愛生まばゆ×巴マミの短編集 作:つむぎルカ
ある日の朝、マミさんが『とても大切な人』を夢に見る──そんなお話。
【2/26追記】scene0全話読みました。
どうしましょうこれ。
pixiv様にてマルチ投稿させて頂いております。
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眩き夢
──目が覚めれば、頬が濡れていた。
カーテンの隙間から差す──朝の日向に照らされながら、自らの頬に触れて気付いた。
どうやら夢を見ていたみたいだけれど、どんな光景だったかも──急速に薄れ、そして霧散してってしまう。
けれど──。
「……っ……」
胸がつっかえる。
喉奥に、何かが詰まってしまい、鼻先がツン──と滲むこの感じ。
どうして──どうしてこんな感覚になってしまうのか──。
「……」
とっても幸せだった気がする。
『うぎゃーっ! 失敗しました!』
同じ友達とお紅茶や、一生懸命作ってくれたカフェマキアートを飲んで──。
『これどうぞ! うちのお店のケーキです!』
同じ友達とケーキを食べて──。
『前みたいなお母さんが帰ってきてくれただけで、私は……もう……』
同じ友達と『願い』について語り合って──。
『いっそこうやって軍師に徹すると言うのはどうでしょうか!』
ちょっと変わった子だったけれど、お母さんの事を想って──そんな願いを『私も自分だけの為』と自嘲してまで、私に寄り添ってくれた。
洋酒入りのケーキを食べてしまって、少し酔っぱらっちゃって、泣いちゃって──と、恥ずかしいところを見せてしまった事もあったっけ……。
色んな表情をしてくれたあの子に対して、私も色んな顔を見せちゃった。
今まで会ってきたどんな子よりも、心の底から分かり合えてた気がする。
なのに──。
「──行かないで……」
その子が誰だったのか、もう覚えていない。
名前も──そして顔も思い出せはしない。
けれど、ある筈が無い
その温もりは──『夢』と言う名の嘘だったなんて、思えないのだ。
いいえ──嘘だったなんて、信じたくは無かった──。
「……私を……独りにしないでっ……」
──夢の中にしか存在し得ない子。
その子を想いながら、私は涙に声を濡らす。
膝を抱えて、丸まり震える。
嗚呼、なんて恥ずかしい様なのだろう。
私は──存在し得ない筈のその子に、恋焦がれてしまっている。
もはや名前も思い出せないあの子など、この世界に存在する訳がないのに──。
「……支度……しなきゃ……」
会いたくても、会えるはずのない──夢の中の女の子。
瞼の裏に焼き付いたその姿も、今日と言う夜を迎えてしまったならば、思い出せる事もなくなってしまうのだろう。
睫毛に纏わりついた涙を拭い、今日も私は独りに生きる──。