ?」ボォン

 

アナウンス『山城、中破判定』

 

 

次の瞬間、山城の足元が爆発してアナウンスが流れた。山城の状況を伝えるアナウンスが流れると同時に、自分達の中で何かが崩れ去るような音が聞こえてきた様な気がした

 

 

扶桑「山城!大丈夫!?」

 

山城「ね、姉様…」ゴホッ

 

長門「二人共!島風が更に接近してきているぞ!」

 

扶桑「山城は早く逃げて!少しでも生き延びて勝ち筋を探すの!」

 

山城「だ、駄目です…今別れたら扶桑姉様が狙われて…」

 

 

マズイ。完全にパニックに陥っている

 

一体何故こうなった?何故ここまで私達が追い込まれているんだ?始まる前から完全に優勢だったのにも関わらず、何故ここまで追い込まれているんだ?

 

 

長門「天龍達が中距離まで来たぞ!早く砲撃を…!」

 

扶桑「もうウンザリです!これ以上指示しないでください!」

 

長門「な、何!?」

 

扶桑「貴方の作戦のせいで山城が中破までしたんですよ!?どうしてもっと早く攻勢に出なかったんですか!?相手は私達より火力も装甲も段違いに低い軽巡達なのに!」

 

長門「今言っている場合か!?早く回避しないと攻撃が『ドォン!』ぐぁっ!」ボンッ

 

アナウンス『長門、小破判定』

 

 

砲撃音が鳴り響いたと思えば次の瞬間には攻撃を喰らっていた。砲撃が飛んできた場所を見ると愛宕のしたり顔が見える程に接近しており、あと少しで近距離戦となってしまうところだ

 

 

長門「マズい!扶桑!早く砲撃を開始「命令しないでっ!」」

 

山城「くっ…!姉様!」

 

扶桑「ど、どうしたの山『パンッ』…え?」

 

 

震える手で山城が扶桑の裾を握り、そのままビンタを扶桑の頬へと向けて叩く。その光景に呆然とする扶桑と、頭から血を流しながらキッとした目で扶桑を見つめる山城がいた

 

 

山城「しっかりしてください!ここで逃げようとしてもどうにもなりません!少しでも攻勢に出て僅かな勝ちを狙いに行く方が良いはずです!」

 

扶桑「で、でも…!」

 

山城「相手は駆逐艦がほとんどの艦隊です!軽巡と重巡が一隻ずつしかいないのに、私達が恐れる理由が何処にあるんですか!?」

 

山城「しっかりしてください!姉様ならあんな敵はどうって事ないです!だから早くしっかりと前を向いてやるべきことをやってください!」

 

赤城『皆さん!島風ちゃんがもう近距離まで!』

 

長門「しまっ…!」

 

 

次の瞬間、海を黒く染めたかの様に走ってくる魚雷がクロスを組んでこちらに飛ぶのが視界に映り、目の前が真っ赤な赤色に包まれた

 

 

アナウンス『長門、山城、扶桑、計三名大破。轟沈判定』

 

アナウンス『昼戦が終了しました。夜戦は双方の合意が確認されませんでしたので、これにて演習を終了とします』

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