勘違いから始める物語   作:影後

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ランサー〘パトロクロス〙/レンジのこれから

【元ネタ】ギリシャ神話、『イリアス』

【CLASS】ランサー

【真名】パトロクロス

【異名・別名・表記揺れ】父の栄光、若き英雄の友

【性別】男性

【身長・体重】180cm・75kg

【肌色】褐色 【髪色】黒 【瞳色】黄

【外見・容姿】穏やかな雰囲気の青年

【地域】欧州

【年代】神代

【属性】秩序・中庸

【天地人属性】地

【その他属性】人型、愛するもの、ギリシャ神話系男性

【ステータス】筋力:B 耐久:B+ 敏捷:A 魔力:C 

       幸運:C 宝具:EX

 

【クラス別スキル】

対魔力:A(C)

Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術でパトロクロスに傷をつけることは出来ない。

本来ならCランクだが、アキレウスの黄金の鎧を装備しているためAランクとなる。

 

【固有スキル】

騎乗:A

幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。

 

駿足との友情:A++

アキレウスとの友愛の証。

この寵愛がある限り、パトロクロスは神の血を引く者たちに劣らない実力を発揮する。パラメーターをワンランクアップさせる。

 

罪の賽:D

クレイトニュモスを殺めてしまった事を忘れないために常に持っている。賽の目によって自分の行く末を選択することがある。

 

 

【宝具】

 

ー悪いな、先に逝く

『友よ、後を託す(ディア・アキレウス)』

ランク:EX 種別:相伝宝具 レンジ:- 最大捕捉:-

 

トロイア戦争において、パトロクロスの死を嘆いたアキレウスが戦線に復帰した伝承の再現。

パトロクロスを触媒とし、アキレウスを召喚するというもの。

このアキレウスはパトロクロスを喪った時の精神状態で召喚されるためか、狂化スキルEXと単独行動スキルEXを所有している。

会話自体は可能で、彼は友と契りを交わした者のために敵将を討ち取り、託された目的さえも達成してみせるだろう。

発動には条件があり、マスターを勝たせたい、もしくは何がなんでも生き残らせたいという想いをパトロクロス本人が抱くような経緯が必要となる。

─────宝具使用後、パトロクロスは触媒となった代償として現界を終える。召喚されたアキレウスとの契約は不可。

約束である『パトロクロスの契約者を勝利に導く』、『敗北する』

の2点が終わるまでアキレウスは現界し続ける。

 

 

 

ーアキレウスの替わりだが、努めさせてもらおう

『偽・疾風怒濤の不死戦車

(ミメーシス・トロイアス・トラゴーイディア)』

ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:40人

 

アキレウスの所有する武具と戦車を借りて出撃していたときの再現。現界において、パトロクロスが使用する宝具はこちらが基本となる。アキレウス本人が操縦をしているわけではないため戦車の移動速度は少しだけ落ちるものの、魔力の燃費は軽減されているというメリットがあり、ある程度消費を抑えやすくなっている。

 

【武器】

トロイア戦争において使用していた槍。銘柄もなく、兵士に与えられた物の1つである。

 

 

 

 

 

 

 

__________________

 

「…それに、隣にいるのは昔、出会ったことがあるよな」

 

「あのときの貴方はパトロクロスの宝具で召喚された状態だった。まともなサーヴァントの貴方と話すのはこれが始めてだな」

 

レンジは警戒の目を離すことなく、あたりを見渡している。

 

「戦友、落ち着け。大丈夫だ、ここは問題ない」

 

「……パトロクロスがそういうなら」

 

「…パトロクロス、その……お前のマスターだが」

 

「親友、戦友は……なんていうか、俺に依存してるだけだ。聞いたろ?家族は魔術師に殺された。しかも、俺を召喚するためにな。俺は召喚された瞬間、状況を見たんだ。子供がボロボロで死にそうだった、ソレを助けてやるのが大人の仕事だ」

 

「まさか……マスターを殺したのかい?」

 

「キャスターのサーヴァント、止めろ」

 

キャスター、レオナルド・ダ・ヴィンチはそれが地雷だと判った。あからさまに機嫌が悪くなり、槍を強く握り締めているレンジが見えたからだ。サーヴァントすら殺す様な視線に言葉を止める。

 

「……あの時の戦友は壊れる寸前だった。俺が令呪を切り落とし、巻き込んだ」

 

「いや、戦友のせいじゃない。俺が選んだんだ、家族を生き返らせたかったから。でも……無理だったけど」

 

「そんな」

 

「亜種聖杯は願望器じゃない!しょせん、魔力が溜まっているだけの紛い物だ。幸い、俺には魔術の才能があった。俺が殺した魔術師は時計塔で500年続く家だったみたいだが、魔術回路は奪わせてもらった」

 

「……待ってくれ。5年前……ターナー家が途絶えた時期と一致する。もしかして君は」

 

