この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
ビスマルク「全員退くわよ!何としてでもボールを奪取しないと!」
夕立「そうは言うけど…」
2秒前
夕立「今度は決める!」カスッ
雪風(元師)「あ、もーらい」トン
夕立「あっ…」
現在
レ級「まぁまぁ、誰だってミスはあるって」タッタッ
雪風(元師)「磯風、どう思う?」ダッダッ
磯風(元師)「夕立の蹴りか?」ダッダッ
雪風(元師)「うん。このまま続けたらアッチが体力不足で倒れるのが先だと思うんだけど」
磯風(元師)「さっきのミスは偶然ではなく、体力が消耗していたから。とでも言いたいのか?」
雪風(元師)「あれ?違った?」
磯風(元師)「…いや、その通りだと思う」
相手チームが数分で体力の殆どを使い切ったと考えるのは少々危険だ。まだそれを決めるのは時期尚早だと思うが、しかし体力の消耗は通常より早いと考えるべきだろう
始まって直ぐに空中からのカウンター。あんな事をして消耗が無いわけがない。私の見立てでは残り体力78%と言ったところか
さっきの夕立のミスは偶然によるものが大きい。だが体力の消費が中々に早い為、雪風の言っていた体力消耗にも同意した
磯風(元師)「まだまだ時間はあるんだ。途中でガス欠なんてやめてくれよ?」
電「通しませんよ」
ハイライトの消えた電が私の前に立ちはだかる。何故ここまで恐怖を感じさせる顔を出来るのか分からないでも無かったが、いきなりこの顔で来られると恐怖よりも驚きの方が勝つ
直感的に驚きで体が硬直すると感じた私は、隣を走っていた雪風に対してボールを渡す
雪風もそんな私の意図を理解してか、渡したボールを受け取ってすぐさま相手ゴールへと走っていった
電の横を抜き去り、そのままガンガン奥へと突っ込んでいく。抜けられたショックで眼前の電に多少の動揺は入ってもいいと思ったが、光のない目が完全に私だけをマークしてて隣で抜けられた事にすら気付いていないのではないかと思う
雪風がゴールへと近づきつつあるが、横から川内がボールを蹴って雪風の足元からコート外へとボールが転がっていく
しかし同じ事。このままコート外へ出たとしても私達のボールとなってさっきと同じ事を繰り返すだけだ
しかしヲ級がそれを阻止。いつの間にか近くに来ていたらしく、コート外へ出ようとしたボールは再び大きな弧を描いて私達のゴール方面へと飛んでいった
目まぐるしく変わる展開に翻弄されつつあるが、それは相手も同じ事。体力の消耗で考えると相手の方が先に体力切れを起こし、以降は私達の独壇場になる筈だ
しかし問題は別にある。このままでは元師の任務が遂行出来ないという事だ
思いの外やってくれる。後輩が育っているのは先輩として嬉しく思うが、正直ここまでとは思わなかった
こんなに健気に向かわれると思わず本気を出したくなってしまう。だが後の事を考えてそれはやめておく。相手の方はそうではないみたいだが
ビスマルク「f○○k!何でボールをドリブルしながらあんな速度が出せるのよ!?」
空を飛ぶボールを追いかけて何度目のダッシュだろうか。いい加減に少し疲れてきたので気を紛らわす為に先程の展開を思い返す
普通に走っているのと大差ない速度でドリブルをしながらパスまで回していた磯風と雪風。どうしたってボールを持ったら速度は落ちると思うのだが、それを何の意識もしてないかの様にアッサリとボールを運んでいるのには焦りを覚えた
掴もうとすれば離れていく。巧みな足捌きでボールは何度も軌道を変え、更には自分よりも優位に出来ると魅せてくる。何度も起こるそれにもどかしさが募り、イライラと焦りが収まりきらない
