オーバーロード~至高のもう一人は救済を望む〜   作:アバダケダブ郎

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この度調整平均が灰色から卒業しました、ありがとうございます!
コミュ障で碌な返事が出来ませんが いつもコメントを頂き感謝です
これからもお気に入りやコメントなどたくさん頂けると幸いです


27.スケリタル・ドラゴンの前では無力

「あー空が黄色い…」

 

「まだ宵の口ですよ」

 

「あれだけの召喚魔法を連続で行使すれば仕方ないでござる

しかし炎精霊に死者を蘇らせる力があったなんて、驚きでござるよ」

 

下級炎精霊<レッサー・ファイヤーエレメンタル>を連続召喚してMP切れでへばったモモンガをハムスケに乗せてンフィーリアの店に向かう

喋るハムスケが珍しいのか、ヒソヒソ話を交わしては目線を逸らしていく通行人たち

 

「のうおぬしら、もしやわしの孫と一緒に薬草採取に行った者じゃないか?」

 

ふと声を掛けられ、視線を落とすと小柄な老婆がこちらを見上げていた

 

「あなたは?」

 

「わしはリィジー・バレアレ、ンフィーリアの祖母じゃよ」

 

「そうでしたか、依頼を受けて一緒に村に行ったフーリンと言います

それで、こっちでへばってるのがモモン」

 

「誰のせいと思って…」

 

喋るのが辛いなら無理に喋らない

そっと頭を撫でてあげたら手で払われた。解せぬ

 

「某は森の賢王、いまはハムスケという名でござるよ」

 

「なぬ!?この精強な魔獣こそがかの伝説の森の賢王だというのか?」

 

「ええ、ンフィーリアさんが依頼で森に向かった先で遭遇し、ねじ伏せたんですよ

モモンさんが」

 

頑張りました、と親指を立ててそのまま事切れるモモンガ

 

「もしや、魔力切れか

これを飲むといい、少しは良くなるはずじゃ」

 

ポーチから水筒を取り出し、モモンガの口につけるリィジー

不味いのか、一瞬顔を顰めるも、蒼白だった顔色に徐々に血の色が戻り始める

 

「これはいったい…」

 

「カモミウィードというハーブを浸した砂糖水じゃよ

魔力切れの時に飲むと苦しさを緩和してくれるんじゃ

 

本当は魔力を回復させるポーションがあればいいのじゃがのう…」

 

「魔力を回復させるポーション」

 

まだ疲れが抜けないのか、クラクラしながらもハムスケの背中から起きる上がるモモンガ

 

「よければ一緒に行きませんか?

私たちも報酬を受け取りに行くところですので」

 

「おお、良いのかい!ではお言葉に甘えて」

 

手を差し伸べ、リィジーを引き上げようとするモモンガだが

病人が無理をするんじゃないと、こちらの手を借りてハムスケに登ってくる

かなりのお年寄りのはずなのに、バイタリティ溢れる元気なおばあちゃんだ

 

三人を乗せても文句を言わず、ちゃんと店に送り届けてくれたハムスケを労ってから店内に入ると

不思議なことに明かりはついておらず

 

「ンフィーリアやい!モモンさん達が来たよ!どうしたのかえ?

うっ、ごほっごほっ!?」

 

店に踏み込んだリィジーが急に苦しそうに咳き込む

 

「厄介だな…フーリン」

 

ランタンで照らすと、微かに緑色の煙が漂う室内

急いで浄化の魔法をリィジーに掛け、続いて三人分の耐性向上魔法を掛ける

 

「これは…ドクホコリタケの胞子じゃ!

ンフィーリア!ンフィーリアは無事かい!」

 

奥に続く半開きの扉に駆け込んだリィジーに続いて駆け込むと

 

「うっ」「ニニャ…!」

 

漆黒の剣のメンバー達が床に伏していた

 

「死んでおるよ…」

 

ペテルの首に指を当てて、脈を測ったリィジーが静かに首を振る

床にはフラスコの破片が散乱し、緑のモヤを未だ纏っている

 

「これはンフィーリアが護身用に持っておる物じゃ」

 

「毒霧を放ったのはンフィーリアということか」

 

「…どうして、味方に使うんですか?」

 

倒れているのは四人、この場にいないのはンフィーリアだけ

報酬をケチって、なんてはずがない

 

「いや、それは違うぞフーリン

おそらく襲撃を受けて、味方を巻き込んでしまったのだろう

 

争った跡がある…それに、この複数の足跡もだ

襲った犯人たちのものだろう

 

…この際ペナルティは仕方ない、彼らも冒険者だ

レベルは足りるはず」

 

まだ本調子じゃないのか、壁に寄り掛かりながらこちらを見るモモンガ

四人に救済<サルヴェーション>じゃなく、通常の蘇生魔法をかけろと

 

…いや、話を聞くだけなら一人で十分だ

残りはモモンガの魔力が回復してからで良い

 

なら

 

「補助最強化・魔力強化・真なる蘇生<マキシマイズ・エイド・エンハンス・マジック・トゥルー・リザレクション>」

 

ペナルティが最小限になるよう、可能な限り強化を重ねて発動する

 

「うっ!ゴホッゴホッ!」

 

「大丈夫ですか?大治癒<ヒール>」

 

「少し怠いが…大丈夫だ

フーリンちゃんが助けてくれたんだな…ありがとっ!?」

 

残った毒霧を吸い込んでひどく咳き込むルクルットに浄化と耐性向上魔法を掛けて、机の上に横に寝かせる

 

「急に襲われたんだ

ローブを着た連中…死霊術師だと思う、スケルトンを使役していたからな…

 

