この学生、元放置提督 世界が変わっても、やることが変わっても、いつも通りにする。ただそれだけ 作:七福えると
電です。今日、私は司令官さんの秘書艦として一緒に執務をしていました
お昼になり、私は食堂へご飯を食べに行き、司令官さんは少し昼寝してから向かうとの事でしたので、少し早めに昼食を終えて戻って来た所…
司令官「…あー、その、2人共?」
天龍・龍田「「何?」」ジリジリ
司令官「急に昼寝して叩き起こされたかと思ったら、服を持ってジリジリ寄ってくるのは何で?」
天龍・龍田「「龍田(天龍ちゃん)が、この服を来てくれないんだ(の)!」」
司令官「……えぇ」
何故か手にパンクな服装を持って司令官さんに近づく天龍さんと、ゴスロリ衣装を持って天龍さんと肩を並べて司令官さんに近づく龍田さんの姿がそこにありました
電「…何してるのです?」
司令官「見た通り、言い寄られてる」
電「…はぁ」
司令官「酷くない?」
電「どうせ司令官さんのスマホを借りたときに何か見たんでしょう?」
天龍「提督のフォルダ覗いてたらこういう衣装があったからよ。龍田に似合うと思って妖精さんに作ってもらったんだが、似合うよな?な?」
龍田「それよりも私の服を着て欲しいんだけどなぁ~。ねぇ天龍ちゃん。ホントに着てくれないの?」
天龍「やだよ。それよりもこっちを着てくれって」
司令官「なぁ…他人に着せる前に自分で着るという選択は無いのか?」
天龍・龍田「「似合う事が分かってる物を着てもしょうがないだろ(でしょ)」」
司令官「すげぇ自信だな…」分かるけども
電「お二人共、司令官さんがお昼食べられないので後にしてください。司令官さんも、早く行かないとお昼ご飯食べ損ねますよ?」
司令官「はいはい。分かったよ。以前みたいに食べなかったら強制的に突っ込まれるのには堪えたからな」
電「分かれば良いのです」
司令官「2人も帰れ。相手に何かさせたい時は、相手がその選択肢を選べるんだ。自分で出来る事ってのは、如何に相手に興味を持ってもらうかなんだよ」
天龍「テレビの通販番組みたいなやつか?」
司令官「そうアレ。まんま真似しろって訳じゃないが、参考にはなるからな」
龍田「…そうねぇ。分かったわ」
2人して納得した様に頷き、それを見た司令官さんは部屋を出て食堂に向かって行きました
司令官さんが部屋を出る直前、天龍と龍田さんが見合って頷きあったのには、先程のやり取りに別の意図が隠されてたんでしょうが、まぁそれはお楽しみと言うことにしておきましょう
司令官さんが戻ってくるまでの間まで時間があるので、司令官さんの座ってた椅子に座って本を読んだりして帰って来るのを待ちます。たまにこっそりとやるのですが、こういうのは秘書艦の特権です
まぁ、島風ちゃんや夕立ちゃんは座っている場所の匂いを嗅いだりしているのですが…司令官さんが臭いってわけじゃ無いんですよ?
…この席に座ると、色々な事を考えます。前にあった事、司令官さんの事、私の夢、皆の事。その思いは様々です
最近気になっているのは司令官さんです。理由としては、初めて出会ったあの頃から、司令官さんの何かが変わってきている様な気がするからです
何というか…前よりも顧みなくなったといいますか、顧みる必要がなくなってきたと言いますか…どう言えばいいんでしょう?
