ソードアート・オンライン-剣槍-   作:不可視の人狼

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フェアリィ・ダンス編も最終局面です。もう少し、お付き合いください…!


天を衝く流星

「──えっと……話が見えないんだけど……?」

 

「だから、世界樹を攻略するの!この2人と、アンタと、あたしの4人で」

 

「いや、だから──えぇ……?」

 

 央都《アルン》の中心、世界樹の根元──内部へ通ずる大扉の前で、4人の妖精が集まっていた。3人の風妖精──リーファ、レコン、俺ことミツキ。そしてその中に1人だけ混じる真っ黒な影妖精キリトである。

 俺がレコンを引き止めている最中戻ってきたキリトとリーファの間には、もう不和の影は見られない。ちゃんと話して、ぶつかって、和解出来たようだ。

 

「──ユイ、いるか?」

 

「はい、パパ!」

 

 キリトの呼び声に応じ小さな妖精の少女が現れ、肩の上に止まる。

 

「さっきの戦闘で、あのガーディアンに関して何か分かった事があれば教えてくれ」

 

 コクリと頷いたユイは、俺達にも聞こえるようボリュームを上げて説明する。

 

「まず、1体辺りのステータスでは大したものではありません。しかし湧出パターンが明らかに異常です。ゲートに近付くにつれてPOP数が増加、先程の最高到達点だったゲートから100メートル地点では、秒間12体にもなっていました。……ハッキリ言って、攻略不可能な難易度に設定されているとしか……」

 

「数の暴力、それも無限湧きか……本当に性格悪いな」

 

 サーバーを維持出来なくなった長寿のMMOタイトルが幕引きに向けての準備として攻略不可能レベルの無敵ボスを実装し、残っているユーザーの意欲を自然消滅させるという手法があり、その気配を悟ったプレイヤーは郷愁にも似た感覚を覚えたものだが……まだ始まって1年そこらのALOにそんな真似をする意味はない。紛れもなく悪意100%の設定だ。

 大方、最初にプレイヤーの挑戦心を煽るだけ煽り、クエストクリアへの興味を繋げるギリギリのタイミングを見計らって、クリアに必要なフラグを解除する腹積もりなのだろう。

 

「──ですが、異常ということならパパとミツキさんも同じです。お2人のスキル熟練度と戦闘技術があれば、瞬間的な突破は可能かもしれません」

 

「つまり、2人さえ上に行かせられれば、あたし達の勝ちってわけね。やってやろうじゃない……!」

 

 奮起するリーファに小さく笑みを零したキリトは、

 

「──皆。もう少しだけ、俺の我儘に付き合ってくれ。応援が来るまで待つのが最善なのは分かってる。けど……もう、あまり時間が無い気がするんだ」

 

「俺からも、頼む。力を貸して欲しい」

 

「勿論、あたしに出来る事なら何だって!──それと、レコン(コイツ)もね!」

 

「ま、まぁ……リーファちゃんと僕は以心伝心、一心同体だし……?」

 

「調子乗んなッ!」

 

 後頭部に拳を落とされたレコンを尻目に、前に進み出たリーファは手を差し出す。

 

「あたし達で出来るかは分からないけど……それでも、頑張ってみよ!やれる所まで、全力で!」

 

 その手に慌ててレコンが手を重ね、2人は俺達へ目を向ける。目を見合わせてから頷き、俺、キリト、その上にユイの小さな手が重ねられた。

 

「ありがとう、皆──ガーディアンは俺とミツキで引き受ける。2人は後方から回復役に徹してくれ。攻撃さえしなければ、あいつらのヘイトは買わないはずだ」

 

「そんで俺達がゲートに着いたら、すぐに全力で離脱する事。我が身大事で頼むぞ、いいな?」

 

 俺の念押しに、リーファとレコンが頷く。最後にもう一度キリトと頷き合い──

 

「リベンジだ──締まって行くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再びドームの中へ足を踏み入れた俺達。

 俺とキリトは思い切り翅を震わせ、ゲート目掛けて飛翔する。リーファとレコンは手筈通り地上に近い低空域に残って回復魔法の準備を始めた。

 

 憎き白騎士達が続々と姿を現し、俺達の前に立ちはだかる。先程は無支援で惜しい所まで行けたのだ、リーファ達のサポートがある今なら……!

