ぽにおとタロウ   作:生牡蠣

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最近ライダーから離れてたんだけど、ガヴ面白いね。久々にハマりそう。
ただ毎週曇らせに来るのはなんかノルマでもあるんか…


あかでみジロウ

当たり前のことだが、木材と藁で出来た家なんてものは現在ではもうあまり見ることはない。そんな家があったら、SNS等でバズる可能性がある位には珍しいものとなっているだろう。

そのような古臭い家が、このパルデア地方にも一軒だけ建っていた。

その家は外観はボロボロだが、手直しした箇所がいくつも見られ、大切にされてきたことが分かる。

周りには他の建物どころか、人の影もポケモンの姿も見る事ができない、まさに秘境に建つ一軒家である。

 

そんな家の玄関先で、一人の男が出掛ける準備をしていた。

 

「こうして…ういっと!よし、これで準備万端!!」

 

男は靴紐を縛り終え、リュックサックを背負う。

その表情はどこか嬉しそうで、これから行くであろう場所に期待を膨らませているようであった。

 

『…君、おはよー♪』

 

男が玄関先を出た所で、一人の少女に声を掛けられた。

その少女はツインテールの髪をなびかせ、素朴で可愛い印象を受ける少女で、手には四角い包みを持っていた。

 

「あっ、…ちゃん、おはよう!!!」

 

男も少女に挨拶を返し、これからの予定を嬉々として話す。

そんな男とは対照的に、少女の顔は少し曇ったように見えた。

 

『あっ…今日も行くんだ………ねぇ、無理に行かなくても、もう少し様子を見てからでもいいんじゃない?あんな事があったんだし…』

 

少女は心底心配した様子で男に声を掛ける。

 

「大丈夫だよ!確かにみんなと遊ぶ時間は減ったけど…それでも毎日充実してるんだ!……というか、()()()()って?」

 

男は少女の心配など杞憂とばかりに笑った後、少女の言葉に疑問を浮かべた。

その顔は、とぼけているわけではなく本当に何のことかわからないといった様子であった。

 

…覚えてるわけないっか……ううん、何でもない。気にしないで!……それじゃあ、これお弁当として持って行ってよ』

 

少女は何かを誤魔化すように、男に包みを押し付ける。

男がその包みに顔を近づけると、なんだか旨そうな匂いがするのを感じた。

 

「これって、まさか!?」

 

『うん、私特製の筑前煮』

 

「やったああぁぁぁ!!…ちゃんの筑前煮大好き!!」

 

男は包みを抱えたまま大喜びし、小躍りする。

少女もその光景を見ながら微笑ましそうに笑っていた。

 

「はっ!こんなことしてる場合じゃない、遅刻しちゃう!」

 

男は踊りをやめると、包みを抱えたまま走り出した。

 

『…いってらっしゃい、…君』

 

「うん!いってくるね――ルミちゃん!」

 

そう言って走り去る男の背に、少女―――ルミはその姿が見えなくなるまで手を振り続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

突然だがパルデア地方で一番有名な場所と言えばどこであろうか?

世界有数の産地であるオリーブ大農園?

とある配信者で有名な街の100万ボルトの夜景?

パルデア地方の中心部である謎の大穴?

どれも有名な名所であろうが、一番と言われれば外せない場所がある。

 

そう、アカデミーだ

 

創立805年という古き歴史がある私立学校で、パルデアのみではなく、世界規模で見ても大きな教育機関である。

レベルの高い教育方針が有名であり、なんと生徒の中には地方最強(チャンピオン)レベルのバトルセンスの持ち主がいるほどである。

また、校風も自由であり、年齢関係なく生徒を受け入れる姿勢から一度社会に出てから入学し直す者や挫折後の再スタートとして活用する者達に取っての人気も少なくない。

加えて学園のあるテーブルシティはパルデア地方で1番大きな町とされ、インフレ整備や衣食住を揃えるのに困らない。まさに学園都市と呼べるくらいには学生に寄り添った町である。

これらの理由から、他の地方からも入学希望者が後を絶たない大人気の学校と言えるだろう。

 

