ソードアート・オンライン-剣槍-   作:不可視の人狼

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修剣学院

 人界歴379年4月──俺とキリトがアンダーワールドに来てから、もう1年が経った。

 

 俺がザッカリアの衛兵隊に入っておよそ半年後、キリトとユージオは剣術大会を勝ち抜いてこちらも見事入隊。そこから更に半年近く衛兵隊での活動を続けた俺達3人は、無事に修剣学院への推薦状を獲得し、入学試験を突破。今年の4月から央都セントリアにある剣の学び舎こと《帝国立北セントリア修剣学院》に通う事となったのだ。

 

「──にしても正直驚いたよ。修剣学院って剣術や神聖術以外に、歴史とかの勉強も出来るんだね」

 

「楽しそうだな、ユージオ」

 

 学舎から出てくる3人の生徒。言わずもがな、一様に灰色の初等練士制服に身を包んだ俺達である。

 

「僕は元々、歴史が好きだからね。小さい頃は神話の本とかよく読んでたんだ──そういう2人はどうなんだい?剣術と神聖術以外で、何か気になる授業とかあった?」

 

「そうだな……うん、まぁ強いて言うなら俺も歴史かな。と言っても、時事の年号覚えるのとかは本当に勘弁して欲しいが」

 

 ゲームの知識はすんなり頭に入ってくるというのに、これが魔法の詠唱やら年号やら数学の公式となると途端に話が変わるのだから我が頭の事ながら解せない。「べ、別に歴史なんか知らなくたって生きていけるし」の常套句を使うのはいざという時まで取っておきたいものだ。

 

 と、俺が答える横ではキリトがげんなりとした表情で答える。

 

「俺はもう早くもギブ……もうずっと剣だけ振ってたい……」

 

「気持ちは分かるが情けない事言うな。試験は年4回、剣術大会の時みたいに一夜漬けでカバー出来るもんじゃないぞ」

 

「そうだよキリト。君は実戦には強いけど、型の演舞は未だに苦手なんだから。衛兵隊の試験の時みたいな手は定期試験じゃ通用しないかもだよ」

 

「そうかなぁ……ほら、入試ではいけたんだし、案外──」

 

「そんなイチかバチかの賭けに出て、もしダメだったらどうするんだよ。折角頑張って僕ら3人とも入試の上位12人に入れたのに、全部水の泡にするつもり?傍付きに選んでくれた先輩方にも申し訳ないじゃないか」

 

「むぅ……分かってるよ、出来る限り善処する」

 

 修剣学院の入学試験を突破出来るのは毎年きっちり120人。その成績順で上位12名の内に食い込んだ新入生は、上級生の中の更に上位12人である上級修剣士の《傍付き練士》として指名を受ける。傍付きになった新入生は、担当する上級生の部屋の掃除やら身の回りの世話をする他、稽古の相手を務める事になり、エリートの先輩から直々に授業では教われないような教えを請うことが出来るのだ。加えて、通常なら初等練士が担当する学生寮の掃除等雑務も免除される為、剣の腕を磨く時間を他よりも多く確保出来るときた。しかも相手は腕利き、これを利用しない手は無い。

 入試の順位は俺が6位、そこから順にキリト、ユージオと1つずつ下がり、無事3人揃って上位に名を連ねる事が出来た。まだ学院生活が始まってひと月と経っていないが、各々先輩にしっかりシゴかれているようだ。

 

「──他人事みたいな顔してるけど、君もだからね、ミツキ」

 

「……え、俺も?」

 

「当然だろ、特に法学!……君もキリトも記憶を失って禁忌目録すらちゃんと覚えてるか怪しいのに、これからは帝国基本法も気にして生活しなきゃいけないんだから──君らがついうっかり法律を破って退学、なんてヤだよ僕は」

 

「……ぜ、善処します……」

 

「安心しろよ。俺はユージオにアインクラッド流の全てを教えるまで退学になるつもりはないからさ」

 

「その後も法律は守って欲しいけどね……っと、そろそろ時間だ。それじゃあお互い、今日も頑張ろう!」

 

「ああ、また夕飯の時にな」

 

 今日の授業は既に全部終わっているが、傍付き練士は放課後もやる事数多で気が抜けない。俺達は小さく手を振り、各々の指導生の元へ向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……あの、ベル先輩」

 

「何だい、ミツキ初等練士君?」

 

「今日こそ言わせてもらいますが……どうやったらたった1日でこんなに散らかせるんです?」

 

「いやぁハハハ、すまないね。夕べ風呂上がりにうっかり柱の角に小指をぶつけ、痛みにのたうち回った名残だよ。痛みの程はこの部屋の惨状から察してくれたまえ。ちなみに天命は10減った」

