この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
何処かのタイミングで書き方がまた変わるかも知れませんが、探求中だと思って温かい目でご覧下さい
帰ってきた鎮守府
バスに揺られて数十分。体も完全に回復し、数週間のリハビリだけで提督業に復帰して良いとの通達が来た
何時もなら数週間もかからず回復してただろって言われそうなので念のため言い訳しておくと、あの時切断した時の腕がショックで動きませんでした。
その数週間にも色々あったが、思い返すのはまた今度にしよう。今はこれからの事を考えなくてはならない
バスの外の景色を眺める。現在は高速道路を走っており、すれ違う車に反射する日の光がとても眩しい
時々車の中にいる人達に視線を向ける。笑顔で何処かへと走る家族達。暗い顔で会社名が書かれた車を走らせる社会人。トラックの運転手がスマホを触りながら運転…って、やべぇことしてんな
まぁ今の所は特に変わった様子は無さそうだった。これこそが日常だと言わんばかりに、ようやく落ち着いた日をこれから過ごせそうだと心の隅で期待しておく
「はぁ~良い天気だなぁ〜」
大淀「鎮守府に付いたらしてもらう書類が沢山あるので、今の内に楽しんでいてくださいね」
「…聞きたくなかったなぁ」
夕立「提督さん。私たち以外で鎮守府にいる仲間っているの?」
「いるよ。泊まり込みで鎮守府警備のバイトをしてる人と、新たな仲間…仲間?がいるよ」
夕立「なんで疑問形なの?」
「そのうち分かるよ」
潮「あの、バイトの人達っていうのは…」
「あぁ。今の所合格させたのは何人かいるけど、男性に関しては潮の事を理解してもらってるよ」
潮「そ、そうなんですね」
曙「大丈夫よ。何かあっても私達が守ってあげるから安心しなさい」
「まぁ潮だけじゃなく、性格的に問題アリって思えた人達は予め弾いて置いたよ。皆の事も理解してもらってるし、そこら辺は大丈夫だから安心して」
雷「何かあったとしても前みたいに何も出来ない訳じゃないし、そこら辺は心配しなくて大丈夫だからね!」
天龍「そういえば提督よ、一個聞きたいことがあったんだが良いか?」
「ん?」
天龍「あー、ちょっとこっち来て耳貸してくれ」
「あ?あぁ。分かった」
その場から席を立ち、揺れる車内で転ばないように座席に手を置きながら天龍の元へと移動する。天龍の隣には龍田がいたので通路に座席を作って座る事にした
「んで、何?」
天龍「雷がさ、解体する機械に入ったろ?なんで無事だったのかが未だわかんなくてよ」
「それか。そういえば説明してなかったな」
天龍「んで、どうしてなんだ?」
「首触ってみろよ。そしたら理由が分かるから」
天龍「首って…俺別にアクセサリーとか着けてな…」
そう言って天龍の言葉が止まる。驚いた様に首を何度も触っていると、何となく形を理解したのか目を丸くしていた
天龍「お、おい。なんか俺の首に鍵穴の付いたロケットみたいなの付いてるんだけど、これって気の所為だよな…?」
「気の所為じゃないぞ。まぁ首に何か付けてるって感じはしないだろうけどな」
天龍「ま、まぁ、確かに首の動きが阻害されてるって感じはしねぇけどよ…手で触らなければ何かついてるって感じもしねぇし…」
龍田「ねぇ、ホントに何かついてるの?天龍ちゃんの首何も無いわよ?」
「ホントに着いてるよ。簡単に説明すると、雷が解体されなかったのはその首にあるヤツのおかげだ」
天龍「こ、この何か良く分からんヤツがか?」
「天龍だけじゃないぞ。一応このバスに乗ってる奴には全員着いてる」
青葉(元帥)「え?それって青葉もですか?」
「あ、すまん。青葉は無い」
青葉(元帥)「なーんだ。良いネタが出来たと思って驚きましたよ」
バスのスピーカーからちょっとつまらなさそうに話す青葉。結構小さめの声で話してた筈なんだが、地獄耳にも程があるだろ
