この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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球技大会 開催

妖精「提督、今お時間良いですか?」

 

「ん、ちょっと待ってくれ」カリカリ

 

 

元帥に送る用の書類なのでコレだけは仕上げて起きたい。その結果10分程待たせてしまったが、ひとまず完成ということで筆を置いた

 

 

「それで、どうしたんだ?」

 

妖精「…艦娘である皆さんの事です」

 

「…ビスマルクの件か」

 

妖精「はい。多分ですが、このまま放置しておくと」

「イジメだろ?」

 

「俺も分かってる。そしてそれを引き起こした原因は僕自身だ」

 

妖精「……」

 

「で、それを理解しろって話だけじゃないだろ?」

 

妖精「はい。今回の件について、私達も責任を取ろうと思います」

 

「…ごめん。意味が分からない」

 

妖精「というわけでこんな物を作ってみました」

 

「これは…提案書?」

 

 

書類『艦娘のストレスケアについて』

 

 

「……ふむ」

 

妖精「内容は主に専門的な者が対応に当たるだけでなく、提督が艦娘達へのメンタルケアになる様、各々の行動で様々な角度からケアをしていく方面に考えた提案書です」

 

妖精「私達もコチラに参加する考えです。私達以上に艦娘の事について知っている人はいないでしょうから」

 

「風呂敷がデカい。もう少しスケールダウンさせろ」

 

妖精「うっ…」

 

「確かに考え自体は良い。面白い。だが内容を見ても理想だけが先走ってる。艦娘の休みを増やす事や専門の医師を呼ぶ等。外部の者を呼ぶ事は機密の漏洩や、艦娘自体の休みを増やしてしまえば防衛にも支障が出る」

 

「もう少し内容を詰めてこい。休みや専門医は殆どの鎮守府では難しい。それよりも特定の艦娘を艦娘達のメンタルケアとなる相手になれれば良いと思う。妖精さんの中には医療に精通した奴もいる訳だしな」

 

妖精「ならそういった事が得意そうな艦娘に任せるのはどうでしょうか?明石さんや間宮さん、鳳翔さんなんかも良いと思います」

 

「悪くない考えだとは思うが、挙げられた艦娘がいない鎮守府もある。それよりも一種の仕事として置いてみるのはどうだ?」

 

妖精「艦娘、妖精の中から募るわけですね」

 

「いない場合は提督にさせよう。提督本人が嫌なら艦娘や妖精さんを選ぼうとするだろうし、両者が相手として嫌なら自分から志願するようになると思う」

 

妖精「じゃあどちらもやる気がない場合は?」

 

「その時はしょうがない。やる気がない以上あっても苦痛なだけだからな。任意って形にはするが、それでも提督には何度か催促をかける形で落ち着かせた方が良い」

 

妖精「…分かりました。ご相談に乗っていただきありがとうございます」

 

「良いって。こういう事も大事だからな」

 

妖精「では、まとめ次第書類として出させていただきます」

 

「そうしてくれ。俺の上司は元帥って事になってるから、話が通れば様々な鎮守府で経緯が見れるだろう」

 

妖精「…では提督。もう一つだけご相談をさせてくれませんか?」

 

「…改まってどうした?」

 

妖精「ここの皆さんの事です。ビスマルクさんの登場により、皆さんが少しおかしくなっている気がします」

 

「…ビスマルクの名前を始めに出さなかった辺り、原因はビスマルクではないということだな」

 

妖精「はい。これは他の皆の問題です。それは提督、貴方もです」

 

「そうだな。よく分かってるよ」

 

妖精「……」

 

「だからこんなもんを作ってる。元帥に渡すもんなんだが、ちょっと見てくれ」ピラッ

 

妖精「…へぇ〜?」

 

「面白いだろ?」

 

妖精「…確かにこれは面白そうです。他鎮守府との交流にもなりますからね」

 

「うし。じゃあ早速進めていくか」

 

妖精「…でもこれ、今の状況的にはかなりの悪手ですよね」

 

