この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ   作:七福えると

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負けイベにみえても勝ち気で挑む(後編)

青葉(元師)『磯風選手がサッカーボールを持って逃げる!そこを逃すまいと電選手が追いかけるが追いつけない!』

 

青葉(元師)『ここでDFについていた潮選手とヲ級選手が前に立ち塞がりました!』

 

青葉(元師)『しかし磯風選手!前に立つ2人を跳躍して飛び越える!まるでノミの様です!』

 

衣笠(元師)『…もうちょっとマシな例え方があったでしょ』

 

青葉(元師)『しかし磯風選手が跳躍中に電選手が追いついた!しかし一歩後ろは愛宕さんが守るゴールがあります!』

 

青葉(元師)『行く手を阻む電選手。その表情はさながら決戦の最中に見せる鬼気迫る顔。しかし負けじと磯風選手も一歩も引きません。離れて見ててもちょっと怖いくらいです!』

 

磯風(元師)「また通らせてもらうぞ!」

 

電 ギリィ…!

 

愛宕(…誰か代わって)

 

 

ボールを足元から頭上へと打ち上げた磯風だったが、それに合わせる様にして電も足を上げる

 

互いにボールを右脚で挟むようにして蹴り合いをし、拮抗するかと思われた勝負は僅かながらに磯風が優勢を見せている

 

磯風の後方からは互いのチーム選手が後ろで様子を眺めていた。手を出そうにも出せない状況と理解しているからだろう

 

やがて蹴りのつばぜり合いにも決着がつき、磯風が電を打ち破ってそのままゴールを決めた

 

 

磯風(元師)「よぉしっ!」

 

電「くそっ…!」

 

前半 6:51

提督チーム(1) VS 元師チーム(5)

 

 

青葉(元師)『猪突猛進の磯風選手!1人で敵陣に向かっていくのはどうかと思いますが、それは敵の能力を理解しているからこそ出来ること!皆さんは真似しないでくださいね!』

 

衣笠(元師)『決して提督チームが弱いって訳じゃないの。寧ろこの大会では幾つかの例外を除いて上位に食い込む事の出来る力を持ってると思うわ』

 

衣笠(元師)『だけど相手が強すぎる。アマチュアチームが歴代優勝を争ったプロに挑む様なものよ』

 

青葉(元師)『それもあるでしょう。ですが磯風さんが後の事を考えずに今ここで全力を出して戦っているからこそ、この結果もあると思います』

 

青葉(元師)『普段見る彼女はもう少し冷静であったはずなんですが…コレも結婚がかかっているからでしょうか?』

 

 

磯風(元師)「そらっ!」バシッ

 

電「しまっ…!」

 

ゴール バスッ

 

前半 9:13

提督チーム(1) VS 元師チーム(7)

 

 

島風(元師)「磯風にパスを回して!」

 

夕立「させないよっ!」

 

潮「電ちゃんだけにやらせません!」

 

卯月(元師)「じゃあうーちゃんがいただくぴょん」

 

 

ディフェンスである筈の卯月がコチラに向かって突っ込んで来た

 

流石にコレは予想だにしていなかった。しかも自分の横を抜き去って走る人達が1人2人ではない

 

ゴールキーパーを除く大和以外の全員だ。それが一斉に攻めてきた

 

乱戦状態の中、卯月が大井にパスを渡してそのままゴールされる

 

もはや声援が殆ど無い観客の声に、とてつもなくムカついた

 

前半 12:47

提督チーム(1) VS 元師チーム(11)

 

 

磯風(元師)「完全に攻撃が来なくなったが、ついに万策尽きたか?」

 

ビスマルク「…ふぅ」

 

夕立「ビスマルクさん。相手の作戦だよ」

 

ビスマルク「分かってるわよ。でも…」

 

殺意◯波動に目覚めた電 ギリッギリッ

 

ビスマルク「……自分より怒ってる誰かを見ると冷静になるってのは本当ね」

 

愛宕「でも不思議よね。私みたいに深海棲艦みたく変化しないもの」

 

川内「何かしらの条件みたいなのがあるんじゃない?それに引っかかってないからとか?」

 

