そんな時、謎のセカイに迷い込んでいたクロスの手によってそのセカイへと誘い込まれた黒竹。そんな黒竹と出会ったのはセカイの想いの主たちである【Leo/need】とバーチャルシンガーの面々だった。
黒竹とクロスは教室のセカイにて【Leo/need】の曲を聴いた後、セカイを後にするがセカイから出たあとに待っていたのはゴンさん(A)の『円』で二人はすごく驚いた。
そして、校門から出てきた【Leo/need】の面々と早い再会をするのであった…。
「あ…さっきぶりです」
黒竹はスムーズに、さもなにもなかったかのように先ほど別れたばかりの四人の少女、一歌、咲希、穂波、志保の四人へと軽く頭を下げた。
まさか別れたばかりでまた出会うことになるとは思わなかったが、黒竹はとても冷静だった。
咲希「あ、うん。さっきぶり……じゃなくて。えっと…この人…」
うまく言葉が繋がらない咲希。無理もない。ゴンさんと言う非常識の塊を前にしたら普通はこうなる。なので彼女の反応はある意味当然なのだ。
「あぁ。この人は【ゴンさん】。さっき話した通りアナタのお兄さんの友達。ちなみに歳は俺と同い年の13歳」
4人の言葉が見事に被った。彼女らが不思議に思うのも当たり前であり、ゴンさんは2メートル越えの身長に筋骨隆々で尚且つ髪が1800メートル以上ある。あと目にハイライトがないし裸足である。そんな人物が13歳と言われて信じられるワケがないが、彼女らは驚きのあまり反論すらできなかった。と言うか髪1800メートル以上あるだけで異常である。
ちなみにこの時4人は確信した。授業中に突如起きた謎の爆音と天を貫く漆黒の縦線の正体は彼であるということを。
「で、ゴンさん。この金髪のお姉さんは【天馬咲希】さんって言って、司さんの妹さんなんだって」
「司の妹か。よろしく。俺、ゴン!!」
ゴンさんは咲希に握手を求め手を差し出した。咲希は戸惑いながらもその握手に応じてゴンさんの手を握る。ゴンさんと咲希の手の大きさは歴然でありゴンさんの手が咲希の手のほとんどを覆い隠していた。
お互い手を放すと、ゴンさんの方から話を切り出した。
「ところで黒竹さんとみんなってどこで出会ったの?」
「さっき俺がいなくなった間に…」
「なるほど」
ゴンさんは黒竹の一言で納得した。本来なら四人が反応に困るところだったが黒竹が先に答えたためこれ以上ゴンさんが聞くことはなかった。
四人はセカイのことを周りに隠している。言っても誰も信じないとは思うが、こういうものは秘密にしていた方がいい。今回はイレギュラーな状態で他人に知られることになったが、下手に誤魔化す必要がなくなったため四人は内心安堵した。
「それよりもゴンさん。さっさと行かないと。他のゴンさんを待たせる羽目になる」
「そうだね。多分そろそろ別の俺もケーキ買い終えてると思うし」
志保「……別の俺って、なんですか?」
志保がしどろもどろになりながらもゴンさんに問いかけた。その時にゴンさんのハイライトのない瞳が志保を貫き志保の肩は思わず飛び跳ねる。
先ほどセカイで黒竹から「ゴンさんを見た瞬間になにも言えなくなる」と聞いたときにはどんな厳つい人なんだろうと思ったが、コレは厳ついとかそんなレベルじゃなかった。ゴンさんから放たれるオーラによって常に心臓と肺を鷲掴みにされているような気分に駆られる。
ゴンさんを見たあとだと、この人物を呼び捨てにできる司を四人は「「「「司さん(お兄ちゃん)凄すぎる…」」」」とある意味関心していた。
そして、ゴンさんから質問の答えが返ってくる。
「ほら、あそこにいるでしょ」
と、ゴンさんが指さした先。4人はその方角を向くと、そこにあったのは――。
別の方角で伸びている2つの天を貫く漆黒の縦線だった。
「「「「――――」」」」