 

「それ、一昨日も聞きましたよ。確かその時は7減ったんでしたっけ?」

 

 上級修剣士寮にある指導生の部屋を訪ねた俺がどうにか捻り出した言葉を、この先輩は軽く受け流す。《ニーモニック・ビジュアル》で出来た仮想空間はこういう時の頭痛まで再現するのかと眉間を押さえる俺をにこやかな顔で迎えたこの人は、ベルグリッド・コーレン先輩。

 目に優しい若草色の修剣士服に身を包み、男としてはかなり長いダークブラウンの髪を後ろで1つに纏めている。何より特徴的なのは、どう見ても閉じてるようにしか見えないくらい細い目で、常に飄々とおしゃべりな所といい、第一印象が「胡散臭いキツネ」だったのは想像に難くない。

 

 本人の勧めもあってベル先輩と呼んでいる彼はとにかく部屋を散らかすのが上手い。リアルにいる伯母の全盛期といい勝負だ。人が折角綺麗に片付けた部屋が翌日にはほぼ元通りになっていたのを見た時は正直ぶん殴りたくなった。

 

 勿論、上級生相手にそんな狼藉は働けないので、深呼吸した俺はそこら中に散らばった彼の私物──主に本類を拾い上げ、棚に戻していく。

 

 ぶっちゃけて言えば、この世界の万物は天命が尽きれば神聖力になって消えていく為、放置しておいても部屋がゴミ屋敷になるような事はない。だがこの先輩は部屋を歩く時でさえやたらと色んな物を蹴っ飛ばしたり足を引っ掛けて転んだりするので、最低限本だけでも床から撤去しておかねば危ないのだ。これで生まれは貴族というのだから分からない。

 

「話は変わりますけど──先輩っていつ鍛錬してるんです?傍付きになってから暫く経ちますけど、俺基本ずっと掃除しかやってないんですが」

 

 昔のカンフー映画では「雑巾がけや掃き掃除といった一見何の変哲もない動きが実は武術のトレーニングになっていた」などというトンデモトレーニング法があったものだが、こちとらやってるのは床の物を拾う際の屈伸運動くらいだ。この動きが戦いに役立ちそうな気配は微塵も感じないし、仮にこれを活かせるというのなら是非とも見本を見せて欲しい所なのだが……

 

「あぁ、鍛錬なら勿論やってるとも。だが……うん、これは私の勘なんだがね。多分、私では君にロクな教えをつけられないと思うんだよ」

 

「……そりゃつまり、稽古をつけてくれるつもりは無いって事ですか?」

 

「そう言われると少々語弊があるなぁ──さて、そんな君に朗報だ。簡単に掃除を済ませたら、修練場に向かおうじゃないか。お待ちかねの稽古の時間だよ」

 

 訝しみながらも最後の本を棚に収めた俺は、先輩に連れられて上級修剣士寮に備え付けられた修練場へ向かった。

 

 俺が現実世界で通っている帰還者学校程ではないにせよ、修剣学院の敷地は中々広く、日頃勉学に励む校舎の周りには広い芝生やら花壇、小さな林に池まである。そんな中に屹立する3階建ての円形の建物が上級修剣士達の寮だ。進級試験で上位12位を下回った者は別個高等練士寮で生活する為、大浴場や食堂を備え付けたこのでっかい建物を僅か12人で独占出来るとあれば、上級修剣士という肩書きがどれ程のものか理解してもらえるだろう。

 

 そんな至れり尽せりな寮の階段を下り、施設の1つである上級修剣士用の修練場に到着すると、数組の修剣士とその傍付き達が稽古に励んでいる。その中の1組──優美な紫色の修剣士服に身を包む女性剣士に向かって、ベル先輩は悠々と歩いて行った。

 

「──ご機嫌ようリーナ君。待たせてしまったかな」

 

「む──ようやく来たか、ベルグリッド」

 

 ベル先輩よりも少し明るい茶色のポニーテールを揺らして振り返ったのは、ソルティリーナ・セルルト先輩。ノーランガルス北帝国貴族の生まれで、今年度の次席上級修剣士──つまり学院No.2の実力を誇る女剣士だ。同時に……

 

「すまんなキリト。少し休憩だ」

 

「は、はい!」

 

 彼女と向かい合って木剣を握っていた黒髪の初等練士──キリトを傍付きとして指名した人でもある。因みに、ベル先輩は上級修剣士第4席。彼とソルティリーナ先輩の間に位置する第3席ゴルゴロッソ・バルトー先輩はユージオの指導生を務めている。

 

「──それで、用というのは何だ?」

 

「何、難しいことじゃない──ウチの傍付きと手合わせしてやって欲しいんだ」

 

 

