ソードアート・オンライン-剣槍-   作:不可視の人狼

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英雄を支える者

 キリトとミツキが何も言わずに《ガンゲイル・オンライン》へコンバートし、あちらで行われる大会に出場した、しかも結構いい感じ──という情報はリーファ(直葉)から仲間達へと伝わり、2日目に行われる本戦で2人が戦う様子を見てやろう。と、ALO内でアスナとキリトが借りている部屋に皆で集まっていた。

 家主であるアスナを始め、リーファ、リズベット、シリカ、クライン、そしてユイの6名──エギルはリアルの方で店番につき今回は不参加である──は、最初こそ口々に感想を言いながら楽しく観戦していたのだが……ある時を境に、その空気は一変した。

 

 

 ──俺と、この銃の、真の名は、《死銃(デス・ガン)》。

 

 ──俺は、いつか、貴様らの前にも、現れる。そして、この銃で、本物の死を齎す。俺には、その、力がある。

 

 ──忘れるな。まだ、終わっていない。何も、終わって、いない……イッツ・ショウ・タイム。

 

 

 中継に映ったボロマントのプレイヤーがカメラに銃を突きつけながら放ったこの言葉──その最後の一言が、和やかだった空気を一気に地の底へ突き落としたのだ。

 アレはラフコフのリーダーである《PoH(プー)》の決め台詞だった──クラインはそう語った。

 

 GGOの中で、何か良くない事が起きている──そう考えたアスナは一度ログアウトして、とある人物をALOに呼びつけた。その人物が──

 

「何が起こってるのか、説明して──クリスハイト」

 

 そうアスナに詰め寄られているのは、水妖精(ウンディーネ)魔法使い(メイジ)《クリスハイト》──リアルでの本名を菊岡誠二郎。

 

「説明、と言われても……何から何まで話すと時間が掛かるし……そもそも、どこから話したものか……」

 

 誤魔化すつもりか、と煮え切らない様子のクリスハイトを睨むアスナだったが、そこへユイが割って入り、彼に代わって事の経緯を簡潔に説明した。

 

 ──先月、GGO内で《死銃》を名乗るプレイヤーがモニターに向かって銃撃を行い、時を同じくして現実世界でも心不全によるフルダイブ中の変死事例が発生。この後、同様の事例がもう1件起きている。

《犯罪防止コード》によって保護された空間内に於ける、2度に渡る無意味な発砲。しかしそれによって引き起こされたとしか思えない対象者の回線切断及び、以降一度としてログインしていない事実。そしてそれと同じタイミングで発生した2件の変死事例……それらを合わせて考えれば、自ずと事の輪郭が浮かび上がってくる。

 

 広大なネットワークの海から短時間でこれだけの情報を集め、結論を導いてみせたユイの情報収集能力に舌を巻きながら、クリスハイトは彼女の言ったことは全て事実だと認めた。

 

「──って事ァ何か?アンタはその殺人事件の事を知った上で、アイツらにGGOに行けっつったって事かよ。どうなんだクリスの旦那……!?」

 

「待ちたまえクライン氏──殺人事件、という表現は適切じゃない。君達だって知っているはずだ、アミュスフィアでは、かのナーヴギアのように脳を破壊する事は勿論、機器と直接リンクすらしていない心臓を止める事は不可能だと。……僕は先日、キリト君とミツキ君を合わせた3人でたっぷり議論を重ね、『ゲーム内から人を殺すことは不可能』だと結論付けたんだ」

 

 理路整然としたクリスハイトの返答に、クラインは言葉を詰まらせる。引き下がった彼に代わって立ち上がったのは、神妙な面持ちのリーファだった。

 

「……『けど、もしかしたら』──そう思ったから、お兄ちゃん達をGGOに向かわせたんじゃないですか?もしあの《死銃》ってプレイヤーが、何かの方法で本当に人を殺しているんだとしたら、それに対処出来る人間として、2人に白羽の矢を立てた……違う?」

 

「……確かに、リーファ君の言う通りだ。だがそれが全てではないとも言っておこう──事と次第では、彼ら自身……ミツキ君の為になる事だと思ったからだ」

 

「どういう意味……?」

 