オイゲン(元師)「ビスマルク姉様!ゴール貰います!」

 

ビスマルク「私を抜けるのならね!」

 

青葉(元師)『提督チーム凄い!どれだけボロボロにされても諦めない!一度降参も提案されましたが、鬼の形相で断った提督チームの闘志は今尚折れること無く、寧ろ燃え盛る炎の様に熱さを見せてくれています!』

 

衣笠(元師)『電選手が突出して怒りを見せてくれているけど、他の皆も顔には出さないだけで背中から般若が見えそうな位に怒ってるもの。アレは一度くらい勝たないと静まらないでしょうね』

 

雪風(元師)『卯月は好きに動いて。オイゲンは島風にパスを回したらそのままビスマルクをマーク。島風は今回ゴールを決めてほしい』

 

3人(元師)『了解』

 

 

オイゲンから一旦ビスマルクから離れて島風にボールを渡そうとボールを蹴る動作をする

 

しかしそれよりも僅かに早く相手が島風とオイゲンの間を阻む様に立ってきた為、取り止めてボールはそのままオイゲンが持つ事になった

 

警戒されているのか、2人の間を阻む様に立つのを止めないため、仕方なく作戦を変えることにした

 

 

雪風(元師)『作戦変更。オイゲンはシュート。島風はオイゲンのサポートに』

 

2人(元師)『了解』

 

 

コレで次こそはと考える。オイゲンが少し後ろに下がり、シュートをしようとした瞬間、視界の端で何かが動いた

 

電だ。正に蹴られようとしている瞬間を見切って前に飛び出そうとしている

 

静止するのも遅く、オイゲンはそれに気づかないままボールをシュート。電によって想定していたコースから横に外れ、コート外へ出ようとした所を大井と北上がブロック。まだコチラ側のペースであった

 

 

磯風(元師)「…何故分かったんだ?」ボソッ

 

 

愛宕がすぐさま2人の前に立ってゴールを守るが、1対2では分が悪く、素早いパス回しによってゴールを決められてしまった

 

前半 14:37

提督チーム(1) VS 元師チーム(13)

 

 

青葉(元師)『元師チーム再びゴール。というか絵的につまらないのでもっと手加減してください』

 

衣笠(元師)『アンタねぇ…もうちょっとやる気出しなさいよ』

 

電「っ…!手加減なんかしたら許さないのです…!」

 

川内『…やばいよ。ここまでキレてる電見たことない』通信中

 

ヲ級『…電ちゃん、大丈夫でしょうか?』

 

レ級『アレは怒りというよりも憎悪に近い様な気がするぞ。終始自分に向けての憎悪だからちょっと分かりづらいけど』

 

夕立『流石に声がかけづらい…』

 

島風『あぁもう!こんな時に提督は何処にいるの!?』

 

潮『電ちゃんでも見つけられなかったんですし、もしかしたらここじゃない所にいるのかも…』

 

ヲ級『個人的には提督と合わせるのも憚られます。というか提督に任せた場合…その…』

 

天龍『あぁ…言いたいことは分かるぜ』

 

全員(((公衆の面前でセクハラとかしかねない…)))

 

青葉(元師)『ここでタイムアーップ!次は後半戦…っと、どうやら提督チームから選手交代のジェスチャーが出ました』

 

天龍「は?選手交代?大淀はそんな事言ってなかったぞ」

 

愛宕「…ねぇ。私達のベンチにいるのって…」

 

提督「おーい。全員集合〜」

 

電「司令官さん!?」

 

ヲ級(さっきの会話から提督が来るなんて、嫌な予感しかしないんですけど…)

 

提督「一先ずお疲れ。早速何だがメンバーの変更を行う」

 

提督「変更は電。交代するのは「待ってください」」

 

電「電はまだ出来ます。それに体力だって残ってますし、体のどこも怪我してません」

 

提督「んー、本当かぁ?」

 

電「本当です!ちゃんと試合を見て頂いてたのなら分かってるはずです!」

 

提督「見てたよ。ボロクソに負けてたところをな」

 

電「っ…!」

 