「アレ、俺が二人とも同じ個所にいる。もう買い物とか済ませたのかな?」
「いつの間に…。それじゃあ後は合流するだけですね」
「そうだね」
どうやら既にゴンさん(B)とゴンさん(C)は同じ位置におり合流しているようだ。次の方針も固まった二人。そんな二人の視界から外れ、四人は完全に固まっていた。
セカイの方で分身やら分裂云々は聞かされていたが流石に冗談かと思ったらそんなことは全然なかったことによる驚きである。
一歌「……人の髪の毛って、あんなに伸びるっけ?」
志保「いや、物理法則からして無理だと思う」
穂波「私たち、今日一日ですごいこと体験しちゃってるね…」
咲希「……アレ、そういえば4人に分裂したって聞いたけど、髪の毛、3つしかないよね…?」
そこで咲希が唐突に疑問に思ったことを口にした。セカイで確かゴンさんは最終的に4人に分裂したと聞いてはいたが実際周りを見ても天を貫く漆黒の縦線は3つだけ。どう考えても1つ足りない。
黒竹「え、あぁ。ゴンさん(D)は――」
黒竹の口から出たパワーワード【ゴンさん(D)】。なんだそれは。じゃああの二つの縦線がゴンさん(B)とゴンさん(C)なのだろうかと言うツッコミを飲み込んで、黒竹の言葉の続きを聞いた。
「宇宙」
「「「「――――」」」」
右手の人差し指を上に向けてそう言い放つ黒竹に、4人の口は閉口する。そんな当たり前のように言われても理解が追い付かない。
宇宙であれだぞ?息できないし人がいられるような場所じゃないよ?そう思う4人だったが隣にいるゴンさん(A)を見ていると人なのかどうか疑わざる負えなくなってしまい、仕舞いにはこの人なら大丈夫なんじゃないかとすら思えてきた。
今なら黒竹が現実逃避をする理由が分かる気がしてならなかった。
「そうだ。マホロアさんに連絡しておかないと」
ゴンさんはポケットから【ビートル07型】を取り出すとマホロアと連絡を交わした。それは意外とすぐに終わり再びビートル07型をポケットに仕舞う。
「マホロアさん、もう司と合流してるんだってさ」
「あ、もう…」
「うん。【フェニックスワンダーランド】ってところの入口付近にいるらしい」
志保「……そういえばあの方角ってフェニランだよね…」
志保が一人そう呟く。
「でもちょっとトラブルが起きたみたい」
「…トラブル?」
「うん。内容は書いてなかったから多分書く余裕ないんだと思う。早くいかないと」
「……なんかイヤな予感するな」
今度は一人黒竹がそう呟く。すると、黒竹の体が宙に浮き、腹に黒竹の全体重がかかって少し苦しくなる。―――再びゴンさんに抱えられたのだ。
「えっ」
「それじゃあお姉さんたち。短い間だけどありがとう。俺たちもう行かなきゃ」
「え待ってちょっと流石にもうこの体勢で大ジャンプはキツすぎ――ヴォォオオオオオオ!!」
『コォオオオオオン!!』
黒竹は声変わり前の高い声とは思えないほどの野太い声でゴンさん(A)大ジャンプによって地面を砕いて空高くへと飛んで行ってしまった。あの狐の悲鳴も聞こえた気もするが、4人はそんなことどうでもよくなっていた。
「「「「―――――」」」」
ただ、目の前の現実を消化するので精いっぱいで。
* * * * * * * *
「ブゥウウウウウウウウウウ!!!」
『ゴォオオオオオオオン!!!』
「―――――うん?」
空。黒竹を抱えて(B)と(C)がいる場所へと移動中。ゴンさんはこちらに向かってくる飛来物を見つけた。それは――
「ニャアアアアアアアアアア!!」
――ピトーだった。ピトーが悲鳴を上げながらこちらに向かってきている。
その瞬間ゴンさん(A)は目の色を変えて足を振り上げる準備をするが、寸でのところで理性が勝った。今ここでピトーを
「来い、ピトー」
「ゴガッ!?」
ピトーの首根っこを掴んで連れていくことだった。ピトーを連れて、ゴンさんは飛来していく。
