オーバーロード~至高のもう一人は救済を望む〜   作:アバダケダブ郎

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18.信じて送り出した信徒がまさかの

「そんな装備で大丈夫か?」

 

「大丈夫だ、問題ない」

 

ナザリック1階の正門前、いつぞやの黒騎士装備で身を固めたモモンガを弄ってると

 

「マスター、それとアインズ様 どうか、気をつけてくださいね」

 

「アインズ様の御身体は命に代えてもお守りいたしますわ!」

 

「第一階層の守護はお任せヲ」

 

出払っている数人を除き、ラッフィー、アルベド、コキュートスとその配下達が見送りに来た

…なんかアルベドの口から涎が垂れてる気がするけど、きっと確実に幻覚だ。

 

「ああ、私たちがいない間、ナザリックの警備は任せたぞ」

 

「何かあったら何時でも伝言<メッセージ>を飛ばしてください」

 

ラッフィーの髪をわしゃわしゃと撫でてからモモンガの側に立ち、共に飛行<フライ>を発動する

 

ナーベラルの許可を得て、今回の旅では常時占拠<オーバーライド>している

見返りに二週間の連休を、と提案したが この世の終りのような顔をされたので

望む報酬を考えて貰うことになった。占拠<オーバーライド>されてる間に考え事出来るかは不明だが

 

 

「ひゃっはーー!やっと自由だーー!!」

 

草原を超え、森を超え、カルネ村が見えて来た頃

監視の目がなくなったのを見計らって、開口一番奇声をあげるモモンガさん。

かわいそうに、ストレスで頭が可笑しくなったんだな

 

でもまあ、気持ちはわかる

 

「色々あり過ぎたけど、いよいよ冒険開始って感じですね」

 

「本当ですよ!こういうのって、異世界に転移して最初の村を救ったらなし崩しにストーリーが進む流れなのに

やったこともない管理職にいきなりクラスチェンジですよ?

しかも常に完璧な振る舞いを要求されて!

スケルトン・メイジを選んで本当に良かったですよ、穴だらけになる胃がないですからね」

 

おおう、だから腹いせに人の体借りて胃袋ずたぼろにしてたのか…

ストレスで暴飲暴食するのはよくあるパターンだもんな

なんて揶揄ってるうちに村がどんどん大きくなる

 

「そろそろカルネ村ですね あれからどうなったんですかね」

 

「寄ってみます?

モモンガさんが勝手に配りやがったプロマイドがどんな風に悪用されてるか気が気でないですし

ねえ、死の神アインズ様?」

 

「…その件は海より深く反省してますので黒歴史をほじ繰り返さないでくれませんかね命の神ウール様」

 

言葉のデッドボールを交わしつつ、カルネ村の近郊に着地して村に近づく

 

「アインズ・ウール・ゴウン教の聖地、カルネ村へようこそ!入信者の方ですか?」

 

「い、いや、旅の方だ」

 

村に近づくなりギラギラした目に笑顔を貼り付けた少女――たしかエンリ・エモットだっけ、に迫られ

思わず訛るモモンガ

 

「そうでしたか、ごめんなさい

ところでお二人は神様についてどう思っていますか?」

 

「どう、とは?」

 

「はい、王国で信仰されている四大神ですが、恩恵や加護を謳う割には

戦争や野盗が絶えず、私たちのような持たざる者は虐げられるだけの理不尽な世の中

果たして教会のいう私たちを見守ってくださる神というのは実在するのでしょうか?

民を統治するためのでっち上げの偽神ではないでしょうか!?」

 

鼻息荒く一気にまくし立てるエンリにいつの間にか集まった村人たちが「そうだ!そうだ!」と賛同する

どこのマルチ勧誘セミナーだ

 

いやマルチ勧誘だってまず飲み物を奢ってから話を切り出すからもっと酷い

 

「ですが、アインズ・ウール・ゴウン様は実在します!

騎士に村を襲われ、殺されそうになった私たちをお助けになり、殺された村人まで全員蘇らせていただきました

存在するかも分からない偽りの神より、私たちを守ってくださる真なる神を一緒に崇めませんか?

きっと神様のご加護があります!」

 

俺はウール様によって生き返った!と何人も出てきて、傷を見せつけてくる

うん…確かに蘇らせたけどさ

 

「そ、そうなのか…だが、この国の国教は四神教だろう?それを真っ向から異を唱えるのは不味くないか?」

 

村人たちの気迫に押され気味なモモンガが正論を返す

 

「どんと来いです!アインズ様から頂いたお力で偽神の信者などとっちめてやりますよ!」

 

ええー…。

 

『何あげちゃったんですか?』

 

『ゴブリン将軍の角笛を二個ほど…村が襲われてる時、自衛の為に渡したんですが

でもあれってゴブリン何体か召喚するだけのゴミアイテムですよ?』

 

『それでも村人からしたら十分すぎる戦力ですよ!

それで変に自信づいて増長してるかも、痛い目に遭う前に何とかしないと』

 

マジかー、と頭を押さえるモモンガ

 

「簡単には信じられないだろう。なら神の卑しき下僕でしかない私がその力の一端をお見せしよう」

 

人ごみを分けて立派なローブを着た男が前に出てくる

あれ、なんか既視感

 

「見よ、あまねく天使を束ねる光の神ウール様の御技を

サモン・エンジェル・4th!」

 

短い詠唱と共に術者の上空に魔法陣が現れ、白い無機質のモンスター、

監視の権天使<プリンシパリティ・オブザベーション>が降臨する

思い出した、あれ法国軍の制服だ――なんで村を襲った奴がしれっと混じってんの?