青葉(元帥)「なんか失礼な事考えてません?」
「なんで分かるんだよちくしょう」
龍田「…川内が凄いって思ってたけど、こうしてみると凄い人ってまだまだいるのねぇ」
シミジミと呟く龍田。多分元帥の所属となってる艦娘は皆こうだと思うから、理不尽な奴がいるとだけ覚えておいてくれればそれでいい
夕立「何だか首輪してるみたいで面白いっぽい!」
近くにいた夕立に話が聞こえてしまい、その感想を聞いた全員の息が止まった気がした
その一言をきっかけに皆が自分の首を触り始め、様々な感情のこもった視線を向けられる。その視線の一つ一つがとても痛く感じてしまったのは気の所為ではないだろう
時雨「まるで提督の飼い犬にでもなったみたいだね」
夕立「ねー!」
とんでもない爆弾を落としていく時雨。それを無邪気に肯定する夕立は百歩譲って良いとしても、ニヤリと笑ってこちらを見つめてくる時雨だけは許さん。確信犯だろアイツ
「ふぅん?ならちゃんと躾しないとなぁ?人様に迷惑をかけないようにしっかりと…な」
時雨「じょっ、冗談だよ。だから、その、
「そうか。ならこっちも冗談ということにしておこう」ニヤニヤ
天龍「…やっぱお前性格悪いぞ」
「そりゃどうも」
天龍「褒めてねぇよ…」
曙「…変わんないわね。あのクソ提督は」
潮「そうかな?前と比べて少し明るくなった気がするけど…」
曙「まぁ、ね。以前よりも少しだけ声をかけてくれる位にはなった気がするわ」
潮「…でも、何かを隠す所は変わってないよね」
曙「アンタねぇ…そんなの当たり前じゃないの。誰だって言いたくないことなんて一つや二つあるんだから」
潮「…うん。そうだよね」
曙「大丈夫よ。クソ提督が潮の事を嫌ったりしてるって訳じゃないんだから。もし嫌いなんて言った暁には私がぶっ飛ばしてやるわよ」
潮「ふふっ。ありがとう。曙ちゃん」
響「愛宕さん。おやつを賭けて勝負しようよ」
愛宕「遠足じゃないんだから…」
響「良いじゃないか。こういう時こそ楽しんで英気を養っておかないと。休める時に休んでおかないと体が持たないよ?」
愛宕「もう。口が上手いんだから」
雷「じゃあ何賭ける?」
山風「私は…じゃがりこ(バター味)」
雷「じゃあ私はサラダで」
響「チーズだ。これは譲れない」
愛宕「皆同じだけど違うの出してきたわね…私も今持ってるのそれしかないんだけどな(バター味Lサイズ)」
響「Lサイズ…!」
雷「面白くなってきたじゃない?」
山風「…負けない」メラメラ
川内「平和だねぇ」
島風「ねー」ペラペラ
暁「電、これなんて読むの?」
電「これは……」
川内「…よく本読めるね。私だったら気分悪くなっちゃうんだけど」
電「電も前までは駄目でしたけど、何とか暇な時間を有効に使いたくて繰り返してたら慣れてました」
暁「ん〜。私は始めから平気って感じね。何でかは分からないけど」
島風「右に同じく〜」
川内「羨ましいなぁ。私も何か暇潰せる道具位持っておくんだった」
青葉(元帥)『ここらでスマホとか出さない辺り、皆さんしっかりしてますねぇ』E.インカム(妖精印)
『まぁ皆持ってないだけだがな』E.同上(思考のみで会話が可能)
青葉(元帥)『司令官さんは持たせるつもりあるんですか?』
『今んとこは無い。ネットリテラシーとか教え込むの大変そうだしね』
青葉(元帥)『いずれは必要になってきますからいつかは持たせたほうが良いと思います。不安ならこちらで人を用意しましょうか?』
『あー、じゃあお願いするよ。自分も持たせたいとは思ってたし』
青葉(元帥)『…ところで司令官さん。一つお伺いしたいんですけど』
『なんですか?』
青葉(元帥)『なんで皆さんこんなに大人しいんです?噂では電ちゃんと一線を越えたって話が出てるんですけど』
『色々言いたいことはあるが、その噂って誰から聞いた?』
青葉(元帥)『元帥です。以前二人で飲みに行った時に話してました』
