リューゲと名乗る謎の暗黒術師がミツキの傷を治療する様を緊張の面持ちで見守っていたレイラ。
まだまだ未熟な身ではあるものの、この男が発動させた治癒術はかなり高度なものであるという程度の事はわかる。それでも瞬時には治らない──運び込まれた当初、傷があまりにも酷く、完治させるには時間と人手がかかり過ぎる為に、最低限止血を施し傷口を塞ぐだけに留められていた──改めて、ミツキがこうもボロボロになるまで1人で戦ったという事実に、胸が痛くなった。
──鮮血が飛び散る。
「ヒャハハッ!──ほらほら、こっちがお留守だぜェ!」
──打ちのめされ、骨が砕ける。
「ヘイボーイ!俺とも遊んでくれよぉ──!」
──その度に立ち上がり、その度に傷が増え……その度に、人が死ぬ。
「やめて……やめてぇッ!」
アスナの悲痛な叫びが木霊するのも空しく、1人、また1人、あの狂気の殺人者達の刃が命を奪う。刃が向く対象は、全てアンダーワールド人だった──たった1人を除いて。
「ッ……ァ……」
震える足で立ち上がるは、満身創痍の剣士。
死んでいてもおかしくない傷を負って──事実、システム的に言えば数百回は死んでいる──尚、こうして剣を取った少年。その全身に巻かれた白い包帯は土に汚れ、千切れ、所々解けかけている。リューゲの手で完治とはいかないまでも治療されたはずの体に、早くも新たな傷を作っていた。
少年の有する権限レベルは、あの2人に何ら劣る事は無い。寧ろ軽々上回ってすらいるだろう。にも関わらず、武器を手放したアンダーワールド人に刃が向けられるなり、少年はその人間を庇おうと
動きに慣れてきたPoHは、昏倒する少年の腕を踏みつけ、もう片方の腕を捻り上げて関節を極める。取り押さえられた少年の視線の先で、リューゲの短剣がもう何人目かのアンダーワールド人の命を奪った。
「フ──ッ…フ──ゥッ!」
「おぉっと、やめとけよ。無理に動くとこのままポッキリ逝っちまうぜ?」
無理に動こうとすれば激痛が走り、本能的に動きが止まるはずだが……この少年は踠き続ける。
「おいおい、マジで折れてもいいってか?ペインアブゾーバーが無ぇ以上、リアルと同じ痛みを感じてるはずだが……もしかすッとアレか?コイツリアルに痛覚が死んでやがるのか?」
漏れ聞こえる苦悶の声を聞けばそんな筈はないとすぐにわかるが、PoHはわざとらしく戯けたように首を傾げると、
「試してみる──かッ!」
「ッ……!!」
「バキッ」と小さな音がした瞬間、ギリリと歯の軋む音に混じって、うめき声が聞こえてくる……パッと手放された腕は力無く地面に落ち、動く事はなかった。
「──おいおい旦那ァ、アグレッションも程々にしてくれよォ?ソイツ治すのだって楽じゃねェんだ。野生の肉食獣のブリーダーやってた経験でもあンなら話ャ別だけどよォ」
「そう硬ェ事いうなよヘルト。こっちは愛しのブラッキーにお預け食らってんだ。ちっとくらい愉しんだっていいだろうが。それに──満足に動けないくらいズタボロにしてやれば、治してる最中食いつかれる心配もねぇだろう?」
「ハァ〜、ブラッキー⭐︎ソードマン先生も酷い奴だねェ。相方がこォ〜んなボコられてて、しかも現地民がこォ〜〜〜んなに死んでるッてのに、黙りこくってるだけたァ──旦那……そんな男、もう忘れちまえよ……(キリッ」
「……今のは流石にキモいぞ」
「たッは〜!」
緊張感のかけらも無いやり取りの最中にも、リューゲはおふざけそのものの態度で衛士の首を掻っ切った。何か恨みがあるわけでもない、快楽殺人者でもない。なのにこうも軽々と、息をするかのように命を奪える──あの男はアンダーワールド人を人間と認識していないのか?
