【ポケモン】人生を安価で decide…エンジョイエンジョイね【転生掲示板】   作:ユフたんマン

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今年中にもう1話書けました…自分でも驚く執筆速度。これも全部インフルってやつの仕業なんだな。


帰還

臨海学校に残された期間は全てアローラの復興を手伝う時間として過ぎていった。

UBによる襲撃により未だ大きな爪痕が残されてはいるが、それでも人々の顔には笑顔が灯っていた。

 

ちなみにゼンリョクでZワザを放った影響でアンカーもその場で倒れ込み、血を流しながら気絶していたのだが、丸一日眠り続けた事で翌日には何事も無かったかのように復活していた。

 

「まだ僕は立つだけで足が震えるんだけど…」

 

同じ境遇にあったヨウは未だに後遺症が残っており、今も絶対安静を言い渡されている。一方でアンカーはというと、二日目からすでに復興作業に加わり汗を流していた。

 

そんなこんなで最終日。

多くの人々に見送られながらもブルーベリー学園へ帰還する。

 

「アローラを守ってくれて本当にありがとう。君たちがいなければ被害はもっと広がっていたはずだ。チャンピオンとして心から礼を言うよ」

「いやいや、そんな大層なことはしてないっすよ。なぁ?」

「ええ、あの状況でしたら誰であっても同じことをしたかと」

「それでもだよ。次にまたアローラに来た時には盛大に歓迎させて欲しい」

「ウルトラホールは勘弁ですけどね」

「違いないね」

 

差し出されたヨウの手をアンカーがしっかりと握り返す。するとヨウは、どこか好戦的な笑みを浮かべて言った。

 

「リーグ挑戦も待ってるよ。僕もアンカー君とは全力で戦いたいからね」

「俺もっす。正面からチャンピオンの座を奪いに行くんで待っててください」

「フフ、その日を楽しみにしてるよ」

 

その宣戦布告を受け、ヨウはどこか嬉しそうに微笑んだ。

固く交わされていた手がゆっくりと解かれると、それを待っていたかのようにホウとスイが飛び出してきた。

 

「はーい! 次は私たちー!」

「もう帰っちゃうのー?なんだかあっという間だったねー」

「うん! まだまだ一緒にいたかったのに!」

 

二人は同時にそう言って少しだけ名残惜しそうに、しかしすぐに明るい笑顔を浮かべた。

 

「だなぁ、俺ももっとアローラを見て回りたかったんだが…まぁしょうがなかったってやつだな」

「ネリネも残念。また次の機会があれば、その時にガイドをお願いします」

「うん!次はもっともっと案内するから!」

「絶対また来てね!」

「そりゃ勿論!」

 

アンカーがサムズアップで応えると、一転してスイは少しモジモジとしながらも話しかける。

 

「あの、お兄ちゃん…たしかオニシズクモを捕まえようとしてたよね…?」

「ん?まぁそうだな。結局はそんな時間無くて捕まえられなかったけどな。オニシズクモはまぁブルーベリー学園にも生息してるしそっちで捕まえるぜ」

「そ、それなんだけど…」

「ちょっとスイ、しっかりしなよ」

 

珍しくしどろもどろになるスイに、ホウが耳元でそっと促す。アンカーは状況が掴めず首をかしげた。

 

「この子、私達のオニシズクモの妹なの!もしよかったらこの子を連れてって!」

 

スイから手渡されたのはムーンボール。その中に入っているのはオニシズクモの進化前のシズクモ。

このムーンボールには見覚えがある。この臨海学校の期間中にホウとスイにお菓子感覚で手渡した物だ。

 

「いいのか?」

「う、うん…まだシズクモだけど…お兄ちゃん、ムーンボールで手持ちを揃えてるんだよね?だから元のモンスターボールからムーンボールに移ってもらったんだ」

「なるほど…わかった、ありがとう。大切にこの子を育てる」

 

アンカーが礼を言いながら頭を軽く撫でるとスイは頬を赤らめながら小さく笑う。

 

「この子をお願い…アンカーさん」

「おう……ぅ?」

「うわっ……」

 

お兄ちゃんから呼び方が変わったためアンカーは距離感が離れたように感じショックを隠せず硬直する。

 

ネリネはそんなやり取りを見てアンカーに犯罪者を見るかのような鋭い視線を浴びせた。

 

 

妙な空気が漂う中、ふいに強烈な閃光と轟音が島を揺らす。

その場の空気を一瞬で払拭したのは、この島の守り神であるカプ・コケコだった。

 

「カプゥーコッコ!」

 