『あー、うん。あの人かぁ…』
青葉(元帥)『で、実際の所どうなんですか?』
『一線はまだ越えて無いよ。まだ先の話さ』
青葉(元帥)『なるほど…じゃあ皆さんが行動を起こさないのはどうしてです?夕立ちゃんや島風ちゃん辺りが対抗心燃やして来そうな感じするんですけど』
『将来的に全員と結婚する事にした』
青葉(元帥)『なるほ…え?』
『オレ、全員ト結婚。皆シアワセ二スル』
青葉(元帥)『…マジです?』
『カッコカリだがな』
青葉(元帥)『うわぁ。上げて落とすにしてももうちょっとあったでしょう。提督さんの評価が今や奈落ですよ』
『世界を俺で終わらせるのには勿体無さすぎる。俺以外の人だって皆には知ってもらいたいし、色んな人間と出会って成長もしてもらいたい。それが見れるんだったら悪者にでも何でもなってやるよ』
青葉(元帥)『他人を受け入れられない器量の小さな男の言い訳として受け取っておきますね』
『手厳しいな』
青葉(元帥)『でも…やっぱり先生に向いてると思いますよ?』
『興味が無い!』
青葉(元帥)『ははっ。そこまで言っちゃいますか』
『まぁ無いことは無いけど、僕だってやりたい事はあるんだよ。だからなるにしてもまだまだ後の話だね』
青葉(元帥)『なるほど。ならこれ以上は強要になっちゃいますね』
『理解してくれて助かる』
高速道路を降りて外の景色がビルで埋まり始めると、いよいよ鎮守府が近くなってきたのだと理解する。これからは提督として、本格的に頑張っていかなければな
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青葉(元帥)「はーい皆さん。着きましたよ〜」
「隣で寝てる奴がいたら起こしてやれよ。今から食堂に向かって、そこで飯食った後に今後の話するからな」
艦娘達「「「はーい」」」
こういう時はハッキリと返事させるべきなんだろうか。一応提督とはいえ、元はユルダラとやってきた放置提督だから、正直ハキハキするよりも今みたいなテンションが丁度良いんだよな
青葉(元帥)「それじゃあ青葉はこれで帰りますが、あまりだらけ過ぎて地方に異動って事にならないでくださいね」
夕立「異動!?」
青葉(元帥)「そうですよ〜?あんまり成果も上げられない鎮守府の提督は、地方でハンコをポンポン押して必要性をあまり感じられない仕事で毎日を終わる日々になりますからね〜?」
その言葉に皆がキリッとし始める。顔は真っ直ぐにコチラを見つめ、やる気に満ち溢れているのを感じた
「そういうわけだ。やらない時は別に今の感じでも良いが、メリハリだけはしっかり付けるんだぞ」
艦娘達「「「はいっ!」」」
青葉(元帥)『提督さん、貸し一つですよ』
『上手いこと言ったつもりかい。アレは皆じゃなくこっちに向けたものだったろ』
青葉(元帥)『あ、やっぱりバレました?』
『ま、頑張るよ。期待を裏切りたくないないからな』
青葉(元帥)『はいっ!青葉、応援してます!』
そう言ってバスで去っていく青葉。自分も運転免許位は取ったほうが良いのだろうかと悩まされる所だ
島風「提督!早く行こっ!」
「あーハイハイ。鎮守府は逃げないからな〜」
???「テ〜イ〜ト〜ク〜!!」
???「バーニングゥ…ラァ〜ブ!」
そのまま自分の体めがけて飛んでくる人物。それは絵から飛び出して来たと錯覚する程の綺麗な人で、特徴的な白い肌と長いロングヘアーがこちらに向かって水面にダイブするかの如くやってきた
狙われてる箇所は自分の腰辺り。目測で
???「テ、テイトクゥ〜!それはちょっと酷いんじゃないデスカ!?」
「急に突っ込んでくる奴がいたら避けるだろ?俺はマ◯◯イRPGみたいにタイミングがたまたま合っただけだ」
???「…提督が何言ってるか分かりません」
夕立「提督さん!そこから離れて!!」