あの男にとって……
「なぁキリトよぉ、早く起きてくれよ……!ようやく再会したってのにこうも焦らされちゃあ、我慢出来なくなっちまうじゃねぇか──!」
最後にミツキの顔面を蹴り上げたPoHは、辛抱堪らないといった様子でズカズカとキリトに歩みを寄せると、車椅子に座ったままの彼の脛を蹴る。
「おい起きろって!ヘイ、スタンダップ!グッモーニン──!」
遂には車椅子ごと蹴り倒され、キリトの体は力無く地面に投げ出されてしまった。それでも尚、キリトに反応らしい反応は見られない。
「おいおい、マジでぶっ壊れたってのか!? あの勇者サマがただの木偶かよ、締まらねぇぜ!」
苛立つPoHはキリトが抱えていた青白い剣を取り上げ、鞘から抜く。折れた刀身を見て首を傾げていると……
「ァ……ぁー……」
掠れた声と共に、キリトが奪われた剣へ手を伸ばしていた。初めて明確に見せた反応に、PoHは笑みを浮かべる。
「おお、やっと動きやがった!なんだ、コイツが欲しいのか?」
折れた剣の柄をぶら下げてキリトを弄ぶPoH──突如、振り向きざまに得物の肉包丁を振るい、背後から迫っていた灰色の剣を弾き上げ、繰り出した膝が包帯に巻かれたミツキの横面を打ちのめした。
しかしミツキも止まらない。剣を手放してすぐさま起き上がり、PoHに飛びかかる──左腕は折られ、唯一機能している右手は、キリト同様に折れた剣へと伸びていた。
「揃いも揃って、こんなゴミがそんなに大事かよ──ッ!」
柄を投げ捨てたPoHは、空いた手でミツキの襟首を掴んで引き剥がし、2度、3度と顔面と腹に膝蹴りを見舞って投げ飛ばす。ダラリとした左腕を振り乱しながら地面を転がるミツキに、今度はリューゲが近づいた。
「ミ〜ツキっ。もう結構な数殺したけどォ、まだ元に戻らないのカナ〜?──今のお前も悪かねェが、やっぱ俺は血反吐とか腹の中のモンとか色々吐きそうな顔で必死に戦うお前が好きなんだよ……もう2度と繰り返さない、今度こそ絶対に……そんな声が聞こえてきそうな
リューゲは狂気を孕んだ声音で、倒れるミツキの頬を撫でる。
「戻ってくれよ、また見せてくれよ。ただのマシーンに興味はねぇんだ。感情を持ってるマシーンだから意味があるんだ──今お前には何本の剣がブッ刺さってる?いくつの枷が嵌ってる?内側に打たれた棘の本数は?太さは?繋がれた重りの大きさは?数は?どれだけ肉が削げた?どれだけ骨が削れた?流した他人の血の量は?お前から流れた血の量は?括り付けられた十字架の重さは?お前の中に建てられた墓標の数は?1番よく見る悪夢は誰の時のだ?──最も耳元で囁いてくる亡霊は、誰の声だ?」
心底愉しそうに口元を釣り上げるリューゲは立ち上がると、
「モブばっか殺してても飽きるしなァ。ここらで味変、ネームドをひとつまみ──だぁ〜レェ〜にぃ〜しぃ〜よォ〜お〜か〜なァ〜」
短剣の切先がユラユラと移動する……やがて、ある1人に向けて止まった。
「ハァ〜いおめでとう!記念すべきネームド初の犠牲者はァ──お嬢ちゃんでェ〜っす!」
「キャッ……!?」
標的に選ばれてしまった少女──レイラは、リューゲに胸ぐらを掴み上げられ無理やり立たされると、背後から喉笛に短剣を突きつけられた。
「怖いねェ〜、怖いねェ〜?俺がちょび〜ッと手ェ動かすだけでお嬢ちゃんの首から赤ァ〜いザクロジュースが沸いてきちゃうんだ。でもすぐには死ねない……痛いだろうなァ、苦しいだろうなァ。どーしてお嬢ちゃんがこんな目に遭わなきゃいけないんだろうなァ?」
小さく震えるレイラの耳元で、リューゲは言葉を続ける。