潮「ビスマルクさんはともかくとして、私も追いつくので限界!ボールを盗ろうとした瞬間にスピードが落ちちゃう!」
夕立「どうする?このままボールを打ち上げるの続けてもそろそろ対応されそうだけど?」
北上(元師)「せいか~い」
夕立「うわっ。でたっ」
大井(元師)「お先にボールもらうわね」
大井が跳躍し、空中で弧を描くように蹴りを二回してその遠心力で更に宙へと昇っているかの様に見えた。アレはさながら『ジェノサイドカッターだー!』
青葉(元師)『大井選手!ジェノサイドカッターで発生する僅かな滞空時間を利用してボールを奪取!完璧な再現でした!』
衣笠(元師)『元ネタは餓◯伝説だと思ってんだけど、調べてみたら全然違うくてビックリしたわ。しかも元は似た別名だったのよ』タプタプ
ビスマルク「…」
夕立(ビスマルクがワ◯ピースのイン◯◯◯ウン編でバ◯ーが自分のとっておきを忘れられた時みたいな表情してる…)
大井(元師)「北上さん!」
北上(元師)「オッケー!」グッ
掛け声を合図に北上が前転で前へと転がり、足の裏を空へと向けたポーズで止まったかと思えば、そのまま勢い良く手を地面から突き放して体勢を維持したまま大井の下へと飛んでいく
二人の足がピッタリと合わさり、ボールを未だ保持している大井が膝を曲げた
大井(元師)「いけぇ!私達の新必殺技!」
北上(元師)「スカイラブハリケーン!」
北上の射出と大井自身の跳躍によって大井が見たこともない程の高さへと飛んでいった
5Mはあろうかと思われる高さまで飛び、後ろ回し蹴りでサッカーボールを蹴った
ボールは私達のゴール目掛けて飛んでいき、愛宕がそのボールを受け止めはしたのだが、威力がありすぎたのか愛宕も一緒にゴールへと押し込まれてしまった
青葉(元師)『決まったぁー!元師チームコレで2点!更にリードを広げていきます!』
衣笠(元師)『今度はキャプテン◯ね。ここぞとばかりに必殺技がガンガン出てきて、見てて飽きないわ』
青葉(元師)『そこで伏せちゃって大丈夫ですか?』
衣笠(元師)『分からない人には罵倒が入るし、罵倒が分からない人は検索かけると思うから心配いらないわ。調べる事すらしない人はただのお馬鹿よ』
青葉(元師)『色々な意味で怒られそうです。さて、ここから提督チームはどう挽回していくんでしょうか?』
ビスマルク「スカイラブハリケーン…体力の消耗が激しいけれど、シュートやアシスト等の様々な場面で使える技ね」
夕立「あの二人だからこそ出来たと思う。だけどビスマルクの言う通り体力の消耗が大きいから、そう連発してくる事は無いと思う」
愛宕『ごめん。流石にアレを止めるのは無理だった』
レ級『気にしなくて良いぞ。合体技は格上相手に充分通用する技だからな〜』
潮「ビスマルクさん。さっきお伝えした事は出来そうですか?」
ビスマルク「多分…今なら可能だとは思うわ。さっきまでずっと強襲めいた事を繰り返してたから」
ビスマルク「でも愛宕が言っていたディフェンスに集中する事。コレを守りながらやる事になるからそこまで大した事は出来ないけど問題なさそう?」
潮「…ビスマルクさんがドリブルでゴール前まで駆け抜けられるなら?」
ビスマルク「あ、無理ね。100%取られるわ」
電「なら私と夕立がゴール前までボールを運びます。ビスマルクさんは前に出てもらい、その後にパスするので決めちゃってください」
ビスマルク「分かったわ」
夕立(初めて電ちゃんに呼び捨てされた気がする…)
ヲ級(…電ちゃんはまだ余裕がありそうですが、少し妙な感じがします。ただの思い過ごしなら良いのですが…)
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少し前
