この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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地震が死ぬほど怖くて死ぬ気がしてならないので一つあげます。残りも製作中ですが、今後投稿が起こらなかったらそういう事だと思ってください
正直次の投稿は遅れると思います。というのも色々ありすぎて不安定でして。ちょっと自分でも自覚出来る位に小説がおかしくなってしまっているので、しばらくはハーメルンで掲載している東方で調整を行います。艦これを楽しみにしている方は申し訳ございませんが、もうしばらくお待ちください


報酬の使い方

大将「貴様!一体何をしたか分かっているのか!?」

 

「何って、演習に勝っただけじゃないですか。何かご不満な点でも?」

 

大将「当たり前だ!」

 

 

まぁ当然だ。今回の演習はただ勝つ事だけに力を入れた戦闘だった。相手もその気だったのかも知れないが、もしこれを出撃で行えば確実に被害は酷くなるだろう。そういう意味では今回の演習は失敗と言っていい

 

しかしそれは彼方も同じ事だった。完全に脳筋な発想で艦隊を組み、更にはこちらを見下してとんでもないミスをした慢心提督だと言う事が今回の演習で発覚してしまったのだから

 

 

大将「あの天龍のふざけた装備は何だ!?ドラム缶と魚雷のみの装備だと!?時雨と愛宕以外の全員が魚雷を全て積み、島風には特攻させるだと!?馬鹿じゃないのか!?」

 

「でもそんな奇策に負けたのが貴方ですよね?」

 

大将「っ~!貴様…!いい気になるなよ!」

 

「すみませんが今だけは調子こかせてもらいますよ。貴方との約束もありますからね?」ニヤッ

 

 

どうにも納得がいかない顔をしている大将と、それを見てニヤニヤするのは最高に心がスッとしていた

 

ドアがノックされ、中に入る様に声をかけるとボロボロになった戦艦と、傷の一つさえ見えないのに何処かがっかりした様子の軽巡が入ってきた

 

 

天龍「旗艦天龍。ただいま旗艦しました」

 

長門「…旗艦長門、ただいま旗艦しました」

 

 

その姿を見るや否や、大将が長門に向かって掴みかかり、その目には怒りに満ちた様子で鼻息荒く突っかかっていた

 

 

大将「貴様!よくも俺の前に顔を出せたな!?」

 

長門「も、申し訳ございません!」

 

大将「このクズが!俺の顔に泥を塗りやがって!」

 

 

そういって長門に殴りかかろうとする大将を天龍が腕を掴んで阻止し、そちらを大将が見ると途端に怯えだした

 

自分の居場所からは天龍の正確な顔が見えないが、大将の背中越しに天龍の怒りが伝わった。恐らくだが、怒りとよりかは激昂に近い感情なのだと感じ取れる

 

 

「天龍、殴るなよ」

 

天龍「…分かってるよ」

 

「さて、一応分かってはいるが演習の結果を報告してくれ」

 

天龍「俺達の被害は0。強いて言うならドラム缶が一つぶっ壊れたのと島風が少し涙目になってたくらいだ」

 

「あ、うん。後で謝っとくわ」

 

長門「…こちらは陸奥と赤城を除いた全員が轟沈判定。赤城は中破。陸奥は小破未満となっている」

 

天龍「判定はこちらが勝利。MVPは島風だ」

 

 

蒼龍を轟沈判定にまで追い込み、赤城でさえも中破にまで持って行ったんだ。これでMVPじゃないならどういうことかと問い詰める所だった

 

 

「…で?約束は守ってくれるんだろうな?」

 

大将「ふざけるな!あんな結果を認められる訳が無いだろう!」

 

大将「大体何故作戦通りに動かないんだ!?あれはお前が考えた作戦じゃなかったのか!?」

 

「作戦…あぁ。確かに作りはしましたけど、流石にこんな分かりやすく破滅しそうな作戦を立てる程私は愚かではありませんよ」

 

 

今回の勝因は大将の慢心が理由で勝った部分が大きい。艦娘達のコンディション、相手を見下していた事、そして何よりは大将の確固たる自信が今回の敗因だろう

 

全てが自分の想定通りだったと思っていたのだろう。それがこちらも考慮していないと考えずに

 

