この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
本題
思った以上にAIイラスト(pixivにて投稿)の内容がいいねされててビビってます。期待に応えられる内容ではないかも知れませんが、期待したい作品を目指して今後も精進していこうと思います
「…っぁ」
妖精A「あ、起きた!」
腕に繋がる細い管と見知らぬ天井。近くの機械から一定のペースで聞こえてくる音と、ほのかに香る薬品の匂いがここを地獄でないことを理解させる
「病院…?ってことは生きてるのか」
妖精A「うん。生きててホントに良かったよ。アレから丸3日寝てたんだからね」
「…どおりで腹が減ってるわけだ」
自分で切断した手を確認する。しっかりと手は元通りになっており、傷跡すら残っていないのを考えると高速修復剤でも使ったのだろうか?
続いて足を見る。こちらも包帯で包まれてはいたが、骨はしっかりとくっついている感覚があったし、触るとズキズキとした痛みが走る事から治ろうとしている事が分かってホッとした
妖精A「今人を呼んでくるからちょっと待っててね」
「あ、ちょっと待ってくれ。とすると今は妖精さんだけか?」
妖精A「うん。そうだけど…」
「なら丁度いい。聞きたいことがある」
妖精A「…何かな?」
「自分は…何時ここを離れたら良い?」
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三日前の事件。あの後の処理は大変だった
解体装置に入れられたにも関わらず、解体されずに五体満足で出てきた雷。暴走を始め、最悪の結果で艦娘としての生を終えた長門。本当に起伏が激しい結果だった
肝心の
今日もあの時の事情を聞く為に本人のいる病室に向かっていた。何故雷が無事だったかを本人は知っているとの証言を雷から貰ったので、こうして暇さえあればアイツの病室を訪ねていた
『そう……でな………』
部屋の中から聞こえる話し声。しかし相手がいるようには思えず、たった一人で喋っているようだったが、話すスピードは対人して話しているのと何ら変わりないペースだった
ドアを開かずにその場で聞き耳を立てる。話している内容はあまり良いものでは無さそうだった
『これ以上何を望んでるの?正直自分はそれが分かんないんだけど』
『…でもなぁ、もう変わりはいると思うんだよ。本来自分はここにいるべきじゃない人間だし、それを元帥だって知ってるとは思うんだ』
『辞めた後ねぇ…何も考えてないかな』
『じゃあじゃない。これ以上使えない人間を置いてどうなるんだ』
『…妖精さんも分かってるだろ。自分はここにいるべきじゃない。もしこのまま続けていたら前任と同じ第二の提督として存在するかも知れないんだぞ』
…やはり話し相手は妖精さんか。今までの会話を考えるに、おそらく妖精さんと今後の話し合いでもしているんだろう。内容は全く明るさを感じない内容ばかりだが
『その心配は無いって…あぁ。才能のことか』
『無才なのが幸いだったよな。もしホントに自分が提督の才能を持ってれば、遅かれ早かれ自分は長門と同じ運命を辿ってたと思うよ』
…気づいていたのか
提督としての才能というのは戦術や艦隊を運用する事を指すのではない
本来の意味は"艦娘を動かす為の強制力"。これが提督の才能というものだ
例えば艦娘に腕立てをしろとの命令を下す。すると艦娘はそれの否応なしに腕立てを行うのだ
これだけ聞けば上官の命令だから。という理由で片付くかも知れない。だがこれの異常さとも言うべき点は、相手がどんな状態であろうと実行するという点だ
例えば片腕が無い艦娘に同じ命令を下す。すると艦娘は片腕のみで腕立てを行うのだ。両腕がない場合でも同じ事をしようとするが、腕が無いので腕立ては出来ない。だが命令自体を遂行出来ないから腕立てをしようとずっともがき続ける。これが提督の才能として恐ろしい点である
