ツッコミどころ満載だけど、これドンブラだからしゃーないよなぁ!?
とある地方の昔話:あかつきとあばたろう
むかーしむかし、あるところに、1匹のヒメグマがいました。
ヒメグマは主に森や草原で生活するポケモンの一種で、いつも甘い蜜が染み込んだ手を舐めているポケモンです。
ヒメグマは、その進化系であるリングマと共に群れを作るポケモンですが、このヒメグマは群れに属していませんでした。
その理由は、このヒメグマの見た目にありました。
本来、ヒメグマの額には三日月型の模様があり、大好きな蜜を見つけると月の光の様に輝きだすという習性を持っておりました。
しかし、このヒメグマの額の模様は三日月形ではなく、真っ赤な満月のような模様だったのです。
見た目が違うと、それを恐れるのは人間にもポケモンにもみられる現象です。
このヒメグマも例外ではなく、元々いた群れの同族たちからも仲間外れにされておりました。
血のように真っ赤に輝く不気味な月は、他のヒメグマ達だけでなくリングマたちもバケモノを見るかのように気味悪がり、誰も近づこうとはしません。
さらに不幸なことに、このヒメグマの両親はずっと前に他のポケモンとの戦いで命を落とし、ヒメグマを守ってくれる存在もありませんでした。
リングマ達は、亡き同胞の子という理由でヒメグマを進んで追い出すことはしませんでしたが、幼いながらに周りから煙たがられていると察したヒメグマは群れから離れ、それからは1匹で生きています。
しかし、ヒメグマもまだ幼いべビ―ポケモンです。寂しさを誤魔化すことは出来ませんでした。
孤独に耐え切れなくなり、他の群れの仲間に入れないかと別の群れを訪れました。
しかし、他のどの群れもヒメグマを受け入れることはありませんでした。時には外敵とみなされ攻撃され、喉を潰されたこともあります。
同族で駄目ならばと人間を頼ったこともありました。しかし、当時の人間にはポケモンを使役するという考えがまだ浸透していなかった為、逆に山から人を食う為に居りてきたバケモノと勘違いされ、村人総出で捕まえられてしまいました。
頑丈な檻の中、周りで人間たちが自分をどのようにして排除しようかと相談しております。
しかし、ヒメグマはもう抗う事も馬鹿らしくなり、ただ茫然としています。
自分はどこで間違ったんだろう?
元の群れにいればよかったのか?
人間を頼ったのが間違いだったのか?
…いや、仮に元の群れに居たとしても、人間に頼らなかったとしても、多分寂しさや虚しさで心が壊れていただろうな。
――――あぁ、自分はただ、ぬくもりが欲しいだけだったのに
ヒメグマは面白くもないのに変な笑いが出てきました。
――――もう、いっその事、本当にバケモノになってしまおうか
そう思ったヒメグマの周りに黄色い欠片の様な半透明なエネルギー体と《
「何かあったのか?」
――――ましたが、周り怖い人間とは違った、こちらを気に掛ける様な声が聞こえてきた瞬間それらは消えてしまいました。
ヒメグマが声の方向に目を向けると、そこには細身の人間の男が立っていました。
何の変哲もない、どこにでもいそうな人間の男。
しかし、ヒメグマはその男からただらなぬ気配のような、カリスマ性のようなものを感じました。
「ん?…おぉ、飛脚の兄ちゃんか。実はこいつが村を襲おうとしていた様でな、とっちめてやる所だよ」
「………ほぉ」
ヒメグマを捕まえた人間の一人が。細身の男にワケを説明しました。
細身の男は、それを聞いてヒメグマをじっと見つめました。
何ものも見通しそうな鋭い眼光は恐怖すら感じます。しかしその中には確かな暖かさがある。
ヒメグマは今まで感じた事のない視線に、思わず戸惑いの声を上げました。
さて、ヒメグマの鳴き声ですが、本来ならば高く可愛らしい声です。
しかし、この時のヒメグマは他の群れから襲われたことによって喉が潰されていた為、ドスの効いたような低い声が出てしまいました。
この時、ヒメグマの喉が潰れていなければ、男がその鳴き声から
「……ギィ」
「…………ギィちゃん?」
他の地方と比べても自然が豊かな場所、キタカミの里。
そんなキタカミの里の中でも、特に木々が生い茂る森林がある。
その名は、とこしえの森
何故そのような名前が付いたのか、今となっては誰もわからない。地元住民ですらめったに近づかない場所だ。
そんなとこしえの森を進む人影があった。
海のように深い藍色を基調とした髪