妖精「提督!生きてますか!?」ユサユサ
提督「…ぅ」
妖精「!喋れますか!?痛みはちゃんとありますか!?」
提督「…し……ぬ…か」
妖精(目が虚ろ。呂律は正常そうだけど、傷の痛みでまともに喋れてない。だけど生きる意思はしっかりとありそう。これなら…)
???「オイオイ、ココデ寝テタラ風邪引クゾ?」カツカツ
妖精「!?」バッ
???「妖精カイ?トスルトコノ提督ハオ前ノ指揮官カ」
妖精「南方棲鬼…」
南方棲鬼「久シブリ。元気ダッタカ…ッテ、ンナ訳ナイヨナ」
妖精「…あの時、提督と貴方達の
南方棲鬼「間違イナイ。ソレハソウト、オ前ハ自分ヲ傷ツケル趣味デモアルノカ?」
提督「……だ…れ…?」
南方棲鬼「…本当ニ驚カサレルナ。普通ハ誰カ聞クヨリ助ケヲ求メルダロ」
妖精「そんなこと今はどうでも良いです。何の用ですか?」
南方棲鬼「偶然見カケタカラ来タダケダ。助ケガ必要見タイダシ、スグニ人ヲ呼ンデヤルヨ」
提督「まっ…、て…」
南方棲鬼「オイオイ。サッサト治療シナイト死ンジマウゾ」
提督「頼…む。おっ…さわ、ぎ…に……は…」
南方棲鬼「……正気カ?死ヌゾ?」
提督「大、じょうぶ…。ほっ、ら。しゃべれ……てる。で、しょ?」
南方棲鬼「……ハァ。分カッタヨ」
妖精「すぐに医者がここに来ることになってます。連絡をしたのは数分前なので、もうそろそろ来るかと」
南方棲鬼「…ナァ」
妖精「何でしょう?」
南方棲鬼「……」
妖精「…?」
コイツに何を聞いたらいい?何故提督がそうなっているのにそこまで冷静でいられるのかを聞くべきか?それとも提督の行動を何故止めなかったのかを聞くべきか?
コイツにとって目の前で倒れている提督はどういう存在だ?どうでもいいとかだったらこうして傍にいる事はないハズ。それに私に対しての警戒心も初めに出会った瞬間だけで、今はそこまで警戒心を感じない…こちらがつい気を緩んでしまうほどにだ
目の前の妖精を手の中に包んでそのまま握りつぶす事も出来る。さながら割れ物に触れるかのようにゆっくりと手を近づけて包み込んでも逃げる気はしないと思う。もしかしたらその行動を敵対ではなく友好的な行動と誤解し、自分を握りつぶすかも知れない手に向かって身を委ねてくるかも知れない
南方棲鬼「……スマン。何デモナイ」
危険だ。どうしても目の前の妖精を。そして床に倒れているこの提督にでさえ警戒心を持つ事が出来ない
間違いなくその理由は床に倒れている提督だ。おそらくこの提督が持つ何かによって妖精もここまで変わってしまったのだろう
……だが、今は自分の心に感謝したい。今から自分がしようという事に裏付けするような自信が持てる
南方棲鬼「妖精サンヨ。取引トイカナイカ?」
妖精「取引?」
南方棲鬼「見タ所、以前引キチギッタ腕ハ元通リナノヲ考エルト、高速修復剤ヲ使ッテ治療シタナ?」
妖精「!?」
南方棲鬼「今回ハ横腹ヲヤッチマッテルミタイダシナ。コレジャア修復剤デ治スノモ簡単ジャナイダロウ」
南方棲鬼「ダカラ私ノ一部ヲヤル。ソレデ提督ヲ助ケロ」
妖精「……求めているものは何ですか?」
南方棲鬼「ナニ。チョットシタ悪戯ヲ頼ミタイノサ。ソレトオ前ト取引ヲシタト言ウ事実ガ欲シイダケダ」
妖精「…成程。欲しいのは信用ですか。私と取引したという事実を元に提督とも取引するつもりですね?」
南方棲鬼「ゴ名答」
意外にもこういう事には頭が回る。正直これを頭が良いと言うのか悪いと言うのか分からないが、一先ず関心しておこう
妖精「…分かりました。その話のみましょう」
南方棲鬼「話ガ早クテ助カルヨ」
すると駆けてくる足音が段々とコチラに近づいているのが聞こえた