「そこは皆と俺次第だ。そもそも皆が進んで仲良くしようとしなかったら、俺が何したって無駄だろ」

 

妖精「それは…そうですね」

 

「…妖精さん。まずは僕のせいでこんな事になってしまって、すまなかった」

 

妖精「…自覚はありますよね」

 

「うん。これは僕が決断出来なかった事。もっと早くこうなる事を考えて動くべきだった」

 

「艦娘達をもっと考えるべきだった。地獄の様な環境で戦いだけの人生だった皆に、麻薬みたいな自分が来たんだ。その影響をもっと深く考えるべきだった」

 

妖精「その事については提督さんは悪く「いや、悪い」…」

 

「…浮かれてた。そして無責任すぎた。今になって吐きそうな程に理解してる」

 

「その責任は取らせてもらう。ビスマルクの名誉のために。皆のためにもな」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

数週間後…

 

 

青葉(元帥)「さぁ始まりました!球技大会!」

 

青葉(元帥)「実況は私、重巡洋艦の青葉と」

 

衣笠(元帥)「姉妹艦の衣笠がお送りいたします」

 

ビスマルク「……未だに意味が分からないのだけど」

 

電「大丈夫です。今までの練習が無駄になる事はありません」

 

ビスマルク「そういうことじゃなくてね?どうして球技大会をやる事になったかが知りたいのよ」

 

電「司令官さんから通達があったじゃないですか。忘れたのですか?」

 

ビスマルク「いえ。それもハッキリと覚えているけどね…」

 

 

 

数週間前

 

 

 

『球技大会をやります』

 

艦娘達『はい…?』

 

『ちなみに今回は深海棲艦チームもあるからル級とヲ級にも参加してもらうぞ』

 

ル級『それは本当デスカー!?』

 

『ホントホント。元帥も思いきったことするよね〜』

 

曙『…本気なの?本当にそれに参加するつもり?』

 

『当たり前じゃん。寧ろウチが参加するのは絶対だぞ』

 

曙『その理由は?』

 

『企画書作ったの俺だもん』

 

曙『…はい?』

 

『企画・提案・予算管理や世間へのPR。そして何より鎮守府同士の親睦会に丁度いいだろ』

 

山風『…それをしようとした理由はなんですか?』

 

『結論から言わせてもらうとお前ら…特に大淀とビスマルクに向けてだな。詫びと機会の二つを設けさせてもらった』

 

大淀『……』

 

『俺はお前等の上官だ。だからお前等の面倒は見るつもりだが、それでも個々の問題に首を突っ込む気はない。助けを求められたら別だが』

 

『俺が作ってやれるのは機会だけ。何かしらのきっかけ程度しか俺にはしてやれないし、それ以上はしない』

 

『大淀。お前のその感情は俺の不徳の致す所だ。俺が情けないばかりにお前にそんな行動をさせた』

 

大淀『そんな!提督にそのような事は』

 

『無いとは言わせん。それが今回の行動を起こしたんだろう』

 

大淀『……』

 

電『…アレは私達も賛同して行ったものです。大淀さん一人が悪いわけじゃありません』

 

『それじゃあますます俺の…いや、僕のせいだってことだ』

 

『僕の問題に巻き込む形になってしまった。皆の気持ちを分かっていながら、未だに踏み切れてない僕の責任だ』

 

『だから全員を責めるわけにはいかない。寧ろきっかけになってしまったこっちのせいでもある』

 

 

皆が一様にオドオドとし始めている。本当に自分の責任だと思っている様だ

 

大淀が嫉妬に任せて妖精さんの作った道具でも使用したか?そうでないと艦娘達にここまでの意識操作を出来るとは思えない

 

…或いは、本当に……?