 

「おお…!」「アインズ・ウール・ゴウンに栄光あれ!」「ウール様万歳!」

 

天使の降臨にざわめく村人たち

まあ、確かに ゴブリンよりはずっと説得力ある面構えだけど

 

「失礼だが、その服装――あなたは法国軍ではないのか?どうしてこのような村に?」

 

浮かんだ疑問を素直に聞いてくれるモモンガさんグッジョブ

 

「…この装いを知っているとは、貴殿も法国の人間と見た

ここへは私の断罪にこられたのかな?」

 

一瞬険しい表情を浮かべる法国軍。だが直ぐに神妙な顔もちになり、まっすぐこちらの目を見てくる

 

「だが逆に問う

人類の守護を掲げながら無辜の村人を虐殺する法国のどこに正義がある?

そんなことが果たして六代神の意思であらせられるのか?

…六大神が我々の前から姿をお消しになられた、その理由について考えたことはあるのか?」

 

寿命だと思います。あとロンギヌス

 

「何かを勘違いしてるようだが私たちは法国の関係者ではないぞ

偶々知り合いにそのような格好の者がいただけだ

 

だが、断罪される覚えがあるのならなぜ?」

 

「冒険者か…

こちらの早とちりだったようだ、謝罪をしよう

私は元々法国の命で、ある人物を殺すためにこの地に来た

…その人物をおびき寄せるためだけに、守るべき無辜の民に虐殺の限りを尽くし――

神の怒りに触れた

神は強大で、そして寛大だった

自らの意思を騙り悪逆の限りを尽くした我らを裁くことなく、己の行いを悔い改める機会を下さった

だから私はこの村に残り、自分が犯した罪を生涯をかけて償うと決めたのだ

それで断罪されるのなら、それも神のお与えになった試練だろう

この身が果てるその瞬間まで戦い抜き、弱きもの達を守る盾になるつもりだ」

 

いや、そういうわけじゃ、ちがうぞそれは

と割り込もうとするモモンガを撥ね退け、信仰のマシンガントークを撃ち切ったマルフォイ、いやニグンは清々しい顔で天を仰ぐ

 

どうしよう、凄く関わりたくない

この二人が絡むとろくなことに成らないのは身を持って体験しているからな

 

『ふうかさん、降臨するなら今ですよ』

 

『え、嫌ですよ 奇跡のバーゲンセールはウケませんよ?』

 

『そのバーゲンセールを敢行したのがこの有様なんですよ』

 

とりあえず入信する気はないけど見学してもいい?と言ったらノリノリで木造のパンテオン風神殿に案内された

まだ一週間そこいらしか経ってないのにどうやったらこんなのが建つんだ??

その中央にはラッフィーのプロマイドが鎮座し、花々に囲まれている

遺影みたいで凄い複雑な気分。

 

でも木彫りのラッフィー像は予想以上にクオリティ高く、思わず買ってしまったほどだ

 

■■■■

 

『根は悪い人たちじゃないんですよねー』

 

エ・ランテルに行くと告げたら、丁度資材の買い足しに行くというエンリの両親に誘われ

お言葉に甘えて馬車に乗せて貰うことになった

他にロンデスという元法国兵が護衛として同乗しており、魔法詠唱者ではないが先遣隊の副隊長を勤めていて腕が立つらしい

 

『ええ、だから尚更放って置けないんですよね…

私達だから良かったものの、来る人全員にあんな対応してたら異端認定されて粛清待ったなしですよ』

 

だよなー…。気持ちは分からなくもないけど、布教のしかたが下手すぎる

 

本当の目的を隠して仲を縮めて、断れない雰囲気にしてから入信させ、金銭をせびる吐き気を催す邪悪ならともかく、

元々が村人だから純朴というか、推しのタイトルを布教するオタクみたいな

ストレートすぎる熱意を押し付けられてドン引きしてるだけなので

 

『それに法国軍が残ってるのも想定外です

てっきり法国に戻って宣教してくれると思ってたのに

これじゃ各地に影響力を伸ばすところか、胡散臭い土着宗教で終わっちゃいますよ』

 

『村人だけで広めるのにそもそも無理があったんですよ

本気で広めたいなら、やっぱりナザリックのバックアップがないと

…デミウルゴス、は魔封じの水晶探しで忙しいんでしだっけ』

 

いけないいけない、何でもかんでもすぐデミウルゴスに頼ってしまう

打てば響くというか、レスポンスが迅速だから

頭脳ならアルベドも同格なんだけど、なんかライバル視されてるみたいで声をかけづらいんだよなー

 

『種を蒔いた!って大見得切った手前、守護者に頼りにくいんですよ…

なんか、思いつきでプロジェクト立ち上げたはいいけど企画書が破綻してるのを部下に押し付けるダメ上司みたいで…』

 

『そんなに気にしないと思いますけど

…それじゃルプスレギナとかどうですか?確か神官<クレリック>のクラスを持ってた筈なので

宗教運営とかも出来そうな気がします

アインズ・ウール・ゴウンの司祭として派遣するとか』

 

『それならラッフィーの方がもっと適任――なんでもないです、ハイ』

 

分かればよろしい。カルト経営とか外道の汚仕事に人のペットを巻き込まないでくれ

 

早速ルプスレギナに伝言<メッセージ>を飛ばしはじめたモモンガを横目に

夕日の逆光の中そびえ立つエ・ランテルの城門を見上げた

 




設定が分からない所はElonaというゲームの仕様を色々流用しています
そのゲームでは仲間はすべからくペットです
決して主人公が邪な趣味をしてるわけではありません
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