「ぜ〜んぶ
近くにいるリーナやアスナ達が助けに入ろうにも、彼女達の近くにも赤い兵士が待機している事に加え、迂闊に動けばレイラの命が危ない。
「でもご安心を!お嬢ちゃんには1つだけ、生き残れるかもしれない
暫しの沈黙の後……倒れたままのミツキの体が小さく身動ぎする。
仰向けから、うつ伏せに。膝を立てて……そこで、動きが止まった。上半身を起こすだけの力がもう無いのだろう。あとは荒い息が聞こえてくえるだけだった。
「ったく、仕方ねぇなァ……」
リューゲは小さく咳払いをすると、周囲に向けて呼びかける。
「──さぁ皆!大きな声でミツキくんを応援してあげよー!皆の声援があればきっと彼は立ち上がる!──そぉれ、が〜んばれ!が〜んばれ!が〜んばれ!」
ふざけているのか、本人は至って真面目なのか……周囲の衛士や騎士、プレイヤー達を煽るリューゲだが、それに応じる者は無に等しい──どう見たってもう戦えるような状態じゃない、それでも立ちあがろうとする少年に「
「あっれれェ〜?皆声が小さいぞォ〜?何も言わないって事はつまりィ……このお嬢さんは死んでもいいって事で、いいのかなァ〜?」
神経を逆撫でするリューゲの言葉に多くの剣士達が歯噛みする。
こんな陰険と悪辣が形を成したかのような男にいいように言われ、だというのに何も出来ない。本当に彼に頼るしかないのか。それが途轍もなく悔しい……そんな思念が伝わったかのように、ミツキの体が再び身動ぎを始めた。
膝をつき、ひれ伏すように倒れるミツキの腕が独りでに持ち上がる……まるで上から糸で吊り上げた、人形の如きぎこちない動き──もうまともに動かない体を、《心意の腕》で無理やり動かそうとしているのだという事に気付いたのは、レンリやエルドリエら整合騎士を初めほんの数人だった。
リューゲは無様にもがくミツキを期待を込めた眼差しで眺めながら、果たして誰が最初に口を割るかと待っていたその時が、ついに訪れた──予想とは違う形で。
「──いいです」
ポツリと溢れたその言葉──口にしたのは、驚くべきことにレイラその人だった。
「もういい……もう、十分です…っ──これ以上、私達の為に痛い思いをしないでください……ッ……これ以上戦ったら……先輩、死んじゃう……っ!」
涙に震えた声ではっきりと口にしたレイラの言葉に、リューゲは少し意外そうな顔をする。
「へぇ……そりゃつまり、コイツが死ぬくらいなら自分が死んでも……この世界が滅んじまってもいい、ってことでいいんだな?」
「少なくとも……私なんかの命で先輩が助かるなら……っ!」
「Oh……」
リューゲは小さく嘆息すると、レイラを解放する。
「コイツァ驚いた──お嬢ちゃん、お前マジでコイツの為に死ぬ気だな」
「……嘘だと、思いますか」
「……いいや。いやいや──素晴らしいねェ!こんな所で無私の精神の持ち主に会えるたァ。英雄を健気に支える少女もまた、その英雄の為に全てを投げ出す覚悟を持っていた──お嬢ちゃんみたいな奴は嫌いじゃない、寧ろ好感持てるくらいだ」
賛美の言葉と共にレイラへ拍手を送るリューゲだったが……不意に、短剣が再び突きつけられる。
「ま、それとこれとは別だ。だがお嬢ちゃんの勇気に敬意を表して、苦しまずに逝かせてやるよ」
緊張に強張るレイラに向けて、リューゲの短剣が繰り出された──。
……一体、自分は何をしているのか。
制圧され身動きが取れない中、メディナ・オルティナノスは胸中で自らに叱責を飛ばしていた。
力で無理やり虐げられる人々を救う為……そして、友を守る為……メディナが磨いてきたオルティナノスの剣は、こういう時の為にあるのではないのか。