そんなアカデミーに続く階段の踊り場で、何やら2つの集団がトラブルが起こっている様子。

集団の片方は、星型サングラスにヘルメットをかぶるという暴走族の様な奇抜な格好の男女。

もう片方は、イーブイのリュックを背負ったメガネの内気そうな少女を庇うかのように彼女の前に出る、どこか雰囲気が似ている少年少女であった。

 

この雰囲気がそっくりな少年少女、実は今日転校してきたばかりの双子。

これから学園での青春(アオハル)な生活に胸を躍らせていた生徒達であった。

 

せっかくなので、この双子たちに焦点を当て、この後の物語を見てみよう。

 

 

彼らがとある大きな組織を潰すことになる始まりの物語を…

 

 

 

 

そして、とある英雄に憧れる存在自体が五月蠅い半人前との出会いを…

 

 

 

 

 

 

私、アオイ!

最近家族でパルデア地方に引っ越して来て、弟のハルトと一緒にアカデミーに通う事になったの!

今日がその登校初日なんだけど、色々な事があったなぁ…

校長先生から初めてのポケモンを貰ったり

ネモっていう新しい友達に好敵手認定されたり

今まで見た事のない大きなポケモンにサンドイッチを上げたら懐かれちゃったり……ホントもう濃厚な1日!

しかも大きなポケモンに関しては2匹だよ!?赤いのと紫っぽいポケモンの2匹!もう驚きだよね!!

コライドンとミライドンっていうらしいんだけど、途中でペパーって子に世話を任されちゃって、ハルトと1匹ずつお世話をすることになって、もう大変!!……まぁ、せっかく仲良くなったし、まんざらでも無かったりするんだけどね♪

 

そんなこんなでやっと学園に到着。

その大きさに『すごいな~』って思いつつ『今日はもうさっき以上のイベントはないかな…』って思いながら校舎に向かって歩いてたんだ。

 

歩いて、いたんだけど……

 

 

 

 

 

 

 

「あぁん?あんたら、あたしらが泣く子も黙るスター団だって知ってんの?知ってて話に割込みしたのぉ~?」

 

 

なんか不良さんに絡まれてます!!

 

 

えっと……こうなったのは深いわけがあります。

ネモと別れて、ハルトと校舎を目指して歩いてたんだけど、途中でイーブイリュックを背負った女の子が不良さんたち……スター団さん?に絡まれてたの!!

流石に見て見ぬふりもできないから、ハルトと一緒にスター団さんたちに立ち向かったってわけ。

打ち合わせもしないで2人して立ち上がるなんて、流石双子だよね!

 

「えっと…知りませんでした。スター団……」

 

そんなスター団さんにハルトは知らないと答える。

うんうん、私も十数年生きてきたけど、スター団って単語は聞いたことないなぁ~…

 

「きぃ~!あんた達もかい!! 泣く子も黙るスター団だよ!?なんで誰も知らないのさぁ~!?せっかくスター団に入ったのにこんな底辺みたいな扱い、あんまりだぁ~!」

 

「ナメられっぱなしだと団員の面目はまるつぶれ! ここは勝負で分からせるしかなくね~?」

 

女の団員さんが地団駄を踏んでいる横で、男の団員さんが悪そうな笑みを浮かべながらそう呟いた。

「そうね、そうしましょう!」と男団員さんに同意してボールを構える女団員さん。

あー…これ、バトルしなきゃ収まらなさそうだね……初めてのポケモンバトルからそんなに時間も経ってないのに、こんな事になるとはね……

 

「まぁ、しゃーない。ハルト、行くよ!」

 

「うん!」

 

私はハルトに声を掛けながらボールを構える。

ハルトもそれに応えるようにポケットからボールを取り出した。

よし、ポケモンバトルだ!後ろの女の子の為にも勝たないとね!