タンクトップにダメージジーンズといった森に入るにしてはラフすぎる格好
手の中にあるカメラを、まるで宝物かのように大事そうに持っていた
瞳の輝きは、まるでダイヤモンドの様に美しい女性であった
「この辺……だよね…」
女性は周りを見渡しながら、そう呟いた。
夜の暗闇の中、月明かりを頼りにこの場所が目的か確かめるように見渡す。
……うん、地元住民からの聞き取り情報や野生のポケモンの生態からここで間違いはないだろう。
「ぐふふんっ!」
彼女が周りを確かめていると、足元から可愛らしい鳴き声が聞こえてきた。
そちらに視線を向けると、そこには白いモフモフ毛で顔や前足が隠れた、四足歩行のポケモン―――ガーディがいた。
ガーディは彼女を見ながら、尻尾を振っている。まるで「ついに来たね!」と上機嫌で話しかけているかのようだ。
「うん、やっぱりここだよね!」
女性もガーディに応えるように、笑みを見せる。
宝石の様に美しい笑顔。しかし、それはどこか暗い印象が見受けた。
「そう、ここなんだよね……」
ガーディから視線を外した彼女は、今度は目を閉じて自分に言い聞かせるように言葉を発した。
その後彼女は、ポケットから1枚の写真を取り出し、何かを考えるかのようにそれを見つめた。
その写真は写っていたのは、一見すると霧で覆われて何も見えないどこかの場所
―――そして、その中を丸くて赤い光と、その後ろに見える謎の巨体の影が写っていた
「―――こいつを撮れば、何か変わるのかな?」
写真を見ながら彼女―――サザレは無意識に言葉を漏らした。
サザレはシンオウ地方出身の旅するカメラマンである。
旅先で写真を撮り、その中に最高の瞬間を納めるのが彼女の生きがいであり、一番好きな事でもあった。
その腕も大したもので、昔は『天才カメラ少女』と周りから呼ばれ、多くの賞をとる程にその腕は認められていた。
そんな彼女であるが、ある時からスランプに陥ってしまったのだ。
理由はわからないが、いつからか何を撮ってもしっくりこくなってしまったのだ。
スランプを脱しようと色々な事を考えた。
カメラのセオリー、審査員や見物客の受け、自分が何を撮りたいのか…
しかし、考えれば考えるほどにわからなくなり、段々と賞も取れなくなり、周りからも認められなくなっていった。
これはまずい、どうにかしなくちゃならない。
そう、サザレも危機感や焦燥感を感じていたが、現状を打開する方法をサザレにはわからなかった。
いっその事、カメラをやめてしまった方がいいのではないか。そう考えてしまった事もあった。
そんな時であった。『赫月』の噂を耳にしたのは
赫月。
それがなんなのかを説明するにはまず、ガチグマというポケモンについて説明しなければならない。
ガチグマとは、とある地方にてリングマが特殊な進化を遂げたポケモンだ。
元々大きかった身体はさらに大きく、力もリングマの倍以上と言っても過言ではないだろう。
さらに新たに大地の力を得たことにより、並みのポケモンやトレーナーでは相手にならない程強力なポケモンであろう。
さて、先述した赫月に話を戻すが、何を隠そう赫月の正体はガチグマなのだ。
しかし、赫月は普通のガチグマではない。
通常、ガチグマの額には黄色の月の様な模様があるのだが、件のガチグマの額の模様は黄色ではなく、血が重なり合い、滲んだような真っ赤な月の模様。その特徴から、いつしか赫月という異名が付いてしまったのだ。
本来ガチグマはとある地方の、それも大昔に生息していたポケモンだ。ガチグマ自体が珍しいポケモンなのに、その特殊個体を探すとなれば、それは砂漠で特定の砂を探すのと同じくらいに難しいだろう。
―――そんな赫月が、キタカミの里に流れ着き、今も隠れ潜んでいる
何処から流れてきたのか定かではない噂。しかも情報ソースは場所の特定すら困難な不鮮明な写真1枚。ほとんどの人間は眉唾物と判断し、信じようとはしなかった。
しかし、サザレはその噂を写真を見た瞬間、何かに動かされるようにキタカミの里へと向かったのだ。
赫月ほどのすごいポケモンを写真に収めることが出来れば、自分の中の何かが変わるかもしれない。何かが見えて来るかもしれない。
「本当に来ちゃったなぁ~…とりあえずテント張ろっか…」
サザレはキタカミの里へ来てしまった事を改めて実感しながら野営の準備を始める。
本当に赫月がいるのか?
仮にいたとしても、本当に自分の中で何かが変わるのか?