天龍『提督…!頼むから今の電を刺激しないでくれぇ〜!』

 

愛宕『…天龍。アレが分からないの?』

 

天龍『…?アレって?』

 

夕立『…提督さんの広角。ちょっとだけど上がってる』

 

ヲ級『愉悦の笑み一歩手前ですね』

 

提督「ほら、とりあえずコレでも舐めて落ち着け」っ黄色い飴玉

 

電「…こんなの貰って機嫌が取れると思わないでください」カロッ

 

電を除く全員(あっ…)

 

 

電が渡された飴を食べた瞬間、提督の広角が最高潮に上がった

 

しかしすぐさま笑顔をやめ、普段通りの顔へと切り替える。しかし堪えきれていないのか、手が少し震えている

 

 

提督「まぁまぁ、そうピーピー言うな。でないと大変な事になるぞ?」

 

電「大変な事って、一体何『ゴルルルゥ』ひぅっ?!」

 

 

突如お腹を押さえ始め、少し前屈みになる電。その顔は青白く、先程まで流していた汗に混じり、冷や汗をかいているように見える

 

 

提督「川内、電のゼッケンを取ってくれ」

 

電「しっ、司令官さん…!一体何っ…ぉをっ…!?」

 

提督「お前が今食べたのは◯ー◯ーキャンティってやつでな。ピーピーと言う声を聞いたら腹を下す、いわゆる下剤だ」

 

電「なんっ…!」

 

提督「効果は五分で消える。さっさとトイレに行って試合は休め。代わりは呼んであるから」

 

電「くっ…!どうしてですか!?いなづまじゃ…!『グルオォ…』ひっ…!」

 

 

何かを言う暇も無く、電は憤怒と焦りの顔で前屈みにお腹を押さえながらトイレに向かって走り去っていった

 

ここで私達が何かしても後で電からボロ雑巾の様にされる提督の姿が目に浮かぶので、私達は電が間に合うことだけを祈ることに決めた

 

 

提督「良し。後が怖いから電の事は忘れるとして、コッチ来てくれ」

 

南方棲鬼「出番カ」

 

天龍「!?」ビクッ

 

提督「こちら南方棲鬼だ。ポジションは電と同じ所で頼む」

 

南方棲鬼「了解シタ」

 

天龍『…アイツ、まさかあの時の奴か…?』

 

ビスマルク『あの時?』

 

天龍『ビスマルクがここに来る前、遠征中にとんでもなくやべー深海棲艦がいたんだ。その時はほぼ全員大破状態に追い込まれたんだが、その時の奴にそっくりなんだ』

 

ビスマルク『ふーん…』

 

ビスマルク「ねぇ、貴女って天龍を襲った深海棲艦だったりするの?」

 

南方棲鬼「ホウ?」

 

天龍「おいいい!?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

青葉(元師)『ここで選手交代のお知らせです。提督チームの電選手がベンチイン。南方棲鬼選手と交代しました』

 

衣笠(元師)『元師チームも選手交代です。磯風選手が急な腹痛でベンチインし、交代する選手は…え、これホントなの?』

 

衣笠(元師)『えー、失礼しました。磯風選手と交代するのは元師その人です』

 

 

会場がその声を聞いて驚きに包まれた。どよめきや困惑の声がしばらく上がっていたが、しばらくすればその声は歓声へと変わっていた

 

コート上に現れたのは元師その人だった。いくら何でも元師がサッカーを出来る様な人物に思えないのだが、荒々しい覇気は遠く離れていても感じる事が出来た

 

 

元師「皆待たせたな。私が来たぞ!」

 

 

何処からか持ってきたマイクを手に握り、観客席へと向かって声を上げる元師。提督や艦娘からは冷ややかな目で見られていたが、深海棲艦と一般人からは大きな歓声が上がっていた

 

 

提督『気をつけろ。お前等が相手してきた艦娘達の総大将だ。一体何処までの事が出来るか分からん。慎重にいけ』

 

ビスマルク『勝つ事は?』

 

提督『今更無理だ。少なくともアッチが攻めてきたペースと同じ早さで得点を奪えれば良いんだが、流石に許してくれないだろう』

 