足音は複数人。ようやく助けが来たかと思ってそちらを見ると、昔に苦汁を飲まされた人物が先頭に立ち、後ろの人間達はおそらく医者なのだろうが、どうにもそうとは思えない人間達だった
南方棲鬼「久シブリダナ」
元師「…あぁ」
南方棲鬼「怪我人ハソコダ。意識ハアルガ、何時ショック症状ガ出テモオカシクナイ状態ダ」
マントを羽織った男「良し。急ぎ担架に乗せるぞ」
元師「この男は?」
南方棲鬼「ん?あぁ。私が来た時には既に倒れてたぞ」
元師「なるほど。なら良い」
それで良いのかよ
元師が何処かへ電話をかけている最中に提督が担架へと乗せられる
提督が元々いた場所には血溜まりがこびりつくかの様にベットリと残っており、本人はうわ言の様にブツブツと何かを言っている
提督「な……ぁ、せん、せ…」
マントを羽織った男「喋るな。今生きているだけでも奇跡みたいなモノなんだぞ」
提督「観……戦…、間に……合ぅ…」
マントを羽織った男「それは無理だ。肉体の縫合だけでも数時間は掛かる。すまないが…」
提督「そ……そ、うか…」
南方棲鬼「ナァ、ソレナンダガ、私ノ肉体ヲヤル事ハ出来ナイカ?」
ツギハギのある男「それは無理だ。自分以外の肉体で埋めるなんて、どの様な影響があるか分かったもんじゃない。拒絶反応が出てショック死を起こすのが目に見えてる」
南方棲鬼「イヤ、高速修復剤ナラソノ問題モ解決出来ルト思ウゾ?」
ツギハギのある男「あの液体か。アレは艦娘にしか使えん。人間が使っても傷は治るかも知れないが、酷い後遺症が残る可能性が極めて高い。医者としてそんな博打は出来ん」
南方棲鬼「確カニ普通ノ人間ナラソウダ。ダガコイツハ普通ノ人間ジャナイ」
ツギハギのある男「普通じゃない?」
南方棲鬼「元師ハ知ッテタカ?」
元師「あぁ。何なら私から言おうとしていた」
南方棲鬼「ソウカ。コノ男ハ高速修復剤ヲ使用スル事ガ可能ダ。他ノ人間ミタク後遺症モ一切残ラズナ」
ツギハギのある男「…」
マントを羽織った男「…仮に高速修復剤を使ったとしよう。だがこの空いた分の肉体を埋める必要がある。それをお前の血肉で埋めると。そう言いたいんだな?」
南方棲鬼「ソウダ」
マントを羽織った男「……」
ツギハギのある男「元師。アンタに聞きたいんだが、さっきこの人間に高速修復剤を使うと言ったな?」
元師「あぁ」
ツギハギのある男「何故だ?」
元師「…」
ツギハギのある男「すまないが私は医者だ。そして私は命を救っても再び捨てる可能性のある人間を治すのはお断りだ。そうしないと私は医者としての本分を果たさなければならないし、そして救った者はまた命を捨てる。それの繰り返しになるからだ」
ツギハギのある男「私はね、わざわざ捨てると分かっている者に対して命を救おうとするのには無駄だとしか思えない。だから私はお断りさせてもらう」
元師「幾らだ?」
ツギハギのある男「金の問題じゃないんでね。私は金にガメついと言われる事もあるが、金がその人間の本質を現す物として見ているから金を要求するんだ」
ツギハギのある男「この男には金を受け取って治す価値が無い。そんなドブに浸かることになる金はお断りさせてもらう」
ツギハギのある男「それに、さっきから何かを隠してる様だが、アンタが隠してる何かを話してくれるならその気になるかも知れんがね」
白髪の医者「では、私が治そう」
ツギハギのある男「おいおい、本気かいアンタ?」
白髪の医者「医者は傷は治せても心は治せない。それが医者の限界というものだ」
白髪の医者「そしてもし青年を治さなければ、この青年の部下である者達は皆心に傷を負う。私はそうなる事を知っている以上、何もしないという選択を取るわけにはいかないんだ」