サザレにも自信はなかったが、何かに突き動かされるように実家からテントを引っ張り出し、気づけばキタカミへの航空券を購入していたのだ。
今思えば、藁にもすがる思いで、必死だったのかもしれない。
「あちゃ~…食料これで足りるかな?…まぁ、足りなくなったらスイリョクタウンまで戻ればいっか」
サザレは食料を整理しながらそう呟く。
まぁ、来てしまったのだから仕方がない。前向きに考えよう。
ここで赫月を写真に収められれば、きっと全部元通り。全部うまくいくさ。
――――本当に?
「………」
サザレは、頭に浮かんだ問いに答えることが出来なかった。
……もし、赫月を撮れたとしても、何も変わらなかったら――――
「!! …ぐふーん!」
「えっ、ガーディ!?」
サザレがテントを張ろうとした時、突然ガーディが吠えながら走り出してしまった。
ガーディの突然の行動に、サザレも慌ててガーディを追う。
この周辺の野生ポケモンのレベル的にガーディでは少々荷が重い。ガーディの身の安全の為にもはぐれるのは避けなければならなかった。
「ちょっとガーディ!待って!」
サザレはガーディに向かって叫ぶが、ガーディには聞こえている様子はなく、夢中でどこかに向かって走っている。
サザレもガーディを見失わないように後に続くが、ガーディは人間よりも走るのが早く、どんどんと引き離されていく。
このままでは、完全にはぐれてしまう…!
「ぐぉん!」
サザレがそう思った瞬間、ガーディの足が突然止まり、何かに向かって吠え始めた。
しかし、その吠え方に警戒や敵意と言うものは感じられない。どちらかと言えば、相手に甘えているような、ものをねだっている様な鳴き声であった。
「……なんだお前は?」
次に聞こえてきたのは、ガーディの声ではなく低い男の声であった。
その声がした方へ視線を向けると、ガーディの前に人影が立っているのが確認できた。
夜の闇で男がどのような人間か確認はできないが、こんな時間に、こんな森の中にいるなんて、ろくな人間ではないだろう(まぁ、それは自分もそうなのだが…)
万が一の事態に備え、サザレは警戒心を強めながらヨルノズクの入ったモンスターボールに手を伸ばした。
「――――ガーディ、か…懐かしいな」
しかし、そんなサザレの考えとは裏腹に男はその場でしゃがみ込み、ガーディを撫で始めた。
「くぅぅん…♪」と気持ちよさそうに猫なで声を上げるガーディ。……狛犬なのに猫とはこれいかに…
――――……なんだろう、悪い人ではない…のか?
ガーディの反応を見て、少しだけ警戒心を下げるサザレ。
…まぁ、いきなり襲ってくる様子もなさそうだし、せめて姿を確認してから対処しても問題はないだろう。
それに、地元住民なら赫月について情報を知っているかもしれない。対話を試みるのも悪くはないだろう。
そう考えたサザレは、警戒しながらゆっくりと人影に近づいた。
人影に近づくにつれ、男の姿が鮮明になっていく。
顔立ちが整った細身の
背中には宅配などで使われる大きめのリュック
服装は、自分も利用経験がある『クマシュン宅配便』の制服を身に纏っていた
男の身なりから、荷物を届ける宅配人であることは明白であった。
……何故こんな森の奥に、しかもこんな時間に宅配人が居るのか、クマシュン宅配便はブラック企業だったのか等、色々な疑問がサザレの頭の中に浮かんできた。
しかし、うっすらと微笑みながらガーディを撫でる男の姿にこちらを害することはないだろうとサザレは少し安心を覚えた。
「……うん? アンタは――――」
サザレが安心していると、ガーディを撫でていた男がこちらに気が付いたように視線を向けてきた。
…まぁ、ガーディも可愛がってもらってるみたいだし、トレーナーとして挨拶くらいはしておかないといけないよね。
「えっと…こんばんはお兄さ…」
「――――セキ?」
Q.ポケモンってヒトツ鬼になるの?
A.下手したら人間より感情豊かだったり闇深かったりする生物だぜ?ヒトツ鬼ぐらいなるだろ(暴論)
Q.なんでヒメグマが獣電鬼なの?
A.ドンブラ本編で獣電鬼になったオバハンが寂しいからヒトツキになってたので同じでいいかなって…
Q.なんでタロウはセキの事知ってるん?
A.突然タイムスリップでもしたんじゃね?ドンブラならあり得るゾ(鼻ほじり)
とりあえず後3話は投稿する予定。
読み返したらだいぶ無茶苦茶だったから何でも許せる人向けって事で…
ここまでご拝読ありがとうございました