強いて言うとするなら、司令官さんは強くなりました。私がそれを見た訳でも、誰かが話していた事でもありません。ですが明確に司令官さんは子供が大人に変わった様に成長している。そう思うのです
それでも、私はやっぱり司令官さんが強くなっていくのは止めたいと思います。本来司令官さんが強くなる必要などアリはしないんですから
…でも、そんな事を言ったら司令官さんは怒るんでしょうね。司令官さんは自分の弱さを許したくない人。それによって起こる間違いを酷く忌み嫌っていますから
???「お~い。提督いるか?」ガチャッ
電「利根さん?」
利根「電。提督は知らんか?」
電「司令官さんなら食堂に行きましたよ。何かご用事ですか?」
利根「あぁ。いや、用って程でもないんだがのう。ちょーっとばかし提督と飯でもと思ったんじゃ」
利根さんがこうやって誘って来るのを見るに、おそらく何か用事があるんだろう。こういう誘い方なんかは司令官さんに似てきていると思う
おそらく重要度はそこそこ高い。ご飯を用事にしてる所から周りに聞かれても影響は無いが、一緒にという文言から二人でいたいとの意思が汲み取れる。おそらく他には内緒にしておきたい事なのだろう
電「司令官さんなら誘えば受けてくれるのです。断る事は基本しませんから、行ってみたらどうですか?」
利根「…じゃな。早速行ってくるぞ!」
電「吉報をお待ちしてるのです」
利根さんが部屋を出ていき、足音が遠ざかる。再び部屋が静寂に包まれ、自分が座っている椅子の音だけがギィギィと音を立てている
やる事も特に無いので、少し早いが書類の整理をしてしまおう。早く終わればそれだけ早く休めるし、もしかしたら褒められるかも。なんて、分かりきってはいるが楽しみに期待をしている
電「こっちは優先度高で、コレは…特。こっちは低で…」
時計の針は進んでいく。カチコチと、しかし確実に。時間は期日という目的地を決め、先へと進んでいく
足音が聞こえてくる。音は太く短い。このパターンはおそらく提督だと思い、バレない様に椅子から降りてソファへと座る。司令官さんも勘が鋭いので、出来るだけ足音を立てないように
司令官「ただいま」ガチャッ
電「おかえりなさい」
司令官「利根と飯食ってきた。電が向かわせてくれたんだってな」
電「どうだったのです?」
司令官「うーん、まぁ、そこまで大したもんじゃないよ」
電「…なるほど」
そこまで大したもんじゃない。こういう言い方をする時の司令官さんは自分に対して何かあった時に良く言う。利根さんの悩みも、おそらく司令官さん絡みなんだろう
電「じゃ、さっさとお仕事終わらせますよ。司令官さんは仕事を早く終わらせる努力をしてくださいね」
司令官「ぐぅ…頑張ります…」
電「…それと、またアレをお願いするのです」
司令官さんの椅子に座った時、やはりというか、抗えなかったというか…抱かれている様な気がしていた。ただ椅子に座っていただけなのに、椅子の上で抱かれている自分を、僅かとは言え考えてしまった
そう考えてしまった以上は止まらなかった。頬が赤くなり、緊張で足が震えている。体の奥底から湧き出るような甘い感情が自分をジワジワと支配していくのを感じている
そんな自分を見て言葉は不要と判断してくれたのか、黙ってコチラに向いて手を広げてくれた。まるでそこに吸い込まれる様に、フラフラとおぼつかない足で司令官さんに近づく
抱きしめて、抱きしめられて。匂いと腕から伝わる異性であり上官でもある愛しい存在が、黙って自分の我儘を聞いてくれている
こういう事を許してくれるから、司令官さんは最高だ。風紀の乱れなんて言われるかも知れないが、知ったことでは無い。今はただ甘えていたい
曙「クソ提督。報告に…」ガチャッ
曙の脳内『クソ提督✕電+密着(ハグ)=逢引』
曙「……」バタン
曙『…ムカつく』
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曙「…ハァ」
嫌悪感。しかしそれは提督に対しても、電に対してでもない。自分に向けてだった
提督と電の関係性は深い。この鎮守府にいる艦娘なら全員が知っていることだ
だが同時に、提督にもし電と同じ事をして欲しい。なんてお願いしたら提督は特に反発すること無く受け入れてくれるだろう。電は特に不満に思うかも知れないが、提督はそういう人だ
