ぽにおとタロウ   作:生牡蠣

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せっかくゼロの秘宝番外編で桃太郎関係完結したので書いてみた



オニとあばたろう

ことーしことし…いや、私にとっては今年の事だがこの物語が語り継がれるとしたら結構昔の話になるかもしれないので大昔という事にしておこう。

 

遥か昔、キタカミの里に異国の地より男と鬼が迷い込んできた。

村の人々は自分たちとは違う彼らの姿を恐れた。

男の方は一見するとさわやかな青年の様だが表情の変化が乏しく、発言もおかしかったため不気味がられ、鬼の方はキタカミの里周辺では見たこともない未知の生物であった為、そんな反応も無理はないだろう。

村人たちは恐れから男と鬼を自分たちの村に近づけないようにした方がいいと言い出すものも現れた。

 

…しかし、そのような事は長くは続かなかった。

 

男はすぐに里同士の手紙や荷物を届ける飛脚の仕事に就いた。

当時の村人たちは、里周辺の生物に対抗する術をほとんど持ち合わせていなかった。仕事の途中で生物に襲われて命を落とすなんてことも珍しくはなかった。

その為飛脚の仕事は万年人手不足。怪しい男だろうが何だろうが、簡単に雇った。

村人たちは最初、その男も自分の命惜しさに仕事を投げ出すだろうと高を括っていた。

 

しかし、男は仕事を投げ出す様子はなく、それどころか男が運ぶ荷物は絶対に届くと評判になった。

さらに男は荷物を届けた後「これでお前とも縁が出来た」「縁のついでに困りごとを手伝ってやろう」と言って村人達の仕事を手伝い始めた。

村人たちは訝しげに男を見ていたが、ドブ攫いから畑仕事、害獣駆除まで嫌な顔せずにまじめに取り組む男を見て段々と評価を改めていった。

時にその行動が暴走気味になるときもあったが、その時は毎回男ともにやってきた鬼が男を治めており、いい塩梅に場が収まるのも、男達の評価の助けとなっていた。

そのような事が続き、やがて男と鬼はキタカミの里に受け入れられるようになった。

 

そんなある日、住民たちは男と鬼を里の祭りに誘った。

本来よそ者の参加はあまりない祭りであったが、今まで偏見の目で男達を見ていた償いの意味を込めての招待であった。

男と鬼は少し驚いた様子になったが「祭りか…おもしろい!」と大層喜んだそうだ。

そうして祭りの日がやってきた。

里の住民たちは歌えや踊れ、食えや飲めやのドンチャン騒ぎで楽しんでいた。

しかし、いつまで経っても男と鬼は現れない。まさか祭りに参加するのが嫌になったのかと住民たちも不安になっていた。

 

そんな中、祭りも終盤に差し掛かった頃、それは突然現れた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ワーーーーッハッハッハッハッハ!!!!!!」

 

 

 

 

突然、祭りの場に大声が響いた。

住民たちが一斉に声の方を振り向き、そこに広がる光景に目を見開いた。

 

天地が創造された事の様に喜び踊り狂う天女たち

筋骨隆々の屈強な男達が担ぐ豪華な神輿

 

その神輿の上には、珍妙な者達が乗っていた。

神輿の中心にはキラリと光る赤い面…否、あれは鎧を着た男が奇妙なカラクリに跨り、扇を仰いで高笑いをしている。

その赤鎧の周りを回りながら、黄色い鬼の様な鎧をした者が楽し気に紙吹雪や花びら等をばら撒いていた。

その珍妙だがどこか神々しさを感じる光景は、住民たちが一瞬天から神様が降りてきたのだと思ってしまう程であった。

 

「やぁやぁ祭りだ祭りだ!!悩みなんざぁふっとばせっ!!」

 

「ぽにおー♪」

 

赤鎧と黄色鎧が発した声に、住民たちはその者たちの正体が男と鬼である事に気が付いた。

何だあの格好は?この天女や筋肉ダルマたちは何者だ?