提督『だからたまりに溜まったフラストレーションを一気に解放する場にだけしとけ。やりたい事、試したい事を沢山やって、悔いのないように復讐してこい』

 

ビスマルク『了解』

 

提督『南方は皆のアシストを頼む。どうせ勝つのは無理なんだから力尽きるまで動けよ』

 

南方棲鬼『南方ッテ私ノ事カ?』

 

提督『ツインテールとかの方が良かったか?』

 

南方棲鬼『…悪カッタヨ』

 

全員『?』

 

提督『じゃあ思い切りやって来い。こっちは妖精とお話があるからしばらく顔を出せんが、ちゃんと最後まで見るから安心しろよ』

 

 

どうにも引っかかる様な言い方をする提督だが、自分達がまだ負けると思われてる事に腹が立った

 

確かに勝つのは無理だ。だがそれでも負けと言う言葉を聞くと、ムカッ腹がたって仕方がない

 

望み通りやってやる。提督にも、それからいきなり来たコイツにも、試合を見ている人達にまでも、全員アッと驚かせて一泡吹かせてやる

 

 

提督チーム

・電 P:MF  →  南方棲鬼 P:MF

 

元師チーム

・磯風 P:FW  →  元師 P:FW

 

 

青葉(元師)『後半戦、開始です!』

 

 

ホイッスルが鳴る。相手の元師チームからのボールであったが、味方へのパスがされた瞬間に夕立とビスマルクが飛び出した

 

それを見てすぐさま後ろへとパスを回す元師チーム。だが逃がすまいと向きを変えてボールを追う

 

二人の後ろで元師が手を振っている。二人からは見えないが、パスを受けた大井が弧を描く様にしてボールを飛ばす判断をした。しかしそれはすぐさま悪手へと変わった

 

何故なら夕立が既に跳躍をしており、ボールを足で相手ゴールへと向かって蹴っていたからだ

 

あまりに早い反応にその場の全員が呆気にとられた。その瞬間を見逃す自分達ではなく、DFとGKを除く全員が相手コートへと押し上げていた

 

元師が全員に後退をするように指示を出す。司令塔の様な役割を担っている元師は中々に厄介だ。それを日常的に行っているのだから指示のミスなどは考えられない。とてつもなく厄介な相手と言えるだろう

 

案の定ボールは大和によって止められ、再びコチラのゴールに向かって蹴り返そうとしてくる

 

再びあの轟音を鳴らしてボールが飛ぶ。しかしそれを待っていたと言わんばかりにビスマルクが進路上に立っており、体を空中へ浮かせてボールに対し、ドロップキックをしていた

 

硬いものがぶつかりあった音が鳴り、奇妙な事に空中でボールとビスマルクが一瞬静止していた。時間は僅か1秒にも満たなかったが、その時のビスマルクの表情は笑っていた

 

足は伸ばしきった状態から少しずつ曲がり、ビスマルクがボールの勢いに押されて後方へと僅かに移動。だがボールが飛んできた時と違い、それはほんの僅かな移動だった

 

ビスマルクの足も初めに少し曲がっただけで以降は変わらない。互いに威力を殺し合い、ボールとビスマルクは同時に地面へと落ちた

 

1番ボールの近くにいたビスマルクがボールをかする様にして味方がいる場所へとパスを出す。しかし威力の伴わない蹴りはただコロコロと転がるだけだった

 

それを元師が奪い、DFにいるオイゲンへとパスを出す。それは悪手じゃないかと思ったが、元師がそんな事をするはずが無い。それを全員理解していた為か、誰一人として動かなかった

 

 

レ級「馬鹿だなー!そんな事しても自分の首を絞めるだけだぞ!」

 

南方棲鬼「レ級!私ニ続ケ!」

 

 

…と思ったがそんな事はなく、元師と関わりの薄かった2人は別だった

 

追う以上はコチラも追わなければ穴が出来る。自分達も前方へと攻めるが、私達は肝心な事を忘れていた

 