「……俺の家族を殺したんだ。俺は亜種聖杯戦争に勝利した時望んだんだ。頑丈な肉体を、鍛えれば強くなるこの身体を。俺は殺した、日本に帰る前にイギリスに行き、ターナー家を調べた。殺した、殺したよ。この槍で……この…フフッ……フハッフハハハハハハハハハハッ!」

 

レンジは狂ったように笑う。まだ哂う、そして嗤う。でも、泣いている。

 

「助けてくれ!子供だけでも、この子だけでも!泣いていたな…くくっ…ハハハハハハ」

 

「レンジ?」

 

「奴等の足を切り落とし、目の前で子供を殺してやった!鳴き叫び、許しを請う姿を見ながら、痛ぶり、殺したよ!」

 

「酷い……そんなの」

 

「………お前に何が判る!両親が生贄にされる瞬間を俺は最後まで見ていた!聞いていた!リッカ!お前の両親は良いよな!生きてる!何時でも会えるんだから!俺の両親はいない、死んだ!写真の中にしかいない!もう……声も思い出せない……お前に…………お前に何が判る!」

 

「何が判る?判るよ!私も死にかけた!人理修復で…何度も……仲良くなった人は死んじゃうし!私しかいなかった!私は私とマシュが世界を背負ってた!私の苦しみも判るはずないのに!」

 

その言葉を聞いたレンジは高らかに笑う。リッカを嘲笑いながら、槍を向ける。

 

「そうだ!認めたな!その通りだ、人は結局、知っている事しか知らない!お前がどんな道を歩んだか、そんなのは俺には解らない!お前の苦しみを俺は知らん、そして!お前に俺の苦しみは理解できる筈がない!お前の、その、下らない口を開くなぁ!!」

 

「……戦友、落ち着くんだ。彼女は君の憎むべき存在なのか?間違えるな、君の復讐は既に終わっているんだ」

 

狂気に包まれた姿が一瞬でもとに戻る。

 

(私には、皆が居た。でも、レンジには誰も居なかった。

唯一、パトロクロスが守ってたんだ)

 

リッカはただ、悲しい物をみる瞳をレンジに向ける。

 

「ふん、謝罪は言わんぞ、興味がない。俺の敵なら、串くだけだ」

 

「それはマスターに対する宣戦布告か?」

 

「催涙ガスか何かで捕まえた挙げ句に、俺の身体を調べていたお前達を信用しろと?生憎だな、そんな事をできる奴はお人好しか馬鹿だけだ」

 

レンジは藤丸を嘲笑い、槍を背に戻した。

 

「……ごめんなさい」

 

「謝罪に価値はない、俺はここから逃げられないのだからな。周りにはサーヴァント、人間だけなら殺してでも逃げただろう。しかし、ジークフリートがいる。その悪魔はどう足掻いても殺せんのでな」

 

「……」

 

「俺にとって英雄とはパトロクロスとアキレウスのみ。ほら!さっさと独房でも何処にでも連れて行け。それとも処刑か?」

 

「監視に努める、リッカ君。無論、面会謝絶だ、エミヤは彼を部屋に案内してくれ。あと、何人かのサーヴァントで監視だ。ハッキリ言うと、ここまでテロリストじみた行動は予想外だったからね」

 

「…ふん、魔術師なんて所詮は下衆ばかりだ」

 

「済まないが手錠をかけさせてもらう」

 

「……あんた、見覚えあるぞ。俺が時計塔とか言う組織から狙われた時助けてくれた男。衛宮士郎、まさかサーヴァントになってるなんてね」

 

「衛宮士郎?知らない名前だな、私の名はアーチャーだ」

 

「そうかい、遠坂凛とか言う魔術師がキレてたぜ?次は締めるとかなんとか」

 

「くっ……肝に銘じよう」

 

レンジは監視カメラの付いた一室に入れられた。

食事等も管理され、常にサーヴァントが持ってくる。

武器も押収され、やる事は一つ、身体を鍛える事だ。

 

「……ふぅ……ふぅ……ふぅ……」

 

ベッドは固定されている為、腹筋運動の際に利用し、壁を何度も殴りつけ拳を鍛える。そして、カメラが動いた事を確認すると中指を立てるのを忘れない。

 

「彼は正にテロリストだね」

 

「あの手の人間は信用が必要だ、一度私が話そうか」

 

そして、普段通り鍛えていると赤い外套を着た男が入ってくる。

 

「懐かしいな、お前基準だとだいたい3年ぶりか」

 

「あぁ、宝石剣だったか。 そんなやばい代物で此方に飛ばされてきたアンタは俺を救ってくれた。血塗れで、傍から見れば犯罪者は俺だと言うのに」

 

「魔術師に狙われていたからな」

 

「…アンタの言葉は忘れてない。戦場では生きるか死ぬか、魔術師を殺すなら魔術を知ること。常に人の裏を描くこと」

 

「……」

 