 

「おおおおおお──ッ!!」

 

「せぇぇぇぇぇ──ッ!!」

 

 気合一閃、得物を振るう。漆黒の大剣が数体の白騎士を両断し、風の槍が纏めて貫いた。

 後方から更に数体の騎士が纏めて襲い来るが、奴らの位置が重なった刹那を捕まえてひと薙ぎの下に斬り払う。

 

 その間も上昇を続けていた俺達の行く手を、更なる騎士の増援が出迎えた。

 1体、2体──最早数えるのすら馬鹿らしくなる程の夥しい物量だ。一面を埋め尽くす白騎士の向こう側が見えない。

 背中の翅も相まって、まるで蠢く大量の虫を想起させる光景に思わず身震いするが、こんな事で臆してなどいられない。と己を奮い立たせ、一心不乱に槍を振るう。

 

 突っ込んでくる騎士を仰け反るようにして回避し、すれ違いざまに体の捻りを使って胴を両断する──エンドフレイムが晴れた先に、俺はとんでもないものを見た。

 

 天井一面、余す所なく埋め尽くす大量のガーディアン達──人数が増えたからなのか、俺達がまだ到達していない高度からも絶え間なく後続が出現しており、次から次へと剣を構えて飛んでくる。

 たっぷりと加速距離をとった上で突っ込んでくる白騎士はまるでミサイルの如き威力を孕んでおり、受けようと掲げた武器も弾かれてしまう。肩口や腕を刃が通り、鮮血のようなダメージエフェクトが舞った。

 

 歯噛みする俺達を、優しい光が包み込む──リーファ達が保持していた回復魔法だ。HPを回復させた俺達は、今まさに剣を振り下ろさんとしていた敵を返り討ちにした。

 

 連携は上手く取れている──そう思った矢先、ガーディアンの僅か数体が俺達とは別の方向を睨んだ。視線の先にはリーファとレコンがいる。

 

「(クソッ!!)」

 

 心の中で強く毒づく。このガーディアン共はPOP数だけでなく、戦闘時のアルゴリズムにまで手が加えられているらしい。付近に後方支援を行う者がいれば、そちらを優先してターゲットするようだ。

 しかしだからといって後退する訳にも行かない。ここで下がれば敵も戦線を押し返してくる筈だ。そうなれば2人をより危険な目に遭わせてしまう。よって俺達がすべきは1つだけ──

 

「キリトォッ!!」

 

「分かってるッ!!──おおおおおおッッッ!!!」

 

 とにかく暴れて、暴れて、暴れまくる事。そうやって敵のヘイトを少しでも多く引き受けるのだ。

 

「こっちだッ!こっちを見ろ木偶人形──ッ!!」

 

 叫びながら槍を振るう──敵の腕を斬り飛ばし、取り落とされた剣を掴んで別の敵の顔面に突き刺す。更にその敵を別の敵へと投げつけ、もつれ合った所を纏めて串刺しにした。

 

 俺達の必死の抵抗も虚しく、数体のガーディアンがリーファ達に襲いかかる──!

 

「リーファ──ッ!!」

 

 しかしそんなガーディアンの前に飛び出す影があった。一緒にいたレコンだ。彼は上昇しながら呪文を詠唱し、風の刃で白騎士を攻撃。変則的なアルゴリズムの中にも優先順位はあったようで、直接危害を加えてきたレコン1人にヘイトが向いた。コントローラー頼りのフラフラとした飛行ながらも、そのまま敵の注意をリーファから引き剥がしにかかる。

 

 しかしその間にも回復を続けるリーファには現在進行形でヘイトが集まりつつあり、レコン1人では支えきれなくなるのも時間の問題だった。

 