 クリスハイトは、《死銃》に関する調査が巡り巡ってミツキとアリスが再会する一助になる可能性を話した。最初はミツキ1人で行くつもりだった所に、それを聞いたキリトも参加を決意したという事──もしこの件を放置しておけば、やがてフルダイブ技術に厳重な法規制がかかり、ミツキとアリスの再会が叶わなくなるかもしれない事も。

 

 それを聞いたアスナは怒りに拳を震わせ、クリスハイトに掴みかかる。

 

「あなた、ミツキ君の気持ちは考えたの……ッ!?」

 

「……言いたい事は分かるよ──只でさえ2人を巻き込んだ上、アリスさんをだしに使った──だろう?」

 

「それが分かってるなら──!」

 

「──だからこそ、だ。君達の言う通り、ミツキ君にとって彼女のいない時間は辛く苦しいものだろう。場合によっては命すら投げ出しかねない。勿論、それは僕にとっても本意ではない。だから以前──過去を追いかけるのは止めて、未来を生きるべきだ──と、彼にそう言った。しかし彼はそれを拒否し、僕はその決断を汲んだ上で、彼に協力することにした──今回の件はその一環でもある。利害の一致というやつだよ」

 

《死銃》の疑惑が真実か否かに関わらず、その副産物でミツキは望む未来へ少しでも近づけるかもしれない──この1年、アリスに繋がる手がかりらしい手がかりに1つとしてたどり着けていないミツキからしてみれば、菊岡の依頼はある種天啓とも言えるものだったのではないだろうか。

 

 一応は筋の通ったクリスハイトの言葉に、アスナはまだ怒りが収まらないながらも手を離す。

 

「一先ず、納得してくれたようで何よりだ。さて、どこまで話したかな──そう、キリト君達をGGOに向かわせた理由だったね──さっきも言ったと思うけど、概ねリーファ君の言う通りだ。仮に《死銃》が何らかの策謀を企んでいたとしても、SAOをクリアした英雄2人なら安心だろう?」

 

「……残念だけど、そう単純じゃないわ」

 

 アスナの言葉に、クリスハイトは眉をひそめる。

 

「……どういう意味だい?」

 

「あの《死銃》というプレイヤーは、私達と同じ《SAO生還者》よ。しかも最悪と言われた殺人(レッド)ギルド《ラフィン・コフィン》の元メンバーだわ」

 

 こればかりは、流石のクリスハイトも動揺を隠せなかった。

 

「……本当かい、それは?」

 

「ええ。名前までは思い出せないけど……私とクラインさんは、ラフコフ討伐戦に参加してるから間違いない」

 

「話に聞く、殺人ギルドと前線プレイヤー達の武力衝突か……君達はそれに勝利したと聞いているが」

 

「……そんな気持ちのいいものじゃないわ。あの戦いでは、敵味方合わせてボス戦以上の死者が出たのよ。勝ったなんて言えない」

 

「それによ……直接戦り合って勝てるかって事よりも、あいつらの気持ちの面が心配だぜ……特にミツキの野郎だ」

 

 部分的とは言え、この中では唯一ミツキとラフコフの因縁について知っているクラインは、苦い顔でそう零す。

 

「アイツ、中々周りを頼ろうとしねぇからよ……また1人で何か余計なもん背負い込んでんじゃねぇかって思うと……クソッ、あいつら2人して水臭ぇんだよ。一言言ってくれりゃ、どこだろうと俺も一緒にコンバートしたってのによ……!」

 

「……確かに彼らは英雄よ。私達だけじゃない、SAOに囚われた全てのプレイヤーにとっての、ね──けどその反面、私達は彼らに余りにも多くのものを背負わせてしまった。2人が背負った過去の因縁と戦っているなら、私達もそれを黙って見てるわけには行かないの。……クリスハイト、以前、総務省のSAO対策本部にいたあなたなら、《死銃》のリアル情報を突き止められるんじゃないの?元《ラフィン・コフィン》所属のプレイヤーを全員リストアップして、今現在GGOに接続してるか契約プロバイダに照会すれば──」

 

「いや……総務省で記録されているプレイヤー諸君のデータは、キャラネームと本名、最終レベルだけなんだ。所属ギルドや、SAO内で何人手に掛けたかまではこちらも把握出来ていない」