夕立の声に驚き、そちらを見ると夕立だけでなく愛宕や天龍達の火力組が砲門を構えてコチラを警戒し、駆逐艦の皆に至っては魚雷を取り出して手で構えていた
「はいはい。気持ちは分かるけど落ち着いて」
???「提督ぅ。早く降りてくれませんかー?」
「黙って踏まれてなさい」
???「私にそんな趣味ないのに…」
夕立「…その人、どうみてもル級だよね?」
更に警戒の色が強くなる。皆の顔はさらに警戒を強めた顔をし、少しでもおかしな動きをすれば吹き飛ばすと言わんばかりの迫力を感じた
足元にいるル級は顔を膨らませて明らかな不満顔をしているが、敵意を知らせないように両手を上げて降参の意を示していた
ル級「全く。いきなり酷い人達ですね」
「いやまぁ敵がいきなりやってきてるんだもんな。こうなるのも仕方ないだろ」
ル級「ぶ〜ぶ〜」
愛宕「提督。なんで敵がここにいるの?ちゃんと説明してくれるんでしょうね?」
そう言って愛宕はコチラに向けて砲門を動かす。上官が敵と繋がってるかも知れないという状況なのだから、当然と言えば当然だ
説明しようと軽く落ち着かせた所、大淀が何か物申したい事があるのか手をピシッと挙げて意見申請したいとの顔をする
「はい大淀さん」
大淀「えっと、貴女はコチラに研修という形で来たル級さんでよろしかったですよね?」
ル級「イェ〜ス。それで間違って無いですよ」
天龍「け、研修?」
「簡単に言うと深海棲艦が俺達の生活がどういったものか学びに来たんだよ。いずれはコチラの生活を理解してもらって、将来的には人類と共存目指して頑張っていこう~!…って訳だ」
潮「……」
「こうなった経緯は色々あるんだけど、まぁ簡単に言うと向こうの一部がコチラに和解交渉を求めてきてるんだ。コイツはその内の一人って訳だな」
雷「えっ!?」
「だから敵として扱うなよ。まぁ味方として扱えって言われても難しいだろうから、一時休戦だとでも思ってくれ」
不満そうな皆の顔。警戒は中々に取れないようで、どうしたものかと考えると一つ考えを思いついた
「ル級、ちょっとちょっと」
ル級「?なんです?」
ル級にしゃがんで欲しいとお願いし、それを了承してくれたル級。それだけでも艦娘達は驚きの様子が浮かぶが、そのままル級の肩に跨って肩車一歩手前の状態に持っていく
驚きをこえて最早慌てふためいているが、ル級が意図を察したのか、そのまま自分の足を掴んで立ち上がり、自分ごとグルングルンと回りだして、遠心力で自分の体はさながら手に持ったタオルを回すかの如く振り回された
曙「す、ストップ!分かった!分かったからぁ!」
ル級「提督ぅ、大丈夫?」
「も、もう少し加減して…」スタッ
暁「…大淀さん、こうなるって知ってたの?」
大淀「い、いえ。まさかここまでフレンドリーな方だとは思ってなくて…元帥からは信頼しても大丈夫だとの事でしたから、一応知ってはいましたが…」
電「ル級さん、でよろしかったですか?」
ル級「イェス。ヨロシクね!」
電「はい。電は歓迎するのです」
そう言って握手を交わす2人。それを見て皆も緊張が解けたのか艤装を仕舞う。瞬間ル級の顔に企むような笑みを浮かべ、海の上でよく見るル級へと艤装が展開される
それを見て一同にしまったと顔をするが、空から一つの落下物がル級だけを見事に狙い撃ちした
その物体は水風船。ル級の頭にヒットすると中身の水が辺りへと飛び散った
自分の近くにフヨフヨと飛んでくる敵の艦載機。それが一つの紙を咥えており、それを撫でてお礼を言うと何処か嬉しそうな顔をした気がして飛んで来た方向へ戻っていった
受け取った紙を見ると一つのメッセージが書かれており、おそらくそれはル級宛だと分かったので、ル級をつついて紙を渡す
ル級「…すいませんでした」
紙を見た途端に今度は綺麗な土下座を見せてくれるル級。新喜劇の様なノリのせいで全員の顔が呆れていた
ル級「ホンの悪戯心だったんです。ですからどうかご飯抜きだけは…!」
