この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
今日も1日これ一本
時計 ピピピピッ ピピピピッ
提督「………」
時計 ピピピピッ ピピピピッ
提督「…う〜ん」
時計 イラッ
時計 ピーッ ピーッ
提督「ヴァッ!?」グルルルォッ
妖精「あ、起きた」
提督「オッ、アッ、ッッ…!」
妖精「早くトイレに行ってきてください。その後は点滴の時間ですよ」ガチャッ
提督「ウッ、ウォォォォ!!」ダダダダッ
提督さんがああなってから数日。事件は数日前にあった
発端は提督さんが電さんに◯ー◯ーキャンディという物を食べさせた事が原因です。提督さんがそのキャンディを意味もなく食べさせた訳では無いのですが…
その時の電さんは私達が感情を乱れさせる薬を昼食に混ぜて食べさせており、次の試合相手である元師チームでその効果を発揮。コレで電さんが感情に呑まれて試合を進める事になりました
というのもこんな事をしたのは取引を深海棲艦としたからです。内容は提督さんの治療に協力する事でした
ここもまた説明になってしまうのですが、提督さんは球技大会の裏で暗躍する作戦の処理をする為に身を挺して球技大会への妨害を阻止し、結果として大きな怪我を負いました
その治療が出来るのは深海棲艦でした。たまたまそこに居合わせただけの人物でしたが、その人の協力によって提督さんは一命を取り留めました
そうなると今度はコチラの番。電さんと、それと磯風さんの方にも混ぜる事になりました。そっちに関しては元師が一枚噛んでいるみたいでしたが、詳しくは私達も知りません
話を戻すと、提督さんがキャンディを使ったのはそれが理由です。食べておかしくなったのなら出せば直るというトンデモ理論なのですが…その通りなんです。それを提督さんが知ってか知らずか見透かした様に◯ー◯ーキャンディを食べさせ、数分は要しましたが電さんは元に戻りました
…その報復として、提督さんは電さんからグレースーツの似合う堅気のヒー〇アクションを彷彿とさせる動きでビンの中にあった全てのキャンディを食べさせられていました。結果、今朝の様な出来事が今も続いています。一日に五回ほど
提督「…ただいま」(ヽ''ω`)
妖精「お帰りなさい。早速刺しますよ」
提督「…っ」
妖精「男の子なんですからそんな顔しない。腕すら千切れた事があるのに、こんな事で泣きそうにならないで下さいよ」
提督「痛いもんは痛いんだよ。注射器見て泣く悟〇と同じだ」
妖精「はぁ~、しょうがないですねぇ」
提督「今日の予定は何だっけ?」
妖精「まずは球技大会の後処理です。今日で最後なので頑張ってください」
妖精「それ以外で大きい物と言うと、深海棲艦との交渉。他鎮守府との防衛時の連携についての書類。それと、呼び出しがかかってます」
提督「…え?誰から?」
妖精「提督を呼ぶ人なんて一人しかいないでしょう」
提督「…元師かぁ。やだなぁ。また何か言われるんだ。お前は男気が無いとか、準備は出来ても自分で台無しにする愚か者とか」
妖精「ただの事実じゃないですか。そんな事だから重要書類なんかが届かずに、ただの窓際社員みたいな扱いをされるんです」
提督「……いっそ殺してくれ」
妖精「はいはい。それと、深海棲艦との交渉ですが、南方棲鬼さんがコチラに来るみたいです」
提督「…何の用で?」
妖精「単純に取引相手として来たんだと思われますが…ま、それだけじゃないでしょうね」
提督「…分かった。他に連絡する事は?」
妖精「(特に)無いです」
提督「分かった。今日も一日よろしく頼む」
妖精「はーい。あ、それとお昼はゼリー差し入れてください」
提督「昆虫かお前は」
???「失礼します」コンコン
提督「なんだ?」
???「特型駆逐艦山風です。本日の秘書艦として来ました」
提督「入ってくれ」
山風「失礼します」
ピシリと整えられた服に身を包み、緑色の髪とエメラルドを思わせる瞳の彼女が入ってくる
提督の横に立つ点滴を見て何処か同情の様な、呆れにも似た感情でチラリと見る
山風「おはようございます。提督」ピシッ
提督「おはよう。今日はよろしく頼む」
山風「よろしくお願いします」
簡単な挨拶。それだけ済ますと山風は秘書艦机に向かい、着席をして積み立てられた書類の山の上から一枚一枚を丁寧に取って仕事をしていく
