ソードアート・オンライン-剣槍-   作:不可視の人狼

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上手くいけば年内にマザーズ・ロザリオ編完結出来そうです。頑張ります。


傷つく覚悟と傷つける勇気

 放課後──アスナは授業が終わるなり、入学以来最速のスピードで荷物を片付けると、いの一番に教室を抜け出した。向かう先は2つ先の教室──ミツキのクラスだ。

 

 出口で待ち構えるアスナに生徒達が大なり小なり驚く中、アスナは目的の人物を見つけると、迷わずその前に立ちはだかる。

 

「──ミツキ君、少しいい?」

 

「……何の用だ」

 

 今までなら何かと理由をつけて避けられていたが、いつになく真剣なアスナに何かを感じたのか、ミツキは一緒に廊下の隅へ移動する。

 

「──今日の夜、22層のあの家に来て。待ってるから」

 

 理由を聞かれるも、アスナは「お願い」と一言だけ返して立ち去った。ここで長々と言葉を交わすより、きっとあちら側の方が話は早い。

 

 残されたミツキは、少しの逡巡を残して自分も家路につくのだった。

 

 

 

 

 果たして、同日の夜9時──無人のログハウスでアスナが1人待ち続けていると、不意に家のドアがノックされる。微かな緊張を胸に開いたドアの向こうには……

 

「……いらっしゃい。来てくれてありがとう、ミツキ君。どうぞ上がって?」

 

「……話なら、ここでもいいだろ」

 

 ぶっきらぼうに返したシルフの槍使い──今は剣士だが──ミツキに、アスナは正面から向き合う。

 

「そう──じゃあ、私と今ここで戦って」

 

「……は?」

 

 あまりに唐突な展開に、ミツキも驚きを隠せない。しかし当のアスナの表情は、夕方学校で話した時と全く同じ──それ以上の真剣さを湛えており、冗談のつもりはないという事が伺えた。

 

「君が勝ったら、私達は金輪際君に近づかないって約束する。でも私が勝ったら──その時は、ちゃんと話して欲しい。ミツキ君が何を考えて、何を思っているのか」

 

「……本気、みたいだな」

 

「……うん」

 

 小さく息をついたミツキは踵を返す。アスナも後に続き、静まり返った夜のログハウス前で2人は向かい合った。

 ミツキはメニューを操作し、背負っていた得物を切り替える──片手剣から、両手槍へ。伝説級武器を交えた双槍状態でこそないものの、槍を使う以上はあちらも加減無し、ということだろう。

 

 アスナの方からデュエル申請を飛ばし、ミツキはこれを受諾。ルールは《全損決着モード》を選択した。カウントダウンが始まる中、ミツキは槍を、アスナは細剣を構える。

 

《裂槍》と《閃光》──あの世界では一度として実現しなかった2人の戦いが、1年の時を経て始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──君が勝ったら、金輪際近づかないって約束する。私が勝ったら、ちゃんと話して欲しい。

 

 そんな条件を提示してきたアスナの挑戦を、断ろうと思えば出来た。

 それでも受けてしまったのは、彼女を負かして俺達の関係を決定的なものにしたいが為か、彼女に負けることで全てを吐き出したいが為か、はたまたその両方か──何にせよ、この戦いが決着した暁には、俺はもうあいつらと今のままの関係ではいられない。

 

 時と共に風化させるか、今ここで壊すか──そのどちらかだ。

 

 カウントは刻一刻と減少していき……

 

 

《DUEL!!》

 

 

「──ッ!!」

 

 デュエル開始と同時に、アスナは猛然と地面を蹴って突っ込んできた。SAOでの経験に裏打ちされた、迷いのない動き──霞むような速度で繰り出されたレイピアの切っ先が、月光を反射して瞬いた。

 

 初撃の突きを槍の柄で逸らされたと見るや、アスナは即座に剣を引き戻して2回、3回と刺突を繰り出す。システムアシストこそ乗っていないものの十分過ぎる程に疾いその剣を、俺は一撃一撃、しっかりと捌いていく。