それに対して私は…少し、いや。かなり性格が悪いが、それでいいと思ってしまっている。おこぼれの様な物であったとしても、提督なら受け入れる。自分の満たされない物を満たしてくれる
根拠は無い。しかし確信を持っている。なんでと聞かれたらおそらく私は答えられないが、確信めいた物を持っている
…行動原理としては虫に近い。なんて考えが頭によぎる。満たされないから満たす。その過程で繁栄をしている。つまりそういう間柄であり、その証拠を自分に残してほしい
艦娘は子供を作れない。提督もそれを知っている筈だ。その為、艦娘の中にはそういう行為を隠そうともしない者までいると聞いた事がある。それは提督もよく知っている筈だが、提督はそれをしない
人間的に許されないから。道徳心からそういう考えになっているのだと思っていた。自分達のそういった感情が降り積もって不満にならない様にと、過去に最低限の譲歩案として、自分達の発散に付き合うと言ってくれた
だが提督はそこまで固い人間じゃない。何なら欲望に流されやすい人だというのは艦娘達の間では周知の事実でもあった
経緯としては、駆逐艦達の間でお酒を飲んでみないか。それがきっかけだった
その話の矛先は響へと向いた。彼女がヴェールヌイとなる前の名残なのか、こっそりと酒を隠し持っている。響も良さが分かる同士が増えるならと、翌日が休日となっている駆逐艦だけで酒を
飲み始めてからしばらく経つと皆の酔いが回り始め、そんな酔っぱらった中で監視者兼参加していた電。頬が赤くなって少し気持ちが大きくなっていた彼女の口から提督の話題になった
酔っぱらいの会話に異性が出てしまえば必然的にそういう会話になる。そんな中で、夕立が吐露した様に話し始めた
過去、不満が限界にまで達した夕立が、提督の部屋でそういう行為をしていたと、本人の自供から発覚した。それを知っていたと言わんばかりに、潮も夕立に促されて話していた
そしてそれを聞いた電は、まるで全てを許す聖母の様な顔を浮かべながらこういった
電『司令官さんは困るでしょうが、別に良いのです。それは誰ともつかない司令官さん個人の問題ですから。ただ…司令官さんも男性ですから、その矛先が少しだけ、電に変わる程度の問題です』
その言葉を聞き、酔いが回った頭でグルグルと考えた。おぼつかない思考でゆっくりと、答えを出すように少しずつ考えた
1.誰かの不満が爆発 → 提督に関連する何かでこっそり発散する
2.提督は当然気づく → 大小関わらず、提督の
3.提督が不満を抱えたまま日々を過ごす → 限界を迎えて電に解消してもらう
4.電だけが直接提督の
それを皆がほぼ同時に悟った瞬間、電が勝ち誇った顔をしてにへらと笑っていた
やられた。それを理解した時、酔っぱらい達の行動は早かった
珍しく仕事を早く終えた提督の部屋に皆でおしかけ、全員で部屋にいた提督に対して抱きしめに行った
PCと向き合っていた提督が驚きの表情を浮かべ、皆から匂う酒の匂いと後から追ってきた電の表情で全てを察したのか、諦めた表情で受け入れてくれたらしい(後から本人に聞いた)
特にお咎めは無かった。分かってたことだが、提督はもう少し人との線引きをちゃんとするべきだと思う
だからこそ私達の方から線引きは必要だと感じていた。もし提督と同じように他の人と接した場合、確実に大変な目に遭うのは目に見えている
提督もその判断が出来るだろうと判断しての事か、特に何も言わないんだろう。自分に対する線引きはおかしいが、周りの常識を知らない訳ではないのだから
かなり逸れてしまったが、話の本題はここからだ
提督は不満を受け止めてはいるが、その不満を受け止めと同時に、自身の不満も解消している。それを理解したのは、先程の飲み会の話に戻る
提督の生活ならぬ性活だが、まずはPCフォルダとスマホのフォルダにある画像について話し合いが行われた
いつの間にかPCのデータがコピーしているSDカードを響がポケットから取り出して中身を見せてきた。何してるんだと今にして思うが、当初は酔っていたんだからしょうがない。だから私は何も知らないんだ
性活に使うであろう画像フォルダは20GBを超えており、内心ちょっと引いた。いくら何でも欲求不満すぎるだろうとすら思った