中には提督が確認するべきものもある為、しっかりと漏れの一つも無いように丁寧に確認していく
それを見た提督も仕事を始め、黙々とした空間の中で、ただペンが走る音だけが聞こえていた
やがて時計が0800。朝の八時を知らせる時刻になる。この時間帯になると、既に食堂は艦娘達で集められている
よその鎮守府では朝礼会があるが、ここではそんな物することは無い。理由としては…まぁ、提督がめんどくさがってやらない。というのが大々的な本音だが
それに、提督の朝食時間では任務が無い艦娘は集まる事が多い為、実質的な朝礼会みたいな物である(来ない場合は休みか寝坊、或いは外泊中の時もある)
提督「じゃ、朝ご飯食べに行こうか」
山風「うん」
提督の口調が変わる。コレが提督と普段の切替を行った事を知らせる、一つの連絡の様な物だった
部屋から出て食堂へと向かう。距離はそこそことはいえ、まるで当然とでも言うかのように手を差し出す
それが何を示しているのか、山風は毎度の如く遠慮するが、最終的には手を繋いで向かうことが殆どだ
提督「で、今日を生きる目的は見つけたか?」
山風「今日は…夕御飯にプリンが出るって聞いたから」
提督「お、それは楽しみだな」
山風「…うん」
この様に、艦娘のメンタルケアを行う合図が手を繋ぐという行為である。もしここで手を繋がなかった場合、提督があの手この手で秘書艦のメンタルケアが出来ない原因を探られるのだ
調べる方は正直大変なのだが…それでも美味しい報酬が貰えるから我慢している
メンタルケアが必要な艦娘に対して行っているのが殆どであるが、これは提督のメンタルケアでもある。その主な理由が仕事の辛さから
食堂のドアを開け、中へと入ると全員が着席して食事を進めている者もいれば律儀に待っている者がおり、皆が提督に向けて挨拶をし、それに提督も返していく
厨房にいるヲ級が食事をトレーに乗せて渡してくる。この光景にもいい加減慣れた物だ
提督「いただきます」パシッ
山風「いただきます」パシッ
ルーティンの様に食事の挨拶をする提督と山風。その様子を見てヲ級の頬がほころぶ
雷「この全ての食材に感謝を込めてするんじゃないの?」
提督「恥ずかしくて出来ないよ。というかフォークやナイフなんて出せないし」
雷「あの世界、海の上を走る人がいるもんね」
提督「世界最強の一人だけどな。そのレベルだと地球が崩壊しかねん戦いする生物がめちゃくちゃいるし」
響「司令官、仕事は何時くらいに終わりそうだい?」
提督「んー。まぁ出来て18時かな」
響「21時だね」
提督「おい」
響「提督が時間通りに出来た事なんてあるのかい?」
提督「…出来るもん」
暁「こら、司令官に意地悪しないの。分かってる事をあえて言う必要もないでしょ?」
提督 ズーン…
響「…暁の方がよっぽど酷いと思うよ」
暁「なんでよ!?」
電「司令官さんの前で喧嘩しちゃ駄目なのです。また何時、ピーピーって声が混じるか分からないのですから」
提督「はうっ…!」ゴルルルゥ
電「あれ?司令官さん、どうかしたんですか?」ニヤッ
提督「こっ…このプラズマァ…!」ダッ
電「ククク…いい気味なのです」ニヤニヤ
暁・響・雷(悪魔だ…)
こんな一日が、今日も始まります
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1200
提督「……」カリカリ
山風「…提督、先にお昼食べてくるね」カタッ
提督「ん、あぁ」カリカリ
山風がさっさと立ってお昼へと向かう。今朝のような光景を見せておいて何故と思うかもしれないが、彼女は今日出撃の用事があるからだ
皆さんが興味があるのは艦娘であると思うので、そちらを追うことにしよう
スタスタと歩いて食堂へ向かう様は何処か悲しげにも思えるが、これが普段の彼女である
提督といる時は何時も楽しげに見え、ゲームをする時だって楽しく遊ぶ。しかし、それでも一人となった時はやはり寂しい様だ
トボトボと歩く山風の前方から夕立と島風が横に並んで歩いてくる。2人は出撃があったからなのか、少し服がボロボロだ
夕立「あ、山風。今からご飯?」
山風「あ、うん…夕立も?」
夕立「んーん。私は報告。島風の事も一緒にね」
山風「…?何かあったの?」
島風「あっ、ちょっと!言わないでよ!」ワタワタ