 やがてアスナが剣を引き戻すタイミングを捕まえてこちらから大きく踏み込むと、華奢なアバターの腹に渾身の膝蹴りを打ち込んだ。ラッシュが途切れた刹那、俺は槍の石突きを振り上げる。

 即頭部を狙ったその攻撃を咄嗟に腕でガードしたアスナだったが、威力までは殺しきれず距離が開く。再度突っ込む余裕を与えまいと、彼女が体勢を整える前に今度はこちらから仕掛けた──!

 

 しかしアスナも見事な反応で対応してくる。

 構えから俺の技が最速の単発直線突き《スイフト・ランジ》だと判断し、勢いに逆らわずにそのまま受身の要領で大きく距離を取った。スキルが発動してもギリギリ届くかどうかという絶妙な距離……そこで俺のスキルを弾き、返しの一撃を見舞うつもりなのだろう。だが次の瞬間──

 

「なッ──!?」

 

 俺の槍を油断なく注視していたアスナの顔は驚愕に変わった。

 発生するはずのライトエフェクト無しで、俺はそのまま突きを繰り出したからだ。

 

 通常、ソードスキルは定められた予備動作を取る事で立ち上がる。俺やキリトを始めとするSAOプレイヤー達は、その予備動作から繰り出されるスキルを先読みして戦ったものだが、俺はその経験と習熟を逆手に取った。

 ソードスキルの予備動作と限りなく近い、しかしシステムがスキルとは認識しないギリギリの構えを取る事で、アスナにソードスキルを使うと誤認させたのだ。

 それでも彼女程の実力者ならば、ただ突きを繰り出す程度簡単に対処されてしまう。そこで第2の策──俺は刺突で腕が伸びきった瞬間、槍を握る手を緩めた。そうなれば当然、突き出された槍は慣性に従い、そのままアスナ目掛けてすっ飛んで行く。あちらからすれば、急に槍が伸びたように見えるはずだ。

 

 だが流石というべきか、俺の小賢しい戦法にも《閃光》アスナは見事に対応してきた。俺が槍を握り直すより先にレイピアの柄頭で槍を叩き落とそうと腕を振るう──()()()()……!

 

 アスナの狙い通り、剣に弾かれて叩き落とされた槍だったが、滑り込ませた俺のつま先がそれを受け止め、そのまま跳ね上げる。真っ直ぐ地面に突き立った槍を踏み台にして、俺は渾身のドロップキックをお見舞いした。流石に回避できず、アスナはこれをクロスした両腕でガード──これでようやく、俺のターンが回ってきた。

 

 棒高跳びの要領で着地した俺は、低姿勢から限界まで長く握った槍を力任せに振るう。元々の槍の重さに遠心力を上乗せされた横薙ぎの一撃を、アスナはバックステップで回避。空振った穂先側を左手で受け止めた俺は、立ち上がりざまに石突を穂先に見立ててそのまま突き出した。アスナはこれもレイピアで弾いて防御。しかし咄嗟の事で加減が出来なかったのだろう──石突きを弾いた瞬間、逆方向から槍の穂先が襲いかかった──!

 

「くッ──!」

 

 俺と戦う以上、当然警戒していたはずのシステム外スキルによるカウンター ──それに必要な「全力の一撃」を引き出した事で、ようやくアスナに有効打が入る。この勢いを手放すまいと、俺は立て続けに攻撃を仕掛けていった。

 相手が軽量な細剣を使う以上、大振りは最小限に、一撃の威力よりも反撃を許さない手数に重点を置いて槍を繰り出す。懸命に防御するアスナだが、戦いの主導権はこっちにある。次第に防御の隙間を縫って穂先がアバターを捉え、ダメージを蓄積させていく。

 

 俺のHPはまだ9割方残っているのに対し、アスナのHPは残り4割程、このままいけば勝てる……そう思った瞬間、俺の脳裏に影が差した。

 

 

 ──本当にいいのか、勝ってしまって?