相手は一般人上がりだからまともな指揮は作れない。作戦もまともに考えた事も無いから恐らく何かにメモ等をした程度の内容のハズだ。そしてそういった人間が大切に物を保管する場所はたかが知れている…

 

そして実際に行動へと起こし、それが現実となって確認出来た。この時に大将はやはりこの程度の提督だと思った筈だ

 

そうして付いた自信のせいで、こちら側がいかなる事をしていても対策は立てる必要が無いと思ったのだろう。何故ならば既に作戦は全て入手したのだと思っていたのだから。それが今回の負けを引くことになるトリガーとなった

 

 

「わっかりやすく引っかかってくれてほんっとうに良かった!こちら側に花を持たせて頂いてありがとうございます!」

 

大将「チッ…!」

 

 

歯ぎしりしながら今にも破裂するのではないかという血管をピクピクと浮きださせながら、爆発する感情を必死に抑え込めている様子が見て取れた

 

 

「さて…約束の件なんですが、ここで言っても構いませんね?まさか大将ともあろうお方が口約束だったから無しだと言わないでしょう?」

 

大将「…何が望みだ?」

 

「簡単です。私の部下である艦娘達をそちらのルールに乗っ取って活動させなければ良いんです。それが守られるのなら今回の演習報告書にはそちらの勝利とでも書いて送っておきますよ」

 

大将「ほ、本当か?」

 

 

やはりと言うべきか。周りの声を一番気にしているタイプの人間だったようで、自身がこんなポッとでの提督に負けたという噂だけは立つことなくさせたい様だ

 

心の奥底から安堵した様な顔。しかしすぐさまハッとした顔になり、立ち上がって軽く咳払いをしていると、上機嫌な顔を隠しきらない様子でこちらに振り向いて

 

 

大将「良し分かった。ならば早く艦娘達を補給させて今日と明日は休んでおけ。それと電はそちらに返しておこう」

 

「素早いご理解ありがとうございます」ペコッ

 

 

そういって大将は部屋を退出し、それに続いて長門も部屋から退出する。そしてその様子を見ていた天龍がこちらに近づいて来たが、どうにもその顔は不満だらけといった様子だった

 

 

天龍「なぁ。何でここの艦娘達を解放なりアイツを辞めさせるなりしなかったんだ?」

 

「阿保。それをしたら遺恨が残るだろ。それにそれをするにはアイツの能力は惜しい」

 

天龍「チッ…」

 

 

諦めたかのように舌打ちをする天龍だが、今回の事に関しては理解してほしい。あくまで向こうが油断と慢心をしたばっかりに勝てただけの演習なのだ

 

もし向こうがあの作戦書を全てと思い込まずに更なる粗探しをしたら?もし長門達が今の現状に嫌がってあの作戦書事態を見る事も無かったら?もし大将がこちらを警戒していて作戦をしっかりと組んでいたら?相手がパニックを起こさずに冷静に判断されたら?

 

全ては相手の先入観によって得られた勝利。もしその先入観が彼方に無ければ恐らく結果は惨敗だっただろう

 

 

天龍「にしてもお前無茶さすなぁ…ドラム缶を装備して艦隊として組んでいると錯覚させるとか聞いた事無いぞ」

 

「更に言うならほぼ全員魚雷積んでたからな。砲撃戦になってたら多分終わってた」

 

天龍「一応聞いとくけどよ、完全勝利を目指しての事だったんだよな?」

 

「勿論だ。最後に夜戦の有無があったが、あれに俺は賛同してたんだ。だけど大将が退いちまって結局やらずじまいだったけどな」

 

天龍「…あの大将がそんな殊勝な事するか?多分怒りに任せて夜戦で挽回しようとしてくるだろ」

 

「そこまでは知らん。あの時は互いに別々の場所で見ていたからな」

 

天龍「はぁ~。あとちょっとで全員の言う事を聞いてもらえてたんだがなぁ」

 

「悪いがそれは無かったと思うぞ」

 

天龍「え?」

 

「最後に陸奥が飛び出して時雨とタイマンをしにいっただろ?あの時の二人の距離が滅茶苦茶近かったんだ」

 

天龍「近かったならそれは時雨の得意距離だろ?なのになんで…」

 