島風が慌てて夕立の口を塞ごうとするが、夕立はまるで踊るように、必要最低限の動きだけで回避をしている。それは何処か悪戯っぽい笑みを浮かべていた
夕立「実はね、島風ったら早く先行しすぎて岩礁に当たったんだよ。おかげでタービンがおかしくなっちゃって、流石に途中で帰ってきた」
山風「あぁ…大淀さんからお説教だね」
島風「うぅ〜…提督ならそこまでじゃないけど、大淀さんは長いんだもん…」
山風「でも、提督だって場合によるけど本気になって怒ることもあるよ?」
夕立・島風「「うっ…」」
山風「…なんで夕立も?」
というわけでお教えします。夕立も反応した理由としては、過去に出撃中に独断専行をしちゃった事が原因です
あと少し行けば敵の本陣。それさえ倒せばその海域は解放される想定でした
しかしながら、海に出てすぐの所で想像だにしない強力な敵戦力が待ち構えていました
今では主力級の活躍をするビスマルクを始め、愛宕、天龍、時雨、島風と一緒に出撃してましたが、それでも勝てない様な敵だったのです
ウチは安全第一の方針でやっています。しかしながら、それに反発をしたのが夕立と島風でした
2人はその時無傷。ですがビスマルクさんを始めとした中破者が並んでおり、少しでも攻略を進める為に先に進もうと言い出した事が事の発端です
提督『駄目だ。撤退しろ』
夕立『どうしてですか!?まだ行けます!』
提督『ビスマルクは大破が近い。他の皆も中破で、お前と島風は無傷。これじゃあマイナスの方がデカい。それにもし追撃を受ければどうするつもりだ?』
島風『なら!私達が囮に…』
提督『ふざけるなっ!』
全員 ビクッ
提督『島風、お前が無傷な理由はなんだ?後少しで被弾する所をビスマルクに庇って貰ったからだろうが』
提督『夕立もだ。ビスマルクはその中で一番装甲も耐久も高い。だがそんなビスマルクが一撃で中破に追い込まれたのを見ていなかったのか?』
夕立『それは…』
島風『……』
提督『良いから帰れ。今はまだ無茶する時じゃない。編成だって、まだ組み立ててる最中だ。お前等は艦の時代は活躍したが、それは自分以外の他人があってのものだ。人が一人騒いだだけで、周りがそれについてこれなかったら何の意味も無い』
夕立『でも私は』
提督『第三次ソロモン海戦だろ。で、一から十までお前はそれを一人でやってきたのか?』
夕立『う……』
提督『…無駄な時間を過ごした。さっさと帰ってこい。命令だ』
2人はそれ以上何も言いませんでした。それどころか、提督があそこまで怒った事に、その場にいる全員が驚き、そして俯いていました
普段の距離感や態度から提督という人を見誤る事は良くあります。ですが、言うべき時ではハッキリと言う人なのです
全員、すぐさま帰投を開始しました。幸い帰り道で深海棲艦に襲われる事はなく、無事に撤退する事が出来ました
提督『よく帰って来た。全員今以上の怪我はないな?』
ビスマルク『はい。旗艦ビスマルクを始め、愛宕、天龍、時雨、島風、夕立。共に報告した時点以上の被害はございません』
提督『…そうか。良かった』
先程通信で怒っていた様な人とは打って変わり、凄くホッとしたような顔になりました
あの時は声だけでしたが、今はしっかりと顔を見てどれだけの気持ちで先程のお怒りを見せたのか。その時の様子がまざまざと思う事が出来ました
『全員入渠を済ましたら今日は休め。考える必要のある奴がいることだしな』チラッ
夕立・島風『……』
こうしてその場はお開きになりました。普段聞いている提督の声は大人になりきれなかった子供の様な声である為、あまり他人に対して怒っている態度そのものが癇癪を起こしている様にしか聞こえないと思います
事実、提督は人と話す際に言葉足らずが殆どです。意思疎通も出来ない事が多々ある為、その時はこちら側も今の提督を理解しようと必死になる時があります
しかし、そこは私達の過ごした時間です。例えそんな人であったとしても、彼が本気で怒ったり、泣いたりしてる時くらい、分からない訳ではありません
山風「そんな事があったんだ」
島風「…山風は、怒られる事なかったの?」
山風「うん。私はそんなの知らなかった」
夕立「…提督さん。怒る時は本当に少ないもん。あの時は本当に嫌われちゃったかと思った…」
山風「だからあの時布団に包まってたんだね」
夕立「い、言わないでほしいっぽい!」