 

 

『考えすぎだなんて思うなよ。お前等全員の不満が爆発したってのが一番理解出来る。もしそうでないなら、俺は一体今までお前等の何を見てきたんだって話だ』

 

『ま、分かってなかったから今回の事が起こったわけだが…とりあえず、細かい話はここまでにしよう』

 

『今回の球技大会はサッカーだ。即断で元帥が決められた』

 

電『あぁ…大方野球かサッカーで揉めそうだからって理由ですね』

 

『だな。んで、サッカーの人数は9人なんだが…』

 

メガネをかけた妖精『それは野球でやんす』

 

『そう決まったんだからしょうがないでしょ』っていうか君誰?

 

 

今いる人数は深海棲艦含めて20人か。ここも少しずつだが増えてきたなぁ

 

 

『まずは簡単なドリブルやパスから練習だ。練習の上達によってスタメンを決める。正直時間もないから早めに決めるつもりだ』

 

潮『あの、球技大会に向けて準備するのは良いんですけど、その間の出撃なんかはどうするんですか?』

 

『勿論やる。出撃回数自体は減らさないが、個人の出撃回数は増減させてバランスを取る』

 

ヲ級『うーん…そういう事でしたら私は遠慮したいと思います。戦闘が減るのはちょっと…』

 

『ちなみに優勝者には優勝賞品として資源ALL50000。更に数日の休みと特別訓練が授与される』

 

ヲ級『資源…』

 

天龍『訓練か…』

 

島風『お休み!』

 

『特別訓練は…まぁ、優勝してのお楽しみって事で』

 

『で、何か質問は?』

 

電『海域攻略の方に支障はあるのですか?』

 

『無いようにする。けど攻略つっても今の人数、艦種含めて攻略は無謀だ。もう少し装備と練度を整えてからだな』

 

電『承知したのです』

 

夕立『はい!サッカーするの始めてだけど、優勝の目処は立ってるんですか?』

 

『んなもんない』

 

夕立『えー…』

 

『優勝筆頭候補として元帥んとこの艦娘達が参加するからだな。部活動があるらしくって、こっそり地区大会とかに出たりもしてるらしい』

 

山風『…艦娘と戦える人間っているんですか?』

 

『地区大会でトップ4まで行ったことならあるらしい。当時の地区大会では過去に世界大会に出た事のある中学生チームや高校生なんかがトップ4にいたらしく、ギリギリで負けたんだと』

 

山風『えぇ…?』

 

『人間捨てたもんじゃないな。他に質問は?』

 

ビスマルク『じゃあ私!私は当然出るのよね!』

 

『は?贔屓なんかせんぞ。甘えんなカス』

 

ビスマルク『…冗談よ』

 

『冗談に聞こえなかったぞ。確かにコレはお前と大淀に対して詫びのつもりで設けたが、その機会を掴めずに終わるんならお前はその程度って事だ』

 

『幸いスタートラインは全員ほぼ同じだろう。それにここにいる全員と比べてお前が一番体格に恵まれている。それで負ける様ならお前の力不足ってだけだ』

 

ビスマルク『…ふぅ。了解よ。ありがとうね』

 

『じゃ、これ以上は無さそうなんで終わりだ。球技大会までは今までの訓練を少し変えてサッカーの練習をする時間を作る。そこで自分の技術を各々磨くんだ』

 

ヲ級『ちょっと待ってください。まさか訓練時間を削って取り組むおつもりですか?』

 

『そうだけど?』

 

ヲ級『駄目です。訓練を疎かにしてしまっては今後に支障が出ます。何時深海棲艦が海域を侵して来るか分からないんですよ?』

 

『ならお前はその何時来るか分からない事の為に、何時同じ機会が訪れるか分からないイベントを無視するのか?』

 

ヲ級『それとこれとは物事の重要度というのが違います!』

 

『…ったく。馬鹿真面目が。先の先を見すぎて今を台無しにするつもりか?』

 

ヲ級『提督のやろうとしていることは先の出来事を忘れてしまっているだけです。そんな事をしてしまえばいつ敵に寝首をかかれるか分かりません』

 

『…しょうがねぇな。んじゃあお前の言う事が正しいか試してみようじゃんか』

 

ル級『ち、ちょっと?提督?何する気?』

 

 

