オーバーロード~至高のもう一人は救済を望む〜   作:アバダケダブ郎

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13.二人っきりで何も起きないはずがなく

宝物殿に転移すると、そこには見慣れた人影が佇んでいた

 

「ラッフィー?あなたどうしてここに…

失礼しました、いと尊き御身とは気づかず、とんだ御無礼を!」

 

無骨な篭手をスカートの前で合わせ、慌てて頭を下げてくるユリ・アルファ

ほぼ専属で部屋まで料理を運んで貰ったりと、プレアデスの中でも接点の多い相手にホッとする

 

「気にしなくていいよ それよりモモンガさn――モモンガはこの先?」

 

「はい、先ほど一人で入られました。私はこちらで待機を命じられています」

 

念の為に伝言<メッセージ>を飛ばしてみたが相変わらず繋がらない。

 

「モモンガ様より決して入るなと厳命されておりますので…申し訳ございませんが、相伴できないことをお許し下さい」

 

気にしないで、と返してから開きっぱなしの扉を潜る

宝物殿には侵入者防止のデストラップが掛かってたから、ユリを入れなかったのは誤爆防止のためだろう

最初の部屋は確か、毒霧だったはず

 

上位異常耐性<グレーター・レジスタンス>

 

100レベルのラッフィーでなら、一々最大化を掛けなくても本来の威力になる

宝物殿程度の毒霧なら、乱数で最低値を引いても余裕でレジストできるだろう

私のような魔法職はともかく、魔法が使えないエロ鳥頭(ペロロンチーノ)辺りだと毎回耐性ポ=ションを使わないと入れないので

毒を強くしすぎるとポーション代が嵩んでしまうからだ

 

補助三重化・魔法二重化・上位傷害障壁<トリプレット・ツイン・グレーター・ダメージ・バリア>

守護天使<ガーディアン・エンジェル>

 

それでも念の為にどんなダメージでも一定値まで肩代わりするバリアを五重、

致死ダメージを完全回避してHPを50%まで回復する加護を掛けておく

 

最初の部屋は各種宝石金貨が無造作に積まれた、どこまでも金色一色の煌びやかな空間で、

黄金卿もかくや圧巻の光景に気を取られていると、足元の金貨に紛れたトラップを踏み抜いてしまいドカン!という意地悪い仕掛けをしている。

逆に言えば足元にさえ注意していれば問題はないので、危なげなく通過

 

第二の部屋は様々な装備アイテムが業務スーパーのワゴンセールもかくや乱雑に投げ出された無骨な空間で、

ドロップしたはいいけど自分に合わない、かといって売るには勿体無いレア装備を捨てて、逆に使えそうな装備は拾っていく、そんな感じの場所だ。

 

深淵の凝視<アビスゲイズ>になってからは装備スロットが「なし」になったので、ラッフィーに使う以外のドロップ装備は全部ここに捨てていた

見返りに従者<ペット>用のドーピングアイテムは全部持ってったけど。

ギルドで獣使い<ビーストテイマー>系は私とデッドメイトのロックンパンダさんしかいなかったので、二人で折半できて笑いが止まらなかった。

 

引退後新しく増えた物がないか物色していると、山積みの木箱にいっぱいに詰まった大量のクラッカーを発見した

目当ての物じゃないけど、ちょうど宴会で使えそうなのでインベントリに放り込んでおく

 

次の部屋は長方形で、真ん中にソファーが向き合って置かれただけの無機質な空間だった

あれ、確か三番目の部屋はWI(ワールドアイテム)保管庫だったはずだけど…

リフォームでもしたのだろうか

 

奥に続く通路を進んでいくと、飛び込んできた光景に思わず絶句した

 

「うそ…」

 

暗く、厳かな照明に照らされ、ギルドメンバー達を象った彫像が通路の両側に並び、さながら霊廟といった有様で

近くで見ようと足を踏み入れた途端――

 

「侵入者ハッケン…排除スル」

 

え?

 

ギルメンを象った像が一斉に襲いかかってきた

 

■■■■

 

群がる近接職を巨人の腕でなぎ払うと、待っていたようなタイミングでエロ鳥頭の像が矢を射ってくる

障壁のお陰でダメージこそなかったものの、緑色から半分以上のダメージを受けたことを示す黄色にかわる

 

ちょっと洒落にならない

 

階層守護者じゃない上に、何十体もいるんだからレベル100ということはないはず

それなのに通常攻撃だけで近接戦士職の両手武器とほぼ同火力とか、神器<ゴッズ>アイテムというのは本当にチートだ

 

「ガッデム!」

 

転移で逃げようとしたが、トラップが作動した影響か指輪が効かない

その隙に体勢を立て直した近接職達がまた群がってくる

 

こうなったらやるしかない

 

妨害強化・魔法強化・中位耐性破壊<ブーステッド・マジック・ジャマー・ミドル・ブレイク・レジスタンス>

妨害強化・魔法強化・告死精の慟哭<ブーステッド・マジック・ジャマー・クライ・オブ・ザ・バンシー>

 

真っ向から突っ込んでくる白銀の鎧騎士――たっちみーさんの彫像にデバフをまとめ掛けし、動きが鈍化したところにウォーハンマーを振り下ろす

当然のように盾で防がれ、一瞬の拮抗状態に

 

補助最強化・占拠<マキシマイズド・エイド・オーバーライド>:アヴァターラ・たっちみー

 

その隙を逃さず魔法を発動させ、ワールドチャンピョンで装備が一番強いたっちみーの彫像を乗っ取る

 