 

 

 まだ残っていたらしい迷いという名の影が、俺の思考を、攻撃の手を鈍らせる。生まれた隙はほんの一瞬だったが──

 

 

「ッ……やあああああぁぁぁ──!!!」

 

 

 ──《閃光》の剣がその輝きを取り戻すには、十分過ぎる時間だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──負けない!絶対に負けられない……ッ!

 

 たった1つのシンプルな激情が、アスナのアバターを突き動かす。

 

 負ければ二度と関わらない?そんな条件(もの)、ただミツキに勝負を受けさせる為の餌だ。呑んでやる気など更々無い。何故なら自分は勝つのだから!

 

 決めたのだ、周りの人々を笑顔にできるような生き方がしたいと。疲れた人の支えになれるような人間になるのだと。今まさに目の前で壊れかけている友達の1人すら助けられずして、一体誰を支えられるというのだ、誰を笑顔に出来るというのだ。

 

 

 母の言葉を思い出せ──誰かを支えるには、まず自分が強くなきゃダメなのよ。

 

 

「ッ…!」

 

 

 ユウキの言葉を思い出せ──アスナは絶剣(ボク)よりもずっと強いんだから!

 

 

「ッ……!!」

 

 

 アリスとの約束を思い出せ!──自分が2人を支えるのだ。彼女が安心して、ミツキと共に歩めるようにッ!!

 

 

 

「ッ……やああああああああぁぁぁ──!!!」

 

 

 

 ミツキの槍が微かにブレた刹那──アスナは槍を躱しざまに、得物を握る彼の手を掴み、ソードスキルを発動させた。細剣基本技《リニアー》がミツキのアバターに食い込み、HPが2割弱減少する。通常、技を食らった相手は多少のノックバックで後退し距離が出来るが、ガッチリ手を掴まれたミツキはそうもいかない。

 

 

──まだ。

 

 

 アスナは基本技の技後硬直の短さを活かし、再度ソードスキルを発動。2連撃技《パラレル・スティング》──命中時のエフェクトが、先程とは少々異なった。

 

 

──まだ!

 

 

 キリトが重い片手剣を好むように、アスナはSAO以来の志向として、武器のパラメータは《正確さ(アキュラシー)》に振っていた。このパラメータは単にシステムアシストによるスキルの命中率が上がるだけではなく、クリティカルヒットが起こりやすくなる効果も併せ持つ。

 先のエフェクトが通常より派手だったのは、ソードスキルがクリティカルで命中した証だった。

 

 クリティカルヒットによる衝撃でミツキが怯んでいる内に、三度発動されたソードスキル──技の出では最速を誇る5連撃技《ニュートロン》がミツキの胸を抉る。またもクリティカルヒットし、ミツキのHPが一気に5割程まで減少する。

 

 

 ──まだだッ!

 

 

 アスナは更にソードスキルを発動。ダメ押しの6連撃技《クルーシフィクション》が、ミツキの腹に十字のダメージエフェクトを描いた。またしてもクリティカル。

 立て続けにクリティカルを貰ったことで、彼の頭上には怯み(スタン)状態を示すデバフアイコンが浮かぶ。

 

 

 

──ここッ!!