ル級が慌て始めている。それは他の皆も同じ様で、一触即発の危機を感じ取っているのだろう。特にそれを引き起こしかねない自分に

 

ヲ級が真っ直ぐとコチラを見つめて迷いの無い目を向けている。それに負けじとコチラも相手を見るが、その光景に少しばかりの策を思いついた

 

 

『ヲ級。窓の後ろにル級がいるな?』

 

ヲ級『いえ。索敵機には何の反応もありません。嘘をつかないでもらえますか?』

 

『そうか。ならル級が今何本の指を立てているか分かるか?』

 

ヲ級『ですから、ル級はいないと言っています。何故そんなにこだわるのですか?』

 

『正解は1本だ。何故こだわるかは後ろを見れば分かる』

 

ヲ級『…分かりました。見れば良いんですね?』

 

 

後ろを振り返ったヲ級が見たもの。それは口先に人差し指を立てて、シーッと声を出さない様にしているル級がいた

 

その光景に時が止まった様に動かなくなり、ゆっくりとコチラを見るヲ級の顔は悔しさと怒りが混じった不快そのものを表していた

 

 

ヲ級『…何時からですか?』

 

『偶然だ。索敵機も敵だったら報告してたんだろうが、以前来たル級なら通しても良いと思って報告しなかったんだろ』

 

ヲ級『嘘をつかないでください!だったらどうしてル級さんがここにいるんですか!?私を陥れるためじゃないんですか!?』

 

『それを考えたのは今だ。ル級が来るのなら俺も事前に通達してたよ』

 

ヲ級『っ……!そう、ですね…』

 

『誠実さを信じてくれたようで何よりだ。で、お前の今の行動に対して一つだけ指摘させてくれ。揚げ足取りになって吐くほど気分悪いだろうけどな』

 

ヲ級『…なんですか?』

 

『お前の言う事は正しい。だが正しさだけに固執して味方を信じられなくなるのはダメだ。今のお前みたく答えが見えなくなっている時かも知れない。それは何時か、とんでもなくデカイ落とし穴になってお前を苦しめるぞ』

 

ヲ級『…根拠は何ですか?』

 

『俺が経験してる』

 

ヲ級『……』

 

『全員聞け。ヲ級の様に不満がある者は申告してくれ。そいつ等は今回のイベントには参加せず、引き続き普段の業務を行ってくれ』

 

『代わりと言っては何だが、イベントに参加しない者は球技大会中の間だけ三日に一度だけアイスを奢ろう』

 

暁『アイス…!』

 

雷『司令官……暁じゃないんだからそんなので釣られないわよ?』

 

『ちなみに間宮さんちのアイスです』

 

艦娘達『通常業務を希望します!!!』

 

『……』

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ビスマルク「後半関係無かったわよね?説明らしい説明なんて初めにちょっとだけで僅か数行よ?」

 

電「まぁそういう事もあるのです。それよりもメンバーですけど…」

 

 

〇メンバー

・電

・ビスマルク

・天龍

・愛宕

・ヲ級

・レ級←?

・潮

・夕立

・川内

 

 

レ級「皆、勝ツゾー!」

 

艦娘達「「「おー!」」」

 

電「…何でレ級さんが?」

 

ビスマルク「初めて提督が球技大会の事を話した時にレ級が来てたじゃない」

 

ビスマルク「あの後、レ級もその場で参加したいと申し出たらノリで提督が了承しちゃったうえ、その間出撃も手伝ってサッカーの練習もやった上でスタメンの座を取ったのよ。忘れたの?」

 

電「見てる人は省略された時間の事なんて知りませんよ…」

 

ビスマルク「…何言ってるの?」

 

電「とりあえずフリーダムすぎる司令官さんは置いておいて、そういうのってアリなんですか?」

 

ビスマルク「んー、見た感じ良いらしいわ。ホラ、ルールの所に書いてある」

 

 

ルール

①鎮守府に所属する艦娘・一部鎮守府所属の深海棲艦を含むメンバーとする

②尚、①の特例として他艦娘・深海棲艦の強い要望でメンバー参加を申し出た場合、提督は自由に参加を決める事が可能

 