 そんな時、ガーディアンの群れのド真ん中でポツリと小さな光が灯った。その光は次第に渦を巻き、大きく、大きく膨れ上がっていき──

 

 

 ──次の瞬間、ドーム全体を揺るがす程の爆音と衝撃が辺りを駆け抜けた。

 

 

 反射的に顔を覆い、吹き飛ばされないよう踏ん張った俺達が次に見たのは、所狭しと密集していた白騎士達の群れにポッカリと空いた穴と、その中央に浮かぶ緑色のリメインライト──リーファを信じ、レコンが文字通りその身を賭して作った突破口だった。

 

 彼の犠牲を、無駄には出来ない──ッ!!

 

 最早声もなく、俺とキリトは翅に全力を注いだ。進路上の敵など最早眼中に無い。隙間を縫うようにしてゲートへ向かう。だがそんな俺達の行く手を、尚も白騎士達は阻んできた。防御とすら呼べない、ただ自分達の身を団子状にしただけの肉壁に衝突した俺達に、いくつもの刃が突き込まれる。

 

「ザッ……けんな、この──ッ」

 

 白騎士は抵抗する俺の顔面を踏みつけ、蹴り落とす。その後ろで、レコンが作り出した道が瞬く間に塞がっていくのが見えた。

 

 ──諦めろ、何をしようと無駄だ。

 

 この世界を支配する神が、ゲートの向こうからそう言っているような気がした。お前達は所詮、自分の作った箱庭の中で争いに興じるだけのちっぽけな存在なのだと。どれだけ足掻いた所で、自分達神の振るう絶対の力の前にはゴミに等しいのだと。こちらを見下ろし、指をさして笑っている。

 

 

 ──神を名乗る割には、随分とおめでたい考えだ。

 

 

 仮想世界を単なる作り物の電子空間としか認識していない奴らは知らないのだ。

 

 そこで紡がれた絆の強さを、共に死線を潜り抜けた者同士の信頼を。

 

 それは時として、神を名乗る創造主の思惑すら凌駕するのだという事を──!!

 

 

「っ……来て、くれたか──」

 

 突如、ドームの中に猛々しい叫び声が木霊する。発生源は扉の外から飛び込んできた妖精達──風妖精シルフの戦士達だ。それだけではない、彼らと並ぶように、多数の飛竜がドーム内へ散開していく。モンスターテイムを得意とする猫妖精ケットシーが最高戦力、竜騎士(ドラグーン)隊──並び立つ2つの種族の先頭に立つのは、俺達も見知った2人だった。

 

「──すまない、遅くなった!」

 

「ごめんネー!装備を揃えるのに、思ったより時間かかっちゃってさー!」

 

「サクヤ、アリシャ……!」

 

 リーファに斬り掛ろうとしていた白騎士を容易く追い払った2人の領主は、頼もしい笑みを残して部隊の中央に立つ。

 

「さて、遅れた分は取り返さねばな──」

 

「行くヨ──!ドラグーン隊、ブレス攻撃用意──ッ!

 

「シルフ隊!エクストラアタック用意!」

 

 彼女達の号令を聞き、最前線で戦っていた俺とキリトも射線上から退避する。邪魔者がいなくなった白騎士達を前に、アリシャは不敵な笑みを浮かべる。

 

 

「ファイアブレス──撃てェ──ッ!!」

 

 

 身体を撓めた飛竜達の口から放たれた灼熱の劫火は白騎士達を一瞬で蒸発させ、いくつもの炎の華を咲かせてみせる。

 

 

「フェンリルストーム──放てッ!!」

 

 

 シルフの戦士達が構える剣が緑の光を帯び、剣先から稲妻の如き閃光が放たれる。その光は次々と白騎士を貫き、屠っていった。

 

「2人共……ありがとう……!」

 

「礼には及ばんよ。彼らには大きな借りがあるからな」

 

「それにあの2人から貰った大金のお陰で、こうして応援に来れたんだヨ。寧ろお礼を言いたいのはこっちだったり」

 