絶対的な強制力。これがあるなしで提督としての才能を決められるのだ
『私利私欲に使ったよ。自分が妖精さん達に頼んだのと同じ様なノリでね』
『そんな事しないなんて、何の確証があって言ってるんだよ。人間なんて力を持ったら使いたくなるものなんだから』
『…違う。相手が嫌がる嫌がらないの問題じゃない。自分の問題なんだよ』
『自分は知ったら使わずにいられない人間だ。こらえるなんて事はしない。それは今までの行動を見てたら知ってる事だろう?』
『…何故ここまで止めるんだ?何か理由でもあるのか?』
『…はぁ?』
突然疑問符を浮かべた声が聴こえてきた。話の内容が分からないのでモヤモヤするが、おそらく決定打の様な内容を話しているのだろう。それだけは確信めいた物を持っていた
『あのな…それなら…』
突如として言葉が止まる。まさかバレたのかと思いドアから一歩離れるが、後ろで優しい感触の何かに触れた
そちらを振り向くと妖精達が群を成してこちらをニコニコとした様子で見つめていた。それに悪意や打算めいたモノは微塵も感じ無かったが、突然の事だったので正直かなりビックリした
『元帥、そこにいるんでしょう?話があるなら入ってきてください』
元帥「…入って良いんだな?」
『どうぞ。別に何もしませんよ』
元帥「…邪魔するぞ」
ドアをスライドさせて部屋へと足を踏み入れる。すると目の前から真っ白なパイらしき物体が飛んできて、髪の毛を掠めながらギリギリの所で回避する
パイが飛んで来た方向を見ると、先程まで目の前の提督と話していたであろう妖精さんが片手にパイを持ってニコニコとしていた。恐らくさっき飛んで来たパイもこの妖精さんの仕業だろう
「妖精さんが盗み聞きした罰ですって」
元帥「…なら仕方ないか」
そう言って今度は飛んできたパイを避けずに顔で受ける。味はバターが良く効いた物で、メレンゲを使って泡立てたホイップはフワフワの雲に包まれた様な味だった
元帥「…結構イケるな」
「妖精さん。ちゃんと掃除しろよ」
はーいとジェスチャーをした妖精さん達がテキパキと床や壁に付着したパイを掃除していく。私の顔に付いていたパイもタオルとドライヤーを持った妖精さんに綺麗に整えられ、今朝気になっていた癖毛も一緒に整えられていた
「それで、私が寝ていた三日に何がありましたか?」
元師「お前…もっと他に聞く事とか無いのか?」
「三日間も寝て無駄にしたんです。これ以外に何があるというんですか?」
元師「…初めて会った時は自信なさげな優男って感じだったのに、一か月で随分変わるもんだな」
「私的にはどちらかと言えば昔に戻って来たって感じですけどね。子供の頃は何でも忙しなくやって何事も本気で取り組んでましたから」
元師「なるほど。お前の人生は相当大変みたいだな」
「…で、早く本題に入りましょう。じゃないと何時アイツ等が来るか分かったもんじゃない」
元師「…分かった」
元師「さて、まずはお前の処分だが…どうされたい?」
「お好きな様に。銃殺刑でも縛り首でもご自由にどうぞ」
元師「死ぬ以外の選択肢は無いのか…」
「まぁ半分冗談です。順当に考えるならクビでしょう」
元師「ウチでは帰郷とも言うがな。だがそれは出来んぞ」
「では本来提督になる筈だった同姓同名の彼を呼んではどうです?本来は彼がなる予定だったんですよね?」
元帥「なんだ。知ってたのか」
「寧ろ当たり前でしょう。如何に人材不足とはいえ、ある程度の能力が存在しなければ一般人から募集をかける訳がない。自分も彼について調べましたが、腹立つ程の活躍してるじゃないですか」ラノベが現実に出てきたような人だったし…
元帥「そうだな。私も中学生で女装してそれをSNSに発信したり、一人でゲームを作って販売する奴は聞いたことが無かったよ」
「あー、思い出すとイライラする。当時の自分がやりたかった事を全部やってるんだからなぁ」
元帥「妬みは良いが、それに囚われすぎて目標をすり替える事だけはやめろよ」…ん?
