この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
「んー、いや。アレを準備したからと言って使うとは思わないけど?」
「いやいや。だからこそ準備する必要があるのであって…」
「でも何の用途に使うかすら考えてないよね?」
「そうだよなぁ。何も考えずに作った物ほど役に立たんものないよな」
「だーかーらー、言ってるだろ?もっと技術を伸ばす方が良いって」
電「…司令官さんはお風呂で何してるのです?」耳ピトッ
川内「独り言じゃない?」耳ピトッ
島風「提督疲れてるのかな…」耳ピトッ
響「私としては妹と軽巡と駆逐艦が三人揃って男性が入ってるお風呂に耳を当ててる場面を見た心境をどう表現したら伝わるか悩んでるよ」カチャカチャ
大淀「まぁ提督もここ数日は殆ど寝ていないそうですから島風ちゃんの心配も分かります。それはそうと皆さん何でドア前に集まってるんですか?まぁ事情は大方察しますが」響ちゃんはピッキングをやめてください
響「司令官がここ数日長門さんと一夜を共にしていると聞いて」
大淀「ホント何で営倉で寝てるんでしょうね?まぁそれは置いておいて次。電ちゃん」
電「司令官さんが普段以上におかしくなっていたので」
大淀「なるほど。ならば今お風呂場に耳をピッタリと当てているのは?」
電「司令官さんが錯乱してお風呂の中で溺れない様に聞き耳を立てているだけです」
大淀「…電ちゃんも休んだ方が良いですね。じゃあ川内さんと島風ちゃん。バラバラに聞くのは面倒なので同時にどうぞ」
川内「提督がどれくらい鍛えているのか音で判断しようと思って」
島風「電ちゃんがやってたから」
大淀「川内さんはいよいよ異世界に住んでる人みたいな能力身に着けてますね。将来的には川内さんが魔法を撃てる様になったと言われても信じた方が良さそうです」
大淀「島風ちゃんは誰かがやってるからと言って真似はしちゃ駄目ですよ。それが悪い事なのかも知れないんですからね」
電「電は何も悪い事はしていないのです!」赤疲労
響「後で暁を呼んでおこう。とりあえず電はゆっくり休んでほしい」
川内「まぁ鎮守府復興に伴って誰かしらはいなくちゃならないからね~。バイト募集の条件、募集人数、採用した人の性格診断、住み込みバイトに関しての利用契約書の作成。賃金や就業時間にエトセトラ。ほぼ全部電が作ってたもんね」
大淀「ある程度予測していたとはいえ、肝心の司令官がまさかの企画書を作っていなかったという事態でしたからね。一応全体像は作ってありましたが、中身がスッカラカンという…復興も進み後少しという所だったおかげで超特急での作成。電ちゃんが寝た所を見た記憶がありません」
電「今なら星になれる気がするのです。久々に三徹してドリンクのお世話になったのです」
『マジでごめん!!!』
電「入って良いですか?丁度お風呂に入りたい気分なので」
『風呂で寝そうだから駄目。まぁ沈まない様にはするけども、多分ずっと密着したままだからこっちのメンタルが持たない』
電「司令官さん。電は睡眠という人が生きていくに当たって非常に大切な物を三日間削ってきたのです。本当は司令官さんがしなければならない事を電は肩代わりしたのです。それと比べたら司令官さんのメンタルが削れようが些細な問題なのです」