「アホだろお前…」
電「司令官さん、さっきのって…」
「あ、言い忘れてた。このアホ以外にもう一人深海棲艦いるから」
暁「大丈夫なのよね…?」
「安心しろ。少なくとも
暁「司令官がそう言うなら…」
ル級「提督ぅ…お願いですからどうかご飯だけは…」
「今回はカップ麺で我慢してろ。バカ」
ル級「なら醤油で!」
「お前に選択肢があるとでも…?」
ル級「…はーい」
ル級の胃袋は完全に掴まれている様なので、また同じ事をする様なら今回みたいに胃袋掴んでくれている人に頼んでみようか
「長くなったが食堂行くか。そこでもう一人を紹介するよ」
艦娘達「「「はーい」」」
頭痛が痛いみたいなノリで返事されるが、皆の顔は真剣そのものだったので気にせず移動する事にした。ついでに後方で先程より厳重に武器と敵意を向けられているル級に心の底でバカにしながら
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食堂
「到着〜。ここも結構綺麗になったなぁ」
???「提督。お帰りなさい」
そう言って出迎えてくれるのはヲ級だった。頭のいかつい被り物は装備しておらず、その手にはいくつかの料理が持たれていた
ヲ級「すみません。ちょっと準備が間に合わなくて…もう少しだけお待ちいただけますか?」
「あ、なら手伝うぞ」
時雨「僕も手伝うよ」
天龍「…ツッコむのも疲れたし俺はコイツ見張ってるよ」ツンツン
龍田「私も〜」
愛宕「ル級さんは大人しくしててくださいね」
ル級「…私、問題を起こす人だと思われてる?」
川内「寧ろ起こさないから大丈夫だなんて自信は何処から来るのさ」
ル級「あぁ!だって、私と提督は一夜の関係にありますからネ!多少の事なら提督が庇ってくれるって約束したんデス!」
ビシィッと音が鳴る。空気が割れ、その場にいる者達から恐ろしい怒気をビシビシと放たれている
それはル級だけに向けられているものでは無い。自分にも突き刺す様な視線を感じ、特に電からの視線が痛みを錯覚する程だったと思う
ヲ級「修羅場…ってやつでしょうか?」
「呑気だねぇ」
ヲ級「提督に言われたくありませんよ」ウフフ
「…はぁ。とりあえずル級。こっち来なさい」
ル級「もうっ、ダーリンったらこんな所でだなんて、ダ・イ・タ「誰がダーリンだコラ」ンン〜ッ!!!」
言い切る直前でル級の胸を思いきり握り潰し、牛の乳搾りの様に千切る勢いで胸を引っ張る。それを見て龍田がサッと胸の前でガードを取った
「誰が一夜の関係だぁ?確かにお前を守るって約束はしてやったが、アレはそういう意味じゃねえだろうが…!」ギリギリ
ル級「わっ!悪かったから手を離しいぃぃ〜!!」
龍田「アレ痛いのよねぇ…」
天龍「あんな事してるが下心アリだからな。色気なんか微塵も感じねぇのに」
ヲ級「貴女達、普段提督と何してるの…?」
「第一どうやって脱ぐ…脱ぐ?」
ル級「そこは安心してクダサイ!ちゃんと脱ごうと思えば」
「脱ぐな脱ぐな。ちゃんと着てろ」
ル級「チェ〜」
ヲ級「提督、そろそろ漫才も終わりでいいですか?」
「あ、ごめん。もう分かってると思うが、このヲ級もル級と同じく研修だ。彼女の手料理はル級の胃を掴む程に美味いみたいだから期待しておけよ」
ヲ級「はい。頑張って作らせて頂きますので、皆さんどうぞよろしくお願いします」
艦娘達「………」
「うん。結構歓迎されてるな」
響「そう見えるかい?節穴にも程があると思うよ」
割とマジトーンで響に怒られてしまう。メンタルにヒビが入った様な気がするけどめげない。提督だから
「…響がキッツいこと言うとマジで心にくるな」
ヲ級「寧ろ提督が気にしなさすぎなんです。もう少し危機感を持ってください」
「そうかぁ…俺は割とお前の事信頼してるんだがな」
響「根拠は?」
「この鎮守府の防衛を担ってくれました。おかげでウチの資材は貯まる一方です」