「分かってますよ…って、話が逸れましたね。それでどうして彼をスカウトしないんですか?」
元帥「…正直自分も驚いてるんだが、もう既に彼は協力してくれているんだ。本人は知ってか知らずかは分からんがな」
「えっ?ということは既に接触したんですか?」
元帥「いや、こちらからは何もしていない。どうにも偶然みたいでな」
「…運命、ですかねぇ」
元帥「かも知れん。まぁそういう訳だからお前がやめる理由にはならん」
「はぁ…上手くいかない事ばかりですね」
元帥「世の中そういうものだ。誰も彼もが上手くいく世の中だったら世界はとんでもない事になってる」
「…なら先生にでもなったら良いんですか?艦娘達に人間社会について教える先生とか」
元師「……どういう意味かな?」
「ご冗談を。元師が計画していた事でしょう?」
「艦娘の生きる事が出来る社会を作る。それが元師の目的でしょう?」
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「思えば初めて異動させられた時から気になっていたんです。どうして自分をこんなに短期間で転々とさせるのだろうと」
「疑問が確信に変わったのは二回目の異動…つまり山風と初めて出会った鎮守府での事でした」
「あそこは刑務所ですよね?何らかの作戦で発生した戦犯や、何らかの大罪を犯してしまった艦娘達の」
「艦娘という事もあってその体は神秘に未だ満ちています。だからそれを解明する為の施設が欲しかった。そして人体実験という名目をされても仕方が無いと言える艦娘を選ぶ必要があった。最終的には処刑も免れぬ実験を…ってね」
「そこで出てくるのが大将の鎮守府。あそこは刑務所に送られる一歩前…まぁ言い方も思いつかないんで少年院とでも言いましょうか」
「艦娘は生まれてすぐに戦場へ行きます。その過程で精神に異常がある者。或いは何らかの事情で鎮守府で手に負えなくなった者。問題を起こして改善を一向に視られない者。例を上げればキリが無いのでひとまずここまでにしますが、まぁそういった経過観察をする必要があるべき艦娘達を見張る為の鎮守府ですよね?」
「私が見た限りですが、あそこは精神的に弱い者達が集まっている様に思えました。恐らく他にも似たような鎮守府は幾つか点在しているのでしょうね」
「さて、ここで私が初めて訪れた鎮守府の話になります。あそこは
「だが一つ、大きな誤算が存在しました。それが艦娘の深海棲艦化です」
「建造されて少し経った艦娘は人間で言うと成長期と言っても差し支えない程にガンガンと練度を高めていく時期でした。しかしその過程で産まれた練度の差が一つの事件を生み出してしまった。それが金剛達みたいな戦場でMVPを良く取って活躍する者達の存在です」
「MVPを独占した艦娘達とMVPを取れない艦娘達で練度の上下関係が生まれます。それが理由で練度の高い者達が協力しあい、練度の低い艦娘を活躍させない様にして練度を上げられなくするという味方同士で潰し合いが発生。そんな不満が溜まりに溜まった艦娘はいずれ爆発し、それが深海棲艦化を引き起こすきっかけとなってしまった…」
「ま、悪くは言っちゃいましたが、本来はあそこが学校として活動する為の場所だったんでしょう。だがそれのせいで今は深海棲艦化の原因を探るための鎮守府となっているんですよね?一応ここまでが自分の予測した答えなのですが、合ってますか?」
今までの出来事を整理しながら話した為、喋る事だけに集中してしまって元師の様子を確認出来なかった。そう思って確認を元師に投げかけるが、腕を組みながら瞼をしっかりと閉じて口を開けたまま涎を垂らそうとしていた
元師「…んぁっ?終わったか?」
「…キレて良いですよね?」ピキピキ
元師「頼んでも無いのに説明しだしたお前が悪い。まぁ内容は大まかにあってるし、指摘点もそれといって無い様に思えるから問題ないと思ってな」
「…ちゃんと聞いてるじゃないですか」
元師「まぁその通りだ。お前に先生を任せたい。お前は何故か全くと言って良い位に提督の才能が感じられんからな」