『…どうぞ、お入りください。最高のもてなしをさせて頂きます』
電「失礼するのです」ガチャッ
響「なら私も」
電(どうやら今日は響ちゃんが原因不明の事故に巻き込まれて大破するらしいのです)
響(大人しくしておきます)
川内「脳内で話したら通じ合えるとか凄いね」
大淀「それをジャックするかの如く察せる川内さんはどうなんですか?」
島風「私も命は大切にしたいけど…良いなぁ」
背中から電が今何を思っているのかが何となく察する事が出来た。顔を見ていない筈なのに、まるで透き通っているかのように今何を考えて居るかが分かる雰囲気を纏いながら、司令官がいる風呂場へと脚を踏み入れていく
後ろ手でドアを閉め、少し間を置いて服を脱ぐ音が聞こえてきた。初めにスカート、その次はリボン、シャツ、そして…「解説しなくて良いですから(大淀)」
天龍「おい、提督いるか?」
島風「天龍?どうしたの?」
天龍「おぉ島風。いやな、龍田が長門と喧嘩して負けそうだったら骨は拾ってやるって伝言を伝えに来たってのと、モン〇ンしたくて3DS借りに来た」
島風「また太刀使うの?」
天龍「おう。ちょっと訓練に行き詰ったから何か掴める物が無いかと思ってよ」
大淀「…質問なんですけど、肝心の龍田さんは何処に?」
天龍「…今槍を研いでるよ。妖精さんと相談して打ち直しとかもしてるらしい」
川内「提督がやるなら先に自分が…って事か」
島風「止めないと駄目じゃん!」
天龍「大丈夫だよ。時雨と愛宕が既に落ち着かせてる。曙と潮も事情を話したら協力してくれたし大丈夫だろ」
島風「…ねぇ、何で提督は長門さんと喧嘩するだなんて発想に行ったんだろう?」
天龍「どうせ
島風「今回のは何時ものと比べて訳が違うんだよ?相手は戦艦だって事分かってるの?」
天龍「それは分かってるけどよ、別にアイツならどうせ前みたいにどうにかしちまうだろ。何時もそうだったじゃねえか」
島風「…天龍さんは駆逐艦のエリートやフラグシップでも苦戦するとは言え倒せるでしょ?でも相手が戦艦なら苦戦で済む話なの?」
天龍「…悪い」
川内「それは私も感じてた。今回のに限っては提督もかなり慎重に動いてるみたいだよ」
響「川内さんは何か知ってるの?」
川内「まぁね。といっても昨日大将に何か教えてもらってた事しか知らないけど」
響「…まさか大将と夜の「やめんか!(天龍)」」
響「まぁそれは冗談だとして、問題は長門さんと提督さんの喧嘩だけじゃないでしょ?」
天龍「まぁな。ウチの提督は自分の影響力ってもんを知らないらしい」
大淀「艦娘の間で大変な噂になってますもんね。知らない人なんていない位ですよ」
島風「肝心の提督はお風呂の中で電ちゃんと仲良く入ってるんだもんね。責任が無いにも程があるよ」
天龍「多分これもいつの間にか広まってるんだろうな…」ポリポリ
???『バレっ…!?』
天龍「ん?」
大淀「どうしました?」
天龍「いや、何か頭の電探に一瞬反応があった気が…」
川内「気のせいじゃない?」ていうか頭のそれ電探なの?
『痒い所はございませんか?』
電『大丈夫なのです』
『…ところで電さん。せめてもうちょっとバスタオルをちゃんと巻いてくれませんかね?』
電『…中、見たいですか?』
艦娘達 !?