「言い方が悪かったな。詳しく言うなら超近距離戦闘だったんだよ」

 

天龍「はぁ!?超近距離って互いに殴り合えるレベルじゃねえか!」

 

「そうだ。陸奥は自身の装甲を活かして時雨に突っ込んだ。時雨も主砲を使って陸奥が少しでも怯めばと思って攻撃しながら逃れる様に距離を取ろうとしたけど、逃げた先は演習範囲外だった為に逃げられなかった。だから時雨も前に出るしかなくなって、結果的には互いの拳が届く瞬間に終了したって訳さ」

 

 

その状況を聞きしまったという顔をする天龍。全体のサポートをするべき天龍の立場からすれば、その時に自身が相手の攻撃を引き付けるといった事をしなければならなかったのだが、それに関しては主砲も無かったので仕方が無いと思う。というかそれは自分の判断ミスなので天龍を攻める訳にいかなかった

 

 

「まぁ気にすんな。完全勝利とはいかなかったが、勝利はしたんだ。まずはそれを祝わないとな」

 

天龍「…あぁ。そうだな」

 

 

 

_____________

 

 

 

島風「提督酷いよ!私そっくりなのをあんな風に使うなんてさ!しかもあの中に火薬も詰め込んでたんでしょ!?」

 

「わ、悪かったって…」

 

島風「ダメ!絶対に許さないんだから!」

 

電「まぁ島風ちゃんの怒りももっともなのです。自分そっくりな人形が吹っ飛べばそりゃあ怒ります」

 

愛宕「…でも、完全勝利は出来なかったからあの話は無しよね…?」

 

 

少し残念そうな顔をして愛宕が言うが、それはあくまで”全員だった時”の話だというのを忘れている様だ

 

 

「あぁ。確かに全員は無理だったが、島風がMVPを取ったな」

 

島風「…え?私?」

 

「なんだ。俺が初めに言った言葉忘れたのか?」

 

「MVPを取り、且つ被害無し。それを見事に決めたのは島風、お前だ」

 

雷「えっ!?あれって有効だったの!?」

 

「当たり前だろ。まぁ誰も演習結果の予測を作ってなかったからこれは無しだな」

 

潮「うっ…やっぱりやっておけばよかったなぁ」

 

 

皆が落ち込んでいる様子を見せる中、一人キラキラした様子で輝いている島風がワクワクとした表情を隠し切れない様子で考えていると途端にピタッと止まり、困惑にもにた様子でオロオロとしだした

 

 

島風「え、えっと…それって本当に何でも良いの?」

 

「おう。何でも良いぞ」

 

島風「…じゃあさ、提督の事を教えてほしい」

 

 

その言葉に皆がピクリと反応し、その目が驚愕と焦りにも似た様子で島風を見る

 

その視線を受けた島風も、本当に良かったのかと言う疑問の表情だった

 

 

「なんだ。そんな事で良いのか?てっきり裸になって踊れとか言われるかと思ったぞ」

 

響「えっ?」ピクッ

 

暁「反応しない!」ペチッ

 

「んー、ちなみに聞いときたいんだが何でそれをお願いしようと思ったんだ?」

 

島風「…だって私達、提督の事何も知らないんだもん。あんなの(執念)を見せられて提督の事が気にならないだなんて思わない訳ないでしょ?」

 

「あー、まぁそれもそうか。ならそれがお願いは正直勿体ないから…また別で願いを聞いてやるよ」

 

島風「えっ!良いの!?」

 

「勿論だ。その時のお願いも何でも聞いてやるから、今のうちに考えとけ」

 

島風「う、うん!」

 

「さて、俺の話だったな」

 

 

その言葉に皆がビクリとし、これから聞くことを一言一句聞き逃さないという迫力だった

 

 

「…どの辺りから聞きたい?」

 

夕立「提督さんの子供時代から!」

 

「オッケー。とすると大体…五歳くらいからでいいか」

 

「といっても小学校入る前までは頭のネジが外れた子供だったな。いや、正確に言うなら頭が足りないぶっとんだ子供だったというべきか」

 

「やりたいと思えば危険、危険じゃないに関わらず何でもやろうとした。高い所から飛び降りようとする。急斜面の地面を思いっきり走る。それが危険と分かっていてもやらずにはいられなかった」