 

 仮に出来たとしても、裁判所による令状の発行に加え、あくまでまだ可能性の域を出ていない本件を捜査当局にどう説明し、納得させるのか等、実際に動き始めるまでに時間がかかり過ぎる。と彼は言った。公権力はなまじ影響力が大きいだけに必要な手続きやらが多く、フットワークは鈍重の極みなのだ。

 やはり、当時の名前を思い出すのが1番確実且つ手っ取り早いのだろうが……如何せん、アスナもクラインも思い出せない。果たして当時の自分達は聞いていたのかすら怪しい。

 

「……きっと、その名前を思い出す為に、お兄ちゃん達はあの戦場にいるんだと思います」

 

 静かに呟いたリーファは、昨日の事を語った。

 

「昨日、家に帰ってきた時……お兄ちゃん、すごく怖い顔してた。アスナさんから話を聞いた後、あたし、ミツキさんに連絡したんです。そしたら、『お兄ちゃんの事は、自分が責任持って帰すから心配要らない』って──多分、昨日の予選の時点で気付いてたんだと思います。GGOに元《ラフィン・コフィン》の人がいる事も、その人が、どうやってかまた本当に人を殺してるかもしれない事も」

 

 キリトもミツキも、過去に決着をつける為に戦っているのだ。誰もが忘れたいと願ったあの凄惨な戦いに今一度向き合い、血生臭い連鎖を断ち切る為に。

 

「……キリトさんは、言いませんよね。そういう事。少しでも危険があると分かったなら、私達を巻き込まないようにする──そういう人です」

 

 シリカはSAO時代、キリトとフィールドに出向いた際、自分が合図したらすぐさま結晶で転移するよう厳命された事がある。付け加えれば、シリカの同行も必要に迫られたからであって、そうでなければ自分1人で行くと言っていたのだ。

 

 それは、同じく過去の記憶を思い出すリズベットも同様だった。

 

「しかも最初は、ミツキが1人で行くつもりだったんでしょ?ユイちゃんとかリーファはあの2人が似てるってよく言うけどさ……その通りかもね。きっと立場が逆だったとしても、同じこと言ったんだろうな──同じように、私達には何も言わないまま」

 

 キリトはミツキを助けようと、ミツキもまたキリトを無事帰そうと戦っている──もしかしたら他にも、本来なら敵であるはずの誰かを守っているのかもしれない。

 

 キリトを守り支えるのは自分の役目だと考えているアスナは、今現在キリトの傍にいられない事を少しばかり悔しく思う一方、結果的にその役目を負ってくれたミツキに感謝の念も抱いていた。

 思い返せば、アインクラッドでキリトと共にした時間で言えばミツキはアスナといい勝負──何なら極々僅差で負けている事も十分考えられる。そうでなくとも、ミツキはアスナが知らないキリトを知っている筈だ。その中にはきっと、当時アスナには言えなかった事も沢山ある。ミツキはSAOの時からずっと、キリトと同じ立場、同じ目線で、良き相談役として彼を支えてくれていたのだ。

 

 なればこそ、ミツキばかりに任せておくわけには行かない。キリトを支えるのは自分の役目であり、ミツキもまた支えを必要としているはずだ。そしてその役目を負っていたアリスがいない今、アスナが支えるべきはキリトだけではない。

 

「(約束、したもんね──アリス)」

 

 かつてSAOの中で彼女と交わした言葉を胸に、アスナは伏せていた瞳を開く。

 

「クリスハイト、キリト君達がどこからダイブしているのか、依頼人のアナタなら知ってる筈よね?」

 

「あ、ああ。そりゃあ勿論知ってるけど……」

 

 回答を渋るクリスハイトにツカツカと詰め寄り、「教えろ」と目で訴える。かつて《閃光》と称えられ、ALOでは《バーサクヒーラー》等と揶揄される彼女の迫力に気圧されたクリスハイトは、2人が御茶ノ水の病院からダイブしている事を明かした。

 

「一応聞くけど、まさか……?」

 

「当然──私、行きます。現実世界の2人の所に」

 