その声が扉の向こう側から聞こえた刹那、全員が一斉にドアの方向へと振り向いた
川内は音もなくドアの前に立ってはそっと扉に耳を当て、その背後から響が一切の無駄が削ぎ落とした動きで川内とほぼ同時に扉へと耳を付けた。その様子はまるで音もなく這いよるヘビの様であった
事態を重く見た天龍と大淀が事態の鎮圧を図ろうと身を乗り出す。しかしそこに一人の少女がいたことを忘れてはならない。誰よりも速く、誰よりも提督という存在を好いていたという自信を持つ少女の
鍵は掛かっていた。だがそんな物など少女の嫉妬を止められる程の力がある訳が無かったのである。無残にも二人の世界を壊されたと察知したドアの向こう側にいた少女が咄嗟に風呂場から飛び出ようとした矢先に事は起こった
「総員息を止めろっ!」ガシッ
電「えっ」ザブッ
天井 ガラガラッ
全員「!?」
その音と共に天井から良くあるサッカーボールの柄模様に穴が存在する球体がミラーボールの様に出現した
すぐさまそれはシューッという音と共に何かを吹き出し、やがて開いたドアの勢いから生じた風を使って、部屋全体に舞い散った
島風「えっ、あっ!いっ、いったぁーい!!!」
天龍「なっ、何だこれ!?目、目から涙が…!?」
大淀「まっ、窓!窓を早く開けてください!」
川内「むっ、無理ぃ…なんか、体から急に力が抜けて…」
響「目、目を閉じる事しか出来ない…!」
ドタバタと一瞬の内に騒がしくなる部屋内であったが、時間にして僅か数秒程しか経っていない。すぐさま逃れようと部屋から脱出しようとす少女達だが、その前に換気扇が高速で回転し始め、窓も誰かが触っていないにも関わらず自動で開き始めた
部屋に蔓延したガスはすぐさま散り、噴射されたガスが消えるまで僅か十秒という、とても短い時間で部屋からは跡形も無く消え去った
「フゥッ!あぶねぇ!」ザバッ
電「ゲホッ!ゲホッ!」
「す、すまん。大丈夫か?」
島風「い、痛い痛い痛いぃぃ!目が、目があぁぁ!!!」
天龍「テッ、テメェッ!俺達を殺す気か!?」
大淀「て、天龍さんはどうしてそんなに早く動けるんですかぁ…」ジンジン
「お前等がドアをブチ破ったから緊急警報が発動したんだよ。使い切りなのに…」
天龍「緊急警報だぁ?」
「いつ暴走期に入った艦娘が襲ってくるか分からんだろ?だから仕掛けておいたんだよ」まさかブチ破るのがお前等だとは思いもせんかったが
島風「うえぇぇ~…目があぁ~…」
「ほれ目薬」ポイッ
天龍「俺に渡すのかよ!」
「…君達僕の恰好分かってる?」E.腰巻きのバスタオル
天龍「あっ、おぅ…//」
響「くっ…!何故こんな時に目が開かないんだっ!開けっ!開けえっ!!!」
電「…とりあえず司令官さんは着替えてきてください」
「ん?電はもう良いのか?」
電「それより司令官さんが風邪をひく方が大変なのです。早く着替えてきてください」
「あ、うん。分かった」
天龍「…何かあったのか?」
電「そんな事無いのです」キラキラ
天龍(後光が差してるみたいにキラキラ光ってて何も無いってのはなぁ…飛び込んだ時はここまでキラキラしてなかったし、提督に風呂の中へ引きずり込まれた時になんかあったのか?)
電 ルンルン♪
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「はぁ…さっさとあのスプレー注入し直さないとな…おかげで手札が一つ減ったぞ」
山城「あ、提督さん」
「あぁ。山城か」
山城「これ、頼まれた本です」
「おぉ、ありがとう。助かったよ」
山城「しかし…提督さんもこういった本を読むんですね?正直意外でした」
「いや、個人的には山城がこういう本を持ってる事自体がビックリだよ」
山城の少し荒れた手から渡された本は人体について描かれた教本である
鎮守府の資料室を探しても見つからず、娯楽室にも見つからなかった本であったが、たまたま居合わせた山城に事情を話すと持っているとの事で借りるという事態に至ったのである
山城「私達は良く怪我をしますから。こういった本は本棚に置いてあるんです」
「…不注意なのか不幸なのか。どっちが多いんだろうな?」
山城「考えたくないですね…」
「終わったら返すよ。礼と言っちゃなんだが何か頼みでも聞こうか?」
山城「うーん…あ、でしたら一つお願いがあるんですけど良いですか?」
「何?」
山城「その本の使用用途を教えて頂けませんか?」
「へ?」
山城「時雨に頼まれたんです。提督が何をしてるか聞いて欲しいと。礼には礼を返す人だと聞いているのでまさか断ると言う訳ありませんよね?」ニコニコ
「…まぁ別に良いけど。といっても体の関節を覚えるだけだぞ?」
山城「体の関節を?」
「漫画とかで見た事無いか?体の関節を同時にしめて岩石を破壊する。みたいなさ」
山城「あぁ。つまりはああいう事が出来るかも知れないと思って借りた訳ですね?」
「一で十を聞く人は大好きですよ。そういう事です」
ふふんと鼻をならしてどこか得意げな顔の山城。イメージではもうちょっと大人っぽい雰囲気があった筈なのだが、自分の記憶違いだろうか?