ニニャが倒されて、アンデットに変えられそうになって

ンフィーリアさんが毒で追い出してくれたんだ…ゴホッ」

 

「わかった、もう無理して喋るな

あとは私たちに任せて貰おう」

 

立ち去ろうとするモモンガの後を追おうとして、裾を掴まれる

 

「みんなは…どうなったんだ?」

 

「後で蘇生します

いまは魔力が足りるかどうか…とにかく、温存しないといけないので」

 

「すまない…マジで頼むぜ、フーリンちゃん

一番最初に俺を蘇らせたのは――」

 

「失敗して灰になっても平気だから」

 

畜生――!!と実はレベルダウンなんか起きてないんじゃ?と疑りたくような元気な叫びを背中に受けつつ、店を飛び出す

 

「死霊術師にスケルトンとなると、あそこしか無いな」

 

「ビンゴです

ワラワラいますよ――ナーベラルに主導権返しても良いですよね?」

 

「多分ふうかさんにも原因はあるので

ちゃんと責任を取ってください」

 

鬼か。スケルトンならまだしも、ゾンビが苦手なの知ってるくせに

生命探知で有り得ない量のアンデット反応を弾き出した墓地に、ハムスケに乗って急行する

 

「ハムスケは兵士を呼んできて」

 

「某も殿達と一緒に戦うでござるよ」

 

「許可しない。接近攻撃しか出来ないでしょ

少しでもゾンビに触ったら金輪際私に近づかせませんよ」

 

「うっ…かしこまったでござる

お二人の武運をお祈りするでござるよ」

 

後ろ髪引かれるように何度も振り返るハムスケを追いやりつつ、墓所の正門に立つ

 

「門を開けろ」

 

「馬鹿を言うな!中はアンデットで溢れかえってるんだぞ!」

 

正門の上で右往左往する兵士に声を掛けるも、それどころじゃないと一蹴される

 

「やれやれ、MPは温存したいのだがな

 

飛翔<フライ>」

 

正門を飛び越え、着地と同時に周囲のアンデットを切り捨てるモモンガ

 

「人間の反応はあっちの建物の中です」

 

唖然とする兵士たちを捨て置き、無数にひしめく黄色い異業種のなか、人間を示す青色反応を指す

 

「わかった、急ぐぞ」

 

迫り来るゾンビを両手の大剣で切り捨てつつ、腐った血路を切り開くモモンガに続いて霊廟<マウソレウム>の前までたどり着くと

ローブを着た複数の人間が鉄檻の中に閉じ込めた人間を囲い、なにやら儀式を行っていた

 

「カジット様来ました」

 

こちらの存在を察知した一人が一団のリーダーらしき男に耳打ちする

 

「依頼料稼ぎに生贄のバイトでも始めたんですか?」

 

檻の中の男――自傷男に声を掛ける

 

「しくじったか、クレマンティーヌめ

だから遊ぶなと言ったのだ

裏切り者などとっとと始末すれば良かったものを、何が聖女サマの首を見せて絶望させたい、だ」

 

「はい、バカ確定」

 

聞いてもないのにポロポロとネタバレしてくるカジットを指差し、気さくに声をかけるモモンガ

 

「こんな良い夜に儀式なんて勿体無くないか?」

 

「儀式に適した夜か否かはわしが決めるのよ

それよりおぬしらはいったい何者だ?」

 

「依頼を受けた冒険者でね

ある少年を探しているんだ。名前は言わなくても分かるだろ?」

 

「ああ」

 

儀式を中断し、徐にこちらに向き直るカジット

 

「だが返すことはできないな

少なくとも、儀式が終わるまでは」

 

「それは残念だ。何しろひもじいカッパーでね、報酬を貰えないと今夜の寝床にも困る

無理やりにでも連れ帰らせて貰うぞ」

 

「だったら死ね。そうすれば腹が空くこともあるまいよ!」

 

カジットが手を振りかざすと同時に周りの地面が隆起し、大質量の物体が押し寄せる

 

補助最強化・魔法強化・上位傷害障壁<マキシマイズ・エイド・エンハンス・マジック・グレーター・ダメージ・バリア>!」

 

急いで展開した障壁に衝撃が走り、微かに黄色に染まる

下手人を探し視線をたどればカジットを守るように骨組みのドラゴンが姿を見せた

 

『ロックンパンダさんが見たら泣きそうですね、勿体無すぎて』

 

『流石にパンダさんも本物の人骨でパンジャンドラムを作るほど倫理観ドブに捨ててないですよ』

 

強そうな魔物だけど、軽口を叩くほどには余裕なのだろう。実際、図体の割に大した攻撃力じゃない

 

「お主は第六階位の信仰魔法を使えると言ったな

それが真にせよ嘘にせよ

 

魔法無効のこのスケリタル・ドラゴンの前では無力だ」

 

『え、マジですか?

これってピンチじゃ…』

 

『第六階位以下が無効なだけです

試しに真なる蘇生<トゥルー・リザレクション>掛けてみてください

MPが勿体ないので、強化はなしでいいですよ』

 

分析<アナライズ>を使った様子もないのにスラスラとステータスを暗唱するモモンガさん

最早やりこんでるって次元じゃない

 

「真なる蘇生<トゥルー・リザレクション>」

 

言われたとおり唱えると

天から石膏作りの女神が舞い降り、蒼白なその指先が触れた瞬間

 

骨作りの竜がバラバラに崩れ落ちた




遂に出会ってしまった二人
次話から主人公の暗黒面が晒されるのですがドン引きされないか心配です
そうなった経緯というか主人公の前世については需要あるでしょうか?

主人公の身の上話とか前世の設定とか

  • 需要なし
  • ちら裏(活動報告)にどうぞ
  • 説明回入れてもOK
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