「結構早い段階で聞いてたみたいですね?」
元師「あぁ。正直またお前がおかしくなったのだと一瞬不安になったぞ」
「余計なお世話です」
元帥「だがまぁ…そうだな。先生になれと言ってもお前は何らかの理由を付けて断るだろう。だから逃れられない理由を用意しておいた」
「なんです?」
元帥「私と結婚しないか?」
「お断りします」
何をアホな事言ってるんだとツッコミが喉まで来たが、それを頑張って飲み込んだ自分は過去と比べて成長したと思う
元帥も嘘泣きを示すかの様によよよ…とか言って泣いたふりをしているが、絶対に本心からは思っていないのは理解した
「仮に結婚するなら艦娘達としますよ」
元帥「ほう?ちなみに軍規では艦娘と一夫多妻制を組むことが決定している事になっているぞ」
「え、何ですかそれ」
元帥「いやぁ、足柄達がいき遅れるのは嫌だと言うんで、提督と艦娘の双方が合意の元なら良い事にしたんだ」
「面子を考えるに酔った勢いで決めたんですか?」
元帥「そうだが?」
「ばかっ!!」
元帥「ま、却下されたんで実際には無いんだがな」
「それ聞いて安心しましたよ…」
元帥「実際は日本の法律に一夫多妻制はアリと認められている。ちなみに補助金等も出るぞ」
「………」ウーン
元帥「近年男女比に差が出てきてな。昔は男1/女3だったんだが、今や1/7にまでになってるんだ。そうなると行き遅れる女性が大量に発生して…」
「あー聞きたくない聞きたくない。法律で外堀が埋められてる現状なんて聞きたくないです」
元帥「…そんなに嫌か?」
「…嫌って訳じゃないんです。ただ自分の事や艦娘達の事を考えたら自分はいない方が確実に良い。このままじゃ共依存の関係になりそうで怖いんですよ」
元帥「ふむ…なら共依存でなければ良いわけだな?」
「へっ?まぁ、そうですけど…」
元帥「良し」
そう言って上着を脱ぎ出す元帥。突発的な行動に自分も妖精さんも固まってしまっていた
服の隙間からはチラリとヘソが見え、少し派手目の真っ黒なブラジャーが顔を出していった
あまりの展開に思考が停止する。自分より先に回復した妖精さんが急いで自分の肩を叩き、自分もそれを受けてようやく現実へと引き戻された
「待て待て待て待て!アンタなにする気だ!?」
元帥「何って…ナニだが?」
「ナニだが?じゃねぇよ!!マジで言ってんのかアンタ!」
元帥「失礼だな。お前が共依存になるのが嫌だと言うんだったら、子供の一人や二人作ってそうならない理由を作ろうとしてるんじゃないか」
「いやー!誰か助けて男の人!スタイル良いけど顔が怖い女性に襲われようとしてます!!」
元帥「おっ、スタイルを褒めてくれるか?結構自慢なのが胸なんだが「言わんでいい!!!」」
大淀(元帥)「元帥…?」
いつの間にか開いた扉から大淀が姿を現す。その背後には恐らく呼んできたであろう妖精さん達が並んでいたが、全員が恐ろしいものを見たかのような顔をして、大淀に敬礼していた
恐らくこの大淀は元帥の部下である大淀さんだろう。なんというか、ウチにいる大淀とは別次元の恐怖のような物を感じる
ふと大淀さんの後方に目がいった。すると大淀さんがやってきたであろう足元には亀裂が入っており、後ろに続く足跡にも亀裂が入っていたのだが、そこから恐ろしい怒りを感じるオーラの様なものが放たれている気がした
大淀(元帥)「私というものがありながら浮気とは…」
元帥「あっ、いやっ、これはだなぁ…」
大淀(元帥)「貴方もですよ。提督さん」
「は、はいぃぃ!?」
大淀(元帥)「もし私からこの人を取るようなら…分かってますね?」
「もももも、勿論でございます!ワタクシは決してお二人の邪魔など致しません!寧ろお二人を祝福する鐘として立派に努めさせていただきます!」
大淀(元帥)「なるほど。それを聞けて安心しました♪」
こええぇぇ!!!あの時の長門の比じゃねぇ!!恐怖がデカすぎたのかどうにかしようという気持ちさえ湧かなかった!というか死を受け入れたのか体に力が入らん!