 そう言ってメニューを開きログアウトしようとしたアスナの手を、横から掴む手があった──リズベットだ。

 

「リズ……?」

 

「私の勘違いならそれでいいんだけどさ──アスナ、あんた私達に何か隠してない?主にミツキ関係の事で」

 

 リズはアスナの親友の中では3番目に長い付き合いを持つ。そんな彼女の事だ、恐らく、アスナが先程クリスハイトに怒りを向けた事で何かを感じ取ったのだろう。帰還以降海外にいるというアリスの事で、何故そうも憤るのか──ミツキとアリスが再会出来なくなるとはどういう事なのか──と。

 

「……ごめんなさいリズ。今度、皆にも話すわ。ミツキ君も交えて。だから今は──」

 

「ん」

 

 言い終わらない内に、リズはパッとアスナの腕を解放する。

 

「約束だかんね。私とあんたの仲なんだから、今更変な隠し事は無しよ──行ってきなさい」

 

「──うん。行ってきます!」

 

 リーファ、シリカ、クラインとも頷き合い、アスナは現実世界へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後9時45分現在、GGO内──シノンを残して洞窟を出たミツキ()とキリトは、星ひとつ無い夜空の下に身を晒す。スキャン端末を起動すると、辺り一帯のマップが展開された。

 俺達が洞窟に隠れていると睨んだ他のプレイヤーが砂漠エリアに来ている可能性も考えていたが、付近に他のプレイヤーの姿は無かった。代わりに死体状態を示す、黒く色落ちしたアイコンがそこかしこに点在しており、もしかしたら《死銃》があの射撃音を抑えられるライフルで砂漠エリアに来たプレイヤーを片っ端から狙撃していたのかもしれない。

 

 マップの倍率を下げ、表示された光点は6つ──その内、廃墟内ですぐ近くにあった2つが同時に光を失った。どうやら相討ちになったようだ。残る4つは俺とキリト、廃墟を出て砂漠中央を真っ直ぐ北上している《闇風》、そして──《デリンジャー》ことあのピエロマスクと思しきプレイヤーの名前もあった。奴のマントには透明化の能力は付いていないのだろうか。

 ここに洞窟内のシノンと、透明マントで衛星に捕捉されない《死銃》こと《Sterben》を合わせた6人が現在の生存者という事になるのだが……マップ端に表示された残存プレイヤー数を示すカウンターを見た俺は眉をひそめる。

 

「……おかしい」

 

「どうした?」

 

「プレイヤーの数だ。衛星に映らないシノンと《死銃》、ルールの枠外で退場させられたペイルライダーを入れても、数が合わない」

 

 BoB本戦に参加しているのは30人、そして現在退場したプレイヤーは22人となっている。

 マップ上で生存が確認出来る俺、キリト、闇風、デリンジャー、そしてここに映らないシノンと《死銃》、回線切断扱いで死体が残っていないペイルライダーを合わせても、総勢29人しかいないのだ。

 

「他にも洞窟に隠れてる奴がいるって事か……?」

 

「だったらいいが……もしかしたら──」

 

 ──あれからまた1人、《死銃》の手に掛かってしまった者がいるのかもしれない。

 

「そう、か……確かに、GGOにログインしてる《死銃》陣営はボロマントとピエロ、2人いる訳だしな。現実側の実行犯も1人とは限らない……犠牲者が1人しか増えてないのが不幸中の幸い……とは、言えないよな」

 

「……勿論、お前の言う通り隠れてるだけって事も十分ありえる。だがターゲットが何人いるかも分からない以上、とっとと奴らを倒すに越した事はない──戻るぞ、もう一度作戦を擦り合わせる」

 

 俺の心ばかりのフォローを受け止めたキリトは、洞窟の中へ踵を返した。

 

「──どうだった!?」

 

 俺達は出来る限り詳細且つ簡潔に、シノンへ外の状況を伝えた。

 それを聞いたシノンは、少々驚きながらも動揺はしていない様子だ。前回大会が2時間ちょっとで決着した事を考えれば、1時間45分でこの生存数でもおかしくない──寧ろ多い方だと言う。

 

「けど、ちょっと面倒ね。闇風をどうにかしないと……」

 

