この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
青葉(元師)『始まりました!第8試合!対戦カードは元師チーム対提督チーム!』
衣笠(元師)『今更なんだけど、どうして提督チームって名前なのかしら?』
青葉(元師)『何でも提督曰く、階級を付けたらカッコつかないとの事です』
衣笠(元師)『そういえば中堅少佐でしたね』
青葉(元師)『彼の所は少数精鋭ですからね。人数を増やせば遠征や出撃やらも出来るでしょうが、あちらの方針でそこまで急いていないらしいです』
青葉(元師)『少数精鋭という事はつまり幅が無いという事。しかし今回に限っては寧ろ悪手となっているかも知れません。変えの選手がいないという事になりますからね』
衣笠(元師)『それに選手ごとの特徴が分析されやすいって事でもあるわ。だけどここまで一度も選手交代をしていない元師チームもそれは同じ。この試合はどちらが優れていてのか?その一点に決まると言って良いかもね』
青葉(元師)『ちなみに元師チームは交代しないとのお話を聞いております。どうやら徹底的に力を見せつける方針らしいです』
衣笠(元師)『見せつけるって…』
青葉(元師)『まぁ見守りましょう。自分達も詳しい事は何も知らないんですしね』
〇提督メンバー ※P・・・ポジション
・ビスマルク P:FW
・夕立 P:FW
・電 P:MF
・ヲ級 P:MF
・レ級 P:MF
・川内 P:MF or FW
・潮 P:DF
・天龍 P:DF
・愛宕 P:GK
ビスマルク「嫌に含みのある言い方をするわね」
電「皆さん、準備は良いですか?」
全員「勿論!」
電「では参りましょう。今日の主役は私達です」
天龍『電のやつ、どうしちまったんだ?』
川内『正直心当たりがありすぎるけど…でもやる気があるのは良い事じゃない?』
電 ブツブツ
川内「?」
電『許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない』ブツブツ
川内「ヒッ」ゾワァッ
天龍「ん?どうした?」
川内「い、いや…何でもない…」
川内(ホ、ホントに何があったんだろ…)
〇元師メンバー
・磯風(元師) P:FW
・夕立(元師) P:FW
・島風(元師) P:MF
・雪風(元師) P:MF
・大井(元師) P:MF
・北上(元師) P:MF
・オイゲン(元師) P:DF
・卯月(元師) P:DF
・大和(元師) P:GK
磯風(元師)「ふふ…これさえ勝てばケッコンが…」
島風(元師)『確か相手の提督にプロポーズするんでしょ?そんなに上手くいくかなぁ?』
大和(元師)『さぁ…?いっそどうしてそこまで自信があるか聞いてみましょうか?』
島風(元師)『やめとこう。今ここでそれを言っても何にもならないし』
大和(元師)『うぅ~。でも気になります!』
雪風(元師)「磯風。そんなにやる気を出してるのは何で?」
2人(き、聞いたー!?)
磯風(元師)「おっ、聞きたいか?聞きたいんだろう?」
雪風(元師)「あ、やっぱりいいや。長くなりそうだし」
磯風(元師)「ちょっ、何故だ!?」
卯月(元師)「どうせ磯風の事だから強引に迫って無理矢理結婚の約束をしたんだと思うぴょん」
磯風(元師)「そんな事をするわけないだろう。提督が入院していた時に、定期的に料理を差し入れたり、身の回りの世話をしただけだ」
磯風(元師)「日に日に弱って大変だったんだが、お前を一人にする訳にはいかないと言われてな。これは最早婚約と思ってしまっていいだろう?」
島風(元師)「絶対料理が原因だよね」
卯月(元師)「一人にする訳にはいかない(お前を一人にしたらどうなるか分からない)ってことだよね」
青葉(元師)『うーむ。どちらのチームも覇気がずば抜けているのが一人いますね』
衣笠(元師)『ねぇ、電のアレって…』
青葉(元師)『やめておきましょう。触らぬ神に祟りなし。ですからね』
青葉(元師)『さぁ両選手。並んで挨拶を交わしました!ただいまより、第8回戦を始めます!』
青葉(元師)・衣笠(元師)『今、キックオフです!』