ちなみにピトーとゴンさんが飛んでいる方向は完全に真逆だったためゴンさんに無理やり掴まれたことでその反動と衝撃でピトーの首から嫌な音が鳴った。ピトーは気絶した。
* * * * * * * *
ゴンさん(A)は、土煙を上げながら地面へと着地する。土煙が晴れると、ゴンさんの視界に映ったのはどこかのステージ、(B)、(C)、マホロア、司、司の仲間3人、ウサギの着ぐるみ、オレンジ髪のお兄さん(彰人)、紺色と水色髪のお兄さん(冬弥)である。
着地したゴンさん(A)に最初に声を掛けたのはマホロアであった。ゴンさんはピトーをその場で落とすとそのままマホロアたちの方へと歩いていく。
「ア、ゴンさん(A)!」
「マホロアさん、お待たせ」
「イヤァ…コレで全員カナ?」
「なにがあったの?トラブルがあったって聞いたけど」
「……アノ着ぐるみサンなんだけどネ」
ゴンさん(A)の目線の先が、ウサギの着ぐるみに集中する。その肝心のウサギの着ぐるみは、司の仲間の一人であるピンク髪の女の子を守るように立っていた。
「新手か…、だが、私がいる限りお嬢様には指一本触れさせんぞ!!」
「あんなカンジで話がこんがらがってるんだよネェ…」
「……なにがあったんだ?」
ゴンさん(A)に降ろされた黒竹がマホロアに話を聞くと、マホロアは事の経緯を話した。
ゴンさん(B)と絵名と行動中だったマホロアは、実はあの時はぐれていたらしい奏と合流。ゴンさんとはぐれるとかあり得ないと思うのだが、これ以上考えないことにした。それで体力の限界が来たらしく、目的が完了したあとは運転手ワドルディを呼んで離脱したらしい。ちなみにこれに便乗して絵名も離脱したようだ。気持ちは分かるためなにも言えない。
ゴンさん(C)は彰人のアドバイスのおかげで以外と早くケーキを買えたようだ。だが冬弥のケーキ選びが少し時間がかかったらしく、終わったころにはちょうどマホロアたちと合流できたらしい。
――で、ここからが本題である。
無事合流した一同は司たちのいるフェニックスワンダーランドへと向かい、冬弥の案内でワンダーステージへと足を運んだのだが……その
「……なるほど」
「それデ、イロイロ説得はしてるんだケドねェ…」
着ぐるみ「えむお嬢さまぁあああ!ここは私にお任せを!早くお逃げください!」
えむ「うぇええ!着ぐるみさん、あ、あたしは大丈夫だから…」
着ぐるみ「いいえ!もしえむお嬢様の身になにかあれば皆さまに合わせる顔がありません!」
司「お、落ち着いてください!ゴンは大きいから誤解されやすいですけど、良いヤツなんです!!」
着ぐるみ「女性を殴ったり蹴り飛ばしたりするヤツのどこがいい奴なんだァ!!」
司「し、知っていたのか!?」
寧々「いや……既にネットに上がってるんだけど」
類「トレンドも一位だし、とても目立つから、知らない方がおかしいと思うなぁ…」
黒竹「……マジか」
どうやら既にゴンさんのことはネットで流出しているらしく、トレンドも一位のよう。そりゃああれだけどんちゃんバカ騒ぎしていたら当たり前である。
ちなみにピトーやナンパ男を
「マホロア。コレさっさと出た方がいいんじゃ…」
「大丈夫。絶対にナニも起きないカラ」
「その自信はどこから出てくるんだよ…」
マホロアの謎の自信に辟易する黒竹。そんなとき、マホロアが急に笑顔になる。その笑顔を見た瞬間、黒竹はとても嫌な予感がしてならなかった。
「ゴンさん」
ゴンさん(A)「なに?」
「もうゴンさんガ分身シテル意味ナイし、(D)以外ナラもうくっついてイイんじゃナイ?」
ゴンさん(A)「確かに」
ゴンさん(B)「もう元に戻っても問題ないしね」
ゴンさん(C)「ていうか俺たち自力で戻れないし、今のうちにやっとこう」
黒竹(え、自力で戻れないの?)