中身をパラパラとめくると何度か使われている様な擦り切れを数ページに渡って続いているのを発見した。どうやら本当に怪我をする事が多いみたいで、特に怪我する回数が多い所は折り目がつけられていた
ページを更にめくっていくと、比較的最近出来たであろう折り目があるのを見つけた。内容は皮膚に関する内容となっており、全体を通して感じられたのは皮膚模様に関しての内容だと思う
「…山城」
山城「はい?」
「脱げ」
山城「…はい!?」
「あ、ごめん。端折りすぎた」
「お前、何処か皮膚が変化したりしてないか?黒に近い紫色の皮膚が出来ているとか…」
山城「…私じゃないです。出来ているのは姉様の方で…」
「…はぁ。こうなったら対象にストレス対策講義でも開いてもらうか?」
山城「え、あの人に教えてもらうんですか?」
「……確かにあの人は駄目か」
話す内容が大切なのではなく、話す人が大切なのだという話を何処かで聞いたことがある
会社で共に働く仲の良い同僚と結婚した妻。互いに話す内容は同じだったが、毎度同じ事を話す妻の内容は覚えておらず、同僚の話を聞いて、その事を妻に自慢する位にハッキリと覚えたという話だ
どうしてなのか?という話はよく覚えてないので割愛する。この話を聞いたのは何年も前で詳しく覚えてないんだよな
「なら時雨に教えてもらうと良い。時雨にはこっちから話を通しておくから、聞きたくなったら時雨を訪ねてくれ」
山城「分かりました。ありがとうございます」
「…山城」
山城「はい?」
「負けるなよ」
山城「それってどういう……」
「言葉通りだ。素直に受け取っておけ」
山城「は、はぁ…」
「…人間ってな。弱い生き物なんだよ。自分が今までと違っている。他の誰かと比べて自分だけがおかしくなっている。そんな状況に陥った人間は総じて心が弱くなるんだ」
「ソイツが一人で生きてる奴でもない限り…誰かしらに頼りたくなるんだよ」
山城「…覚えておきます」
山城とその場で別れ、先程貸してもらった本を大切に抱えながら自室へと戻る
時刻は2100。睡眠等の時間を考えると今から1時間位は読めるだろう
「っし。やるか」
電気がついて明るい廊下。窓の外を見ると、雲の隙間から月が綺麗な顔を出している
綺麗な月をふと見た時、私はなんの為にここにいるのかを時々考えてしまう。でも決まって出てくる答えは人類の為という答えだった
人の為に生きてる。誰かの為に戦う。名も知らない誰かを敬うかの様な気持ちで何時も出撃を繰り返してる
そんな私が初めて自分というものを感じた時は…演習で仲間を沈めた時だった
深海棲艦は何度も沈めてきた。なのに仲間を一人沈めてしまった時、私は初めて後悔というものを感じたと思う
体がキュッと縮まる感覚。まるで抗う術がない恐怖を感じた様だった
未だに悩んでる。どれだけ仲間に囲まれたとしても、どれだけ周りが私の事を助けてくれようとしていても、あの時の事がたまにフラッシュバックする。まるでその事を忘れさせない様にそれは突然やってくる
恐らく私と同じ様な事を体験している人は仲間の中にいるかも知れない。でも私の持つ気持ちと仲間が持つ気持ちは完全な別物だ
誰かが体験したんだからコイツも同じ気持ちだろうと思われたくない。私は私だけの悩みを持って生きていて、それが私を一人の人なんだと思わせてくれる
私は一人の艦娘だ。沢山の私がいるけど、私であって私じゃない。だから他の山風ならこう思うだなんて考えてはいけない。それを言い訳にして逃げる訳にはいかない。私が私である為にも
「あっ、やばっ」バキッ
…こうして人が悩んでる時に限って何処かから
山風「提督?どうし…」
「あ、山風。ちょっと手をくっつけてくれない?」
