オーバーロード~至高のもう一人は救済を望む〜   作:アバダケダブ郎

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R15描写注意(念の為)


14.記念すべき初食事は人肉ミンチジュース

「ちょちょ、ちょっと待ってくださーい?

今なんか物凄ーく、失礼なこと考えてませんでした??

絶対ふうかさんが考えてるようなことしてませんからね?」

 

ごゆっくり、と退室しかけたところで必死な様相で引き止められる

せっかく人が知らんぷり決めてやろうというのに

 

『じゃあナニをシてたんですか?』

 

「まずはその誤解を招くような態とらしい発音やめて貰えます?!

 

…ワールドアイテム取りに来てたんですよ、これ 持っててください」

 

そう言って球体が浮いたけん玉のような杖を渡してくる

 

『真なる無<ギンヌンガガプ>?

どうしたんですか?カチコミですか?』

 

懐かしいWIに思わず首をかしげる

対物体特化の真なる無<ギンヌンガガプ>は現役時代に良く使ってたアイテムだ

モモンガさん達陽動部隊が正面に戦力を引きつけている間、放逐<エグザイル>状態で相手のギルド武器のところまで行き

近くにいる守護者NPCに占拠<オーバーライド>して真なる無<ギンヌンガガプ>で武器を破壊

 

…というのを何回かやったら熱素石<カロリックストーン>で運営にお願いされて、

ギルド武器へのフレンドリーファイアが禁止になった

 

「第一声から物騒なこと言わないでください!?

 

そうじゃなくて、八欲王の話で思ったんですけど

ネコさま王国がAOGみたいにギルドごと転移したならWIもこっちに来ているはずですよね

 

レベル50程度の主天使が最強戦力という現地人にスルシャーナさんが負けた理由は

もしかしたらロンギヌス――WIを使われたからかも知れません

これなら八欲王が奪い合った”宝”についても納得が行きます」

 

そういえばデミウルゴスも、ニグン達の部隊はその気になれば国を相手に取れる超精鋭部隊だって言ってたな

支配の呪言に魅了でダブルチェックしたから間違いないと

少なくともスクロールの素材探索で出会った現地の敵対存在<エネミー>に比べたら断然強い方らしいし

 

『つまり、八欲王という人達がロンギヌスを盗み出して、それでスルシャーナさんを倒した…ということですか?』

 

「…可能性は高いと思います。アレは例えレベル1でも、発動さえすればレベル100のワールドチャンピオンを倒せますから

 

だから念の為に、ふうかさんも一つ持っていてください

ワールドアイテムを持っていれば効果を相殺できますから」

 

『私は元からワールドアイテム効きませんよ?』

 

深淵の凝視<アビスゲイズ>の転職条件が、ワールドアイテムを探すクエストで訪れる比喩の石室<ストーン・チャンバー・オブ・アレゴリー>を10分以上探索することで、

生身系の種族なら徐々に体がミイラ化するから手遅れになる前に気づくが、アンデット系は変化に気づけないので初見殺しに会いやすい。

しかもこのクエストでワールドアイテムなんて手に入らず、比喩の石室を含め完全なトラップクエスト

 

あまりにも理不尽すぎる罠に運営に苦情が殺到した結果、深淵の凝視<アビスゲイズ>にはワールドアイテム所持バフが常時付与されるよう仕様変更された

――と一見運営が折れたように見せかけて、その実WIの世界樹の種でも種族変更できなくする、というどこまでも舐め腐った糞対応であったが

 

「念のためです

スルシャーナさん達を襲った敵の強さが未知数な以上、準備に越したことは無いですよ」

 

そこまでいうなら、と渋々受け取る

といっても、装備スロットがないので、インベントリに放り込むだけだが

 

『ありがとうございます

…あと、なんというか、暴れちゃってすみません

具体的にはその、石像とか…』

 

状況が状況とはいえ、せっかく作ったギルメンの彫像を壊したのは流石に罪悪感

 