「「……えっ!?」」

 

 

 異口同音に漏れ出た声は、俺とキリトのものだ。それも当然、本来上級修剣士が稽古をつけるのは各々が指名した傍付き練士というのが通例だ。当の俺もそのつもりで付いてきたわけなのだが、よもや他の修剣士にその役目を丸投げするとは……

 

「ベル先輩。どういう事ですか。稽古をつけてくれると言いましたよね?」

 

「ああ言ったとも。ただし()()とは言っていない──おっと、そうカッカしないでくれたまえよ。これにはちゃんと理由があるのさ」

 

「理由……?」

 

「うん。君は今年の新入生達の中でもとりわけ異質だ。生憎、僕ではそんな君の剣力を伸ばす事は出来ない。だから、《歩く戦術総覧》と名高い《セルルト流》の使い手であるリーナ君に相手をしてもらおうと思ったのさ」

 

 異質──そう言われてドキリとする。

 何故なら俺は入試の実技試験に於いて、得意のカウンターも《アインクラッド流》の連撃技も、一度として使っていない。相手の攻撃を避けて一撃を見舞うくらいが精々で、あくまでもこの世界で一般的とされているやり方に出来る限り則す形で試験を通過した。そして攻撃を避けるという行動自体はキリトやユージオもやっており、俺だけが異質とされる所以は無いはずなのだ。

 

「……取り敢えず、理由は理解しました。しかし、次席上級修剣士殿はご自分の傍付きとの稽古の最中です。ご迷惑では……?」

 

ベルグリッド(この男)が何か頼み事をしてくる時は、大抵突飛な内容だからな。初等練士時の1年間でもう慣れたよ──ミツキ君と言ったか、こちらは君の相手をするに吝かでないが、私では不足だろうか?」

 

「いえ、決してそういうわけではありませんが……」

 

「何、ウチのキリトのことなら気遣い無用だ。君達は親しい間柄のようだし──実際に剣を振る以外にも、見る事で得られるものもあるだろう」

 

 ソルティリーナ先輩にそう言われた俺は、チラと後ろのキリトへ目を向ける。あちらも先輩と意見を同じくしているようで、笑みを浮かべて頷いてきた。

 

「……分かりました。先輩方のご厚意、ありがたく頂戴します。ご指導、よろしくお願いします」

 

 訓練用の木剣を手に、俺とソルティリーナ先輩は向かい合う。腰から木剣を引き抜いた所で、ベル先輩が、

 

「ああ、そうそう──分かってるだろうけど、リーナ君は強い。単に次席というだけではなく、彼女の戦い方はどんな流派よりも()()()だ。君が()()()()()()()()()()で挑まないと、学びを得る間もなく伸されてしまうからそのつもりで」

 

 意味ありげなベル先輩の言葉を受けた俺は、少し考えてから構えを変える──左手を軽く添えるようにして正眼に据えていた剣を、右手だけ逆手に持ち替え、開いていた脚も肩幅程に狭めた。

 それを見たソルティリーナ先輩は微かに目を見開き、あちらも構えを変える──右を前にした半身で、剣を斜めに倒した変則的な構えだ。

 

 双方準備が完了したとみるや、審判を務めるベル先輩がゆるりと手を掲げ──

 

「では──始め」

 

 スッと手が振り下ろされる──が、双方動かない。俺は元より相手の方から仕掛けてくるのを待つ算段だったのだが、それはソルティリーナ先輩も同様なのだろう。こういった状況は初めてではない。系統こそ違えど、同じ防御主体の戦いをする相手──かつて浮遊城で戦った紅の聖騎士との一戦では、互いに間合いを計りながら攻撃を仕掛けた。

 しかし今回はそうもいかない。彼女の独特な構えは一見隙だらけに見えるが、それが誘いである事は瞬時に理解出来た。

 俺は約2年間に渡る戦いの中で、相手の構えや表情、体格等から大まかなスタイルを予測出来るようになった。ソルティリーナ先輩の場合、両足でしっかり床を踏みしめてこそいるが、スラリとしたその体からは力みを感じない。かと言って露骨に脱力している様子もない。

 理屈で説明出来る自信は無いのだが……彼女は恐らく、スタイルからして俺と同じ。どこから攻撃を仕掛けようと、有効に通る事は無いのだろうと肌で感じる。俺の得物が長物なら話は多少違ったろうが……有効打を通す為に間合いを詰めざるを得ない剣で安易に動けば、即座に痛烈なカウンターを貰うこと必至だろう。

 

「……どうした、仕掛けて来ないのか?キリトなら果敢に斬りかかって来るが」

 

 言葉で俺を煽ってくる先輩だが、その表情は真剣そのもの──もしかしたら、あちらも俺と同じような事を考えているのかもしれない。俺に先手を取らせて、出鼻を挫いて主導権を握るつもりだろう。