 

ビスマルク「他にも細かいルールが30個以上よ。これじゃあしおりじゃなくて企画書よね」

 

電「それだけ私達と深海棲艦は長く争ってきましたから。きっとここで起こる問題も一つや二つじゃすみませんよ」

 

ビスマルク「……最後のルール。ここが私達と深海棲艦との一線。そう考えた方が良さそうね」

 

 

ルール㊱

・争いは全てスポーツにて行う事。それ以外のいざこざは粛正対象とし、厳しい厳罰を双方に与える。この判決には提督・深海棲艦も参加とする

 

 

電「……もっとも、私達が警戒すべきは深海棲艦との対立だけでは無いのは確かです」

 

 

回りに視線を向ける。向けた視線の端から端までが全て誰かからの睨まれているかのような視線を感じる

 

提督、艦娘、深海棲艦。それぞれからの視線は嫌悪や恐怖の様な恐れの感情を感じる

 

もしこれが普通の人であれば、耐え切れずに呼吸するのが難しくなる様な集団からの圧。今まさに、自分達はそれに押し潰されようとしている

 

私達の鎮守府で深海棲艦の受け入れをしている。これが他の鎮守府にも周知の事実となった

 

提督や艦娘から感じるのは反逆を起こすのでは無いかと恐れられ、深海棲艦からはまるで自分達を否定する様な嫌悪の感情が向けられている

 

さながら海の真ん中で敵の潜水艦に囲まれている感じだ。今はまだ視線だけだが、それがいつ牙を向くのか考えると、心臓の鼓動が速くなっていった

 

 

電「こんな緊張感は実戦だけで十分です」

 

潮「あ、電ちゃん。ちょっといい?少し手伝ってほしい事があるんだけど…」

 

電「分かりました。今行くのです」

 

ビスマルク「…さて、私は何しようかしら」

 

???「ねぇ君、ちょっと良いかな?」

 

ビスマルク「あら、何かしら?」

 

 

声の主の方へと振り返る。そこには提督より20は歳上そうな男性がいた

 

肩幅が広く、足も長い。軍人として長く携わって来たのか、圧のような見えない力強さを感じた

 

けど、何処か嫌だ。言葉の軽さは親しみを込めやすいかのように振る舞われてるけど、その声には何処か後ろ暗さを感じた

 

 

何処かの提督「ビスマルクだよね?早速で悪いんだけど、君をスカウトしに来たんだ」

 

ビスマルク「そういう事は提督に言ってくれない?私に言われても困るわ」

 

何処かの提督「まぁそう言わずにさ、ウチに来なよ。今の君の所よりも活躍だってさせてあげられるし、戦果だってトップになるのは間違いないさ」

 

 

言葉に引っかかりを覚えた。それが何かを考えるより聞く方が早いと思い、つい口に出してしまった

 

 

ビスマルク「どうしてウチの事を知ってるの?」

 

何処かの提督「君の所は有名だからね。勿論、悪い意味でだよ?」

 

ビスマルク「…はぁ?」

 

何処かの提督「何処の馬の骨かも分からない人間で、しかも本来君等の提督になる人は君達の鎮守府で警護に回ってる。これじゃあ君等の鎮守府はどっちにしろいつかは潰れてたよ」

 

何処かの提督「元帥や大将といった人に気に入られてるけど、他人に媚を売って気に入られただけ。他の鎮守府との繋がりもそうだったんでしょ?」

 

 

確かにそうだ。自分もここに…いや、産まれてから出会った提督は何人かいるが、その殆どが歳を取った者達であった

 

だが自分の提督は若すぎる。それに提督としての知識なんて他と比べたら天と地程の差がある位だ

 

それに頭も悪いと本人が言うくらいには酷い。だから他所の提督がこんな評価になるのは仕方のない事だと思う

 

…だが、それでも

 

 

ビスマルク「ごめんなさいね。私、人を落として自分を上げる人って嫌いなの」

 