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ビスマルク「まずは様子見ね」
夕立「作戦は覚えてる?」
ビスマルク「勿論。速攻でシュートよね?」
夕立(元師)「させると思う?」
開始から5秒も経たない内に元師チームの夕立がコチラへ突っ込んできて、そのままボールを奪取された
それを見計らってか磯風が後に続いて来ており、私達は後ろに向いてボールを奪いに行かなければならない状況へと陥った
電と島風が夕立をブロックしに向かうが、ボールを上空へと高く蹴り上げ、皆が上へと意識を追いやっている内に、夕立の足は更に内部へと進んでいた
高く打ち上げたボールの軌道は予想出来ない、突発的な打開策として上げられたモノだと考えた。だがその考えは甘かった
自由落下で落ちてくるボールを取るためにその下で待っていた電達の頭上を、一人の艦娘がボールを風を切るかの様に掠め取っていった
磯風だった。すぐさまボールを夕立へとパスした後、ディフェンスの天龍達を障害物を避けるかの様にすり抜け、ゴールへと向かってシュートを決めた
夕立の放ったボールはゴールの角を捉えてそこ目掛けて向かっていく。その場に立った者達が確信さえ感じていたゴールだったが、ゴールキーパーである愛宕がそれを読んでおり、パンチによるコートからの弾き出しで何とか難を逃れた
この間たったの15秒である。その気になれば何時でもお前達の点は取れると言われているようで、少しだけムカッ腹がたった
青葉(元師)『早い早い早ーい!何と元師チーム、僅か15秒の内にシュートを決めたー!』
衣笠(元師)『いくらなんでも早すぎでしょ!?序盤にここまで飛ばしてちゃ後半持たないわよ!?』
青葉(元師)『うーん。もしかしたらそれが作戦なのかも知れませんね』
衣笠(元師)『いやまぁ…元師の性格考えたらそういう作戦立てそうではあるけどさぁ…』
電『皆さん、元師チームはおそらく速攻で点を決めてコチラの戦意を削ぐ作戦かと思われます』
天龍『つまり電撃作戦的なやつか?』
電『概ねあってます』
潮『で、ですがその分、アチラの体力が無くなるのが先と思われます。だから後半まで粘れば…』
ヲ級『多分ですが、今のペースでいくと前半終了までには10点以上は取られてしまいそうですね。そうなるといくら相手が疲れているとはいえ、後半になっても巻き返す事は難しいかと思われます』
レ級『前半15分。後半15分の合計30分。後の試合も考えたらここで余力は残しておきたいところだけど、そうも言ってられそうにないな』
電『ではまぁ、何となく想定していた事ですし、作戦:車でもいきましょうか』
全員『了解!』
作戦:車・・・ゲーム:ロケッ◯リーグを模した空中での勝負に持ち込む
磯風(元師)「何やら作戦を立てている様だが、果たしてその作戦が通用するかな?」
電「まぁ、見てのお楽しみですよ」
磯風(元師)「では、まずはこのボールを奪う事から始めないとな」
電「司令官さんを盗ろうとしてくる人から奪うのは心が痛まないで助かりますね♪」
磯風(元師)(…電ってこんな性格だったか?もう少しこう…優しさを感じるような性格だったはずなんだが…)
電 後ろから飛び出す何かのオーラ+瞳のハイライト消失
磯風(元師)(あ、駄目だ。これは殺される。というかここ数ヶ月の間に何があったんだ…)
電の上を通る様に大きくパスが出され、弧を描いて飛んでいったボールは元師チームの夕立のもとへと飛んでいく
パスの姿勢を取ろうとした夕立の前に、先程の磯風のリプレイを見ているかのように一人の影が彼女を覆う
川内だ。空中で蹴られたボールはやや高度を上げながら相手ゴールへと向かっており、既に相手フィールドまで前進していた夕立のもとに落ちていく
しかし夕立はその場で跳躍し、ボールを地面に落とすことなくそのまま相手ゴールへと向かってシュートを放つ
ゴールへギリギリ入る高さで飛んでいくボール。大和もそれを見て構えていたが、そこに追撃をかけるように私が走る
今いる場所はゴールの直ぐ側。当然大和も警戒しており、近くにはオイゲンと卯月が自分の妨害をする様に立っている