オイゲンの蹴りによってボールが大きな弧を描いて私達のゴールへと飛んだ。いくら何でも元師チームでそこまでのロングシュートが出来るのは大和だと思っていたが、オイゲンの艦種をふと思い出した

 

重巡洋艦プリンツ・オイゲン。決めるべき場所で決めてくる彼女も警戒すべきだった

 

 

愛宕『後ろに敵接近!』

 

 

愛宕の通信を聞いて自分達の陣地へと振り替えると、いつの間にか島風がボールを持って先頭に立ち、卯月が後ろをカバーして走っている。DFの潮とヲ級がカバーに入ってるが、やはり相手の方が上手だった

 

潮がブロックを仕掛けるが簡単に避けられ、ヲ級はフォローに出ようとするが、間に卯月が立つことでフォローに回れない状況だった

 

愛宕と島風の距離は数メートルも無い。島風がボールをシュートするのには1秒もかからない。そんな僅かな時間でブロックする方法は読み合いでの勝利しか無かった

 

愛宕は動かない。島風の僅かな動きの予備動作も見逃すまいと集中しているのが遠くにいても分かる

 

島風が行ったのはシュートではなく、同じく近くまで来ていた卯月へのパス。愛宕のいるゴールとは反対の場所だった

 

受け取った卯月がシュートを決め、再びゴールされてしまうかと思われたが、パンチングでボールをガード。ひとまずの危機は脱した

 

だが卯月はそれすらも読み、体を捻りながら足を上げて踵落としの様なシュートをする。パンチングにより僅かにズレたボールは愛宕の横を通過しようとしていた

 

しかしすぐさま脇を締めてボールを巻き取る様にして止めた愛宕。2人の読み合い戦は愛宕の方に軍配が上がった

 

 

卯月(元師)「…うっそぉ」

 

愛宕『全員前進!一点でも多く取るわよ!』

 

全員『当然!』

 

 

声が皆で一致する。今の自分達は確実に絶好調だ

 

 

愛宕「南方!」

 

南方棲鬼「任セロッ!」

 

 

愛宕の大きな声と南方棲鬼の声がぶつかり、大きなスローインで吸い込まれる様に南方棲鬼へとボールが渡る

 

思った以上に南方棲鬼がこちらに対して合わせてくれている。しかも俺達以上のスペックがある為か、速度こそ遅いが本能的な戦いのセンスで相手の視線を誘導したり、動きを読んで回避していく…様に見えた

 

何しろ本人の事と言えばあの時ぼろくそにやられたあの時の事しか知らない。だからこそアイツの凄さが身に染みて知っていた

 

大和のいるゴールへと続く道が何故か開かれており、南方棲鬼はその道を真っ直ぐ走る。それは必然的に大和との一対一の勝負になる事を指していた

 

自分も参戦を。と思ったが進路を磯風に塞がれる。それは他の皆も同じようで、動けないでいた

 

 

ビスマルク「何?何かの作戦のつもり?」

 

元師「違うな。ただ少しばかり、アイツと因縁をつけたいんだとさ」

 

ビスマルク「えぇ…」

 

 

南方棲鬼が一人大和の前に立ち、周りには誰もいないと言う、サッカーとは思えない光景が観客の目に映る

 

ボールを中心に立つ彼女達2人を観ていた観客全員は息を呑み、これから起こる出来事に対して見逃すまいと固唾を飲んで見守っていた

 

 

大和(元師)「…相手、お願いします」

 

南方棲鬼「私ト戦ウツモリカ?」

 

大和(元師)「今の貴女が本気でないことは分かっています。でもお願いです。一度本気で相手させてください」

 

南方棲鬼「…本気カ?」

 

大和(元師)「はい。お願いします」

 

南方棲鬼「…良イダロウ。後悔スルナヨ?」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

南方棲鬼の身体が僅かに大きくなった気がした……いや、大きく変化している

 

身体の白い部分をより強調する様に黒と赤の禍々しさすら感じる恐ろしい口がついた砲台が出現。そして白かった部分は輝きを増しながら更に白く変わっている

 

変化前の足は高いヒールの様だったが、そこにロケットのノズルが追加され、最早それは人ではなく機械が混じったように見えた

 