「俺は魔術師を根絶やしにするつもりはない。だが、俺を狙うクソ野郎共は必ず殺す。特に時計塔とか言う奴らだ」

 

「お前は」

 

「ソ連やドイツ軍みたく、無意味な殺戮はしない。女をレイプもしない。尊厳は奪わず、痛めつけ、苦しめ、自分が何に手を出したかを知らしめ殺す。助けてと、嫌だと、何度言われても、ナイフでさし、殺す。生きたまま動物に食わせた事もある、聞くか、飢えたジャガーだった。魔術を展開するのに何も必要ないらしいな。笑ったぜ、目をえぐってやった。んで、飢えたジャガーに腹を割いて投げ捨てた。悲鳴を上げながら、お母様!お母様と」

 

「貴様は」

 

エミヤは理解できる、挑発されているだけだと。

だが、目の前のレンジがただの快楽殺人犯に思えてならない。

今、此処で殺すべきだと、自分の正義が叫んでいる。

 

「追いつけよ、アーチャー」

 

「ちっ……」

 

「ランサー」

 

それは蒼い槍兵であるランサー、クー・フーリン。

 

「此奴は、ゲス野郎じゃねぇ。此奴は守る為に戦っているだけだ。すくなくとも、喋ってる話は全て嘘だそうだ」

 

「はい、嘘つきだから焼こうかとも思いましたが……」

 

「なんだ、子どもが聞くべき話じゃ」

 

「貴方はマスターの敵ですか」

 

「……敵だ」

 

「嘘ですね、はい。嘘つきです。自分の本心を嘘で塗り固め、心がもう自分でもわからなくなってる嘘つきです」

 

そう、それは嘘がわかるサーヴァント。清姫。

嫌悪感がありつつも、静かにレンジを見る。

 

「怖いんでしょう?」

 

「怖い?当たり前だ、恐怖のない人間など居ない」

 

「えぇ、それに……貴方はマスター様を憎んでいない」

 

「憎む?俺が藤丸を憎む理由があるとすれば、こんな所に誘拐された事だけだ。それに」

 

「……貴方の為にもう一人連れてきております」

 

「患者は此方ですか」

 

「ナースか、俺は魔術師は家族諸共殺すが…医者と民間人は殺さん」

 

「……そうですか、私と彼を二人きりにしてください。これから患者と話します」

 

ナース、フローレンス・ナイチンゲールはレンジと二人きりになると話し始める。

 

「はじめまして、私はフローレンス・ナイチンゲール。このカルデアの婦長を務めています」

 

「……藤原蓮司、年齢は18になります」

 

レンジ自身、自分が患者であると理解している。それに目の前の女性、フローレンス・ナイチンゲールは希代の英雄。医療従事者として、数多の生命を救った人だ。

 

「では、レンジ君と。素直に答えてください」

 

レンジはナイチンゲールと話す、ナイチンゲールは優しく、レンジがかけられた事のない言葉ばかりをかけてくれた。

まるで母親の様に、我が子をあやす様に。話しているうちに涙が溢れてくる、そしてゆっくりと瞼が重くなる。

 

「眠ってください、ゆっくりと、ゆっくりと」

 

「…はい」

 

ナイチンゲールは部屋から出ると手にしたカルテを持ちながらカルデアの司令部へと向かった。

 

「あっ…ナイチンゲール。その」

 

「マスターも居ましたか、丁度いい。藤原レンジの診断結果です」

 

レオナルド、カルデアスタッフ、生活面を支えるサーヴァント達、藤丸立香の前でナイチンゲールは説明を始める。

 

「重度のPTSD(心的外傷後ストレス障害)の傾向が強いです。また、常に悪夢を見ていると話していました。殺した日からずっと夢に見ると、しかし感情を抑え込み、別の感情で表現する。悲しみを怒りで、喜びを悲しみで、一部感情障害の傾向も見られます。はっきり言えば、精神病棟に入っているべきです」

 

「……ナイチンゲール」

 

「なんです、マスター」

 

「レンジは親族からも見捨てられて一人でいたって言ってたんだ。もしかして」

 

「精神的な症状での通院などはしたことがないかもしれませんね。それこそ、14歳とは心と身体が大きく成長を迎える歳です。彼は、ソレを壊れた状態で無理矢理、そうパトロクロスの槍とパトロクロスとの思い出だけで乗り切ったはず、マスター。その当時、何かありませんでしたか?」

 

「レンジのご両親は出張で居ないことが多くて、何時も一人だったから私が遊び相手で……でも、確かに一緒に過ごす時間とかなくなって」

 

「つまり、兆候は少なからずあった。マスター、私は患者を見捨てません。レオナルド、今すぐ今の対応を取りやめることを宣言します。これ以上、患者のストレスを増やしてはいけない」

 

「待ってくれ、でも彼は!」

 

「患者です、私は看護師。患者を救う義務がある。目の前で苦しむ患者がいるのなら、私は全力で救います。そう、殺してでも」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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