 

「いくよ、ニャオ「ちょっと待ったあああぁぁぁぁぁ!!!」はぁ!?」

 

私はボールを投げようとしたのだが、突然響いた大声に驚き投げ損なってしまう。

ハルトも驚いたような様子であり、2人で顔を見合わせた後声の響いたほうを見た。

そこには、金ぴかの中華風のノースリーブ服という、なんか派手な格好をした同い年くらいの男の子がこちらに向かって走ってくる光景があった。

 

「うわっ、出た」

 

「チャンピオンよりめんどくせぇ~奴が来ちゃったなぁ……」

 

その男の子の姿を確認したスター団のお二人は、心底嫌そうな顔をしているのが見えた。

えっ、お知合いなの?それにしてはすっごい嫌そうだけど…

 

「…ジロウ」

 

私達の後ろにいたメガネの女の子が、そう呟く。

ジロウ?あの人の名前なのかな…

 

 

「争い事はやめるんだッ!どうしてもと言うなら僕が相手になりますッ!!――――――」

 

 

 

 

 

「――――――そう、この僕!!桃谷ジロウがねッ!!!」

 

 

“ジャキーーーン!!”

 

特撮ヒーローのようなポーズを取り、男の子…ジロウさん?は鼻高々というご満悦な表彰を浮かべる。

…あー……なんかスター団の人が関わるの嫌そうにしてたのが分かるような気がする。この人絶対めんどくさ目の人だ。

 

「おい、邪魔すんじゃねぇよジロウ!毎回毎回水差しやがって……」

 

男団員さんはイラついたようにジロウさんに怒鳴り散らす。

毎回なの?毎回こんなやり取りしてるのこの人たちは?

 

「君たちも毎回凝りませんねぇ~…今日こそは僕の強さを解らせてあげます!!」

 

「解らせるって言っても、お前ポケモン持ってないじゃんよぉ~!勝負以前の問題だわッ!!」

 

「大丈夫!僕が持つ隠された力は易々と見せられないけど、投石ぐらいならできるッ!!」

 

「普通にあぶねぇからやめろ!?それにこの間それが原因でほのお組の連中に燃やされてたじゃねぇか!!」

 

「あっ、メロコさんが庇ってくれたんでギリ燃えませんでした!」

 

「そんなことあったんなら少しは懲りろバカッ!」

 

私達のことなぞ忘れているかのように、やいのやいのとやり取りをするジロウさんとスター団さんたち。

なんだろう、このやり取り…もう一周回って仲いいんじゃないの、あの人たち……

 

「ちっ、こいつの相手すんの面倒くせぇ…もう行こうぜ」

 

「同意~」

 

しかし、そんなやり取りに音を上げたのか、スター団さん達は一瞬だけ私達を睨みつけた後、そのままどこかへ走り去ってしまった。

えっと……危機は回避した、のかな?

 

「ふっふっふ…僕に恐れをなしたようですね! そこの君たち!!」

 

「「は、はいぃ!?」」

 

スター団さん達を見送りながらドヤ顔を浮かべていたジロウさんが、私達の方に“ぐりん!”と勢いよく振り向く。

その動きに、状況が上手く呑み込めていない私とハルトは上ずった返事をしてしまう。

 

「君たち、見ない顔だね。転校生かい?」

 

「は、はい…そうです」

 

私はジロウさんの言葉に、恐る恐ると言った感じで返事をする。

すると、ジロウさんの目がまるでランターンの放つ光の様に輝き始めた。

 

「そうか!なら、覚えておくといい!!」

 

 

 

 

 

「僕の名前は桃谷ジロウ!いつかタロウさんを継ぐ者であり!!皆の希望であり!!!君たちのヒーローなんだッ!!!!」

 

 

またもやかっこいい(?)ポーズを取りながらドヤ顔をするジロウさんを前に、私達はただ“ポカーン”とするしかなかった。

色々情報量が多いなぁ…アカデミーって、こんな変な人しかいないのぉ?