 

「こんなんだったから大人の言うことをイマイチ理解しない出来損ないみたいな子供だったと思うぞ。変に頑固で大人の言うことを素直に理解できないガキだった」

 

「小学校に入ってからはそれをはっきりと自覚してな~。周りとの反りが合わなくてどうにも馴染めずにいたよ。おかげで小一からボッチだったし、それは今もそうだと思ってる」

 

 

それを聞いた瞬間から皆の顔に曇りが見えた。やはり自虐ネタというのは仲の良い友人同士でないと受けないらしい

 

 

夕立「で、でも!提督さんは私達と普通に接してくれたよね!?」

 

「あのな…ボッチだったからと言って人と接せないって訳じゃないんだぞ?俺も人と話そうと思えば話せる。ただ初対面や人の多い所だと極度に緊張して頭の中が真っ白になるだけだ」

 

 

ホッとしたような物憂げの様な複雑な顔をした夕立の顔がどうにも可哀想に思えたのでそっと頭を撫でると、少し機嫌が良くなったのか頬が緩んだ

 

 

「俺が執念を覚えたのは大体その頃位だったか。一回父親の祖父母の家に行ったことがあるんだが、その時に俺を気に入らなかった祖父に腹を蹴られてな。多分滅茶苦茶手加減してたのかズンズンとした響くような痛みじゃなくて軽く吐くくらいだった。死ぬ程屈辱だったが、それ以上に俺が臆病で結局何もしなかった」

 

「それ以降数回程行く機会があったんだがどうにも勇気が無くてな…腹を蹴り返してやろうと何度も思ったんだが結局やらずじまいで終わったよ」

 

「それが酷く悔しくてなぁ…おかげで俺は何でも後悔しないように行動し始めたな」

 

川内「ふーん…結構苦労してるんだね」

 

「そうでもない。生まれた瞬間から戦場に立ってるお前等と比べたらな」

 

「ま、少し話がそれたが、それと同時に何でも自分一人で出来る様になろうって思った時でもあった」

 

川内「それはどうして?」

 

 

当然の疑問と言わんばかりの表情で質問してくる川内。彼女達からすればそれは当然の反応なのだろうが、一般人として19年生きてきたこちらからしたら多分五人に一人くらいは起こるであろう中二病みたいなものだ

 

問題はそれを今も抱えてると言うことだが…全く変化も変わり映えもしない自分を誇らしく思うと同時に少し悲しくなってしまう

 

 

「子供ってのは敏感でな。幼い時の境遇によってはトラウマが出来てそれによって性格が変化したり、自覚がないまま無意識に自身の嫌な思い出から逃げようとしたりする奴がいるんだよ」

 

「子供は馬鹿だって大人は言うが、ソイツに子供の頃のお前は馬鹿だったのかと聞いてみたい。子供はただ無知なだけで、その頃にあった思い出なんかはハッキリと覚えてる奴だっているんだ」

 

「俺がさっき言った子供の頃にボッチだったって話の続きだがな。まぁ色々あって同じ学年のほぼ全員には嫌われ、習い事で行ってた運動教室でも自分より年下の奴にでさえひたすら馬鹿にされてた。ネチネチネチネチと…今思い出しただけでも腹立たしいが、全部は俺が弱かったってのも理由だった」

 

「遊び一つとっても俺だけ狙われるのは当たり前。外で出会うと遊びに誘われはするが、基本的には俺を集団リンチと言っても良い事をされたと思ってる」

 

「そういう経緯があって自分一人で何でもやろうって頑張ってた。実際自分もそれだけ力も何も無かった人間だったからあらゆる事を経験として学んでいこうと考えてた。そうして今の今まで生きてきたってのが俺だ」

 

雷「…司令官も色々あったのね」

 

「俺から言わせてもらえれば臆病者だ。全部に怯えて何もしなかった。遊びだって、人と関わる事だって、嫌だったから逃げた。逃げる為に一人でいようとした。そのせいで何も出来ない俺が出来たんだからな」

 

 

その言葉に皆が一斉に下を向く。話した内容に何を感じたのかは分からなかったが、少なくとも話を受け入れてはくれているようだった

 

 

曙「…そうなるとアンタが不能なのも何か関係あるわけ?」

 