そういってプラプラと外れた手をお化けの様に振っている提督。それを見た瞬間全身の血の気が引いた気がした。というか引いたと思う
提督の周りをよく見ると血の付いたカッターやナイフ。それだけならまだしも、画鋲や釘、更には鉄串といった物まで置かれており、床に置かれた今の提督には大きすぎる軍服はおかしな膨らみがいくつも存在している
すぐさま提督の体全体を観察すると、腕の所々に絆創膏や包帯が巻かれており、足にはまだ出来て新しい傷跡が存在し、そこから血が滴り落ちていた
様々な要因が積み重なっていき、遂には頭の中がパニックで考える事が出来なくなって体から力が抜けてしまう。とにかく何とかしなければと必死に体全体に力を入れると、ようやく喉に力が入り始めていった
山風「…っ!大丈夫なの!?」
「ちょっと、いや割と痛い。手を外すってこんな痛いんだな」
山風「外したの!?」
「う、うん。というかやけに声大きいけど今夜だから…」
山風「声も出るよ!なんでそんなことしたの!?」
「いやね、山城から借りた本が結構詳しく書いてあってさ。医学書なんて読んだことも無いのにある程度分かるくらいには理解出来ちゃって…」
「だから~、その~、ね?何か実戦出来そうなの見つけたから一個試しちゃったら出来ちゃって…そっから調子に乗って色々試したら~…」
山風「ていっ…!バカッ!!!」
「あ、それまだ片付けて「そうじゃない!!」」
山風「自分が何やってるか分かってるの!?ねぇ!?ホントに分かってるの!?」
声になっているか分からない声で叫ぶ。もはや言葉として聞こえる様な声でもない気がする。喉に必要以上に力が入ってしまい、喉の奥で垂れる唾液がまるで血の様に感じる
なのに目の前のこの人は困った様な顔をするだけで、私の必死さをまるで分かっていない。それが以前の私と似ている気がして鏡を見ている気分になった
貴方が心配だから声を上げているのに。貴方に何かあれば私は誰に看取られて良いのか分からなくなってしまう
…でも、看取られたいというのは嘘だと思う。ただこの人に私の事を見て欲しい。私の事をもっと知ってほしい。私を見て笑顔を見せて欲しい。それを看取られたいという大きな嘘でこの人の気を引こうとしてる、そんな私の我儘だ
だから貴方が傷ついてるのを見れば心配するし、自傷行為なんか見てしまえば気が気でない。寧ろそこまで貴方は追い込まれていたのかと、それに気づかない自分のバカさ加減に嫌気がさす
山風「お願いだから…心配させないでよ…」
「……」
山風「…手、治すよ」
「…あぁ」
触れる手に温もりは感じない。寧ろ冷たさすらを感じた。外れて痛む筈の手を見つめている貴方の目はとても無機質で、何も気にしていないかの様な顔を見て少しムカッとした
山風「ねぇ、提督」
「ん?」
山風「…私の事、忘れないでね」
「…何当たり前の事言ってんだよ」
山風「私だけじゃない。皆の事だって忘れちゃ駄目だからね?」
「皆忘れられるキャラしてないだろ。多分艦娘以上にキャラ濃い奴なんてアニメか漫画位だぞ」
山風「もう!そういう事じゃないの!」
「…ごめんな」
山風「…」
外れていた手を治すと、まるでスイッチが入ったかの様に提督の体から熱が放出されているのを感じた。それに驚いて咄嗟に後退りすると、提督の体が再び成長を始めた
しかし今回はいつもの様に段階的に成長していくのではなく、一気に大人の男性へと体が成長していった
先程まで私と同じ位だった身長は一気に追い抜かされ、腕は細いままであったが、私を抱きしめようとするのなら十分すぎる程に長くなっていた
だがこれだけ変化を起こしても、その顔だけは冷たさを未だ放ち続けていた
「良し。何とか間に合ったか」
山風「…提督」
「なんだ?」
山風「…下、破けてる」
「…あ」