 前回準優勝者である《闇風》は、名の知れた極AGI型のプレイヤーだ。《死銃》に箔を付けるターゲットとしては申し分無い。加えて今のスキャンで彼の端末に映っていたのは俺とキリト、そしてデリンジャーのみ──こちらが組んでいるという事を察し、表面上孤立状態にあるデリンジャーを先に倒しに向かう可能性が高かった。このまま放置しておくのは危険だ。

 

「……いや、でも逆にチャンスかも。今《死銃》の共犯者は私の所にいるわけだから、他に誰かが狙われる心配はないって事よね?だったら、このままあいつらに闇風を嗾けてあわよくば倒してもらえば──」

 

「いや、それは出来ない。GGO(こっち)に2人いる以上、現実サイドの共犯者ももう1人いる可能性があるからな。……断定は出来ないが、恐らくペイルライダーの後にもう1人、既にあいつらに殺されてる」

 

 脱落したプレイヤーと出場者の数が合わなかった事を伝えると、シノンはヘカートを握る手に力を込める。

 

「冗談でしょ……こんな恐ろしい犯罪にそんな何人も関わってるって言うの?なんで……せっかくデスゲームから解放されたのに、どうしてそこまで……」

 

「……『強くなりたいから』──かもな」

 

 俺の言葉に、シノンは小さく肩を震わせる。

 

 VRMMOゲーマーが仮想世界にのめり込んで行く理由の1つとして挙げられるのが、現実世界に対する諦念や忌避感だ。──現実(むこう)じゃ何もかもが上手くいかない、下げたくもない頭を下げないと生きていけない──しかし仮想世界(こっち)なら、所謂「クソな現実」から解放される。願いを叶えることだって不可能じゃない。

 特に俺達《SAO生還者》のように長い時を仮想世界で過ごした者ならば、認識の逆転が起きても何ら不思議はないだろう──仮想世界こそが現実であり、現実こそが仮想世界である、と。

 つまり《ラフィン・コフィン》のような連中にとって、俺とキリトは解放の英雄などではなく、理想郷の破壊者なのだ。……尤も、その理想とやらは碌なものではないが。

 

 故に、奴らはこんな行動に走ったのではないだろうか。奴らにとって「唯一本物であり現実」であるSAOの自分を取り戻す為に……弱く非力な自分を、もう1人の自分で塗り潰す為に。

 

 そしてそれは、根本的な部分ではシノンにも当て嵌っていた。

 

「っ……だったら、尚更負けられない。あいつらがやってる事はもうPKじゃない、ただの卑劣な人殺しだわ。PKにもPKなりの矜持や覚悟があるって事を、あいつらに教えてやらないと」

 

「……ああ。この戦場で奴らを倒して、共犯者全員に罪を償わせる」

 

《死銃》及びデリンジャーの撃破と、事実上現GGO最強プレイヤーである闇風の撃破という3つのタスクを同時並行でこなす事が求められるが、どれほど困難だろうとやるしかない。

 

「少し立ち回りを変えなきゃだな。《死銃》の囮はこのままキリト、闇風は──」

 

「──闇風は私が相手する」

 

「え……」

 

 静かにそう言い放ったシノンに、俺は思わず声を漏らした。

 

「あの人は強い、あなた達2人でも瞬殺とはいかないわ。戦ってる所に連中から横槍を入れられるのが1番厄介な展開でしょ」

 

「や、そりゃそうだけど……」

 

「私は狙撃手(スナイパー)で、あなた達は観測手(スポッター)。敵の位置さえ割り出してくれれば、全員私が始末する」

 

「……優先度的に、予測線無しの初撃を闇風に使うことになるぞ。やれるのか?」

 

「……私は、GGO最強のスナイパーよ。予測線有りじゃ仕留められないなんて、2流もいいとこだわ」

 

 不遜に言い切ってみせたシノンは、グローブをつけた手を握り、こちらへ差し出してくる。そこへキリトが同様に拳を差し出し、2人揃って俺を見る。小さく息をついた俺もまた同様に手を差し出し──

 

「──よろしく、相棒」

 

 そんなシノンの言葉と共に、3つの拳がコツンと突き合わされた。

 




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