男に聞きたいことは山ほどあった住民たちだが、その神輿集団の楽し気な空気に呑まれ、住民たちも「こまけぇ事はいいんだよ!!」と一緒になって騒ぎ始め、その宴は朝まで続いたのであった。

 

その祭りの後、男と鬼はすっかり里の者に受け入れられるようになったのであった。

特に里のお面職人は、祭りの時に見せた鎧の面にえらく感動し、いいものを見せて貰った礼として男と鬼に特別な面をいくつも送る程であった。

その面は、男が異国より持ち込んだ宝石をあしらった、それはそれは見事なお面であった。

お面の出来栄えの良さはたちまち評判になり、噂はあっという間に遠くの国々まで知れ渡った。

 

そんな中、世にも珍しい輝くお面の噂を聞き付けたのであろうか数匹の欲深いポケモンがキタカミの里にやってきた。

ポケモン達は男と鬼の住処へと忍び込み、大事に仕舞われていたお面を奪い取ろうとした。

ポケモン達は男と鬼が留守の時に住処に忍び込み、お面を奪い取ろうとしたのだが、運悪く男と鉢合わせしてしまった。

ポケモン達はこれは仕方がないと男を気絶させ、そのままお面を奪ってしまおうと男に飛びかかったのであった。

 

 

 

「お前ら、お面泥棒か……おもしろい!」

 

 

それから数刻後、鬼が洞窟に戻ると…

 

 

 

 

「ヌ、ヌンダフぅ…」

「マ…シキャ…」

「キチぃ…」

「もげぇ…」

 

そこには、目を回して倒れているポケモン達と、その中心で仁王立ちをしている男の姿があった。

 

「その程度で“ばかぢから”だと?俺の方が強い!」

「そんな“サイコキネシス”はダメだ。どれ、俺が手本を見せてやろう!」

「この匂い…フェロモンというやつか?だが俺には効かん!」

「なんだこの餅は?……うむ、25点だ!」

 

なんと男はお面を盗みに来たポケモン達を返り討ちにしてしまったのである。

明らかに人間より力の強いポケモンを力でねじ伏せ、香りや毒による洗脳も真っ向から跳ねのけたのである。

……この男、本当に人間か書いていて不安になってきた…

 

「この程度か……だが、この俺相手に盗みを働こうとするとは面白い、おともにしてやろう!」

 

その後男は何故かポケモン達を大層気に入り、鬼同様に自分の手元に置き可愛がったそうな。

 

そんな日が続いたある日、キタカミの里に男が連れてきた鬼とは別の鬼が現れるようになった。

その鬼は人間でもポケモンでもない、禍々しく、この世の者とは思えない程恐ろしい姿をしていた。

その鬼は強く、自らよりも大きいポケモンでも平然と投げ飛ばせるほどの怪力で、火を吐いたりするなど異能の力を持っていた。さらに、鬼たちは抽象画のような色をした鎚を持った小鬼たちを大勢従えていた。

鬼たちは里に現れては、住民やポケモンに攻撃し、破壊の限りを尽くした。

いつ鬼に襲われてもおかしくないという事実に、人もポケモンも恐怖していた。

 

「さぁ、勝負勝負ぅ~!!」

 

しかし、鬼たちが現れる度に男と相棒の鬼があの祭りの日と同じ鎧を着て鬼たちをやっつけるようになった。

身の丈ほどもある刀で鬼を切り、人々を守る姿はまるで英雄の様であった。

そうして男達が戦い続けている内に、男が可愛がっていた他のポケモン達も同じような鎧を身に着け、共にキタカミの地を守るようになったのであった。

人々は、そんな彼らに感謝した。

住民たちは男の戦いぶりがまるで暴れている様だったので『あばたろう』と、男が自分のポケモンの事をおともと呼ぶことから『ともっこ様』と人々は親しみを込めてそう呼んだ。

 

やがて異形の鬼たちが全て倒されると、いつも間にか男もともっこ達もどこかへ行ってしまった。

住民たちも必死になって探したが、ついに男達を見つけることは出来なかった。

もしかしたら、彼らはあの鬼たちからキタカミの地を守るために使わされた神の化身だったのかもしれない。役目が終わって天界に帰られたのだ。いつしか人々はそう思う様になり、里では男とともっこ様を祀るようになった。

 

彼らがその後どうなったのかは分からない。しかし私は、きっと彼らはこの空の続くどこかで笑い合いながら幸せに暮らしていると願っている。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~…やっぱ何度読んでも最高じゃ~…」