「多分そうかも知れん。その頃から他人にほとんど興味を持たなくなってきたから、生物としての子孫を残すって気持ちがほぼ無いのかもな」

 

曙「その割には愛宕とスキンシップはあまりしないわよね?」他の皆とはしてるのに

 

「興味が無いだけで反応するもんはある。流石にお前等みたいな美人共と近くにいるだけでドキドキしてんのに愛宕レベルに抱き着かれてみろ。俺は多分その瞬間に舌を噛みきって色々なもんを吐き出して気絶する自信がある」

 

曙「それはもう恐怖とかそういうレベルじゃない?」

 

「まぁ女関係も色々酷かったからなぁ。多少はあるかも知れん」

 

愛宕「…提督がお望みなら」

 

「ドロッドロの昼ドラみたいになるイメージしか湧かんからお前等とそういうことをする気はないぞ」

 

愛宕「…そう」

 

 

愛宕。何故そこまで露骨にガッカリする。そして愛宕以外の奴等もどうしてそこまで落ち込んでいるんだ

 

 

「…あ、そうか。お前等も性欲位は何処かで発散させたいもんな」

 

響「もしかして司令官が「響?」ナンデモナイデス」

 

「いや、お前等がそれで良いなら相手するぞ?」

 

艦娘達「えっ」

 

「ん?何か変だったか?」

 

響「いやだって…司令官はそういうの嫌いかと思ってたから…」

 

「お前なぁ…だったら俺のパソコンのファイルにR系(ピンク)があるわけないだろ?」

 

暁「そ、それはそうかも知れないけど…」

 

「食うもん食ってしっかり休み、出すものは出す。俺の人生で得た教訓の一個だ」

 

 

その言葉を聞いた瞬間に皆の目がギラリと光った気がした。大分溜め込んでいたのだろうと直感するのには時間が掛からなかったと同時に酷く自分の発言を後悔した

 

 

「それに相手するのも仕事みたいなもんだ。本気になるわけ無いだろ?」

 

艦娘達 ギラッ

 

「…言うんじゃなかったかもなぁ」タラッ

 

 

 

_____________

 

 

 

「んで、まだ聞く気か?正直これ以降はあまり面白い所は無いと思うぞ?」

 

潮「あ、でしたら提督が一番記憶に残っている子供時代の話を聞きたいです」

 

「なるほど。とすると何があったかな…」

 

 

顎に手をやり昔の記憶をいくつか辿る。その中で取り分けインパクトが強かった内容って言うと…やっぱりアレだよな

 

 

「やっぱり俺の親が離婚した時かなぁ~」

 

潮「離婚?」

 

暁「ちょっ、司令官!?それがホントに記憶に残ってるの!?」

 

「え、うん。時が経つに連れて段々と家庭内が静かになって親同士の喧嘩を同じリビングで聞くのを慣れてくる位にはインパクトあったからな」

 

 

その言葉にゾッとした様子を見せる僅か数名の艦娘と、離婚という言葉を知らないであろう殆どの艦娘がキョトンとした顔で互いを見あい始めた

 

 

「えっと、簡単に言うと結婚した人同士が別れるのを離婚って言うんだ。結ぶと書いて結婚。離れると書いて離婚だ」

 

島風「はいはい!結婚って何?」

 

「好きな人同士が結ばれるって意味さ。ちなみに離婚は結婚した人達が別れる事を言うな」

 

島風「…どうして提督の親は別れちゃったの?」

 

 

少し悲しそうな顔をして問いかける島風と他数名の艦娘達。そして何かを察した様子の艦娘達と、今にも泣きだしそうな顔をする電の顔が見えた

 

 

「さぁな。詳しい事は俺も知らないよ」

 

「でも多分…俺の予想が正しければ、俺が理由で喧嘩したのが5割。その他諸々5割って所か」

 

島風「……」グジュッ

 

「おいおい。そんな泣きそうな顔するなよ」

 

島風「だって…」

 

「別に気にしてないさ。例え別れようとも俺の父親と母親はあの二人だけだ。尊敬出来る所もあれば出来ない所だってあったが、俺はあの人達の事を今でも親だと思ってる」

 