だけど今この場では私と同じ身長であるのは大和だけ。他2人の身長では私には届かない
ならばまだ勝ちの目はある!…そう確信していた
ボールが飛んでくるタイミングに合わせてヘディングでボールをシュートする。目論見通り、妨害してきた2人は簡単に超える事が出来た
問題は大和の方だった。ボールの軌道を読んでいたのか、すぐさまキャッチされたかと思えば、サッとボールを地面に置いて体勢がやや崩れながらも轟音が鳴り響く強力なシュートが放たれた
ボールの蹴る音が爆発音に間違えてしまう程の強力なシュートはコートに立つ皆の頭を越えて私達のコート側へと飛び、ゴールのクロスバーにぶつかってその動きを止めた
設置されていたゴールは完全にひっくり返っており、先程放たれたボールの威力をその惨状が物語っていた
青葉(元師)『…お、おぉ』
衣笠(元師)『大丈夫?って、聞くまでも無いか』
青葉(元師)『す、凄い!元師チームの猛攻に反旗を翻そうと提督チームがカウンター!だがしかし!最後の最後で大和選手という最後の砦がその道を阻んだ!』
青葉(元師)『待っていたのは更なるカウンター!試合再開から先程と同じ約15秒で提督チームが元師チームのゴール前まで行けた事に驚きですが、大和選手の渾身の蹴りで放たれたボールは僅か3秒で相手ゴールへ到達!』
青葉(元師)『惜しくもゴールとはなりませんでしたが、それでもゴールをひっくり返す恐るべきパワー!最早この人にポジションは関係無いと言わんばかりの様でした!』
衣笠(元師)『大和は低速艦の戦艦だけど、だからこそGKというポジションは大和に向いてるわね。あのパワーならあまり動く必要のないGKが一番輝くんだもの』
青葉(元師)『流石は日本が誇る大和というべきでしょうか!この恐るべき敵を前に、提督チームはどう攻めていくんでしょうか!?』
ビスマルク「ごめん!最後甘かったわ!」
夕立「コッチも少し急ぎすぎた。もう少し引きつけておけばまだチャンスはあったかも」
川内『二人共、一旦こっちに戻ってきて』
夕立『ボールはどうするの?』
ヲ級『諦めましょう。正直こちらの消費の方が激しいです』
愛宕『正直な話、本気で大和さんのボールを止めても多分そのままゴールに押し込まれるわ。アレを止められる自信がないの』
潮『では、まずは大和さんのカウンターから攻略しましょう。それを考えてから攻撃に転じれば良いかと思います』
電『賛成です。反対の方はいませんか?』
天龍『いないんじゃねぇか?というかあんなの見せられて速攻で対策立てられたらビビっちまうよ』
電『では、作戦:触手で行きましょう』
全員『了解!』
作戦:触手・・・相手にピッタリくっついて妨害するディフェンス重視の作戦。要は愚直に頑張るだけ
ビスマルク「…今更なんだけど、作戦名って誰が考えたの?」私知らないんだけど
夕立「大淀さんが考えてたよ」
ビスマルク「…私、大淀のセンスが良く分からなくなってきたわ」
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天龍「…で」
提督チーム:0
元師チーム:1
試合時間:(前半)1:37
天龍「早すぎだろぉ!?」
青葉(元師)『おーっと!提督チーム、いよいよ先制点を許してしまったー!』
衣笠(元師)『相手に絡みつくみたいな防御は良かったと思うわ。だけど防御に徹してるせいで、上手くチャンスが作れなかったわね』
青葉(元師)『しかもゴール出来た理由が、雪風さんがシュートした瞬間に突風が吹いて軌道の読めなくなったボールが飛んで来てましたからね』超次元サッカーでももうちょっと理に適った事をしてますよ
愛宕「天運の持ち主ね…」
天龍「理不尽すぎんだろアレ!ボールが空中で3回も方向転換しながら飛んでったんだぞ!?」
ヲ級「次雪風さんが来た時は私が止めます。私なら風が吹いても読む事が出来ますから」
天龍「…すまんがそうしてくれ」
電「触手は良い考えだと思ったんですが、時間稼ぎには少し相手が強すぎましたね」
レ級「提督も勝負を長引かせたいならしつこく相手に張り付けって言ってたもんな。だけどやっぱり相手が上だ」
夕立「…じゃあさ、決勝は無理になると思うけど、ここで全力出しちゃわない?」