ツギハギのある男「……」ガシガシ
ツギハギのある男「……ハァ。分かった」
南方棲鬼「ヤッテクレルンダナ?」
マントを羽織った男「すまないが、それでもまだ移植途中に拒絶反応を起こさない確信がない。命を救うと決めた以上、そう言った不確定要素をそのままにはしておけない」
南方棲鬼「フム…何カシラ無事ニ終エラレルカガ分カル為ノ方法ガアレバ良インダナ?」
自分の脇腹にある肉を摘み、そして引き千切る
千切った所からは出血が起こっているが、すぐさま筋肉を締めて血を止める
手に取った肉片を倒れている提督の穴の開いた腹に接着させると、瞬く間に肉片は白く血のついた色から赤い色へと姿を変える
まるで元から一つであったと思う程に、肉片は提督の肉として元に戻った
…正直成功するとは思わなかった
南方棲鬼「ドウダ?」
マントを羽織った男「…信じられん」
南方棲鬼「一部デ信ジラレナイノナラモット渡ソウカ?」
ツギハギのある男「もう良い。もう充分だ」
マントを羽織った男「一時的な処置だがコレを巻いてくれ」っ包帯
南方棲鬼「エ?イヤ私ハ…」
マントを羽織った男「言っただろう。俺達は医者だ。目の前に怪我人がいる以上、本分を果たさぬわけにはいかない」
マントを羽織った男「お前のその行動も本来であれば俺達がすべき事だ。いくら治るとはいえ、健康な体をそう簡単に傷つけるべきではないぞ」
南方棲鬼「…分カッタ」
白髪の医者「ではやろうか。私達なら観戦が出来るまでに回復とオペを間に合わせる事が出来るだろう」
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電「電、出ます」
磯風(元師)「悪いが止めさせてもらおう」
目の前に磯風が出る。その場で私は突破かパスをする選択を迫られたが、パス回しによる回避は既に何度も行っている。ここは自力で突破すべきだ
遠くで雪風が夕立と自分の間に立つようにしてパスカットを狙っている。逆に言うならコチラへの妨害はパスを除いて無いと言うことだ
磯風が足を伸ばしてボールを奪おうとしてくる。その度に私はボールを動かし、何とか捕られまいと少し後退をしつつ飛んでくる足を避ける
だが前へ進む事も難しい。避けて進もうにも完全に私の前に立って行く手を妨害してくる
そこで少し賭けに出てみることにした
ボールを足で踏み、ボールに回転が掛かるように上から足をずらし、勢い良く地面を踏みつけると同時にボールが後ろへと飛ぶ
雪風(元師)「磯風!後ろにボールが!」
磯風(元師)「分かっている!」
やはり、思った通りだ
磯風(元師)「…?」
元師達は持ち前の経験、私達の技量を見て判断を下している所が多い。だからこそ、考えがそこで止まっている
コチラが頭で勝てば相手はそれ以上を出してこない。だから不意打ちの様な事をされると途端に弱くなる
そして不意打ちが決まる瞬間というのは、相手が何かを決めて動いた時に効果を発揮する。誰よりも判断力が早い元師達にとって、それは地名的な落とし穴となっている
磯風(元師)「…!しまった!?」
ボールは逆回転をしながらコチラの足へと舞い戻る。自分と対立していた磯風は既に体を自分の前から消して横へと立っている
ボールを再び足で捕まえた自分は更に前へと歩を進め、更にゴールへと近づいていく
ようやくゴールまであと半分という所で島風、大井、北上、オイゲンの四人に前を阻まれる
オイゲン(元師)「ここから先は通しません!」
電「いいえ、抜けさせていただきます」
上手く妨害をしてくる。正直鬱陶しい
身長、人数、経験。全てにおいて負けている。どうにか頭を使って勝とうとするが、この人数相手だと正直勝てる策が思いつかない
