魔族です。最推しはエルフのフリーレンちゃんです。 作:メリー三
突然ですが私、魔族に転生したようです。
何を言ってるのかと思われるかもしれませんが、私がそれを一番思っています。所謂そうですね、異世界転生ってやつです。
死に方もベタなもので、まぁあれです。トラックでグチャリとイッちゃった感じです。
前世の私は、好きなものを前にするととことん盲目になるタチでして、その結果赤信号に気づかずグチャッた訳なんですけどね。
さてさて、魔族に転生してそこそこ長い私ですが、最近の推しはエルフのフリーレンちゃんです。
森の中を彷徨っていた時に偶然見つけたエルフの村に、彼女はいました。一目で、心を奪われたのを覚えています。あの小柄で、ちょっぴり気怠げな感じ。グサッときました。そこからはもう、その他の全てが見えなくなってしまう盲目モードですよ。
どの程度のレベルかと言うと、つい自分が魔族だってことも忘れて、お近づきになろうとしてしまうぐらいなものです。それはもうおっそろしい形相で魔法を打たれましたよ。ですがその表情がまたまた可愛くて、癖になってしまいまして。
それから、定期的に彼女の前に現れては逃げ帰るなんてルーティーンができてしまいました。
今日も今日とて、彼女に会いに行こうと思います。面倒くさがられたって構いません。どんな形であれ、彼女の中に私という存在が確立されるのなら、本望なのです。
○☆
「...なんです?これ」
その日、エルフの村は荒ぶる炎に包まれていました。私が駆けるように火の手の止まらない村に飛び込みますと、そこには大勢の死体が転がっていました。耳の長い死体でした。どうやらエルフの森は、何者かの襲撃にあってしまったようです。
所々に、魔力の残滓が残っています。余程激しい戦闘だったのでしょう。これでは、賊の仕業とは考えられません。
消去法ではありますが恐らく、長命種であるエルフを警戒した魔王軍による鏖殺でしょう。私は魔族ですが、魔王軍に属している訳ではないので、勿論そんなことは知る由もありませんでした。
それにしてもフリーレンちゃんは無事なのでしょうか。それだけが心配です。
「あ、」
ふと、フリーレンちゃんの気配を感じたので、その方へ視線を向かわせました。そこではちょうど、フリーレンちゃんが魔族にトドメを刺したところでした。
あれは確か、玉座のバザルト。魔王軍の将軍の一人。
その周りに、他の魔族の死体が、粒子となりつつ散乱しています。これは全てフリーレンちゃんがやったのでしょうか。流石、可愛くて強いなんて最高です。
っとその時、私に気づいたのか、フリーレンちゃんが振り返りました。
「...またお前か」
「こんばんは、フリーレンちゃん。今日も可愛いですね」
「...ッ」
おや?今日のフリーレンちゃんは、一段と熱い視線を送ってくれますね。憎悪と殺意に満ちた、強い視線です。なんだかちょっと、興奮してしまいますね。
「それにしても、大変だったようですね。魔王軍に狙われてしまうとは」
「とぼけるな。つくづく人をイラつかせるのが上手い奴だな」
「とぼ、ける?はて、一体なんのことでしょうか」
「いや、いい。魔族と話すだけ無駄だ」
困りました、どうしてフリーレンちゃんは憤怒しているのでしょうか。魔族になってからというもの、私は人間としての感性を失ってしまったようです。元々空気を読むことは得意ではありませんでしたけどね。
...もしかしてですが、この惨事の主犯が私だとでも思われているのでしょうか?そうとまではいかずとも、エルフの村の情報を魔王軍に送っていた。なんて思われても仕方がないかもしれませんね。
「おっと」
その瞬間、フリーレンちゃんの放った魔法が、私に向けて飛来してきました。私は大袈裟に回避してみせます。
「暴力はよしてください。私のようなか弱い小魔族、フリーレンちゃんが手を下さずとも勝手に狩られちゃいますから」
「か弱い?...いや、お前は私よりも遥かに強い魔法使いだ」
「え?...どうして、そう思ったんですか?」
「...なんとなく」
なんとなく...感じ取ったのでしょうか。
私の、