 

「こちらは指導を賜る立場ですから。先手はお譲りします」

 

「ほう……流石ベルグリッドの傍付きと言った所か。口が回るな」

 

「……褒め言葉と受け取っておきます」

 

 苦笑いを浮かべる俺──その僅かな緊張の揺らぎを捕まえ、ソルティリーナ先輩が動いた。

 無論、これは俺がわざと作った誘いの隙だ。それはあちらも承知の上で、先輩の方から口火を切ったのだろう。

 

 間合いを詰めてきた先輩の先制攻撃──下へ向いた剣先が、手首のスナップで鋭く斬り上げられる。俺はそれを後ろに下がって回避。すかさず来る2撃目──掲げた剣の腹を滑らせるように受け流した。

 

「ッ──!」

 

 今度はこちらのターンとばかりに、俺も仕掛ける。右手を離し、左手だけで剣を振り下ろす──こちらも同様に手首のしなりを利用して繰り出した攻撃は、驚きの速さで引き戻された先輩の剣と衝突する。異様に軽い手応えを感じながら捌かれた剣を無理に引き戻すことはせず、俺は糸コマのイメージで全身を捻り、脱力した左腕を巻き上げた。体に沿うように戻ってきた木剣が、先輩の反撃を受ける──またも軽い手応え。俺はその勢いのまま一段ギアを上げてグルン!と身体を一回転させる。そこへ更に剣を持ち替えた右手のスイングも乗せた一撃を、先輩は危なげなくガード。クルリと身を翻し、様子を見るように間合いを取った。

 

「……なる程。ベルグリッドが私に声を掛けてきた理由が分かったぞ」

 

「……ええ。そのようで」

 

「正直驚いたよ。我が《セルルト流》の《活水》と同じ──いや、少し違うか──似た技をここまで操る者がいたとはな」

 

「……俺も、新鮮な気分です──俺と戦ってきた相手はこんな気分だったのか──と」

 

活水(カッスイ)》──彼女が扱うという《セルルト流》の技術の事か。手首、腕、腰、膝、足首……全身の関節を柔らかく使って剣戟を「殺し」、崩れた所へすかさず反撃を見舞う。俺の場合、本来ならそこへプラスして相手の攻撃の威力をそのまま返す技である事を考えれば、先輩の言う通り厳密には違う技になるのだろう。だが繰り出すカウンターのタイミングが僅かに遅れるものの、基本的に大振りの強力な一撃を好むアンダーワールド人との戦いでは十分過ぎる程効果的だ。

 

 敵の攻撃を捌き、刹那の一瞬に反撃の糸を通す──彼女は俺が自身と似通った戦闘スタイルである事を構えから瞬時に見抜き、付け入る隙を与えないよう重心は常に身体に置いていた。そうすれば、反撃を受けてもすぐさま身を引いて回避行動に移れる。それは俺も同様で、この調子ではどちらが先に集中を切らすかの消耗戦になるだろう。

 傍目には他の生徒達がよくやっている型に沿った予定調和的打ち合いに見えるだろうが、あちらは攻め手と受け手でそれぞれ規定の動きをミスするまでひたすら入れ替わり繰り返すだけなのに対し、こちらは全くの無形。アドリブ100%でやっているのだ。同じものとして語る事は出来ない。

 

「出来る事なら、君とはもう暫し手合わせしたい所だが……流石に私の傍付きをいつまでも待たせておくのは忍びないのでな。君の──そして私の腕を試すという意味でも、これで決着としよう」

 

 そう言ってソルティリーナ先輩は両手でしっかり握った剣を右横に倒し、上体を捻って引き絞る。すると木剣の刀身が翡翠色の光を帯び始めた。

 

「セルルト流秘奥義《輪渦(リンカ)》──受けられるか?」

 

「なる程……やってみましょうか……!」

 

 あの構えはSAOに於ける両手剣旋回斬りソードスキル《サイクロン》だ。反時計回りにグルリと1回転しながら斬り付ける範囲技。

 

「セァ───ッ!!」

 

 力強く床を踏みしめ繰り出される先輩の秘奥義。緑の光芒を引いて迫る木剣の刃に、俺は逆方向から剣を向かわせる。木剣同士が正面衝突するコースだ。

 

 ソードスキルの相殺──縦斬りには縦斬り、横斬りには横斬りという形で盾や大型武器無しでも相手のスキルをパリィするという、俺やキリトは非常に世話になったシステム外スキルだが、ある程度装備の質が上がって以降、俺はスキルの相殺を試みる事は減っていった。