目からは赤いオーラが猛り上がり、それは戦場で出会った者達を恐怖へと突き落とさんとする、怨念を彷彿とさせるような力を感じた

 

 

南方棲戦姫「待タセタナ。コレガオ楽シミノ全力ダ」

 

天龍(宇宙の◯王みたいな事を言うなコイツ…)

 

大和(元師)「…ふぅ」

 

 

大和が息を整える。それは目前に立つ者だけが感じる事の出来る強烈な緊張感から来るものだろう

 

もしこれに僅かにでも殺意が込められていた場合、私達は全員反射的に艤装を展開して集中砲火を行っている筈だ

 

 

南方棲戦姫「覚悟ハ良イカ?」

 

大和(元師)「はい」

 

南方棲戦姫「良シ。死ンデモ恨ムナヨ」

 

 

足のノズルに赤色の光が呼吸で吸い込む様に光が集まりだし、それと連動して南方棲戦姫の目がより赤く輝いた

 

一歩、二歩と後ろに下がり、シュートを決めるべく駆け出した

 

南方棲戦姫の蹴りに音は聞こえなかった。何故なら蹴る音よりも先に爆発音の様な音が大和から聞こえたからだ

 

大和が決死の表情でボールを止めている。その時間が5秒や10秒にも長く感じた

 

大和が手で止めたボールは自ら形を変える様に大和へとめり込む様な形になっていき、それに伴い大和の腕も曲がり、表情はとても辛そうな顔を見せた

 

大和の服が衝撃で破れていき、立っていた地面は少しずつ地面を抉りながら後ろへと後退しているのを示していた

 

解説もない。声もない。あるのはただボールがぶつかった音と大和の苦悶の声だけだった

 

そうして大和がボールに押されていき、やがて大和の身体がボールと共にゴールへと入ってきた為、ゴールを調べる笛の音が会場に鳴り響いた

 

 

青葉(元師)『………』

 

衣笠(元師)『……はっ!呆けてる場合じゃないわよ青葉!』

 

青葉(元師)『…あっ!すいません!南方棲鬼選手!今ゴールを決めました!』

 

 

進行役である青葉の声がきっかけに、観客席から歓声が沸き起こった

 

賞賛の声が大和と南方棲鬼を包み込む。当の本人達は少しばかり顔を赤らめているが、大和のダメージが大きい為か、少し顔が辛そうだった

 

 

南方棲戦姫「無理スルナ。アノシュートヲマトモ二受ケトメタンダ。シバラクハ安静二シテイロ」

 

大和(元師)「…えぇ。ですが、ありがとうございました」スッ

 

南方棲戦姫「…フ。変ワッタ奴ダナ」

 

 

大和と南方棲戦姫が握手を交わす。その光景に更に歓声が大きくなり、シャッターを切る音が近くから聞こえた

 

 

天龍「…ん?」チラッ

 

 

カメラ妖精 バシャッパシャッ

 

記者妖精 カリカリ

 

中継妖精 ウイィーン

 

 

天龍「うおっ!?妖精がカメラ撮ってる!?」

 

ビスマルク「…なるほど。コレが狙いだったのね」

 

元師「まぁな。コレで良い反撃の口実が出来た」

 

ビスマルク「へ?」

 

元師「おっと。こっちの話だ。それよりコチラも深手を負った。この先の試合は難しいだろうな」

 

ビスマルク「なんでよ。まだ大和が悪くしただけじゃない」

 

元師「高速修復剤を持ってきていなくてな。というかこんな所にそんな物があるわけないんだが…」

 

妖精『あるよー』E.首掛け看板

 

元師「えぇ…」

 

妖精「提督さんからの指示で9個まで持ってきてるよ」

 

ビスマルク「良いんじゃない?大和が試合をまだ試合望むのなら、このまましましょ?」

 

元師「…ふむ。そうだな」

 

大和(元師)「続けます。続けさせてください」

 

南方棲鬼「大丈夫カ?無理ハスルナヨ」

 

天龍「うわっ。いつの間に戻ったんだ?」

 