しかも殆どが電。次点で龍田さんだ。しかも一部がデカい。とにかくデカい。自分の物は無いかと探したが、何処か恐怖を感じる自分のイラストを見つけてしまい、思わず顔をしかめた
そんな提督の秘密とも言える物を探っていると、ふと気づいてしまった。画像は絵の目的と日付がファイル名として記載されている事。ある日を起点に絵の趣旨が変わり、そして映る人もまた変わっているという事に
提督の考えは分からない。この絵の並びにもただの気まぐれだと思う。だが…
電『これ、単語も書かれてますけど、人の名前も明確に書いてるんですね。それに行動も』
響『…確かに。これなんか今まで制服だったのが別の衣装になってる。それも単語も明らかにそれを指してるよ』
夕立『…時間はどうなってるの?』
響『…少し経ってるね。しかも日をまたいでじゃなくて、一日の内に何回か変わってる』
潮『提督がこんな短期間で色々見たという事でしょうか?』
曙『でもこの絵の趣旨は完全にエロよ。ファッションを見てたから色々試す様に色々作ったという訳には思えないわ』
響『飽き性?』
曙『それにしては数分単位で変わりすぎてるわ。少なくともこの時に提督に何かがあったとみるべきじゃない?』
電『うーん…何か動画でも見ていたとかでしょうか?それでインスピレーションでも湧いて沢山作ったとか』
夕立『それにしては方針が固まらなさすぎじゃない?暴走するにしても限度があるんじゃないかなぁ』
電『アレですかねぇ。夢か何か見て、そこで見たのを作ってみたとか。全体的に午前中、特に9時近くが多いじゃないですか』
潮『どんなハーレム系の夢見てるんですか…』
曙『せめて鎮守府に着任した以降の頃の物があれば良いんだけどねぇ…そしたら何か分かったかも知れないのに』
電『でも、少なくとも司令官さんは何か考えを持って行っている。という訳では無さそうですね』
夕立『性の激流に流されっぱなしっぽい』
響『激流を制するは静水…しっかりと受け止めるべき所があるからこそ、激流というのは激流であるんだ』
曙『何言ってんのよアンタ達…酔っぱらって頭回って無いわよ』
この話の後に先程の夕立の話になった。話の変わった経緯が余りに突拍子もないが、酔っぱらった人間と言うのは総じておかしいものらしい
そして面白い事に、この話は瞬く間に皆に広まった。誰が流したかは知らないが、愛宕さんが以前より積極的になり、龍田さんも自分が電の次に好かれていると分かったからなのか、口では嫌がっている素振りを出していたが、しっかりと体の距離間は近づいていた
あの時は酷かった。重巡と軽巡を筆頭に、駆逐艦だけでなく戦艦と深海棲艦も混じっていた。アレをカオスと言わずして何としよう
皆、あの時見た画像の様にその場の考えやノリで判断して動いていた。しかしそれも数日たてば落ち着きを取り戻してはいたが、その時の提督は誘いがあれば少し迷いはするものの、断りはしなかった。その一線を超えようと響が試したこともあったが、そこは提督も受けてしまいかねないので艦娘総出で止めた
この降って湧いたような突然のイベント。トリガーとなったのは酔っ払い達の行動だが、しかし引き金を引けばとんでもない事になってしまっていた
恐らく普通の人相手ではこうはならないだろう。何故なら自分という線を誰しも持っており、それを基準に自分の行動を決めて動く。それが人間という者だろう
だが提督にはそれが無い。もしかしたら線はあるのかもしれないが見えない以上は分からないままで、その線を超えていると自分達が判断したとしても提督にとってはその線はまだ超えられていない線なのだ
…はて?どうしてこんなことを考えているのだろうか。提督じゃあるまいし
曙「…疲れてるのかしらね。あんな物見た後だし」
ずっと手に持っていた報告書。再び片手に置いて、今度は扉をノックして中からの返事を待つ
5秒。反応が無い
10秒。まだ反応が無い。まぁ許容範囲だ
30秒、1分と待たされ、流石に限界だと思ってこっそりと扉を開ける
曙「クソ提督。さっさと返事しなさい。入るわよ」ガチャッ
電「ん…」ギュッ
クソ提督 ピクピク
曙「ちょっ!電!クソ提督の背中折れてるから!完全に口から泡拭いてるから!」
電「んぅ…?もうちょっとだけ…」
曙「やめなさい!」
あぁもう。本当に、何なんだ今日は