 領主達の言葉に、リーファは胸が震えた。システムに定められたルールでも、ゲームプレイヤーとして守るべきマナーでもない。彼女達はこの世界で育んた友情の下、損得勘定を抜きにして来てくれた。下手をすれば自分達の領主としての立場も危うくなるというのに──そしてそんな2人を信じて、こんなにも多くの戦士達が駆けつけてくれた。

 今目の前にあるこの光景こそが、キリト達の信じる、仮想世界の中にある「本物」──ゲームマスターすら予想し得なかっただろう奇跡なのだ。

 

「さぁ、散々泣かされたガーディアン共に、我々の力を思い知らせてやるとしよう──全軍、突撃──ッ!!」

 

 サクヤの号令で、シルフとケットシーの連合軍が戦闘を開始する。

 

 戦いの指針として提示したのは僅か2つだけ──仲間に背中を預け、仲間の背中を守れ。

 

 シルフ、ケットシー両軍はその指示を忠実に守り、ダメージを負ったシルフ隊をカバーするようにドラグーン隊が火を噴き、ドラグーン隊に群がる敵はシルフ隊が迎え撃つ。種族の違いなど瑣末な問題。今こうして肩を並べる以上、誰であろうと等しく仲間なのだ。それは部隊の最前線で剣を振るうスプリガンであっても関係ない。

 

「お兄ちゃん、ミツキさん──!」

 

 ガーディアンを斬り伏せ、俺とキリトの元へリーファが合流する。

 

「スグ!──後ろを頼む!」

 

「任せてッ!」

 

「一気に突破するぞ──!」

 

 キリトの背中をリーファが、リーファの背中を俺が、俺の背中をキリトが守りながら──向かってくる白騎士を片っ端から倒していく。信頼に足る仲間がいる以上、背中を気にする必要はない。ただ目の前の敵を討つのみ──!

 

 その勢いに乗るように、連合軍の戦士達も前線へ上がってきた。

 飛竜のブレスによる広域殲滅が効果を発揮し、再びゲートに通じる突破口が開く。

 

「ミツキッ!」

 

「ああッ!」

 

 いくら応援が来たといっても、彼らとて無限に戦える訳ではない。時間が経てば消耗戦に持ち込まれ、そうなれば十中八九こちらが負ける。恐らくもう二度とないこのチャンス、逃しはしない──ッ!

 

 憎たらしい事に敵もやられっぱなしではない。空いた穴を埋めようと、あの分厚い肉の壁を形成する。

 

「お兄ちゃんッ──!」

 

 リーファは自らの長刀をキリトに投げ渡す。妹の刃を掴み取り二刀流となったキリトは、2つの刃を重ね合わせた。

 風と影──2つの力が絡み、混ざり合い、大きな力の渦の奔流となる。向かい来る白騎士達を跳ね除けて突き進むキリトだが、ここでまさかの事態が発生する。ドーム上層の窓という窓から大量の白騎士達がなだれ込んで来たのだ。秒間12体なんてレベルじゃない、水道の蛇口を全開にしたような、なりふり構わず戦力を吐き出しているに等しい状態だ。そこまでしてこの上に行かせたくないというのか。

 

 文字通り全兵力を総動員して突破を阻止せんとする白騎士の群れに、次第にキリトが覆い隠されていく。

 

 ──いい加減にしろよ。

 

 キリトの後を追うように、さらに速度を上げる。

 

 ──この先に、アスナがいるんだ。助けを待ってる仲間がいるんだ。

 

 槍を逆手に持ち替え、肩の上で大きく引き絞った。

 

 ──だから……ッ!!

 

 

「邪魔すんなよッ……そこをどけええええええええええ──ッ!!!

 

 

 弾けた俺の怒りが伝わったのだろうか──握り締めた槍が、真紅の光を纏った。

 

 刹那、放たれた一撃──天に向かって一直線に翔け上がる紅い流星が、群がる白騎士を一掃した。そのままキリトと共に、天上の門へと突き進む──!