南方棲鬼「慣れれば簡単に戻れる。スー◯ー◯◯ヤ人みたいにな」

 

天龍「…やっぱおめぇドラゴ◯ボール読んでんな」

 

 

その後、手の負傷を高速修復剤で治した大和が戻った後、試合の再開が行われた

 

当然、南方棲鬼の活躍で一点を取りはしたものの、結局それ以降は何をやっても勝てずじまい。だが得点を取られると言うことも無かった

 

やがて試合終了を知らせるホイッスルが鳴り、俺達は大差を付けられて負けてしまった

 

 

提督チーム(2) VS 元師チーム(13)

 

 

 

青葉(元師)『提督チーム。これにて敗退です』

 

衣笠(元師)『元師チームに当たったチームに言えることだけど、貴女達はラスボスと出会ったのよ。何年もレベルを上げてきた敵に勝つのは難しいのは当然だからね』

 

両チーム「ありがとうございました!」

 

天龍「ちくしょう〜!負けちまった〜!」

 

ビスマルク「まぁまぁ。私なんて、後半から殆ど活躍なしよ?」

 

電「むぅ…結局電の出番は無かったのです」

 

磯風(元師)「提督?私との約束を忘れてないよな?」

 

提督「あぁ〜?知らんなぁ〜?」

 

磯風(元師)「なっ!?」

 

提督「お前と結婚なんかしたら命がいくつあっても足りんわ!もっと電みたく料理が上手くなってから言え!」

 

電「…所で司令官さん。さっき電にした事覚えてますよね?」

 

提督「あっ、あれはだなぁ……そのぉ…あれだよ。あれ」

 

電「何言ってるか分かりませんね」ジャラッ

 

提督「…電さん。その瓶いっぱいに詰まった黄色い飴玉は何ですかね?」

 

電「のど飴じゃないですか?」

 

 

提督がすぐさま逃げようとする。だがそれを防ぐようにして俺達が提督の行く末を阻んだ

 

 

提督「なっ!ちょっ!どうしてだよ!?」

 

ビスマルク「提督…ゴメンナサイね?どうしても断れない理由があるのよ」

 

提督「何だよその理由って!?」

 

 

電『提督を足止めしてください。でないと貴女達の○○に○○○○して○○○○○○○○○しますから』

 

 

ビスマルク「だから言えないの。悪く思わないでね」.ガタガタガタガタガタガタ

 

提督「震えてるじゃねぇか!一体何があったんだよ!?」

 

電「さぁ司令官さん?覚悟は良いですね?」

 

元師「全く。騒がしい奴ら『ガシッ』ん?」クルッ

 

磯風(元師)「提督。私ってそんなに家事能力ないかな…?」

 

元師「そんな事無いだろう。私はお前が常日頃から自分の欠点を直そうと努力しているのを知っている(周囲の被害は捨て置き)」

 

元師「だから悲観するな。いつか見返してやろう。な?」

 

磯風(元師)「そうだな…そうだよな…!」

 

元師「…で。この手は何だ?」

 

磯風(元師)「あぁ。実は提督に私の料理の腕前を見て欲しいと思ってな。更に磨きをかけたから、今回こそは更に上手くなっている筈だ」

 

元師 ダッ

 

 

磯風(元師)「提督。どうしたんだ?」

 

元師「いやな、ちょっと大淀に頼まれている仕事を思い出して」

 

携帯妖精(大淀)『提督。試合お疲れ様でした。磯風ちゃんが疲れた元師の為に即興でご飯を作ってたので食べてあげてくださいね』

 

元師「料理なんて手の込んだ物がそんな数分で出来てたまるか!」

 

磯風(元師)「大丈夫だ。そう思って作っておいた物を全てミキサーにかけておいた。ほら」ドクォ…

 

元師「ちょっ、ま、待ってくれ…!」

 

電「ほら、提督?」

 

磯風(元師)「遠慮しないでくれ。心を込めて作ったんだ」

 

電・磯風(元師)「食べてくれますよね「るよな」」

 

 

 

その後、2人の提督が緊急搬送を行われたのは言うまでもない…

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