義憤が渦巻く一方で、事態を冷静に見定める自分も存在している。
自分1人が動いた所で、事態は変わるのか。自分の実力でミツキを助ける事ができるのか──控えめに言ってあの男達は強い。殺人という最大の禁忌を躊躇なく犯す事の出来る精神性が、奴らに剣技とは別の力を与えているかのように感じられた。
挙げ句の果てには、学院の後輩に向いた刃すら跳ね除けることが出来ず、その後輩はメディナと違い、真っ向から「ミツキの為に自分の命を捧げても構わない」と言ってのけた。
本来なら上級貴族であるメディナが真っ先に示さなくてはならない筈の「貴族のあるべき姿」──その責務を、非戦闘員であるレイラが……
「(父上……私は……ッ!)」
記憶の中にいる亡き父を思い浮かべたのと同時に、リューゲと呼ばれた男の短剣がレイラに襲いかかる──!
「っ……レイラッ!!」
咄嗟に飛び出そうとするメディナだが、この距離では間に合わない──そんな時だ。
ギィン!という甲高い音と共に、リューゲの短剣が弾かれる。すぐさま距離を取ったリューゲとレイラの間で、剣の刀身が煌めきを放っていた。
細く、流麗な白銀の刀身。その根本には公理教会の紋章を模った鍔。まるで鏡のように美しい剣を握る手もまた陶器のように白く、そこから伸びる腕は剣士のそれとは思えない華奢さだった。
「──大した力も持たない小娘と思ってたけれど……よくやったわ。私がこうして出てくるまでの時間を稼いだ事は褒めてあげる」
身に纏うは薄紫の薄衣。地につく程の長い髪も、紫がかった銀色。
「それで──私の可愛いミツキを散々虐めてくれたのは……お前、ということでいいのよね?」
そう言ってリューゲを睨む、鏡の如き銀の瞳。文字通り人工物のように恐ろしく均整の取れた美貌……その持ち主を、整合騎士達は──レンリとエルドリエは知っていた。
「最高──司祭、様……?」
たった数人の反逆者によって討たれ、この世から消えたはずの存在。人界を統べる絶対の支配者──最高司祭アドミニストレータに瓜二つのその女は、チラとレンリを一瞥する。
「……知らないわね。その最高司祭とやらはもう死んだのでしょう?私は《クィネラ》──ただの、最高の神聖術師よ」
素っ気無くそれだけ言い捨てたアドミニストレータ──クィネラがパチン、と指を鳴らすと、どこからか出現した鎖がリューゲを拘束した。
「うぉッ!? ちょ、ンだよこのバインド、ハイレベル過ぎんだろ!」
「……ったく何してんだヘルトの野郎」
こちらもこちらでキリトを弄んでいたPoHが見かねて助けに入ろうとした瞬間、人界軍──そこに加勢した妖精達の中から、黒い影が飛び出してきた。その何者かが繰り出した剣はPoHとキリトを引き離し、倒れ込むキリトの身を受け止める。
「あなた……!」
「
その声に一瞥だけ残したエイジは、猛然とPoHに斬りかかる──彼がPoHを抑えていることでリューゲの動きを封じたクィネラは、自らの手をじっと凝視する。剣など握ったことも無さそうな手のひら越しに、ダークテリトリーの赤い地面が微かに透けていた。
「ち……やっぱり大した時間は持たない、か。仕方ないわね──」
小さく舌打ちしたクィネラは、背後で言葉を失うメディナを見やる。
「その髪色……あなた、オルティナノスの娘ね?」
「は、はい。私は──」
「名乗らなくていいわ、興味無いから。今重要なのは、あなたにあの男を殺せるかどうか」
「は……?」
「話くらいは聞いているでしょう。あの男はこの世界の人間じゃない。殺した所で本当の意味で死にやしないわ」
