Lv99の従者、主人に愛されてるけど愛が重い(お前も大概だろと言う話) 作:究極の闇に焼かれた男
追記:本当に久しぶりなので上手く書けてるか分かりません。
学園長との話し合いから数日後、遂に野外実習の日が訪れたのだが、現在ユミエラはクロノから必死の説得を行われていた。
「良いですかユミエラ様、お願いしますから『アレ』だけは絶対に使わないで下さいね!」
「分かったから少しは落ち着いて、クロノ」
「こうでも言わないとユミエラ様は確実にアレを使うから言ってるんです!」
「ああー、もう分かったから」
クロノの言葉にため息を零しそうになったユミエラはそう言って会話を切り上げると、学園長から頼まれた件を遂行する事にした。
野外実習の参加者はユミエラとクロノを含んだ20名の生徒で行われており、現在は狼型の魔物三匹が散発的に現れるのを複数人がそれぞれチームを組み、一匹を相手取ると言う非効率なやり方をしていた。
そんな実習風景を見てクロノとユミエラと言うと、
((あの程度の魔物相手に大人数でやるなんて、いくらなんでもレベル上げをするには非効率過ぎないだろうか?))
奇しくも同じ気持ちを抱いていた(因みにクロノが同じ事を考えていたのをどうやってか気付いたユミエラは、心做しか小さな笑みを浮かべ嬉しいそうだったと言う)。
「あー、暇。 欠伸が出そう…」
「あの程度の魔物一匹を始末するのに幾ら何でも人員が割に合わないですね」
「同意見だ、確かにこれは効率が悪い」
余りの効率の悪いレベル上げのやり方に思わず言葉を零した2人に同意するかの如く、誰かの言葉が返ってきた事にクロノとユミエラが視線を向けると其処には灰色の髪をした1人の少年が立っていた。
(彼はアッシュバトン辺境伯家の、確か名前は『パトリック・アッシュバトン』。 入学時点でレベル10に達していた数少ない生徒の1人でしたね…)
少年ことパトリックについてクロノが記憶を呼び起こしていると、ユミエラがパトリックに対して口を開き始める。
「もう少し、魔物が多くても良いと思うのですけど」
「そうだな、前衛と後衛に分かれて連携を取れば十分可能だと思う」
「確かに、これだけの人数でレベル上げを効率化させるならその方が良いですね。 それにしてもアッシュバトン領では前衛と後衛を分かれてレベル上げを?」
その言葉に納得した様子を見せるクロノが聞き返すとパトリックは頷きながら答え始める。
「そうだ。 前衛が魔物を抑えつけ後衛が攻撃をする、これが基本だな」
「なるほど、それを先程の逆で交互にやっていく事で集団でのレベル上げを効率化させるんですね?」
「その通りだ。 後衛が魔法で魔物の動きを止めている間に前衛が攻撃する、そうする事でレベル上げに偏りが出ないようにするんだ」
それを聞いたクロノは「ほぉ…」と驚嘆の声を上げていると、不意に何か思い付いた様子のユミエラが口を開いた。
「それって此処に居るメンバーで出来ますか?」
「それは出来ると思うが……ここは魔物の数が少ないから意味が無いと思うぞ」
「魔物が少ないと言うことでしたら、私が良いものを持っていますよ」
ユミエラが発した言葉を聞いた瞬間、もしやと思ったクロノは慌てて口を開いた。
「ゆ、ユミエラ様!? 先程アレはよしてくださいと言った筈ですが!?」
「大丈夫だよクロノ、アッシュバトンさんも此処に居るメンバーなら大丈夫だって言ってたじゃない。 それにもしもの時は私たちでフォローすれば大丈夫」
「そう言いますけどユミエラ様、流石に此処でアレを使ったらマズイですって!?」
「大丈夫だから信じて」
「どこがですか!?」
「お、おい一体どうしたんだ?」
クロノの慌てようにパトリックが口を挟むと、それに答えるようにしてユミエラが懐から一つのアイテムを取り出した。
「あー、もう、どうなっても知りませんからね!」
「それは? 魔物呼びの笛か!? おい、吹くのをやめ--」
クロノが半ばヤケクソ気味に叫び、ユミエラが取り出した物を見てパトリックが止めようとした瞬間、ユミエラによって魔物呼びの笛が吹かれる。
笛の音色を聴いた教師が音の正体に気付き顔を青くしている中、パトリックは慌てつつも他の生徒たちの方へと合流すると急いで指示を出し始め、クロノは何処からか取り出した胃薬を静かに飲み込む。
「前衛と後衛に分かれろ! 前衛は魔物の足止めだけに集中するんだ! 怪我をしたら直ぐに下がってポーションで治療を。 後衛は魔力の多いい者が範囲攻撃を! 取りこぼした分は前衛が止めるから、残りの後衛が攻撃してくれ!」
パトリックが他の生徒たちに的確な指示を送っているのを見てユミエラが感心している中、クロノは雲一つない青空を見上げながら小さく呟いた。
「結局こうなるのかよ……今月中に胃薬を大量に発注しないとな」
自身の胃を擦りながらそう呟いたクロノは貯金の一部が胃薬に注ぎ込まれる事を軽く嘆くのだった。
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