 ソードスキルとの衝突に十分耐えられるだけの耐久値を持つ装備があるなら、相殺するよりもその威力を使用してカウンターを叩き込む方が効果的だったからだ。キリトにはやれ「脱法ユニークスキル」だの「相殺の方が簡単だ」だのとよく言われたりしたものだが。

 そして今──俺の手にあるのは最上級木材の白金樫(シラカネガシ)で出来た木剣。優先度で言えばザッカリア衛兵隊で使っていた鉄剣にも勝るコイツならば、先輩の技をしっかり受け止めて返せる筈。

 

 

 ──筈、だったのだが。

 

 

 ガツン!と木剣が衝突した瞬間、俺はその力に逆らわず腕の関節で衝撃の方向を微調整。爪先を軸にクルリと回転してカウンターを決めようした……

 

「──ハァッ!!」

 

「ッ──!?」

 

 しかしソルティリーナ先輩の気合と共に、剣が瞬間的な加速を見せる。それによってタイミングを狂わされた俺は、木剣を手から弾き飛ばされてしまった。

 

 手を離れた木剣が、乾いた音を立てて床を滑っていく。武器を失ったことでバランスが崩れ、俺はそのまま思い切り尻餅を突いた。

 

「そこまで──勝者、リーナ君。いやはや流石だね。君の《輪渦》はいつ見ても綺麗なものだ」

 

「世辞はいい。それより、お前は自分の傍付きを心配してやったらどうだ」

 

「勿論してるとも。同時に、この程度で怪我をする程ヤワでもないと思っているけどね──そうだろう、ミツキ君?」

 

「え、えぇまぁ……直撃してたら間違いなく医務室行きだったでしょうが」

 

 ビリビリと痺れが残る手を擦りながら立ち上がる。そこへ、キリトが弾かれた木剣を拾って来てくれた。

 

「お疲れミツキ。流石のお前も、リーナ先輩には敵わなかったか」

 

「油断したつもりもなかったんだけどな……剣が触れた途端、こう、急に力が増したような感じが……」

 

「あー、分かるよその感じ。あの人の剣、正面からまともに受けるには片手じゃ難しいんだよな……パッと見俺よりも細い腕してるのにさ」

 

「当然だ。お前達初等練士とは鍛え方も、踏んできた場数も違う。いくら才能があると言っても、後輩にひと目で秘奥義を破られるようでは上級修剣士の名折れだからな」

 

「次席上級修剣士殿の実力、確かに拝見しました。今後共精進します。改めて、お手合せありがとうございました!」

 

「礼には及ばんよ。私としても少なからず得るものはあったしな。可能なら君も私の傍付きにしたいくらいだ──ベルグリッド、構わんか?」

 

 

「「──えッ!?」」

 

 

 本日2度目、俺とキリトが揃って声を漏らす。

 

「おいおいリーナ君。確かに学院則には《傍付きは必ず1人でなくてはならない》とは書かれていないが、三等爵家の君が傍付きを2人──それも両方平民出となったら、また騒ぎになるんじゃないのかい?」

 

「そこはお前の口八丁でどうにかしろ、得意だろう、そういうのは?」

 

「君は私をペテン師か何かと勘違いしていないかい?──それに私としても、部屋の掃除をしてくれる貴重な後輩を差し出すわけにはいかないな」

 

「では剣で決めるか?」

 

「おおっと、そいつは勘弁だ。私じゃ君やゴルゴロッソ君に勝てないのはよく知ってるだろう?そもそも苦手なんだよ、肉体労働は。神聖術の方が性に合ってる」

 

「全くお前という奴は……まぁ、彼を寄越せというのは半分冗談だ。無論、本人が希望するなら話は別だがな?」

 

 ソルティリーナ先輩の美貌が俺を見る。思わずドキッとしてしまったのを、小さく咳払いして振り払った。

 

「……大変魅力的なお誘いですが、謹んでご遠慮させて頂きます。ソルティリーナ先輩にご迷惑をお掛けするわけにはいきませんので」

 

「ふふっ、出来た後輩じゃないか──今後、私の事はリーナと呼んでくれて構わんよ。もしまた手合わせをしたくなったら遠慮せず声をかけてくれ」

 

 ソルティリーナ改めリーナ先輩に何度目かのお礼を言ってから、俺とベル先輩は修練場を後にする。

 

「さて、どうだったかな。次席殿と試合った感想は?」

 

「……正直、驚きました。リーナ先輩が秘奥義を繰り出した瞬間、勝てると思ったのも事実です」

 

「だろうね。では、何故君が負けたのかは?」

 

「まぁ……先輩が言っていた様に鍛錬と経験の差だろうな、とは」

 

「うん。その印象は間違っていないが、具体的に何が原因だったのかはまだ分からないといったところかな」

 