 

閉じた本を抱きしめるように抱えながら根暗そうな少年――――スグリは感嘆の声を上げた。

やはりこの物語は良い。何度読んでも心臓が高鳴るのを感じる。

スグリの読んでいた本。それはスグリの故郷であるキタカミの里に伝わる昔話であった。

里に流れ着いた男と鬼、他のともっこ達との戦いや絆の物語を書き記した英雄譚。里の人間なら誰でも知っている皆大好きな昔話である。

スグリもその例に漏れず、この昔話が大好きであった。特に好きなのはもちろん、男の相棒である鬼様……

 

「棍棒で悪の鬼たちを滅多打ちにする鬼様もいいけど…やっぱり暴太郎様が一番かっこいいなぁ~…」

 

ではなく男の方であった。

どんなに強大な敵を前にしても自信満々に高笑いし、危なげなく悪の鬼たちを打倒すその姿は爽快。お面を盗まれそうになった時など、生身で4体のポケモン相手に無双する姿をかっこいいと思わない男児はいないだろう。

…まぁ、話の内容的に“ばかぢから”を真正面から受け止めたり“サイコキネシス”を手本として実際に使いこなしている描写もある為人間かどうか怪しい点もあるのだが……

強さにあこがれを持つスグリが、その姿に惹かれるのは自然な事であった。

いつか自分もこの昔話の男の様に強く、自身に溢れた男になりたい。スグリは心の底からそう思っていた。

……あぁ、話の内容を思い出したらもう一度読みたくなってきた。

 

「も、もう一回!もう一回だけ読ん“ピンポー―ン!”…わや?」

 

スグリがもう一度本を開こうとした時、耳に慣れ親しんだ高い音が聞こえた。

これは家のインターホンの音…どうやら来客の様だ。

 

「……あっ、そういえばじーちゃん達いないんだっけ…」

 

その時、スグリは同居している祖父母も姉も所要の為出掛けており、この家には自分一人しかいない事を思い出した。

 

「……行くしかねかぁ…」

 

スグリは人と話すのは得意ではないが、居留守を使いわけにもいかないのでしぶしぶ玄関へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「お届け物です。ハンコかサインをお願いします」

 

玄関へ向かうと、そこには段ボールを持った男が立っていた。

赤と青を基調としたユニフォームの服を着ており、胸ポケットには『クマシュン宅配便』というワッペンが貼られていた。

どうやら男は配達員のようだ。キャップを深くかぶっているため、どのような顔なのかは確認できないが、今まで聞いたことのない声だったので顔見知りではないだろう。

 

「は、はい、えっと……ハンコどこさあるかわかんねぇからサインで…」

 

スグリは男から受け取った伝票に自分の名前を書いて、男に手渡した。

本来の宅配便ならこれで終わり。スグリは荷物を受け取って男はこの家から出て行く。なんら特別なことはない、普通の事だ。

 

そう、本来ならーーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

「これでお前とも縁が出来たな」

 

「…………えっ」

 

男から発せられたセリフに、スグリは思わず顔を上げる。

配達員から今まで聞いたことのないセリフに戸惑ったというのもあるが、それよりも驚きの方が勝っていた。

何故なら、男から発せられた言葉は、自分の憧れだった物語のヒーロー(あばたろう)と同じセリフだったからだ。

スグリが顔を上げると、男の顔が目に映った。

 

「せっかくだ、何か困りごとがあったら俺が手伝おう。何でもいいぞ。炊事に洗濯……」

 

「――――」

 

男が色々言っているような気がしたが、スグリは男の顔を見るのに夢中で内容が頭に入って来なかった。

男はどこにでもいそうな好青年であった。

整った凛とした顔、俗にいうイケメンの顔であった。

不思議とその顔の中にはどこか何かを引き付ける、力強いものがあると感じた。

 

スグリはこの男を今まで見たことはなかった。

しかし、スグリは何故だか目の前の男は自分の憧れの人物であると思ってしまった。

 

「あ……あぁ…!」

 

スグリはどうにか男に声を掛けようとするが、あこがれの人物を前に緊張して上手く言葉を紡げなかった。

 