大淀(元帥)「あ、そうそう。元帥はこんな事しましたが、貴方の事を心配しての行動だというのは分かってあげてください。貴方が自分の事を酷く無能な悪人だと思っていても、その度に周りの皆が貴方を導いては正そうと動いてくれますから」
貴方が艦娘達にしたようにね。と最後に言い残し、必死に弁明している元帥を引きずりながら外へと出ていった
妖精A「…提督さん。私達だって生きてるんです。その過程で誰かを心配したり助けたいと思うのは変な事ですか?」
「いや、それはだな…」
妖精A「……やっぱり、怒ってるんですか?」
「…それは無いよ。妖精さん達と同じ様に自分も艦娘達を助けたいと思って行動した。だから怒るとかそんなんじゃないんだ」
「だけど俺がいなくても艦娘達は平和に過ごせると思うんだよ。彼奴等にはちゃんと色々教えたし、行動の良し悪しをしっかりと見せつけた。それを他の奴等にも教えてやれば、最終的には艦娘達だって幸せになれるだろ?」
妖精A「でも…そこに提督さんが入ってないよ」
「良いんだよ。少なくとも自分は満足だ」
「それに…こうしていなくなった方が妖精さんにとっても良いんだろ?」
妖精A「でも…!」
でも。そこから先の言葉を妖精さんは紡ごうとしない。だってそれはあまりにも自分勝手な意見だと思ったからだろう
妖精さんは実に自分に良くしてくれた。本当に、やりすぎなんじゃないかって位に
だから気づいてしまった。自分がここにいる理由を。自分を選んだ真意を
妖精さんはこの世界に興味を持たない人を探していたんだ。艦これというゲームを通じて。だからこそ自分が選ばれたんだろう
ほどほどに艦娘達を好きでいて、思い出そうとすれば簡単に思い出せる位に愛してくれている人を
けど一度興味が無くなればトコトン関わろうとせず、たまに思い出したら会いに来る程度には興味を持っていた人を
使い捨ての出来る便利な
おそらく理由としては、自分のいた世界の人間にとってこの世界は都合が良いからだろう。艦娘は力を持っているが、持ち前の容姿で周りから気持ち悪がられて非難を浴びせられている存在だ。それを全く気持ち悪がらない人間が
それを利用してやろうと考える人間が存在する。巧妙に立ち回り、口八丁で艦娘をたぶらかして、下手したら深海棲艦と手を組んで世界を滅亡させかねない危険思想を持つ。そんな地獄を巻き起こすかも知れない危ない奴が
だから勝手に距離を離してくれる存在が良かった。勝手に消え去ろうとしてくれる人が良かった。そんな隠された考えを見抜いても思惑通りに動き、最後に捨てられる時になったとしても仕方ないと許してくれる様なとてつもないお人好しが良かった
それが自分だった。もし仮に自分と同じ人が何人かいたとしても、自分が選ばれたのは宝くじに当たった様な確率で選ばれたのかも知れない。その理由までは妖精さんしか知らないだろうけど
「後任だって見つけた。もし後任が暴走したとしても頼れる人がいる縁だって繋いだ。これ以上何をしてやれば良いんだよ」
妖精A「でも…でも…!」
「…お前がやろうとしてるのは捨てる筈だった牛乳パックでロボットを作って遊ぶようなもんだ」
「何となく勿体無い。何かにして遊びたい。だから自分の手でロボットに作り変えてしばらく遊び、やがて劣化して綺麗だったロボットは汚れが目立ち始め、もう遊ぼうとは思えない。そうなったら当然捨てるだろう?」
「だけどお前は捨てずに大切に置こうとしてる。初めはどうであれ、それに愛着が湧いて大事にしようとしだしたんだ」
「俺はそれを許せん。大事にしようとしたってことは、要は見下していたモノが段々と愛らしく思えて可愛がった様なもんだ」
「見下してると分かった奴と一緒にいたいと思うか?俺はそうは思わんぞ」
妖精A「……」
「もう…充分じゃないか。なぁ?」
妖精A「……その言葉、艦娘達にも言えますか?」
「………言えない。俺も妖精さんと同じだったからな」
妖精A「じゃあ、艦娘達を軽視していると?」
「それは無い。哀れみ何かは一時あったが、それはもう過去の話だ」
妖精A「私達もそうです。提督を始めに選んだ時は確かにそうだったかも知れません。ですがその後の貴方を見て心動かされたと言う妖精さんだっているんです」
「随分上からだな。それに傲慢だ」
妖精A「提督さんに言われたくありません。始めて艦娘達と出会った時だって劣情とかは感じませんでしたか?」
「…黙秘させてもらおう」
妖精A「そう。私達も提督さんと同じなんです。だからこそ、私達にはもう少し互いを必要としても良いんじゃないでしょうか?」