「ギルドのみんながいつ帰って来ても良いように、装備を飾ってただけなので

気にしないでください

アヴァターラに装備させたのは、そっちの方が見栄えがいいからなので

なので、本当に気にしないでください」

 

『そう、ですか

それじゃ、正式に復帰したので、私の分は回収していきますね

 

手伝ってくれますか?』

 

「…!はい!」

 

快く引き受けてくれたモモンガさんに手伝って貰い、

ラッフィーの彫像から本気装備…といっても聖遺物<レリック>級を回収する

細部まで細かく作られてないお陰でマネキンから服を剥ぐような感じで済んだけど

制作に気合を入れてたら少女から服を剥ぎ取る髑髏魔王という事案が発生しているところだった

 

■■■■

 

アヴァターラ達を修復して配置に戻し、第九階層に転移して肩を並べて散策することしばし

せっかくだから、埴輪のNPCも一緒にどう、と誘ったのだが

 

「それは絶対やめたほうがいい

いや、なんというか?あれはナザリックの秘密兵器、言わばシークレットキャラ

同じナザリックのNPCでも顔を晒すのはよくないと思うんですよ。ほら、切り札は最後まで伏せておくものですし?」

 

と必死の形相で押し切られたので、同行しているのはモモンガさんとラッフィー、そしてユリ・アルファの三人だけだ

 

『それでなんですが、実は今食堂にNPC達を待たせてまして』

 

「食堂に?何かあったんですか?」

 

食堂の前を通りかかったタイミングでおもむろに切り出す

 

『いつかセバスが言ってた宴ってやつです

ほら、みんなしっかり言うこと聞いて、一生懸命働いてくれてますし

支配者としてご褒美をあげないと 不満が溜まるかもなので』

 

「それは…そうですけど。でも私は食べられませんよ?

言っちゃなんですが、あんな美味しそうな料理を前にお預けとか軽く拷問なんで、

できたら別のレクリエーションにして欲しいな~なんて

例えばお風呂とか」

 

『ほうほう。アルベドやシャルティアとの混浴をご所望と

ついに覚悟を決めたのですね』

 

「違いますが!?」

こっちは一方的に伝言<メッセージ>で話してるので、傍から見れば一人百面相してるモモンガさんに

口では何もいわずとも困惑するNPC達

 

これ以上弄ると沽券に関わりそうなので、とっとと本題のブツを取り出す

 

『ここに占拠<オーバーライド>を込めた魔封じの水晶があります』

 

「ええっ!?そんなの込められるんですか?…ということは…!」

 

『既に実験済みなので問題ないですぜ

さあ、れっつパーティー』

 

「ふうかさん…ありがとうございます!!」

 

『いいってことよ』

 

わなわなと震える両手で魔封じの水晶を抱えるモモンガさんを横目に

準備は整ったとセバスに伝言<メッセージ>を飛ばす

 

■■■■

 

「お待ちしておりました、モモンガ様、フーリンカ様」

 

即答で音もなくゆっくりと開かれた食堂の扉の向こうで

セバスを始め、プレアデス、メイド、各守護者の眷属も総出で列を作り、敬礼してくる

 

…ん??なんか食堂の様子がおかしいような、いつもより豪華というか…

 

違和感の正体に気づけないまま、部屋の中央を伸びる”真っ赤な絨毯”の上を進んでいく

 

「うむ、皆面をあげよ。…ところで中央のそれはなんだ?」

 

「はい、至高の御方々の為に僭越ながら用意させていただきました、特製のドリンクサーバーでございます」

 

何やら邪悪そうな装置にドン引きするモモンガさんに、メガネを光らせ、仰々しく腰を曲げてるデミウルゴス

 

『デミウルゴス、先ほどの人間はどこに?ちゃんとした服装を着せるようお願いしたはずですが』

 

「いと尊き御身に直に声をお掛け頂け、これ以上の喜びはございません!