何処かの提督「はっ?」

 

ビスマルク「あ。でも、そういう意味で言うならウチの提督も結構アレよね…」

 

何処かの提督「いっ、いやっ、そういう事を言いたいんじゃ無いんだ。自分はただ君をスカウトしたくて…」

 

ビスマルク「ん〜、あっ!こう言えばいいのよね?」

 

何処かの提督「う、受けてくれるの「私、貴方が生理的に無理なのよ」」

 

ビスマルク「だから他所を当たってくれる?」後タイプじゃないの

 

何処かの提督「い、いやっ。そういう事じゃなかったんだ。僕の所へじゃなくても良いから、少しだけ他所の鎮守府も見てほしくってね?」

 

 

言葉と一緒に手が伸びてきたが、すぐさまそれをはたき落とす

 

無礼な態度にいっそ殴ってしまおうかとも考えたが、提督を殴るのは流石に不味いし、そうなった場合は本当にこの提督のいる所に向かう事になるのかも知れない。艦娘の扱いもなっていない提督の元へ行くのはお断りだ

 

だが人も集まってきている。何処かで切り目を見つけなければややこしい事になるのは明白だ

 

 

ビスマルク「そっちの鎮守府では初対面にこんな挨拶をするのね。礼儀の欠片もないわ」

 

何処かの提督「くっ…!君も君だ!どうしてそこの鎮守府にこだわるんだ!他に良いところなんて山ほどあるだろう!?」

 

ビスマルク「そっちの理由なんて知ったこっちゃないわ。私はあそこが気に入ってる。それだけよ」

 

何処かの提督「…っ!じゃあせめてその理由を教えろ!そうじゃないと気がすまない!」

 

ビスマルク「…良いわ。理由なんて簡単よ」

 

ビスマルク「私、提督とカッコカリの約束してるのよ」キラッ

 

 

そう言ってカッコカリの指輪を見せる。提督からは虫除けだと言われて渡された物だったが、確かにコレは良い虫除けになりそうだと思った

 

 

何処かの提督「なっ、はぁっ!?」

 

群衆『えぇ…』『また元帥みたいな変人が…』『しかもあそこって駆逐艦にも渡してるんでしょ?』『重婚にも限度ってものが…』

 

ビスマルク「…?何でこんなにざわつくのよ。たかがカッコカリの指輪でしょ?ホントの結婚じゃないのに…」

 

何処かの提督「…まさか、知らないのか…?」

 

ビスマルク「何が?」

 

何処かの提督「…カッコカリってのは艦娘の能力が限界に達した時に渡される物だ。それを限界にまで達して無い艦娘に渡す理由なんか一つしかない」

 

何処かの提督「この戦争が終わったら結婚しよう。そうプロポーズされてるんだぞ?」

 

ビスマルク「……はっ?」

 

 

けっこん…?ケッコン……結婚!?

 

あの提督そんな事言ってないわよ!?ただの虫除けだって言われてたのに…アレってそういう事だったの!?

 

 

何処かの提督「クソ…今回は諦めるか…」

 

ビスマルク「ち、ちょっと!待って!私別にそんなつもり…!」

 

ビスマルク「……ない、わよ…」

 

 

ボソボソと声が小さくなっていくのが分かる。でもそれ以上に心臓の鼓動が大きな音を立てて速くなっていくのが止められない

 

…私、プロポーズされたのよね?ホントに…そうなのよね?

 

もしかして、始めて大淀があんな態度を取ってきたのって…提督を取られると思ったから?

 

……いやいや。思い込みにも程があるわ。そんな事あるはずないじゃない

 

ハリボテみたいな人で実際はオドオドしてて頼りないし頭もあまり良くない。顔だって普通よりちょっと良いくらいで、周りからの評判もそこまで高くなくて…

 

…でも、不思議と悪い気はしていないの。でもだからといって、そこまで踏み切るほどじゃないわ

 

…少し様子を見ましょうか。それで移り変わる様なら、それはただの思い込み。もし変わらないのなら…本気って事よね

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