「ま、早い親離れだと思えば良い。もう会うことは無いと思うが…あ、いや。この場合だともう会えないって方が正しいのか」

 

電「そんな…」

 

「言っとくが戦争で死んだわけじゃないぞ?それだけは誤解しないでくれな」

 

 

先程からあまりにも皆の顔色が良くないのでもしかしたらと思い付け足したが、それでも皆の悲しげな顔は変わらない。それどころかほぼ皆が一斉に泣き出してしまい、それをなだめるのに大分時間を使い果たした頃…

 

 

「あのー…そろそろ放してくれませんかねぇ」

 

龍田「駄目♪」ナデナデ

 

「はぁ…」フニィ

 

龍田「あら、もしかして寂しくなっちゃった?」

 

「いや、全く」

 

 

龍田の膝の上に座らせられている自分が座り直そうとすると龍田の胸に頭が当たるも、まるで恥じらいなぞ無いように龍田が振舞うが、耳がかなり赤くなっているのでやはり龍田は可愛いというのが発覚した

 

 

「にしてもお前等涙もろいな。映画館で映画見るときは黙って泣くんだぞ?」

 

電「電としては良くそんなに平気そうな顔をしていると思うのですが…」

 

 

平気か…そうなっていたらどれ程楽だっただろうな

 

これはただ諦めただけだ。見切りをつけて今後に期待を一切しない。そうやって心の平穏を保っているだけにすぎないのに

 

 

「一応言っておくが全員が全員離婚する訳じゃない。ちゃんと生涯を一緒に終える人達だってちゃんといるんだからな?」

 

山風「…提督はそうしたいの?」

 

「…どうだろうなぁ。今んとこは結婚する気も無ければ誰かと付き合うって事さえ考えた事無いし…」

 

島風「付き合う?」

 

「あー…強いて言うなら結婚の前段階みたいなもんだ。互いに好きあっている人と色んな所に出掛けて過ごしたり、互いの好きな物を共有したりして仲を深めたりするのがそうだな」

 

 

それを聞いてパッと明るくなる島風だが、途端に暗い顔をする。そこから先を口にするかに迷いが見え、それの答えに察しがついてしまった顔だった。

 

 

島風「…提督は私が付き合ってって言ったら付き合ってくれる?」

 

「それはない」

 

島風「……」

 

「例えそれをお願いされてもお互いの為にはならん。それだけはハッキリと言っておく。更に言うなら俺と付き合うのだけは絶対にやめとけ」

 

 

明確な拒否。それに対してやはり皆が一様に暗い顔をしているが、一人電だけがキッとした目でこちらを見ている

 

 

電「…司令官さんのそういう所、本当に嫌いです」

 

「奇遇だな。俺も大嫌いだけど、これが無かったら俺じゃない」

 

 

他者に対して心を許さない。それが例え家族であろうと許すことは無かったし、心を許せる程の仲であると他者から評価される相手がいた時も決して開く事を無かった自身の心

 

あの幼き時に決めた決意。例え何年経とうと変わる事は決してなかったが、今後も変わる事はないだろう。それが今の自分を作り上げてくれたのだから

 

…だが、この考えが自分の成長を止めている原因の一つでもある。いい加減に次に進む良い努力をしなきゃいけないという事なのだろうか

 

 

電「私…いえ。私達じゃ力になれないと?」

 

「…そうだなぁ」

 

「もしお前等の事を考えるだけで胸が苦しくなって、常に頭の中からお前等の事を忘れない時が来たら考えてみるよ」

 

 

その言葉を聞いて電の顔がパッと明るくなり、心躍らせる様な少女の笑みをこちらに向けた

 

 

電「…言いましたね?」ニコッ

 

「あぁ。言ったな」ニヤッ

 

電「その言葉、絶対に忘れませんからね?」

 

「撤回する気も無い」

 

 

互いに顔を見合わせて笑い合い、少しだけだが互いの距離が縮まる感覚。それはきっと今まで生きてきた以上の年月を生きられたら少しは変わるかも知れない。また一つ生きる楽しみが出来た瞬間でもあった




pixivの最新話と同じになったので、今後はpixivで小説を投稿するのと同時にこちらでも投稿することになります

今後は最低三週間毎に投稿。気分次第と忙しさで短縮したりします。ご了承ください
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