ゴンさん(C)の口から飛び出たまさかの欠点に耳を疑った。分身ができるなら元に戻れてもおかしくないのだが、ゴンさんたちはそれができないらしい。不完全すぎるだろソレ。他力本願の分身なんて聞いたことないぞ。
「ジャア並んで~」
マホロアが指示を出すと三人のゴンさんは横一列に並んだ。その光景を黒竹はもちろん、着ぐるみたちの言い争いを見ていた彰人と冬弥、そして言い争っていた着ぐるみと司たちもその光景を見て言い争いを止めていた。
「ハイいくヨ~」
その瞬間、マホロアの手の平が光ると同時に3人のゴンさんから莫大なオーラがあふれ出す。
「「「「「「「「―――ッ!?」」」」」」」」
3人のゴンさんの影が重なっていき――やがて一つとなる。
3人のゴンさんが一人に戻り、左手を胸の部分まで掲げるポーズで立っているゴンさんからあふれ出すオーラは、黒竹が最初に会ったときのゴンさんのオーラ量を遥かに超えていた。オーラ量だけで立っている地面が砕け、暴風を生み出し辺り一帯の気候を一変させていたのだ。
黒竹「ゴンさんの、オーラが…!!」
彰人「おい…さっきよりヤバくなってねぇか、コレ…!?」
冬弥「先ほどまではここまでではなかったはずだが…」
????「こっこれは!!ゴンさんのパワーが前の3倍になっている!!」
黒竹「いやアンタ誰!?」
ゴンさんのオーラ量の変化に驚く一同の隣から突然、長髪でヒラヒラとした服を纏う美形の男性が現れた。全くあったこともない知らない人物の登場に黒竹たちは騒然とする。
????→カストロ「自己紹介が遅れた。私は【カストロ】と言う者だ。ちなみにゴンさんに分身を伝授したのは私だ」
彰人「お前が元凶かよッ!?」
黒竹「つーかアンタどっから現れた!?」
なんと、この男性の正体はゴンさんに分身を伝授したある意味すべての元凶とも言える男、カストロだった。
と言うかこの男ゴンさんの世界の住人のはずなのだがどうやって世界を超えてここに来たのだろうか。ちなみにそれは永遠の謎である。
カストロ「そんなことはどうでもいい!!良く聴けッ!分身は強化系と相性が悪い。作られた分身は本物より弱くなってしまうのだ」
冬弥「……しかし、彼が弱くなっているようには見えなかったが…」
カストロ「だが、ゴンさんたちはメモリ超過で元の強さを取り戻していた。それらが合体したことで、ゴンさん一人のパワーが1000万と仮定すると、今までの3倍の力――すなわちゴンさんは戦闘力3000万と言う力を手にしたんだ!!」
黒竹「要するに全部お前のせいだろ!!」
黒竹は怒りのあまり二振りの剣を顕現させた。その二振りの刀身には紫の炎が纏われておりそのまま大きく振りかぶってカストロを斬りつけた。
カストロは悲鳴を上げる間もなく全身が紫色の炎に纏われると、塵一つ残すことなくその場から消滅した。
さながら、ディケイドとゴーカイレッドがスーパーヒーロー大戦で使っていた相手を消滅させる紫の炎そのままの効果を発揮した。
「……え、何今の」
黒竹は紫の炎が消えた二振りの剣をジッとみて困惑した。なんかノリと勢いで斬りつけてしまったが、ワケの分からない炎が出てきてそれがカストロに纏われたと思ったらカストロが跡形も残らず消滅した。
怒りで何も考えずに力を発揮した黒竹は己の力に素直に恐怖した。
「え、マジでなに今の。なにこれ。怖ッ…」
彰人「いや、それ俺らの台詞だと思うんだが…」
彰人に意外と冷静にツッコまれて、黒竹は慌てて後ろを振り返ると全員の視線が黒竹に集中していた。
「あ……ヤベ」
「……黒竹クン」
そんな時にマホロアが一歩踏み出して黒竹に声を掛けた。一体何を言われるのか、黒竹の心臓の鼓動がドクドクとターボを上げていき――