「どうかな。例えそれで自分が良くても、肝心の
妖精A「じゃ、皆に聞いてみますか?」
そう言って別の妖精さんが何時ぞやの時みたいにビデオカメラを回していた。映像がこちらに映るようにモニターを見せてきて、映像には電が一人正面に立っており、その後ろに皆の姿が映っていた
思わずあっちゃーと声がリアクションと共に起こってしまう。反応こそ嫌な物に見えたかも知れないが、心の方はとても温かった
「お前等なんで聞いてんだよ~滅茶苦茶恥ずかしいじゃんか」
電「司令官さん」
「はい」
思わず声がキリッとする様な重苦しい声で呼ばれた。普段の様に明るい言葉ではなく、とても悲しそうに呼ぶその声が心をギュッと正す様に強制させられた
覚悟を決めよう。恐らくここが全てのターニングポイント。これから投げかけられる問いには全て完璧に答えなければならない。でないと自分は終わる事が出来ない筈だ
さぁ、何が飛び出す?罵倒か非難か。或いは情の言葉か。何でも受け入れてやろう。最後には自分の意見をしっかりと押し通させてもらうが
電「言いたい事があります。それも大事な事です」
「何でも答えてやる。遠慮せずに言ってくれ」
電「ではお聞きしたいのですが、元師とのプレイは楽しかったですか?」
「ちょっとタイム」
体の前で両手をTの字にして映像に映るよう形作る。すぐさまそれを解いて妖精さんをガシッと掴み、衝撃で妖精さんから落ちたカメラをもう片方の手でキャッチした
「妖精さん?一体いつからこの映像を流してたのかな?」
妖精A「んーっとね、大淀さんが部屋にやってくるちょっと前位だよ」
「ややこしくなるタイミングで撮影開始してんじゃねぇよ!」
電「司令官さんはもう体は大丈夫なのですよね?ならもう部屋に入って良いという事で間違いないですか?」
「ちょちょちょ、ちょっと待って?君達今どこにいるの?」
電「何処って…」
ドア『コンコン』
「あ、どうぞ」
電「失礼するのです」
艦娘達「失礼します!」
ガラガラとドアを開けて部屋の外からこちらを見つめてくる自分の部下である艦娘達。一人も欠ける事無く綺麗に並んで立っており、一糸乱れぬ立ち並びはやはり軍人かと改めて思わせた
「…なぁ」
妖精A「何でしょうか?」
「お前等知ってたな…!!」
妖精A「YES ! I AM !」
電「司令官さん」
「はいっ!?」
いきなりトーンの低い声で呼びかけられる。思わず声が上擦ってしまったが、それに恥ずかしさを覚える間もなく電がポケットから何かを取り出した
それは自分が使っていた艦娘撃退用のスプレーである。だがラベルが微妙に違っており、”妖精印の対提督籠絡用”と書かれていた
「…一応聞かせて欲しい。それを吸うとどうなる?」
電「簡単に説明すると、司令官さんは発情します。ちなみに私達には全くの無害なのですよ」
「…何本持ってる?」
電「全員が装備済みなのです♪」
「…えーと、ちなみにそれを使う理由は何でしょうか?」
電「元師が言ってたじゃないですか。子供の一人や二人出来たら共依存の関係にはならないだろうって」
「い、いやいやいや。艦娘との間に子供は出来ない筈だよね?それをしたとしても正直どうにもならないって言うか…」
電「司令官さんなら無理矢理とはいえ、関係を持ってしまった罪悪感から共依存になるまいと努力する筈なのです。そうすれば万事解決ではないですか?」
妖精B「覚悟を決めちゃいなYO!提督!」
妖精C「我が生涯に一片の悔い無し!」
「お前等無事に脱出出来たら覚えてろよ!!」
妖精A「でも、これが皆のホントにしたい事とは違うってのは分かりますよね?」
「…あぁ。それすら分からないほど馬鹿じゃないよ」
艦娘達が飛び掛かる。瞬間的に自分が動いたのはもはや絶好調と言っても良い位に回復した腕だった
まるで全てを受け入れる様に両手を大きく開く。それを皆が接近してくる目の前で勢い良く手を合わせ、大きな音を鳴らして猫だましをする
前列にいた艦娘達の動きがひるんで止まる。それに引っ掛かって後ろにいた艦娘達が全員倒れてしまい、自分に被さっていた布団のシーツだけを綺麗に掠め取って全員が床に倒れた
「重ーい!」「愛宕!その大きい胸が邪魔だよ!」「くっ…!こんな事するのは分かってた筈なのに…!」「提督!逃げないでよ!?」
「うるせぇ!妖精共も俺で賭け事してんじゃねぇぞ!」
妖精A「皆どれにかける?自分は提督の脱出にエクレアを賭ける」
妖精B「いや、こうなったら捕まるに賭けるでしょ。どう考えても皆の方が有利じゃん?」
妖精C「流石に不公平だから提督さんは助けるよ?」