川内「賛成。流石に元師の所に負けるわけにはいかないもんね」
ビスマルク「でもどうするの?流石に残りの時間をフルでやり切れるほどに体力無いわよ?」
愛宕「前半はディフェンスに集中して、後半で攻めに集中するのは?チャンスがありそうならたまにシュートを出して、大和の弱点を探すの」
電「んー、ちょっと大和さんの動きをもう一度見たいので、すみませんがもう一回だけ攻めてもらえませんか?以降は愛宕さんの作戦でいきましょう」
全員「了解」
潮「あ。それでしたら、チャンスが生まれた時にビスマルクさんに試してほしい事があって…」
ビスマルク「ん?何かしら?」
青葉(元師)『おっと。提督チーム、先程の得点からポジションを少し変えてきましたね』
・ヲ級 P:MF → DF
・川内 P:MF or FW → DF or MF
衣笠(元師)『ヲ級がMFからDFに変更。川内はDF寄りのMFになったわね』
青葉(元師)『防御を固めてチャンスを伺うつもりですかね?こうなってくると元師チームも少しやり辛いか?』
磯風(元師)「ふむ。まぁそこまで問題は無いだろう。流石に攻められた時のような空中戦だと多少分が悪い様に思うが」
北上(元師)「どうする?私と大井っちで前に出ようか?」
磯風(元師)「いや、まだまだ余裕はある。元師からの指令を守るにはまだ大丈夫だろう」
北上(元師)「んー、まぁそれもそうだねぇ」
元師『これから当たるあの提督チームについてだが、思いっきり叩き潰す勢いでやってくれ』
大井(元師)『それはまた、どうしてですか?』
元師『アイツの所にいる達だがな、他の同型艦と比べて成長が速すぎるのは知ってるだろ?』
大井(元師)『はい。もし手段や方法を選ばないとしたら、私達の練度にはあと数ヶ月で追いつかれるかと思います』
元師『だろうな。もし長期戦にでもなれば、彼奴等は凄まじい学習速度で私達から得点を奪い、優勝してしまうかも知れない。流石に今回の球技大会で勝たれるわけにはいかんからな』
大和(元師)『提督が他の方達に、今回の球技大会で私達が負ければ一つ願いを叶えてやる。なんて言わなければ良かったんですよ』
元師『まぁまぁ、勝てば良いんだ。勝てば』
大井(元師)『少しは立場と言うものを自覚してますよね?』ガシャン
元師『分かってる。だから酸素魚雷をコッチに向けないでくれ』
元師『それに私は誰に。なんて一言も言ってないぞ。ただ願いを叶える。としか言ってないんだからな』
卯月(元師)『おぉ。元師ってば悪戯の心理をよく心得てる〜』
オイゲン(元師)『…こんな人が私の提督で大丈夫かなぁ』
元師『さて、話を戻すぞ。さっき言った通りの事にならない為にも、彼奴等には学習する隙を与えない事だ。前半からガンガン点を取っていき、後半になっても追いつけない程の差を出して勝ち逃げするんだ』
北上(元師)『でもさー、成長が早いってのは練度での話でしょ?サッカーに天才的な才能が無い限り、そんな事起こり得ないと思ってるんだけど?』
元師『まぁそうだろうな。こんな事しなくてもお前らはきっと勝つだろう』
北上(元師)『じゃあなんで…』
元師『なに。ちょっと最近調子に乗ってきてるみたいでな。提督にやっても効果なんて見込めそうにもないから、艦娘に焦点を当てただけだ』
島風(元師)『理不尽すぎない?』
元師『こうでもしないと井の中の蛙だ。いい加減、日の目を見る時が来たと言うだけだ』
雪風(元師)『相手の方達。って言葉の前に付けないのを考えると……今回の球技大会は私達の力を見せつけるため。そしてあの提督を過小評価させるため。って認識で良いですか?』
元師『…そうだな。これも大人の外交というやつだ』
雪風(元師)『初めからそう言ってください。短く済む話がダラダラ長引いたじゃないですか』
元師『…雪風が大淀みたいなこと言い出した』
磯風(元師)『ま、とりあえず提督の思わんとすることは理解した。そういう事なら遠慮なく力を震わせてもらおう』
元師『頼んだぞ。まだ他の奴らにアイツが目をつけられるのは困るからな』
全員(元師と頻繁にやり取りしてるって時点で大分手遅れじゃ…?)