どうやらすっかり傷は癒えたらしく、威勢のいい声が響き渡る。

アンカーを前に闘争心を露にしてはいるがすぐに仕掛けてくる様子はない。代わりにアンカーの手に鉱石を差し出す。

それはZリングの原石となるかがやくいしだった。

 

「コケー!」

「かがやくいし…試練は結局出来なかったが、あの戦いで認めて貰ったって事か?」

「普通の試練よりもハードだったからなぁ。

そのかがやくいしは加工しないと使えないから僕が預かっておこうか?Zリングが出来上がったらブルーベリー学園まで送っておくぜ?」

「あぁ、じゃあお願いします、ククイ博士」

 

受け取ったばかりのかがやくいしをそのままククイに渡せば、またついでとばかりにカプ・コケコからZクリスタルのデンキZも手渡される。

クイクイと殻でランターンの入っているボールを指差し、そいつで使えと訴え掛けている。

 

「カプンコッ!!」

 

用件は済んだとばかりにカプ・コケコは一転して戦闘態勢を取る。

守り神の中でも根っからの戦闘狂。そんなポケモンが、ここまで上質なトレーナーを前にして、戦意を抑えられるはずもない。

電気がバリバリと迸り、空気が張り詰める。

 

「時間が無いが…仕掛けられたバトルは受けねば無作法というもの…!」

 

アンカーがランターンを繰り出そうとした次の瞬間、横合いから凄まじい速度で割り込んで来た乱入者にカプ・コケコは弾き飛ばされてしまう。

 

「カプゥーレ!!」

 

その下手ポケはカプ・レヒレ。ミズZのZクリスタルを手渡すと、そのままアンカーの頭を抱き寄せ慈しむように腕の中へ収める。

水タイプ使い。善性を持つ優れたポケモントレーナー。転生者としての器。

これ程までの優良物件をカプ・レヒレが逃すはずも無い。

お前は私のモノだ、じっくり調教して私の言うことしか聞けぬようにしてやる。そんな幻聴めいた声がアンカーの耳元にまで届いた気がした。

 

「ちょっ、ククイ博士、ヨウさん、助けてくれません!?完全にカプ・レヒレに魅入られちゃってるんすけど…!!」

「カプ達に魅入られた者は悲惨な末路を遂げると言われている…アンカーくん、頑張れ…!僕達にはどうしようもない…!」

「気持ちは分かるよ…僕も同じだったし、諦めるしかないよ…」

「まぁ…どうせ無事、問題無い」

「大アリだが!?」

 

アンカーを見捨てた三人に抗議の声を上げていると、雷がカプ・レヒレを襲う。

カプ・レヒレは守るでそれを防ぎ、ゆっくりとアンカーから離れ、雷を放ったカプ・コケコと対峙する。

 

「カプゥーコッコ!」

「カプゥーレッ!!」

 

二柱の守り神が互いに睨み合い、電気と水をバチバチと交錯させる。

カプ・コケコは電気のオーラを、カプ・レヒレはフェアリーのオーラを纏い激突し、アンカーを巡っての小競り合いが始まった。

 

「……今の内に行くか」

「そうですね」

 

二柱の守り神が争っている隙に、その場からそっと離れようとしたその時、ネリネの肩がぽんと軽く叩かれる。

 

「カプゥーフフ!」

「カプゥブルル!」

 

振り返った先にいたのは、残る二柱の守り神、カプ・テテフとカプ・ブルルだった。

カプ・ブルルは争う二匹を一瞥すると、心底呆れた様子で深く溜息を吐く。

そして申し訳なさそうにアンカーへと向き直り、軽く頭を下げた。

続けてネリネに向き直り、アンカーと同様かがやくいしとハガネZを差し出した。

 

「これを…ネリネに?」

「ブルル」

「テテ」

 

カプ・ブルルは静かに頷き、ネリネの手にそれらをしっかりと握らせる。

一方カプ・テテフはというと、エスパーZをぽいっと乱雑に投げ渡した。

 

「カプフフ〜♪」

 

そして楽しげな笑い声を上げながら、さっさとカプ・コケコたちの争いを観戦しに行ってしまった

 

「…感謝。大切にします」

 

ネリネがそう感謝を伝えれば、カプ・ブルルは満足したかのようにさっさと姿を消してしまった。

 

「カプってなんだか自由な奴らだな…」

「貴方がそれをいいますか…」

 

ネリネもカプ・ブルル同様何処か呆れた様子を見せながら、アンカーのようにククイ博士にかがやくいしを預ける。

 

 

 

こうしてようやく、ブルーベリー学園への帰還の時が訪れる。

 