ベリュースなる人間であればこちらに。下等生物に相応しい、家畜の装いにてセットしております

こちらのレバーを引かれれば圧搾機が起動し、法国二本足山羊の心地よい断末魔と共に、血のゴールデンドロップが今宵の宴を彩る食前酒となるでしょう」

 

ジーサスなんてこった。

やっぱりあそこでガクガク震えてる全身SMボンデージの豚が穴かー。目隠ししてるけど金髪で大体察してたよチクショウが

 

『おい、こっち見んな。あんな命令してねーから

憑依用に正装させて来いって言っただけで』

 

『それを聞いて安心しましたよいえ全然安心できませんけど

 

え、何?あれに憑依するんですか??

あんな危ないお店にお金を払ってしばかれに行く資本主義の豚のような格好の変態に憑依するとかどんな罰ゲームですか??』

 

『気持ちは120%わかりますし心中超お察ししますけど

あれに憑依して貰わないと記念すべきモモンガさんの初食事が人肉ミンチジュース確定なのでぜひ罰ゲームをお受けになりやがってください

しかも見てくださいデミウルゴスのあの構え

間違いなく一杯目を献上してくる気満々ですよ!?』

 

何やら骨製のゴブレットを手に取り、胸元のハンカチで鼻歌を歌いながら拭き始めるデミウルゴス

 

「わらわの分もよろしくでありんす」

 

とじゃれつくシャルティアをしっぽでうざそうに払っている

 

「これは至高の御方々の為に私が手ずから作成した最高傑作ですよ、君はそこら辺にある普通のグラスで我慢したまえ」

 

まさかの手作りーーッ!?余計断りづらい!

 

『じ、じゃあメイドは…メイドはどうですか!?』

 

『メイドに憑依するんですか?…そういう趣味なんですね…』

 

『仕方なくですからね!?他に人間っぽい見た目のがいないから仕方なくです!』

 

『…ちなみになんですが、ホムンクルスって味覚がないんですよ。

 

一度食べ始めると比喩抜きでお腹が燃焼して、空腹を満たすためだけにひたすら食べ続ける羽目に

感覚的に言うと麻酔で味覚を殺して味のしない固形物を流し込む感じです』

 

モモンガさんに魔封じの水晶を向けられ、色めき立つメイド軍団

だけど本気でおすすめしない。あれは食事じゃない、栄養補給という名の作業だ

なんなら合成うなぎゼリーの方が吐き気がする分まだ食べてる実感がある

 

「至高の御方々をたった一人の守護者がおもてなしするなんて失敬が過ぎると思わない?デミウルゴス

愛するモモンガ様に酌を捧げるのは未来の側室――コホン、守護者統括たる私の役目ですよ」

 

「でハ、装置の起動は某ガ」

 

「じゃあ私たちはみんなの分を配るね ほらマーレも」

 

「ぼ、僕はちょっと~…」

 

「ア、アウラちゃん…気持ちは嬉しいですけど、マスターがいますので、私が勝手に飲むのは…」

 

とアルベドがデミウルゴスににじり寄り、コキュートスが装置に手をかけ

アウラ姉弟がみんなの分のグラスを配り始め、押し付けられたラッフィーが困惑気味に断り

 

「ひっ!嫌だああ!これ以上酷いことをしないでええ!!

神様アーラ・アラフ様スルシャーナ様!とにかくお助けを!!」

 

キシリと骨組みの装置が軋むのを感じて穴が騒ぎ出す

それを聞いて朗らかに笑い合う守護者たち。あかんこれ、もう収拾がつかない

 

『いざとなったら蘇生しますから

豚肉のスムージーとでも思って責任持って全部飲んでください』

 

流石に命を取らなければ罪悪感も薄まって気持ち悪いだけで済むだろう

お家芸のセルフ鎮静<カーム>カーニバルを始めたモモンガさんの背に騎乗<ライド>して

耳元で囁いた

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