さてさて、そんなこんなで出撃の時間です。今回山風が向かうのは鎮守府正面海域。向かうのは南西諸島沖です
向かう艦娘は山風ただ一人。そう、たった一人です
というのも、これは一種の戦闘訓練として行われています。敵が程々に多く、かつ一隻だけならギリギリ苦戦を強いられるレベルです
撃ち合いは魚雷と主砲のみ。たったそれだけですが、駆逐艦一隻となるとそれだけで辛いものです
練度ではコチラが上。しかし、深海棲艦側もそれ相応の対応というものをしてきます
深海棲艦は艦娘以上に団として集う重要性を理解しており、例え敵が姫級の様な強力な深海棲艦だったとしても、単体として出る事はほぼありません
もし姫級が単体で来たら裏があると思え。そう海軍では言われております
その為、ウチでは万が一敵に囲まれた時に備え、このような訓練を実施しております。題して地獄の包囲網作戦です
まぁ、自分からこの包囲網にかかりにいくのですが…そこはご心配なく。今までは実際に敵対している深海棲艦に対して行っておりましたが、今では深海棲艦と鎮守府で協定が結ばれている為、そこまで危険な物ではなくなっています
え?それはウチだけなんじゃないかって?それは勿論。と言いたいんですが、実際のところ、半分合ってて半分違います
というのも、少しややこしい話になってしまうのですが、深海棲艦がこの様な事を許しているのは人類に対してではありません。あくまで、ウチの鎮守府と協定を結んでいるだけであり、他所の鎮守府は一部を除いてそんな事ありません
その件で他鎮守府から苦情が来る?いえいえ、それも他の提督さん達のプライドが許さないのか、たかが一般人上がりに永久的な海域解放が目前まで迫られている。という事実を認めたくないのか、この件については黙認されております
ま、それでも一部の鎮守府からは協定を結びたいという話が来ているので、そことはしっかりと協定を結ばさせていただいております。深海棲艦も艦娘と人との区別はついているのか、明確に協定を結んでいない艦娘だけは本気で攻撃している様です
どうしてそこまで明確に区分けが出来ているのか?これは本当に深海棲艦の謎の一つですね
と、これ以上は話が逸れてしまいますね。山風が出撃への準備を進めているので、ここからは出撃の様子を見ていきましょうか
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山風「今日はお願いします」
イ級A「グエッ」っ燃料・弾薬
山風「えっ…実弾で…?」
イ級A「グッ、グッ」コクコク
山風「でも…当たりどころが悪かったら沈みますよ?」
ホ級 フルフル
ヘ級 っ高速修復剤
山風「修復剤って…」
ロ級「…ググッ」チョンチョン
山風「…分かりました。でも、危ないと思ったらすぐにやめますからね」
イ級A「…!グエッ!」
何という事でしょう。言葉になっているか怪しい会話ですが、傍から見ると艦娘と深海棲艦の談●☓▲■◆%¥○☆
元師「そこはカットしろ。誤解されたらどうするんだ」
「もう十分誤解されそうなものですけど…」
元師「多少は構わん。だがそれを示唆するものはやめておけ。人は見聞きしたものに大なり小なり影響を受けるものだからな」
「…分かりました」盗撮の主犯に言われたくないけど…
山風「ふっ…!」
回避をしたすぐ横で水柱が上がる。使われている弾は全て実弾であるため、当たれば致命傷は避けられない。当然轟沈だってあり得るので、正に命懸けだ
ペイント弾を使用してもらえれば。何て発想は出るが言いはしない。あくまで人類の敵である深海棲艦は、いつ艦娘という敵に出会うか分からない。協定を結んではいるものの、完全な武装解除というのにはまだまだ程遠い
山風「いくよっ…!」ガシャン
イ級A「グオッ!」
山風「…っ!」ドンッ
イ級A 13/15
攻撃がイ級の体を掠る。山風の練度と装備でイ級程度は簡単に轟沈をさせる事が出来る事を本人が一番理解していた。その為に鈍ってしまった攻撃の隙を狙い、イ級がカウンターで砲撃を決めてくる
…が、その砲撃は顔一つ分横にずれ、砲撃の熱がその場に残る。飛んできた先を見る山風の顔は驚きに包まれており、見据えた先にいたイ級の明らかな怒りの様子に、何故か申し訳なさを感じていた
イ級A「グッ!グォッ!グォッ!」(どうして本気でやらないんだ!?)
