Lv99の従者、主人に愛されてるけど愛が重い(お前も大概だろと言う話) 作:究極の闇に焼かれた男
そして最後の方にちょっとした短編をお送り致しますので、それではどうぞ!
レベル測定を行った後のクロノはしばらくの間、凄く呆然としていた。
そんな彼が席に戻ると隣に座っていたユミエラが優しい表情で出迎えてくれたのだが、それを素直に喜ぶ余裕が彼には無かった。
何故なら彼はある事を考えていたからだった。
(あの学園長……確実に疑いの眼差しを向けてたし、エドウィン殿下に限っては不正を働いた人間を見る目をしていた。
これって絶対に後から何かしらのちょっかいを掛けて来るだろ………ハァ、胃薬が欲しい)
そんな事を思いつつ想定外のアクシデントが有ったものの、無事入学式を終える事が出来たのだった。
入学式を終えた後、新入生の歓迎と親睦を兼ねた立食パーティーが行われていた。
そこにクロノとユミエラも居り、二人揃って壁際で話し合っていた。
「まさかレベル99とは思いもしなかった…」
「寧ろアレだけダンジョンに入り浸りだったんですから、ある意味当然じゃないでしょうか?」
「それもそうかも知れない?」
「何故に疑問系何ですか……」
(でも…これでクロノを自分の物にしようとする雌は減ったかも知れないから僥倖かな)
ユミエラは内心そう思っているとクロノが口を開いた。
「ユミエラ様。とりあえず、一度帰るとしましょう」
「うん。それには大賛成」
「それではエスコートさせていただきますね」
「…よろしく///」
クロノの言葉に頬を染めつつユミエラが手を差し出すと、その手をそっと優しく握ると二人は共に会場から抜け出す事するのだった。
しかし…
「おい、そこのお前!少し待ちやがれ!!」
外に出て直ぐの時だった、突然後ろからこちらに敵意を宿す様な態度で誰かが話し掛けて来た。
クロノとユミエラは立ち止まると後ろへ振り返ると、そこには一人の男子生徒が居た。
「そこのお前達! どんな細工をした。あんな事をして恥ずかしくないのか!」
そう捲し立てる様に言い放って来た人物に二人は見覚えがあった。(片方は前世の知識で、もう片方は今後に備えて色々と調べた際に知っていた)
燃える様な赤い髪の少年…ウィリアム・アレス、レベル10でエドウィン殿下の幼馴染みである人物の一人で正義感が無駄に強いらしく脳筋であるらしいとの事だ。
そんな彼はこちらに怒りの眼差しを向けており、その事にクロノとユミエラは面倒に感じていたがやむを得ないと考えたクロノはユミエラに目配せした後、彼に対して言葉を返す事にした。
「もしかして……レベル測定の事でしょうか?」
「当たり前だろう! 目立ちたかったのかは知らんが、貴族としての誇りは無いのか!」
(嗚呼、やっぱりこうなるのか………馬鹿らしいな)
ウィリアムの言葉にクロノは内心そう呟くとそこにまた一人、面倒な人物が現れた。
「落ち着けウィル。お前の気持ちも分かるがパーティー会場で騒ぐんじゃない」
そう言ったのは煌めく金の髪をした人物、エドウィン・バルシャイン第二王子だった。
王子の登場にクロノとユミエラは慌てて礼をした。
「初めまして、エドウィン殿下。ユミエラ・ドルクネスと申します」
「その従者のクロノ・エルダートと申します」
「ドルクネス伯爵家……中央もどきか」
小さく吐き捨てる様に言ったその言葉にクロノは一瞬、反応したのをユミエラは気付いた。
それに気付いた様子も無くエドウィンは話し掛けてきた。
「ユミエラ嬢、ウィルは小さい頃から剣術を人一倍努力していてね、レベルも学園入学前に10に達した。君のした事はそんな彼の努力を踏みにじる事なんだよ」
その言葉にクロノの中のイライラが高まっていた。
(こいつら……本気で切り刻んでやろうかな)
(クロノがエドウィン殿下達の言葉に対して怒ってるって事は、私の事を想ってくれてるって事かな? もしそうなら嬉しいな///)
微かな殺気にユミエラはクロノに視線を移し、何で怒っているのかを察して「もしかして!」と思い内心喜んでいた。
「申し訳ありません。しかしユミエラ様と自分がレベル99なのは紛れも無い事実ですし、あの時学園長が仰ってた様に授業が始まれば直ぐに真実が分かりますので、今日の所はここでやめにしませんか?」
「お前達が俺より強いとでも言うのか! 今の俺が手袋を持っていない事に感謝するんだな!」
やんわりとやめるてくれる様にクロノが頼んだにも関わらず、ウィリアムは尚も噛み付いて来る。
その事にクロノのイライラ度が更に高まる。
(……この馬鹿は人の話を聞けないのか)