「ヤっちゃったモンはしょうがナイ!」
「―――」ズコッ
あまりにもあっけらかんとした言葉に黒竹は思わずずっこけた。人一人消滅させたヤツに対する言葉ではない。
「ソレに、イマの技は相手を異空間にトバス技だから、死んでナイヨ」
「えっ、マジで?」
「大マジオオマジ」
マホロア曰くさっきの技は対象を異空間に飛ばす炎であり、消滅したように見えて実際はただ移動させる力らしい。
「ボク実際に使ってるノ見たコトあるシ。まぁボクが知ってるカギリそれ使えるノ二人シカ知らないカラ驚いたケド」
「二人か…。結構貴重な能力なのか?」
「ボクにはなんとも言えないナァ…。まぁ今はカストロのことは気にしなくていいから」
「おっけ」
今この時を持って、カストロの件は終わった。二人が着ぐるみたちの方を向くと、着ぐるみはプルプルと震えていた。
「やはり危険だ…。こんなヤツをえむお嬢様に近づけさせるワケにはいかない!!」
「結局話が振り出しに戻ったな」
「あんなノ見せたらソリャ警戒はするよネェ…」
急にどこからか剣を召喚したことも、謎の炎で人を消滅させたことで着ぐるみの警戒度を跳ね上げてしまった。
結局話は振り出しに戻り、着ぐるみで顔は分からないが険しい顔で着ぐるみは言った。――言い放ってしまった。
「私がいる限りえむお嬢様には指一本触れさせんッ!!ここを超えたければ、私の屍を超えてゆけェ!!」
「ゴンさん?」
ゴンさんは、中腰の姿勢を取って右拳に力を入れ始めた。
「え、ちょっと待ってゴンさん。冗談だよね?本気でぶちかましたりしないよね?」
「ゴンさん?」
黒竹は徐々に焦り始めるが、ゴンさんはそんなことお構いなしに右拳にオーラを貯めていく。すると徐々にゴンさんの右拳を中心にオーラが凝縮されていく。それはとても静かで、静寂な時間。だが、ゴンさんの右拳が光を放ち始めると、周りが一斉に慌てだす。
司「おいゴン!なにをする気なんだぁ!?」
類「ちょっと、コレ危なくないかい…?」
寧々「類が言うと説得力ないけど、流石に同意かも…」
えむ「あわわわわ…」
冬弥「――光が…強くなっていく…!?」
ゴンさんの右拳の光が徐々に強くなっていき、それを見ただけであの拳が放たれたらヤバイと言うことだけは分かる。少なくともアレだけで着ぐるみどころかこの辺り一帯が消滅する。ただでさえ洒落にならない強さを持つゴンさんのパワーが3倍になったのだ。決して拡大表現ではない。
彰人「おいアンタ、なんとかできねぇのか!?」
黒竹「無茶言うな!!ただでさえ強いゴンさんが3倍も強くなったんだぞ!戦闘力3000万だぞ!?勝てるわけねぇだろ!!止められるわけねぇだろ!!」
マホロア「オオット…流石にこれはボクも予想外だゾ…。ドウしたものカ…」
冷静を装っているマホロアも、流石に焦りを見せ始めた。
どうしたものか、今この状況でもゴンさんのオーラは右拳へと集中している。
「まずいマズイ不味いマズい」
「え~と、落ち着けボク……。こういうトキのためノ…。黒竹クン」
「なんだよ!?今はソレどころじゃ――」
「アレ。アレ」
「は?なんだ……よ……」
マホロアがとある方向を指さした。そこには、コッソリとこの場から離脱しようとしているピトーの姿があった。この場から抜け出すのに精いっぱいなのか、こちらが気づいたことに、全く気付いていない。
黒竹はピトーの姿を見た瞬間に閃いた。思いついてしまったのだ。この場を切り抜ける、悪魔の策を。
時間はない。黒竹はいつの間にかピトーに向かって走りだしていた。
「ゲッ!」
それに気づいたピトーは本格的に逃げようと脚に力を入れるが―――
(…ッ!!か、体が動かない!?)