「…! マスター、ご命令を!」

 

自我が戻り、一瞬で状況を把握したラッフィー。横合いから迫ったニンジャ<弐式炎雷>を巨腕のバックブローでなぎ払い、

もう片方の巨腕でピンクの肉棒(ぶくぶく茶釜)を引っつかみ、そのまま振り回そうとする

 

「絵面が酷い!!さっさと捨てなさい! あとサポート専念!」

 

「わかりました!」

 

即座に手を離したラッフィーから慣性のまますっ飛んだ肉棒が何の因果か愚弟(ペロロンチーノ)にクリーンヒット

目も当てられない惨状から目を背けつつ、サムライ<武人建御雷>の斬撃を盾で防ぎ、剣で反撃――しようとしてあっさり防がれる

やっぱり純魔法職で近接なんて無理か

 

「援護します!補助最強化・補助強化・魔法最強化・魔法強化・上位加速<ブーステッド・マキシマイズド・マジック・エイド・グレーター・ヘイスト>」

 

ウォーハンマーをくるくると回して飛び道具を弾きつつ、巨人の両手で壁を掴みながらアクロバティックな動きで天井まで移動したラッフィーから補助魔法が飛んでくる

 

複数の強化を重ねた加速魔法で8倍速になった世界でゆっくりと動く彫像たちの攻撃を潜り抜け、武神建御雷肉薄する

――装備を壊すのは流石に気が引けるので、石像の部分に剣先を押し付けるように突くと、あっさり砕けた

流石ワールド・チャンピョンの武器。性能が頭おかしい。

 

なんて感嘆する暇も与えず、肉盾蜈蚣<ばりあぶる・たりすまん>とニンジャ<弐式炎雷>が両側から挟撃してくる

水中にいるように重たい体でなんとか紙一重で躱し、無防備の背中の、装備の隙間から剣を差し込む

これで五体――あと三十六体!?

 

幸い魔法詠唱者は魔法まで真似できないのか

師匠<ウルベルト>やタブラさんの像は遠巻きに立っているだけで、攻撃してくる様子はない

 

問題なのは倒した前衛三人の後詰め、やまいこさんとラッフィーの像

 

巨人<ネフィリム>と人造鬼神<フランケン・シュタイン>でただでさえ攻撃範囲が広い巨腕をこちらに向け、交互に隙なく動かしている

その上どちらも触れただけでノックバックする効果付き、8倍速で接近して少しでも触れたら一貫の終わり、ゆっくりになった世界で一直線に吹っ飛び続ける羽目になる

 

「アヴァタァァーーッ↑ラ達よ、今すぐ攻撃をぉぉ↑停止!せよ!」

 

攻め倦ねていると、減速した時間に引き伸ばされた不気味な低音とともにピタリと全てのアヴァターラが動きを止め、

まるで電源を切られたように立ち尽くす彫像たちの奥から黄色いナチ軍服を着た埴輪のような人型と、モモンガさんが姿を現した

 

「たっちみーさん!?大丈夫ですか?怪我は!?」

 

『…あー、すみません、中身、私です』

 

小走りで近づいてくるモモンガさんから逃げるように、占拠<オーバーライド>を解いてラッフィーに騎乗<ライド>し、

伝言<メッセージ>を飛ばす

 

「ふうかさん…でしたか。どうしてここに?」

 

ピクリとも動かなくなったたっちみーの像に落胆しつつ、天井から降りたラッフィーに向き直るモモンガさん

 

『ずっと伝言が繋がらないから、探しに来たんですよ

それで急に石像たちが襲ってきて』

 

「霊廟の守護者はギルド指輪を装備していると問答無用で襲いかかってくるんですよ

伝言は…WIを保存している保管庫は魔法完全遮断だから、それで遮断されたか…」

 

合点が行ったようにぶつぶつと独り言を漏らす姿にほっと安堵する。着信拒否されてた訳じゃないんだ

 

『…というか、こんなところで何してるんですか?それに霊廟って、勝手に殺さないでくださいよ』

 

「それは…雰囲気といいますか、なんといいますか…」

 

何やら気まずそうに、後ろ手に何かを隠すモモンガさん

…そういえば、保管庫にはWIの他にもデータ量が膨大すぎて壊すに壊せない、世に出せないナザリックの負の遺産の隔離されていたはず

もしかしてエロ鳥頭<ペロロンチーノ>の…

 

そっか、男の子だもんね。こっちに来てそろそろ一週間だし

あの軍服のNPCもよく見たら種族がドッペルゲンガーだ

 

こんな誰も入れないところに変身能力を持つNPCと二人っきり

極め付けはユリに絶対に来るなという命令

 

『配慮が足りなかったみたいです

大変な時にお邪魔しました。私は何も見なかったので、二人でゆっくりシていってくださいね』

 

あとはごゆっくり、とラッフィーを退室させた。




デッドメイトのロックンパンダ
オリキャラです多分出番はもうない

死んだメイドではなく仲間<メイト>
相棒の猟犬と死んだ後も一緒に狩を続ける死の狩人的なエモいやつ

尚本体はずた袋を無理やりパンダの形に縫合した肥満体ブッチャーで、猟犬役は様々な骨を改造ロボよろしくに組み合わせたボーン・パンジャンドラム数体
発電所勤務でログイン時間が合わず、ペット枠でパーティを作り一人でダンジョンレイドする猛者

趣味はパンジャンドラム開発
どんな戦況もパンジャンドラムで打破する頭脳派英国紳士
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