「…?……まぁ今助けがいらないならそれでもいい。次会う時に何か手伝って欲しいことがあるなら遠慮なく言うといい。俺との縁は良縁だから」

 

スグリの反応を手伝って欲しい事を思いつかないのだろうと勘違いした男はそう言い残し「じゃあな」と言って家から少し離れた場所に停めてあった宅配用の車に戻っていった。

 

「あっ…」

 

スグリは男の後ろ姿に負荷って手を伸ばすが、その手をすぐに引っ込める。

…自分は何を考えているのだ。あの話は大昔の話で、しかもただの伝承だ。あの男が自分の憧れの存在なわけがない。いい加減夢を見るのはやめよう。

……でも、男もきっと、物語の男と同じくらいに強く、すごい男であるとスグリはなんとなくわかった。

 

「いつか…おれもあの人みたいに強く……」

 

強さに憧れを持つスグリは、男の姿が見えなくあった後もしばらくその場で外を見ていたのであった。

 

 

 

 

 

しばらく立っていた為、配達物の要冷凍のものが溶けてしまい、この後姉にこっぴごく叱られたそうな……

 

 

 

 

 

 

スグリの家に配達物を届け、車に戻ってきた男は一息ついていた。

 

「ふぅ…さて、次の配達場所は……」

 

「ぽにお!」

 

男が次の配達場所を確認しようとした時、助手席に座っていたポケモンが男に向かって地図を開いて見せてきた。

そのポケモンはちゃんちゃんこの着ているような見た目で、2本の小さいツノが生えた可愛らしいポケモンであった。

 

「あぁ、ありがとな。次はイッシュ方面か……ここからだと時間がかかるな、先に昼飯を済ませるか…」

 

「!! ぽにぽに!」

 

男の発言に、隣に座ったいるポケモンも“キャッキャ!”と跳ねる。

それは「そうしよう!そうしよう!」と言っているかのようであった。

 

「ヌン!」

「マキャ!」

「キギス!」

「モモワーイ!」

 

すると今度は後ろから複数の鳴き声が響いた。

男がそちらを見ると、そこには4体のポケモンの喜んでいる姿があった。

その4体は人相(?)が悪く、B級映画の子悪党のような印象を受けるが、そんな中にもどこか愛嬌を感じられるポケモンたちであった。

 

「まったく……やかましいおとも共だ」

 

男はそんなポケモン達を見て悪態をつくが、その表情はこの状況を楽しんでいるかのように口角が上がっていた。

おとも達もこう言っているのだ。最初に昼食を取ってから配達に戻ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

“ドン!ブラスタぁー!!”

 

男はこれからの事をポケモン達に伝えようとしたが、それは突然響いたやけにテンションの高い声に憚れた。

その声が響いた後、突然何もない所から何かが男達の前に現れた。

それはサングラスを連想させる近未来的なデザインの銃の様であった。

 

「……どうやら飯の前に一仕事あるようだな」

 

男はその銃を見て、これから壮絶な戦いに出向くような真剣な表情を浮かべる。

 

「ぽにおぉ!」

 

そんな男に応えるかのように、助手席のポケモンが銃を手に取りながら力強く頷く。

その姿は小さい見た目でありながらも、もっと巨大で心強い存在に男の目には映った。

後ろにも目を向けると、他のポケモン達も銃を持ち、こちらに勇ましい笑みを向けている。

 

――――まったく、頼もしいおとも達だ

 

男は口には出さなかったが、心の底からそう思った。

 

「よし!いくぞおとも共!!」

 

男はそう言って銃を手に取りーー

 

「アバターチェンジ!」

 

 

そう叫んだ。

 

 

 

 

 

 

“よっ!日本一!!”

 

 

 




オーガポンとモモワロウ一行が仲良くしてる姿が見たいなぁ…

せや!ドンブラ成分注入してご都合主義にしたろ!

そんな感じのノリで書いたよ…

なんで大昔のタロウが現代で生きてるの?
なんでタロウがイイネイヌと力比べして勝ったりモモワロウの餅を食べてもきびきびダンス踊らないの?
これらの疑問全てにドンブラだからと言えば基本通じるという恐怖よ…
私続き読みたいから誰か書いて…あと、ポケモン×特撮のクロス作品増えてぇ…

ここまでご拝読ありがとうございました
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