響「タイム!!!」
「はいどうぞ」
手をTの字にしてタイム申請をする響。随分可愛らしい仕草だが、ぷっくりと膨らんだ顔が相まって更に可愛さを増している。目つき鋭いのも加点です
艦娘達「どう思う?」「どうって…」「にわかには信じられないわよねぇ…」「でも提督の言うことだし…」
ヲ級「長引きそうですね」
「…しょうがない。ヲ級。すまんが先に飯を食っても良いか?」
ヲ級「えぇ。構いませんよ」
「んじゃあ先に食ってるから、そっちの相談終わったらお前らも食えよ」
大淀「あ、では私もご一緒させて頂いて構いませんか?」
ヲ級「えぇ、勿論」
そう言ってヲ級が準備したであろう料理に手を伸ばす。だがそれを大淀が阻止し、まるで先に毒見をするとでも言わんばかりの目だった
大淀も冷静そうに見えていたが、内心ではかなり焦っていたのが分かる。美味しそうな料理を目前としているのに、その気迫は戦闘時と何ら変わりない様子だった
仕方なく大淀に一番手を譲る。覚悟を決めたままの顔で箸を持ち、料理を掴んで口へと運ぶと途端に顔色が変わる
バァっという表現が似合う位に明るい顔をし、そのまま料理を咀嚼する大淀。キラキラとした目を輝かせながらコチラを見てコクコクと頷き始めた
それを見て自分も料理に手を伸ばす。料理は茶碗に盛り付けられた白米と小皿に乗った沢庵、小鉢にはワカメと揚げが入った味噌汁。メインの皿にはハンバーグに千切りキャベツと、その側に小さく盛り付けられたポテトサラダが同じ皿に乗っている
ハンバーグを一口サイズに箸で切り分け、それを口へと運んで舌で味わいながらよく噛む
噛んだ瞬間に味わったのは良く出来たデミグラスソースの味と肉汁が混じり合い、火傷しそうな熱さが舌を襲うが、すぐさまデミグラスソースが中和して熱を和らげる
ホフホフと言いながら何とかハンバーグを噛んでは飲み込む。喉を通る時も肉汁が多少漏れ出ており、多少喉が火傷した気がするが、そんな事は正直気にならなかった
何故なら美味いからである。理由なんてこれで充分だろう
「うん。やっぱり美味いな」
ヲ級「良かった。腕は落ちて無いようで何よりです」
響「…何してるんだい?」
ジト目でこちらを見てくる響。同じような視線を大淀も受けているが、肝心の本人は一心不乱に食事に打ち込んでいる。もう胃袋を掴まれたみたいだ
「ご飯食べてるんだけど?」
響「……」
「しょうがないな…ほら、口開けな」
そういってハンバーグを切り分けて響の前に差し出す。驚いた様子で差し出されたハンバーグとコチラを交互に見つめ、頬を染めながら少し躊躇いがちに口を開けたところで、すかさず自分の口の中へとハンバーグを入れた
「ん~♪」
響「なっ…!」
「口開けたって事は食ってみたくなったんだろ。大丈夫だからお前等も食え」
響「くっ…!そんな意地悪しないでほしいよ…!」
「外にデート行った時にでもやってやるよ。だからサッサと食いな。料理が冷めるぞ」
響「!!その言葉、約束だよ!」
「ほいほい」
暁「…いただきます」
ヲ級「どうぞ召し上がってください。先程見たように毒なんて入ってませんでしたから」
暁を筆頭に次々と皆が席へ着いてはいただきますと言って料理に手をつける。口に料理を運ぶと皆の顔が喜びに変わり、そこからは料理が消えていく一方だった
島風「おかわり!」
ヲ級「島風ちゃん…食べるの早すぎですよ」
島風「だって美味しいんだもん!」
ヲ級「…あらあら。まだまだ料理はありますからゆっくりで大丈夫ですよ。ご飯は逃げませんからね」
島風「うん!」
胃袋を掴まれたのが更に一人追加され、その様子が完全に母と子だったが、それを良く思わない者が若干屈しそうな表情でその様子を見ていた
まだまだ一波乱ありそうだと感じつつも、ひとまずはこの時間を謳歌しようと心に決め、料理に舌鼓を打ちながら今後の事を考えるのだった