「……ベル先輩は分かってるんですか?」

 

「ハッハッハ、伊達に上級修剣士じゃないからね。けど、その答え合わせはまだお預けだ。君がちゃんと向き合っていけば、自ずと分かるはずだよ。剣の扱いには()()()()()()()()()()、頑張りたまえ」

 

「はい──って、先輩、今なんて……!?」

 

「ではお疲れ。また明日~」

 

 ヒラヒラと手を振りながら自室に引っ込んでいったベル先輩。今しがたの発言を問い質したい所ではあったが、上級生の部屋の扉を鬼ノックするような真似をしては学院則に基づき処罰されてしまう。それは明日に持ち越す事にして、踵を返すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮へ戻る道中、あちらも今日の稽古を終えたらしくクタクタなキリトとユージオと合流した。3人で稽古の話をしながら歩いていると、ふと、少し離れた前方を緋色の髪をした生徒が横切る。もしやと思い、俺は小走りに駆け出した。

 

「──メディナ!」

 

 その一声で、俺と同じ初等練士の制服を着た緋色の髪の女子生徒は足を止める。少し逡巡する様子を見せてから、ゆっくりとこちらを振り向いた。前髪を下ろして目元や額が隠れているが、その間から覗く瞳は間違いなくメディナのものだった。

 

「やっぱりメディナだ、久し振りだな。元気にしてたか?」

 

「……お前か──ああ、まぁな」

 

「入学式の時とか探したんだけど見つからなかったから、もしかしたら一足先に入学したのかと思ったよ」

 

「……馬鹿かお前は。領地を出た時点で去年の入学試験は終わっている。こうしてここにいるのなら、それくらい少し考えれば分かるだろう」

 

「………」

 

 素っ気なく答えるメディナだが、以前よりも覇気が無いように感じる。どんな時も堂々としていた立ち姿も、今はなんだか萎縮しているように見えた。

 

「……何か、あったのか?」

 

「ッ……何の話──」

 

「──おいミツキ!一体どうした……って、もしかしてメディナか!?おいユージオ、メディナだ!」

 

「えっ、ホントかい!?良かったぁ、全然見かけなかったから、病気にでもなっちゃったのかと心配したよ……!」

 

 そこへ、遅れてキリトとユージオも合流。2人共一様にメディナとの再会を喜ぶが、当のメディナはやはり浮かない様子だった。

 

「……あれ、でも──その制服を着てるって事はメディナも僕らと同じ初等練士なんだよね?でも、入学試験の上位12人には……」

 

「調子悪かったのか?ダメだぜ、ちゃんと前日には寝とかないと。一夜漬けにもコツがいるんだ」

 

「キリト、メディナみたいなしっかり者が君みたいに一夜漬けなんかする訳無いだろ──でも、確かに意外だよ。一緒に旅したのは短い間だったけど、メディナの実力なら絶対上位に入るだろうって思ってたから」

 

 俺もユージオと同じ感想を抱いていた。上級生から指名を受ける入試の上位12名の中に、彼女の姿が見えなかったのはよく覚えている。入試で上位に食い込むのは確実だろうと考えていたからこそ、いないという事は先んじて入学を果たしていたのではないかと考えたわけなのだが……

 

「メディナ、もう一度聞くが……何かあったのか?」

 

「……別に、何でもない──そういうお前達は、見事傍付き練士になったようだな」

 

「あ、あぁ……神聖術とか型の試験はヒヤッとしたけどな」

 

 メディナは自分の制服の袖をキュッと握り締める。

 

「……精々足元を掬われぬようにする事だ。話はもう終わりか?ならこれで──」

 

 一度もこちらと目を合わせる事無く立ち去ろうとするメディナ。そこへ、

 

 

「──これはこれは。見てみろウンベール、ラッディーノ。()()が、話に聞くオルティナノス家だ」

 

「いくら相手が平民とは言え、何とも冷たい人間ですなぁ……仮にも同じ貴族である我々でさえ、話しかけるのを躊躇ってしまう」

 

「斯様な者でもライオス殿より上の二等爵家だというのだから、嘆かわしいことです」

 

 

 少し離れた場所から、妙に芝居がかった大仰な喋り方でこちらを見ている3人の初等練士。確か彼らの名は……

 

「あー……ライオスとウンベールにラッディーノ……だったか。確かに一見冷たく見えるけど、メディナはそんな奴じゃないぞ」

 

 軽く反論した俺に、中央に立つ金髪の男──ライオス・アンティノスがピクリと眉を動かす。だが本人に代わって進み出てきたのは、その両隣にいるグレーの髪をオールバックにした男、ウンベール・ジーゼックと、ツヤのある茶髪を七三分けにした男、ラッディーノ・カーヴァスだった。

