愛生まばゆ×巴マミの短編集   作:つむぎルカ

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本編時間軸マミさんxまばゆの即興書き殴り超短編小説。
ある日の朝、マミさんが『とても大切な人』を夢に見る──そんなお話。

【2/26追記】scene0全話読みました。
どうしましょうこれ。

pixiv様にてマルチ投稿させて頂いております。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=21465896



本編時間軸編
眩き夢


 ──目が覚めれば、頬が濡れていた。

 

 カーテンの隙間から差す──朝の日向に照らされながら、自らの頬に触れて気付いた。

 どうやら夢を見ていたみたいだけれど、どんな光景だったかも──急速に薄れ、そして霧散してってしまう。

 けれど──。

「……っ……」

 胸がつっかえる。

 喉奥に、何かが詰まってしまい、鼻先がツン──と滲むこの感じ。

 どうして──どうしてこんな感覚になってしまうのか──。

「……」

 とっても幸せだった気がする。

『うぎゃーっ! 失敗しました!』

 同じ友達とお紅茶や、一生懸命作ってくれたカフェマキアートを飲んで──。

『これどうぞ! うちのお店のケーキです!』

 同じ友達とケーキを食べて──。

『前みたいなお母さんが帰ってきてくれただけで、私は……もう……』

 同じ友達と『願い』について語り合って──。

『いっそこうやって軍師に徹すると言うのはどうでしょうか!』

 ちょっと変わった子だったけれど、お母さんの事を想って──そんな願いを『私も自分だけの為』と自嘲してまで、私に寄り添ってくれた。

 洋酒入りのケーキを食べてしまって、少し酔っぱらっちゃって、泣いちゃって──と、恥ずかしいところを見せてしまった事もあったっけ……。

 色んな表情をしてくれたあの子に対して、私も色んな顔を見せちゃった。

 今まで会ってきたどんな子よりも、心の底から分かり合えてた気がする。

 なのに──。

「──行かないで……」

 その子が誰だったのか、もう覚えていない。

 名前も──そして顔も思い出せはしない。

 けれど、ある筈が無い()()()()()()の残滓は、確かに温もりとして残っていた。

 その温もりは──『夢』と言う名の嘘だったなんて、思えないのだ。

 いいえ──嘘だったなんて、信じたくは無かった──。

 ()()なんて、したくはなかった──。

「……私を……独りにしないでっ……」

 ──夢の中にしか存在し得ない子。

 その子を想いながら、私は涙に声を濡らす。

 膝を抱えて、丸まり震える。

 嗚呼、なんて恥ずかしい様なのだろう。

 私は──存在し得ない筈のその子に、恋焦がれてしまっている。

 もはや名前も思い出せないあの子など、この世界に存在する訳がないのに──。

「……支度……しなきゃ……」

 会いたくても、会えるはずのない──夢の中の女の子。

 瞼の裏に焼き付いたその姿も、今日と言う夜を迎えてしまったならば、思い出せる事もなくなってしまうのだろう。

 

 睫毛に纏わりついた涙を拭い、今日も私は独りに生きる──。

 

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