 

 果たして──天と地を隔てる門に、3つの刃が突き立てられた。しかしそこに立つのは1人だけ──送り届けた仲間の姿を見上げる俺の背中を、不意に強く押す者がいた。

 

「ミツキ君ッ!君も行かなきゃ!」

 

「リーファ……ッ!?」

 

「MPギリギリだから一瞬しか持たないけど……ッ!」

 

 そう言って、予め詠唱していたらしい魔法を保持する両手に力が篭る。

 

 

「いっ…けええええええええええ──ッ!!!」

 

 

 リーファの手から凄まじい勢いの風が解き放たれる。その風は俺をゲート目掛けて大きく押し出した。

 

「ミツキ──ッ!」

 

「ッ──!」

 

 頭上で、キリトがこちらに手を伸ばしている。俺は己の翅を全力で震わせ──その手を取った。

 白騎士の群れを抜け、ゲートの真ん前へ──直後、空いていた穴が完全に埋め直される。リーファの助けが無ければ間に合わなかっただろう。

 彼女への感謝を胸に抱きつつ、刺さっていた武器を引き抜いた俺達だが……何か妙だ。

 

「……いつになったら開くんだ、コレ?」

 

 俺達はこうしてゲートに到達した。リーファを含む連合軍の面々は既に撤退している筈だ。ドーム内に人が残っているせいでクエストが続行扱いになっているとも考えにくい。

 しかしどれだけ待てども、足元の門はピクリとも動く気配が無かった。隙間に武器を突っ込んでこじ開けようとしても同様だ。

 

「……ユイ、どうなってる──!?」

 

 ポケットから飛び出したユイが扉に触れ、その表情が凍りつく。

 

「パパ……この扉は、クエストフラグによってロックされているのではありません。システム管理者権限によるものです……!」

 

「……プレイヤーが何をしようと絶対に開かない、って事か……!?」

 

「なッ……!?」

 

 ……考えてみれば当然だ。ユイはこのグランドクエストが「攻略不可能な難易度に設定されている」と言っていた。元より運営は、このクエストをクリアさせる気など更々無かったのだ。クリアされる心配が無いのだから、門を開く必要も、その上に無くてはならない筈のものを用意する必要も無い。

 しかし前提条件からして単一種族での攻略のみを想定していた運営の思惑は、こうして破られた。永久の翼を手に入れる欲求以前に、絆を優先した2人の領主によって。……その結果がこれでは、この戦いに協力してくれた──否、このクエストに挑むべく日夜コツコツと準備を続けては散っていった全てのプレイヤー達が報われないではないか。

 

 どこまでもプレイヤーを馬鹿にしているとしか思えない運営陣に怒りが込み上げる。

 

 立ち尽くす俺達の周囲を、白騎士達が包囲する。のっぺりとした顔に相変わらず表情は無いが、今は運営の嘲笑が重なって見えた。

 

「ッ……そうだ──ユイ、このカードキーは使えないか!?」

 

 何かに思い至ったキリトが、胸ポケットからあのカードキーを取り出す。GM権限を行使する為にはキーに対応した端末が必要、とユイは言っていたが、恐らく使い道はそれだけではない。この世界の裏側──所謂バックステージパスとしての役目も持っている筈なのだ。

 

 キリトの考えを察したユイがカードに手を翳すと、光の筋が彼女の体へ流れ込む──キーの情報を自分へコピーしたのだろう。ユイはすぐさま、その両手を扉へ押し当てた。

 

「コードを転写します!」

 

 扉の表面に幾何学模様が走ったかと思えば、重々しい音を立てて開いていく──上手くいった!

 

「転送されます!パパ、ミツキさん、手を──ッ!」

 

 ユイの手を取るキリトに、俺も手を重ねる。彼女の体から発する青い光が俺達の体をも包み込み──直後、俺達は門の中へ吸い込まれるように姿を消した。

 




グランドクエスト攻略完了。
キリトが肉壁を突破する際、原作ではジ・イクリプスらしき技ですが、こちらはアニメ準拠の「何か凄いやつ」です。
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