 

「貴様……姓ではなく名を呼ぶとは何たる無礼ッ!」

 

「そもそも、平民如きが我ら貴族に向かってその口の利き方は何だッ!」

 

 怒鳴りながら詰め寄ってくる2人を、ライオスが制する。

 

「まぁ待て、お前達……無姓の輩にどれ程言葉を尽くそうと、我々貴族の姓の尊さは理解出来まいよ。物言わぬ獣に話しかけるようなものだ」

 

 表面上は丸く収めて器量を示したつもりだろうが、最後の一言といい、クルクルと前髪を弄りながらこちらを見る視線といい、ライオスの顔には明らかな侮蔑の色が見て取れる。

 

「ふっ……いや失敬、ライオス殿の言う通りでしたな。私とした事が、貴族の誇りを汚された怒りで冷静さを欠いてしまいました」

 

「しかしウンベールの気持ちも理解出来るというものです。()()オルティナノス家と言えど、仮にも貴族。下賤の輩とつるんでいては尚更落ちぶれてしまうと危惧したのでしょう──尤も、もう手遅れだったのやもしれませんが」

 

「かもしれんな、ラッディーノ。礼節を弁えないあの不埒さは《欠陥品》の一族にお似合いだ」

 

「ッ……アンティノス殿、ジーゼック殿、カーヴァス殿。特に用件が無いようでしたら、私はこれで失礼します」

 

 小さく歯噛みしたメディナは、それだけ言い残して足早に去って行ってしまう。

 

「お前ら……彼女の事を《欠陥品》と言ったか?」

 

「何だ、まさか知らなかったのか?──いや、もしや無知な平民である貴様らだけにでも威厳を保ちたい余り、自らの一族の事を黙っていたという事か。哀れだな」

 

「お前達、さっきから言いたい放題──ッ!」

 

「放っておけ、行くぞユージオ」

 

 食ってかかろうとしたユージオをキリトが制する。

 

「おぉ、怖い怖い。やはり開拓農民は野蛮でいかん」

 

「所詮は醜い筋肉で身を固め、暴力に訴える事しか能のない猿ですなぁ」

 

「……あぁ、ようやく思い出したぞ。貴様ら──あの《平民出》のゴルゴロッソと《禁令持ち》のソルティリーナ、そしてそんな2人にも劣る《道化》のベルグリッドに従わねばならぬ哀れな傍付き練士か!ククッ、精々こき使われて下等な技を身につけるがいい」

 

 俺達やメディナのみならず先輩のことまで貶し始めるライオスに、流石のキリトも剣呑な表情を浮かべる。

 

「お前ら、いい加減に──!」

 

 進み出ようとしたキリトを、今度は俺が肩を掴んで引き止めた。もう片方の手では同じようにユージオの肩を掴んでいる。2人に代わって前に出た俺は、

 

「なる程、無知か……確かにその通りだ」

 

「ほう、自らの至らなさを自覚出来る程度の知性は持ち合わせていたようだな」

 

「だから──お前達がどんなに自分の血筋の凄さを喧伝しようと、俺達には微塵も効果が無い。さっきからあれこれ言葉を並べていたようだが、全部聞いた上で今のお前達に対する印象は……そうだな、《口だけ達者なガキ大将とその取り巻き1号2号》って所か」

 

「……何だと?」

 

 ここで初めて、ライオスの表情が明確に動いた。後ろではウンベールとラッディーノまでもが額に青筋を浮かべている。

 

「何だ、まさか、あんなグダグダと長いだけの言葉で本当に自分達の凄さが伝わってるとでも思ってたのか?──さっきも言った通り、俺達は無知だ。だが生憎、根も葉も無い風説を鵜呑みにするような馬鹿じゃない。どうしても威張りたいなら、形ある結果で示してみせろ。今後行われる検定試験で当たった時にな。先輩方から何を教わったか、そこで披露してやるよ」

 

 正面切ってそう言い放った俺の両隣に、キリトとユージオが並び立つ。どちらも俺と意思を同じくしているようだった。

 

「貴ッ様ァ……!」

 

「ただで済むと……!」

 

 怒り心頭といった様子のウンベールとラッディーノをライオスは手で制する。平静を装ってはいるが、奴自身怒りを隠しきれていないようだった。

 

「……いいだろう、その安い挑発に乗ってやろうではないか。ここで教師に報告してささやかな懲罰を受けるさせるよりも、検定試合で我らの高貴なる剣に敗れ、大衆の前で無様に這いつくばり許しを請う姿の方が数段面白い、その時を楽しみにしておこう」

 