 

 

 

 アスナは身動きの取れないミツキを突き放し、しっかりと剣を引き絞る。

 

 

 

「せ…やあああああああぁぁぁ───ッッッ!!!」

 

 

 

 SAOの攻略も終盤になった頃、アスナが最も愛用していたソードスキル、細剣8連撃《スター・スプラッシュ》──ターコイズブルーのライトエフェクトを纏った剣が、8条の閃光となってミツキに突き刺さった。

 

 ミツキのHPがみるみる減少していく。イエローゾーンを下回り、レッドゾーン──そして、ゼロへ。

 

 

 きっと、もう一度戦えばアスナが負ける。

 

 しかしこの1戦に於いて、間違いなく《閃光》は《裂槍》を超えた。

 

 宙に浮かぶウィナー表示が、何よりも雄弁にそれを物語っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 デュエル決着後、アスナの蘇生魔法によってリメインライトから復活したミツキは、約束通りログハウス内で胸の内を全て明かす事に。

 

「皆には、今日の内はここに近づかないよう言ってあるわ。誰かが急にログインしてくる事はないから、安心して」

 

「……随分な徹底ぶりだな──それで、何から話せばいい?」

 

「何でもいいわ。敢えて言うなら……ミツキ君が今まで我慢してた事全部、かな」

 

「……多分、後悔するぞ。聞かなければ良かったってな」

 

「大丈夫。絶対にそうはならないわ」

 

「何でそう言い切れる」

 

 テーブルを挟んだ向かいのソファに腰を下ろしたアスナは、懐かしむような目で理由を語る。

 

「SAOにいた頃にね、アリスが言ってたの──たくさんのものを背負ってるミツキ君に、自分の身勝手な想いまで背負わせたくない、だから自分の気持ちは伏せておくんだ──って。その時、私約束したんだ──アリスがちゃんとその気持ちを伝えられるように、私もキリト君とミツキ君を支える──って」

 

「………」

 

「私は信じてる、ミツキ君がまたアリスと同じ時間を過ごせる時が絶対に来る──またあの時みたいに、皆で笑い合える時が来るって。その為にも、君を1人にするわけにはいかないの」

 

「それで皆が傷ついてちゃ意味が──!」

 

「──いいよ」

 

 言葉を遮ったアスナの声に、ミツキは息を呑んだ。

 

「覚悟はしてきた。どんなに残酷な言葉を投げかけられたって、私は絶対に折れない。もし君の気持ちで誰かが傷ついたら、その人の事も私が支えてみせる。君と私達の関係は何も変わらない。だからお願い──ミツキ君も私を信じて。信じて、傷つけて欲しい」

 

 一瞬だけ合った視線が、すぐに逸らされる。アスナはそれでも尚、ミツキの目をジッと見つめ続けた。

 

 

「ッ……こっちの気も知らないで……勝手なことを言うなッ!!」

 

 

 風船が破裂したように、そんな言葉が飛び出した。

 

 

「俺がッ!……俺が、今までどんな気持ちでいたか、お前らに分かるかッ!?──文字通り死にかけながらSAOをクリアした、なのにアリスは戻ってこなかった!──キリトと一緒にALOまでアスナを助けに行った、それでもアリスはいなかった!──それからもずっと、ずっと……何も分からないまま時間だけが過ぎて──辛いよ苦しいよ、そんなの当然だろッ!!けどそれは俺だけじゃないから、お前達だって同じだから……っ……キリトも、アスナも、あの世界でそんな思いを沢山してきたからッ……だから我慢した。皆優しい奴だから、俺が沈んでたら絶対に気を遣って、ちゃんと日常を過ごせないから……それが嫌だからッ……だからずっと我慢してきたッ!」

 

 ミツキは続けた──皆にSAOでの事がバレた時、もう終わりだと思った、知られた以上皆は……特にキリトとアスナは絶対に自分を放っておいてはくれない。必ずどうにかしようと奔走を始めるだろう。それではダメなのだ、2人は日向にいなくてはいけない。日陰(こちら)へ踏み込んでくるべきではない。

 

 こんな──友達の幸せを妬み、恨めしく思うような人間を、折角取り戻した日常を犠牲にしてまで助ける必要なんて無いのだから。

 

 だからなのか、殆ど反射的にキリトを殴っていた。1発だけで済んだのは奇跡に近かった。それが良かった事なのかは分からない。それでも……それで、2人が自分を見限って日向へ戻ってくれれば、それで良かった。良かった、はずなのに……