山風「で、でもっ…!」
イ級A「…グォッ」(…そんなに弱いか)
イ級A「グォッ!グォォッ!」(僕らはそんなに弱く見えるのか!?)
瞬間、イ級の瞳に赤いオーラが宿る。そのオーラは目からだけではなく、全身を纏うオーラとしてその身を包んでいた
口の中で弾が装填される音がする。遠く離れていてもそれがハッキリと山風が理解した瞬間、自分の顔があった場所に一つの砲撃が飛び、反射的に屈めて避けた状態からほぼ無意識で。エリート化したイ級に向かって砲撃をしていた
イ級A(elite) 11/30 中破
イ級B「グッ!」(この…!)
イ級A(elite)「グッ」スッ
イ級B(仮)の前にイ級A(仮)が山風への砲撃を阻む様に立つ。その姿に押されたのか、イ級Bはゆっくりとその口を閉じた
ホ級がすぐさま高速修復剤をイ級Aにかける。するとその傷はみるみる内に塞がっていき、やがて完全に焼け煤けていた体が元の黒色へと戻る
それを見たホ級を始め、へ級やロ級といった深海棲艦も次々に赤いオーラを身に纏う。どうやらまだ本気では無かった様だ
だが一隻。イ級Bだけが変化をせずにその場に立ちすくんでいる。その様子は何処か悔しそうで、酷く悲しそうでもあった
イ級A(elite)「ググッ」(ラウンド2だ)
イ級B「……」
山風「…行くよ」
山風の目にも本気の力が宿る。その目は普段からの彼女から決して創造の出来ない様な力強い眼差しで合った
砲撃と魚雷の爆発が鳴り響く。ドンパチと激しさを増していくその音は、やがて弾切れという形で終わりを迎えるのだった
山風「はぁっ…!はぁっ…!」 8/30 大破
イ級A(elite)「グゥッ…」 4/30 大破
ロ級(elite) 8/35 大破
ホ級(elite) 12/48 大破
へ級(elite) 23/52 中破
イ級B「……」 20/20 無傷
敗北D
何時の間にか夜の帳が下りてきている。満身創痍と言っても良い状態ですが、たった一人でここまで敵部隊を追い込んだのは末恐ろしいと言わざるを得ません
月の光で多少は見えているとはいえ、それでもここは海上。暗いのは当たり前で、ライトが壊れていれば一寸先は闇だったと言わざるを得ません
深海棲艦達が何処からか持って来た灯りを照らしながら山風へと近づいていき、高速修復剤をその身に浴びせます。それを皮切りに他の深海棲艦も高速修復剤を浴びたり飲んだり(!?)してその傷を治していきます
イ級A「グオッ」
イ級B「……」スイ-ッ…
山風「…またね」
小さく手を振って別れを告げます。そこに相手を気遣う様な言葉も無ければ励ましも蔑みもありません。ただ敵と出会って決着が付かずに終わった。これが全てです
山風は踵を返して鎮守府へと帰投を開始します。その背を見送る姿の深海棲艦がいたような気がしましたが、海の波に沈んで消えていきました
妖精「と、ここまでが提督さんの所にいる山風さんの一日です」
元師「中々面白かったな。特に深海棲艦が変化したのはゾワッとしたぞ。一人だけ出来ていない者もいたが…」
「アレも一種の成長でしょう。ただ目先の事に本気にならず、どこか遠くを見ている。とも取れるんじゃないですか?」
元師「…ふむ。それは一考の余地ありだな」
妖精「元師~。報酬は何ですか?」
元師「おぉ。すまん。ほら、間宮券」ピラピラ
「…しかし、いつの間に盗撮なんか」
元師「面白いだろ?」
「気が抜けなくて嫌ですよ…」
元師「ハハッ。まぁ今に始まった事じゃないさ」
「…え?」
元師「さ、今日はこれで解散にしよう。これ以上見せる物では無いからな」
「……いつか聞かせて貰いますからね」
元師「その時まで生きていたらな」
「分かってますよ。では元師。また今度」
元師「あぁ。またな」