妖精D「あー…なら提督さんかなぁ」
妖精E「面白そうだから皆の方にパフェを賭けよう」
妖精ABCD「な、なんだってー!?」
「畜生!こいつ等楽しんでやがる!」
電「にっ、逃がしませんよ!絶対司令官さんをモノにして見せますから!」
「やってみろ!こちとら既に勝利の方程式は出来てんだからな!」
既に手で握っていた閃光弾からピンを抜き、足元へ向かって転がして投げる。倒れていた艦娘達はモロに喰らい、自分も耳と目をしっかりと閉じて直接見ないようにしていたのだが、それでも若干キンキンと音が鳴っていた
すぐさま透明マントを羽織ってその場から姿を消す。しばらくの時間が経過し、回復した皆は提督がいなくなったと騒ぎ始め、解放されたままになっているドアから皆散り散りに自分を探しに向かおうとする。その時にそれぞれが持っていた思いを吐露しながら
大淀「提督!何時も執務を私に押し付けて逃げてますが、今回だけは絶対に逃がしませんよ!ちゃんと私達の気持ちに応えて貰いますからね!」
雷「司令官!例え司令官がどうなっても私は味方だからね!」
夕立「提督さん!何時も遊んでくれてありがとう!だから今日も素敵なパーティーしましょ!」
潮「提督!捕まえたら言いたい事があるんですから逃げないで下さいね!」
天龍「初めて会った時はアレだったけどな、今では結構信頼してるんだぜ?今度は俺達の番だってこと、分からせてやるからな」
龍田「うふふ。そうですよ提督?あの時の御礼をたーっぷりとさせて貰いますからね?」
島風「提督!私の足を治してくれてありがとう!初めてうどんを食べた時の美味しさは今も覚えてるんだからね!これだけは絶対に忘れないよ!」
愛宕「結局私がどれだけ誘惑しても触らなかったんです。本当は私が嫌いなんじゃないですか?そうじゃないならちゃーんとお話しましょうね?」
時雨「結局皆に構ってばかりで僕の事を構ってくれなかったよね?僕、置いて行かれるのは嫌いなんだ。だから次は逃げられないようにしっかりと監視させてもらうからね?」
暁「司令官!骨は拾ってあげるわ!だから安心して私に甘えて良いのよ!」
響「○○○◯する時は姉妹達で一緒にと決めているんだ。だから逃げないでくれよ?」
川内「成り行きでここまで来たけどさ、案外悪くない生活だったんだよ?程々にバカやるのが楽しいんだからさ、そこに提督がいなきゃ意味が無いんだからね!」
曙「クソ提督!アンタもここまで言われてるんだったら男をみせなさい!男だからってやる時はやらなきゃ駄目なんだからね!」
山風「私を連れ出したのは提督でしょ?だから今度は私が連れ出してあげるんだからね…!」
…生きててよかった。今日ほどそう思えたことは無い。本当に涙が出る位に嬉しかった
皆が飛び出した後、一人部屋に残った電がドアへと歩き出し、ガチャリと扉に鍵をかけて閉める。そして携帯で何かを確認した後、こちらに向かって歩いてくるとピタリと目の前で立ち止まった
「………」
電「………」
「…バレてる?」
電「司令官さんは目を離すと何処かに行ってしまうのです。その時の為に発信機を寝ている司令官さんに付けておきました」
「…そうか」
電「はいなのです」
「…電」
電「なんでしょう?」
すぅっと息を吸ってゆっくりと息を吐く。自分の中で覚悟を決め、それが例え願望の様な気持ちであったとしても、包み隠さず言葉にすると決意した
「せめてもうちょい成長してから出来ないか?自分は電みたいな小さいサイズも嫌いじゃないが、どっちかって言うと巨乳派なんだよ」
電「良し。今から司令官さんを数時間
「やはり駄目か!」
電「この機会に司令官さんの性癖を塗り替えてやるのです!」
「君そんなキャラだっけ!?」
ドタバタと騒がしくなる病室。そこは先程まで暗い雰囲気に包まれた場所ではなく、明るくて少しの照れと怒り、それと愛おしさの様な、互いに感情を隠すことなく気持ちをぶつけ合う場所へと変わっていくのだった
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妖精1「…で、どうなったんですか?」
妖精A「うーん…アレは提督の勝ちと言って良いのか分からないです」
妖精2「というと?」
妖精B「提督さんは襲われる直前に昔夕立ちゃんに使った
妖精2「やったのです?」
妖精B「んーん。数分に続く長いキスして二人共酸欠でぶっ倒れて終了しました」
妖精3「え、えぇ…」
妖精C「まぁあまりに過激な事するとRタグ付いちゃうし、多少はね?」
妖精達「結局