「悪いネェ…。ボクの魔術はこういうトキのために使うノサ」
「アイツ…!!」
ピトーの体は動かなかった。マホロアの魔術によって体を止められていたのだ。それに気づいたときにはもう遅く、ピトーの後ろ襟は黒竹に掴まれていた。
黒竹は自身の持つありったけの筋力とオーラを駆使して、ピトーの体を空中へと放り投げた。そして、叫ぶ。
「ゴンさん!!空からピトーが!!」
「パー!!!」
その瞬間、ピトーが飛んでいる方角に方向転換したゴンさんはピトーに向けて掌からオーラで形成された極太レーザーを発射するとピトーの体を一瞬にして包み込んだ。さらには一直線に斜め上に放たれた『パー』は雲を貫通して宇宙空間にまで届く。
ちなみにこの技の余波でワンダーランドどころかフェニランごと吹っ飛んでもおかしくない威力だったのが、そこら辺はマホロアがなんとかしてくれました。
技を撃ち終えたゴンさんは右腕を降ろすと、「あ、そうだ」と呟きいつものハイライトのない目を着ぐるみへと向けた。
「ごめんなさい着ぐるみさん。殺せなかった」
と言う言葉を平気でかけたゴンさんであったが、すぐに着ぐるみの異変に気付く。
「――――」
ゴンさん「あれ、気絶してる」
着ぐるみは、立ったまま気絶していた。両手を広げ、えむをその背に隠したまま。着ぐるみは勤めを果たしたのだ。さらば着ぐるみ。あなたのことは一生忘れない―――いや、死んでません。
一方、なんとかこの状況を打破できた黒竹は安堵のあまり地面に仰向けで寝そべっていた。
黒竹「ふぅ……一見落着…」
彰人「いや落着じゃねぇだろ。人一人犠牲にしただろお前。しかも一切の迷いなく。えげつなさすぎるだろ…」
黒竹「なんだよ。だったらあのまま着ぐるみさんが殴られてその余波でこの遊園地ごとゴートゥーヘブンしてもよかったのか?」
彰人「なんでフェニランごとぶっ飛ぶ前提なんだよ…。しかも余波で…。まぁ、否定できねぇけどさ…」
核攻撃にも匹敵するゴンさんのオーラを凝縮した極太レーザー。アレを見てしまえば拡大表現なんて言えない。文字通りこの場が灰燼と化していただろう。攻撃の余波で。
起き上がった黒竹はゆっくりとマホロアの方へと歩いていく。
「マホロア。とりあえずコレでもうやることはやったから後帰るだけなんだよな?」
「ウン。ソウだけど、ドウかしたカイ?」
「あぁ。つってもちょっと寄りたいところがあるんだけどさ」
「寄りたいトコロ?」
「うん」
「―――とりあえず薬局寄っていい?」
この後、黒竹は薬局で胃薬を購入した。
とりあえずこれでプロセカ編は終了になります。最後とても雑に終わらせたけど、なにも聞かないでください。
ちなみにプロセカ編でモアジャンの面々だけが出てないと不満に思う方もいるでしょうが、モアジャンはまた別の機会に登場させる予定ですので、期待していた方、すみません。
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