ヨウ、ホウ、スイ、ククイ博士、ミヅキ達。

そして復興を共にした人々が集まり、別れを惜しんでいた。

 

「短い間だったけど、楽しかったよ」

「また絶対来てね! 次は何も起きない時に!」

「うん! いっぱい案内するから!」

 

ホウとスイが手を振りながら満面の笑顔を向ける。

アンカーは少し照れくさそうにそれに応えた。

 

「約束だ。次はしっかり観光しに来るぜ!」

「その時はオニシズクモも見せてね……」

「おうよ!」

「またカレー食べさせてねー!」

「そりゃもうたらふくご馳走しますよミヅキ先生」

 

カレーの味を思い出したのかヨダレを垂らすミヅキに思わず苦笑いが漏れる。

 

「それじゃあ、気をつけてな!」

「アローラはいつでも歓迎するぞ!」

「また会おう、若きトレーナーたち!」

 

多くの人々に見送られながら飛行機へと乗り込む。

やがて機体は離陸し、先ほどまでいたアローラは、豆粒程の大きさになっていく。

 

未だ争い続けているカプ・コケコたちを窓越しに眺めながらもアンカーは深くシートに腰を下ろした。

 

「なんやかんやあったが……いい場所だったな」

「同意。騒がしくも温かい島でした」

「私もククイ博士やバーネット博士との話は参考になったよ。

今回の臨海学校ではあまり二人を見てあげられなくてすまなかったね。

……それに、試練が見られなかったのは残念だけれど」

 

ブライアはそこで一度言葉を切り、満足げに笑う。

 

「結果的にZリングとZクリスタルを手に入れられたのは僥倖だったね!

想定以上にZパワーについて調べられたし、ウルトラホールについても嫌というほど知れたし今回は大収穫だよ」

「先生、ほとんど外に出てなかったですよね……?」

「職務怠慢では?」

「いやいや、あの時も裏ではちゃんとバーネット博士たちと動いていたんだよ?

……まあ、職務怠慢と言われると反論できないけど」

 

そう前置きしてから、身を乗り出す。

 

「あと、Zリングが届いたら二人とも少しだけ研究させてね!

傷一つ付けずに返すから! お願い!」両手ギュッ!(上目遣い)

「……しょうがないなぁ」

「アンカー。あまりブライア先生を甘やかすのはいけない」

 

こうして、アローラでの臨海学校は静かに幕を閉じるのであった。




ブライア
なんやかんや今回の騒動ではバーネット博士と共に裏で色々とやっていた。
…が、先生の引率としての仕事は一切やっていないのでアウト。生徒の自主性を重んじているけど放置はダメです。ブルベ学園全体がそうだけども。



シズクモ︎︎♀ Lv18
スイレンの持つオニシズクモの子供。上にはホウとスイの持つオニシズクモの姉がいる。
姉のオニシズクモと遊びでバトルをしているので多少はレベルが上がっている。



カプ
コケコは戦闘狂。テテフは愉快犯。ブルルは苦労人。レヒレはメンヘラみたいなイメージで書いてます。



この世界のポケモンのレベル基準
これまであまり説明していなかったので一応。

1~10
ほぼバトルしないポケモン。初心者トレーナー。

10~20
才能のないトレーナーの限界。初心者を脱した辺り。短パン小僧等はこのくらい。

20から30
ここがトレーナーの大多数。小さな大会であれば入賞出来る可能性がある。ホウとスイはまだここ。

30~40
そこそこの大会で優勝出来るポテンシャル。かなり上澄み。

40~50
バッジ8個持ちが後半から現れるレベル帯。ジムトレーナークラス。ここまで来ると超エリート。ポケモンバトル一筋で食っていける。
ブルベリーグの名も無き先輩四天王はここ。

50~60
殿堂入りクラス。エリートトレーナーやベテラントレーナー。ジムリーダー候補がここに含まれる。

60~70
一部を除いたジムリーダークラス。
ネリネ、カキツバタがここに含まれる。

70~80
上位ジムリーダー、四天王クラス。
80よりだがゼイユはここに含まれる。

80~
チャンピオンクラス。
現チャンピオンや元チャンピオンなどなど。




これでアローラ編完結!
次回は閑話からの2年生編突入。ようやっとタロちゃんが入学です。早く原作に入りたいけど書きたいことが多すぎる…!

次の話なんですが久しぶりのガチバトル回です。描写の仕方なんですがどちらがいいでしょうか?

  • 実況や解説を入れる
  • 今まで通りトレーナー間だけで完結
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