 忌々しげな視線を残して去っていったライオス達。その背中を見送ることはせず、俺達は先程メディナが去っていった方へ足を向ける。確かこの先には、共用の修練場があったはず……

 

 果たして、そこには無言で鎮座する案山子を前に木剣を構えるメディナの姿があった。

 

「あ、いた。メディナ──」

 

「しッ、待てユージオ」

 

 引き止められたユージオに、俺は「まぁ見てろ」と言うように視線を送る。ジッと黙ってメディナの様子を見守っていると、そよ風に乗って何やらブツブツと言葉が聞こえてきた。

 

 

「…──つく───むかつく、むかつくむかつくむかつく───むかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつくむかつく───!!!」

 

 

 相当腸が煮えくり返っているのだろう。メディナは怒りの言葉を呟きながら、同じ数だけ案山子を叩いていく。

 

 

「───むかつくッッ!!!」

 

 

 やがて全霊を込めた一撃がフィニッシュを飾り、叩き割られた案山子が幾つかの木片に変化した。

 

「はぁ……はぁ……ッ」

 

 一頻り怒りを吐き出し終えた様子のメディナに、俺は小さく拍手を送る。

 

「お見事──前見た時よりも動きに磨きが掛かってる。刀の扱い、相当練習したんだな」

 

「っ……ミツキ──お前達も」

 

「ごめんね、覗き見る様な事しちゃって」

 

「……何の用だ。話すことなら何も──」

 

「すごいなメディナ!今のどうやったんだ!?」

 

「は……はぁ?」

 

 唐突なキリトの言葉に、メディナはポカンと口を開ける。

 

「一見無茶苦茶なようで流れるような連撃も凄かったけど、特に案山子を叩き斬った締めの一撃!あれ秘奥義じゃないよな!?」

 

「あ、あぁ……その、方法は私にも分からない。殆ど無我夢中で剣を振っていたら、偶然……」

 

「うーん、そうか……ミツキが教えたってわけでもないんだろ?」

 

「ああ。あれはメディナのオリジナl──ど、独力で編み出した技だ」

 

「技と呼べるようなものではない。言っただろう、怒りに任せて剣を振っていただけだ」

 

「だとしても、だ。手当たり次第であそこまで綺麗に連撃を繋げられる事が凄いんだ。そりゃつまり、本能で剣を振れるようになってるって事だからな。しかもちゃんと刀を扱う動きだったし──間違いなくメディナの努力の賜物だよ。俺、同じ事やれって言われても多分無理だぞ」

 

 ──少なくとも剣では。

 

「お前達は……全く呆れたものだ。わざわざ追いかけてきたかと思えば嬉々として剣の話を始めるし……相変わらず調子が狂う」

 

「あはは……2人は今もこんな感じだよ。少し懐かしいんじゃない?」

 

「ふっ……まぁ、多少はな」

 

 そう言って小さく笑みを溢すメディナ。

 

「まぁ、積もる話は一旦置いておいて──改めて、久しぶりだなメディナ。こうしてまた会えて嬉しいよ」

 

「……ああ。私も、お前がちゃんと入学出来たようで安心したよ」

 

 握手こそ交わさなかったものの、これまでで1番柔らかく自然な笑みのメディナを目にした瞬間だった。

 




学院編スタートです。そしてメディナとも再会。
ミツキの指導生になったベル先輩に関してかるーく紹介しておきましょう。

ベルグリッド・コーレン
リーナ、ゴルゴロッソに次ぐ上級修剣士第4席。制服の色は若草色。
ダークブラウンの長髪を後ろで一纏め。愛称は「ベル」だが、呼んでるのは現状ミツキだけ。
北帝国四等爵家の生まれ。殆ど閉じてるようにしか見えない細いキツネ目と、常に飄々とおしゃべりな態度が相まって、ミツキからの第一印象は「胡散臭いキツネ」。
部屋を散らかす特技があり、よくミツキに掃除させている。指導生として特に自分から何かを教える事はせず、他の上級修剣士(主にリーナとゴルゴロッソ及びその傍付き)との立ち会いを取り付ける形でミツキを鍛えていく方針らしい。曰く「肉体労働は苦手」。



さて、ミツキはここに来て初めて、自分と同タイプの相手と戦う貴重な経験を得ました。
作中でも語っているように、セルルト流の極意《活水》は受け流して崩すのに対し、ミツキの場合は受けた力を攻撃に転用するという点で違いがあるのですが、共通点として、攻撃を仕掛けた側は「剣に込めた力がヌルッと逃げていく(吸われていく)ような気持ち悪~い感覚」と共に戦うことを強いられます。
そんなミツキとカウンター込みで真っ向から打ち合ったアリス、ヒースクリフ、ユウキ(ついでにスカルリーパー)の強さが一際輝きますね。
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