 

「というわけで、何かあったら僕を頼るといい。そして僕の良い評判もどんどん流すといい! それじゃあ僕はレホール先生に呼ばれてるからこれで!!」

 

そう言ってジロウさん…ジロウでいいか。ジロウは元気よく校舎へと走り去っていった。

勢いが嵐みたいな人だなぁ…

 

「あっ……」

 

そんな走り去るジロウを見て、メガネの女の子は小さく声を漏らして手を伸ばそうとするが、途中で引っ込めた。

この子もジロウの知り合いなのかな…

 

「えと……ありがと、ございます。先、行くんで」

 

女の子は私達に軽く会釈すると、そそくさと校舎へと走って行った。

しばらくその場に立ち尽くす私達。

その沈黙を破ったのは、ハルトだった。

 

「ねぇ、アオイ……」

 

「…何?」

 

「…アカデミーって、なんというか……濃いね」

 

ハルトにそう言われて、私の頭の中には今日だけで出会った人々の顔が思い浮かんだ。

ネモ、ペパー、メガネの女の子、スター団さん、ジロウ……

 

「……それな~」

 

その人たちを思い浮かべた後、私はハルトの言葉に全力で同意した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え~!ハルトとアオイ、スター団に絡まれたの!? 大丈夫?怪我とかしてない?」

 

階段での一件の後、再びネモと合流した私達は、校舎内を案内されながら先程の事をネモに話していた。

 

「うん、大丈夫。少しびっくりしただけ。……何なの、あの人たち?」

 

「えっとね…スター団は、いわゆるやんちゃな生徒の集まりなんだ。授業への出席率も低いし、集団暴走もするしで先生たちも頭を抱えてるみたい」

 

ハルトの言葉に、ネモが解説をするように答えた。

う~ん…簡単に言えば不良さんって事なのかな? 不良の集団とかのドラマや漫画の世界だと思ってたけど、現実でもあるものなんだ……

 

「そうなんだ…じゃあジロウには助けられたって事ね」

 

「あっ、ジロウに会ったんだ!」

 

私がポツリと呟いた言葉に、ネモが反応した。

この反応からすると、知り合いなのかな?

 

「うん、スター団に絡まれてたら助けてくれた……と言うかスター団が勝手に逃げていったと言うか……」

 

結果的には助けられたが、その経緯を改めて思い出してみると微妙な感じだった為、少し歯切れの悪い感じの言い方になってしまう。

 

「あ~……なんかその光景思い浮かぶね~」

 

しかし、ネモは私の話を納得したかのように苦笑いを浮かべながら頷いた。

……えっ、今ので伝わるの?

 

「ネモ、ジロウってどんな人なの?」

 

そんなネモの反応が気になったのか、ハルトから疑問の声が上がる。

あっ、それ私も気になる。あの人の人物像がイマイチ理解できないんだよね~。

 

「どんな人、かぁ……う~ん…」

 

その質問に、今度はネモが歯切れを悪くした。

いつも自信満々、ハキハキとした彼女がこんな反応をするのは少し意外だと思った。

 

「そうだなぁ……悪い人ではないんだよね。むしろその逆で正義感が強くって、困ってる人とかが居たならほっとけない人。……なんだけど、自己主張とか承認欲求とかも強くって、周りから五月蠅がられてる印象が強いかな」

 

ネモが頭を悩ませ、なんとか言葉をひねり出す。

あー…少ししか接してないけど、なんかそんな印象かも。そう私は変に納得を覚えた。

同じ感想を抱いたのか、ハルトも小さく頷いている。

 

「まぁ、その、何だろう…簡単に言うと―――」

 

ネモは少し目を閉じて、考え込む様子になる。

そして、その口からジロウを一言で表した言葉が飛んできた。

 

 

 

 

 

 

「―――場の空気読めない系の人?」

 

 

 

「「………」」

 

 

 

疑問形で言ったネモの言葉を聞いた私達は、これまでの道のりで何かにつけて『バトルしよ!』と連呼する彼女の姿を思い出しながら『それ、君が言うの?』と思わずにはいられなかった……

 

 

 

 




世界観的にはスカーレット/バイオレットの複合型。その結果学校名に困ったのでただのアカデミーになってしもうた。

本当ジロウ登場させるつもりなかったんだけど、なんか書いてたら出てた。この世界にこれ以上ドンブラ成分入れてええのんか…

もうドンブラ放送から2年が過ぎようとしてるのに今なお本編が記憶に色濃く残ってるのは笑っちゃうんすよね。
これもう呪物だろ…


ここまでご拝読ありがとうございました
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