 

 

「俺はッ……俺は、弱いから──独りになるのが、心の底では怖かった──その程度の覚悟すら持てない自分が心底嫌になった……ッ!」

 

 

 だから、ひたすら自分を傷つけるしかなかった。行き場の無い言葉(やいば)を、何度も何度も自らの胸に突き立てるしかなかった。その痛みを以て自身を戒める以外に、軟弱な自分を奮い立たせる方法が分からなかった。

 

 だがどれだけ痛めつけても自分の弱さは殺せない、だったら……だったらいっそ、粉々に──

 

 

 

 

 ──不意に、ふわりと水色の風が舞った。それが、立ち上がって自分を優しく抱き締めるアスナだと気付くのに、数秒の時間を要した。

 

 

 

 

「もういい──いいんだよ。君はもう、そうやって自分を傷つけなくていいの。傷つくはずだった誰かの代わりに、君が傷つかなくていいんだよ」

 

「ア、スナ……っ」

 

「私ね、ミツキ君にお礼を言いたい事が沢山あるの──SAOをクリアしてくれた事だけじゃない。ミトを助けてくれた事。ユイちゃんを助けてくれた事。アリスを導いてくれた事──キリト君を……私の大好きな人を、ずっと支え続けてくれたこと」

 

「っ……」

 

「今まで沢山、頑張ってきたんだよね。辛かったよね。なのに私達は、君は強いから大丈夫だって、勝手に安心しちゃってた。そんな訳なかったのに……気付いてあげられなくて、ごめんね──ありがとうね」

 

「なん、で……っ……何で、そんなに優しいんだよ……っ」

 

「当たり前じゃない。君は私達の大事な仲間で、友達だもの。辛い時は一言くれれば、こうして近くで支え合う。私だけじゃない、キリト君も、リーファちゃんも、リズもシリカちゃんもシノのんも、エギルさんにクラインさんだって、皆そう思ってる──SAOからずっと、仮想世界で私達が紡いできた絆は、今更ちょっとやそっとのすれ違いじゃ壊れたりなんかしないよ。──だからもっと私達を頼って?遠慮せずに寄りかかって、弱音を吐いたっていいんだよ」

 

「ッ…──たい

 

 消え入りそうな声が、ミツキの口から漏れる。

 

 

「──いたい──アリスに、あいたい……っ……会いたいよ……っ」

 

 

「っ……うん、そうだね……私も、会いたい」

 

 涙ながらに愛しい相手の名前を口にするミツキを、アスナはずっと優しく抱きしめ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どれだけ経っただろうか── 一頻り胸のモノを吐き出したミツキは、アスナに1つだけ頼みごとをする。

 

「……この事は、キリトには黙っていて欲しい。アイツがこの事知ったらさ、多分、俺よりも酷く思いつめると思うから……」

 

「……うん、ありがとう。その代わり──アリスが戻ってきたら、ちゃんと話してあげてね」

 

「……ああ。分かった」

 

「そうだ──今度、この家で皆でバーベキューするの。スリーピング・ナイツの皆も来るんだけど、良かったらミツキ君もどう?」

 

「……悪い。少しだけ、時間をくれ。ちゃんと気持ちに整理をつけてから、皆の所に戻りたい」

 

「そっか……分かった。気が向いたら途中からでも参加オーケーだからね。でも早く来ないと、お肉はすぐ無くなっちゃうかも」

 

「ふふっ……かもな──ありがとう、アスナ」

 

 去り際にミツキが残していった言葉は、出会ったあの頃と同じでこそないものの──少しだけ心が軽くなったような、そんな印象をアスナに与えた。

 




マザーズ・ロザリオ編でアスナが定めた生き方は、きっとこういう事。
誰かを支えるにはまず自分が強くなくてはならない、というお母さんの言葉を胸に、キリトだけじゃなく皆を安心させる「お母さん」になっていくんでしょうね。
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