そう思っていると更に面倒な人物が現れた。
「レベル99なんて現実的ではないでしょうに、そんな事も考えられないのですか。まぁ、考えられないんでしょうね」
人を小馬鹿にした様な言葉を吐きながら現れた眼鏡を掛けた青髪の少年…オズワルド・グリムザードの登場にクロノは胃がキリキリと痛むのを感じていた。
その事に気付く事もなくウィリアムがクロノに対して言い放った。
「第一こんな軟弱野郎が俺よりレベルが上だなんて、絶対ありえないんだよ!!」
その言葉が引き金だった…
「………せ」
「は?」
不意に聞こえたセリフにウィリアムが反応すると、ある人物に目を向けていた。
視線の先に居た人物、それはユミエラだった。
そんなユミエラだがその表情に影が差しており、周囲の空気が極寒の如く寒くなっている事に見ていた他の貴族達が冷や汗を流し始めた。
マズイ、このままでは何かとんでもない事が起きる……
ユミエラの様子に先程まで見ていた貴族達全員がそう思い、固唾を飲み込むとゆっくりとその場から退がり始めていた。
「取り消せ…」
「あ?何言ってんのか聞こえねぇーよ!もっとハッキリ言いやがれってんだ!!」
ウィリアムがユミエラに対して怒鳴る様に言った。
それを見ていた周りはユミエラの様子が変わった事に気付いていない脳筋に「馬鹿野郎!」と叫びたくなった。
そして、その時は遂に訪れてしまった…
「……もういい、その口を開くな」
「は? っ!?」
ユミエラの底冷えする様な声と共に、ウィリアムは凄まじい衝撃を感じた。
その光景に誰もが目を見開いた。
何故なら、信じられない事にユミエラの細い腕からは考えられない様な風切り音と共に振り抜かれた拳がウィリアムの顔に直撃する瞬間、クロノがそれを優しく受け止めた衝撃波が室内の音を全て掻き消したからだった。
「落ち着いてくださいユミエラ様。この程度の男、殴る価値も有りません」
平然と何事も無かった様に言うクロノの姿にウィリアムとエドウィン、オズワルドは腰を抜かしてその場に座り込んだ。
少し経ってから正気に戻ったユミエラは自身の拳を優しく受け止めるクロノを見て慌てていた。
「っ!? ご、ごめんなさいクロノ!わ、私……っ!?」
自身の行動に動揺を隠せないでいるユミエラをクロノは突然優しく抱き抱えると、振り返らずにエドウィン達に対して底冷えする声で告げた。
「……今回は見逃して差し上げますが。ですがこれ以上俺の大切な人を愚弄、もしくは傷付ける様なマネをしたら容赦はしないので宜しいですね」
その瞳には何も映っておらず、ただそこには純粋な殺意だけが宿っていた。
その日はクロノの活躍もあって事なきを得たエドウィン達だったが、次の日に彼らはユミエラに対してある事を行った結果、悲惨な目に合う事を彼らは未だ知らなかった。
短編『クロノと彼に抱き抱えられているユミエラ、そんな二人の帰り道での一幕』
「クロノ、私のせいでごめん……」
「何の事ですか?」
「私が自分の感情を抑えられなかったせいで、クロノに迷惑を掛けたから、その……」
「何だ、そんな事ですか?」
「そんな事じゃ、「俺は迷惑だなんて決して思う訳ないでしょう…」っ!?」
「ユミエラ様は自分の、俺の為に怒ってくれたんだって分かってますから。それに嬉しかったんです、ユミエラ様がそこまで俺の事を想ってくれてたんだって知れて…」
「……クロノ」
「ですから大丈夫ですので、笑ってくださいユミエラ様」
「………うん///」
偶然にも通り掛かった多数の教師がそれを見た結果、苦味を求めて食堂に向かった事によりその日の食堂は大いに賑わったらしい……
次回は初の授業が行われる話となります。
原作と違ったキャラの反応やクロノの実力が明かされます。
それと良かったらコメントの方もお願いします!
魔王討伐後はどんな展開にして欲しいのか、以下の選択肢からお選び下さい
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ユミエラとの結婚式
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病み過ぎたユミエラに監禁される
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小説版と同じ
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アニメ最終回と同じ
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まさかのパットリックルート突入