「もちろん聞いてはいます。できる事ならそうしたいですが、しかし……」
逡巡するメディナ。ミツキを一方的に甚振るあの男達相手に、自分で敵うのか……もし失敗すれば、自分の命だけでなくミツキも、他の仲間達の命も失われると見ていいだろう。
煮え切らない様子の彼女に剛を煮やしたクィネラは、苛立ちの上から新たな表情を貼り付ける──嘲笑の仮面を。
「……そう。ならいいわ、あなたじゃなくて。──やっぱり、所詮は《欠陥品》の一族ね。何年経とうと変わらなかったみたい」
《欠陥品》……その一言を聞いたメディナの表情が強張る。
「……今、何と?」
「欠陥品と言ったのよ──有名じゃない、オルティナノスは貴族の恥晒し──もしやと思ったけど、とんだ期待外れだったわ。欠陥品は欠陥品らしく、そこで震えて見てなさいな」
「貴、様ッ──がっ……!?」
言い返そうとしたメディナの右目に、突如激痛が走る。赤く染まる視界──以前にも経験した、右目の封印だ。
「あら、なぁにその目は?何か反論があるなら言ってご覧なさい」
「私、達は……ッ、欠陥品、などでは……っ!」
「口ではどうとでも言えるわ。行動で示したらどう?……あぁ、でも無理よねぇ?欠陥品のオルティナノスにそんな真似、できっこないものねぇ?」
「だ……まれッ……!くそ…──つく…かつく、むかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつく……ッ!」
「そうやって吠えるだけ?──折角の業物も、犬には過ぎた代物ね」
そう言ってクィネラが拾い上げたのは、メディナが手放した《陽炎の剣》──先祖代々オルティナノス家の当主に受け継がれてきた誇りの象徴──それが、メディナの逆鱗に触れた。
「うるさい、黙れッ!はぁ……ッ、貴様の、貴様のせいで……私達は……!──行動で示せだと……っ?望む所だ……ッ、私は……私はッ!──誇り高きオルティナノス家9代目当主……メディナ・オルティナノスだッ!!!」
際限なく強まる痛み。それを上回るほどの激しい怒りの発露が、植え付けられた戒めを破った。
赤黒い鮮血の華を咲かせて立ち上がったメディナは、よろよろと覚束ない足取りでクィネラに詰め寄り、彼女の手から陽炎の剣を奪い取る。
「ふぅん……やれば出来るじゃない」
「黙って見ていろ……私が……私が、ミツキを守るッ!」
「いいわ、証明してみせなさいな。餞別くらいはあげるわ──」
クィネラが手をかざすと、吹き飛んだはずのメディナの右目が瞬く間に復活し、同時に……その手に握られた《陽炎の剣》が、光を放っていた。まるで、湧き上がる力を解放したがっているかのように。
クィネラを押しのけるようにして進み出るメディナ。その背を横目で見送ったクィネラは、
「……随分遅くなっちゃったけれど。ちゃんと《お願い》は叶えてあげたわよ。ミツキ」
と、1人呟いて、消えていく──彼女を形作っていた光は、地面に突き立つ旗槍へと吸い込まれていった。
そして……自力で拘束を抜けたリューゲの前に、決意の表情のメディナが立つ。
「あァん……?今度はお嬢ちゃんが相手かよ?」
「ああ。私が相手だ──オルティナノスは、いつ、いかなる時も『強く、正しく』誇りを忘れてはならない──私は、偉大なる当主達が受け継いできた信念を以て、貴様を斬る」
メディナは陽炎の剣の刀身に手を沿わせ、一つ深呼吸する……
「父上、そして歴代の当主達よ……友を守る為に、私に力を貸してください──エンハンス・アーマメントッ!」