後ろを向こうにも今目を逸らしたら確実に取られる。集中するために通信も切っている
その時、前にいた北上と大井の視線が一瞬自分から逸れた
視線は自分の後方に向かっている。後ろに意識を集中すると、歩幅が大きく少し重量がある足音が聞こえてきた
直感的に私は後ろへとパスを出した。すると後ろの足音は少し速くなり、ボールを受け取ると続けて前へと来ているのが分かった
ビスマルク「ナイスパス電!」
島風(元師)「でっか…」
オイゲン(元師)「しかしこの人数です。いくらビスマルク姉様といえど…」
ビスマルク「抜く気はないわ。飛び越えるもの」
オイゲン(元師)「…へ?」
ビスマルクがボールを相手の頭上に飛ばし、本人は地面へと前屈みになりながら勢い良く両足を上げた
天地が逆転した状態で腕を曲げながら足を折りたたむ
腕を思い切り伸ばし、地面から手を跳ね上げたビスマルクはすぐさまボールに追いつき、足でボールを上手く掴んだまま4人を飛び越える
ビスマルク「じゃっ、点はいただいてくるわね」
大井(元師)「ちょっ…嘘でしょ!?」
オイゲン(元師)「…カッコいいです」
島風(元師)「見惚れてる場合じゃないでしょ!」
ビスマルクとゴールの距離は残り数メートル。目の前には手を広げてゴールを防ぐ大和がそこに立っている
ビスマルクがドリブルをしながら大和に近づく。二人の身長差だと若干大和の身長の方が高い
大和と接触したビスマルクがすぐさまボールを両足で挟み、そのまま後ろに蹴り上げて大和の頭上をボールが飛び越えさせた
大和の視界からではビスマルクが何をしたのか見えておらず、以前として後ろに飛んだボールを警戒しているように見えた
しかし大和の狙いは外れている。それを知らせるかの様にゴールを知らせる笛の音が鳴った
青葉(元師)『ゴール!ビスマルク選手!見事にゴールを決めました!』
衣笠(元師)『多分ヒールリフトをやろうとしたのね。勢い余って別の技みたくなってるけど、良く目の前であんな動きをしたわね』
青葉(元師)『大和さんの身長ではボール2、3個分位しか空いてないですからね。よく決めたと思いますよ』
ビスマルク『ありがとう潮!作戦成功よ!』
潮『い、いえ!お役に立てたのなら良かったです!』
電『しかし点差はまだ1点空いてます。ここから何とか巻き返さなければ』
川内『けどどうする?2回目が通じるとは思えないし…』
電『…やはり、守りを固めるしかないと思います。元師チームに隙が出来たらおそらくは』
夕立『…無理な気がする』
天龍『あー、うん。言いたいことは分かるぜ』
磯風(元師)「…ふぅ。情けないな。1点取られただけでここまで動揺するとは」
北上(元師)「やっぱりさぁ、負けっぱなしって訳じゃないけど、それでも出来ることなら完勝したかったよねぇ」
雪風(元師)「…相手チームには悪いですが、完勝を阻んだお相手として本気ではなく全力で挑ませてもらいましょう」
全員「「「おう!」」」
青葉(元師)『…あー、アレは草の根一本残さない
衣笠(元師)『それだけショックだったんでしょ。皆元師大好きで負けず嫌いだし、完全勝利を逃したのがショックなんだと思うわ。磯風に関しては頭一個飛びぬけてるわね』
青葉(元師)『とりあえず青葉から提督チームの皆さんにアドバイスを送らせていただきます』
青葉(元師)『死んでも勝てないので、折れないメンタルだけは持っててくださいね』
潮「…火、つけちゃったみたいです」
電「チッ…上等です。コッチも負ける訳ないですから」グッ
ヲ級『い、電ちゃん…?』
電「絶対、勝つ」
レ級「…怖い」
電・磯風(元師)「「いくぞぉぉぉぉ!!!」」