磯風(元師)『先程と同じく攻めでいくぞ!相手に囲まれるな!』
元師チーム『了解!』
青葉(元師)『さぁ、試合再開です!』
夕立「ビスマルク。電。準備いい?」
ビスマルク「勿論」
電「行きましょう」
青葉(元師)『おっと!提督チーム、前に出てきたのは3人だけ!これはどういう作戦だ!?』
衣笠(元師)『前に数人出るのは何ら不思議じゃない。けどさっきまであの猛攻を見せた元帥達にその人数じゃ、心許ないと思うけど…』
ビスマルク「…ズバッと言うわね。その通りだけど」
ドリブルで少しずつ前に出る。三人の距離はそれぞれ3mあるかないか程度の距離感で少しずつ前進する
当然進路を妨害される。すぐさまパスを出し、自分一人にボールが集中しないように回していく
だが攻めてくる数が多い。磯風と夕立に加え、島風と雪風もコチラに攻めてくる
3対4。分が悪い勝負。こんな時に勝つ方法は…
ビスマルク「全員!飛ぶわよ!」
磯風(元師)「さっきの空中戦か?芸がないな!」
コチラに向かってくる磯風がボールへ足を伸ばす瞬間、ボールを腰の高さまで蹴り上げる
それを狙っていたと言わんばかりに磯風の蹴りがボールを捕らえようとしたが、それよりも遥かに早く、体を反らしながら自分の足を天に向かってボールと一緒に蹴り上げた
地に左足。空に右足。正面から見たらカタカナのトの形に自分の姿はなっている。あまりカッコいいとは言えないポーズだが、自慢げな言葉を言えるほどに自分は体を上手く使えない
天高く昇ったボールは更に高度を増していき、やがて空の風によってボールは動きを変えだした
ヲ級『約5M右斜め前に動きます』
夕立『了解!』
夕立がブロックを突破して落下地点予測へと足を動かす。相手の意識がボールへと向いていた為、一瞬早くコチラが動けた
落下予測地点から約1メートルの所で既に電が待機していた。片足を前に出して少し浮かせ、夕立の方を向いてコクリと頷いた
夕立の足が電の片足に全体重を乗せて乗っかり、電はそれに顔を悪くする事もバランスを崩す事もなく、そのまま夕立を空へと蹴り上げた
観客席から歓声が聞こえる。まるでその声に後ろを押されているかの様に、夕立はグングン空へと昇っていく
自分も前へ。そう考えていたが、眼前に立ちはだかる島風と磯風が先に進むのを許してくれない。コレでは作戦が成り立たなくなってしまう
何とか隙を。そう考えていた矢先、後ろから声を出しながら迫ってくる一人が見えた
レ級「ビスマルク!コッチは任せろ!」
島風(元師)「嘘!?一気にここまで攻めてきたの!?」
レ級「じゃっ、二人には悪いけどシュート決めてくるなー!」
磯風(元師)「島風!レ級を頼む!」
島風(元師)「了解!」
島風がレ級を追いかけ様とした矢先、空に舞い上がった夕立によって蹴られたボールがゴールへと飛んでいった
大和が手を上に挙げてゴールを守る。大和の身長ならば立っている場所のゴールは隠せるし、何より彼女自身にとてつもないパワーがあるので、バレーを彷彿とされるブロックでも鉄壁の防御と変わりなかった
蹴り放たれたボールは正確にゴールポストに命中し、ボールをゴールから突き放す様に離れていく
一瞬、元師チーム全員に安堵の顔が見られた。一度目のシュートを見ていた彼女達にとって、先程のシュートは確実に狙って飛んだ物だと思っていただろう
その安堵は油断。または余裕であった。それは彼女達が自分達の事をまだ取るに足らない存在だと思っている証明でもあった
そんな期待を裏切る様に、ボールの弾かれて落下してくる地点を予測していたレ級が右回りでボールを狙い、狙いすまされた蹴りによって飛ぶボールが再びゴールに向かって飛んでいく
すぐさま防御体勢を取る大和であったが、今度もゴールポストにぶつかってゴールは叶わなかった。しかしゴールが動く程に強力なシュートであった為、弾かれるボールもその分大きく弾かれた
ビスマルク「じゃっ、私も抜けさせてもらうわね」
磯風(元師)「なっ!?」
全員がゴール前へ集っている最中、磯風のブロックを避けて”コチラ”へ飛んできているボールをゴールへと蹴り返す
今、ゴール前を守る艦娘は殆どが右側に集まっている。逆に言うなら左側はかなり空いていた
狙いはゴールの左斜め上。練習では2割程しか成功しなかったシュートだが、確実に成功出来る場所は全て大和にブロックされてしまうだろう
だから賭けた。結果として、その賭けは上手くいった
ボールは想定していた軌道に上手く乗り、狙いすました場所へと確かに飛んでいった
だが、その渾身の蹴りもDFで立っていた艦娘によって防がれてしまった
オイゲン(元師)「いったぁ〜!」
ビスマルク「オイゲン…!」
オイゲン(元師)「うぅ〜。他鎮守府のビスマルク姉様と言えど、試合となれば負けませんから!」
ビスマルク「…ふふっ。えぇ。それは私も同じよ」
ボールはフィールドの外へと転がっていく。ここから仕切り直しの時間だ
一気に攻める戦略もこれ以上は通じない。作戦はまだまだあるが、何処までそれが元師達に通じるのか
未だ決めきれていない作戦に焦りはあるが、それよりも必ず勝つ気持ちだけは未だくすむことはなかった